Vol.16, No.2 (2012) JSCR Newsletter 日本糖質学会会報 JSCR Newsletter published by The Japanese Society of Carbohydrate Research 2012年を振り返って 日本糖質学会会長 遠藤玉夫 日頃糖質学会の運営にご協力頂き有り難うございます。お蔭様で会長として無事 1 年目を終える事が出来 ました。今年の年会は隅田泰生先生のお世話で第 31 回日本糖質学会として鹿児島において開催されました。 他関連学会の年会と日程の部分重複が起こってしまい、皆様からおしかりを頂戴しましたが、年会は多くの 参加者並びに興味深い演題発表が多く、大盛況のうち成功裡に終了致しました。これは糖質学会で行われて いる研究が順調に発展していることを示すものであると思います。年会の準備と運営は隅田泰生先生を始め 世話人の先生方および隅田研究室の皆様のご尽力に負うものであり、ここに改めて厚く御礼申し上げます。 また、これまで評判があまり良いとはいえなかったホームページについて、会員との双方向での情報共有 という観点から一新しました(http://www.jscr.gr.jp)。会員の皆様におかれましては、毎日とは言いませ んが、週に一度位アクセスして頂き新しい情報に接して下さい。また、こうした方が良いというご意見も大 歓迎です。会員各位のご協力をお願いし、より良いホームページの運営に努めて参りたいと思います。 今年の科学界におけるニュースは何と言ってもノーベル医学・生理学賞が京都大学 iPS 細胞研究所・山中 伸弥所長に授与されたことです。日本糖質学会を代表して、心からお慶び申し上げます。今後日本の科学分 野、糖質科学分野からの受賞者が続出することを祈っております。 さて、糖質研究ですが、ごく最近、米国では糖質科学の重要性が NIH 白書としてまとめられ、それを受け 米国科学アカデミーから糖質研究の重点化の提言がなされ、それは強い期待として発信されています (Science, 338, 321-323, 2012)。その骨子は、分子生物学の技術・知識がいまや生命科学研究の基盤となっ ているように、糖質研究領域の技術・知識も 10~15 年の期間でそこまで到達すべきであるということが強調 されています。我が国でも糖研究者の努力により、異分野の研究者が糖質研究に踏み込む時の壁を無くすこ とが必須です。こうした糖質研究のレベルアップは、生命科学における糖質の機能の理解を深めるばかりで なく、解明された糖質機能の研究成果の社会還元に繋がります。 国外では有形無形の国際競争と連携・協力が進行する状況にあることを考え合わせますと、糖質研究をリ ードする研究者の集まりである糖質学会の今後益々の発展が必要です。さらに日本糖鎖科学コンソーシアム (JCGG)、応用糖質科学会などと有機的な連携を強化して、会員皆様の独創的な研究成果がさらに挙がること を期待します。 CONTENTS ■2012 年を振り返って ■第 31 回年会報告 ■第 15 回ポスター賞選考結果 ■第 32 回年会予告 ■第 16 回奨励賞募集 ■受賞ニュース 遠藤玉夫 ◎ 1 隅田泰生 ◎ 2 梶原康宏・西原祥子 ◎ 深瀬浩一 ◎ 梶原康宏・西原祥子 ◎ 箱守仙一郎 ◎ 長谷川輝明 ◎ ■事務局報告 理事会議事録 理事・評議員・名誉会員・顧問・維持会員 4 5 6 7 9 ◎10 ◎14 ■糖鎖彷徨 川嵜敏祐 ■SialoGlyco2012 見聞記 安形高志 ■ACGG 参加見聞録 Rita Pal ■日本応用糖質科学会見聞記 矢部富雄 ■糖鎖疾患生物学開催報告 東伸昭 ■学術集会 ■ICS2010 記念糖質科学基金トラベルグラント の 贈呈について 伊藤幸成 ◎16 ◎18 ◎19 ◎20 ◎21 ◎22 ◎23 第 31 回年会 第31回日本糖質学会年会を開催して 世話人代表 鹿児島大学 隅田泰生 第 31 回日本糖質学会年会を、本年 9 月 17 日(月) 午後から4日間にわたり、桜島に面する鹿児島市民 文化ホールにて開催させて頂きました。関連学会の 重複や台風の接近などがあったにもかかわらず、年 会には 430 名を越える方々に参加いただき、シンポ ジウム(5 題) 、奨励賞講演(3 題) 、口頭発表(A 発表とB発表合わせて 78 題) 、ポスター発表 155 題 を行うことが出来ました。さらに、9 月 20 日には2 つのポストシンポジウム(FCCA セミナー/FCCA グラ イコサイエンス若手フォーラム 2012、およびバイオ インフォマティクス チュートリアル)も計 80 名以 上の参加者を得て行うことができました。本年会は、 昨年 3 月の東北大震災後の日本の糖質研究者に勇気 を与えたいと思い(私自身を鼓舞することがその思 いに至ったきっかけでしたが)、「糖質研究の ALL JAPAN」をメインテーマとして開催することにし、 理事・監事の先生方に調査いただいて、関連他学会 の重複を避けて日程を設定し、会場も確保しました。 ところが、昨年長岡での第 30 回年会総会で日程を 皆様にお知らせした後で、日本応用糖質科学会や癌 学会、高分子学会、等々と日程が重なっていること がわかりました。一時はキャンセルも頭をよぎった のですが、理事会で学会開催日の微変更をお認め頂 いたうえで、最終的には学会開始日を 2 日早め、ま たシンポジウムを 2 日間に分けるなど、分単位で調 整して開催にこぎつけました。ところが、開催日の 前日に大型台風が九州に接近し、年会事務局に動揺 が走りました。私は、ヤフーの天気図を 1 時間おき にチェックし、大丈夫と確信しましたが、特に事務 局に入ってくださった旅行会社の方が、顧客に連絡 したいと言われたため、急遽年会ホームページと日 本糖質学会のMLで、変更無をお伝えしました。後 日、そのアナウンスは有効であったという声を多く 聞きましたが、逆に不安感をあおったとお叱りも受 け、危機的状況下での情報伝達の重要性を再認識し ました。結果的には、空路は 1 便だけが、台風の影 響が出てしまったようで、その便に乗っておられた 方には申し訳なかったですが、ほとんどは問題なか ったようで、私の悪運が強いのか、日頃の行いがよ いのか、ともかくも安心しました。 上述のように、関連学会の重複があり、発表者が 十分集まるか危機感を持っておりましたが、皆様の 協力を得て、幸いにも例年以上の発表申し込みをい ただき、口頭A発表(持ち時間 25 分)からB発表 (持ち時間 15 分) 、口頭B発表からポスター発表へ 回っていただかざるを得ない方が多くでてしまい ました。仕方ないとはいえ、世話人代表としては大 変申し訳なく、この場をお借りしてお詫び申しあげ ます。このように、色々と危惧された学会でしたが、 初日午後からの発表は大変充実し、討論も熱を帯び、 座長の先生方には時間調節が大変だったと思いま す。ポスター発表は、昨年の長岡方式を踏襲し、北 から南まで、大学・研究所の順番に掲示していただ きました。ポスター発表も大変盛り上がり、説明時 間以外にも閲覧している人が多く見られました。た だし、ポスター発表については、残念なこともあり ました。ポスター発表も学会発表です。今回は、初 日から最終日の学会終了時まで掲示を御願いし、そ れが出来ないときは年会本部へご相談していただ く様に何回も広知したにも拘わらず、掲示が間に合 わず説明時間を変えざるを得なかった方や、学会終 了前に外して帰ってしまわれた方がおられました。 年会に参加する限りは、世話人会の方針に従ってい ただくのがルールだと思いますので、来年度以降は 参加者の自覚を御願いしたく存じます。 年会 2 日目と 3 日目に記載したシンポジウムでは、 メインテーマ「糖質研究の ALL JAPAN」のもと、日 本糖質学会、日本応用糖質学会、FCCAの大先輩 の先生方に、糖質研究の幅の広さ、奥深さ、歴史と 将来の方向性など、我々を鼓舞していただくご講演 を賜りました。手前味噌ですが、本企画は大成功だ ったと思っております。シンポジストを務めていた だいた、鮫島吉廣先生、谷口直之先生、竹田靖史先 生、小川智也先生、笠井献一先生に心より感謝申し あげます。 鹿児島市での年会開催にあたり、実働部隊となっ ていただける先生方が鹿児島内では限られるため、 年会の直接運営業務には人が不足することが明ら かであったこと、また日本糖質学会事務局が移行中 のため、演題募集から要旨集作成も全て年会世話人 会で行わなければならなかったことなどから、今回 は旅行業者(近畿日本ツーリスト鹿児島支社)に関 与してもらいました。その結果、参加者へのケアが 良かったことや、会場費・懇親会などの経費削減、 例年に比べて立派とのお褒めを頂いた要旨集など メリットも多かったですが、それでも普段の年会よ りは経費がかかってしまいました。島唄の唄手さん (「藤あけみ」さん。岐阜大学の木曽先生の奥様に ご紹介いただきました。)の出迎えの唄で始まった 懇親会では、最後には参加者が「六調」(奄美の踊 り)で盛り上がってくださったこと、県内の焼酎メ ーカーから、シンポジストの鮫島先生のご紹介によ り、ご寄付頂いた多種多量の焼酎を堪能頂いたこと など、郷土色を十分に出したおもてなしをすること ができたのではないかと思っております。昨年の長 岡の懇親会での迫力ある花火の映像は、記憶に新し 2 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 第 31 回年会 いところですが、会場の前の桜島は、期間中に数回 の爆発がありました。もっとも、映像と違って自然 現象のため爆発は定期的ではなく、ご覧いただけた 方は少ないと思います。傘が必要なほどの降灰がな かったのは、体感されたい方もおられたと思います が、主催者としては幸いでした。地方都市での学会 参加の 1 つの楽しみにしていただくべく、3 日目の 午後には、エクスカーションとして桜島ツアーと指 宿の砂蒸し温泉体験ツアーを企画しました。どちら も、予想以上に多くの方の参加をいただき、企画し てよかったと思った次第です。 大震災の影響、歴史的な円高、欧州経済危機等々 のため、募金活動は苦労しましたが、結果的には例 年並み以上のご寄付、広告、企業展示、ランチョン セミナーを頂きました。また、鹿児島コンベンショ ンセンターからも補助金を頂きました。ご協力頂い JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) た関係各位に厚く御礼を申しあげます。 今回、第 31 回日本糖質学会年会を開催させてい ただき、本当に有り難うございました。バイトとし て活躍してくれた研究室の学生さんにも、良い刺激 を与えることが出来ました。最後になりましたが、 本年会の世話人として、以下にお名前(敬称略)を 掲載させていただいた鹿児島大学と九州大学の先 生方にご協力いただきました。心より御礼申し上げ ます。 安部 淳一(鹿児島大) 、伊東 信(九州大) 、伊東 祐 二(鹿児島大)、沖野 望(九州大) 、門川 淳一(鹿 児島大) 、北原 兼文(鹿児島大)、塩崎 一弘(鹿児 島大)、橋本 雅仁(鹿児島大) 、藤田 清貴(鹿児島 大) 、三浦 佳子(九州大) 、八木 史郎(鹿児島大) 、 若尾 雅広(鹿児島大) 3 第 15 回ポスター賞 第 15 回ポスター賞(今年度の選考結果について) 授賞選考委員長 梶原 康宏 同副委員長 西原 祥子 本賞は日本糖質学会におけるポスター発表者の中から35歳以下の会員から4件程度選び、 「日本糖質学会 ポスター賞」として表彰し、副賞としてシアル酸研究会(山川民夫会長、小倉治夫事務局長)からの寄付を 贈呈するものです(詳細は、糖質学会ポスター賞規定をご覧ください http://www.jscr.gr.jp/?p=contents&id=18) 。 本年度は第31回日本糖質学会年会(9月17~20日、鹿児島において隅田泰生代表世話人のもと開催) のポスターセッションの演題の中から、予め発表申込時点で申請のあった62題(全発表件数72題)を対 象に、発表要旨、ポスターの出来栄え、発表内容および質疑応答などの諸点を踏まえて、選考委員(化学系、 生物系各6名)が厳正なる選考を行いました。理事会の議を経て、下記5名の方々を受賞者と決定いたしま した(敬称略)。表彰は、25年度総会(平成25年8月大阪で開催の予定)にて行う予定です。ポスター発 表のレベルが年々高まり、惜しくも選に漏れた方々の発表もすばらしいものでした。次回年会でも会員の皆 様多数の申込をお願いいたします。最後に、2日間に亘り選考にあたって下さった12名の選考委員の方々 に改めて御礼申し上げます。 化学系 山口拓実(自然科学研究機構・統合バイオ、総研大・物理、名古屋市大・院薬) 常磁性NMR法による糖鎖の動的立体構造解析 鈴木達哉(岐阜大・応用生物、京都大・iCeMS) セレン標識糖鎖の合成と糖鎖-蛋白質複合体の立体構造解析への応用 生物系 矢木宏和(名古屋市大・院薬) 神経幹細胞の幹細胞性維持におけるN型糖鎖の機能解明 堺谷祐太(名古屋大・院医) 新規O-GlcNAc転移酵素の基質認識と生物学的役割 木塚康彦(理研・基幹研) エピジェネティックスによる脳特異的な糖転移酵素の発現制御メカニズム 4 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 第 32 回年会予告 第32回日本糖質学会年会予告 会期 平成25 年8 月5 日(月) ~ 7 日(水) 会場 大阪国際交流センター (大阪市天王寺区上本 町8-2-6) 主催 日本糖質学会 共催 日本農芸化学会、日本薬学会、日本基礎老化 学会、日本化学会、日本植物生理学会、日本 生物物理学会、日本栄養・食糧学会、日本生 物工学会、日本食品科学工学会、日本生化学 会、日本分子生物学会、日本蛋白質学会、日 本応用糖質科学会、繊維学会(予定含む) 協賛 日本膜学会、有機合成化学協会、高分子学会 (予定) 後援 日本癌学会(予定) 討論主題 糖質、複合糖質に関する基礎研究や応用研究 内容 ■公募型ワークショップ(8件程度) ■日本糖質学会奨励賞受賞講演( 2 題) ■一般講演とポスター発表 なお、詳細は、平成25年2月頃に学会ホームペー ジ (http://www.jscr.gr.jp/) と年会専用ホー ムページ(作成中)に掲載します。 一般講演の発表形式: これまでの日本糖質学会年 会の形式を踏襲します。 口頭発表A: (質疑応答を含め 25 分、PC による発表) 発表内容は自己の研究業績を中心とした総括的 なもので、討論の素材を十分に提供できるもので あること。演者は討論に十分対応できる方である こと。1 研究室当たり 1 発表とします。採否は 世話人会に一任ください。またプログラム編成の 都合上、一部を発表 B へ変更をさせていただく 場合があります。 口頭発表B: (質疑応答を含め 15 分、PC による発表) 発表内容は新規性、独創性のある結果を中心とし たもので、討論の素材を十分に提供できるもので あること。演者は討論に十分対応できる方である こと。研究室当たりの発表数に制限はありません が、採否は世話人会に一任ください。またプログ ラム編成の都合上、ポスター発表へ変更をさせて いただく場合があります。この際は、ポスター賞 への応募が可能となります。 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) ポスター発表: 発表内容は新規な結果を中心としたもので、討論 の素材を十分に提供できるものであること。研究 室当たりの発表数に制限はありませんが、採否は 世話人会に一任ください。 参加・発表申し込み: 申込方法、発表方法の詳細は、平成 25 年 2 月 に学会ホームページと年会専用ホームページに 掲載する予定です。下記申込期間内に、年会専用 ホームページ (作成中) より直接申し込みくだ さい。 発表申し込み期間: 平成 25 年 4 月 1 日~ 5 月 10 日(予定) 発表採択の通知: 発表受付終了後、1ヶ月程度で演者にe-mail で通 知致します。 参加申し込み及び登録料: 年会専用ホームページ Web 予約システムより手 続きください。 登録料(括弧内は平成25年7月以降の金額です) 日本糖質学会および共催学会の正会員: 7,000 円 ( 9,000 円) 日本糖質学会および共催学会の学生会員: 3,000 円 (4,000 円) 一般: 9,000 円 ( 11,000 円) 一般学生: 3,500 円 (4,000 円) 懇親会:(年会専用ホームページ Web 予約システム より手続ください) 日時: 平成 25 年 8 月 6 日 (火) 会場: シェラトン都ホテル大阪 (会場から徒歩8 分) 会費 : 8,000 円 (平成25年7月以降申込 10,000 円) その他: エクスカーションは予定しておりません。また、 宿泊は幾つかホテルをお願いしておりますので、 参加者ご自身で予約をお願いいたします。詳細は 随時、年会専用ホームページにてご案内いたしま す。 問合せ先: 〒560-0043 大阪府豊中市待兼山1-1 大阪大学大学院理学研究科 第32回日本糖質学会年会 世話人代表 深瀬浩一 E-mail: koichi[at]chem.sci.osaka-u.ac.jp 5 第 16 回奨励賞募集要項 第16回日本糖質学会奨励賞受賞候補者募集 授賞選考委員長 梶原 康宏 同副委員長 西原 祥子 第16回日本糖質学会奨励賞受賞候補者の選考を開始します。 受賞候補者の資格:糖質科学の分野で優れた研究成果を挙げた満40歳以下(平成25年7月1日現在)の 研究者で,平成23年7月1日以前から継続して本会会員であること。 日本糖質学会奨励賞募集の方法:以下に示す二段階で行われます。 1.本会会員による候補者の推薦 会員は、自薦、他薦を問わず候補者1名を推薦できる。氏名、所属機関・研究室名と所在地、TEL/FAX、 メールアドレス、A4 用紙1/2程度の業績の説明文、代表的な発表論文2~3報(タイトル、氏名、雑誌 名、年)をA4 判に記し、封筒の表に「奨励賞候補者推薦 書類」と明記し本会事務局まで郵送、あるい は、同内容を[email protected] までメールでお送り下さい。 締切:平成25年 2月 1日(金) (必着) 2.授賞選考委員会による候補者の選出 理事会にて選出した委員による授賞選考委員会が、会員からの被推薦者中から約10名以内の候補者 を選び、下記の応募書類(1~4)を事務局に提出することを本人に依頼します。 応募書類(候補者本人から提出): 1)所定の様式の応募書類(本会事務局より候補者本人に送付) 。 2)研究概要の紹介本文(図表を含めてA4 用紙3枚以内厳守) 。 3)論文リストA4 用紙に著者(本人に下線)、論文題目、誌名、巻、ページ(初めと終わり) 、発行年を 記す。 4)主な論文3編以内の別刷りもしくはその写しを各1部。 選考と発表の方法:選考は授賞選考委員会にて行い、受賞者は理事会にて決定後にJSCRニュースレター誌上 に発表し、表彰は総会(平成25年8月6日、大阪で行われる第32回年会)にて行う予定です。 提出先 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町 1-14 村田神保町ビル 6F 日本糖質学会事務局 福田公江 E-mail : [email protected] 電話:03-3294-9211 6 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 受賞ニュース 本会の名誉会員の箱守仙一郎先生(ワシントン大学名誉教授、パシフィック・ノースウェスト 研究所バイオメンブレン研究部門長)は、Society for Glycobiology より 2011 Rosalind Kornfeld Award for Lifetime Achievement in Glycobiology を受賞されました。本賞は、生涯にわたって、 糖鎖生物学領域において影響力ある重要な貢献をされた方を対象にしており、今回、スフィン ゴ糖脂質研究において、常に先導的に新境地を開拓し続けて来られた業績が評価されました。 箱守先生は、1995 年、当該学会より Karl Meyer Award も受賞されており、2000 年からは米 国科学アカデミー会員としても活躍されておられます。箱守先生のご受賞に心からお祝い申し 上げますとともに、ますますのご活躍、ご健勝をお祈りいたします。 (編集委員) 糖鎖-糖鎖相互作用による細胞機能の支配 ワシントン大学名誉教授 箱守仙一郎 プを持つ高分子の“polylactosaminoglycan”同士が Ca2+の存在下に凝集すること、LeX-糖脂質をコート したビーズ同士が凝集すること、更にこれが F9 細 胞の細胞凝集に寄与している事が示された(7)。一方、 上に述べた研究とは別に、海綿動物のスポンジ細胞 で以前から知られていた、同種同士の凝集現象や単 離した分画の in vitro での集合現象の分子機構とし て、M. Burger ら(8)と J. F. Vliegenthart ら(9)によ り、糖鎖-糖鎖相互作用が報告された。 次に、LeX - LeX 以外での糖鎖-糖鎖相互作用を検 索しました。糖脂質をコートしたプレートへの糖脂 質を含むリポゾームへの結合能を調べたところ、 GM3 と Gg3 及び LacCer の間には相互作用が検出 されたが、測定した他の糖脂質ではみられなかった。 GM3 を強く発現するマウスメラノーマ B16 細胞を 用いての接着実験でも同様の結果が得られた。さら に in vivo での、B16 細胞の肺への定着は、Gg3 を 含むリポゾームで阻害された(10)。Penadés らは、 同様の実験で lactosyl-金ナノ粒子が阻害効果を示 すことを報告している(11)。Boggs らは、ミエリン 鞘に発現している GalCer と sulfatide は結合し、 これがミエリン鞘の多重構造形成に関与している 可能性を報告している(12)。最近、糖鎖-糖鎖相互作 用は、NMR や原子間力顕微鏡を用いての物理化学 的手法で、確認されつつある。以上述べた異なる細 胞上に発現する糖鎖間の相互作用を、我々はトラン ス-糖鎖-糖鎖相互作用と名付けた。 最近、同一細胞に発現している糖鎖間に働くシス -糖鎖-糖鎖相互作用のあることが明らかになった。 我 々 は 以 前 、 GM3 が epidermal growth factor receptor (EGFR)の活性化を阻害することを示した はじめに 種々の単糖の構造、特に立体配位の解明は E. Fischer (1)、C. S. Hudson (2)、P. A. Levene (3)、 W. N. Haworth (4)といった人々により、50-100 年 の歳月をかけて行なわれた (5)。その後、1) P. A. Leven はヒトや動物結合組織成分として、GalNAc、 グルクロン酸と硫酸基からなる多糖体、コンドロイ チン硫酸をみつけ、2) H. Masamune らにより、 GlcNAc とグルクロン酸よりなる“ムコイチン”が見 出され、其々の構造も決定されたが、ムコイチンは、 K. Meyer によりヒアルロン酸と言われ、その名称 が定着した。更にたんぱく質と結合している N- 又 は O-結合糖鎖の問題、スフィンゴシン、スフィン ゴ糖脂質の発見など、多彩な研究の発展、更に将来 への展望を名古屋大学の古川鋼一教授に請われる ままに記述したことがあります(6)。また同様な記述 を筑波大学の成松久教授に請われ英文版も出しま したので、今回はそれらで全く触れなかった糖鎖糖鎖相互作用について述べたいと思います。 糖鎖-糖鎖相互作用 新しいタイプの分子間の結合様式として、糖鎖同 士の相互作用のあることが見い出された。我々は、 マウスの胚芽初期発生の桑実期に、糖鎖エピトープ Lewis 抗原 (LeX; Galβ4[Fucα3]GlcNAcβ3Gal)が強 く発現し、胚細胞のコンパクションが進むと発現が 弱くなることを見つけた。これより、LeX がコンパ クション誘導に何らかの役割があるのではと考え、 まず LeX と結合するレクチン様たんぱく質を、胚性 癌種細胞株 F9 細胞を用いて検索した。しかし、LeX と結合するたんぱく質は検出されず、LeX エピトー JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 7 受賞ニュース が、その分子機構は不明であった。最近、これは GM3 と EGFR の N-結合糖鎖の末端 GlcNAc との相 互作用に依存していることが解かった。卵白アルブ ミンより単離した 5〜6 個の末端 GlcNAc を持つ N結 合 型 オ リ ゴ 糖 は GM3 と 結 合 す る が 、 2 個 の GlcNAc を持つ同様のオリゴ糖は結合しない。又、 細胞可溶化物中の EGFR は GM3 をコートしたプラ スチックビーズに結合し、この結合は、前述の 5〜 6 個の GlcNAc を持つオリゴ糖で阻害された(13)。 EGFR には約 12 個の N-結合糖鎖があると考えられ ているが、その内のどの糖鎖がこの多重 GlcNAc 末 端を持ち、GM3 と結合するかについて、目下研究を 進めています。さらに、このシス-糖鎖-糖鎖相互作 用が他の生体機能にも関与しているかどうか、大変 興味深いと思っています。 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 参考文献 1. Emil Fischer の研究は、単糖、ペプタイドなど の構造だけでなく、それら分子の相互作用にも 及び、近代生化学の祖とみられ、彼の生誕 150 年記念にレビューが出された。 Kunz H (2002). Angew Chem Int Ed Engl 41:4439-4451. 2. Hudson CS (1917). J Amer Chem Soc 11. 12. 13. 8 33:426-462. Levene PA (1917). J Biol Chem 31:623-626. Haworth WN (1929) The Constitution of Sugars. Edward Arnold & Co., Ltd. 北島 健、井上 康男(1996). “生体物質の化学” 日本化学会編、新ライブラリー、大日本図書. Hakomori S (2007). Functional glycomics, edited by Furukawa K, News Letter #9:5-23. Eggens I, et al (1989). J Biol Chem 264: 9476-9484. Kojima N, et al (1994). Glycoconj J 11: 238-248. Bucior I, et al (2004). J Cell Biol 165:529-537. Carvalho de Souza A, et al (2005). Chembiochem 6:828-831. Kojima N, et al (1991). J Biol Chem 266:17552-17558. Otsuji E, et al (1995). Int J Oncol 6:319-327. Rojo J, et al (2004). Chembiochem 5:291-297. Boggs JM, et al (2008). Biochem Biophys Acta 1780: 445-455. Yoon S, et al (2006). Proc Natl Acad Sci USA 103: 18987-18991. JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 受賞ニュース ICS 2012 Madrid で東洋大学の長谷川輝明先生が Young Investigator Award を受賞さ れました。誠におめでとうございます。受賞を記念致しまして、先生のご研究や学会の様 子などについて御寄稿頂きました。先生の益々のご活躍を祈念致します。(編集委員) Bis-glycosylated Ferrocenes as Tools to Investigate Carbohydrate-carbohydrate Interactions 東洋大学・准教授 長谷川輝明 東洋大学の長谷川輝明です。名古屋大学大学 院にて、小林一清先生および松浦和則先生のご 指導の下で学位を取得したのち、日本学術振興 会特別研究員(PD)として留学した米国ワシン トン大学の佐々木富和先生のもと、糖鎖間相互 作用に関する研究をスタートさせました。帰国 後は九州大学の新海征治先生のもとでポスド クとして数年ほど、主にβ-1,3-グルカン関連の 研究に携わったのちに、2006年4月より東洋大 学教員として勤務しております。現在の主要テ ーマは「天然多糖の化学修飾による有用材料の 創成」および「人工モデル系を用いた糖鎖間相 互作用のメカニズム解析」です。このうち糖鎖 間相互作用のメカニズム解析に関する研究成 果をICS2012(スペイン・マドリッド)にて発表 したところ、思いがけなく賞を頂くことになり ました。私が研究しております糖鎖間相互作用 とは細胞膜表面上に存在するスフィンゴ糖脂 質間の微弱な相互作用であり、近年ではこれが 最初の引き金となって細胞間接着が引き起こ されるといわれています。つまり、糖鎖間相互 作用メカニズムの解明は、細胞間接着の理解、 ひいては多細胞生物である人間の理解にもつ ながることから、学術的に極めて重要な基礎研 究です。また同時に、望まない細胞接着が原因 となって引き起こされる各種疾患(ガン転移や 各種炎症など)を防ぐための薬の開発にも将来 的に繋がることから、薬学的にも極めて重要な 研究対象といえます。しかし正直なところ、こ のような重要性にも関わらず、糖鎖間相互作用 のメカニズム解析に関する研究は世界的に見 てもそれほど盛んとは言えません。現状では世 界でも数グループが糖鎖間相互作用の研究を 行っているのみであり、そのアプローチの仕方 も、多数の糖を密集させた糖クラスター同士が 接着するか否かで糖鎖間相互作用を検出して いるものがほとんどです(分子間アプローチ)。 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) それに対して我々のアプローチは、様々なクロ モフォア分子に数個の糖鎖を組み込み、分子内 での糖鎖間相互作用によって引き起こされる コンホメーション変化を、紫外可視吸収または 円二色性分散スペクトルの変化として検出す るものです。システムを構成する糖鎖の数が数 個程度と極めて少ないため、糖鎖間相互作用に おける詳細な分子情報が得られることを利点 としています(分子内アプローチ)。ICS2012の 会場でも糖鎖間相互作用に関する研究はほと んど見られませんでしたが、糖鎖間相互作用と いう研究対象自体の希少性もあってか、多くの 方が入れ替わり立ち替わり発表を聞きに来て くださいました。この希少性に加えて我々のア プローチがユニークであることが、今回の受賞 に繋がったのではないかと考えています。今回 賞を頂けたのは、当該発表の共同研究者を始め、 すべては毎日がんばって実験してくれている すべての学生さんのおかげです。この場を借り てお礼申し上げると同時に、学会発表および今 回の受賞が、彼ら彼女らが「研究のおもしろさ」 「成果を出すことの充実感」を実感するための 一つのきっかけになればと思います。(写真: 長谷川近影(中央)・共同研究者である陸くん (右)および冨樫くん(左・Job Hunting中!) とともに) 9 事務局報告 平成24年度 第1回日本糖質学会理事会議事録 日 時:2012年9月17日(月) 午後7時00分~午 後10時40分 場 所:鹿児島市民文化ホール5階 第1会議室 出席者: 理事(遠藤玉夫・石田秀治・伊東 信・ 伊藤幸成・小川温子・梶原康宏・北島 健・隅田泰生・西原祥子・深瀬浩一) 監事(古川鋼一) 委任状出席(稲津敏行) 以上12名 同席者: 事務局(三田敦巳・福田公江) 議 長: 遠藤玉夫 会長 梶原理事より選考結果報告を行う。遠藤会長より 総会後に賞状・副賞の授与、梶原理事介添え、を行 う。 6)ICS2010記念糖質科学基金Travel Grant につい て 伊藤幸成理事より学会員に周知していただくこと を目的に、選考基準、選考結果を報告する。 【審議事項】 9月19日の評議員会・総会資料、別紙資料に基 づき、報告者・内容等の以下の審議内容の確認が行 われた。 1)平成23年度収支決算ならびに監査報告 深瀬理事より総会で報告する。予算に対しての収支 の増減の理由を簡潔に説明した。その後、監査報告 を古川監事が行った。 2)名誉会員・永年会員の推戴について 遠藤会長より総会で、名簿に基づき推戴を行う。 3)平成24年度予算(案) 深瀬理事より平成24年度予算(案)を総会で報告す る。その中で、年会開催費が多く予算化されている ことについて、第31回世話人の隅田理事より年会開 催費の見積もり等が報告され、今回も含め年会の収 入面の見直しが急務であるという現状が報告された。 これを受け、その他の審議事項で話し合うこととし た。 4)平成24年度事業計画(案)について 遠藤会長より総会で資料に基づき報告をする。 5)男女共同参画の推進については、11月に5年に1 度の大規模アンケートが行われるので、会員各位へ 協力の依頼を口頭で行うこととした。 6)第32回及び第33回年会について次の事が報告さ れた。深瀬理事(代表世話人)より第32回年会は大 阪で平成25年8月5~7日に行い、第33回年会は平成 26年に名古屋で行い古川監事に世話人代表をお願 いすることとした。平成27年第34回年会の候補地が 話し合われ、暫定的に東京で行うこととしたが、詳 細は後日決定することとした。 始めに 本日の理事会は、理事(10名)監事(1 名)出席及び稲津監事は所要のため委任状が出てお り、理事会は成立するとの確認があった。 議事録作成にあたり、議事録署名人を議長(遠藤会 長)の他に伊藤副会長・伊東理事のお二人に依頼す ることとした。 議 題: 【報告事項】 9月19日の評議員会・総会資料に基づき、報告 者・内容等の以下の確認が行われた。 1)会員数の推移について 遠藤会長より総会で報告をする。会員数の減少に 関しては、長期間にわたり事務局に対応頂けない幽 霊会員の精査を行った結果であり、実数に近づきつ つあることが確認された。 2)会議の開催 遠藤会長より総会で会議回数の報告をする。理事 会は4回の予定であったが、経費削減の努力の一環 として理事会を3回とした。 3)JSCR Newsletter の発行について 北島理事より総会で報告をする。Vol.15-2 より電 子版とした。ホームページ掲載はトップページから 見られるものは議事録・会計報告を削除し、会員ロ グイン後に見られるものは会員に電子メール配信し たものと同じフルサイズのものがダウンロードでき るようにしてあることの報告があった。次いで、石 田理事より次号Newsletterの内容について説明が あった。 4)平成23年第30回年会について 遠藤会長より総会で資料に基づき報告をする。引 き続き平成24年第31回年会の19日現在の報告を隅 田年会世話人代表より報告を行うこととなった。 5)第15回日本糖質学会奨励賞・ポスター賞につい て 【その他の議案及び報告事項】 別紙資料に基づき、各理事より以下の報告や議 案提示が行われた。 1)Whistler Award nomination について 伊藤幸成理事よりWhistler Award nomination の説明がされた。 2)協賛・共催・後援学術集会の報告が遠藤会長よ りされた。 10 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 事務局報告 3)山田科学振興財団からの審査結果報告(本会か ら推薦した眞鍋史乃博士の申請課題が採択)が梶原 理事よりされた。 4)会則改訂について 伊藤幸成副会長より、会則・細則・ポスター賞規定 の誤植等の指摘がなされ、改訂ではないので総会へ 諮る必要がないとの全理事の同意を得て修正するこ ととした。会則第3条第2項の「会誌(TIGG)の発行」 について本会の事業ではないのではないかとの指摘 がなされた。これに対し本会とFCCAとのこれまで の経緯等が確認された。なお、議論内容は、事項5) と関連するので引き続き議論を進めた。 5)TIGG編集委員会より、ゲストエディター選出 に関するFCCAからの依頼について TIGG編集委員会に出席した小川理事より別紙資料 に基づき、ゲストエディター制を来年度から実施で きるかどうかについての依頼内容が詳細に説明され た。FCCAへの回答については、次回理事会で引き 続き議論することとした。 6)年会参加費の値上げについて 隅田理事より年会開催における財政的な問題点が指 摘された。また、第32回年会代表世話人の深瀬理事 より同様の懸念が指摘された。これを受け、年会参 加費の値上げの可能性について慎重に検討した結果、 最終的には代表世話人の判断に任せるものの、正会 員で2~3千円程度、学生会員で1,000円程度の値上 げもやむを得ないとの結論に達した。 7)次回理事会について 田町キャンパスイノベーションセンターで、第一候 補12月1日(土)9:00~14:00、第二候補12月8日 (土)13:00~17:00に行うこととし、隅田理事に予 約をお願いすることとした。 平成24年度日本糖質学会評議員会議事録 日時:2012年9月19日(水)正午~午後1時00分 場所:鹿児島市民文化ホール2階第2ホール 出席者:評議員56名 委任状出席57名 議長: 遠藤玉夫会長 合計129名中113名出席 始めに本日の評議員会は、129名中56名出席及び委任 状出席57名の合計113名で、評議員会は成立要件2分 の1以上あるので成立するとの確認があった。 議事録作成にあたり、議事録署名人を議長(遠藤会 長)の他に伊藤副会長・伊東理事のお二人に依頼する こととした。 議題: 【報告事項】 評議員会資料に基づき、遠藤会長より報告が行われ た。 1)会員数の推移について 2)会議の開催 3)JSCRNewsletterの発行について 4)平成23年第30回年会について 5)第15回日本糖質学会奨励賞・ポスター賞について 梶原理事より資料に基づき選考結果報告が行われた。 6)ICS2010記念糖質科学基金TravelGrantについて伊 藤幸成副会長より選考基準並びに2012ICS会議での 選考結果の報告が行われた。 7)平成24年第31回年会の19日現在状況について隅田 年会世話人代表より報告が行われた。 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 11 【審議事項】 1)平成23年度収支決算ならびに監査報告 深瀬理事より決算報告をし、稲津監事より監査報告 が行われた。審議の結果いずれも承認を受けた。 2)名誉会員・永年会員の推戴について、遠藤会長より 会則規定に基づき推戴を行い、賛成多数で承認され た。 3)平成24年度予算(案) 深瀬理事より平成24年度予算(案)の説明があった。 質疑応答ののち評議員の賛成多数で承認を受けた。 4)平成24年度事業計画(案)について 遠藤会長より資料にもとづき本年度事業計画が報告 された。 【その他の議案及び報告事項】 1)男女共同参画の推進について 11月に5年に1度の大規模アンケートが行われるので、 会員各位へ協力の依頼がなされた。 2)来年以降の年会について 平成25年第32回年会は大阪で平成25年8月5~7日に 行い代表世話人は深瀬理事であること、平成26年第 33回年会は名古屋で行い代表世話人は古川監事であ ることが報告された。平成27年第34回の候補地は東 京であることが報告された。 3)ホームページ開設について 北島理事より、平成24年8月から正式に開設したホー ムページの説明があった。ユーザーフレンドリーな ホームページとしたいので皆様のご要望があればホ ームページ上からお寄せくださいとの依頼があった。 4)維持会員の紹介依頼が遠藤会長よりあった。 事務局報告 平成24年度 日本糖質学会総会議事録 日 時:2012年9月19日(水) 表世話人は古川監事であることが報告された。 午後1時00分~午後1時45分 平成27年第34回年会の候補地は東京であること 場 所:鹿児島市民文化ホール2階 第1ホール が報告された。 出席者:会員 103名 委任状出席262名 【その他の議案及び報告事項】 合計950名中365名出席 1) 深瀬年会代表世話人より平成25年第32回年会に 議 長:遠藤玉夫 会長 ついて概要の紹介が行われた。 始めに本日の総会は、950名中103名出席及び委任状 開催日:平成25年8月5・6・7日 出席262名の合計365名で、総会は成立要件5分の1以 場所:大阪国際交流センター 上あるので成立するとの確認があった。 議事録作成にあたり、議事録署名人を議長(遠藤会 引き続き表彰式が行われた。 長)の他に伊藤副会長・伊東理事のお二人に依頼す 1) 奨励賞 ることとした。 佐藤 匡史 氏(名古屋市立大学・大学院薬学研究科) 議 題: 糖タンパク質の輸送と分解に関わる細胞内レクチ 【報告事項】 ンの構造生物学研究 総会資料に基づき、遠藤会長より報告が行われた。 藤田 盛久 氏 (大阪大学・微生物病研究所) 1)会員数の推移について GPIアンカーの構造変化と生理的意義の解明 2) 会議の開催 野上 敏材 氏(京都大学大学院・工学研究科) 3) JSCR Newsletter の発行について 有機電気化学的手法に基づくグリコシル化反応の 4)平成23年第30回年会について 制御 5) 平成24年第31回年会の9月19日12時現在の参 2) ポスター賞 加者等の報告が隅田年会世話人代表より行わ 化学系 れた。 塩入 優紀 氏(東京工業大学大学院・生命理工学研 6) 第15回日本糖質学会奨励賞・ポスター賞につい 究科、理化学研究所・基幹研) 糖鎖構造解析を応用した質量分析法による不斉中 て梶原理事より資料に基づき選考結果報告が 心の立体化学決定 行われた。 7) ICS2010記念糖質科学基金Travel Grantについ 河村 奈緒子 氏(岐阜大学・応用生物科学部、京都 大学・iCeMS) て 伊 藤幸 成副 会 長よ り選考 基 準並 びに 2012 蛍光GM3、GM1プローブの合成と1分子追跡実験に ICS会議での選考結果の報告が行われた。 よるラフト分配特性の解析 【審議事項】 生物系 1) 平成23年度収支決算ならびに監査報告 深瀬理事より決算報告をし、稲津監事より監査 松本 康之 氏(名古屋大学大学院・医学系研究科) pp-GalNAc-T13はtrimeric Tn抗原を形成し癌転移 報告が行われた。審議の結果いずれも承認を受 を亢進させる けた。 2) 名誉会員・永年会員の推戴について、遠藤会長 中村 真男 氏(茨城大学大学院・理工学研究科、産 業技術総合研究所) より会則規定に基づき推戴を行い、賛成多数で 硫酸化グリコサミノグリカンが規定する生理的濃 承認された。 度の内分泌因子によるシグナル伝達 3) 平成24年度予算(案) 深瀬理事より平成24年度予算(案)の説明があり、 3) ICS2010記念糖質科学基金トラベルグラント の贈 賛成多数で承認された。 呈 4) 平成24年度事業計画(案)について 遠藤会長より資料にもとづき本年度事業計画が 岩本 将吾氏(群馬大学大学院工学研究科 博士後期 報告された。口頭での追加事項としては、11月 課程) に男女共同参画に関する5年に1度の大規模アン SYSTEMATIC SYNTHESIS OF N-GLYCAN DERIVATIVES ケートが行われるので、会員各位へ協力の依頼 USING INVERSION OF C-2 HYDROXYL GROUP がなされた。また、第32回年会は大阪で平成25 年8月5~7日に行い代表世話人は深瀬理事であ 岩山 祐己氏(東海大工学部応用化学科 特定研究員) ること、平成26年第33回年会は名古屋で行い代 THE FIRST TOTAL SYNTHESIS OF GANGLIOSIDE HPG-7 12 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 事務局報告 平成24年度 第2回日本糖質学会理事会議事録 3) ICS2010記念糖質科学基金Travel Grant につ いて 本基金より、2013年のGlyco、2014年のICSに ついて、それぞれ各2件程度経費の援助を行いた いとの提案があり、承認が得られた。 4) 第32回年会について(大阪)・ホームページの改 良(要旨集作成関連) 共催・協賛等のお願いを他学会へ行い、承認が 得られたとの報告があった。 要旨集作成に関し、学会ホームページから年会登 録と同時に行うシステムの構築を行うことが承 認され、そのための費用は今後も必要となること を考え、年会開催費ではなく学会から支出するこ ととした。このシステム導入により、鹿児島年会 での要旨提出後の訂正についての指摘に関して、 改善が計られることになる。 5) 第33回年会について(名古屋)・2014年日米合同 会議の可能性について 谷口名誉会員より2014年日米合同会議の説明 があり、それに対して質疑応答があり、慎重に検 討し次のように決定した。 ・日本糖質学会として日米合同会議開催に向け 協力を惜しまない。 ・第33回の年会に位置づけるか、これとは別に 名古屋の年会も予定通り行うかは、さらに検 討することとした。 6) 長期未納会員について 正会員に関し長期未納者(5年以上)の除籍が 承認され、通知のはがきを出すこととした。学生 会員は在籍も危ぶまれるので4年以上の未納者に 同様の措置をとることとした。 7) TIGG編集について TIGG編集委員会より、ゲストエディター選出 に関するFCCAからの依頼については中止とな った。ただし、これまで通りTIGG編集に協力を していく。 8) 学術の大型施設計画・大規模研究計画に関する マスタープラン策定の方針(案)に関する、コ メントの依頼が古川監事よりあり、理事の方々 が協力することとした。 9) 次回理事会について 田町キャンパスイノベーションセンターで、 2013年3月30日(土)12:00から行うことと した。 日時:2012年12月1日(土)午前9時~午後0時20分 場所:キャンパス・イノベーションセンター(東京) 出席者: 理事(遠藤玉夫・石田秀治・伊東 信・ 伊藤幸成・小川温子・北島健・隅田泰生 西原祥子・深瀬浩一) 監事(稲津敏行・古川鋼一) 委任状出席(梶原康宏) 以上12名 同席者: 事務局(三田敦巳・福田公江) 議 長: 遠藤玉夫 会長 始めに 本日の理事会は、理事(9名)監事(2名) 出席及び梶原理事は所要のため委任状が出ており、 理事会は成立するとの確認があった。 議事録作成にあたり、議事録署名人を議長(遠藤会 長)の他に伊藤副会長・伊東理事のお二人に依頼す ることとした。 議 題: 【報告事項】 1) Newsletter発行について 石田理事より12月25日発行にむけて順調に進 んでいるとの報告があった。 2) 学術集会の協賛など 遠藤会長より、2015環太平洋国際化学会議の 後援依頼があり了承した旨報告があった。 3) 男女共同参画について 合同会議について、他学会からの参加も多数で 盛況であったとの報告があった。大規模アンケー トへの協力依頼も改めてなされた。 4) 第31回年会(鹿児島)について 隅田理事(代表世話人)より資料に基づき報告 があった。また、鹿児島年会運営での経験を踏ま えての指摘並びに改善点については、次回大阪年 会世話人に申し送ることとした。 なお、年会は8月初旬に行うことが望ましいと の意見があった。(他学会との重複を極力避ける ため) 5) 2015環太平洋国際化学会議について 開催内容資料に基づき、糖質関連シンポジウム の可能性を積極的に探ることとした。 6) 平成24年7月から10月までの会計報告 深瀬理事より資料に基づき報告があった。 【審議事項】 1) 第15回ポスター賞選考について 西原理事より選考報告があり、慎重な審議の結 果5名がポスター賞に選ばれた。 2) 第16回奨励賞の募集について 12月中に全会員へ募集の告知をメールにて行う こととした。 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 13 役員名簿 平成 24 年度役員 会 長 遠藤 玉夫 小栗 佳代子 愛知医科大学先端医学・医療研究拠点 東京都健康長寿医療センター研究所 角田 万里子 甲南女子大学人間科学部 副会長 伊藤 幸成 理化学研究所基幹研究所 掛樋 一晃 近畿大学薬学部 理 岐阜大学応用生物科学部 笠原 浩二 東京都医学総合研究所 伊東 信 九州大学大学院農学研究院 梶 裕之 産業技術総合研究所糖鎖医工学研究センター 小川 温子 お茶の水女子大学大学院自然応用科 梶本 哲也 大阪薬科大学 事 石田 秀治 学系・糖鎖科学教育研究センター 梶原 康宏 大阪大学大学院理学研究科 梶原 康宏 大阪大学大学院理学研究科 片山 高嶺 石川県立大学生物資源工学研究所 北島 健 名古屋大学生物機能開発利用研究 加藤 晃一 自然科学研究機構岡崎統合バイオサイエンス センター・大学院生命農学研究科 監 センター 隅田 泰生 鹿児島大学大学院理工学研究科 加藤 啓子 京都産業大学総合生命科学部 西原 祥子 創価大学工学部 門松 健治 名古屋大学大学院医学系研究科 深瀬 浩一 大阪大学大学院理学研究科 蟹江 治 東海大学糖鎖科学研究所 東海大学工学部 亀井 加恵子 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科 名古屋大学大学院医学研究科 亀山 昭彦 産業技術総合研究所糖鎖医工学研究センター 川崎 ナナ 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部 事 稲津 敏行 古川 鋼一 評議員 (任期 2011.7.1〜2013.6.30) 神奈木 玲児 愛知医科大学先端医学・医療研究拠点 相川 京子 お茶の水女子大学理学部 木曽 真 岐阜大学応用生物科学部 秋吉 一成 京都大学大学院工学研究科 北岡 本光 農業食品産業技術総合研究機構食品総合研究所 浅野 直樹 (株)バイオアプライ 北川 裕之 神戸薬科大学薬学部 東 順一 京都大学農学部 北島 健 名古屋大学生物機能開発利用研究センター・大 天野 純子 (公財)野口研究所糖鎖生物学研究室 安藤 弘宗 岐阜大学応用生物科学部 学院生命農学研究科 木下 聖子 創価大学工学部 飯田-田中 直子 大妻女子大学家政学部 木下 タロウ 大阪大学微生物病研究所 池田 義孝 佐賀大学医学部 木村 吉伸 岡山大学大学院自然科学研究科 池中 一裕 自然科学研究機構生理学研究所 顧 建国 東北薬科大学分子生体膜研究所 池原 譲 産業技術総合研究所糖鎖医工学研究センター 小島 直也 東海大学工学部 石田 秀治 岐阜大学応用生物科学部 小堤 保則 京都大学大学院生命科学研究科 石原 雅之 防衛医科大学校防衛医学研究センター 近藤 昭宏 京都工芸繊維大学 板野 直樹 京都産業大学総合生命科学部 坂入 信夫 北海道大学大学院物質機能科学部門 一柳 剛 鳥取大学農学部 佐藤 あやの 岡山大学異分野融合先端研究コア 伊東 信 九州大学大学院農学研究院 佐藤 憲一 伊藤 孝司 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 佐藤 ちひろ 名古屋大学生物機能開発利用研究センター 伊藤 幸成 理化学研究所基幹研究所 佐藤 智典 慶應義塾大学理工学部 糸乗 前 滋賀大学教育学部 嶋田 一夫 東京大学大学院薬学系研究科 稲津 敏行 東海大学工学部 清水 弘樹 産業技術総合研究所北海道センター 神奈川大学工学部 井ノ口 仁一 東北薬科大学分子生体膜研究所 正田 晋一郎 東北大学大学院工学研究科 井原 義人 和歌山県立医科大学医学部 須貝 威 慶應義塾大学薬学部 今井 康之 静岡県立大学薬学部 菅原 一幸 北海道大学大学院先端生命科学研究院 今村 亨 産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門 鈴木 明身 東海大学糖鎖科学研究所 入村 達郎 東京大学大学院薬学系研究科 鈴木 隆 静岡県立大学薬学部 岩渕 和久 順天堂大学医療看護学部 鈴木 匡 理化学研究所基幹研究所 浦島 匡 帯広畜産大学畜産学部 隅田 泰生 鹿児島大学大学院理工学研究科 遠藤 玉夫 東京都健康長寿医療センター研究所 鷹野 景子 お茶の水女子大学 岡 昌吾 京都大学大学院医学研究科 高橋 孝志 東京工業大学大学院理工学研究科 小川 温子 お茶の水女子大学大学院自然応用科学系・糖鎖 竹川 薫 九州大学大学院農学研究院 科学教育研究センター 田幸 正邦 琉球大学農学部 14 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 役員名簿・維持会員名簿 只野 金一 慶應義塾大学理工学部 谷本 敏子 武庫川女子大学薬学部 田村 純一 鳥取大学地域学部 山田 陽城 北里大学北里生命科学研究所 千葉 靖典 産業技術総合研究所糖鎖医工学研究センター 山田 英俊 関西学院大学理工学部 辻 崇一 東海大学糖鎖科学研究所 山ノ井 孝 (公財)野口研究所 辻 勉 星薬科大学薬学部 山本 一夫 東京大学大学院新領域創成科学研究科 円谷 陽一 埼玉大学大学院理工学研究科 山本 憲二 石川県立大学生物資源工学研究所 豊島 正 (株)ペプチド研究所 湯浅 英哉 東京工業大学大学院生命理工学研究科 戸井田 敏彦 千葉大学大学院薬学研究院 横山 三紀 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 戸谷 希一郎 成蹊大学理工学部 若宮 伸隆 旭川医科大学医学部 豊田 英尚 渡辺 秀人 愛知医科大学分子医科学研究所 渡辺 裕 愛媛大学大学院理工学研究科 立命館大学薬学部 中北 愼一 香川大学研究推進機構総合生命科学研究センター SPI アラプロモ(株) 京都産業大学工学部 名誉会員 中野 博文 愛知教育大学教育学部 池中 徳治 中山 淳 信州大学大学院医学研究科 小倉 治夫 川嵜 敏祐 木全 弘治 長束 俊治 新潟大学理学部 楠本 正一 越島 哲夫 木幡 陽 成松 久 産業技術総合研究所糖鎖医工学研究センター 齋藤 政樹 須網 哲夫 鈴木 邦彦 西河 淳 東京農工大学農学府 鈴木 茂生 鈴木 康夫 谷口 直之 西田 芳弘 千葉大学大学院園芸学研究科 永井 克孝 西澤 一俊 箱守 仙一郎 西原 祥子 創価大学工学部 橋本 弘信 長谷 純宏 本田 進 西村 紳一郎 北海道大学大学院理学研究科 三崎 旭 村松 喬 山形 達也 仁田 一雄 東北薬科大学分子生体膜研究所 山川 民夫 吉村 寿次 野村 一也 九州大学大学院理学研究院 橋本 康弘 福島県立医科大学医学部 顧 問 羽田 紀康 慶應義塾大学薬学部 一島 英治 畑中 研一 東京大学生産技術研究所 東 秀好 東北薬科大学分子生体膜研究所 維持会員 平林 淳 産業技術総合研究所糖鎖工学研究センター 大塚製薬(株) 平林 義雄 理化学研究所脳科学総合研究センター 花王(株) 深瀬 浩一 大阪大学大学院理学研究科 杏林製薬(株) 藤山 和仁 大阪大学生物工学国際交流センター 協和発酵キリン(株) 古川 清 長岡技術科学大学生物系 (株)クレハ 古川 圭子 中部大学生命健康科学部 月桂冠(株) 古川 鋼一 名古屋大学大学院医学研究科 シグマアルドリッチジャパン(株) 北條 裕信 東海大学工学部 (株)スディックスバイオテック 本家 孝一 高知大学医学部 生化学工業(株) 松尾 一郎 群馬大学大学院工学研究科 大鵬薬品工業(株) 松岡 浩司 埼玉大学大学院理工学研究科 松本 緑 慶応大学理工学部 DSP 五協フード&ケミカル(株) 東京化成工業(株) 水野 真盛 (公財)野口研究所糖鎖有機化学研究室 長良サイエンス(株) 三善 英知 大阪大学大学院医学系研究科 日本ダイオネクス(株) 門出 健次 北海道大学先端生命科学研究院 (公財)野口研究所 矢澤 伸 大塚製薬(株)徳島研究所 長谷川香料(株) 柳下 正樹 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 松谷化学工業(株) 山口 芳樹 理化学研究所基幹研究所 (株)ヤクルト 山崎 良平 鳥取大学農学部 理研ビタミン(株) 中島 元夫 中田 博 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 15 石戸 良治 鈴木 旺 小川 智也 膳 昭之助 寄稿 糖鎖彷徨 立命館大学糖鎖工学研究センター 川嵜敏祐 ニュースレター執筆の依頼をいただき、いささか 躊躇しましたが、長いあいだ糖鎖研究に携わってき ましたので、これまでの研究を振り返り、簡単にま とめてみることにしました。 1. 糖鎖との出会い 京都大学薬学部生物化学教室の大学院生として、 恩師山科郁男教授のもとで「動物細胞膜系糖タンパ ク質の研究」のテーマで研究を始めたのが、糖鎖と の出会いでした。当時のライフサイエンス領域の最 先端機器であった超遠心機を用いて細胞分画を行 い、ラット肝細胞の形質膜、ゴルジ膜、リソソーム、 ミトコンドリア、核膜などを単離精製し、その糖鎖 の簡単な糖組成および代謝的性質を調べました。こ こで得られた結果は現在では常識的な知識に過ぎ ませんが、当時、”運、鈍、根”が成功の鍵と言われ ていた実験科学のなかで、論理性の重要性をご教授 いただいたのがその後の研究活動の大きな礎とな りました。 3. 自然免疫因子MBPの発見とがん研究 2. 動物レクチンとの出会い 帰国後、酵母マンナンをリガンドとして結合する やがて、米国NIHのGilbert Ashwell博士の研究室 活性をウサギ肝臓に見いだし、これを、マンナン結 に留学する機会を得ました。研究員数名の小さな研 合タンパク質(mannan-binding protein、MBP)と 究室でしたが、昼食時には周囲の数研究室と合同で 命名しました(免疫学領域では MBL(mannose- あ NIH式ランチセミナーを連日行っていました。J. るいは 遺伝学、物理化学などの専門家、20名弱の集まり 性タンパク質であり、細胞内での糖タンパク質の細 で(そのうち数名は J. Biol. Chem.のEditorial Board 胞内輸送に関与すると考えられています。学位論文 私自身は、英語力の問題もあり、これらのディスカ て「小胞体ストレス応答」の研究に入り、世界が驚 Biol. Chem. の Editor in Chief を 長 年 つ と め た H. mannan-binding lectin)とも呼ばれていま す) 。このMBPは上記二つの肝レクチンとは異なり、 Tabor を中心に、生化学、分子生物学、細胞生物学、 膜貫通領域を持たない小胞体内腔に含まれる可溶 member)、とても知性に溢れた楽しい会でした。 テーマとしてこの研究を行った森和俊博士は、やが ッションに殆ど参加できなかったのは残念でした く新発見を続け、2009年には有名なガ-ドナー国 が、このような刺激的な雰囲気を経験したことは、 際賞を山中伸弥博士と同時に受賞しています。一方、 米国留学の最大の収穫でありました。Ashwell研究 当時、大学院生であった小堤保則博士は血液中にも 室での2年間は、今では、 Ashwell Receptorとも呼 MBPが存在することを見い出しています。この血清 レクチン様の活性をもつエンドサイトーシス受容体 考え、酵母マンナンで感作した赤血球にMBPを反応 ばれる、哺乳動物肝細胞表面のアシアロ糖タンパク MBPは補体成分C1qと類似のコラーゲン様構造を 質結合タンパク質が、ガラクトース残基と結合する 持つことから、C1q様の活性をもつのではないかと であることを明らかにしました。また、鳥類からは させ、補体を加えたところ、見事に赤血球の溶血が N-アセチルグルコサミンに特異的な肝レクチンを 観察されました。このMBPによる補体活性化作用は、 単離することができました。動物における内在性レ 免疫グロブリンを介する古典経路、および第二経路 クチン研究の黎明期であり、これらの結果を背景に” とは別の新しい自然免疫経路として、レクチン経路 動物レクチン”、”肝レクチン”などの言葉が生まれ とも呼ばれています。体液性自然免疫は古典経路を ました。 持たない下等動物において機能していると考えら 16 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 寄稿 れていましたので、ヒトを含む、高等動物で初めて した。遺伝子欠損マウスでは海馬(脳)では長期増 このような経路が見いだされたことに驚くと共に、 強(LTP)が出現し、顕著に空間記憶能力が低下す 研究というものの奥深さに魅了されました。MBP ることが判明し、期待通り本糖鎖抗原のもつ生理的 は外来微生物を識別する際、多くの場合、細胞表層 役割の解明が進みました。一方、本グルクロン酸転 のオリゴマンノース糖鎖をターゲットにしていま 移酵素の組換え体酵素を作成し、基質との複合体の す。一方、多くの哺乳動物細胞はシアル酸で被われ X線結晶解析にも成功し、酵素反応機構の理解も進 た糖鎖を持つため、血液中のMBPとは反応しないと みました。これらの研究は、当時、助教授であった 考えられています。 岡昌吾博士を中心として、国内のそれぞれの分野の 第一人者との共同研究として行ったものでありま ところが、その後、MBPがSW1116などいくつか す。 のヒト結腸がん細胞株に結合することが見い出さ れました。当時、大学院生であった、馬 永 博士は、 5. ヒト多能性幹細胞マーカー糖鎖に関する研究 SW1116をヌードマウスに移植して形成した腫瘍 現在市販されている、ヒトiPS/ES細胞マーカー抗 組織に、ワクシニアウイルスに組み込んだヒトMBP 体のほとんどが胚性腫瘍細胞(EC細胞)を免疫原 遺伝子を注射したところ、腫瘍組織が顕著に退縮す として得られたものであることに疑問を感じ、 ることを見い出し、この現象をMDCC(MBP依存的 iPS/ES細胞陽性、EC細胞陰性のモノクローナル抗体 細胞性細胞障害作用)と名付けました。川嵜伸子博 の作成に着手しました。ヒトiPS細胞をマウスに免 士らはSW1116細胞表面には正常細胞には含まれ 疫し、得られたハイブリドーマをiPS細胞とEC細胞 ない特徴的な糖鎖が含まれることを予想し、固定化 を用いたディファレンシャルクローニングを行い、 MBPカラムを用いてこのリガンド糖鎖の単離を行 iPS/ES細胞陽性、EC細胞陰性のモノクローナル抗体 いました。得られたリガンド糖鎖はLewis A の繰り を得ることができました。R-10Gと名付けた抗体は、 返し構造を持つポリラクトサミン型の高分子糖鎖 硫酸化の程度の低いケラタン硫酸を特異的に認識 で、MBPとの結合にはフコース残基が重要な役割を する抗体でした。現在市販されている抗ケラタン硫 果たすことが明らかになりました。本糖鎖リガンド 酸抗体とは異なる特異性をもち、今後、糖鎖研究用 とMBPとの高い結合親和性は、いわゆるパターン認 試薬として、また、ヒト多能性幹細胞の規格化試薬 識のメカニズムによるものと考えられています。そ としての利用が期待されています。現在、2番目の の後、多くのヒト結腸がん細胞株および臨床がん組 抗体を調べていますが、これも糖鎖認識抗体であり 織切片について、MBP結合性を調べた結果、MBP ます。ウインドーを狭めてスクリーニングするとな はがん細胞検出試薬として臨床応用される可能性 かなか興味深い抗体が得られることを示している を持つことが示されています。 ようです。 4. 神経特異的抗原糖鎖への興味 以上、これまで携わってきた研究を簡単に紹介しま 特定の組織にだけ発現する糖鎖の働きに興味を した。いずれの研究もまだまだ未完成で、やり残し 持ち、神経系に特徴的な糖鎖であるHNK (human ていることの多いことに改めて気付かされていま natural killer)-1糖鎖抗原の研究に着手しました。 す。”老”年老い易く学成り難しの心境ですが、最後 HNK-1糖鎖は糖タンパク質、糖脂質の末端に一般的 に、好きな言葉「Imagination is more important than に見られるシアリルガラクトース構造のシアル酸 knowledge」(Albert Einstein, 1984)を若手の研究 の代わりに硫酸化グルクロン酸をもつ構造を持っ 者に贈りたいと思います。 ています。そこで、本糖鎖抗原の生合成を担う糖転 移酵素(グルクロン酸転移酵素)を精製し、遺伝子 クローニングを行い、遺伝子欠損マウスを作成しま JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 17 学会見聞記 SialoGlyco2012 見聞記 理化学研究所・基幹研究所・糖鎖認識研究チーム 安形高志 台湾のAcademia Sinica(中央研究院)にて開催さ れた、SialoGlyco2012(2012年9月9日〜12日)に 参加致しました。シアル酸に特化した学会であるに も関わらず、20近くの国と地域から200人ほどの参 加者がありました。これほど多数の参加は、インフ ルエンザ感染症をはじめシアル酸が多様な生命現象 に関わることが認知され、研究の裾野が広がりつつ あることの証明かもしれません。シアル酸研究に関 わる一人として喜ばしく思います。 会議はAcademia Sinicaの一部門であるInstitute of Biomedical SciencesのFu-Tong Liu所長を委員長と して、Academia SinicaのPIが中心となって組織し たものであり、糖鎖研究の一つの中心地として発展 を遂げる同研究院の今後の方向性を示すイベントと しても注目に値すると思われます。 会議ではAcademia Sinicaの院長であるChi-Huey Wong先生による新規シアロ糖鎖合成法に関する講 演を皮切りに、シアロ複合糖質(その代謝を司るシ アル酸転移酵素・シアリダーゼ)やシアル酸認識タ ンパク質が癌・免疫・感染症・神経機能などの生命 現象をどのように制御しているか、またそのメカニ ズムの解明と医療応用のために有機合成化学をいか に活用するかについての最新の研究成果が相次いで 発表されました。有機合成化学と生物学の融合研究 の成果(例えばJames Paulson先生、石田秀治先生、 Chung-Yi Wu先生、Mark von Itzstein先生らの発表) は特に印象的であり、今後の一つの潮流になるもの と思われます。一方、Ajit Varki先生によるNeu5Gc 代謝に関する講演(最近のJBCに報告した5連報の ダイジェスト)やYann Guerardel先生のゼブラフィ ッシュのシアロミクス研究など、基礎研究に関する 発表にも興味深いものが多数あり、 「将来的な発展の 土台を築くために基礎研究は必須である」という、 当然でありながら忘れがちな事実を再認識させてく れました。私が専門とするSiglecに関する発表も多 く(Paul Crocker先生、神奈木玲児先生、Yang Liu 先生など) 、研究分野の発展を喜ぶと同時に、自分も 精進せねばとの思いを新たに致しました。他にも多 くの興味深い発表がありましたが、紙幅の都合でご 紹介できないことをお詫び致します。 なお、次回のSialoGlycoは、von Itzstein先生の主催 によりオーストラリアのGold Coastで開催される とのことです。 18 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 学会見聞記 The 4th Asian Communication for Glycobiology and Glycotechnology Rita Pal, Gifu University The 4th Asian Communication for Glycobiology and Glycotechnology was held on 28th to 31st of October 2012, in Jeju Island, South Korea supported by Kyung Ahm Education and Culture Foundation. Japan, China, Taiwan, India, Hong Kong, Singapore, Thailand and South Korea were the member nations of the ACGG. It was first initiated in 2008, during the Annual Symposium on Korean Society for Glycoscience, by the representatives of Japan, Taiwan and South Korea to promote the development of Glycobiology and Glycotechnology through co-operation among the Asian countries. The symposium had started with the opening remark of the organizer Prof. Jin Won Cho from Yonsei University. Total 251 participants were gathered to exchange their research experience, among them 30 persons provided invited talk, 24 short time talks and 124 poster presentations. Participants had come from China (35), Hong Kong (2), India (3), Japan (41), Korea (142), Swiss (1), Taiwan (21), and Thailand (6). Speakers from Glycobiology, Glycochemistry and Glycotechnology presented the recent progress in JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) their research. Where, several presentations were based on the role of carbohydrate on cell. Notably, from Gifu university, Ms Naoko Komura`s presentation on single molecule tracing was a matter of discussion, because it allows the scientists to re-think about the nature of lipid raft. Prof Ishiwata form RIKEN presented his group`s massive as well as tedious effort on mAGP-complex. From POSTECH, Korea Dr. Hyun Joon Cha delivered a nice talk on the study on carbohydrate-protein interaction by the microarray on silicon surface. Interestingly, Prof. Phoomak (Khon Kaen University) and his lab mates pointed out that they are currently not restricted on the basic research but straggling on a major problem of Thailand, Cholangiocarcinoma. The symposium had not only provided an opportunity for lot of fruitful discussions in a homely atmosphere, but added an occasion to enjoy the beautiful scenario of Jeju Island, which has recently been announced as one of the New7 Wonders of Nature. 19 学会見聞記 日本応用糖質科学会平成24年度大会(第61回) 岐阜大学応用生物科学部 矢部富雄 日本応用糖質科学会平成24年度大会が,2012年9 月19〜21日にかけて,東京都府中市の東京農工大学 府中キャンパスと府中グリーンプラザにおいて開催 された。今大会の一般講演は4会場で実施され,初日 と2日目の午前中に116題の口頭発表があった。この 口頭発表の演題のうち,学生や若手研究者はさらに ポスター発表にもエントリーすることができること になっており,今回は46題がポスター発表にエント リーして,ポスター賞を目指し初日の40分のコアタ イムで活発な質疑応答を行った。2日目の午後の授賞 式では,二國賞(澱粉を始めとする各種糖質科学お よび関連する酵素科学の分野で学術上または産業上, とくに優秀な研究業績をおさめた者に授与される) を鹿児島大学名誉教授・竹田靖史氏と元明治製菓(株) 生物科学研究所・日高秀昌氏が受賞し,また学会賞 を日本大学・春見隆文氏が受賞した。さらに,奨励 賞は3名の方が受賞となり,授賞式に引き続いて,学 会賞・奨励賞の受賞講演が行われた。その後,一般 公開セッションとして「60周年記念特別シンポジウ 20 ム」が行われ,福山大学・井ノ内直良氏が「澱粉研 究と今後の展望」 ,東京大学・五十嵐圭日子氏が「バ イオマス高度利用のための酵素の役割と今後の展 望」 ,江崎グリコ(株)・栗木隆氏が「糖質関連技術 の実用化と今後の展望」という演題でそれぞれ講演 を行った。最終日には,これまで「糖質関連酵素化 学シンポジウム」として開催されてきたシンポジウ ムを「応用糖質科学シンポジウム」と名称変更し,8 題の講演が行われた。このうち,毎年恒例となって いる海外招待講演では,デンマーク工科大学のBirte Svensson先生が「Mechanism and regulation of enzymes degrading amylopectin and α-limit dextrins」という演題で講演を行った。また,新た な試みとして,大会に先立っての前日に「第1回応用 糖質フレッシュシンポジウム〜若手研究者ネットワ ークの構築に向けて〜」が開催されたり,第2巻とな る和文誌「応用糖質科学」も順調な発行を重ねるな ど,学会の改革期の雰囲気が温かく大会を後押しし ているのを感じた3日間だった。 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 学会見聞記 国際シンポジウム「薬学の基礎としての糖鎖疾患生物学」開催報告書 東京大学大学院薬学系研究科 平成24年11月30日(金)、12月1日(土)の2日間、 国際シンポジウム「薬学の基礎としての糖鎖疾患生 物学」International Symposium on Glyco-minded Biology of Diseases as a Basis of Pharmaceutical Sciences を東京大学・伊藤謝恩ホールにて開催した。 外国からの12名の参加者を含む250名以上の参加者 に恵まれ、盛会のうちにシンポジウムを終えること ができた。主催者の一員として、ご支援をいただい た財団、企業の皆様に、当日ご参加いただいた皆様 に、またシンポジウムの企画段階の要所でご助言、 ご支援をいただいた先生方に心より感謝を申し上げ たい。 本シンポジウムでは、免疫疾患・がん・感染症の 3分野を中心に、薬学分野における疾患生物学の研 究成果を俯瞰し、現在の立ち位置と今後の臨床応用 への展開の可能性を集中的に議論することを目標と した。糖質科学に基盤におきつつも、学問領域より も「薬学」 「疾患」にこだわる立場から企画を行った。 「免疫疾患・腫瘍免疫(演者:Rabinovich、堀、 Marth、Finn、田原、松島) 」 「がん生物学・機能的グ ライコミクス(演者:Clausen、Dennis、清木、成松) 「感染症・ジストログリカノパチー(演者:Bovin、 長谷川、Fukuda、遠藤) 」の3セッションで計14人の 先生にご講演をいただいた。薬学部に所属する筆者 としては、基礎研究で得られた知見が実際に診断・ 治療の場に適用されるに至った展開のプロセスを聴 けた点が印象深かった。シンポジウムの最後を飾る 特別講演(入村達郎・東京大)では、免疫・がん・ 感染における糖鎖の役割を総括するレビューと、こ れらの疾患を見据えた継続的な取り組みの結果とし て得られた研究成果が紹介された。 本シンポジウムは学生・若手研究者の支援プログ ラム(東京大学グローバルCOE「学融合に基づく医療 システムイノベーション」 、日本学術振興会 core-to-coreプログラム「ナノバイオ国際共同研究 東 伸昭 教育拠点」 )との共催として開催した。講演以外にも 若手研究者に刺激となるような内容を盛り込みたい と考え、ポスターセッションを設けた。34題のポス ターは、免疫疾患、がん悪性化モデル、がん生物学、 腫瘍免疫、新規腫瘍マーカー探索と新規分析法、糖 脂質工学、免疫細胞のレクチン、蛋白質品質管理、 糖尿病、病原菌・ウイルス感染、多様なO-グリカン、 硫酸化糖鎖とその切断酵素、人工糖鎖による疾患治 療への応用など、極めて多彩(雑多?)な内容とな った。普段の整った専門的な学会では目にすること のない内容も多かったと思う。様々な演題が一堂に 会することで、シンポジウムが賑やかなものになり、 また普段はおそらく会うことのない研究者との出会 いの場を提示できたのではないかと考えている。 筆者が所属する教室の主宰である入村達郎教授の 定年退職記念事業としての企画ではあったが、閉じ た人間関係、特殊な内容に偏ったシンポジウムにな らないよう心がけた。参加者の方々に満足いただけ たのであれば、主催者としてこの上ない喜びである。 上記演者の中には糖質科学の分野では著名でない方 も一部おられると思う。講演者の代表的文献の要旨、 当日の模様等をシンポジウムHP (http://glycomindedbiology.jimdo.com/) に掲載 しているので、関心のある方はぜひご覧いただけれ ば幸いである。 特別講演(東京大院薬・入村達郎教授) ポスターセッション風景 講演者・座長の集合写真 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) 21 学術集会 22nd International Symposium on Glycoconjugates (GLYCO 22) June 23 - 28, 2013 Stuart Haslam (UK), Tamao Endo (Japan), Dalian, China Thierry Hennet (Switzerland), Chris West (USA; URL: http://www.glyco22.org/ Guest speaker) SCIENTIFIC PROGRAMME COMMITTEE SCIENTIFIC PROGRAM Co-Chairs The scientific program will include Plenary Yukui Zhang (Dalian) & Jianxin Gu (Shanghai) Lectures, Invited Lectures, Contributed Papers. ORGANIZING COMMITTEE The conference offers the following sessions: Co-Chairs Biosynthesis & Metabolism of Glycoconjugates; Jianing Zhang (Dalian) & Xinmiao Liang (Dalian) Carbohydrate Committee Development & Differentiation; Jinku Bao (Chengdu), Kan Ding (Shanghai), Glycobioinformatics; Yuguang Du (Dalian), Yuguo Du (Beijing), Cheng Glyco(bio)technology; Jin (Beijing), Haojie Lu (Shanghai), Xiaohong Physiology & Signalling; Structural & Chemical Qian (Beijin), Min Xiao (Jinan), Pengyuan Yang Glycobiology and Glycomics. (Dalian), Xinshan Ye(Beijing),Biao Yu (Shanghai), Poster Xiaolian Zhang (Wuhan), Yan Zhang(Shanghai), Workshops are also in preparation. Yifa Zhou (Changchun) IMPORTANT DATES INVITED SPEAKERS Abstract Submission Deadline: February 6, 2013 Anne Dell (UK), Celso Reis (Portugal), Gerald Pre-Registration Deadline: January 30, 2013 Hart (USA), Gordan Lauc(Croatia), Hans Bakker TRAVEL GRANT (Germany), Hisashi Narimatsu (Japan), Iain Travel stipends will be available to support Wilson (Austria), James C Paulson (USA), Jin participation of PhD Won Cho (Korea), J.Michael Pierce (USA), students and young posdocs at GLYCO 22. The Kazuhisa Iwabuchi (Japan), Naoyuki Taniguchi deadline for the application is February 6, 2013 (Japan), Nicolle Packer (Australia), Richard D. (Date of receipt in Dalian). See the Cummings (USA),Rudiger Horstkorte (Germany), URL for detail. 22 &Disease; Sessions Cell Biology; Glycoproteomics; Infection and & Young Immunity; Scientists JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) トラベルグラント ICS2010 記念糖質科学基金トラベルグラントのご案内 2013 年国際複合糖質シンポジウム(GLYCO22, Dalian, China, Jun 23-28)および、2014 年国際糖質シンポ th ジウム(27 ICS, Bangalore India, Jan. 12-17)に際し、ICS2010 記念糖質科学基金よりトラベルグラント を募集致します。 件数:2 件程度 応募資格:日本糖質学会の会員であり、国内の研究機関に所属し、2013 年 4 月 1 日の時点で大学院生もし くは博士号取得後 3 年以内の研究者で、上記学会において口頭発表(招待講演を除く)を行う方。ただし、 応募が 2 件を超えた場合、大学院生を優先する。 締め切りその他:追ってご連絡致します。 ICS2010 記念糖質科学基金代表 伊藤幸成 JSCR Newsletter(日本糖質学会会報)Vol. 16, No. 2 2012年12月25日 発行 編集兼発行 日本糖質学会 会長 遠藤 玉夫 〒101-0051千代田区神田神保町1-14 村田神保町ビル6F Tel: 03-3294-9211 FAX: 03-3294-9214 JSCR Newsletter Vol.16, No.2 (2012) JSCR Newsletter編集委員会 北島 健 石田 秀治 23
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