330号 - 結核予防会

2009結核予防週間レポート
今年も、9月24日から30日までの結核予防週間を中心に、「全国一斉複十字シール運動キャンペーン」が実施
され、全国各支部で工夫を凝らした活動がおこなわれました。そのうち、12支部での活動報告を紹介します。
秋 田
福 島
埼 玉
秋田県のマスコット「スギッチ」やパンダも登場し,
子供達や中学高校生と一緒にポラロイド写真撮影。
差
し上げると,とても喜ばれました。
シールぼうやから風船を「ハイ,どうぞ!」
。
結核について知って下さいね。
埼玉県のマスコット「コバトン」も婦人会や支部のみ
なさんと一緒に,街頭で結核制圧を呼びかけました。
長 野
京 都
大 阪
少ないお小遣いからの募金。
その気持ちがうれしかった
です,ありがとう。
長野駅周辺にて。
京都駅前広場では無料の結核検診を実施し,道行く人
々に結核についての普及活動を行いました。
予防週間では,大阪府,大阪エイフボランタリーネットワーク
や大阪市地域女性団体協議会の婦人会員の方々との活動のほ
か,
「肺年齢測定体験会」も実施し,多くの方が体験されました。
兵 庫
鳥 取
徳 島
JR 姫路駅前などで,スタッフは,お揃いの真っ赤なベ
ストや黄色いTシャツを着て街頭キャンペーンを行い
ました。
鳥取では,平井伸治県知事ご夫妻自ら,県,婦人会,支
徳島駅前にて,複十字パンフレットやポケットティッ
部職員とともに,大型スーパー前にて街頭募金を行い, シュ,あぶらとり紙などを配布し,募金活動を行いまし
結核制圧を呼びかけました。
た。
若い人も結核について知って下さいね。
香 川
大 分
沖 縄
シールぼうやも登場,結核制圧のためシール募金にご
協力お願いしま∼す。
大分市内のデパート前で,婦人会や県,市保健所の職
員の方々とともに,募金活動を行いました。
予防週間中は,8ヶ所,総勢 80 名で街頭キャンペーン
を行いました。
皆さん今日も頑張っていきましょう!
Message 結核対策における日本の国際協力
∼世界基金を通じた貢献∼
外務省国際協力局専門機関室長
長岡 寛介(ながおか かんすけ)
日本が主催した2000年の九州沖縄サミットは,感
染症問題を初めて先進国サミットの主要議題にした
というだけではなく,人類と感染症の長い戦いの歴
史においても画期的な出来事でした。すなわち,こ
のサミットをきっかけとして,2年後には世界エイ
ズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)が設立さ
れ,多くの人を苦しめる三大感染症の問題に,世界
レベルで精力的に取り組んでいく強固な枠組みが構
築されました。
世界基金の誕生により,途上国における結核対策
に多くの資金が集まるようになり,今や全世界の結
核対策の約6割は世界基金により実施されています。
設立から僅か7年間に,世界基金は540万の結核患者
に直接服薬確認療法を施し,三大感染症対策全体で
約400万人の尊い命を救うことに成功しています。
日本は世界基金の「生みの親」であり,これまで
に10.4億ドルの資金拠出(米,仏に次ぎ第三位)を行
うなど,その活動を積極的に支援しています。また,
世界基金の運営方針を決める理事会や様々な委員会
でも精力的に活動し,効果的・効率的な援助を実施
できるよう,適切なアドバイスを提供しています。
世界基金では,各国政府と並んで,市民社会,感
染者グループ,民間企業なども運営方針策定に関与
しており,21世紀型の開かれた国際機関となってい
ます。日本は,長い間の
経験により,結核対策に
おける人材や知見が豊富
な国の一つです。現在,
世界基金の邦人職員は508
名の全職員の中で僅か4名
に留まっていますが,外
務省としては,一人でも
多くの日本人が世界基金
を通じて,途上国におけ
る結核対策支援に協力し
て欲しいと強く願ってお
り,そのための側面支援
を惜しまない考えです。
Contents
■メッセージ 結核対策における日本の国際協力∼世界基金を通じた貢献∼
長岡寛介……1
■結核予防週間レポート
……2
●結核予防週間 支部・本部活動報告
●知事表敬訪問報告 続報
……4
■結核予防会支部紹介の頁 徳島県支部
「県下における中核的な健診機関として」
瀬尾裕信……5
■シリーズ 新しくなった結核研究所(4)
優先的プロジェクト(2)
:
「新抗結核薬・化学療法プロジェクト」
―新抗結核薬開発と抗酸菌化学療法をめぐる世界の動向―
土井教生……6
■シリーズDOTS
中野区における薬局DOTS事業の取り組みについて
―すべての結核患者に対する服薬支援をめざして―
山川博之・○辻内衣子・渡部葉子・村上 薫・金井俊雄……8
■デジタル画像のモニタ診断における課題
―感染症診査協議会での画像診断について― 星野 豊……10
■ワクチンシリーズ
3)麻疹
中山哲夫……12
4)季節性インフルエンザ
岡部信彦……14
■ずいひつ 結核予防法改正の思い出
唐澤 剛……15
■結核予防会のTBキャップ(CAP)を通じた世界の結核問題へ
の貢献と今後の展望
下内 昭・石黒洋平……16
■第2回国際結核肺疾患連合(The Union)のアジア太平洋地域
学会(Asian Pacific Regional meeting)に参加して
下内 昭・吉山 崇……18
■平成21年度結核予防技術者地区別講習会実施報告
……20
■第10回アジア・太平洋タバコ対策会議に備えて
宮﨑恭一……22
■思い出の人を偲んで 三澤博人先生
青木正和……24
■2009年世界エイズデー実施に際して
―12月1日を中心に全国各地で様々な「世界エイズデー」イ
ベントを実施―
沢崎 康……26
■「連載企画」∼結核に縁(ゆかり)の地歴訪∼ 第1回「清瀬」―結核関係者の聖地―
島尾忠男……27
▽予防会だより
○∼普及啓発活動∼複十字シール運動活動報告 生命保険修士会
……30
事務局訪問・講演
○結核研究所森亨名誉所長,カレッド・レシャード医師
第61回保健文化賞を受賞
○グローバルフェスタJAPAN2009に出展
○「医師たちとみんなで歩こう! in 新宿」−ウォーキングイ
ベントのゴール地点で肺年齢チェック
……31
○切手にみる結核 13.複十字マークが入った切手たち
〔表 紙〕「涸沢の秋」(長野県松本市安曇)
涸沢(からさわ)は,穂高登山の中心地であり,秋に
は三段紅葉とも呼ばれる厳しい岩肌とのコントラスト
が見事です。それを楽しみに訪れる登山者達で,涸沢
ヒュッテの前には色とりどりのテントが張られます。
撮影時期:平成20年10月
撮 影 者:堀川 春男氏
〔カット〕佐藤奈津江
11/2009 複十字 No.330
1
支部・本部活動報告
結核予防週間
都道
府県
日 付
北 海 道 9/12,24,25,
27, 10/3
係員
合計
資材点数・
セット数
7ヵ所
115
8点
1000セット
札幌市北区・中央区,
厚岸町,
白糠町において複十字シール小型,
結核の常識,
複十字シール運動リーフレット,
はがき,
オーキュー
バン,
マスク,
ボールペン,
ポケットティッシュを配付した。
報 告
青 森
9/26
4ヵ所
31
6点
1400セット
青森市内のショッピングセンターなど4会場で,
支部職員と結核予防婦人会会員が広報資材(結核の常識、
複十字シール運動リー
フレット,
オーキューバン,
マスク,
小型シール等)を袋に詰め配布,
子供には風船を手渡し,
結核予防の PR と複十字シール運動
の募金協力を呼びかけた。
また,
シールぼうやの着ぐるみが 4 会場を回り,
会場を盛り上げた。
岩 手
9/26
1ヵ所
6
7点
300セット
【ラジオ番組】9月22日(火)
●媒体:IBC岩手放送 ●番組名:
『盛岡駅前探偵団』
●内容:○結核予防週間の告知○複十字シー
ル募金について○盛岡市保健所フェスタの告知●出演:当協会企画管理部次長 米澤慎悦 /【新聞広告】9 月24日(木)
●媒体:
岩手日報 朝刊 社会面●内容:○結核予防週間の告知○結核予防の PR○前年度募金額報告 /【結核予防街頭キャンペーン】9
月26日(土)6 名 (うち盛岡市女性団体協議会 2 名)7 点 300 セット●イベント名称:盛岡市保健所フェスタ 2009●主催:盛岡
市●内容:
『感染症予防情報コーナー』として出展○普及啓発パンフレット,
風船の配布○結核予防啓発ポスターの展示○複十
字シール運動街頭募金●広報資材:
(本部作成)結核の常識,
マスク,
オーキューバン(支部作成)ポケットティッシュ,
人間ドッ
クパンフレット,
協会概要パンフレット,
ハンドタオル/【検診車による告知】9月24日(木)
∼30日(水)
●検診車に『結核予防週間』
のエプロンを取り付け,
予防週間を告知
宮
城
9/26
1ヵ所
30
6点
3000セット
場所:JR 仙台駅西口ペデストリアンデッキ電光掲示板での結核予防 PR(1 週間)アオバビジョンでキャンペーンの PR 50 回
(3時間)
無料健診 健康相談・肺年齢・血管年齢・血圧・体脂肪測定 着ぐるみ2名(とら、
うさぎ)
前日,
NHK仙台のニュー
ス「てれまさむね」で紹介 2日後,
河北新報に掲載
秋
田
9/26
1ヵ所
36
5点
498セット
(1)秋田駅東西連絡自由通路「ぽぽろ∼ど」
・アゴラ広場にて実施。
(2)結核の常識2009,
リーフレット,
オーキューバン,
ティッシュ,
マスクを A4 版のビニール袋にセットしたものを配布。
会場となった「ぽぽろ∼ど」からアゴラ広場にかけて,
全国一斉複十字
シール運動キャンペーン実施中及び結核予防週間の標語入り立て看板やのぼりの設置、
複十字シール運動への協力を呼びかけ
る横断幕,
パネルなどを展示した。
募金活動については,
婦人会員に支部職員も加わり7 グループに分かれて実施し,
ハンドマ
イクを使い,
複十字シール運動へのご協力を繰り返し県民に訴えた。
また,
秋田県のマスコット「スギッチ」や動物(パンダ)
の着ぐるみを見た多くの方が足を止めてくださり,
子供たちや中高生にポラロイド写真を撮って差し上げると喜ばれ,
若い世代
にも結核について知ってもらうことができた。
①新聞広告 秋田魁新報社 9月24日(木)掲載 ②野立看板の設置 実施期間:
9月1日(火)
∼30日(水)
場所:秋田県総合保健センター前 ③ポスターの展示 実施期間:9月1日(火)
∼30日(水)
場所:
秋田駅東西連絡自由通路 東側
「ぽぽろ∼ど」
秋田駅西口バスターミナル④バス広告 後部ステッカー:9月1日
(火)
∼30日
(水)
車内ステッカー:9 月1日(火)
∼30日(水)
山
形
9/13.15.
26.27
5ヵ所
74
9点
2000セット
場所:山形市「文翔館」
,
酒田市「東北公益文科大学」
,
新庄市「ヨークベニマル新庄店」
,
米沢市「ヨークベニマル成島店」
,
南陽市「イ
オンタウン南陽」資材:受診勧奨メッセージ入りの風船・携帯クリーナー・エコバック,
検診車型ペーパークラフトポケットティッ
シュ BOX,
「結核の常識」等パンフレット各種その他:FM 局を利用し、
結核に関する情報提供や結核予防週間,
街頭キャンペー
ンの周知を行った。
福
島 9/19,24,
26,
10/17,
22
6ヵ所
延べ
100
10点
4300セット
9 月19日(土)福島駅東口広場・郡山駅西口広場,
9 月24日(木)会津若松市神明通り,
9 月26日(土)福島市保健福祉センター,
10月17日(土)南相馬市原町保健センター,
10月22日(木)いわき市内郷コミュニティセンター/駅前広場や市の集会所等において,
複十字シール・リーフレット・結核の常識や絆創膏などセットした資材を通行人や来場者へ配布し,
結核予防の普及啓発を図った。
特に街頭キャンペーンでは,
横断幕で結核予防週間の標語を掲示し,
AC ポスターや複十字シール運動のポスターで結核予防週
間を PRした。
その他,
シールぼうやの着ぐるみや法被,
たすき等を着用しながら募金を呼び掛け、
協力者にはマスクを手渡すなど
複十字シール運動の普及に努めた。
さらに市の健康まつりに参加し,
結核や複十字シールに関する DVD を上映することで来場者
の興味関心を呼び起こした。
茨
城 9/26,30
2ヵ所
23
4点
1200セット
9月26日(土)場所:イオン土浦ショッピングセンター,
配布時間: 10:00∼12:00,
参加者:当支部:4名,
女性会:2名,
県職員:6名,
配布部数:700 部,
内容物:結核の常識,
絆創膏,
マスク,
複十字シール運動パンフレット,
その他:活動の様子が新聞紙(1 社)に
掲載された。
9月30日(水)場所:古河駅,
配布時間:6:30∼7:30,
参加者:当支部:4名,
女性会:2名,
県職員:5名,
配布部数:500部,
内容物:結核の常識,
絆創膏,
マスク,
複十字シール運動パンフレット。
栃
木 9/12
1ヵ所
19
1点
1200セット
宇都宮市内 ショッピングモールベルモールにて街頭キャンペーン実施。
キャンペーングッズ内容・・・リーフレット,
小型シール,
シールぼうやボールペン,
募金振込用紙,
マスク(婦人会広報資材)
その他)
結核予防週間中に 1日1 回,
20 秒ラジオ CM を放
送しました。
群
馬 10/17
1ヵ所
3
7点
200セット
ぐんま男女共同参画センター及び,
群馬県庁において,
肺シリーズパネル10枚を展示,
また,
のぼり「結核をなくそう!!」や,
結核の常識を拡大印刷したものを準備した。
また,
配布物として,
リーフレット・複十字シール・ボールペン・タオルハンカチ・
マスクを用意した。
脳年齢計を設置し,
測定を実施した。
埼
玉 9/26
2ヵ所
62
7点・
3000セット
JR浦和駅前(午前)/ JR川越駅前(午後)において,
結核予防を呼びかけながらの募金活動を実施した。
資材:支部製作のポケッ
トティッシュ・複十字シール運動リーフレット・小型シール,
を 1 セットにして配布。
その他,
子供たちを中心に風船,
募金してい
ただいた方にボールペンを配布した。
千
葉 9/26
1ヵ所
50
5点
1500セット
(ティッシュ
2000)
JR 千葉駅前にて結核予防に関する広報資材の配布(パンフレット2 種・衛生グッズ 2 点・啓発用バッグ:1500 部)
,
啓発用ポケッ
トティッシュ 2000 個の配布,
パネル掲示,
駅前大型ビジョンにて結核に関する DVD 放映,
複十字シール募金活動,
市民吹奏楽団
によるシール運動キャンペーンソング等の演奏。JR 千葉駅・JR 千葉みなと駅・JR 蘇我駅構内に啓発用ポスターを掲示。
当支部
総合健診センター入口に結核予防週間標語を記載した懸垂幕を掲示。
他)千葉日報掲載記事:街頭キャンペーンの様子が 9/27
付けの新聞に掲載された
東
京 9/24
1ヵ所
9
4点
1000セット
両国駅前より国技館までの通路でのぼりを立て「結核予防週間キャンペーン」を実施しました。
当日は,
大相撲開催中で、
シルバー
ウィーク明けの平日にもかかわらず,
大勢の方で賑わっていました。
東京都福祉保健局,
本部職員の方々とともに予防週間エプロ
ン,
襷を掛け,
グッズ(長引く咳は赤信号・複十字シールリーフレット・スケルトンボールペン・風船)の配布を行いました。
両国での開催も4年目を迎え,
多くの方々に定着しつつあり,
「今年もやっているの」と声をかけられる場面もあり,
大勢の方に「予
防週間」のアピールが出来たと思います。
また、
平成 21 年度都立東久留米総合高等学校の文化祭である「しらさぎ祭」において,
養護教諭、
藤田先生・保健委員を中心として、
シール坊やの着ぐるみ・パネル等を活用して募金運動を実施していただきました。
当日は,
シール坊やの着ぐるみ・シール坊やのイラスト(生徒作)入り募金箱を持った保健委員の皆さんで,
校内を回り結核
予防の呼びかけや募金をしていただいたそうです。
募金額は,
2日間で 10.441 円にのぼる募金の協力をいただきました。
2ヵ所
31
5点
1500セット
小田原駅東西自由通路で支部職員,
婦人会等のメンバーで複十字シール運動を実施した。
当日は,
ケーブルテレビ・新聞 2 社に来
て頂きました。
また前日にラジオで複十字シール運動の意義,
実施日時等放送して頂きました。
藤沢駅前で市民祭りが開催され保
健所のエイズ予防と合同で複十字シール運動実施。
支部職員 2 名,
保健所職員 6 名。
オーキューバン・パンフレット等の配布。
神 奈 川 9/19,26
2
開催数
山
梨 9/25
2ヵ所
15
2点
3000セット
平成 21 年度結核予防週間の複十字シール運動街頭キャンペーン実施に伴い,
JR 甲府駅南口・北口構内に於いて,
広告入り花の種
およびオーキューバンを 3,000 セット配布しました。
これまでのリーフレット等の配布から,
今年度より広告入り花の種を取り入
れましたが,
女性や学生の方たちにとても好評でした。
また,
地元報道局 4 社の取材を受け,
街頭キャンペーンの様子が当日の
ニュースで放映され,
翌日の山梨日日新聞にも掲載されました。
当日は,
天候にも恵まれ予定の一時間で 3,000 セット配布でき,
募金も4 名の方に入れていただきました。
長
野 9/10,23
2ヵ所
52
4点
3500セット
松本駅周辺および長野駅周辺において実施。
配布物:ポケットティッシュ,
ポケットカレンダー,
オーキューバン,
ボールペン(募
金者)
。
パネル掲示,
のぼり旗。
ラジオスポット放送(県下全域)
。
SBC ラジオカー中継生放送(長野県支部玄関前)
。
電車中吊り・
しなの鉄道・信越・篠ノ井線・中央・大糸線・小海線・飯山線・JR 東海飯田線・長野電鉄。
ポスター掲示
新
潟 9/12,
10/11,12
3ヵ所
20
7点
864セット
9/12(土)
「健康づくり県民大会」
:新潟ユニゾンプラザにて,
資料配布(シール運動リーフレット,
結核の常識,
マスク,
絆創膏,
すこやか新潟,
ボールペン)
,
募金活動・肺年齢測定(約 70 名)
,
結核菌観察・X 線写真展示を行った。特に,
肺年齢測定には多く
の方々に興味を持っていただいた。
10/11(日)
「おぢや健康福祉まつり」
:小千谷市総合体育館にて,
資料配布(結核の常識,
絆創膏,
シール運動リーフレット,
すこやか新潟)
,
肺年齢測定・末梢血管血流測定(先着 80 名)を行った。
10/12(月・祝)イベント「キ
テ ミテ キタク」
(新潟市北区イベント)
:JRA新潟競馬場にて,
資料配布(シール運動リーフレット,
結核の常識,
マスク,
絆創膏,
すこやか新潟,
ボールペン,
風船など)
,
募金活動・スモーカライザー(47 名)
・結核菌観察・X 線写真展示などを行った。
富
山 9/23
1ヵ所
19
4点
1,000セット
富山市総曲輪グランドプラザ付近において,
結核の常識2009・複十字シール運動リーフレット・オーキューバン・ストップ結核(マ
スク)のセットを配布。
その他としてバルーンパフォーマンスを依頼。
石
川 9/30
1ヵ所
10
3 点・500 セット 野々市御経塚サティの出入口 2 ヶ所にて,
複十字シール運動のリーフレット,
シールぼうやオーキューバン,
ティッシュペーパー
(石川県支部作成)や,
がんに関する資料を配付した。
福
井 9/24
6ヵ所
16
4点
4,400セット
JR福井駅ほか5ヶ所において,
結核の常識・複十字シール運動リーフレット・啓発用OQバンおよびマスク(本部斡旋)を配
布した。
静
岡 9/26
1ヵ所
27
4点
3000セット
場所:アピタ静岡店セントラルコート,
広報資材:結核の常識・複十字シール運動リーフレット・オーキューバン・ポケットティッ
シュ,
活動内容:
「結核は現代の病気です」のスローガンを掲げ,
着ぐるみやヘリウム風船で来店客の興味を引き「結核予防意識
の向上と複十字シール募金の協力」をお願いした。
その他:結核予防会静岡県支部において、
結核予防週間の横断幕を掲げた。
愛
知 9/19,20,
24∼30
3ヵ所
17
7点
714セット
街頭キャンペーン①:9/19.20 あいち健康プラザ リーフレット他 7 点 600 セット。街頭キャンペーン②:9/24.28 アスナル金
山 リーフレット他 4 点 114 セット 結核無料検診:9/20 あいち健康プラザ 受診者 32 人。
懸垂幕:9/24∼30 昭和区永金町
事務所 2 枚以上の各活動を実施した。
岐
阜 9/23
11/2009 複十字 No.330
新聞広告 毎日新聞(朝刊)
例年実施している企画広告に協賛し,
結核予防の啓発を行った。
都道
府県
日 付
開催数
係員
合計
資材点数・
セット数
報 告
三
重
10/18,
11/1
2ヵ所
8
7点
300セット
滋
賀
9/27
1ヵ所
14
2点
1000セット
大津西武ショッピングセンター前において,
シールリーフレットおよび結核の常識,
募金者のみに小型シールを配布した。
当日は,
係員全員が啓発たすきを掛け,
実施場所周辺に啓発のぼりを設置した。
京
都
9/18
3ヵ所
66
4点
2000セット
京都駅前中央改札口広場,
京都タワー付近,
烏丸七条交差点付近において,
以下の資料を配付した。
複十字運動リーフレット(本部作
成)
,
結核予防リーフレット(支部作成)
,
複十字シール(小型)
,
ボールペン。
その他)京都府民・市民を対象に講演「結核の予防とが
んを考えるつどい」を 9 月 10 日(木)開催。
講演内容:事例報告「居酒屋を発端とした結核集団感染の一例」講演「これからの結
核検診のあり方」
「ライフスタイルに合わせた乳癌検診∼乳癌の予防と早期発見∼」京都市地下鉄の中吊り・市バスに結核予防週間・
シール募金のポスターの掲示,
京都府支部の建物の外壁に垂れ幕を掲げ,
結核検診を受けるように呼びかけ,
また,
建物内及び検診車
に結核のポスターの掲示。
大
阪 活動報告
に記載
5ヵ所
84
4点・20∼4,700 ① 1)
「平成 21 年度 結核予防推進大会」
9 月 24 日(木)大阪国際会議場(大阪市北区)
,
2)配布物 4 点・250 セット,
内容:
セット
<大阪から結核を追放する女性の集い>として,
大阪府支部と(社)大阪エイフボランタリーネットワークとの共催で,
府内地区
女性を対象に開催。
大阪市地域女性団体協議会の方々も参加。
・大阪エイフ会員による結核予防関係婦人団体中央講習会の研修報
告・大阪市地域女性団体協議会の会員による活動報告・大阪府健康医療部保健医療室地域保健感染症課課長補佐 宮園将哉氏
による「大阪府の結核の現状と課題」と,
大阪市保健所 保健副主幹 有馬和代氏による「結核は現代の病気 " 他人事 " とは思わ
ないで!!」と題した 2 つの講演。
座長を支部長,
助言者を副支部長とし,
講演の講師と講演内容に関してディスカッションを行っ
た。
参加者 213 名。
② 1)
「肺年齢測定体験会」 9 月 24 日(木)大阪国際会議場 入口 ( 大阪市北区 ) 2)配布物 2 点・100 個,
内容:
スパイロメーターを使って呼吸機能検査を行った。
肺年齢測定を行うことにより,
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防を呼びかけた。
参加者 68 名。
③ 1)胸部街頭無料健診(堺市実施)
9 月 25 日(金)
「イオンモール堺北花田プラウ」堺市北区 2)配布物 3 点・
20∼2,000 個,
内容:健診会場に,
週間名と実施期間を表示した横幕をつけた検診車とのぼりを設置。
ティッシュやエコバッグ,
オー
キューバン(絆創膏)を配布しながら結核予防を呼びかけ,
街頭無料健診を行った。
参加者 165 名。
④ 1)全国一斉複十字シー
ル運動キャンペーン 9 月 29 日(火)JR 天王寺駅中央コンコース(大阪市天王寺区)2)配布物 3 点・450∼4,700 個,
内容:支
部職員と大阪市地域女性団体協議会会員の総勢 45 名と「シールぼうや」
(着ぐるみ)が,
ポケットティッシュ,
オーキューバン(絆
創膏)
,
うちわ等の結核予防啓発グッズを街行く人々に配布し,
結核予防の普及啓発及びシール募金の協力を呼びかけた。
⑤ 1)
大阪府支部 1∼4 階の設置 TV 所内情報ディスプレイにおいて,
AC ジャパン 2009 支援キャンペーン CM を放映する。
⑥ 1)
大阪府支部正面前 8 月 3 日(月)
・21 日(金)
・9 月 8 日(火)2)配布物 4 点・180∼725 個内容:
「結核をなくそう」ののぼりを設置し,
うちわ・オーキューバン(絆創膏)
,
ポケットティッシュ,
エコバッグを配布し,
広報及び普及啓発を支部職員により行った。
⑦ 1)
大阪府支部ホームページにおいて 本年度の配布グッズ,
各行事の写真等を掲載し,
結核予防週間の周知を行った。
兵
庫
9/25,27,
28
6ヵ所
51
3点
2,500セット
JR 姫路・明石・神戸駅前において,
兵庫県連合婦人会(姫路市連合婦人会)
・県,
市職員,
支部職員とともに,
マスク,
リーフレッ
トや風船を配布し,
募金活動を行いました。
奈
亀山市保健センター(10 月 18 日)
,
楠緑地公園(11 月 1 日)において,
シールぼうやをプリントしたスマートバックに「結核の常識」
「シール運動パンフレット」
「STOP TB 付箋」
「シールぼうやボールペン」
「結核予防ポケットティッシュ」
「シールぼうや絆創膏」
を入れ,
各会場ごとに 150 セットを準備し,
シールぼうやをプリントした T シャツを着用した支部職員,
地域婦人会らで来場者に
募金を依頼すると共にそれら資材を配布。
また,
今年はシールぼうやを表紙にした落書き帳を新たに作成し,
来場した家族連れに
風船と共に配布しました。
良
9/25
1ヵ所
10
8点・100セット
近鉄奈良駅前 行基菩薩前において,
パンフレット,
リーフレット,
オーキューバン,
マスクの配布を行った
和歌山
9/28
3ヵ所
66
4点
1500セット
JR 和歌山市駅・南海和歌山市駅前において,
普及啓発活動を行った。
配付資料 1)複十字シール運動リーフレット 2)結核の常
識 3)マスク 4)あぶらとり紙
鳥
取
9/20
3ヵ所
55
4点
1500セット
平井鳥取県知事夫妻にご参加いただきました。
ジャスコ鳥取北店・倉吉パープルタウン・ジャスコ日吉津店の県内 3 ヶ所にお
いて,
県・婦人会・支部職員による結核の常識,
複十字シール運動,
マスク,
第 61 回結核予防全国大会 in 鳥取の配布。
その他)
今年度は,
第 61 回結核予防全国大会を平成 22 年 3 月 18 日・19 日の両日とりぎん文化会館で開催する案内と裏面に,
鳥取県の結
核患者の状況のチラシを配布した。
島
根
岡
山 9/26,27 2ヵ所
(結核無料
検診9/24
∼9/30)
広
島
9/26
山
口
香
街頭キャンペーンは実施せず 1)県内関係行政機関および県医師会などに対しポスター掲示を依頼し,
パンフレットを配布,
2)支部発行機関誌及びインターネットホームページ上で周知を図っていく
124
6点
3000セット
岡山市内大型ショッピングセンターの天満屋ハピータウン岡南店等にて,
市民の方々に結核を予防するための啓発用セットやゴ
ム風船を配布し,
骨密度測定,
体脂肪率測定,
血圧測定,
スモーカライザー(呼気中一酸化炭素濃度測定)の無料検診及び医師に
よる無料健康相談を実施した。シールぼうやの着ぐるみを活用することで多くの方々の関心を集め,
結核予防週間を PR するこ
とができた。
また当財団附属病院においても,
県民の結核感染の早期発見に努めるため結核予防週間中に結核無料検診を実施し,
20 名の受診があった。
1ヵ所
15
5点
500セット
大型商業施設「ゆめタウン広島」で幟を立て,
シールぼうやの T シャツにたすきを掛けた支部・女性会の役職員がシール運動リー
フレット,
冊子“ 結核の常識 ”
,
オーキューバン,
マスク,
ボールペンの 5 点セットを配布し,
複十字シール運動への協力と結核予
防の意識啓発に努めた。
9/23
1ヵ所
23
4点
300セット
9 月 23 日(水)に,
郊外型スーパー「アトラス萩」
(萩市御許町 42-1)において,
午後 1 時から 3 時まで,
結核予防のパンフレット,
複十字シール運動募金 のパンフレット及び啓発用品を来店された方々に配布し,
結核予防と複十字シール募金を呼び掛けました。
川
10/3
1ヵ所
20
5点
800セット
ゆめタウン丸亀において,
複十字シール募金活動を行った。
支部の資材として製作したクリアファイルに,
「結核の常識」などの
資料や婦人会資材のマスクを入れて配布し,
結核予防の啓発を呼びかけた。
当日はシールぼうやも登場し,
子どもたちに風船も
配った。
また,
COPD の問診とスパイロメーター検査を行い,
肺疾患予防への関心を高めた。
徳
島
9/26
1ヵ所
53
3点
3000セット
JR 徳島駅前にて,
複十字パンフレット,
ポケットティシュ,
油取り紙を配布すると共に,
胸部検診車を配車し無料結核健診を実施
した。
愛
媛
9/23
1ヵ所
9
5点
300セット
活動概要:1) 街頭募金(松山市大街道商店街 三越松山店東出入口 付近)
,
2)ポケットティッシュ,
オーキューバン,
カレンダー,
小型シール,
リーフレット,
ボールペン,
シールぼうや人形,
シールぼうやストラップ,
ハンドタオル,
パンフレット(結核の常識)
,
クリアーホルダー,
風船,
3)組織募金・複十字シール運動(ポスター・リーフレット)に載せている動物達をクリアーホルダー
に印刷して,
小型シールを 2 口以上募金していただいた方に 1 枚差し上げた。
※著作権については使用許可済。
街頭募金・募金し
た全員の方に,
クジを引いていただき当選した番号によって景品を渡した。
その他:1)広報資料の配布・結核予防週間ポスター・
結核の常識 2009 を県下市町,
学校,
婦人会等に配布。
また,
県医師会を通じて県下の病院・診療所等へポスターの掲示協力を依頼。
2)結核予防週間のステッカーを貼付した胸部検診車の運行,
結核予防週間期間中,
結核予防週間のステッカーを貼付した胸部検
診車が,
東予・中予・南予を運行して周知に努めた。
3)南海放送ラジオ∼結核予防キャンペーン∼の協賛・9 月 1 日∼30 日の期間で,
30 秒 CM(20 秒キャンペーンコメント+10 秒協会名クレジット)×20 本の放送を実施
高
知
9/26,
10/4
2ヵ所
70
8点
1250セット
①無料検診(9/26,
高知市と連携して実施)高知県支部 中央健診センターにおいて結核やがんについてのパンフレット、
オー
キューバン、
ポケットティッシュを配布。
②全国一斉複十字シール運動キャンペーン
(10/4)本部を中央公園北入口に置き,
帯屋町周辺
(アーケード内)において結核やがんについてのパンフレット,
オーキューバン,
シール,
ポケットティッシュを配布。
その他 高
知県マスコット人形『くろしおくん』の着ぐるみを着用し,
子ども達に喜んでもらい,
キャンペーンを盛り上げた。
福
岡
9/23
1ヵ所
65
6点
2000セット
主催:結核予防会福岡県支部 ・ 福岡県結核予防婦人会,
後援:福岡県・福岡市・北九州市,
実施年月日:9 月 23 日(水)正午∼
午後 5 時までの 5 時間,
実施場所:エルガーラ・パサージュ広場(福岡市中央区)
,
参加者:福岡県結核予防婦人会 25 名・福岡市
関係婦人会 13 名・結核予防会福岡県支部職員 27 名・計 65 名,
実施内容及び実績:● 医師 3 名による結核に関するミニ講演(ク
イズ方式)
計 3 回開催 ●健康相談(医師・保健師)21 名 ●胸部レントゲン無料健診 63 名 ●血圧測定 302 名 ●体脂肪
測定 217 名 ● 呼気一酸化炭素濃度測定 69 名 ● ジャグリング 計 3 回開催 ● 結核予防の普及啓発,
パンフレット他の配布
2,000 組,
『結核の常識』パンフレット,
複十字シール運動パンフレット及びリーフレット,
複十字シール ( 小型 ),
シールぼうやマ
スク,
ポケットカレンダー ●普及啓発運動用風船を子供に配布 500 個 ●結核予防・結核予防週間・複十字シール運動の各パ
ネル展示 計 10 枚 ● 募金(設置型募金箱)
募金額 2,490 円
佐
賀
9/23
2ヵ所
18
6点
1000セット
当協会職員と県婦人会の方の合同で県内ショッピングセンター 2 ヶ所(ジャスコ佐賀大和店・ゆめタウン佐賀)においてパンフ
レット・複十字シール・啓発マスク・風船等を配布しながら募金の呼びかけを行った。
長
崎
9/24
1ヵ所
19
5点
900セット
長崎市北部チトセピア店玄関前広場において,
長崎市と協賛し,
「結核の常識 2009」
,
複十字シール運動リーフレット,
長崎県作成
パンフレット{忘れていませんか?『結核』を}
,
新型インフルエンザについてのお知らせとマスクをビニール袋に入れ配布した。
熊
本
9/13,27
2ヵ所
92
7点
1800セット
13 日,
山鹿市水辺プラザかもとにて,
パネル展示,
乳がん,
肺模型の展示,
広報資材 { 結核の常識,
複十字シール運動パンフレット,
複十字シール,
結核予防週間広告入りうちわ(当支部作成)
,
オーキューバン,
当支部作成のポケットカレンダー },
結核予防週間広
告入り風船の配布。
27 日,
熊本市動植物園にてパネル展示,
乳がん,
肺模型の展示,
広報資材 { 結核の常識,
複十字シール運動パン
フレット,
複十字シール,
結核予防週間広告入りうちわ(当支部作成)
,
オーキューバン,
当支部作成のポケットカレンダー } の配布,
結核&がんのクイズ大会、
ヨーヨー風船つりを実施。
大
分
9/25
1ヵ所
27
4点
500セット
トキハデパート大分店前で,
シール,
オーキューバン,
マスク,
リーフレットを配布し募金を呼びかけた。
大分県健康対策課・大分
市保健所職員も同時に,
結核予防週間の街頭啓発活動を実施し,
普及啓発用ティッシュ,
パンフレットを配布した。
宮
崎
10/10
1ヵ所
30
鹿児島
9/24
1ヵ所
25
4点
2000セット
JR 鹿児島中央駅コンコースにおいて,
複十字シール(小型)
・マスク(全国結核予防婦人団体連絡協議会作成)
・複十字シール運
動リーフレット(本部作成)
・ポケットティッシュ(支部作成)を配布。
その他:広報資材配布,
結核予防週間ポスター及びパネ
ル展示,
街頭募金を行って,
結核・結核予防に関する知識の普及と啓発に努めた。
通行人への呼びかけを重点的に実施。
配布資
材を 1 時間ほどで配り終え,
募金が昨年の 3 倍集まったのは喜ばしい結果であった。
8ヵ所
80
10点
2000セット
1ヵ所
15
6点
1600セット
パネル・ポスター展示,
資料配布(結核普及啓発リーフレット・
県庁・沖縄県総合保健協会・各保健所 (6 ヵ所 ) ロビーにおいて,
結核の常識 2009・ポケットティッシュ)
。
その他:街頭キャンペーン・9 月 25 日(金)実施,
協力機関名=沖縄県・沖縄県総合保
健協会・沖縄県南部中央保健所・沖縄県結核予防婦人連絡協議会・那覇市。
また,
県民への結核予防普及啓発チラシ配布,
街頭無
料健康相談,
街頭募金等を行いました。
10/3∼4 グローバルフェスタ JAPAN2009(日比谷公園)
国際協力に関心のある一般の方を対象に,
結核予防週間や国際協力
のポスター掲示・シールぼうやの着ぐるみと風船による予防週間の PR,
複十字シール募金を行った。
沖
縄 9/24∼30
本
部
10/3,4
イオンモール宮崎2階 イオンホールにて,
宮崎市主催の健康パーク 2009 に共催し,
結核予防週間広告と健康診断の受診奨励を
実施した。
各種普及啓発用資料の配付。
宮崎山形屋デパート前に懸垂幕の掲示(9/24-9/30)
11/2009 複十字 No.330
3
知事表敬訪問報告 続報
※前号№329に続いて、8支部の報告です。
●茨城県支部
運動の説明および協力を依頼,また国際対策支援等にも活
用させていただいている事も交え,「時節がら職員の皆様
にも厳しいかと存じますが」とお話ししたところ,「是非,
府庁内でも協力させていただきます」と温かいお言葉をい
ただきました。
●栃木県支部
7月30日,茨城県健康をまもる女性団体連絡会久信田 水戸
支部副会長,山口支部長らが橋本知事を表敬訪問しました。
山口支部長が当該運動の趣旨を説明し,婦人会の夏堀理事
が陳情書を手渡して当該運動への協力をお願いしました。
なお,橋本知事から,激励の言葉をいただきました。
●千葉県支部
8月21日,麻生副知事を小林支部長と婦人会の齋藤会
長他婦人会役員で訪問しました。小林支部長から複十字
シール運動の説明,齋藤会長から複十字シール運動の普
及啓発活動におけるマスメディアの重要性等の説明に,熱
心に耳を傾けていただきました。婦人会役員からは今年度
の複十字シール運動キャンペーンで配布する予定のキャン
ペーングッズを副知事にお渡しして,複十字シール運動へ
の協力をお願いしました。
●富山県支部
8月11日,戸谷健康福祉部長を支部内藤専務理事と清
水千葉県連合婦人会役員らが訪問。全国および千葉県の
結核の現状について報告を行うとともに,複十字シール
運動の趣旨説明およびシールぼうや風呂敷等を贈呈し,
啓発活動・募金活動への一層の協力をお願いした。戸谷
部長はシール運動への関心が高く,激励の言葉をいただ
きました。
●石川県支部
8月10日,林厚生部長を健康増進センター大江所長(富
山県支部)と富山県結核予防婦人会岩田会長,青山結核
予防推進委員長らが訪問。富山県の結核の現状等を説明し,
複十字シ−ル運動への協力をお願いしました。林部長は
「この運動を推進していく必要があると思う」と話され,
募金をいただきました。地元紙にも掲載されました。
●滋賀県支部
8月4日,山岸副知事を石川県婦人団体協議会 高田会長
と石川県支部 素谷支部長,村田専務理事ほか2名で訪問し
ました。今年度のAC公共広告機構に,ビートたけし氏が
登場することや,結核の現状についての話,複十字シール
運動への協力を依頼,当日,地元新聞社2社から取材を受
け,翌日,紙面に掲載されました。
●大阪府支部
8月7日,嘉田知事を太田支部長,滋賀県地域女性団体連
合会中野会長らが訪問しました。知事は,自身の経験を通
じて結核対策の重要性を感じておられ,「今後の会議等で
結核対策の重要性等を話していく」とのお言葉をいただき
ました。
●長崎県支部
8月4日,小倉支部長と大阪エイフボランタリーネット
ワーク上ノ山会長らは,綛山副知事を訪問。複十字シール
4
11/2009 複十字 No.330
8月3日,長崎県地域婦人団体連絡協議会 田中会長他
3名と,長崎県支部 村下常務理事他4名が,県庁を訪問,
池松福祉保健部長に,複十字シールや運動パンフレットを
お渡ししました。併せて,全国や県内の結核の現状説明と,
募金活動への協力を依頼しました。
結核予防会支部紹介のページ
徳 島 県 支 部
県下における中核的な
健診機関として
(財団法人 結核予防会徳島県支部)
財団法人 徳島県総合健診センター
瀬尾 裕信
理事兼事務局長 はじめに(沿革)
普及啓発事業
当支部は昭和14年6月徳島県庁内に事務所を
結核予防週間に合わせて,徳島県結核予防婦人
置き設立されました。その後,徳島保健所内に移
団体連合会,徳島県職員協力の下,JR徳島駅前
転。昭和60年7月1日健診基盤の充実を図るた
にて複十字シール募金運動の普及啓発街頭キャン
め徳島県,(社)徳島県医師会,(財)徳島県対ガン
ペーンを実施。同時に無料結核検診を行っていま
協会,(財)結核予防会徳島県支部の4団体が設
す。市町村で住民を対象に行う啓発活動や,事業
立者となり(財)徳島県総合健診センターを設立。
所,各種団体の集会の機会を利用しパンフレット
平成元年7月,現在の蔵本町に施設を開設。従
等の配布,パネル,DVDの貸し出しや講師の派
来の巡回健診に加え施設での健診を開始し,現在
遣を行っています。結核予防会の機関誌「複十
に至っております。
字」,当センター発行の機関誌「健診センターだ
より」を保健所,市町村,関係機関等に広く配布,
広報活動に努めています。毎年9月には徳島県と
共催で「健康を考える県民のつどい」を開催し,
健康づくり推進活動功労者の表彰や特別講演を
行っています。
支部全景
結核予防週間に合わせて無料検診を実施
事業概要
結核,肝炎,各種がん健診,児童生徒の諸検査,
終わりに
労働安全衛生法に基づく事業所健診,雇用時健診,
徳島県は自然あふれる風光明媚な県です。山間部
特定健康診査,VDT,有機溶剤等の特殊健診,
に囲まれた谷間に点在する小さな集落,海辺の漁
新生児先天性代謝異常検査等を実施。施設では人
村。日々県内をくまなく巡回健診で奔走し,多様な施
間ドック等の総合健診をはじめ,各種健康診断,
設健診に取り組む中で,県民の健康に対する関心,
健診後の再検査,精密検査を実施しています。
意識が年々高まってきていることを強く感じます。そ
また,徳島県から委託され,精度管理を目的と
んな中で,私どもは結核予防会徳島県支部職員であ
した各種健康診断の部会を定期的に開催。県内の
ることを常に誇りに思い,職務に専念するとともに,
健康診断に関わる主だった機関とともに徳島県の
県下における中核的な健診機関として,より一層の
健康診断の精度向上に尽力しています。
努力と研鑽を積んでまいりたいと思っております。
11/2009 複十字 No.330
5
シリーズ
新しくなった結核研究所 (4)
優先的プロジェクト(2):
「新抗結核薬・化学療法プロジェクト」
―新抗結核薬開発と抗酸菌化学療法をめぐる世界の動向―
抗酸菌レファレンス部 主任研究員
土井 教生
6
日本と世界の結核,M(X)DR-TB
の5薬剤がM(X)DR-TBに有効である。
我国での推計新規MDR-TBは300∼400人/年だ
2. PA-824とOPC-67683は結核菌にのみ特異的,
が,世界では毎年約50万人の新規MDR-TB患者が
TMC207は抗酸菌特異的な抗菌活性を示し,PZAと
発生し(約10%がXDR-TB),13万人/年の患者が
の併用時に顕著な相乗効果を示す;3薬剤ともに分
MDR-TBで死亡している。先進諸国のM(X)DR-TB
裂休止型の結核菌に対しても殺菌的な活性を示す。
とは対照的に,発展途上国におけるM(X)DR-TB
3. 現在MDR-TB症例を対象にTMC207(200∼
は,長年,安価で治療効果の低い2次薬の不安定な
400mg/d:South Africa 6 sites, India/Russia/
供給体制の下で拡大した20世紀・結核対策失敗の
Latvia/Peru:TMC207+PZA+KM-ETH-OFLX-CS)
時代の負の遺産である。
とOPC-67683(200∼400mg/d:中国 2, エストニア 2,
Stop TB PartnershipとTB Alliance
日本 2, 韓国 3, ラトビア 1, レソト 1, ペルー 1, フィリ
1. 2000年にStop TB PartnershipとTB Alliance
ピン 1, 米国 1,計9カ国 14 sites)は世界同時開発の
が設立され,現在,新抗結核薬開発の世界の推進
プログラムに沿ってPhase-IIbを展開中。2005年に
力として機能している。両者が2005年に掲げた目
Phase-Iを開始したPA-824(200mg/d:Cape Town in
標は (1) 2010年までに最初の新薬の臨床導入,(2)
South Africa et.al.)も現在Phase-IIbを継続中。
2015年には,すべて新薬からなる次世代の結核標
4. 目下キノロン4プロジェクト,Nitroimidazole
準化学療法レジメンを確立し,治療期間を3∼4ヶ
3プロジェクトが競合しており,科学的判断よりも
月に短縮することであった。
欧米製薬企業の特許権益を巡る拮抗緊張関係の許で
2. Stop TB Partnership / WHOの調査では2008年
開発過程が進展している;BMGF基金を背景とした
10月現在,世界ではDrug Discovery 20,Preclinical
米国主導型 (TB Alliance) の特許世界戦略の思惑が
9,Clinical Testing 10,合計39の新抗結核薬開発プ
色濃く投影されている。
ロジェクトが進行中である。
日本で合成され前臨床試験段階にあるM(X)DR-TB
臨床試験段階にある新抗結核薬プロジェクト
に有効な候補化合物
1. Clinical Phase-I:Diamine SQ-109, Linezolid, Pyrrole
1. Capuramycin/TL-1-Inhibitors(IC50 (TL1) 10
LL-3858. Clinical Phase-II:Diarylquinolone TMC207,
mcg/ml; MIC 8 mcg/ml;Sequella Inco.)
Rifapentine, OPC-67683, Nitroimidazole-oxazine PA-824.
2. 核酸系抗生物質CPZEN-45(MIC 3.13 mcg/ml;
Clinical Phase-III:Gatifloxacin-OFLTUB, Latent TB
The Lilly TB Drug Discovery Initiative)
Infection, Moxifloxacinの10プロジェクトの内,Diamine
3. キノロン耐性菌に有効な新世代レスピラトリー
SQ-109,Pyrrole LL-3858, TMC207, OPC-67683, PA-824
キノロンDC-159a(MIC 0.06 mcg/ml;第一三共)
11/2009 複十字 No.330
現在進行中の新抗結核薬の臨床試験 / 一覧
候補化合物
記号
Moxifloxacin
M
G
J
O
P
S
L
Gatifloxacin
TMC-207
OPC-67683
PA-824
SQ-109
LL-3858
臨床試験
臨床試験段階
(RHZE as Std.)
RMZE / RHZM
III
RHZG
III
※ BR+J
II-b
ROZE
II-b
RPZE
II-b
RHZS
I∼II -a
II-a
??
R: RMP, H: INH, Z: PZA, E: EMB
※ BR: Background Regimens
これらはいずれも結核研究所で基礎研究過程を経
目標年度を視野に入れると「M(X)DR-TB治療」
て上記開発段階に達した化合物である。
は遅くても5年∼7年以内に確実に達成可能な標的
次世代 (3∼4ヶ月) 結核標準併用治療レジメン
として射程距離圏内に収められる。
への動向
2.
1. MFLX,OPC-67683,PA-824はINHの位置に新
療」は既に予定された未来の既定事項であり前提
薬を置き換えた併用レジメンにより臨床導入を図っ
である。「少なくとも2剤以上の新薬を含む次世
ている,近い将来INHは結核化学療法から姿を消す
代治療レジメン開発とそれに向けたアプローチ
ことになる。
(PK/PD & Drug-Drug Interaction Study;
2. 抗 HIV 薬と拮抗する主要薬剤 RFP だが,まだ
Trial Sites Networks and GCP)」,「複数の新
当面,必須の併用薬として用いられる。しかし,新規
薬を組合せた臨床試験Phase-IV構想」,未知の領
RNA Polymerase“Switch Region 阻害剤 Myxopyronin
域だが,これが両組織における目下の重要論題で
(Myx)”が見出され Post RFP として今後の開発に期
WGNDとTB-Allianceでは「M(X)DR-TB治
ある。
待が持たれている;RFP もいずれ消えゆく宿命を
3. 新世代化学療法の導入・普及とM(X)DR-TB
負っている。
治療,将来の結核対策の成否は「高度蔓延諸国に
3. 多彩な新薬開発とその臨床導入時期を目前に控
対する抗結核薬剤の安定供給体制の構築と整備」
えてWGND (Working Group on New TB Drugs) /
にかかっている。
Stop TB Partnership / WHOは2008年10月の定例会
議(パリ)で,Core-Groupと5つのSub-Groups:(1)
Biology/Targets,(2) Candidates,(3) Tools,(4)
Clinical Knowledge,(5) Clinical Trials Capacityを
設定し,組織体制の刷新と機能強化を図っている。
抗酸菌化学療法の今後の展望
1. OPC-67683は2012年,TMC207は2013年の臨
床導入を目標としており,他の新薬の臨床導入の
11/2009 複十字 No.330
7
シリーズ
Use DOTS More Widely
中野区における薬局DOTS事業の取り組みについて
―すべての結核患者に対する服薬支援をめざして―
東京都中野区保健所 保健予防担当
山川博之 ○辻内衣子 渡部葉子
村上 薫 金井俊雄
1.中野区の結核概要
中野区は東京23区の西部に位置する人口約30万人の
特別区で,新規患者登録数は都内でも上位を占めてい
たが,ここ2年間は順調に低下し年間100人を下回って
きている(図1)。年齢別罹患率では,20代から30代
の若年者の新規登録が多く若者の居住者が多い区の地
域性を反映している。
服薬への理解が不十分で,結果として中断にいたる
ケースがあった。また,アセスメントAランクの患者
が治療終了まで入院や施設で過ごすことが多くなった
事があげられる。
3.薬局DOTSの経過と実績
薬局DOTS事業の開始にあたり,事業に対する理解
を深めるための講演会を開催した。また,薬剤師会の
全面的な協力のもと,DOTS参加薬局の曜日ごとの開
局時間や患者宅への訪問の可否など詳細な情報からな
る協力薬局リストを作成した。さらに,薬局の場所を
地図上に明記した「区内薬局DOTS地図」を作成し,
患者が選択しやすい工夫も行った。
アセスメントランク別の支援方法は図2に示した。
また,薬局DOTSの実施実数は表1のとおりで,登録
患者全体の半数近い患者に対し,多くの薬局の協力を
得て様々な頻度で実施してきている。
2.服薬支援(DOTS)事業のスタート
中野区保健所では平成17年より,区内の患者の入院
が一番多い病院とのDOTSカンファレンスを開始し,
連携しながら服薬支援を進めてきた。必要な患者には
保健所職員によるDOTSや,一部の薬局にボランティ
アで個別にDOTSをお願いしていた。しかしマンパ
ワーの不足もあり十分な体制にはなっていなかった。
そのため平成19年の5月から中野区薬剤師会に委託し
新規に薬局DOTS事業を立ち上げることとした。
この機会に服薬支援を全面的に見直し,薬局
DOTS,保健所DOTS,FAXでの確認や月1回程度の
定期的なお手紙(通称DOTSレター)などを組み合わ
その背景としては,入院中に動機付けがされている
頻度
週5∼6回
週2∼3回
週1回
2∼3週に1回
月1回
計
塗抹陽性の患者に比べ,外来のみや潜在性結核患者の
(内訪問DOTS 8名)
せて,全ての患者に何らかの支援が行える体制を整備
した。方法として直接服薬確認のみにこだわらず空袋
の確認のみの緩やかな連絡確認DOTSでもよいとし,
弾力的な実施をめざすことにした。
8
<表1>薬局DOTS頻度別実施実数
平成19年5月∼21年9月末までの実績
11/2009 複十字 No.330
人数
1
5
48
59
9
122
通院医療のみの患者の事業の流れは図3のとおりで
ある。
院が連携した対応がスムーズにできた。
③ 単なる服薬支援に留まらず,患者にとっての相談
<図3>
初回面接
② 服薬の中断を早期に察知でき,薬局,保健所,病
者,地域での身近な支援者としての薬局の重要性
<患者,保健師>
事業の紹介 動機付け 方法検討
患者の同意確認
薬局の決定(区内薬局DOTS地図)
受け入れ確認
が確認できた。訪問DOTSでは見守りの役割を果
たした事例もあった。
④ 薬局と保健所の患者を取り巻く連携が強化され,
計画作成
<所内検討会>
アセスメント,主治医との連絡
カンファレンス
<患者,薬剤師,保健師>
薬局(訪問の場合は自宅)にて具体的な方
法確認 計画の確認,主治医に文書連絡
実施,報告
毎月薬剤師会を通して報告書の提出
(服薬確認の実績と合わせて相談内容の記載
あり)
薬剤師会として,学会報告を行うなど,地域の結
薬局DOTSを利用した患者に治療終了後に行ったア
ンケートでは表2のような結果が得られた。
<表2>薬局DOTSを利用しての感想
( アンケート:H19 年 5 月∼ H21年3月実施。実施数 53・回収数 28・回収率 48.2%)
回収数28の内訳
大変良かった (15)
まあまあ良かった (12)
あまり良くなかった (1)
良くなかった
(0)
*良かった点・良くなかった点 ( )は複数回答数
方法
良かった点
薬局に通うことで最後まで服薬できた
(19)
自宅に近い薬局で通いやすかった
(17)
薬のことや体調のことなどの相談ができた (13)
来局
曜日や時間の変更が気軽にできた
(6)
話し相手や相談相手がいて心強かった
(6)
薬局に通うことで生活にリズムができた
(4)
自宅まで来てもらえたのでよかった
(3)
訪問 安心して服薬できた
(1)
飲み忘れが無くなってよかった
(1)
方法
良くなかった点 薬局に通うことが億劫だった。
薬局まで行くことが時間的に負担だった
来局 天候の悪い日に通うのが嫌だった
薬局で確認されるのが嫌だった
(3)
(2)
(2)
(1)
4.まとめと展望
事業を実施してみての効果として
① 薬剤師会の協力により数多くの薬局が受け入れ可
能になり,保健所としても対象を絞らなかったこと
により,多くの患者の確実な服薬支援ができた。
(「飲めているはず」ではなく「確実に飲めた」)
核対策を担う,組織としての認識が深まった。
一方,薬局DOTSを実施しても少数ながら治療中断
者は出ている。毎年行っている薬剤師会との連絡会の
場を活用し,個々の事例を振り返り,より効果的な事
業を展開するための取り組みを進めたい。
<中野区薬剤師会より> 平成19年5月より中野区薬剤師会における薬
局DOTS事業がスタートし,2年以上が経過し
ました。スタートした時点で60軒近い会員薬局
にDOTS患者受け入れ可能として手を挙げて頂
き,うち平成21年7月末時点で35軒に実際に
受け入れて頂きました。DOTS実施患者数は9
月末時点で122人となり,その殆どは無事完治さ
れた,もしくは順調に治療中です。死亡又は転勤
等やむをえない理由で中断となった患者は1割前
後です。
地域の公衆衛生に尽力したいという思いと不安
の入り混じる中での船出でしたが,数多くの薬局
のサポートにも助けられ,事業を安定させること
ができました。 平成20年10月に開催された
日本薬剤師会学術大会にてこの事業内容を発表し
ました。発表内容を見に来てくださったDOTS
関係者の話を聞くと,地方ではこの事業に自治体
の予算が下りず有志のボランティアのような所が
殆どだと感じました。それゆえ中野区のこの事業
形態,並びに数多くの患者を完治させてきた実績
が目に止まったらしく,一つのモデルケースとし
て地元に持ち帰りたいと言ってくれた方もいまし
た。その方々の地域からまたその近郊へと,より
多くの地域にDOTS事業が普及し,結核撲滅へ
向かっていくことを願っています。そのためにも
我々は今後も保健所始め関係者の方々と力を合わ
せ,事業の継続・強化に努めていきたいと思って
います。
社団法人中野区薬剤師会 理事 花井祐一
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9
教育の頁
デジタル画像のモニタ診断における課題
―感染症診査協議会での画像診断について―
結核研究所 対策支援部放射線学科
星野 豊
科長 デジタル撮影装置の普及
本邦では,医療におけるデジタル画像が急速に普及
しています。装置の技術的な進歩もさることながら,
保険診療における1988年からの「デジタル映像化処理
加算」の導入が普及に大きく貢献しました。デジタル
画像ではフィルム作成のみならずモニタ診断が可能と
なり,必要な部分の拡大はもとより診断上の目的に合
わせた画質への逐次変換が行えるなど,より詳細な観
察が可能となります。しかし,デジタル画像を観察す
るためのモニタには,診断目的による臨床上の規格が
存在しないことが問題となっています。本稿では,デ
ジタル画像の仕組みを判りやすく解説しながら,モニ
タ診断を取り入れる際の課題をまとめてみます。
デジタル画像の2つの要素
「デジタル」という言葉は「指折り数える」という
ラテン語を語源とし,「データを数値で表す」という
意味があります。画像のデジタル化には「画素」と
「階調」という2つの基本的要素が関係しています。
まず,一枚のX線写真を人間の目に見えない小さな
区画に分けることにより,画像を数値化します。区切
られた一つの区画を「画素(ピクセル)」と呼び,画
画像観察用液晶モニタの構造
像を構成する最小の単位となります。一方,X線写真
モニタの画面には,小さな区画に分けられた画素が
の白と黒の間には様々な濃さの灰色が存在します。デ
びっしりと並んでいます。その裏側には液晶が挿んで
ジタル画像では,ひとつの画素に対して1024段階の灰
あるガラス板があり,その後部には蛍光灯が仕組まれ
色を使って画像の濃淡を表現し,これを「階調(コン
ています。液晶の向きを電気的に制御することにより,
トラスト)」と呼びます。これら2つの要素により画
画素の濃淡を表現しているのです。また,カラー画像
像は数値化されるのです(図1参照)。
を観察するモニタでは,3つの画素を赤と緑と青に表
通常の胸部X線撮影では35cm×43cmの範囲を
示するためのフィルターを追加して色合いを表現して
1750×2150の画素に分け,380万個の画素によって画
いるため,胸部X線画像のようなモノクロ画像の観察
像ができています。CTでは分解能に限界があるので
には,フィルターの要らないモノクロのモニタの方が
26万画素での撮影が,マンモグラフィでは微細な石灰
効率が良いのです。また,蛍光灯は時間と共に明るさ
化を逃さないように1700万画素での撮影が行われてい
が減少しますので定期的な品質管理が必要です。
ます(図2参照)。
10
11/2009 複十字 No.330
医用画像モニタに必要な性能
37条の2,同法施行規則第20条の3第2項により
医用画像の観察に用いるモニタでは,撮影した画素
「エックス線直接撮影写真」を添付して公費負担を申
が一画面にすべて表示できるかどうかが重要であり,
請することになっています。申請を受けた保健所は,
380万画素で撮影した画像であれば最低でも300万画素
医療費を公費で支出して良いかどうかを感染症診査協
のモニタが必要です。130万画素のモニタでも画像を
議会に諮問しなければなりません。従来は診断時に撮
小さくして同じように表示することはできますが,撮
影した胸部X線写真をそのまま申請に使っていました
影した画素を間引くことになるので画質が劣化するか
し,デジタル撮影装置が導入されてからも医療機関は
らです(図3参照)。
読影のためにフィルムをプリントして添付していまし
また,どのモニタで見ても同じ階調で画像が表示さ
たので,大きな問題は起こりませんでした。
れる必要があります。人間の目には,黒い部分の分解
しかし,2008年の診療報酬制度の改定から,フィル
能が高く,白い部分の分解能が低いという特性があり
ムを出力しない診療を評価する「電子画像管理加算
ます。そこで,人間の視覚特性に合わせた階調が米国
(フィルムレス加算)」が始まり,医療機関はモニタ
のDICOM(Digital Imaging and COmmunication in
診断を積極的に取り入れるようになりました。モニタ
Medicine)によって規格化されました。パソコン用と
診断では読影のためのフィルムをプリントしませんの
して販売されている汎用モニタと医用画像モニタでは,
で,フィルム代の数百円のコストを削減するために電
この部分が決定的に違っています。すなわち,どんな
子媒体での申請を望むようになりました。
に大きくて画像が綺麗に見える汎用モニタでも,DI
診査会の現状を保健所の担当者から聞き取ってみる
COMが規格化した階調で画像が表示されなければ,
と,電子媒体での提出を認めて汎用モニタで診査を行
医用画像を観察するモニタとして適当とは言えません。
う診査会が増えています。最近の汎用モニタは200万
画素を持つものも普及していますが,画像が見づらい
との意見も出ているようで,QAガイドラインに則っ
た医用画像モニタによる画像観察を行うことが理想的
です。また,提出されたデータを独自にフィルムにプ
リントしている保健所もありますが,このコストは保
健所が負っています。まだ少数ですが,医用画像モニ
タを導入する保健所も出てきています。
おわりに
デジタル画像の仕組みを解説し、モニタ診断を取り
入れる際の課題をまとめました。医療機関でのモニタ
診断が急速に普及している現状を踏まえると,全国の
2005年には,この規格を取り入れて(社)日本画像
保健所および診査会にもデジタル画像を適正に表示で
医療システム工業会が「医用画像表示用モニタの品質
きる医用画像モニタを導入することが望まれます。
管理に関するガイドライン」(以下 QAガイドライ
モニタ導入においては,胸部X線画像の診断にふさ
ン)を策定しました。QAガイドラインに法的な拘束
わしい画素数や性能を備えているかを検討する必要が
力はありませんが,適切な医用画像モニタの選定や定
あります。また,QAガイドラインに則った医用画像
期的な品質管理を行うためには,極めて有用な規格と
モニタを積極的に採用すると共に,その後の定期的な
言えます。
品質管理を適切に行うことが求められています。
感染症診査協議会における画像診断について
結核の治療に掛かる医療費については,感染症法第
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教育の頁
ワクチンシリーズ
麻 疹
北里大学 北里生命科学研究所
中山 哲夫
教授 12
はじめに
する方法や,不活化ワクチンと組み合わせて接種する
麻疹は古くから命定めの病気と考えられ,致死的合
方法が行われていました。しかし,不活化ワクチン接
併症から快復しても失明などの重篤な後遺症を残して
種後に自然感染をうけた時に重症の異型麻疹を起こす
きました。麻疹ウイルスの感染は麻疹患者の咳やく
ことから1967年には不活化ワクチンの接種は中止とな
しゃみから出てきた空気中を漂う小さな飛沫核が感染
り,更にニワトリ胎児胚細胞に継代することで弱毒ワ
源となり,上気道粘膜に感染しウイルスは一時増殖し
クチン候補株が樹立されました。
更にリンパ球に感染しウイルス血症を起こし全身諸臓
麻疹ワクチンの効果と流行疫学
器に撒布されます。通常,麻疹は約12日の潜伏期間後
2000年以前は,世界中で毎年3,000万人の子供たち
に結膜の充血,咳などの症状が出現しコプリック斑を
が麻疹に罹患し,87万人が麻疹に関連して死亡してい
認め発疹は色素沈着を残し麻疹に特徴な症状を起こし
ると推定されていました。WHOは予防接種拡大計画
ます。多くは自然に治癒しますが1,000から2,000人に1
を1975年から展開し,2005年までには2000年以前のレ
人の割合で脳炎を合併したり,数%の割合で肺炎,中
ベルの半分以下にすることを目標として掲げ,2005年
耳炎などの合併症をおこします。頬の内側にコプリッ
には34.5万人と減少しその目標を達成しました。更に
ク斑という特徴的な所見が認められ,麻疹の発疹は免
2010年までに麻疹の死亡を2000年のレベルの1/10以下
疫能ができて出現します。乳幼児で微量に残っている
に減少させることを目標としています。
移行抗体により非典型的な修飾麻疹や,ワクチン接種
麻疹ウイルスはヒトにだけ感染し発症します。1990
後数年経って免疫能が低下して麻疹に罹患する
年代には日本人の旅行者が麻疹ワクチンを受けていな
Secondary vaccine failure (SVF)では軽症から通常の
い麻疹の潜伏期間の乳幼児をつれて海外旅行に出かけ
麻疹まで多彩な症状を示し,こうした修飾麻疹ではコ
旅行先で麻疹ウイルスをばらまき「麻疹の輸出国」と
プリック斑が出現しない例が多く,典型的な発疹を認
揶揄された時代がありました。輸出する一方通行だけ
めず診断が困難です。麻疹ウイルスは持続感染するこ
ではなく日本の流行株は大きな流行毎にウイルスの遺
とが知られており,免疫系から隔絶された中枢神経細
伝子が変化しており外国からの麻疹ウイルスが入って
胞に持続感染し,麻疹罹患後数年経って性格の変化,
きています。2007年の流行株は東南アジアから流入し
けいれんが徐々に進行し最終的には不幸な転機をとる
てきたものと考えられます。2007−2008年にヨーロッ
亜急性硬化性全脳炎(Subacute Sclerosing Pan-Encephalitis;
パやアメリカで報告された麻疹ウイルスの遺伝子配列
SSPE)が約10万例の中に1例の頻度で認められます。
はこれと同じウイルスで日本からの旅行者が輸出した
ワクチンの開発
ものとも考えられています。EUでは地域的にワクチ
幼児期までにはほとんどの子供たちが罹患し重篤な
ン接種率の低い国が存在し,こうした国での麻疹の流
合併症により死亡原因の第一位を占めていたことから
行がEU内に伝播していることから2010年の排除の目
ワクチン開発が始まりました。アメリカでは1963年に
標達成は困難とされています。
ホルマリンで不活化したワクチンと生ワクチンの両方
麻疹の流行状況を確実に把握するために2008年から
が認可されましたが,開発当初の生ワクチンはワクチ
麻疹は全数報告する疾患となり,こうした遺伝子解析
ンと呼ぶにはほど遠く感染実験に相当するものでその
をおこなうためにも実験室診断に基づいた精密度の高
副反応を軽減するために免疫グロブリンと同時に投与
いサーベイランスを実施することになっています。
11/2009 複十字 No.330
何故2回ワクチンが必要?
な抗体が検出できなくなり,さらに20歳代では1/4から
種痘ワクチンの普及により1980年に天然痘が撲滅さ
1/5の人たちで検出できなくなります。感受性者を少な
れ,ポリオ,麻疹等もワクチン接種を推進することで
くし抗体保有率を高めるために複数回接種が必要にな
これらの疾患も撲滅できると考えらました。しかし,
ります。
麻疹は撲滅に対する障壁が大きいことからトーンダウ
すべての子供たちが2回接種を受けられるように
ンして麻疹排除を目標としています。麻疹排除の定義
2008年から中学1年生,高校3年生を対象に5年間
は,ワクチン接種率を上げ集団免疫として95%を維持
catch-upキャンペーンが始まりました。1歳代のMR I
し人口10万人当たりの麻疹患者報告が1例以下で自国
期のワクチン接種率は全国でも90%を超えて小学入学
内での麻疹ウイルスの伝播がなく,外国から持ち込ま
前のMR II期の接種も高くなっていますがMR III, IV期
れても二次伝播がなく感染が拡大しないこととしてい
の接種率が低く95%近くに持っていくことが課題とな
ます。
ります。
今までの麻疹の流行は乳幼児が主体でしたが2007年
麻疹ワクチンの副反応は?
の流行は学校・学園の集団生活の場に持ち込まれ,彼
麻疹ワクチンは,鶏胎児胚細胞の組織培養で製造さ
らの生活行動範囲が広く感染の拡大をおこしたものと
れ卵アレルギーがあっても安全に受けることができま
考えられます。麻疹の流行状況とワクチン政策の推移
す。麻疹の合併症の頻度とワクチン接種後の副反応の
を(図1)に示しました。
頻度を比較して(表1)に示しました。ワクチン接種
後の発熱は15%前後に見られ発疹は2-3%に出現します。
図1:麻疹のサーベイランスとワクチン政策の推移
表1:麻疹の合併症とワクチン接種後の副反応の頻度
1978 麻疹ワクチン義務接種
全数報告
麻疹の合併症とワクチン接種後の副反応例
ワクチン未接種の
5歳未満児が多数
1歳のお誕生日に
麻疹ワクチンを
出庫数421 万dose(1994-2006)
MR I (1- 2歳)
MR II (小学入学前)
成人麻疹の増加
MR III, IV
catch-up
2008
MMWR 57: 1049-52, 2008
発熱
発疹
脳炎
SSPE
その他
中耳炎
肺炎
失明
自然感染
ほぼ100% *
ほぼ100% *
1/1,000-2,000
8.5/100万
7-9%
1-6%
?
ワクチン接種後
10-20%(5-7日後)
5-10%(7-10日後)
2**
ー
血小板減少症(5) #
VAHS(2)
急性片麻痺(1) ☆
Toxic Shock Syn.(1)
*;自然感染の麻疹では38.5C以上の発熱が少なくても5-9日持続し、ワクチン
接種後の発熱は接種後5-7日に通常38 C前後で、39 C以上の高熱は100人に
1人程度ワクチンでは麻疹様の症状はでない。
**;教科書的には0.3/100万程度, 1例はワクチン接種後2-3時間で発症、
他の1例は接種後9日で野生株に遺伝子が検出された。
乳幼児の麻疹ワクチン接種率が向上している一方,
ワクチン接種後に脳炎が2例報告されていますが,
各年代層に数%の割合で自然感染も受けていない,ワ
1例は野生株の感染であることが証明されており,他
クチン接種も受けていない感受性者が存在します。ワ
の1例は接種3時間後での発症でワクチンの副反応と
クチン接種歴のない成人麻疹だけでなく,ワクチン接
は考え難いことが報告されています。接種後の市販後
種を受けていても罹患する例も多く報告され,その割
調査では麻疹ワクチンを含めすべてのワクチンで重篤
合が増えてきています。麻疹にかかるとその後は麻疹
は副反応の出現頻度は100万接種機会に0.2以下で約
にかかることはなく終生免疫を獲得し,生ワクチン接
500万人に1例と考えられます。麻疹ワクチンのな
種後の免疫能も長期間維持されると考えられてきまし
かった1950年代には我が国で数千人から流行時には2
た。麻疹ワクチンの普及に伴い麻疹の流行規模が小さ
万人が麻疹で亡くなっていました。麻疹死亡例は激減
くなり不顕性感染を受ける機会が少なくなることでワ
しワクチンの果たしてきた役割は大きく,麻疹はワク
クチン接種後にブースター効果が期待できなくなり,
チン接種を拡大することで排除・撲滅が可能な疾患で
麻疹の流行がなくなった地域ではワクチン接種して6−
2007−08の流行を繰り返さないようにしなければいけ
7年経つと10 %の人たちにおいて麻疹の感染を防ぐ有効
ません。
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13
教育の頁
ワクチンシリーズ
季節性 インフルエンザ
国立感染症研究所
感染症情報センター
岡部信彦
センター長 インフルエンザワクチンがインフルエンザを防ぐ
仕組み
今使われているインフルエンザワクチンは不活
化HAワクチンといって,インフルエンザウイルス
としての働きをなくし(活性をなくす=不活
化),ウイルスの粒子に含まれている一部の成分
(HA)を取り出して免疫(インフルエンザウイルス
に対する抵抗性)を高め,発熱などの副反応を出
来るだけ低く抑えるようにしたワクチンです。
このワクチンを接種すると,生体はワクチン液
に含まれているインフルエンザウイルスの成分に
反応して,血液中に抗体という蛋白を作り出しま
す。この抗体が一定以上血液中にあると,生体に
侵入してきたインフルエンザウイルスを攻撃しま
す。多くの場合には抗体がウイルスを生体から押
し出してしまうことができます。抗体の出来が少
なめであればウイルスがある程度増えて発病しま
すが,重症になることを防ぎ,また軽くすませる
ことが出来ます。抗体が十分出来なかった場合に
は,ウイルスの方が戦いに勝つことになり,イン
フルエンザを発病してしまいます。さらに残念な
ことに重症になってしまうこともあります。
小児の場合は,インフルエンザワクチンによる
抗体の出来具合が大人より低いので,2回接種す
るようになっています。またこのようにして作ら
れたインフルエンザの抗体は半年ほどで効果を十
分に発揮できないくらいに段々下がる性質である
こと,インフルエンザウイルスは毎年のように少
しタイプを変えてしまうことなどから,インフル
エンザの予防には毎年その年の流行に合わせたイ
ンフルエンザワクチンの接種が必要となります。
インフルエンザワクチンはどのように作られる
ワクチンを作る会社では,次のシーズンに流行
の中心になると国の委員会で考えられたウイルス
(種ウイルス)をもとに,毎年5∼6月頃から鶏卵
(有精卵)にこのウイルスを接種してウイルスを
増やし,ウイルス液を集め,ウイルスの粒子に含
まれている一部の成分(HA)を取り出し,精製して
ワクチンの原液とします。1人分のワクチン液を
作るために,大体卵1∼2個を必要とします。原液
にワクチンとして必要な添加物などを加え,瓶
14
11/2009 複十字 No.330
(バイアル)や注射器に入れて1本のワクチンと
します。このワクチンはメーカーでの検査の他,
ワクチンとして一定の基準を満たしているかどう
かの検査(国家検定)が行われ,合格したものが
世の中に出回ります。これが大体10∼11月頃にな
ります。
2009年4月より,新型インフルエンザウイルス
(パンデミックH1N1 2009)が新たに登場しまし
た。新型インフルエンザワクチンは,季節性のワ
クチンがある程度生産されてから,明らかになっ
た新型ウイルスを用いて作り始められたもので,
一つの瓶に一種類(新型インフルエンザワクチ
ン)だけ入れられていますが,製造方法は季節性
インフルエンザと同様のものです。
インフルエンザワクチンの効果と副反応
インフルエンザワクチンは残念ながら,ポリオ
や麻疹(はしか)のワクチンほどの高い予防効果
は期待できません。高齢者では,約45%の発病を阻
止し,約80%の死亡を阻止する効果があるとされて
います。若い人たちではもう少し高い効果が得ら
れますが,小児になると,年齢が低いほど効果の
割合は下がり,幼児ではおおよそ20∼30%の効果と
考えられています。これさえやっておけば,とい
うほどの予防効果ではありませんが,少しでもイ
ンフルエンザによる高熱や合併症のリスクを低く
するという考え方になります。小児にみられるイ
ンフルエンザ脳症に対してはワクチンを受けても
残念ながら発症することもあり,脳症の完全な予
防は期待できません。しかし,インフルエンザに
ならなければ脳症にもならないわけで,この点が
合併症のリスクを少しでも低くするためには幼児
へのインフルエンザワクチンの接種は意味があ
る,と考えられるところです。
熱が出たり,接種した場所が腫れたりという程
度の副反応は時に見られることがありますが,経
過を観察するだけで快復するものがほとんどで
す。入院を要するほどの副反応は数百万接種に1
例程度,ワクチンが原因で死に至ったかもしれな
いと考えられる例は数千万接種に1例程度で,一
般に使用されているワクチンのなかでも安全性の
高いワクチンであると言えます。
ずいひつ
結核予防法改正の思い出
厚生労働省大臣官房審議官
(医療保険,医政,
医療・介護連携担当)
唐澤 剛
今から15年前の平成6∼7年,私は当時の保健医
保険者が負担増となり,公費を負担する国と都道府
療局(現在の健康局)に課長補佐として在籍した。1
県が負担減となる。公費負担医療制度は,医療保険
年あまりの短い期間だったが,その間に起こった事件
が普及していない時代に,患者が確実に近代的な医
は,8党連立による細川・羽田内閣から自民・社民・
療を受けられるようにする仕組みだったが,国民皆保
さきがけ3党による村山内閣の成立,健康保険法の改
険が定着した今日,保険優先化を行い,併せて国と
正(付き添い廃止,食事材料費の患者負担),戦後50
都道府県による関連施策の充実を図るため,法律や
年問題と被爆者援護法の制定,阪神淡路大震災,地
予算上の措置を講ずることとした。
下鉄サリン事件など枚挙に暇がない。阪神淡路大震
このため,精神保健法では,題名を精神保健福祉
災の時などは,当然だが土日も休日もなく,30日ほ
法とすること,精神保健指定医を法律上必置とする
ど連続して毎日3時間すら眠ることができなかった。
こと,社会復帰や社会参加を促進するための事業を
震災で真っ先に要請されるのが,救急救助や保健衛
創設することなどを行うこととなった。ところが,結
生対策(例えば感染症対策や透析患者への水の優先
核予防法というのは実に良くできた法律で,ほとんど
確保)であるからだ。
付け加えるところがない。定期の検診や予防接種だ
今回は,その中から結核予防法の改正について書
けでなく,定期外の検診や予防接種まで法律に規定
いてみたい。改正の中心は,結核予防法と精神保健
してあり,その財政的な費用負担もきちんと定められ
法における公費負担医療の保険優先化である。多少
ている。水も漏らさぬ体制が設けられている。結局,
技術的になるが,当時の制度は,まず結核予防法に基
結核関連予算を充実させることになった。
づき公費(国3/4,都道府県1/4)で全額医療費
余談だが,この結核予防法改正法案を諮問するた
を支払い,その上で患者の所得水準に応じて徴収す
め,厚生省外の大変高名な某審議会会長に幹部とと
べき自己負担額を決定するという仕組みであった。所
もに説明に伺った際,会長から「自分が結核になった
得の低い人はほとんど自己負担がなくなる一方,高額
時,頼みもしないのに毎日保健婦が訪ねて来て,日常
所得の人は全額自己負担になる。さらに,その自己負
生活についてああしろだのこうしろだのと閉口した。
担額に医療保険の給付率を適用するという方式(公
けしからん制度だ!」と言われたことがある。当人は
費優先方式)であった。保険優先化というのは,逆
大いに憤慨していたけれども,それくらい一生懸命保
に,まず医療費に医療保険を適用し,残りの患者自己
健指導に努めていたということであり,国を挙げて結
負担部分(70歳以上高齢者や就学前児童を除けば
核対策に取り組んでいたという証左だろう。
3割負担)を公費で軽減する方式である。したがっ
公衆衛生政策の原点は結核対策である。結核はつ
て,公費優先と保険優先は,公費制度と保険制度の
い最近まで死に至るもっとも恐ろしい病であり,今な
適用の順番の問題であって,最終的な患者負担額に
お国内外において最大の感染症の位置を占めてい
はそんなに大きな変化はない。
る。今日でもいささかも警戒を緩めることはできな
しかし,適用の順番は思想の問題でもあり,方式を
い。感染症対策に終わりはない。新型インフルエンザ
変更することについて理解を得ることは簡単ではな
の蔓延が懸念されている今日,私たちはこのことを再
かった。この改正では,国保や健保組合などの医療
び肝に銘ずるべきであろう。
11/2009 複十字 No.330
15
結核予防会のTBキャップ(CAP)を通じた
世界の結核問題への貢献と今後の展望
下内 昭
結核予防会本部国際部 石黒 洋平
結核研究所副所長 Assistance
International Standards for Tuberculosis Care「結
Program)とは,米国のODA援助機関であるUSAID
核医療の国際基準(和訳:結核研究所)」作成およ
(United States Agency for International
び配布であり,世界のすべての医療機関で科学的根
Development;米国国際開発庁)の援助資金の名前
拠に則った質の高い結核医療が実施されることを目
TBCAP
(Tuberculosis
Control
で,TBCTA(Tuberculosis Coalition for Technical
指している。我が国の結核診療にも参考になる文書
Assistance; 結核技術支援連合)がTBCAPの資金を受
であり,2007年の結核病学会で積極的に周知するよ
けて活動している。
う正 式に 採 択 され た 。結 核 研 究 所 ホームページ
結 核 予 防 会もその T B C T A の中に 入っており,
(http://www.jata.or.jp/)から英文(WHOにリン
T B C T A のその 他 のメン バーは I U A T L D
ク)・和訳ともダウンロードが可能である。その他,
(International Union Against Tuberculosis and
結核医療の国際基準の患者ケアの部分をより詳しく
Lung Disease;国際結核肺疾患予防連合),WHO結
した患者憲章も作成され,ストップ結核パートナー
核部門,ATS(American Thoracic Society;米国胸
シップ日本によって和訳も出された。そこには患者
部学会),FHI(Family Health
中心主義が明確にされ,診断,治療に関する情報を
International),
MSH(Management Science for Health),CDC(米
十分に受け,患者が差別を受けることなく,職場復
国疾病対策予防センター),KNCV(オランダ結核予
帰もできる権利などが強調されている。その他,結
防会)と,それぞれ国際保健医療協力の専門機関で
核対策を推進するために種々のガイドラインや研修
あり,世界最大の結核対策連合である。
マニュアルなどが作成され,TBCTAを通じて配布
プロジェクト開始当初2005年は,国別プロジェ
されている
クトは8カ国のみで,資金総額も約640万米ドルで
(http://www.tbcta.org/TB_CAP_Toolbox/)。
あったが,2009年現在は25カ国で資金総額も約
1,667万米ドル(約16億円)(2.6倍)まで拡大した。
経済不況と言われながら,アメリカが海外の結核
対策にこれだけ力を入れていることには驚くばか
りである。今回,下内は,はじめて,オランダ,
ハーグで開催されたTBCAP理事会に出席して分
かったことであるが,米国胸部学会からの理事は
国会議員の国際協力委員会に四半期毎に活動の進
捗状況を報告し,今後とも予算が確保されるよう
に努力しているということであった。直接,国会
議員が国際協力の内容と予算の必要性を判断する
という仕組みそのものが非常にアメリカ的である。
プロジェクトには,5つの目標(アドボカシー,
DOTS拡大,官民連携,エイズ・結核,人材育成)
に基づいた世界共通の政策作成やトレーニング教
材の開発およびトレーニング実施等の専門別プロ
ジェクトと,国別に実施する包括的結核対策推進
プロジェクトの2種類がある。
TB CAPの働きの中で最も大きな貢献は
16
11/2009 複十字 No.330
【白黒濃度計を使ってフイルム濃度を測っている様子】
その中で,最近我々結核予防会が貢献したことの
現在途上国で実施されている光学顕微鏡による塗抹
1つに胸部X線検査に関わるものがある。昨年,予
検査の外部精度保障システムを確立するための方策
防会が中心になり,他のパートナーとともに,胸部
を検討することが重要である。喀痰検査の次の段階
X線の質・技術向上のためのマニュアルを英文で作
である培養検査や感受性検査は検査担当者の訓練お
成し配布した(ダウンロード可 http://www.jata.or.
よび検査設備の確保は通常は困難であるが,カンボ
jp/eindex/News.html)。また,撮影方法の最も重要
ジアでは丁度,JICAプロジェクトとして,結核対策
なチェックポイントを実際のX線写真を利用してポ
の評価の一部である有病率調査を実施する動きがあ
スターを作成し,世界中に配布した。そして今年,
るため,X線検査と菌検査の精度確保のための研修
そのハンドブックを使用して,日本人専門家が中心
も実施可能だと思われる。このように,X線診断標
になり,14カ国の放射線技師を対象に国際研修を2回
準化とさらに新しい喀痰検査方法の精度保障に関し
開催した。その後,バングラデシュでさらに同様の
て日本での豊富な経験に基づいた技術を結核予防会
研修を開催した。ハンドブックの評判はよく,カン
が他の国に技術支援に生かすことは非常に有用であ
ボジアではそれをクメール語に翻訳し,国内での広
る。
い配布を行っている。
【実践的なトレーニングー右から3人目は,伊達専門家】
【バングラデシュ研修での参加者達】
また,全体として言えることは,日本政府と相手
次に,結核予防会結核研究所の国別プロジェクト
国の二国間協力に携わる場合,その成果が当該国以
としてはカンボジアとザンビアに支援をしてきた。
外に及ぶことは非常に少ないが,CDCやKNCVのよ
特にカンボジアでは指導的パートナーとして,国全
うに国際的に活躍している組織と協調してパート
体で他のパートナーの働きをまとめる役目も担って
ナーとして結核対策に取り組むことにより,結核予
いる。今後は今までに作成した種々のガイドライン
防会の有する専門性が国際的に評価されるとともに,
をいかに国の中の事業で実際に使用し,役立ってい
結核予防会としてもNGOとしての国際協力方法を身
るかを確認することが重要な課題である。カンボジ
を持って学ぶことができる。また,自らの働き自体
アでは例えば,現在,喀痰塗抹陽性肺結核患者の新
は比較的規模が小さくてもTBCTA全体として大き
規登録数は横ばいであるが,塗抹陰性肺結核が増加
な目標を達成することができることは有意義なこと
し続けている。このような状況では,塗抹陰性肺結
である。
核の診断の精度を保証するために,質の高いX線撮
最後にこのように世界の結核対策に積極的に関
影を確保するだけでなく,フィルムの陰影を読影す
わっていく人材が今後ますます必要になっているた
る医師の教育訓練も必要になり,その先には日本に
め,国際協力に関心のある方は是非,ご連絡いただ
あるようなX線診断が適正であるかどうかを判断す
くようお願いいたします。
るための結核診査協議会の設置なども考慮しなけれ
ばならないであろう。結核菌検査については,当面,
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第2回国際結核肺疾患連合(The Union)のアジア太平洋
地域学会(Asian Pacific Regional meeting)に参加して
(2009年9月9日-12日:北京)
下内 昭
結核研究所 副所長 結核研究所 企画主幹
吉山 崇
複十字病院 診療主幹 18
第2回国際結核肺疾患連合のアジア太平洋地域学
ン,韓国では有病率は減少しているが,私的医療
会が9月9日-12日に北京郊外のJin Juanホテルで開
機関を利用する結核患者が多いために,耐性結核
催された。2005年にパキスタンで国際結核肺疾患
がむしろ増えていること,インドネシア,マレー
連合の最後のアジア地域学会が開かれた後,アジ
シアでは患者発見率が低いことなどが議論され
ア地域は東側のアジア太平洋地域とインド亜大陸
た。また,結核研究所は,各国の有病率実態調査
を中心とする西側の南東アジア地域にわかれ,ア
に関わり,豊富な経験を有するため,本会議でも
ジア太平洋地域は2007年にマレーシアで,南東ア
有病率実態調査のワークショップを依頼されて開
ジア地域は2008年にインドで最初の学会が開かれ
催した。有病率実態調査は,有病率を知ることに
た。今回は,アジア太平洋地域の2回目の会議と
より,国の結核対策を評価するのが第一目的であ
なる。会議の主題は多剤耐性結核であったが,そ
り,正しい有病率を知るためのX線検査の位置づ
の他,国際結核肺疾患連合の結核以外の柱である
け,菌検査の対象,方法などが議論された。ま
喫煙対策およびその他の肺疾患についても議論が
た,有病率実態調査は,結核対策を利用していな
行われた。
い患者の状況を知る機会ともなっており,私的医
参加者は約1,000人でうち中国人は700人,主に病
療機関との連携などについての情報を得るよい機
院関係およびCDC(地方行政の結核対策担当部
会となるため,一義的な目的以外の研究が数多く
署)の若い年齢層が多く活気にあふれていた。比
付随する。現在のマニュアルではその部分につい
較的人数が多かったのが台湾,香港,フィリピン
ての記載がたりないので今後改定していきたいな
で,あとは韓国,ベトナム,カンボジア,インド
どの意見が出された。
ネシア,ネパール,モンゴル,パキスタンなどか
2日目は結核研究に関する全体会議があり,「結
らであった。日本人の参加は結核研究所から4名,
核対策のイノベーションの必要性について」では
JICAプロジェクトのインドネシアから2名,WHO
新しい技術によって罹患率をどのくらい減らしう
本部,西太平洋地域事務局から3名,合計9名で
るかについて計算を行った。保健に関する介入は
あった。
途上国では採用が遅く普及も十分ではなく,国内
初日の地域内各国の結核対策の発表では日本と
の普及も貧しい人ではさらに不十分である。この
ともに台湾,香港では高齢者の結核が課題となっ
技術の遅れ,普及,非平等性を克服するために
ており,死亡率が高いためにWHOの治療成功率
は,適切な政治的対応などが必要であるとされ
85%を達成するのは困難であり,独自の基準を考え
た。「検査についての新しい技術」ではHIVまん延
る必要があるという意見が出た。また,フィリピ
状況での塗抹検査自体の感度の低さ,多剤耐性結
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核が診断されていないことなどを挙げ,2015年の
を含むDOTを行っており,糖尿病が19/82と多く,
ミレニアム開発目標を達成するために必要な検査
精神病4/82,癌3/82など合併症が多く見られた点
の能力とそのために必要な人材について議論を
は日本と同様である。治療成績は中断なしで治療
行った。「中国の薬剤耐性サーベイ」では,中国
終了症例の7割程度が治癒しており良好であった。
全体の結果が示され,多剤耐性の頻度が,初回治
3日目に吉山は,「多剤耐性結核の看護と臨床」
療の5.7%,再治療の25.6%,XDRが初回治療の
の座長を香港のDr. Tamと務めた。多剤耐性結核入
0.47%と東アジア,南アジアではきわめて高い結果
院患者の看護について北京結核病院看護部長の発
が示された。石川結核研究所長が座長を務めた結
表があり,患者の心理に重点を置いたものであっ
核診断についてのサテライトシンポジウムでは,
た。「特殊なグループでの結核対策」では,貧困
3題発表があった。「台湾の結核検査」では,台
(フィリピン),国境(タイとミャンマー),流動民(中
湾の検査体制が示され,塗抹は102箇所,培養は46
国山東省),刑務所(中国天津市)など,罹患率が高い
箇所(35箇所は固形と液体培地),感受性検査は36箇
群の報告があった。刑務所については,入所者等
所(液体培地が2007年から,遺伝子検査が2008年か
に対する年1回の胸部X線検査で1%以上の患者発見
ら)で行われ,二次薬の感受性検査を行うとする診
率があり,この事業開始のためには専門家が行政
療体制の報告があった。塗抹の質のコントロール
に意見を申し入れたことにより,刑務所が同じ天
は2003年からすすめており,間違いは2.5%から
津市の管轄であったという利点もあり,政治的な
0.2%に減っており,薬剤感受性の質のコントロー
協力が得られたことが成功のもとであった。ま
ルでは,INH,RFPの一致率は99%以上となっている
た,小児結核に対して,ELISPOTの有効性,エタ
など成果を挙げており,核酸増幅法の質のコント
ンブトールが使えることなどを基礎に,WHOが新
ロールは2009年から開始しているほか,二次薬に
しいガイドラインを作ったことなどの報告があっ
対する耐性検査の質のコントロールは2007年に開
た。
始しているなど日本の先を行っている部分もあっ
最終日は再び全体会議で,新しい診断,治療,
た。「私的医療機関との協力」の中国の発表で
ワクチンについての発表,および多剤耐性結核に
は,インターネットを使った報告システムによる
対して今後何をするかについての発表があった。
病院と結核対策担当部局との協力について解説し
新しい診断では,PCR法を用いた耐性診断の実用
た。2002年までの結核患者発見は予測数の20-30%
化への壁の検討がなされた。 程度であった。2003年以降患者発見率は70%近く
今回の北京訪問では,きれいな地下鉄,林立する
なった。インターネットによる患者診断の報告を
ビルなどにより都市部の経済発展の著しさがうかが
病院に義務付け,治療は結核診療所で行うことと
われた。同様に今回の会議に参加して感じたのは,
し,結核診療所に来なかった場合,結核診療所か
アジア地域は結核問題も大きいが,解決のための潜
ら追跡するシステムを作った。病院での診断時は
在能力も非常に高いということである。中国だけで
喀痰塗抹検査が行われていないことが多かった
も毎年推計で130万人の患者が発生し,そのうち10
が,それでも2007年の結核患者のうち病院からの
万人の多剤耐性患者が発生していることになる。し
紹介が37.5%(379,788名)に対して,喀痰塗抹陽性で
かし,それと同時に特に中国,台湾をはじめとする
の病院からの紹介者の割合は32.9%(176,607名)で
アジア各国における対策についての工夫,検査の質
あった。「多剤耐性結核の管理」のシンポジウム
の確保などの進歩は著しく,すでに,日本が先進と
では,フィリピンでは民間医療機関が開始してマ
は言えなくなっている。今後,研究発表や協力など
ニラでの経験をもとに全国展開になりつつある多
を通じて,互いに大いに刺激を与えあうことができ
剤耐性結核診断治療管理体制,台湾では全国に先
ると思われる。本学会は二年毎に開催され,次回は
駆けて多剤耐性患者に対して地域DOTSを実施した
2011年7月香港で行われる予定であるが,是非,日
事例,パキスタンでは大学病院外来での多剤耐性
本から一人でも多くの方に参加して発表していただ
結核治療の計画についての報告があった。台湾で
きたいものである。
は携帯電話の写真で内服のところを確認すること
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平成21年度結核予防技術者地区別講習会実施報告
○講習会テーマ
合同講義Ⅰ・Ⅱ (結核研究所)「さらに進化する結核対策―現状と今後の展開―」Part1.Part2
合同講義Ⅲ
(厚生労働省)「感染症法における結核対策」
医学科講義 「結核診療―最近の動向―」
放射線学科講義 「改正感染症法に対応した結核対策・被検者に対する放射線防護の考え方」
保健看護学科講義 「変革を続ける結核対策∼看護はどう立ち向かうか∼」
○開催地・講師一覧
開 催 地
日 程
東北
(秋田県)
7月 27 日
(月)
∼ 28 日
(火)
関東・甲信越
(千葉県)
東海・北陸
(岐阜県)
近畿
(奈良県)
中国・四国
(高知県)
九州
(宮崎県)
担 当 講 師
合同講義:星野斉之(結核研究所企画・医学科長)
医師:御手洗 聡(結核研究所抗酸菌レファレンス副部長)
保健師:小林典子(結核研究所対策支援部長)
診療放射線技師:星野豊(結核研究所放射線学科長)
厚生労働省:水野智美(健康局結核感染症課専門官)
7 月 16 日
(木)
∼ 17 日
(金)
合同講義:石川信克(結核研究所所長)
医師:御手洗 聡(結核研究所抗酸菌レファレンス副部長)
保健師:永田容子(結核研究所保健看護学科長)
診療放射線技師:星野豊(結核研究所放射線学科長)
厚生労働省:水野智美(健康局結核感染症課専門官)
8月6日
(木)
∼7日
(金)
合同講義:星野斉之(結核研究所企画・医学科長)
医師:吉山 崇(複十字病院第一診療部付部長)
保健師:小林典子(結核研究所対策支援部長)
診療放射線技師:星野豊(結核研究所放射線学科長)
厚生労働省:水野智美(健康局結核感染症課専門官)
7 月 23 日 ( 木)
∼ 24 日
(金)
合同講義:下内 昭(結核研究所副所長)
医師:伊藤邦彦(結核研究所臨床・疫学部長)
保健師:永田容子(結核研究所保健看護学科長)
診療放射線技師:星野豊(結核研究所放射線学科長)
厚生労働省:水野智美(健康局結核感染症課専門官)
9月3日
(木)
∼4日
(金)
合同講義:加藤誠也(結核研究所副所長)
医師:伊藤邦彦(結核研究所臨床・疫学部長)
保健師:永田容子(結核研究所保健看護学科長)
診療放射線技師:星野豊(結核研究所放射線学科長)
厚生労働省:水野智美(健康局結核感染症課専門官)
8月4日
(火)
∼5日
(水)
合同講義:加藤誠也(結核研究所副所長)
医師:吉山 崇(複十字病院第一診療部付部長)
保健師:小林典子(結核研究所対策支援部長)
診療放射線技師:星野豊(結核研究所放射線学科長)
厚生労働省:水野智美(健康局結核感染症課専門官)
東北地区(秋田県)
秋田県健康福祉部健康推進課
健康危機管理・疾病対策班
主査 成田
千秋
平成21年度東北地区結核予防地区別講習会は,6
年振りに秋田県が担当県となり,7月27日・28日の
2日間にわたり,秋田市で開催いたしました。
今年は4月下旬から新型インフルエンザの対応等
で各県の関係者の皆さまにおかれましては忙殺の最
中だったと思いますが,東北各地区の行政担当者を
はじめ,保健所や市町村,医療機関,高齢者福祉施
設等から170名を超える方々にご参加いただきまし
た。合同講義では,結核予防会結核研究所の星野斉
之先生より「さらに変革する結核対策−現状と今後
の展開−Ⅰ・Ⅱ」としまして2日間に渡り,結核の
基礎から最近の結核の傾向まで,丁寧にわかりやす
く御講義いただきました。厚生労働省健康局結核感
染症課水野専門官からは「最近の結核の動向」とし
まして,感染症法における結核対策,医療基準の改
20
11/2009 複十字 No.330
正等現行の結核行政のポイントについて詳細の御講
義をいただきました。結核対策特別促進事業の報告
では,青森県弘前保健所から「公共機関における結
核集団感染への対応」,市立秋田総合病院から「院
内DOTSの現状」,当県由利本荘保健所から「こ
れからの地域DOTSのあり方について」の事例発
表のあと,結核研究所小林対策支援部長はじめ,講
師の先生方から貴重な御助言をいただきました。結
核対策はそれぞれの立場での役割,対象者との関
係,関係者同士の連携等,対策の難しさと重要性を
再認識した場面でした。行政担当者会議では,当方
の準備不足が否めませんでしたが,各県の担当者の
方々の御協力の下,限られた時間の中で,QFT検
査を含む接触者健診の課題や結核病床確保の問題等
各県が抱える問題について情報交換でき非常に有意
義でした。
最後になりましたが,講師の先生方,ご多忙中に
もかかわらず事例発表をいただいた皆様,各自治体
の担当者の皆様,結核研究所はじめ企画・運営に御
協力をいただいた皆様,そして遠路秋田までお越し
くださりご参加くださった皆様にこの場をお借りし
まして深く感謝申し上げます。
関東・甲信越地区(千葉県)
千葉県健康福祉部疾病対策課
主査 高橋
栄一
平成21年度の関東・甲信越地区の結核予防技術者
地区別講習会は,7月16日及び17日に千葉県におい
て開催いたしました。
本年度は,4月にタレントが肺結核になり,結核対
策をしっかり実施しなければと意気込んでいたところ
に,5月に新型インフルエンザが発生し,その対策も
実施しなければならなくなり大変苦慮することになり
ました。また,新型インフルエンザ対策の先が見えな
かったため,講習会も延期か中止かと危ぶまれたとこ
ろですが,関係者の御協力により開催に至りました。
講習会は,県内外の保健所・市町村・医療機関など
から約180名の方々に御参加いただき,改めて開催し
東海・北陸地区(岐阜県)
岐阜県健康福祉部保健医療課
感染症対策担当
主事 三森
克俊
平成21年度東海・北陸地区結核予防技術者地区別
講習会は,岐阜県を担当県としまして8月6日・7
日の2日間にわたり,岐阜市のじゅうろくプラザに
て開催しました。
この講習会には,県内外の保健所,市町村,医療
機関等から約150名の方々にご参加いただきまし
た。合同講義では,結核についての基本的事項に始
まりDOTS戦略,結核医療提供体制の現状,外国人
結核の問題等の専門的な内容まで,幅広い範囲につ
いて分かりやすく御講義をいただきました。また職
種別講義におきましては,医師・保健師・診療放射
線技師の先生方それぞれの専門的な立場から御講義
いただき,今後の結核対策を進めるにあたりまして
大変参考になる内容でありました。結核対策特別促
進事業の報告・評価では,愛知県西尾保健所から
「西尾保健所で実施した全数DOTSの取り組み」,
近畿地区(奈良県)
奈良県福祉部健康安全局
健康増進課
感染症係 水野
智雄
平成21年度の結核予防技術者地区別講習会は奈良
県が担当になり,7月23日,24日の2日間にわた
り,奈良市の奈良県文化会館で開催いたしました。
新型インフルエンザの発生で多忙な中,県内外の
県庁,各保健所,各市町村,医療機関から約150名
のご参加をいただきました。結核予防会から結核研
究所下内昭副所長,同臨床・疫学部伊藤部長,同対
策支援部保健看護学科永田科長,同放射線学科星野
科長,厚生労働省から健康局結核感染症課水野専門
官をお招きし,御講演をしていただきました。合同
講義では,結核研究所下内昭副所長から『さらに変
革する結核対策Ⅰ』と題し,結核対策の現状と今後
の展開について,『さらに変革する結核対策Ⅱ』と
題し,大阪市の事例を中心に小児結核の動向,都市
部における結核対策について具体的な御講演を頂き
ました。厚生労働省健康局結核感染症課水野専門官
からは「最近の結核対策の動向」を御講演頂きまし
てよかったと実感したところです。
今回の合同講義等は,結核研究所の先生方や厚生
労働省結核感染症課の担当者から,最新のトピック
スも交えて結核に関する専門的な知見を幅広い内容
で御講義いただきました。特に「結核対策特別促進
事業の報告」では,千葉県安房健康福祉センター
(保健所)が「地域連携クリティカルパスを用いた
高齢者結核早期発見システムの構築」を報告し,ま
た(財)ちば県民保健予防財団の鈴木公典先生が
「QFT検査の有用性」を御講演され,多数の参加者
から今後取り組む上で参考になったと意見をいただ
きました。この2日間の講習会は,参加者間で活発
な意見交換が行われたため,大変有意義な結核day
となりました。
最後になりますが,講師の先生方,各自治体の担
当の皆様,そして参加された皆様にこの場をお借り
して厚くお礼申し上げます。
岐阜県西濃保健所から「西濃保健所におけるDOTS
事業の取り組みについて」,国立病院機構長良医療
センターから「長良医療センターにおけるDOTSの
現状と今後の課題」についてそれぞれ担当者から報
告いただいたうえで,これらの事業に対して厚生労
働省及び結核研究所の先生方からご助言いただき,
今後各自治体においてDOTS事業を進めていく上で
大変有意義であったと思います。
講習会後に行われた担当者会議では,各自治体か
ら結核公費負担のレセプト審査,就業制限,診査協
議会の基準について等の議題の提出があり,それぞ
れの自治体における現状や自治体独自の取り組みを
確認するとともに,講師の先生方からも的確なご助
言をいただくことにより,今回議題に挙がった案件
についての方向性を確認のできる大変よい機会とな
りました。
本講習会の企画の段階からご協力いただきました
結核研究所の方々,ご多忙のところ発表を引き受け
てくださった結 核 対 策 特 別 促 進 事 業の報 告 者 の
方々,そして講習会にご参加くださいました方々に
は,講習会が無事終了しましたことにつきまして感
謝の意を示させていただきますとともに,本講習会
の内容を今後の結核対策活動において活かしていた
だければ大変ありがたく思います。
た。職種別講義では,結核研究所臨床・疫学部伊藤
部長より,結核診療における動向及び結核医療の基
準の改正についての医師講義,結核研究所対策支援
部保健看護学科永田科長からは看護の立場における
結核の現状と対策を,同放射線学科星野科長からは
改正感染症法に対応した結核対策と被検者に対する
放射線防護の考え方を御講演いただきました。結核
対策特別促進事業の報告では①甲賀地域での結核対
策からみえてきた課題∼高齢者・外国人・結核発症
ハイリスク者∼(滋賀県),②小規模事業所におけ
る結核の集団感染∼発症から1年後に見えてきたこ
と∼(京都府),③薬局DOTSを活用した患者支援
の一事例(兵庫県),④和歌山県DOTSマニュアル
について(和歌山県),⑤奈良県のDOTS対策∼取
り組みの経過と課題∼(奈良県),⑥東大阪市の
DOTSについて(大阪府)の6題をご紹介頂きまし
た。短い時間ではありましたが,専門の先生方から
結核対策に関する最新の知識や技術を学ぶことがで
きました。また,各県市の結核の現状や対策につい
て把握できる有意義な講習会となりました。
最後になりましたが,当講習会に参加頂きました
皆様及び講師の諸先生方にはこの場をお借りいたし
まして深く感謝申し上げます。
※本号では4地区を紹介しました。
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第10回アジア・太平洋タバコ対策会議に備えて
全国禁煙推進協議会 事務局長
NPO法人日本禁煙学会 理事
東京衛生病院健康教育科課長
宮﨑 恭一(APACT日本代表)
はじめに
and Health」発表以来急激に喫煙率が低下し,その
第9回アジア・太平洋タバコ対策会議(APACT)
ためタバコロビーは政府を動かし,1974年に貿易
は2010年10月シドニーにて開催が予定されている。
法第301条(一般にSection301と呼んでいる)を通
今年の3月,タバコか健康か世界会議に先立って,
過させたのである。これは「すべての米国に輸出
APACT理事会がインドのムンバイにて行われ,第
している国は自由貿易として米国の生産物を関税
10回会議は2013年8月に千葉の幕張メッセを会場と
なしか低関税で受け入れなくてはならない」と
して開催することが決議された。主催母体として,
いった内容のかなり一方的な法律であった。タバ
千葉県,たばこと健康問題NGO協議会,日本禁煙学
コ産業はセクション301を盾に当時の発展途上国に
会,日本禁煙推進医師歯科医師連盟などが協力し
マーケットを広げようと画策したわけである。
合って,準備委員会を立ち上げる予定である。
この動きが1989年タイ国に向かってなされようと
したとき,John Tung Foundationの理事長であるデ
APACTの歴史
ビッド・エン博士(Dr. David Yen)はアメリカの
第1回アジア・太平洋タバコ対策会議は1989年3
Ted Chen博士,韓国の消費者連盟会長のチョン女
月,台湾の台北市で開催された。それは1987年に台
史(Kwang-Mo Chung)と相談し,日本からは平山
湾への米国タバコから市場開放を迫られたことが
雄博士を招いて,アジアのタバコ対策会議を開催し
きっかけとなった。国内のタバコ消費減少を訴えて
たの が アジア・太 平 洋タバコ 対 策 会 議 すなわち
いた財団法人董氏基金会(John Tung Foundation)
APACT(Asia Pacific Association for Control
は外国タバコが国内に入ったら喫煙者が増えること
Tobacco)会議の第1回となったのである。
を憂慮したのである。即アメリカに飛んで,台湾出
22
身のマサチューセッツ大学公衆衛生学教授のテッ
過去のAPACT開催国
ド・チェン博士(Ted Chen)に相談し,さらに同大
第2回は1991年に韓国ソウルで開催され,1993年
医学部の教授であったグレゴリー・コノリー博士
には日本の大宮で第3回が開催された。続いて第4
(Gregory N. Connolly)の知恵をいただき,ワシン
回をタイのチェンマイ,第5回をフィリピンのスー
トンDCで当時のジョージ・ブッシュ大統領に掛け
ビック,第6回が香港,第7回が再び韓国の慶州,
合ったのであった。「アメリカは台湾の味方なのか
そして第8回を台湾で開催したのである。台湾での
敵なのか」というスローガンで新聞の全面広告まで
会議が18年目ということで一つの区切りとするた
して訴えたのだが,市場開放の圧力は強く,アメリ
め,オープニングセッションで,各会議代表が表
カタバコ会社の勝利となったのである。
彰された。しかし,韓国のチョン女史もフィリピ
これは台湾だけの問題ではなく,すでに1986年に
ンのタン博士も諸事情で来ることができず,日本
日本が無関税でアメリカタバコの輸入を中曽根首相
の代表であった心臓財団事務総長(当時)の大和
が受け入れてしまい,1987年に台湾,1988年には韓
久泰太郎氏も他界されたので,少々さびしい表彰
国とアジア販売拡張戦略の猛威に見舞われた。
式となった。第3回会議の事務局長を務めた仲野暢
米国では1964年の公衆衛生局総監の「Smoking
子氏も全国禁煙・分煙推進協議会会長の平間先生
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も不参加だったため,日本代表として事務局長で
世界に訴える場としたい。そこで,千代田区長,
ある私が僭越ながら記念の盾を受領させていただ
神奈川県知事をはじめとしたメンバーで地方自治
いた。
体タバコ対策会議を開催する。千葉県知事が議長
として,最先端の条例を紹介する。また,アジア
第10回APACT会議の準備として
諸国の青年たちを招待して,各国の青少年喫煙対
たばこと健康問題NGO協議会,日本禁煙学会な
策の状況を発表してもらう。最近とげぬき地蔵で
どで検討中であるが,以下のようなプロセスをふ
有名な高岩寺が境内禁煙したことなどで,宗教団
むことになる。
体の喫煙対策への役割などのシンポジウム,タバ
まず開催日程は会場を抑えるため,2013年8月18
コ規制枠組み条約による各国の評価,児童による
日(日)∼21日(水)とした。事務局として結核予
禁煙ポスターコンテストなどが考えられる。
防会にお願いできるのか,独立した事務所を借り各
NGOメンバーによる事務局集団とするのかなどこれ
国際交流の場として
から検討が必要である。準備の流れとしては,1)
APACT会議は決して学術的な発表や討論で終わ
2 0 0 9 年 3 月 7 日( 土 ) イ ン ド ・ ム ン バ イ で の
らない。タバコ対策でつながった各国の代表が望
APACT会議にて開催国の推薦がなされ,日本禁煙
んでいることは,もっと深い交流である。民族衣
学会作田理事長が代表して提案し,全員一致で日本
装を身にまとった参加者のパーティー,日本舞踊
での開催決議がなされた。2)2009年度内に主催
や日本の文化を満喫するレセプションはもちろ
者,開催日,開催地,テーマなどを決定していく。
ん,ディズニーランドも近いし,東京湾クルージ
3)2010年初頭に開催準備委員会,事務局会議など
ングや市内観光等盛りだくさんな学会にしたいも
開始し,4)2010年10月6日(水)∼9日(土)に開
のである。民族衣装を着た参加者による禁煙推進
催予定の第9回APACT会議(シドニー)にて,最終
パレードも可能である。ちょうど夏休み中なの
日プレゼンテーションがなされ,日本の大会長が
で,市民に呼び掛けて浴衣パレードもあってよ
APACTメダルを継承する。5)スポンサー,支援
い。
団体からの資金の確保,学会旅行代理店の選定な
ど,また招待者,講師,プログラムの企画,学術委
これから
員会の設置も始まる。6)2011年内にウエブサイト
タバコ対策は長くて困難な道のりを歩いてき
の構築,参加募集,コンテストアナウンス,7)
た。タバコ産業というジャイアントに対してNGO
2012年初頭にアブストラクト募集,奨学金候補選定
もNPOも小さな抵抗にすぎない。しかしアジアの
など開始,学会の具体的な運営をおこなうPCOの選
国々が手を取り合って,健康的なアジアをめざし
定をするといった一連の作業がこれからの3年間で
て協力し合うことは,国際的にも求められている
進められる。
ことである。ぜひ,この国際会議を成功させよう
ではありませんか。
新しい企画を盛り込む
久しぶりに日本で開催されるので,喫煙対策後
進国(WHOの諸会議で指摘されている)として
は,この10年間でどのような対策がなされたかを
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地域に密着した公衆衛生活動
一筋に尽くされた先生
みさわ
ひろと
三澤 博人
先生
元(財)新潟県保健衛生センター会長
平成21年8月31日逝去 享年88歳
文:結核予防会 会長 青木正和
三澤先生は新潟県巻保健所所長として長い間,結核,肺がん,糖尿病,高血圧対策など地域の公衆衛生対
策に尽くされ,「巻保健所の三澤先生」と言えば関係者で知らぬ人が居ないほどその名前は全国に轟き,ある
人は「三澤保健所の巻先生?」と間違えるほど先生の名前も保健所の名前も有名であった。このため昭和33
年に結核予防事業に秀でた保健所を全国から選び,患者登録の整備,患者の家庭訪問や指導,家族の健康診
断など当時「患者管理」と呼ばれる事業の実施のための研究を始めたとき,その研究メンバーに三澤先生は
真っ先に選ばれ,ご活躍されたことから結核予防会,あるいは結核研究所と三澤先生は密接な関係を持つよ
うになり,これは先生が亡くなるまで続いたのである。
その温厚,篤実で親切な人柄,高潔で医師としての使命感に徹した仕事ぶりから,先生と接したことのあ
る医師,保健師などの多くの関係者にとって,先生は忘れ去ることのできない先輩であった。
医者になって間もなくから公衆衛生事業に
先生の一生は文字通り地域の公衆衛生活動全般に
三澤先生は昭和20年9月,新潟医科大学付属医学
及び,結核の読影,肺がんの診断などに抜きんでて
専門部をご卒業の後,新潟医科大学副手を経て23年
優れ,新潟県の公衆衛生の質を高め,新潟県を全国
には新潟保健所技術吏員になられて地域の公衆衛生
に誇る精度の高い健診,保健指導の地域としたので
活動に飛び込まれた。25年には新潟県津川保健所長,
ある。
30年には巻保健所長になられ,その後しばしば県の
24
要職につくことを勧められたが辞退し,昭和53年ま
結核対策に関する功績
で実に23年間,巻保健所長として地域に密着した公
三澤先生はレントゲン写真,とりわけ間接撮影写
衆衛生活動に専心されたのである。53年12月からは
真の読影では抜きん出て優れた方であった。わが国
社会福祉法人新潟市社会事業協会信楽園病院に移ら
のレントゲン読影のリーダーとも言うべき岩崎先生
れて患者の治療に当たり,60年には(財)新潟県保健
(結核研究所所長)も三澤先生の読影には一目を置
衛生センター理事となり,平成元年からは同セン
いていらっしゃった。それだけではない。発見患者
ター理事長,13年には会長となり,新潟県の結核,
の治療,保健指導でも適切で優れていた。このため
肺がん,成人病健診など,特に質の高い健診事業の
昭和33年からは厚生省結核管理方式研究班員として,
普及発展に献身的に尽力された。平成20年に会長職
国の結核対策の向上に大きな役割を果たした。また,
を辞し,後進の指導の他は悠々自適の生活に入られ
昭和50年にWHOの委託を受けて開始した「リファ
たが,平成21年8月31日,突然,腹部大動脈瘤破裂
ンピシンを含む短期化学療法のフィールド研究」で
により急逝された。
は,新潟県がフィールドに選ばれ,結核研究所と共
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同でその実験に取り組んだ。リファンピシンを含む
唱して住民運動を盛り上げたが,これらの結果,健
短期化学療法は今では常識になっているが,当時全
診受検者の脳卒中死亡は著しく減少する成果を挙げ
国では平均4年を超える長期治療が行われていた。
られたのである。
地域で短期療法の研究を実施するのは大変なことで
あったが,県,各結核療養所,保健所の協力を得て
医師,保健師などの教育・育成に関する業績
新潟県で実施された。筆者はこの研究で新潟県をし
三澤先生は昭和28年から新潟県公衆衛生看護学校
ばしば訪れることとなり,研究の中心的存在だった
の講師を勤め,温厚,篤実で親切な人柄もあって多
三澤先生から多くのことを教わることが出来た。今
くの保健師から慕われ,地域保健での活動を通して
も懐かしい思い出である。こうして新潟県は質の高
も保健師に大きな影響を与えた。
い結核対策を今も誇っているが,三澤先生のご業績
レントゲン写真の読影については朝早く出勤され
ははかり知れなく大きく,全国の模範となっている
て読影勉強会を行ったりして,多くの医師に精度の
のである。
高い読影技術を広げられた。ここまで述べてきた多
くの公衆衛生活動はまさに日本が誇るべきものだっ
肺がん対策に対する功績
たので,結核研究所では昭和38年から実施している
三澤先生は結核健診のX線写真読影で早期の肺が
「国際医師研修」の重要な実地研修の一つとして新潟
んが発見できることに早くから注目されていた。巻
県の公衆衛生活動の見学を加えてきたが,その度に
保健所管内での肺がん発見の優れた業績の蓄積も
県庁,巻保健所などを訪れて実地を見学してもらい,
あって,昭和50年に厚生省癌研究費研究(池田班)
三澤先生にも直接ご指導を頂いた。世界各国から来
が結成されると,班員となった栗田雄三先生(現セ
日した医師たちはその活発で質の高い活動に強い感
ンター理事長)と共に積極的に参加され,成毛班,
銘を受け,何年もたって国際学会などで会うと,新
金子班,藤村班と引き続き,精度の高い「新潟県の
潟の話を懐かしがって話す研修生が少なくなかった。
肺がん検診」の名を全国に轟かせた。今も岡山県,
宮城県と共に新潟県の肺がん検診は精度の高いもの
公益法人の役員としての功績
として知られているが,栗田雄三先生と共にこれを
昭和60年からは(財)新潟県保健衛生センターの
作り上げられた三澤先生の業績は大きく,日本全体
理事,62年には副理事長になられ,その後理事長,
のモデルの一つとなっているのである。
さらに平成13年からは会長として県民の健康増進に
特に昭和53年からは巻保健所の3市町村で県のモ
民間の立場で努められ,その運営の難しい時期に新
デル事業として肺がん検診を実施し,また,新潟県
潟県民の健康問題全般に長い経験を生かして尽力さ
肺がん検診委員会委員として「新潟県方式による肺
れたのだった。
がん検診」の指導的役割を果たし,さらに,後進の
先生はまさに戦後の公衆衛生活動の黎明期から実
指導につくすなど,肺がん対策に大きな貢献をされ
地活動の先達となって歩まれ,生涯をその発達とと
たのである。
もに歩まれた。仕事に集中し,家庭を顧みる暇もな
い幅広い活動に精励され,ようやく悠々自適の生活
生活習慣病対策に関する業績
に入られて1年余で突然,病に倒れられ,急逝され
先生は昭和44年から巻保健所管内で脳卒中特別対
た。お通夜,告別式は神式で厳かに執り行われたが,
策を始められ,次いで糖尿病健診を加え,健診後の
教え子だった保健師さんたちを始め,多くの方々が
運動療法,食事療法,医療の促進を進めるなど,生
生前の先生を慕って参加された。
活習慣病対策を目ざした総合健診の実施,普及に努
謹んで心からご冥福を祈る次第である。
められた。さらに昭和45年には脳卒中半減運動を提
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2009年 世界エイズデー実施に際して
―12月1日を中心に全国各地で様々な
「世界エイズデー」イベントを実施―
財団法人エイズ予防財団
沢崎 康
業務課課長 1.「世界エイズデー」とは
WHO(世界保健機関)は,1988年に世界的レ
ベルでのエイズまん延防止と患者・感染者に対す
る差別・偏見の解消を図ることを目的として,12
月1日を「世界エイズデー」(World AIDS Day)
と定め,エイズに関する啓発活動等の実施を提唱
しました。1996年より,WHOに代わって,国連
のエイズ対策の総合調整を行うこととなったUN
AIDS(国連合同エイズ計画)もこの活動を継
承しています。日本でもUNAIDSが提唱する
World AIDS Dayに賛同し,その趣旨を踏まえ,12
月1日を中心にエイズに関する正しい知識等につ
いての啓発活動を推進し,全国各地で様々なイベ
ントが実施されています。
世界エイズデー実施に当たり,毎年キャンペー
ンのテーマを用いて行っています。2009年度は
「Living Together∼いま,何をすれば良いのか聴
かせて?∼」というテーマです。また世界エイズ
デー実施の普及啓発にあたって,「個別施策層に
焦点をあてた普及啓発」「人権の尊重」「HIV治療
の進歩と検査・早期治療の重要性」などに留意す
るよう,要綱で定められています。世界エイズ
デーキャンペーンには,エイズの理解と支援の世
界共通のシンボルである「レッドリボン」が使わ
れています。
2.厚生労働省・エイズ予防財団と日本全国各地での
取り組み
12月1日を中心とした前後の日には,厚生労働
省・エイズ予防財団が中心になって全国に向けて普
及啓発のためのキャンペーンの実施を予定してい
ます。
レッドリボンライブと街頭キャンペーン
今年は厚生労働省が,渋谷のライブハウスで
RED RIBBON LIVE 2009 を11月28日(土)17:
30∼21:00に予定しています。これには著名アー
ティスト等による無料招待のライブ&トークを行
い,若者を中心とした世代に予防啓発のメッセー
ジを発信するイベントです。エイズ予防財団では
このコンサートにあわせ,会場入り口で普及啓発
キャンペーンを行うほか,この日の午後は 渋谷駅
前のハチ公前広場でも街頭キャンペーンを行いま
す。こちらでは,学生ボランティアなども多数参
加し,全国でも有数の繁華街で若者向けにエイズ
予防啓発グッズを配布するなどのキャンペーンを
行う予定です。
即日無料匿名HIV検査
また,同日28日は,渋谷の道玄坂にある「シブ
26
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ヤ・ネクサス」にてHIV(エイズ)無料検査も
行う予定です。これはHIV検査・相談事業の一
環として,HIV検査を希望する若者等への検査
が受けやすい環境を確保することを目的として,
エイズ予防財団と,NPO法人HIVと人権・情報セ
ンター(JHC)と渋谷区の3者の協力により実施す
るものです。
エイズ啓発ポスターコンクール
また エイズ予防財団では毎年,青少年層に対し
て,HIV/エイズについて関心をもってもらい,
また考えるきっかけにするため,小学生,中学
生,高校生,一般の部門ごとに最優秀賞,優秀賞
等を選出し,表彰を行っています。その最優秀賞
の中から決定した,普及啓発ポスターから作成し
たポスターを,全国に自治体を通して配布し多く
の人の目の触れるところに掲示します。今年度の
ポスターに採用が決まったのは,中学部門の最優
秀賞で東京都板橋区立桜川中学校の瀬下みくさん
の作品です(図1)。また一般部門の最優秀賞は
岡田将和さんの作品(図2)で,日本では1日平均
4人(以上)の感染が起こっていることを示してい
ます。
(図1)
(図 2)
インターネットによる啓発及び情報提供
このほか日本全国各地でも,12月1日の世界エイ
ズデー前後には,地方自治体はじめ,大学や高校
などの文化祭や,地域の催しなどで,NGOと協力
するなど地域に密着した様々な取り組みが行われ
ます。これらの情報は,エイズ予防財団のホーム
ページ(エイズ予防情報ネットhttp://api-net.jfap.
or.jp/)において,全国のイベントの紹介及び検査
相談体制の案内などを掲載し,ご案内していま
す。
「連載企画」∼結核に縁(ゆかり)の地歴訪∼
第1回「清瀬」―結核関係者の聖地―
島尾 忠男
結核予防会顧問 池袋から西武池袋線で30分,清瀬駅で降りて南口から2番のバスに乗り,三つ目の停留所「複十字病院前」で降
りると,左側に結核予防会複十字病院のレンガ色,そして結核研究所の白い建物が目に入る。右側に看護協会の研
修所,その奥に国立看護大学,そしてその東側に清瀬中央公園があり,その中に「ここに清瀬病院ありき」という
石碑がある。昭和6年に当時の清瀬村に開設された最初の結核療養所である東京府立清瀬病院であった場所を記念
しての碑である。
当時結核は人に嫌われた差別の対象となる疾患であり,その患者を集めて治療する施設ができるということで,
地元の住民からは強い反対運動が起こり,大変な労苦の末にやっと開設にこぎつけたと承っている。当時の清瀬村
は無医村であり,清瀬病院に勤務する医師が村民に病人が出たときには往診に行くからといって村民の理解を求め
たという話も承っている。一度病院が開設されると,その傍はほかのことには利用しにくいので,次に結核療養所
を作りたいときには,隣接地が候補となり,慈生会のベトレヘムの園が昭和10年に作られ,昭和14年には救世軍の
清心療養園,傷痍軍人東京療養所,上宮教会の清瀬療園が相次いで建設された。翌昭和15年には信愛病院が開設さ
れた。昭和14年に設立された結核予防会も結核研究所を清瀬に作ることになり,附属療養所の建設が始められた。
昭和18年には日本鋼管の清瀬浴風院と,日本鋼管・沖電気の共同による清瀬保養園が開設され,終戦までに清瀬に
は8つの結核療養所が作られていた。いずれも当時の武蔵野電鉄,現在の西武池袋線の南側の地域であり,清瀬村
の住民のほとんどの方が住んでおられた線路の北側の地域とはかなりはっきり分かれていた。
終戦後の荒廃した環境の中で,結核は強く蔓延し続け,入院を待つ結核患者も多かったため,昭和22年には東京
都職員清瀬療養所,結核研究所附属療養所が開設され,翌昭和23年には都立清瀬小児療養所が開設され,さらに織
本病院と生光会清瀬療養所が加わり,昭和30年代初期の最盛期には,西武線南側の地域に13の結核療養所が集中し,
5千人を超える結核患者が療養していた。全国各地でも,結核療養所がいくつか集まっている地域はあるが,清瀬
ほど集中的に結核療養所がある地域は存在しない。ここで,多くの結核患者が治癒を願いながら,命を賭けた療養
生活を送り,多くの医師や看護師らが,患者を助けて一人でも多くの患者を治そうという努力を日夜展開していた。
清瀬の結核関係施設の中で,結核研究所は本来結核対策や治療に関連する研究活動を行う機関であり,結核症の
病理学的な研究や細菌学的な研究を行い,その附属療養所,国立東京療養所(傷痍軍人東京療養所から戦後転換),
国立清瀬病院(都立清瀬病院から転換)などの諸施設では,当時目覚ましい進歩をとげつつあった結核医療につい
て,先端的な研究活動を展開しており,清瀬の施設が日本全体の結核治療の研究についてリーダーシップをとって
いたともいえる。全国の国立結核療養所を縦断的に組織した國療化研の事務局が東京療養所に置かれていたことも,
清瀬の重要性を示す一端である。
結核研究所では研究活動と並行して,結核対策に従事する医師などの研修にも創立以来熱心に従事し,戦後も早
くから研修活動を再開した。多くの医師,保健師,診療放射線技師が清瀬で数か月宿舎に泊まりながら研修を受け,
修了後は全国の結核対策の第一線で活躍してくれた。ここで研修を受けた方々には,「清瀬」は忘れられない名前
である。
結核研究所では,昭和38年以降英語で行う結核対策に関する国際研修コースを開始した。コースはその後ずっと
続けられ,現在まで97か国から2,100名の研修生が研修を修了し,世界各地で結核対策に従事している。また,研
修生の他に,世界の著名な結核専門家も講師として講義をし,その多くの方は結核研究所の宿舎に泊まっている。
こうして今や,「清瀬」は結核患者にとって親しみのある地名であるだけでなく,日本の結核対策関係者,そし
て世界の結核対策関係者にとっても,結核の代名詞ともいえる地名になっている。
連載第1回に「清瀬」を選んだのは,こうした理由による。
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「連載企画」∼結核に縁(ゆかり)の地歴訪∼
清瀬市周辺地図
信愛病院(現在)
ベトレヘムの園病院
慈生会ベトレヘムの園
救世軍清瀬病院(現在)
救世軍清心療養園(昭和20年代頃)※現救世軍清瀬病院
清瀬上宮病院(現在)※旧上宮教会清瀬療園
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結核患者のための歩行訓練路(現在)
訓練路
信愛病院(昭和20年代頃)
「ここに清瀬病院ありき」碑(現在)
清瀬病院(昭和20年代頃)
清瀬駅(昭和25年、昭和30年頃)
に設けられたベンチ(現在)
竹丘病院(現在)
清瀬保養園(昭和20年代頃)※現竹丘病院
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予防会だより
∼普及啓発活動∼複十字シール運動活動報告∼
生命保険修士会事務局訪問・講演
5月1日,千代田区丸の
内の,生命保険修士会事
務局に於いて,「生命保
険修士会四役会議」が開
かれ,結核予防会より4
名で訪問し,会議終了後,
土居通明 元会長(現相談
役),赤田隆史 元副会長
生命保険修士会元会長
(現相談役)土居通明 様
(現会長),清水肇研修部
長,事務局の方々とお会
いして結核予防会の事業概要とシール募金について
説明させていただくことができました。
土居 元会長は,当会の活動に深い関心を示され,
早速 STBJ(ストップ結核パートナーシップ日
本)の団体会員へご加入いただきました。
その後,清水研修部長より,「修士会定例研修会」
での講演のお話をいただいて,9月5日当会結核研
究所名誉所長 森 亨先生の講演が実現し,生命保険
修士会の方約70名が出席されました。演題は「ス
トップ結核!結核対策・・・世界では今」で非常に
わかりやすく興味深いものでした。
また,ACジャパンのポスター「立ち止まって考
えてみよう」を持参し,各社に掲示をお願い致しま
した。講演終了後には,参加者の皆さまより多額の
募金をいただけましたことを誌面を借りて御礼申し
上げます。ご協力ありがとうございました。
結核研究所 森 亨 名誉所長,カレッド・レシャード医師 第61回保健文化賞を受賞
第一生命保険相互会社主催による,「第61回保
健文化賞」が発表され,今回,10団体・個人5名
が決定しました。
個人表彰では,結核研究所森亨名誉所長ならび
に,第11回秩父宮妃記念結核予防功労賞(国際協
力功労賞)受賞者でもある,カレッド・レシャー
ド(Khared Reshad)医師(静岡県島田市)が受賞さ
れました。贈呈式は,10月27日都内ホテルにて行
われ厚生労働大臣から表彰状,第一生命からは感
謝状とともに賞金を贈られました。また,翌日皇
居において天皇皇后両陛下の拝謁の栄に浴されま
した。
グローバルフェスタJAPAN2009に出展
10月3日(土),4日(日)の両日,千代田区日比
谷公園において,グローバルフェスタJAPAN2009が
開催されました。同イベントは,「10月6日は国際協
力の日」を記念し,主催を「グローバルフェスタ
JAPAN2009実行委員会」,共催を,「外務省・国際
協 力 機 構 ( J I C A )・ 国 際 協 力 N G O セ ン タ ー
(JANIC)」とし1990年から開催されています。結核予
防会からもブース出展し,テント内にフィリピン・
ザンビアプロジェクトのパネル展示や結核研究所の
大角,村上両医師よりプロジェクト報告を行いまし
た。本部職員も道行く人に,結核の常識2009,シー
ルぼうやマスクなど広報資料をお配りし,またお子
様連れの方にはシールぼうや風船を渡すなどし,両
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日で1,600セット用意した資料は,2日目には早々に
無くなるなど,盛況のうち閉幕しました。
ブース前では、広報資料をお配りしました
「医師たちとみんなで歩こう! in 新宿」
−ウォーキングイベントのゴール地点で肺年齢チェック−
10月18日(日),東京都新宿区の新宿中央公園
「水の広場」を午前中にスタートした健康日本21健
やか生活習慣フェスタ2009ウォーキングイベントの
ゴール地点である新宿区立西戸山中学校体育館で
「健やか生活習慣づくりフェア」が開催され,結核
予防会はCOPD共同研究者の日本ベーリンガーイ
ンゲルハイム株式会社と共に肺年齢チェックで初参
加しました。同じブースで一緒に出展した日本呼吸
器学会と協力し合って肺年齢普及の配布資料を共有
しました。隣のブースでは日本医師会の内田常任理
事,今村常任理事ら医師による健康相談が行われる
など,ウォーキングイベントと合わせて参加者の健
康増進に役立つ企画に,本会も肺年齢チェックで参
画できたことを嬉しく思いました。
10時半頃から午後3時頃までの約4時間半に,
ゴールまで完歩されたウォーキング参加者等来場
者のうち87名が肺年齢チェックを受けられました。
中学校の体育館で肺年齢チェック
体験者の方々にはCOPDや肺年齢を知っていた
だき,たばこの害や肺の健康について関心を深め
ていただくよい機会となりました。(文責:編集部)
多額のご寄付をくださった方々
<指定寄付者>(敬称略)
吉一,安藤敏郎,米田明正,安田
福村タイヤ商会,釜田正記,日炉
西機恭子(奈良県支部),児玉敦朗, 光隆,ホリキリ,木下芳明,小川
工業,和久井康明,倉岡榮一,居
柳澤弘仁(保生の森)
達二,林正明,中村資朗,中道昇, 場嘉邦,金岡時子,相互工業,花
<複十字シール募金>(敬称略)
高橋勝,三好隆夫,松田秀士,岡
谷和子,大橋明,中池一仁,仲村
京都府―小原幸信,田中一二,上
本シモ,石倉保彦,西川昌廣・節
敏生,岩本義心,春木満枝,枩山
尾美代子,早川みさを,産科婦人
子,中村昇,辻野隆志,木代僚, 税理士事務所,上田起業,三ツ橋
科福岡医院福岡正恒,安城欽寿, 大西洋子・洋一郎,小林富美子, 建彦,森薗玄堂,百田敏男,清水
安岡五郎,小出一女,英興,小澤
木下渥,山下晴己,松下喜八郎, 敦,東洋製薬化成,上田規充,一
壽一郎,永観堂幼稚園,岡崎優子
渡辺照男,枩山亨,前田一美,永
色玄,内田明,野間口裕子,志方
大阪府―上原洋充,小川豊邦,鬼
尾尚子,高木慶一,札場次郎,田
亨,加藤貞子,プラコン,藪木恵
田順一,小野紀子,尾北嘉幸,金
口鐡 男, 大丸 鋲螺 制作 所, テイ
照,エバオン,米澤澄子,柏木薫,
杉さよ子,村尾隆一,仲好江,竹
ビョウ,天春厚三,飯田順雅,吉
向井均,児玉潤,大平政義,石山
田勝子,山本雅弘,鶴岡保,名和
田実,尹景徹,岡本高司,宮﨑淳
憲雄,植田嘉明,薩摩和男,山本
茂,川中雅人,渡辺病院,東邦イ
子,勝喜久,京極俊明,赤坂智千, 洋介,濵田光博,大森布実子,関
ンターナショナル,枩倉正春,西
東洋製薬化成,大北保,森川正, 西労働衛生技術センター,辻本昭
林英則,上田英雄,日本ペイント, 久保田藤人,上田伊奈子,土屋佳
治,山本哲夫,山路正俊,衛生会
神尾英雄,隅谷登,音田篤,島西
彦,石川昌司,武内顕,北本スミ
付属診療所,岩橋邦彦,三浦瓔子,
チカエ,東口義次,大窯汽船,水
エ,南順吉,小澤昌治,間野大雄, 宮部俊雄,老人ホーム錦織荘,押
谷美代子,西保光一,小林立美, 湯川松子,奥田よし子,藤田正義, 谷幸雄,藤井和男,豊和貿易,吉
西本卓爾,木村元士,乾一郎,鶴
西川正一,岡本功,本多隆朗,香
田岸雄,炭田勇雄,北居俊夫,岡
俊夫,池田典子,松下比登美,石
林堂,安達雅彦,佐用恭治,鈴置
田昭二,鎌田清,仲野眞雅,山中
川幸助,木村文雄,西田邦輔,井
達也,豊田智郎,石田泰三,大坪
直樹,伏谷司,圓光寺,梶井源司,
上英隆,廣岡貢,兵頭厚子,饗庭
医院,萩野平八郎,老人ホームラ
恵生会,松浦圭子,中川美代子,
健介,大井崇資,天野文武,岩田
イフビュー,川田峰夫,宮武明彦, 本村章雄,中井敬之
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本部―東京中小建築業協会,東京 又悦子,福井基悦,横川三喜雄, ビル婦人科クリニック岡宮育世,
都遺族連合会,日本産業廃棄物処 大角晃弘,福田信子,須藤八重子, 遠藤元繁,齋藤みどり,井上定幸,
理振興センター,東村山市医師会, 日本メガケア,古谷伸太郎,安藤 伴良雄,瀬間由美子,新美容出版,
労働衛生協会,国際協力医学研究 磐,朝日俊弘,天野進,卯西昭信, 日冠,松島直美,日本サービスセ
振興財団,国土地理協会,東華教 木下勝之,篠崎貞雄,菅谷有槻子, ンター,ガモウ,成美堂出版,サ
育文化交流財団,日本照明家協会, 田邉國夫,タカハシマサタカ,立 ンワ,都政新報社,エムネット,
寧波旅日同郷会,龍生華道会,雪 澤寧,小町谷朝生,永野志朗,永 三共社,アサヒビジネス,東京医
谷法人会,全国信販協会,東京空 山喜緑,須知雅史,澁谷功,アル 学社,全互連冠婚葬祭中央協同組
気調和衛生工事業協会,福田光, トシステム,日本システムクリエイ 合,浅井商事,西谷印刷,国際医
西沢英雄,小林善生,能宗章雄, ト,いすゞシステムサービス,ヘキ 学出版,日本データ・サプライ,
松井由光,野田和男,殿岡充夫, サード,リンク情報システム,シェ 栗芝和枝,さんらいと・ゆにばー
京増隆一,佐伯吉弘,安居祥策, アードシステム,しんきん情報サー す・ぷりんと,ま水倶楽部,国際
水谷直栄,植野光一,中川昭弘, ビス,代表取締役玉城薫子,オグラ 貿易,ベルセレージュ,アジア器
阿江勉,中本逸郎,須郷優,三枝 ツネオ,ワダカツジ,福田敏朗,セ 材,三谷省造,北斗通商,タイチ,
武夫,笠原龍三,杉本栄作,朝倉 ンゴクカツ,セキグチケイコ,コバ シグマ,丸ノ内硝子,桜電社,佐
正光,佐藤博史,廻谷正,日本情 ヤシマサオ,アツミイツコ,ササキ 藤型枠工業,山陽商工,長南工務
報開発藤原智,新星社,日本建設, ミキオ,カワグチハルオ,タケシタ 店,常磐工業,吉田工業,チャイ
社会経済生産性本部コンサルティ トオル,オダマサル,鈴木眞,オカ ナクリエート,品川合同葬祭,戸
ング部,関口照生,瀬山詠子,竹 ダヒロキチ,セイノカズオ,ヒライ 田葬祭場,関口商事,西都興業,
下景子,キリカン洋行,伊東保雄, ワユキコ,河津秋敏,高柳次江,オ セゾン・アート,ツチヤ,ドーエ
石和田一郎,大槻敏明,中田加津 オタヨシコ,ヒラバヤシヒサヒコ, イ工業,岩崎硝子,ダイニ,広進,
三,木村久弥,橋本一太郎,梅里 アイザワヤスコ,アロエベラエン 成覚寺,静勝寺,常泉院平井宥慶,
悦康,栗原修,小礒一男,三原紀 タープライズ,タケイシゲオ,芹沢 尚徳寺
久恵,伊藤昌三,南袈裟雄,守屋 実,ハラダコウキ,コウダエツコ,
俊晴,鈴木隆巳,山口新平,市村 マルヤマテツオ,カトウテツジ,柴
俊夫,渡邉昭子,佐々木千晶,中 田末子,村上常太郎,稲葉定雄,
村教子,佐々木萬晋,櫻井通夫, 金子芳弘,加藤誠也,沓澤美紀,
谷信洋,成沢茂,飯塚十四正,永 堀川春男,牛尾正孝,ホソノイチ
井洋子,田澤幸子,荒木健,藪木 ロウ,クガヒロシ,イマイヒトシ,
多加志,上野ネ喜男,黒井朝久,猪 シラクラテツヤ,表良吉,有楽町
結核予防会役員人事<敬称略>
《支部》
日
支 部 名
平成21年 9月 4 日
静 岡 県
石
川
嘉
延 支部長の委嘱を解く
平成21年 9月 5 日
静 岡 県
川
勝
平
太 支部長を委嘱する
平成21年 6月 30日
三 重 県
草
川
實 副支部長の委嘱を解く
発
令
氏 名
発
令
内
容
《本部》
発
令
日
氏 名
発
令
平成21年 9月 30日 山
下
武
子 理事の委嘱を解く
平成21年 10月 1 日 山
下
武
子 顧問を委嘱する
平成21年11月15日 発行
複十字 2009年330号
編集兼発行人 藤木 武義
発行所 財団法人結核予防会
〒101- 0061 東京都千代田区三崎町1-3-12
電話 03(3292)9211(代)
印刷所 日本印刷株式会社
東京都千代田区外神田6-3-3
電話 03(3833)6971
結核予防会ホームページ
URL http://www.jatahq.org
内
容
本誌は皆様からお寄せいただいた複十字シール募金の益金により作られています。
複十字シール運動
みんなの力で目指す,結核・肺がんのない社会
平成21年度複十字シール
複十字シール運動は,結核や肺がんなど,胸の病
気をなくすため100年近く続いている世界共通の
募金活動です。複十字シールを通じて集められた
益金は,研究,健診,普及活動,国際協力事業な
どの推進に大きく役立っています。皆様のあたた
かいご協力を,心よりお願いいたします。
運動の輪を広げてください。シールは,はがきや,手紙や包装の封印,何にでも使えます。
問合せ:資金課 TEL03-3292-9287(直)
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● 切手にみる結核 13.複十字マークが入った切手たち
岡西雅子様から貴重な切手のご紹介は13回目となり,今回は複十字マークが入っているもので,切
手の金額に上乗せして,シール運動を募ったものを集めてみました。
①ベルギー・1925年
②ベルギー・1940年
③スペイン保護領モロッコ・1954年
④フィンランド・1961年
⑤韓国・年代不詳
⑥アラブ連合・1964年
⑦フィリピン・1970年
⑧ベネズエラ・1975年
*切手の下には,発行地域と発行年を記載しています
切手解説
今回は,複十字のマークが入ったものを紹介します。
①のベルギーの切手は,若い女性が,複十字マークの入った「結核との戦い」と題する旗をかかげています。1フ
ランに10セントが募金額として示されています。
②のベルギーの切手も1フランに25セントの募金額が加算されています。
③のスペイン保護領モロッコでは,1903年から56年に独立を果たすまで独自の切手を発行していました。ミナ
レット(イスラム寺院の尖塔)にたたずむコウノトリが描かれています。マリアノ・ベルトルーチ(1885-1955)
は,1946∼54年まで結核予防の切手の図案を毎年描きました。モロッコは『カタロニア讃歌』の著者ジョージ・
オーウェル(1903∼1950)が結核療養に訪れた土地でもあります。左上には二つの赤新月を縦の棒で結ぶ不思議な
マークがありますが,アラブ圏での複十字マークかもしれません。
④のフィンランドの切手は,フィンランド30マルッカに5マルッカが加算されることになっています。かわいら
しいアザラシのイラストは,ムーミンの作者で挿絵も描いたトーヴェ・ヤンソンの母,シグネ・ハンマルステンが
描いています。フィンランドでは,1959年から赤十字切手と交互に複十字切手が発行されています。
⑤の韓国の切手は,肺のイラストとともに複十字マークが描かれています。
⑥のアラブ連合の切手は,赤新月とともに描かれた複十字マークの他にWHOのロゴが描かれています。また,こ
の切手は,4月7日の世界保健デーを記念して発行されています。
⑦のフィリピンの切手は,フィリピンの結核予防会の建物と,1932∼69年までその会長であったオルティガさん
の肖像が描かれています。
⑧のベネズエラの切手には,安静にしている女性のイラストともに,「O(ゼロ)」の文字の上に複十字マーク
をデザインしています。結核ゼロをめざしていることがひとめでわかる切手です。