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THE VANCOUVER SUN 紙
2014 年 8 月 29 日の記事より
収容されている難民は犯罪人よりも扱いが酷い
(弁護士の言)
長期収容されている人達は深刻な状態に苦しんでいる
(国連の言)
Tara Carman 氏による記事
オレンジ色のジャンプスーツを着て、手錠をはめられたある男が制服のガードマンに付
き添われてヒアリングに来た。彼は地方の刑務所から移送されてきた。
誰もが、彼を犯罪人と思うことだろう。しかし実際には、このような扱いは、犯罪を犯
していない、入国者収容施設に拘束されている人に対しては通常のものだ。
これは先週なされた、オスマン・ドゥ・レイのケースで、彼はサレーに住む二人の 子の父
親で、犯罪歴はない。彼は翌週、グァテマラに退去されることになっているが、彼の家族
によると、本国では彼は殺されてしまう。
カナダはこのような扱いに対してずっと非難されてきた、特に刑務所に入国収容者を拘束
することについて。とりわけ、UNHCR により非難されてきた。
「庇護希望者や難民の収容は、特に長期に及ぶ場合には、健康と福祉について深刻な結果
をもたらす、不必要な苦しみを与える」と UNHCR の国際保護担当部長のヴォルカ・ターク
が先月の声明で語った。「それは更に不安と恐れとフラストレーションを増し、過去のトラ
ウマ経験を悪化させることになる」
。
オタワ大学のデルファイン・ナカックは、UNHCR に対する 2011 年のレポートで、犯罪者と
非犯罪者を区別することは、国際法で確立された原則であると指摘し、カナダを非難した。
「刑務所で、庇護希望者は犯罪者ではない身分にとっては不適切な状況の下に拘束されて
いる。彼らは、自由に対する、不必要で不釣り合いな制限に服しており、自由を求める彼
らの能力を殺ぐものである。」
昨年、庇護希望者を含め約1万人の人がカナダ国境管理局(the Canada Border Services
Agency)により拘束されたが、CBSA というのは外国人とある条件の下でのカナダの永住者を
拘束する権限を有している。その担当官は、当該の人物がカナダに入国する法的根拠がな
いと信ずる根拠を持たねばならず、加えて、その根拠が一般人に危険であり、航空上のリ
スクがあり、身分証明が不十分であり、あるいはボートでの大量入国のような「通常でな
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い入国」の一部をなしているというものである。
CBSA 担当官によるある人物を拘束するという決定は、48 時間以内に入国および難民局(the
Immigration and Refugee Board)メンバーによりレビューされねばならず、そのレビュー
で当該人が拘束のままにおかれるかどうかが決定される。平均拘束期間は 20 日であるが、
多くは最初の 48 時間後に解放されている。
1 万人の拘束者の内の約 200 人は児童であり、彼らは、入国者収容施設で両親とともに収容
されるか、あるいは州の児童福祉担当官の保護の下に置かれて両親と切り離される。 CBSA
報道官のトム・ロビンスによると、児童が拘束されるのは最後の手段とのことである。
昨年は、58%が特定の入国者収容施設で拘束され、42%が州の刑務所に拘束された、ロビ
ンスは話した。
しかし、地域によって重要な差異がある。トロント、モントリオール、ヴァンクーヴァー
以外のすべての拘束者は、刑務所に収容される。
BC 州(訳注:ブリティッシュコロンビア州)の、専用の入国者収容施設は、ヴァンクーヴ
ァー空港にある 24 ベッドの施設であり、入国関係弁護士、フィル・ランキンに言わせると、
それは「カナダで最も孤立した場所」である。
「それはまさに、空港の地下6階から8階下にあって、完全に孤立し、誰も訪問しない地
下牢である」と彼は語り、更には、メキシコ人、ルシア・ヴェガ・ヒメネスが昨年末に退
去強制を待つ間に自殺した場所である、と述べた。もし被収容者が、家族や弁護士と会う
必要があれば、ヴァンクーヴァー市内にある、CBSA の日中の収容所に連れていかれる。し
かし、空港の施設はキャパが限定されているために、BC 州への入国時の収容者の 2/3 は、
州刑務所に収容される。
ランキンによると、カナダの法律が前科のある者による難民申請を禁じているとしても、
このようなカナダの慣行によって、難民や難民申請者を一般の人が犯罪者として見てしま
うことが増大する結果となっている。
拘束された者にとって、弁護士なしで立て続けに何時間もインタビューをされるのは受け
入れられる。ただ、ヒアリングで使用される、風評のような証拠は、裁判所では決して認
められないと彼は付け加えた。
ランキンによると、「一般人は、以前から、難民達をまずは詐欺師として見、次には犯罪者
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として見るようになった。私が思うに、カナダでは難民であるよりも犯罪者である方がは
るかに幸せである。」
UNHCR によると、主としてシリアでの内戦故に、昨年は、44か国の先進国で庇護申請が2
8%も増えたと報告しているが、BC 州の入国サービス団体のレポートではカナダでのそれ
は同期間にほぼ50%、下落している。その下落の主な原因は、ある国々の人からの難民
申請をより困難にする、入国法の改訂のためである。同レポートによると、IRB に委ねられ
る申請も、カナダに受理される難民申請も、難民申請の認定率も、すべて近年、下落して
きている。
CBSA は入国施設の状況についての取材は受け付けなかった。
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