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文献タイトル
Use of chemotherapy plus a monoclonal antibody against HER2
for metastatic breast cancer that overexpresses HER2.
Evidence level
1b
著者名
Slamon DJ, Leyland ─Jones B, Shak S, Fuchs H, Paton V,
Bajamonde A, Fleming T, Eiermann W, Wolter J, Pegram M,
Baselga J, Norton L.
雑誌名・頁・出版年
N Engl J Med 2001;344(11):783─92.
目的
HER─2 陽性転移・再発乳癌に対する化学療法単独と化学療法と
トラスツズマブの併用療法の比較試験。
研究施設,組織
他施設共同研究
研究期間
登録 1995 年 6 月 ∼ 1997 年 3 月
登録後 9 カ月;生存確認は 31 カ月まで(平均フォローは 30 カ月)
対象患者
HER─2 陽性転移・再発乳癌女性で転移に対して化学療法を受け
ていない 469 症例
介入
対象患者を以下の二組に分けたのち,ランダムに割り付けた。
術後療法でアンスラサイクリンを使用していない 281 例;
AC(60 mg/m2,600 mg/m2)単独 ・・・・ 138 例
(うち 16 例は EC(75 mg/m2,600 mg/m2))
AC +トラスツズマブ併用・・・・・・・・・・・・・ 143 例
(うち 20 例は EC)
術後療法でアンスラサイクリンを使用していない 188 例;
パクリタキセル(175 mg/m2)単独 ・・・・・・・ 96 例
パクリタキセル+トラスツズマブ併用 ・・・ 92 例
※ AC(EC)or パクリタキセル;3 週毎 6 サイクル
※トラスツズマブ;毎週
主要評価項目
奏効率,奏効期間,TTP,TTF,年間死亡率,生存率,有害事象
結果
奏効率,奏効期間,TTP,TTF,年間死亡率,生存率のすべて
において,トラスツズマブ併用群は化学療法単独群に対して,
有意に良好な結果を得た。
奏効率
50% vs 32%
p < 0. 001
奏効期間
9. 1 カ月 vs 6. 1 カ月
p < 0. 001
TTP
7. 4 カ月 vs 4. 6 カ月
p < 0. 001
TTF
6. 9 カ月 vs 4. 5 カ月
p < 0. 01
年間死亡率
22% vs 33%
p = 0. 008
生存率
25. 1 カ月 vs 20. 3 カ月
p = 0. 046
しかし,心毒性(心不全として)の出現がアンスラサイクリンを
含む併用療法において 27% に認められた。
アンスラサイクリンとトラスツズマブ併用群
27%
アンスラサイクリン単独群
8%
パクリタキセルとトラスツズマブ併用群
13%
パクリタキセル単独群 1%
結論
HER─2 陽性転移・再発乳癌女性に対する一次治療として,化学
療法とトラスツズマブ併用療法は単独療法よりも優れていた。し
かし,トラスツズマブによる心毒性はかなり憂慮すべきである。
作成者
木下旬子,大野真司
コメント
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