COURIER - reminc CONTI

Providing Advanced Technology
to the Fastener Industry
ISSUE 1 - 2014
50年の歴史とさらなる発展
アメリカ合衆国にとって1963年は、11月に
第35代大統領ジョン・F・ケネディが暗殺される、
という大変困難な年でした。ソ連との冷戦が続く
かたわら、ベトナムではアメリカ軍の兵士達が困難
な戦闘を続けていました。厳しい世相のなかで、
1964年4月にニューヨーク世界博が開催され
る、というニュースが沈滞した気分を変えアメリカ
ンスピリットを再び高揚させたのです。
その博覧会で発表された多くの革新的な発明や
アイデアの中で、アメリカ初のスポーツクーペと
なった1964年型フォード マスタングが披露され
ました。それは偶然のようですが、今にして思えば
当時アメリカ人はワクワクする何かあたらしいもの
を待ち望んでいたのでしょう。このマスタングは
事故時の乗員の安全性向上の為、シートベルトの
固定にTAPTITE® CORFLEX®-‘I’ 7/16-20 UNCボルト
を採用した最初の大量生産車でした。フォードが
TAPTITE®ボルトを採用したのにはいくつかの理由
がありました。すなわちTAPTITE®ボルトは、1)修理
が必要な斜め噛み込みが発生せずスムースに着座
するのでラインスピードの低下を防ぐ、2)振動に
より発生する緩みを防止する、3)莫大なコスト削減
が 可 能。こ の シ ー ト ベ ル ボ ル ト 固 定 用 TAPTITE®
ボルトの採用が大成功を収めたため、フォードは
現 在 も 乗 員 拘束 シ ス テム の 組 み付 け に TAPTITE®
シートベルトボルトを有効に活用しています。
1964年以降フォードは9百万台以上のマスタング
を 製 造 し て き ま し た、そ し て そ の 全 て の 車 両 に
TAPTITE®シートベルトボルトが使用され、さらに
さまざまな部位の組み立てにTAPTITE®ボルトが採
用されてきました。フォードはまもなく第6世代マ
スタングを発売する予定ですが、それはアメリカで
最も長く生産され続けたモデルとなります。このこ
とは1964年型フォードマスタングとTAPTITE®
ファスナーは、50年にわたり最も成功し続けてい
るパートナー、と言っても過言ではないでしょう。
マスタングが華々しくデビューした1964年、
アメリカ国内には大手自動車メーカーが5社あり、
年間5百万台の車を生産していました。以降生産は
大幅に拡大し続け2006年には16百万台に達す
るまでになりましたが、2009年には突然8.8
百万台にまで落ち込んでしまいました。これには
いくつかの要因がありますが、最も決定的な要因は
予想以上に深刻で長期間続いた世界同時不況でし
た。その後自動車産業においては多くの劇的な変化
が起こりました。(2ページに続く)
CONTI STAFF
ローリー マンドリー
- 会長兼CEO
レイ ジ スー
- 市場開発エンジニア
Dr. マーカス ボジガー - 監査役
シルビア ペロット
- 役員秘書
マティアス ジョキッシュ - 市場開発担当役員
アラン プリチャード
- アソシエイト
ピーター イーガー
- 市場開発エンジニア
マンフレッド シュワルツ - アソシエイト
原 昌嗣
- アソシエイト
SPOTLIGHT ON PETER EGGER
ピーター イーガーはスイスのルサーンに
ある応用科学大学の機械工学科を卒業後
40年以上機械工学の実務を経験し、2005
年にCONTI Fasteners AGに入社、現在は
市場開発エンジニアとしてヨーロッパを
担 当 し て い ま す。CONTI 入 社 前 は 10 年
以上にわたってヨーロッパのある大手ファスナー
商社でプロジェクトエンジニアとして
勤務していました。ピーターはファスナー業界に
おけるスレッドフォーミングテクノロジーのスペ
シャリストで、ライセンシーのマーケティング、
アプリケーションエンジニアリングのサポート、
TRILOBULAR™テクノロジーのエンドユーザーへの
啓蒙活動、並びに市場開発全般を担当しています。
C O U R I E R
50年の歴史とさらなる発展 (1ページより続く)
会長の視点 - 聞かせてください
若いころから私は両親や先生たちに、人と会話
する時には自分が話す前に相手の話をよく聞き
なさい、と常々言われたものです。私はこれま
でこの教訓を忘れず、さらにCONTI/REMINCの
会社方針に引き継いでいこうとしてきました。
多くの皆様が経験されていると思いますが、
当社のスタッフはライセンシー、ユーザー、
そ し て 将 来 の ユ ー ザ ー に 対 し て、
TRILOBULAR™ テ ク ノ ロ シ ジ ー の 有 効 活 用 に
よるメリットの伝達に多大な時間をあててきま
し た。さ ら に、私 た ち は ラ イ セ ン シ ー に
TRILOBULAR™ 製 品 の 製 造 方 法 を、エ ン ド
ユーザーにはその応用方法のトレーニングを
提供してきました。私たちはこのような活動を
CONTIのオフィスやREMINCの研修施設、ある
いはTV会議システム等、参加者にとって最も
都合の良い場所・方法で実施してきました。
然しながらこれらの活動、すなわち「見せる・
話す」というやり方はコミュニケーションの片
方の側面でしかありません。
もう一つの側面は「聴く」ことです、そして
この活動も「見せる・話す」と同じぐらい重要
です。私たちはライセンシーやエンドユーザー
に、私たちのライセンスプログラムをどう思っ
ているか、どうすれば少しでも改善できるか、
ということを常に問いかけています。以下は私
たちの問いかけに応えて提示された質問の典型
的な例です。・ファスナーの重量削減の方法
は? ・工具の寿命はどれくらい? ・転造工具の
寿命を延ばすには? ・マシンスクリューに比べ
てTRILOBULAR®ファスナーの軸力はどうです
か? ・TRILOBULAR®テクノロジーを奨励する
いい方法は? ・コスト削減を実証する一番効果
的な方法は? ・私たちの実験室に最適な試験
設備は?
このCOURIEというニュースレターにおいても
私たちはQ&Aの欄でよく受ける質問を取り上げ
ています。然しながらより突っ込んだ質問やコ
メントに対応する為に、当社の10人のスタッフ
が定期的にライセンシーやエンドユーザーを訪
問してフェース トゥ フェースのミーティング
を実施しています。私たちが通常使用する電
話・E-Mail・フ ァ ッ ク ス・各 種 資 料 の 送 付・
ホームページ等よりも、この「実際に訪問する
こと」が良いコミュニケーションの為の最も効
果的な方法だと思います。
私たちは皆様からの質問や提案・アイデア等
いつも興味を持ってお待ちしています。皆様の
関心事項を理解すれば、次は私たちのプログラ
ムのサポートやサービスをその為に改善すれば
いいのです。皆様のご要望を是非お聞かせくだ
さい、そうすれば私たちはお応えすることがで
きます。
例えば、現在アメリカ国内には大手自動車メーカーが10社
ありますが、そのうちの7社 は外資です 。2013年の
アメリカ国内生産台数は15.6百万台となり、2006年の
レベルにまで回復しました。
近年自動車メーカーは、安全対策、燃費改善、そして運転の
楽しさを実現するためのさまざまな装備やオプションの開発
に熱心に取り組んでいます。来るべき技術革新と共にこれら
の取り組みは、重要な挑戦と発展の機会を自動車メーカーと
部品メーカーそしてCONTI/REMINCにもたらします。それ故
に私たちは、新素材からなる自動車部品の組み立てにおいて
現状を乗り越え将来へのチャレンジを目指すライセンシーを
サポートすべく、新しい付加価値の高い製品の開発を積極的
に続けていきます。アメリカの自動車生産の増加に伴い増大
するTAPTITE®及びREMFORM®製品の需要に対応する為に
ファスナー及び工具ライセンシーの基盤を拡大してきまし
た。アメリカ国内の2014年度自動車生産は、多様で要求
の厳しい世界の自動車市場環境の中で、1964年の3倍と
なる16百万台に達すると予測されています。一部の人に
とって自動車産業は保守的で退屈な業界と映っているかもし
れませんが、私たちは活気のある産業であると考えていま
す。CONTIは、この絶え間のない技術革新が求めるチャレン
ジのきっかけとなることを目指しています。何故なら、私た
ちはパートナーであるライセンシーと共にそのチャレンジに
正面から取り組み、技術革新及びコスト削減のソリーション
を提供できる、と確信しているからです。
1964年型マスタングのシートベルトアプリケーションに
おける成功は、CONTIの創業者であるアート ヴァンクロフト
の粘り強さによりもたらされたものでした。この最初の成功
がアートの後継者とライセンシーのやる気を引き出し、さら
なるアプリケーションの探索へと駆り立てたのです。何故な
らTAPTITE®やREMFORM®ファスナーがもたらすコスト削減
効果の大きさは決して無視できるものではなかったからで
す。
私たちの52年にわたる成功の歴史をベースとし
て、こ れ か ら も ラ イ セ ン シ ー と エ ン ド
ユーザーに高い価値を提供し続けてまいり
ます。
POWERLOK®ファスナーとPOWERLOK®II™ファスナーの違い
POWERLOK®II™ファスナーは、60度角の左右対称標準ねじ山上部に30度角のねじ山先端部が
ねじの頭部方向に少し傾斜した状態で追加されています。そしてファスナーが締め付けられた時にねじ山先端部が
ねじ先方向にたわみます。この革新的なDual-Angle™ (複合角)ねじ山形状がスプリング効果によるロック性能を発生
させます。軸力がかかった時POWERLOK®II™の複合角のねじ山の方向は、傾斜したねじ山先端部がたわみその下部
の60度角のねじ山とほぼ一直線となります。(下のイラストをご覧ください)
ねじ山の形状 :
ねじ頭部方向
POWERLOK®
ファスナーのねじ山
POWERLOK® II™
ファスナーのねじ山
POWERLOK®
ファスナーの軸部断面
POWERLOK® II™
ファスナーの軸部断面
POWERLOK® ファスナーと比較した主要な設計上の変更点
新しく特許を取得したPOWERLOK®ファスナーの設計の狙いは、この新しいユニークなねじ山形状によってねじ山
先端部で圧力を発生させることによる締結部での一貫したロック作用の持続でした。これらの特長はPOWERLOK®
II™ファスナーに振動に対する抵抗力を発生させ、そのアプリケーションが使用されている期間ロック作用により
締結の信頼性を確保する、ということを可能にしました。
POWERLOK®ファスナーでは、断面の非真円度(TRILOBULAR®形状の総量=三角形状の度合い)は
TAPTITEII®スレッドローリングファスナーと同程度でした。POWERLOK®II™ファスナーはスレッドローリング
ファスナーではありませんので、めねじ転造性能を良くするための高い非真円度(きつい三角断面)は必要ありませ
ん。従ってより高い負荷能力を実現する為、この非真円度を大幅に引き下げ(=真円に近い三角断面)、M6以上の
サイズのTAPTITE2000®ファスナーと同一にしました。(上のイラストをご覧ください)
完全ねじ部:
60度角のねじ山基礎部形状は、POWERLOK®/POWERLOK®II™ファスナー共マシンスクリューの
規格6gに合致しています。完全ねじ部断面がTRILOBULAR™形状のため、有効断面積は真円のマシンスクリューより
もPOWERLOK®ファスナーで平均7.3%少なくなっていましたが、POWERLOK®II™ファスナーではこれが平均4%に
改善されました。
有効断面積:
引き抜き強度:
有効断面積はファスナーの引き抜き強度にダイレクトに影響します。従って、POWERLOK®II™
ファスナーの引き抜き強度はPOWERLOK®ファスナーに比べて改善され、同時にねじり強度も改善されました。
POWERLOK®II™ファスナーにおける改良点
POWERLOK®ファスナーと比較して、有効断面積が大きくなったため引き抜き強度が強化されました。そしてねじ
頭部方向に傾斜した30度角のねじ山先端部のスプリング効果がロック作用の為の強力な蓄積エネルギーを発生させ
ます。
POWERLOK®II™ファスナーの利点
 グリップ剤・接着剤等が不要
 接着硬化時間が不要 - 締結完了後即座にロック効果が発生
 高温環境下でもロック効果が発生
 ロック作用は完全ねじ部全体で発生
 ロッキングワッシャー等が不要
 表面処理の違いに影響されない
 手締めが可能
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