ニューヨーク市における最近の犯罪情勢と警察活動へのGIS の応用

1
4
7
総 合 都 市 研 究 第7
1号 2
0
0
0
ニューヨーク市における最近の犯罪情勢と警察活動への GISの応用
1.はじめに
2
. ニューヨーク市における近年の犯罪発生動向
3
. ニューヨーク市における治安向上の背景
4
. 防犯対策への G
I
S
の応用
5
. おわりに
若林芳樹*
要 約
犯罪都市として悪名高かったニューヨーク市で近年、急速に治安が向上しているという
事実は、日本のマスコミでもたびたび報じられているところであるが、その背景の一つを
なしている防犯対策に GISが貢献していることはあまり知られていない。本稿は、ニューヨ
ーク市における近年の犯罪発生動向と犯罪防止策を概観し、警察活動への GISの応用例を紹
介したものである。まず、ニューヨーク市内での犯罪発生率の推移を統計分析すると、ジュ
リアーニ市長が就任した 1
9
9
4
年以降に急減しており、これは岡市長が推進した防犯対策の
効果とみられる。その対策の一つの柱をなす COMPSTATと呼ばれる犯罪統計解析では、
GISが活用されている。こうした警察活動への GISの応用は、ニューヨーク市のみならず北
米の多くの都市で試みられており、そのためのパッケージ・ソフトも多数開発されている。
そのうち本稿では、 GISを用いて犯罪多発地区を検出して可視化するための手法をいくつか
紹介した。それらは GISと空間分析手法とを組み合わせた汎用性の高いもので、犯罪のみな
らず種々の都市問題の解決を支援するツールとなる可能性がある。
しながら 1
9
9
0年代以降、日本でも青少年や来日外
1.はじめに
国人による犯罪が増加し(小林, 1
9
9
9
)、想像を絶
するような凶悪犯罪や警察官の不祥事もマスコミ
都市の持続可能な発展を実現するための条件の
ーっとして、生活の安全性が確保されねばならな
をにぎわすようになり、安全性の神話は急速にゆ
らぎつつあるように思われる九
いことはいうまでもない九これまで都市の安全性
一方、アメリカ合衆国では、とくに凶悪犯罪が
をめぐっては、自然災害や人為的な災害に重点を
頻発した 1
9
9
0年前後から選挙の結果を左右するほ
置いた研究は数多くみられるものの、欧米に比べ
ど犯罪対策への有権者の関心が高まりペ 1
9
9
3年の
て犯罪発生率の低い日本では、犯罪からみた安全
ニューヨーク市長選では、犯罪撲滅による生活の
性に対する関心は決して高いとはいえない%しか
質の向上を唱えた元連邦検事のジュリアーニ
キ東京都立大学大学院理学研究科
1
4
8
総合都市研究第 7
1号
i
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i
) 氏が当選し、 20
年ぶりに共
(
R
u
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p
hW.G
2
0
0
0
は管見の限りでは皆無で、ある%数少ない地理学者
和党市長が誕生した的。その後、犯罪都市として悪
による犯罪研究ではあるが、比較的早くからこの
名を轟かせていたニューヨーク市の治安がにわか
種の研究を手がけてきたのはイギリスにあるス
に回復しているという事実は、日本のマスコミで
S
w
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s
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a
)大学のハーパ}ト (
D
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v
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.
ウォンジ_.(
もたびたび報じられているところである%とりわ
H
e
r
b
e
r
t
) である。彼の当初の関心は都市の病理現
9
9
4年から 4年間でニユ}ヨ
け現市長が就任した 1
象に関する社会地理学的研究で、少年非行の問題
ーク市の犯罪認知件数は約 4割減少し、人口当た
H
e
r
b
e
民 1
9
7
6
a
,
b
)、
を取り上げたのを始めとして (
りの犯罪発生率では全米の大都市の中でも最も安
最近では犯罪学の専門家と共同でいくつかの論文
全な都市になっている O その背景にはさまざまな
集を編集しており
(EvansandHerbert,1
9
8
9
;
要因が考えられるが、ニューヨーク市警の防犯対
l
.,1
9
9
2
)、彼自身の最近の研究 (
H
e
r
b
e
r
t
Evanse
ta
策の強化が功を奏したとの見方が有力である。た
andHyde,1
9
8
5
) も環境犯罪学を強く意識したも
だし、その対策の一環である犯罪情報の収集と計
のとなっている。
算機処理に GIS (地理情報システム)が一役買っ
H
e
r
b
e
r
t(
1
9
8
9
) は、犯罪の地理学研究のルーツ
ているという事実はまだあまり知られていない。
9世紀に近代統計学の基礎を築いたケト
として、 1
本稿の目的は、近年急速に犯罪が減少している
レー (
LambertA
.J
.Q
u
e
t
e
l
e
t
) らによる犯罪統計
ニューヨーク市の犯罪情勢と警察活動への GISの
9
4
0
)、それに 1
9
3
0
の分析と地図作製(ケトレー, 1
応用について、その実状と具体的な手法を紹介す
年代のシカゴ学派人間生態学における社会病理現
ることにある。
象としての非行や逸脱と都市の生態学的構造との
ところで、 GISを用いた犯罪分析がとくに北米
関係をめぐる研究の 2つを挙げている。これらは
で近年盛んになった背景には、 GIS
技術の普及や
環境犯罪学とも共通するルーツとなっているが
空間データ基盤の整備だけでなく、その理論的基
9
9
9
b
)、それらと今日の研究との違いは、
(守山, 1
e
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吋r
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e
n
t
a
lc
r
i
m
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n
o
l
o
g
y
)
盤となる環境犯罪学 7) (
個別学問分野から学際的な犯罪学へ、犯罪者の動
の台頭があげられる。 1
9
8
0年代に盛んに取り組ま
機から事件そのものへ、社会学的想像力から地理
れるようになった環境犯罪学は、犯罪の発生メカ
B
r
a
n
t
i
n
g
的想像力 9)へ、という重点の移行にある (
ニズムを解明し、主として犯罪発生を促進した物
ham,P
.
J
.andBrantingham,P
.L
.
, 1
981,p
.
1
8
)。
理的環境を改善することで、その予防を図ろうと
H
e
r
b
e
r
t(
1
9
8
9
) はさらに、 1
9
7
0年代に台頭した行
9
9
9
a
,p
.
8
)。これは、従前
するものである(守山, 1
動地理学や人文主義・構造主義的地理学研究の成
の犯罪学の主流をなしていた、刑罰によって犯罪
果を取り込んで、犯罪地理学にとっての新しい研
を抑止する犯罪者処遇論や犯罪者個人の特性を重
究テーマを提示している。それには、加害者・被
視する犯罪原因論に代わって、犯罪発生状況を分
害者の空間的行動パターンや環境認知に関する行
析することを通して未然防止を図る点に特徴があ
動地理学的研究、刑事司法制度の役割に重きを置
9
9
9
b
)。言い換えれば、犯罪を構成す
る(守山, 1
く構造主義的研究、場所論や犯罪への恐怖心をめ
る 4つの側面(法律、犯罪者、被害者、発生場所)
ぐる人文主義的研究などである。
のうち、環境犯罪学は発生場所に焦点を当てるこ
9
8
0年代以降、地理
こうした問題提起を受けて 1
とになる (
B
r
加 t
inghamandBrantingham,1
9
8
1
)。
学の犯罪研究は多様な展開をみせている。とりわ
このように、犯罪と場所との関係を問題にする
け近年の特色をなしているのは、刑事司法制度や
環境犯罪学は、地理学や GISとも密接な関係にあ
f
e,
1
9
9
1
) やGISを用いた犯
警察活動への注目(Fy
る。しかしながら地理学では、都市社会地理学の
H
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de
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,
.
l1
9
9
5
;Bowersand
罪地図分析 (
テーマのーっとして犯罪を取り上げた例はあるも
H
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s
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i
e
l
d,1
9
9
9
) である。このような新しい犯罪
のの、その数は決して多くない。とりわけ日本で
研究の観点からみても、ここでとりあげるニュー
8
4
) 以外に犯罪研究を手がけた事例
は、田中(19
ヨーク市を中心としたアメリカ合衆国の事例は、
若林:ニューヨーク市における最近の犯罪情勢と警察活動へのG
I
Sの応用
興味深い対象の一つになるように思われる。
1
4
9
Census
,
1
9
9
8
,
p
.
2
0
8
)。ただし、 NCVSは州以下の地
域単位では結果が公表されておらず、犯罪の地域
2
. ニューヨーク市における近年の犯罪
発生動向
的分析には適していない。そのため、データの捕
捉率に難点があるとはいえ、アメリカ合衆国では
UCRが犯罪の地域的動向を把握するのに最も有用
最初に、既存の統計を使ってアメリカ合衆国全
な資料といえる (Monmonier
,
1
9
9
7
,
p
.
2
4
2
)。
体での犯罪発生の動向とニューヨーク市の犯罪情
1
2,
0
0
0
勢について概観しておきたい。アメリカ合衆国に
おける包括的な犯罪統計としては、 1
9
3
0年から毎
年集計されている統一犯罪統計 (UCR:Uniform
CrimeR
e
p
o
r
t
s
) がある。これはも全国の95%をカ
バーする警察関係機関から 7つの罪種について報
告されたデータを FBI (連邦捜査局)が編集した
ものである。対象となる罪種は、殺人および作為
的殺人 (
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)、
強姦 (
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)、強盗 (
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b
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)、加重暴行
(
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)、侵入盗 (
b
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g
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y
)、窃盗
1
0
.
0
0
0
総
+
長8.000
獄
馬
主 6,000
矧
〈
~ 4,0
0
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ロ
〈
2,
OOOt・ー・
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紅
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予-拍e
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)
、 自動車盗 (
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丘
)
の 7つで、うち最初の 4つが暴力犯 (violent
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) に、残りの 3つは財産犯 (
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m
e
)
に分類される。 1
9
7
9年からは放火 (
a
r
s
o
n
) が 8つ
目の罪種として追加されているが、地域によって
は十分に把握されていない場合があるため、正確
な放火発生件数は不明である。
いうまでもなく、発生した犯罪を UCRがすべて
網羅しているわけではなく、刑事司法機関によっ
て認知されない犯罪が暗数として存在する。これ
0
1
9
7
77
98
1 8
38
58
78
99
19
39
59
7
年次
・
一-NY
市 内 ー+-NY
大都市圏郊外ー争ー全米平均
資料:G
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.
図 1 人口1
0
万人当たり犯罪発生率の推移
は、アメリカ合衆国に限らず他の国でも同様で
(守山・西村, 1
9
9
9
,pp.24
・
3
2
)、現実の発生件数と
UCRのデータに基づいて、人口 1
0万人当たり犯
認知件数との聞には議離が生じることになる。暗
罪発生率の推移を示したのが図 1である。この図
数を把握する手がかりとして、司法統計局
か ら 、 ニ ュ ー ヨ ー ク 大 都 市 統 計 地 域 (MSA:
(
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) が1
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3年から行って
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) を中心都市(ニュ
いる全米犯罪被害者調査 (NCVS:N
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ーヨーク市)とそれを取り巻く郊外とに分けた場
V
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) がある。これは、全国の 1
2
合
、 1
9
9
5年までは全米平均をニューヨーク市が大
歳以上の国民約 1
0万人 (
4
9,
000世帯)を対象とし
きく上回り、郊外は一貫して下回っていたことが
て犯罪による被害を報告してもらった結果を集計
わかる。過去20年間での発生率のピークは 1980~
したものである (
F
B
I,
1
9
9
8,
p.
41
1
)。その結果と
8
2年頃と 1
9
8
9年前後の 2つあり、 1
9
9
0年以降、一
UCRとを比較すると、 1
9
9
4年では警察への通報率
貫して減少している点は、全国的な傾向と共通す
は、強姦で32%、強盗で55%
、暴行で40%、窃盗で
る。ところが1
9
9
7年にはニューヨーク市の犯罪発
33%
、侵入盗で51%
、自動車盗で78%となり、罪種
生率が1990年からほぼ50%
減少し、全米平均と同
によって異なることがわかる C
U
.
S
.Bureauof
じ水準にまで低下している O その結果、人口 1
0万
∞o
1
5
0
総合都市研究第 7
1号 2
人当たりの犯罪発生率は、 1
9
9
3年で全米平均5
,
4
8
4
0大都市について犯罪発生率を
規模をもっ全米の 1
人を大きく上回っていたのに対し、 1
9
9
7年には全
比較した表 1からも明らかである。この表で犯罪
米平均 4
,
9
2
3人を下回るようになった。とりわけ
発生率の上位には、基幹産業の衰退が著しいデト
1
9
9
4年以降の減少が著しく、 1
9
8
0年代までは中心
都市と郊外との聞で 2倍近い聞きがあった犯罪発
生率は、大幅に縮小してきているのである。図 1
ロイトを筆頭に、サンベルト地帯で人口が急増し
名を連ねており、最下位にニューヨークが位置し
は夜間人口当たりの数値であるから、ニューヨー
ている。 1
9
9
3
年からの変化をみると、大半の大都市
ク市で昼間人口が夜間人口を上回り、世界都市と
で犯罪発生率が減少傾向にあるとはいえ、ロサンゼ
たフェニックス、ダラス、サンアントニオなどカ宝
して大量の一時滞在者や移民を抱えていることを
ルスとともにニューヨークでの減少率の大きさが顕
勘案すると、今日のニューヨーク大都市地域では
著で、減少数ではニューヨークが最大である。
罪種からみたニューヨーク市の犯罪の特徴を捉
中心都市と郊外での犯罪発生率は同等の水準にあ
えるために、罪種別に構成比を求めて全米平均の
るといってよい。
その結果、今日のニユ}ヨーク市は全米の大都
それで除した特化係数を求めたのが表 2である。
市の中で最も治安の良い都市に位置づけられる 10)0
この表から、構成比で窃盗が最も多い点は全国的
このことは、 1
9
9
6年の推計値で 1
0
0万人以上の人口
傾向と一致するが、ニューヨーク市は財産犯より
表 1 全米の大都市における犯罪発生率とその変化
米平均を大きく上回っている点に特徴がある。こ
も暴力犯に特化しており、とくに強盗の比率が全
都市名指
人口仲 人
口 1
0万人当たり犯罪認知件数辛料
(万人) 1993年 1997年 変 化 (93-97年)
NewY
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1
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,
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3
5,
7
7
6
3,
0
9
7
目
の傾向は 1990年とほぼ同様で、ある。しかし 1990~
9
7年の増減をみると、ニューヨーク市では全体で
約5
0%の減小がみられ、とくに殺人、自動車益、
n
a
n
a
強盗、侵入盗は半分以下にまで低下していること
8
.
18
8
7
,
2
6
4
9
2
4
がわかる。そして犯罪件数全体の減少に対する罪
5 P
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1
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4
7
.
8
,
2
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1.
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6
9
1
1,
∞
種別の寄与率を求めると、もともと比率の高かっ
た財産犯の減少が大きく寄与しているといえる。
3
2
6
1
,
8
6
1
このように、罪種によってやや異なる傾向がみ
1
,
2
9
1
られるが、以下では暴力犯と財産犯とに分けて、
n
a
ニューヨーク市内での犯罪認知件数の地域的傾向
n
a
:データなし
材
判キ
都市名の番号は人口規模の順位を表す.
人口センサス局による 1996年の推計値.
Cnmei
nt
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s各年度版より.
をみてみたい。表 3は
、 5つの行政区(bo
r
o
u
g
h
)別
9
9
2年
にみた犯罪認知件数の推移を示している。 1
表 2 犯罪別にみた犯罪認知件数とその変化
分類
罪穏
全米
(
19
9
7年)
ニューヨーク市
(
19
97年)
特化係数
暴力犯殺人
1
8,
210(
0
.
1
4
)
強姦
9
6,
1
2
0(
0
.
7
3
)
)
0
.
61
2,
1
5
7 (
0
.
8
3
強盗
4
9
7,
950(
3
.
7
8
)
44,
7
0
7 (
1
2.
5
6
)
3
.
3
2
加重暴行
財産犯侵入盗
窃盗
自動車盗
合計
1
,
022,
4
90(
7
.
7
6
)
I 2,
4
札
1
0
0(
1
8
.
6
8
)
7,
7
2
5,
500(
5
8
.
6
4
)
∞(10.27)
I 13,
1
7
5,
070(
I
∞
.
∞
1
,
3
5
3,
7
)内の数字は構成比(則を表す.
資 料 :C
rimei
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出各年度版.
注 :(
770
I45,
229
(
0
.
2
2
)
1
9
9
0年からの
増減数
1
.57
1
9
9
0年からの
僧減率(%)
1
,
475
6
5
.
7
0
9
6
9
31
.
∞
ー
5
5,
5
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3
.
4
2
55
2
3,
662
3
4.
35
0
.
8
1
6
5,
8
3
8
5
4
.
8
9
0
.
7
5
1
1
1,
5
8
1
4
1
.54
1
.42
9
5,
2
3
1
6
4.
7
3
一
3
5
4,
329
4
9
.
8
9
(
12
.
7
1
)
1
.64
I54.卿 ( 15.20)
I157,
0
3
9 (
4
4
.
1
3
)
I51,
8
9
2 (
14
.
5
8
)
I355,
8
9
3(
I
∞
∞
)
同
1
5
1
若林.ニューヨーク市における最近の犯罪情勢と警察活動への G
I
Sの応用
表 3 ニューヨーク市における行政区別
犯罪認知件数の変化
行政区
罪種
に財産犯の件数はマンハッタン区が最も多く、ク
備減率
イーンズ区がそれに次いでいるが、これは財産犯
1
9
9
6年(%)
の標的になりやすい富裕層や観光・ビジネス客が
犯罪認知件数
1
9
9
2年
のに対し、他の区は財産犯が相対的に多い。とく
B
r
o
n
x
1,
0
3
3 2
0
,
5
7
13
3
.
7
1
暴力犯 3
財産犯 6
1,
3
9
4 4
2
,
9
4
73
0
.
0
5
6,
6
8
2 3
4
,
7
9
53
8
.
6
1
B
r
o
o
k
l
y
n
暴力犯 5
財産犯 1
2
0
,
0
1
7 71,
8
6
14
0
.
1
2
7,
7
2
8 2
1,
9
8
741
.7
2
Ma
叶抽杭a
n
暴力犯 3
財産犯 1
4
9,
4
5
1 8
4,
6
2
84
3
.
3
7
Qu
民国
暴力犯 30,
8
1
6 1
8,
7
8
4・
3
9
.
0
4
財産犯 1
2
0
,
9
1
8 7
5,
0
3
63
7
.
9
4
5
2
22
4
.
0
1
暴力犯
3
.
3
1
9 2,
S
t
a
t
e
nI
s
l
a
n
d
4
,
8
2
4 9,
4
2
436
.
43
財産犯 1
暢
・
ー
.
幽
・
・
圃
ー
岨
・
・
・
喝
司
.
ー
_
.
幽
.
幽
・幽
・
・
・
・
同
開
ー
.
_
暴
力
犯
1
5
9,
5
7
8 9
8,
6
5
93
8
.
1
8
T
o
t
a
l
財産犯 466,
604 2
8
3,
8
9
63
9
.
1
6
注:暴力犯(人身犯)には、殺人、強姦、強盗、加重暴行が、
財産犯には、侵入盗、窃盗、自動車盗がそれぞれ含まれる。
資料:N
ewY
o
r
kD e 阿 加 問t
o
fC
i
t
yP
l
a
n
n
i
n
g(
I9
9
8
)
:
a
1
9
9
7A
n
n
u
a
lR
e
p
o
r
l仰 S
o
c
i
a
ll
n
d
i
c
a
t
o
r
s
.
これらの区に多いことが原因と考えられる。また、
そこでは高級住宅地と貧困地区が比較的近接して
立地するため、階層分極化が最も顕著に現れる地
区ともいえ、デュアル・シティ
(
d
u
a
lc
i
t
y
) に典
型的な街頭犯罪 (
s
t
r
e
e
tcrime) (
S
u
l
l
i
v
a
n,
1991
)
の機会も他の地区より多いと予想される。
より詳細な地域的動向を捉えるために、 76の 警
察署管轄区域別に犯罪認知件数を地図に示したの
が、図 2と図 3である。暴力犯については、ブロ
ンクス区南部、ブルックリン区北部・東部のイン
ナーエリアで高い(図 2)0 これらは所得水準や教
育水準が低く失業率が高い地区で、黒人・ヒスパ
ニック系住民が集中している点でも共通してい
から 96年までにすべての区で 30~40%前後の減少
る山。ただし、黒人・ヒスパニックの集中地区でも
がみられるが、とくにマンハッタン区での減少率
マンハッタン区のローアー・イーストサイドやハ
は40%を超えている。罪種別に比較すると、暴力
ーレムでは暴力犯は比較的少ない。これは、 1980
犯の比率はブロンクス区とブルックリン区で高い
年代に両地区で本格化したジエントリフイケーシ
富富山以上
N
冨 日01~ゆO
図 工001~ 2,900
口
2,
000以下
Manhattan
o
1
9
9
2年
10km
」山田一一一」
1
9
9
6年
,
資料:V
e
r
aI
n
s
t
i
t
u
t
eo
fJ
u
s
t
i
c
e(199め
:TheVeraE
加 t
i
t
仰 A伽 S o
fCrimeα
叫 J
旧 t
i
c
einN
側
YorkC
i
t
y
NewYorkD
e
p
a
r
t
m
e
n
to
fP
l
a
n
n
i
n
g(1998):1997AnnualReportonSociallndic
αt
o
r
s
.
図 2 警察署管轄区別暴力犯認知件数とその変化
総合都市研究第 7
1号
1
5
2
軍
曹
富
図
口
2000
1
7,
4
0
1以上
1
1,
70
1~ 1
7,
400
6
,
0
0
1~ 1
1,
7
0
0
ι000以下
1
9
9
2年
1
9
9
6年
資料:図 2に同じ.
図 3 警察署管轄区別財産犯認知件数とその変化
g
e
n
t
r
i
f
i
c
a
t
i
o
n
)(
S
m
i
t
h
,1
9
9
6
) の影響かもし
ヨン (
り、後述するように、こうした地区で警備が重点
9
9
2年にはマンハッタン区でも歓
れない 12)。また、 1
的に強化された結果と考えられる。そのため、市
楽街や商業地区が集中したミッドタウンやヒスパニ
内全体で犯罪発生数の分布は平準化しつつある。
ックの多いワシントン・ハイツなどで犯罪が多発し
また、ニューヨーク市内での犯罪発生は確かに減
9
9
6
年には大幅に減少している。
ていたものの、 1
少しているものの、郊外でも同様で、あるとは限ら
9
9
2年ではマンハッ
一方、財産犯については、 1
側
Y
o
r
kTimes誌 (
F
e
b
r
u
町 2
7
,
1
9
9
7
)に
ない o M
タン区の中でも繁華街を抱えるミッドタウン、富
よると、ニューヨーク大都市圏内の郊外のカウン
裕層の多いアッパー・イーストサイド、それにク
ティでは 1990~95年の聞にむしろ暴力犯が増加し
イーンズ区のフラッシングなどで高く、暴力犯の
ているという。これは郊外化に伴う中心都市から
分布とは対照的である(図 3)0 これは、前述のよ
の人口・産業の流出による結果と考えられ、犯罪
うに、これらの地区で財産犯の標的になりやすい
d
i
s
p
l
a
c
e
m
e
n
t
) (守山・西村, 1
9
9
9,p
.
5
7
)
の転移 (
富裕層や観光・ビジネス客の多いことが原因とみ
を示しているともいえるだろう O
9
9
6年には件
られる。しかし、ほとんどの地区で 1
数が減少し、地域差は縮小傾向にある。
9
9
2年
このように、いずれの罪種についても、 1
3
. ニューヨーク市における治安向上の
背景
9
9
6年にかけて犯罪認知件数は減少しており、
から 1
犯罪多発地区の相対的な分布傾向に大きな変化は
以上のように犯罪発生数が減少した原因を考え
ork Times誌
み ら れ な い 13)。ここで、 NewY
るにあたって、全米レベルでの背景とニユ}ヨー
(
J
a
n
u
a
r
y1
9,1998) が掲載している 1996~97年に
ク市独自の地域的背景とを分けて考える必要があ
かけての犯罪認知件数の変化を示す地図によると、
9
9
0
年代に入ってから
る。図 1にみられるような 1
犯罪減少数が最も多い地区は、殺人・強姦ではブ
9
9
4年に成立した犯罪
の全国的な治安の改善は、 1
ロンクス南部、窃盗・自動車盗ではミッドタウン
防止法 14)をはじめとする連邦政府の対策の効果と
であった。これらは各罪種の犯罪多発地区でもあ
考えられる。この法案が成立した背景には、中間
若林:ニューヨーク市における最近の犯罪情勢と警察活動への G
I
S
の応用
1
5
3
選挙を控えて国民の重要な関心事となっていた犯
9
9
4
約に掲げて当選したジュリアーニ現市長は、 1
罪対策をクリントン大統領が放置できなかったと
年の就任以来、一貫して治安の向上を重要な政策
いう事情もあったらしい。また、この時期には失
課題に位置づけていた。連邦政府による犯罪防止
業率の低下にみられるように経済状況が好転して
法の制定にもみられるように、 1
9
9
4年当時の世論
おり、その影響も考えられなくはない。しかし、
で犯罪対策が重要な関心事だ、ったことが彼の当選
そうした経済的要因だけでは 1
9
8
0年代後半の好況
にも追い風となっていたのは間違いない。その対
期に犯罪が増加したことを説明するのは難しい。
策が講じられた時期と犯罪が急減した時期(図1)
ニューヨーク市に限った場合、 1
9
8
0年代後半に犯
との一致からみて、これが 1
9
9
0年代後半の犯罪発
罪発生率が高まった背景として、ニューヨーク市
生率の減少に最も影響を与えたと考えるのが妥当
立大ジョン・ジェイ・カレッジ (
J
o
h
nJ
e
yCo
l
1e
g
e
)
であろう。
のロパート・マクリー教授の談話(高木, 1994,
ジュリアーニ市長の犯罪対策はゼロ・トレラン
p
p
.
1
9
9
2
0I)によると、①コカイン(とくにクラ
ス (
z
e
r
ot
o
l
e
r
a
n
c
e
) という基本方針に依拠してい
ックと呼ばれる安価な濃縮コカイン)常用者が増
る。これは、微罪に対しでも法律・罰則を厳格に
えたこと、②銃の入手が容易になったこと、③最
適用するという非寛容の精神を表した厳罰主義で
貧層と富裕層の格差が広がったことなどが考えら
(守山, 1
9
9
9
c,p
.
1
7
5
)、その理論的支柱となってい
れるという。このうち③は、世界都市化を背景と
るのが W
i
l
s
o
nandK
e
l
l
i
n
g(
19
8
2
) の「割れ窓理論
した階層分極化の進行という社会構成の構造的変
(BrokenWindowsTheory)J である (
B
r
a
t
t
o
n,
化 (
M
o
l
l
e
n
k
o
p
fandC
a
s
t
e
l
l
s,1
9
9
1
) の反映といえ
1
9
9
8,p
.
1
5
2
)。たとえば、ピルの壊れた窓を放置し
るかもしれない。
ておくと他の窓も壊して良いという合図になり犯
しかし 1
9
9
0年代後半のニューヨーク市で全米平
罪の温床になるように、種々の無法行為や軽微な
均に比べて著しい犯罪発生率の低下がみられたの
犯罪を放置すると、コミュニテイはますます不穏
は、どう説明できるだろうか。自治体国際化協会
で不道徳になり、最後には暴力集団の支配する無
ニューヨーク事務所(19
9
8
) は、これについて次
法地帯になるであろう。つまり、重大犯罪に重点
のような要因を挙げている。まず第 1に、好景気
を置いていた従前の犯罪対策に代わって、小さい
によって失業者やホームレスが減少したことであ
犯罪の芽を摘むことで大きな犯罪を未然に防止で
る。ただし、ニューヨーク市内の失業率は依然
きるという考え方をとるのである。その結果、
8%台と全米平均を上回り、 1
9
9
5年以後は横這い
種々の規制や刑罰の強化が加えられている。具体
であるため、これでは十分な説明にはならない。
第 2の要因としては、犯罪者の多数を占める 1
0
的には、地下鉄無賃乗車を現行犯逮捕、酒酔い運
転で有罪になれば車を没収、マリファナの所持者
代後半から 2
0
代前半の青年層の人口が減少したこ
は現行犯逮捕、風俗営業庖は学校や教会から 150m
とである。最新の 1
9
9
0年センサスによると、 1
9
8
0
以内では営業禁止、路上の屋台はマンハッタンの
年から 9
0年にかけて、ニユ」ヨーク市内の 15-24
約1
4
0カ所から締め出し、歩行者の信号無視には罰
歳入口は 1
0
.
2
%
減少した。 1
9
9
0
年当時、 15-24
歳入
金5師、タクシー運転手の麻薬検査や罰金 3倍増、
口 (
1,
0
4
7,
3
6
7人)は 5-14歳人口 (
9
0
7,
5
4
9人)を
などである問。
上回っていた聞から、社会増減がない場合、青年
では、警察当局は具体的にどのような犯罪防止
人口は 2
0
0
0年までにさらに約 1割減少すると予想
策をとったのだろうか。現市長が歳任した 1
9
9
4年
される。しかしながら、青年人口と犯罪発生との
から 1
9
9
6年までニューヨーク市警本部長 (
p
o
l
i
c
e
聞の因果関係を裏付ける直接的な証拠は管見の限
commissioner) を務めたプラットン山 (
W
i
l
l
i
a
m
りでは見あたらない 16)。
B
r
a
t
t
o
n
) の回想録 (
B
r
a
t
t
o
n,1
9
9
8
) によると、
そこで第 3に考えられるのは、治安維持の強化
COMPSTAT (
c
o
m
p
u
t
e
r
i
z
e
dc
r
i
m
es
t
a
t
i
s
t
i
c
s
) と呼
である。犯罪撲滅による生活の質の向上を選挙公
ばれる、電算機を使った犯罪分析が一つの柱をな
1
5
4
総合都市研究第 7
1号
m∞
していたようである。 COMPSTATが依拠する基本
警察官数(千人)
O
f
f
i
c
eofManage原則は、次の 4っからなる (
4
0,
一
一
一
一
一
警察予算(億$)
2
8
mentAn
a
l
y
s
i
sandP
l
a
n
n
i
n
g,1
9
9
8
)。まず第 1に
、
2
6
犯罪発生について正確で、タイムリ}な知識をもつ
ことである。つまり、事件にうまく対処するため
には、どこでどのような犯罪が起きているかを正
2
4
3
5
確かつ迅速に知る必要がある。第 2に、犯罪を減
2
2
少させるのに効果的な戦術を、犯罪情報の分析に
2
0
、
基づいて臨機応変に策定することである。第 3に
たてられた戦術に基づいて人員や資源を迅速に配
3
0
1
8
備することである O そして最後に、以上の結果を
厳しく追跡調査し査定することで、次の対策に役
1
6
立てることになる O
このような原則を実行に移すために、市内の 76
カ所の分署から毎週提供される犯罪情報を編集し
1
4
2
5
1
9
9
09
1 9
2 9
3 9
4 9
5 9
6 9
7 9
8
、指揮官(警察署長)の達成度
たCompstatReport
予算年度
を吟味した CommanderP
r
o
f
i
l
eR
e
p
o
r
t
sの作成、そ
Meetingが行われている。とくに CrimeS
t
r
a
t
e
g
y
ーー警察官数・・・警察予算
資料:ニューヨーク市警のP
.G
.M
c
G
u
i
r
e
氏から提供され
たデータに基づいて作成.
Meetingで、は、すべての警察署長が月一回の割合で
図 4 ニューヨーク市における警察予算と
れに警察本部で聞かれる週 2回の CrimeS
t
r
a
t
e
g
y
担当地域の犯罪状況を報告するために召集され、
警察官数の推移
ハイテク装備された会議室で犯罪多発地区の動向
を示すコンピュータ・マップ附などを提示しなが
1
9
9
7
年には 5
.
1人に増え、全米の都市部平均2.4人の
O
f
f
i
c
eo
fManagement
ら対策を練ることになる (
2倍を超えている加。
An
a
l
y
s
i
sandP
l
a
n
n
i
n
g,1
9
9
8;武藤, 1
9
9
8
)0
最近の財政データが手元にないため、 S
tαt
i
s
-
なお、 COMPSTATの導入と平行して、警察内部
αc
to
ft
h
eU
n
i
t
e
dSω
,t
e
sに掲載されてい
t
i
c
a
lA
b
s
t
r
l
の組織の見直しも行われている。具体的には、地
9
9
1年度と 1
9
9
5年度のニューヨーク市の一般歳
る1
区担当警察官の責任・業績の徹底、担当警察官の
出総額と警察関係予算とを比較すると、後者は前
頻繁なミーティングによる意識改革が進められ、
者の伸びを上回る1.28倍に達し、歳出総額に占め
9
9
9
c,p
.
1
7
6
)。こ
権限の分散化が図られた(守山, 1
る警察関連予算の比重も 5.31%
から 5.93%に増えて
れはコミュニティ・ポリシング (community
いる。連邦政府や州からの補助金があるにせよ、
p
o
l
i
c
i
n
g
) という地域密着型の警察活動の一環とみ
1990年代に入ってからも市の税収が伸び悩んでい
ることもできる制。これによって、前述のように
る(佐々木, 1
9
9
7,p
.
1
0
8
) ことを考えると、警察予
現場の警察官の権限も拡大したのである。
算が他の費目を圧迫している可能性が高い。
当然のことながら、このような対策を講じるた
めには、警察予算の増額と警察官の増員が必要と
4. 防犯対策への GISの応用
なる。図 4にみられるように、ジュリアーニ市長
就任前の 1994年度に比べて 1998年度の警察予算は
以上のように、犯罪情報の収集と電算機処理に
45.7%
増、警官数は 35.5%
増となっている。これを
基づく犯罪分析には、 GISが威力を発揮している O
人口当たりに換算すると、ニューヨーク市におけ
こうした犯罪分析への GISの導入は、ニューヨー
9
9
0年の 3
.
7人から
る人口千人当たりの警察官数は 1
ク市に限らず全米各地で試みられており、犯罪分
若林:ニューヨーク市における最近の犯罪情勢と警察活動への G
I
Sの応用
析専用の GISソフトウェアも開発が進んでいる。
1
5
5
分布から、犯人の居住地を推定し、候補地をラン
そこで、この章では北米における G胞を用いた犯
ク付けした地図を出力するものである。具体的に
罪分析の動向について述べた後で、具体的な応用
は、環境犯罪学での知見に基づいて、犯罪者の居
例を紹介する。
住地からの距離とともに犯行確率が単調減少する
4
. 1 北米における犯罪分析へのGISの応用
アメリカ合衆国では、 1
9
9
4年の犯罪肪止法の施
行をきっかけに 1996年に国立司法研究所 (
N
I
J
:
というパレート関数モデルに、その居住地の周囲
では犯行が少ないバッファ領域が存在することを
加味してモデル化されている(地域安全情報シス
テム研究会, 1
9
9
7,p
p
.
2
4
2
7
)。なお、こうした機能
N
a
t
i
o
n
a
lI
n
s
t
i
t
u
t
eo
fJ
u
s
t
i
c
e
) が犯罪地図分析セン
社が開発した R
i
g
e
lというソフトウェアに
はECRI
esearchC
e
n
t
e
r
)
ター (CMRC:CrimeMappingR
組み込まれている制。
を設置した。 CMRCのWebサイト (
h
t
t
p
:
/
/
w
w
w
.
j
.g
o
v
/
c
m
r
c
/
) によると、その主たる活動
o
j
p
.usdo
事件発生地点のデータから犯罪多発地区を割り
出す③については、イリノイ州刑事司法情報局に
内容は、研究(助成金の交付など)、評価(優れた
S
p
a
t
i
a
landTemporal
よって開発された STAC (
実践例の紹介)、開発(ソフトウェア開発など)、
e
) がその代表的なものといえる。
An
a
l
y
s
i
so
fC出 u
情報提供(会議の開催など)からなる。これらに
1
9
8
0年代半ばから開発が始められた STACIま、この
関する a情報は Web上でも数多く公開されており、
種のソフトウェアの中でも古典的なものとなって
犯罪地図分析の応用例をはじめとして、犯罪地図
おり、その後の改良によって他の分析機能も付加
分析用ソフトウェア(汎用の GISも含む)も幅広
されている悶(地域安全情報システム研究会, 1
9
9
6,
く紹介されている。アメリカ合衆国のみならず欧
p
.
2
1
;Bl
ock
,
1
9
9
5
)0
米で GISを用いた犯罪分析の事例については、地
このように、警察活動の様々な場面で GISが応
1
9
9
6,1
9
9
7,1
9
9
8
)が詳
域安全情報システム研究会 (
用できる可能性があるが、以下では計量地理学で
しく報告している O そこで紹介されている事例を
開発が進められてきた空間分析手法の応用例とし
用途によって大別すると、①警察活動の日常業務
て、③の犯罪多発地区の割り出しのための方法を
への応用、②捜査段階への応用、③防犯活動のた
詳しく述べてみたい。
めの犯罪多発地区の検出、に分けられるように思
われる O
4
. 2 STACの分析手順
① の 事 例 と し て は 、 シ カ ゴ 市 警 の ICAM
STACには時系列解析と空間解析の機能が組み込
U
n
f
o
r
m
a
t
i
o
nC
o
l
l
e
c
t
i
o
nf
o
rAutomatedMapping)
まれているが、ここで、は後者に絞って紹介する。
がある。もともとコミュニテイ・ポリシングを支
STACが登場する以前、犯罪発生場所の情報から犯
9
9
5年に導入された ICAMは、現場の
援する目的で 1
罪多発地区を抽出する方法には、次のようなもの
巡回警察官が自ら操作して担当地区の情勢把握や
があった C
B
lock
,
1
9
9
5
)0 1つは、対象地域をメッ
地域住民との巡回区会議で利用することを主眼と
シュ等の単位地区に分割して地区ごとにデータを
して設計されている(地域安全情報システム研究
集計し直すことである。しかしその場合、単位地
9
9
7,p
p
.
1
9
2
0
)。そのため、キーボードを使わ
会
, 1
区の設定によって結果が異なるため、客観性が保
ないで犯罪データ・ファイルを検索し、地図やグ
証されない恐れがある O これに対して、集計化を
ラフに表示できる簡便な操作性が特徴となってい
る
泊
。
しない方法としては、発生地点をそのまま地図に
するピン・マップ分析がよく用いられてきた。し
②については、カナダのパンクーパー市警が導
かしこの方法では、同じ場所に発生が集中する場
入した地理的プロファイリング (
g
e
o
g
r
a
p
h
i
cp
r
o
-
合、分布傾向が過小評価される恐れがある。また、
f
i
l
i
n
g
) を支援するシステムがある制。これは、同
いずれの方法をとるにせよ、出来上がった地図の
一犯人によるとみられる複数の事件の発生地点の
解釈は恋意的になりがちである。このように、ー
∞o
1
5
6
総合都市研究第 7
1号 2
見、簡単に思える点分布クラスターの抽出を計算
上述のような STACの分析手順のうち、③までは
機を用いて客観的に行うのは、意外に困難な作業
Openshawe
tal
.(
1
9
8
7
) のGAM (
G
e
o
g
r
a
p
h
i
c
a
l
なのである。
A
n
a
l
y
s
i
sMachine) に類似している 27)。違いは、
STACI立、恋意的でないピン・マップ分析の方法
GAMではあらゆる大きさの円を設定し、円内の発
として考案され、これを用いた犯罪多発地区の抽
生率と対象地域全体での発生率とを比較して差の
出手順は、次のようなものである (Monmonier,
検定を行うため、膨大な計算量に達するのに対し、
1
9
9
7
)(
図 5)。
STACでは計算量を押さえて PCでも実行可能な簡
略化が加えられている点である。一般に、 STACで
(I)等間隔の平行線グリッドの交点に平行線開
隔に等しい半径の円を描く。
設定されるグリッドの間隔が大きくなるほど抽出
(
2
) 各円内の犯罪件数を集計する。
されるクラスター数は少なくなる。また、しきい
(
3
) 最初のグリッドの中聞に別のグリッドを設
値の設定の仕方によっても得られるクラスターが
%
定して①と②の作業を繰り返す2
異なることはいうまでもない。そのため全く恋意
(4)予め設定されたしきい値 (
t
h
r
e
s
h
h
o
l
d
)を
的でない点分布クラスターを抽出できるかどうか
超える発生件数の円を抽出し、円の重なる
は疑問も残る。
領域をそれぞれクラスタ}とみなす。
しかし、実際に STACを応用した犯罪分析の事例
(
5
) 各クラスターに対して標準偏差楕円を描
は多い。たとえば、シカゴ市では街頭暴力団の早
期警告システムに利用され(Block
,1
9
9
5
)、STAC
く
O
の機能の一部は SCAS (
S
p
a
t
i
a
lCrimeAnalysis
(
6
) 分布強度に応じて楕円を階級区分して表示
する。
S
y
s
t
e
m
) という司法省犯罪部が提供しているソフ
X軸
Y軸
27
11
10
10
40
30
1
10
10
17
20
50
犯罪件数
(I)グリッドに沿って重なり合
う円
(
2
) 犯罪件数と円の中心座標の
リスト
eJ
? 9
⑮
々翠0
9
偏
準
標
る
す
定
画
を
区
w
h
u
発楕
多差
.地円
:①
(
6
) 相対密度を表示する強度記
号
出典:M
o
n
m
o
n
i
e
r
,
M
.(1997,
p
.
2
5
9
)の図を一部改変.
図5
STACの分析手順
ら
若林:ニューヨーク市における最近の犯罪情勢と警察活動へのG
I
Sの応用
トウェアにも組み込まれており、原田・島田
1
5
7
8
)は
、
おける強度(密度) A(
(
1
9
9
9
) はその日本版の開発を試みている。そのた
め、今日では犯罪の GIS分析にとって上述の分析
まこの種
手法は基本的なものとなっており、 STACI
。
1 ~ 1 .{(
8-8J ¥
.
.
一
一k
l一一=
1
Aτ(8)=τ-2
(
8
) i=1 r2
r
のソフトウェアの雛形ともいえる。
で推定できる。ただし、 k()はカーネルと呼ばれ
4
. 3 カーネル推定の応用
る、原点に対して対称な 2変量確率密度関数であ
C
i
t
yU
n
i
v
e
r
s
i
t
yo
fNew
ニューヨーク市立大学 (
る。その関数形は任意に定義できるが、それによ
Y
o
r
k
) は、市内に 1
8の分校をもち、その中には刑
って結果は大きな影響を受けないため、一般には、
事司法を専門とするジョン・ジェイ・カレッジも
4次カーネル (
q
u
a
r
t
i
ck
e
r
n
e
l
) と呼ばれる関数が
含 ま れ る が 、 ハ ン タ ー ・ カ レ ッ ジ (Hunter
使用される。
C
o
l
l
e
g
e
) にある地理学教室を中心として組織され
o
r
た応用環境研究センター (CAPSE:Centerf
カーネル推定の結果は、むしろ rの値に大きな
影響を受ける。
r (>0) は帯域幅 (bandwidth)
A
p
p
l
i
e
dS
t
u
d
yo
ft
h
eE
n
v
i
r
o
n
m
e
n
t
) では、犯罪地.
図分析のプロジェクトが進められている。プロ
帯干域幅 τ
カーネノレ k
()
ジェクトの主要メンバーは、地理学教室のゴール
v
.Goldsmith) とマクラファティ
ドスミス (
(
S
.
McLafferty)、それに社会学者のモレンコフ (
J
.
M
o
l
l
e
n
k
o
p
f
) で、ニューヨーク市警の協力を得て
1
9
9
6年にスタートした。研究資金は米国司法局か
9
9
6年から 1
9
9
8年までで
ら助成を受け、その額は 1
$
6
7
5,
0
0
0
1こ達している。
h
t
t
p
:
/
/
研究成果の一部は、 CAPSEのWebサイト (
e
v
e
r
e
st
.h
u
n
t
e
r
.
c
u
n
y
.
e
d
u
l
c
a
p
s
e
/
p
r
o
j
e
c
t
s
/
n
i
j
/
c
r
i
m
e
.
対象地域 R
出典:B
a
i
l
e
y
,
T
.
C
.a
n
dG
a
t
r
e
l
l
,
AC.(
1
9
9
5,
p
.
8
6
)
函 6 カーネル推定の原理
htmI)でも公開されている。ここでは一例として
カーネル推定(または、核型推定)を応用した犯
と呼ばれる、平滑化の程度を規定するパラメータ
罪多発地区の検出方法を紹介したい。カーネル推
である。ここで、図 6のように、
定とは、もともとは観察されたサンプルから単変
影響圏内にある各観測事象8iまでの距離を計測し、
rで定義される
量または多変量の確率密度を平滑化して推定する
近さに応じてsの強度(密度)を推定する。つまり、
ために考案された統計的手法である。これを空間
rの値は点sに影響を及ぼす観測点の範囲を左右
データに適用すると、対象地域に微細な格子点を
し、その値が大きいほど平滑化された分布図が作
被せて各格子点における点の分布密度を、その近
成されることになる。
傍にある点の集中度が反映されるように推定して、
カーネル推定を犯罪多発地区の摘出に応用した
平滑化されたラスター・イメージの分布図を作成
場合、次のような利点がある (
W
i
l
l
i
a
m
s
o
ne
ta
,
.
l
できる。そのため、 STACやGAMのように楕円や
1
9
9
9
)。まず、犯罪発生地点の複雑な分布を平滑化
円といった特定の形状によらずに分布状態を忠実
することによって、多発地区を視覚的に捉えるこ
に捉えることが可能となる。カーネル推定の手順
とが容易になる。その場合、 STACのように分布形
は、およそ次のようなものである (Baileyand
状を特定の図形(楕円)によることなく自由に表
9
9
5,
p
p
.
8
4
・
8
8
;G
a
t
r
e
l
le
ta
,
.
l1
9
9
6
)。
G
a
t
r
e
l
l,1
示できる。また、同ーの観測地点(格子点)につ
・
・
・ ,8n
対象地域Rにおける位置を sとし、 81,8
,8
2
3
いて密度の推定値が得られれば、時系列比較や異
をη個の観測値が得られた点を表すとすると、 8
1こ
なる種類の犯罪についての相関分析も可能になる。
1
5
8
総 合 都 市 研 究 第 71号
士。「守Io"Ç<; Il'.~副t'!!';;""バ"ト"
ご
X
'
U
'
、.
;
<
)
t
'
勺
、P
二刊、守夢、料開つみ、主
ι
州中.帆川町
ー、氏(";,,1、t、百円引才、('!'-llV(!'\'首,~吋f脅
A
r
cViewのデフォールト値による結果
d
2000
p
'
;
.
,
:
,l"ミ'cι
、.>.~,
tも
炉
、
Un.i内相
門
歩 州 、 引 恥 r_p仙 丹 A
1
0次の最近接距離に基づく帯域幅を用いた結果
出典:W
i
l
l
i
a
m
s
o
ne
t3
1
.(
1999,
p
.
2
7
)
図 7 カーネル推定を用いたブJレックリン南部における強盗多発地区の分析事例
ESRI社 の PC版 GISで あ る ArcViewS
p
a
t
i
a
l
など)、事件聞の距離の分析(最近隣分析など)、
An
a
l
y
s
t
tこはカーネル推定を使って密度分布を求め
ホット・スポット分析(種々のクラスタリング方
る機能が組み込まれているが、カーネル推定の最
法の適用)、犯罪の発生密度推定(カーネル推定)
大の難点は、帯域幅 τの設定が恋意的になりがち
が可能で、ある。
なことである。 ArcViewで、帯域幅のデフオ}ルト
ところで、このような点分布パターン分析は、
値は、点の分布域の短軸の長さを 30で除したもの
B
a
i
l
e
yandG
a
t
r
e
l
l(
1
9
9
5
) などが紹介している空
が使われているものの、対象地域が狭い場合には
間分析手法を応用した一例でもある制。そのため
必ずしもこの方法は適していない。この点を改善
同様のデータが与えられれば、犯罪に限らずあら
i
l
l
i
a
m
s
o
ne
ta
l
.(
1
9
9
9
) は、地点間
するために、 W
ゆる事象に同じ手法が適用可能である。たとえば、
距離に基づく帯域幅として、 K次の最近接距離の
G
a
t
r
e
l
le
ta
l
.(
1
9
9
6
) や中谷 (
1
9
9
7
) が紹介した疾
平均値を用いた方法を考案した。この場合、 Kの
病や健康水準の空間分析にも類似した手法が適用
値が大きいほど平滑化の度合いも高まることにな
されていた。その点では、上述の分析手法は汎用
る
。
性の高いものといえる。それとともに、疾病の空
その分析結果の一例が図 7である。これは、ブ
ルックリン南部における強盗発生地点にカーネル
間分析手法の中にも犯罪分析に応用可能なものが
多数ある。
推定を適用して得られた分布図を示している。左
しかしながら、それが実際の犯罪対策には限定
側は ArcViewのデフォールト値による結果で、右
された有効性しかもちえないのはいうまでもない。
0次の最近接距離から帯域幅を設定した結果
側は 1
たとえば、ある時点での犯罪多発地区が特定でき
であるが、左側の図では帯域幅が狭すぎて分布パ
たとしても、なぜそこで犯罪が多発するかに関す
ターンが読みとりにくいことがわかる。このよう
る因果関係は不問としているため、対症療法的な
K
) を変えなが
にGISを使って最近接距離の次数 (
対策にならざるをえない。このような分析が有効
ら対話的に地図を表示することにより、犯罪多発
なのは、犯罪の素因よりも誘因の除去に重点を置
地区が認識しやすい分布図を自由に選択できるの
く場合であろう。そのため、犯罪が転移すること
である。
を仮定すると、たえず犯罪情勢をモニタリングし
なお、 CMRCでは最近、カーネル推定を組み込
続けることが犯罪予防にとって不可欠になるが、
んだ C
r
i
m
e
S
t
a
tという犯罪分析ソフトを開発して提
そうしたモニタリングに GISが適しているのはい
供しており、それを用いると、事件の空間分布解
うまでもない。その点で、犯罪の発生状況を重視
析(標準偏差楕円や空間的自己相関統計量の算出
したアプローチをとる環境犯罪学には、 GISは有
若林・ニューヨーク市における最近の犯罪情勢と警察活動への G
I
Sの応用
用なツールとなるのである。また、犯罪の種類に
1
5
9
治体国際化協会ニューヨーク事務所, 1
9
9
8
)。
よってもその有効性は限定されるであろう。たと
ただし、こうした問題点は GISを用いた分析方
えば、犯罪認知件数の中で最も比重の大きい窃盗
法自体に内在するものではなく、分析結果を使っ
をはじめとする街頭犯罪については、即効性のあ
てどのような対策を講じるかに関わっている刷。
る対策をとることができるかもしれない。しかし、
その意味では、 GISは犯罪分析を支援するツール
それは環境犯罪学が主たる対象としている街頭犯
の一つでしかないのである。 GISを使った犯罪分
罪以外の、家庭内で発生する暴力や汚職や企業犯
析を警察活動に応用する場合、格段に犯罪発生率
罪に対しては、必ずしも有効とはいえない(守山,
が低い四日本でニューヨーク市のような厳重な対
1
9
9
9
c
)。
策を導入する必然性は今のところ高くないし、そ
いずれにせよ、本稿で紹介した犯罪分析の手法
のためのコンセンサスも得られないだろう。むし
は、犯罪分布の単なる地図化ではなく、分布パタ
ろ、日本の警察活動の特色をなしている交番制度
ーンを検出するためのデータ処理を通して、犯罪
は、欧米で関心が高まっているコミュニティ・ポ
情勢を視覚化することを可能にする。そうした方
リシングを先取りしたものという評価を受けてお
法が、ニューヨーク市で近年進められてきた、ゼ
9
9
9
c,p
.
1
7
6
1
7
7
)、交番・駐在所での業
り(守山, 1
ロ・トレランスの方針に依拠した警察活動を支援
務を効率化・合理化する情報化技術のーっとして
する有効なツールになることは間違いない。
G胞を活用していくのが日本の現状に合っている
(地域安全情報システム研究会, 1
9
9
6
)。最近になっ
5
. おわりに
て日本でも、欧米の犯罪分析ソフトウェアを導入
する動きがあるが、それを可能にするためには、
本稿で紹介したように、 GISを用いた犯罪分析
所番地の表記方式における欧米との違いからくる
はニューヨーク市の警察活動に応用され、近年の
住所照合の困難さといった技術的な課題の克服
犯罪減少に一定の貢献を果たしていることが明ら
(島田・原田, 1
9
9
7
) とならんで、空間データ基盤
かである。それはまた、環境犯罪学の手法を応用
の充実が望まれる O
した一つの事例ともいえる。しかしながら、ニュ
ところで、 GISを用いた犯罪分析がめざすとこ
ーヨーク市の犯罪対策については、次のような問
ろは、っきつめると、 GPS (全地球測位システム)
題点も指摘されている(守山, 1
9
9
9
c,p
.
1
7
6
)。まず
などのハイテク技術と結びついた電子装置による
第 1に、銃規制が基本となっており、銃器が日常
人々の絶えざる監視にもつながる可能性がある。
生活に蔓延するような状況でしか有効でない。第
性悪説に基づいてあらゆる人聞を潜在的犯罪者と
2に、刑務所などの収容過剰を招き、結果的には
みなす環境犯罪学に依拠すると、誰もが監視の対
刑務所等での処遇をないがしろにして再犯防止に
象になるのである。実際、 CCTV (防犯カメラ)
つながらない。第 3に、黒人などの差別された者
を用いたモニタリングは、住宅や事業所など都市
を特定の場所から排除しているにすぎない。この
の至る所で広範に利用されているし、在宅拘禁者
9
9
9年 2月にギ
最後の点に関連する事件として、 1
に電子プレスレットを装着して居所を監視する装
ニア移民の青年が 4人の警官に誤って発砲を受け
9
9
1,p
.
2
2
2
) は、アメリカ合衆国で
置(藤本編, 1
て聞死し、マイノリティによる抗議デモにまで発
1
9
8
0年代から試行されていた。そうしたハイテク
展したことが新聞等で報じられている副(読売新
の監視装置が張り巡らされて、都市全体が一種の
9
9
9年2月1
6日朝刊;朝日新聞, 1
9
9
9年2月2
7
聞
, 1
パノプテイコン(一望監視施設) (フーコー, 1
9
7
7
)
日朝刊)。このような犯罪対策の行き過ぎに対して
と化した状態が、はたして望ましい姿かどうかは
は、とくにマイノリテイからの反発が強く、市民
大いに疑問が残る。
苦情審査委員会に寄せられた警察に対する不満も
いずれにせよ、ニューヨーク市で採用されてい
1
9
9
3年から 4年間で 56%
増加しているという(自
る、環境犯罪学的な防犯対策が、犯罪を生み出す
総合都市研究第 7
1号 2
0
0
0
160
構造的要因の解消につながらないことは明らかで
果には、伊藤編 (
1
9
8
2
)などがある。また、『総合都市
ある。そのため、改善された岡市の治安は、きわ
研究』でも 5
8
号 (
1
9
9
6
) には犯罪からみた安全性に
めて脆弱な基盤の上にあるといわざるをえない。
関する講演会の記録がある。
末のニューヨークは、表面的には至福の千年王国
3)最近では『現代思想 j(
2
7
巻1
1号
, 1
9
9
9
)が「安全性」
をテーマに特集を組んでいる。
4
)1
9
9
3年に行われた世論調査では、米国が抱える最大
を迎えようとしているかに見えるのだが、景気の
の問題として 29%の回答者が犯罪を挙げていた(朝
illeniumの 文 字 が 踊 る 世 紀
空前の好景気に沸き、 M
動向がこのまま持続するかどうかについても悲観
9
9
3年1
2月2
0日朝刊)。同じ年には、銃砲犯
日新開, 1
的な見通しが少なくない。また、ジュリアーニ市
罪を防止する目的で、短銃の購入に際して待機期間
長は次期上院選に出馬を予定しているとの報道が
あり、もし市長が交代した場合、現在のような犯
罪対策が継続されるのかどうか、不確定な要素も
ある。しかし、 GISに よ る 犯 罪 分 析 シ ス テ ム の 運
用が軌道に乗ったなら、今日の治安もある程度は
維持できるかもしれない。問題は、意思決定支援
ツ ー ル と し て の GISを ど の よ う に 運 用 し て 対 策 を
講じるかであり、それは政策担当者の判断と手腕
にかかっているのである。
付記
本稿は、 1999年 に ニ ュ ー ヨ ー ク 市 立 大 学 大 学 院
への交換研究員として滞在した際に収集した資料
と情報に基づくものである。現地でお世話になっ
たニューヨーク市立大学ハンター・カレッジ地理
学教室の V
i
c
t
o
rGoldsmith
博士と SaraMcL
a
f
f
e
r
t
y
博
士 、 な ら び に ニ ュ ー ヨ ー ク 市 警 のP
h
i
l
i
pMcGuire、
StephenQuinnの両氏に厚く御礼申し上げます。ま
た、本稿で使用したデータの整理と図化にあたっ
てお世話になった本学理学研究科地理科学専攻大
学院生の鈴木晃志郎氏に謝意を表します。脱稿後、
ニューヨーク市立大学のグループによる犯罪地図
.e
tal
.
分 析 の 成 果 を と り ま と め た Goldsmith,V
e
d
s
.,
A附 l
y
z
仰 gC
rimePαt
t
e
r
n
s
:F
r
o
n
t
i
e
r
sof
b
l
i
c
a
t
i
o
n
s
,ThousandOaks,2000
p
r
a
c
t
i
c
e
.SagePu
が出版されたことを付け加えておく
O
注
1)地域の住み心地を評価する社会指標の中で、安全性
は不可欠の項目となっている。このことは、経済企
画庁の「国民生活指標」やアメリカの民問機関が作
成したH
αc
esR
αt
e
dAtm
α附 c(
S
a
v
a
g
e
a
uandL
o
f
t
u
s,
1
9
9
η などの指標構成をみても明らかである o
2)都市問題として犯罪に着目した数少ない日本での成
を設けるプレイデイ法案が成立している(朝日新聞,
1
9
9
3年 1
1月2
5日夕刊)。なお、 1
9
8
0年代から 9
0年前
後にかけてのニューヨーク市の犯罪事情の深刻さに
ついては、長沼 (
1
9
8
5
)、高木 (
1
9
9
4
)などのエッセイ
やルポルタージュからもうかがい知ることができ
る。やや趣向は異なるが、ワックス (
1
9
9
4
)は、ニュ
ーヨークにおける犯罪被害者の語りを都市フォーク
ロアのー形式として再構成している。
5)朝日新聞, 1
9
9
3年 1
1月4日朝刊。
6)たとえば、朝日新聞 (
1
9
9
6年 4月 3日夕刊;1
9
9
8
年
7月 2日夕刊)、読売新聞 (
1
9
9
9年 8月2
6日朝刊)、
9
7
年 5月 5日号)など。
日経ビジネス(19
7)環境犯罪学といわゆる環境犯罪とは本来無縁のもの
である。そのため、公害や不法投棄等の企業犯罪に
よる環境汚染は、環境犯罪学の直接の対象にはなっ
ていない。
8)地理学以外の分野では、玉川(19
9
6
)や島田・原田
(
1
9
9
7, 1
9
9
9
)のように、日本でも GISを用いた犯罪
分析が最近になって増えてきている。
9) 原文では H
a
r
v
e
y
(
1
9
7
3
)が引用されているが、 Harvey
が意図したのは、地理学的想像力と社会学的想像力
とを包摂した概念的枠組みによって都市を理解する
ことであった。
1
0
) ただし、独自に設定した 3
5
1の都市圏単位で住み心
地を診断してランキングしたP
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9
9
η によると、犯罪に対する
安全度からみたニューヨークの評価は、依然として
ワースト 3に位置づけられている。
1
1
) 成田 (
1
9
9
1
)論文に掲載の地図を参照。それらは 1
9
8
0
年代前半の状況を示したものであるが、 NewYork
19
9
8
)による 1
9
9
7
年頃
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の状況と比べて大きな変化はみられない。
1
2
) ジエントリフイケーションが必ずしも犯罪の減少に
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1
9
9
3,
つながらないことは、 V
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.
2
6
2
η が指摘している O
1
3
) ただし、警察署管内でも犯罪発生率は異なり、市内
全域で犯罪が激減したとはいえない。このことは、
書庖で市販されている、マンハッタン区のより詳細
C
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eSmart
社が 1
9
9
7年に発行)にも
な犯罪地図 (
若林:ニューヨーク市における最近の犯罪情勢と警察活動への GIS
の応用
見て取れる。 1
9
9
5年のニューヨーク市警のデータを
1
6
1
犯人の居住地を推定するという点で性格が異なる
使って単位面積当たりの加重暴行件数を地図化した
9
9
7
,
p
p
.
2
η。地理的
(地域安全情報システム研究会, 1
結果を見ると、犯罪の多い地区と少ない地区とが隣
プロファイリングの詳細については、ホームズ&ホ
り合っているケースが至る所にみられる。
1
4
) その内容は、 6年間で 1
0
万人の警察官の増員、刑務
所の増設・拡充、犯罪防止プログラムの実施、襲撃
用銃器の製造・販売禁止、重罪を 3回繰り返した者
ームズ (
1
9
9
7
,
p
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.
1
5
1
8
3
)を参照。
2
4
) 詳しくは、 ECRI社の Webサイト (
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つを参照。
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25) この他に、現行の STAC~ こは最近隣分析、平均中心、
)、死刑対象の
への終身刑適用(いわゆる「三振法 J
等値線を求める機能が含まれている o 最新情報は、
9
9
4年 9月1
4日
罪種の増加などである(朝日新聞, 1
STACのWebサイト (
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何i
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夕刊)。ニューヨークでの警察予算・人員増は、警
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s
)を参照。
2
6
) これは、グリッドの設定の仕方によって結果が異な
ることを避けるためである。 STACの初期のパージ
ョンではその中の最多件数の円の抽出までであった
が、その後の作業はバージョンアップで追加された
機能である。、
2
7
) GAMの分析手順と使用例については中谷 (
1
9
9
7
)を参
照
。
2
8
) その他にも大域的な点分布パターン解析のための手
法は多数ある。詳しくは、杉浦(19
8
9
)、BOot8and
G
e
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s(
1
9
8
8
)などを参照されたい。
2
9
) 筆者が訪問したのは事件から 2ヶ月後の 1
9
9
9
年 4月
であったが、ニューヨークでは連日のように抗議デ
察官増員のための連邦補助金制度によるものと思わ
れる。なお、州レベルではニューヨークでも 1
9
9
5年
に死刑制度が復活し、刑罰が強化されている(法務
省法務総合研究所, 1
9
9
6
)。
1
5
) Departmento
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g(
19
9
2
)による。なお、
15~24歳人口の減少は、ニューヨーク市に限らず全
米での傾向と同様である。
1
6
) 学者の聞ではこの要因を支持する者が多いという
(朝日新聞, 1
9
9
6年 4月 3日夕刊)。
1
7
) 朝日新聞 (
1
9
9
8年 8月1
5日朝刊)、読売新聞 (
1
9
9
9
年 8月2
6日朝刊)などによる。
1
8
) プラットンが 1
9
9
6年 4月に辞任した原因は、ニュー
ヨークで犯罪減らしの手柄をめぐって市長と反目し
たのが発端だったようである(朝日新聞, 1
9
6
6年 4
月 3日夕刊)。その後任には、前消防本部長だった
セイフア-(H
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r
)が就任している。
1
9
) そこでは汎用 GISソフトである M
a
p
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f
oが使用されて
いる。
2
0
) コミュニティ・ポリシングの特徴は、①フット・パ
トロールの多用と担当職員の各地区への配置、②犯
罪予防におけるパートナ一関係の展開、③地域安全
活動の優先事項や諸問題についてのコミュニティと
の協議、にある(守山, 1999c,p
.
1
7
4
)。ただし、
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1
9
9
8
,
p.4)によると、ニューヨーク市警はコミュニテイ・
ポリシングそのものには否定的で、警察署レベルで
の法執行の裁量の拡大に重点がおかれたようであ
る
。
21
) Crime初 t
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)とセンサス人口から
算出した。
2
2
) ICAMに関する詳しい解説は、地域安全情報システ
ム研究会(
1
9
9
7,
pp
訓崎8
1
)を参照。
2
3
) 詳しくは、バンクーバー市警の Webサイト (
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叫)を参照。犯罪学でのプロファイ
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リングとは、一般に心理学・精神医学に基づく犯人
像推定を指すのに対し、地理的プロファイリングは
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市警本部長が
モが報じられており、その最中に S
アカデミー賞授賞式に出席したことも非難を浴びて
いた (NewYo
r
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March2
3,
1
9
9
9
)。
3
0
) 犯罪の地理学的研究自体に対しでも、より根源的な
批判があり、 Lowman(1986)は犯罪地理学の概念的
諸問題を論じた中で、従前の研究の前提となってい
た、①犯罪と刑事司法制度の分離、②合意を前提と
した社会や法律の形成、③矯正主義の原理に基づく
防犯活動への寄与、④政治的・法的文脈から切り離
された犯罪の捉え方、⑤計量分析に依拠した実証主
義・道具主義、を問題にしている。
3
1
) 刑事司法制度の違う国を統計数値だけで比較するの
は危険であるが、アメリカ合衆国の犯罪発生率は日
本と比べて、殺人で約 6倍、窃盗で約 3倍に達して
9
9
9
)。ちなみに、ニューヨーク市の
いる(小林, 1
1996年の凶悪犯(殺人・強盗・強姦)認知件数
5
2,
9
8
5
件は、同じ年における日本全国での認知件数
の約 1
0
倍に相当する O
参考文献
伊藤滋編『都市と犯罪』東洋経済新報社, 1
9
8
2
.
ケトレー著,平貞蔵・山村喬訳『人間に就いて(上・下).1
岩波書庖, 1
9
4
0
.
小林寿一「統計からみたわが国の犯罪情勢 J, 法学セ
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ミナー.1 5
3
9,
p
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1
3,1
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9
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.
1
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2
総合都市研究第 7
1号
佐々木雅幸『創造都市の経済学 j効草書房, 1
9
9
7
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自治体国際化協会ニューヨーク事務所「米国における警
察 行 政 J,
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自 治 体 国 際 化 フ ォ ー ラ ム J(
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守山
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正 「 環 境 犯 罪 学 入 門 ( 上 ) 一 理 論 編 J, 刑j
政』
1
1
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(
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),
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守山
正「犯罪予防論の検討
コミュニテイ・ポリシン
r
グ と 環 境 犯 罪 学 の 接 点 -J, 警察学論集.J 5
2(
1
0
),
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106IINDEX.HTM),
1
9
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島田貴仁・原田豊「地域安全情報システムのための住所
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照合ソフトウェアの設計 J, 科学警察研究所報告・
8,p
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.
守山
正 ・ 西 村 春 夫 『 犯 罪 学 へ の 招 待 j 日本評論社,
1
9
9
9
.
島田貴仁・原田豊「大都市における犯罪と社会経済要因
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の関連一方法の問題点と G
ISによる解決一 J, 科学警
9,p
.
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杉浦芳夫「点分布パターン分析技法とその FORTRANプ
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ログラム J, 総合都市研究』特別号, p
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ワックス著,川幡政道・伊藤寿夫訳
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ニューヨーク犯罪被害者物語』大修館書庖, 1
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J,玉川英則編『都市
をとらえる一地理情報システム (
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)の 現 在 と 未 来 j
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地域安全情報システム研究会『地域安全情報システムに
関する研究.J (財)社会安全研究財団助成研究報告書,
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地域安全情報システム研究会『地域安全情報システムに
関する研究ー第2報 告 -j (財)社会安全研究財団助成
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研究報告書, 1
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関する研究一第 3報 告 -j (財)社会安全研究財団助
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成研究報告書, 1
長沼秀世『ニューヨークの憂欝』中央公論社, 1
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成田孝三「ニューヨークの発展と地域分化 J,大阪市立
大学経済研究所編『世界の大都市 4ニューヨーク』東
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