Title 本学女子学生の体脂肪率(第1報) Author(s) 今井, 一 Citation [岐阜大学教養部研究報告] no.[33] p.[191]-[201] Issue Date 1996-02 Rights Version 岐阜大学教養部保健体育研究室 (The Faculty of General Education, Gifu University) URL http://repository.lib.gifu-u.ac.jp/handle/123456789/3980 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。 岐阜大学教養部研究報告第33号 ( 1996) 191 本学女子学生の体脂肪率 ( 第1報) 今井 一 ・ 山本佳代 ・ 玉腰由美 ・杉森弘幸 松岡敏男 ・ 川岸輿志男 ・ 奥田英二 ・ 篠田昭八郎 * 保健体育研究室 (1995年10月11日受理) Percunt B ody F at M asS of F em ale Students in Gifu U niversity ( 1 ) Hajime IMAI, Kayo YAMAMOT0 , Yumi TAMAKOSHI, Hiroyuki SUGIMORI, Toshio M A TSU OK A , Y oshio K A W A GISHI , Eiji OK UD A , and Shouhachiro SHIN OD A * ¥ , I 。 は じ めに 成長がほぼ止まる17歳の身長 と体重の推移は, 身長は少 しずつ伸びているが, それに対応 する体重の増加には不 自然 な と こ ろがあ り, 男子は増え過 ぎ, 女子は相応 に増 え て い な い傾 向がみ られて いる。 こ の要因は, 男子は栄養 をた っ ぷ り摂 り なが らそれを使い切っ て お らず 肥満傾向示 し , 女子は成長期の体形変化で ダイ エ ッ ト を気 に し過 ぎる結果 と も言われてい る。 また, 昨今女子学生の骨塩量の低下が増え, 骨粗耘症の予備軍の増加傾向が指摘 さ れている。 女性が骨粗程症にな りやすいのは, 男性 に比べ骨が細か く 量が少ない こ と , 妊娠 ・ 出産時の カ ルシ ウム消 費, 更年期 にお ける女性 ホルモ ンの分泌停止等のためで ある。 女性ホルモ ン は 体脂肪 と密接 な関係があ り, 体脂肪 は性ス テ ロ イ ドホルモ ンの代謝に も重要な役割 を 果 た し てい る。 ア ン ドロゲ ン (男性ホルモ ン) は脂肪 におい てaromatization を受けてエ ス ト ロ ゲン (卵胞ホ ルモ ン) に転換 さ れる こ と から16) ノ体脂肪量の少 ない者で はこ の転換率が低 く , 高ア ン ド ロゲ ン状態を きた し, 月経異常の原因にな る と考え られている。 女性 の身体 に おけ る脂肪は正常な性機能の発現お よび維持 において重要で あ り , 性機能 と体脂肪率 の関係 につ い ては, 初経発来には17% 以上, また正常な月経周期の確立には22% 以上の体脂肪率が * 岐阜大学医療技術短期大学部 192今井 一 一山本佳代 ・ 玉腰由美 ・杉森弘幸 ・松岡敏男 ・川岸輿志男 ・奥田英二 ・篠田昭八郎 必要であ る と報告 さ れて いる 3) 。 こ の よ う に体脂肪率の減少は, 性ス テ ロ イ ドホルモ ンの代 謝等, 内分泌学的に も月経異常発現に重大 な影響 を及ぼ してい る。 一方, 体脂肪率 の過度 の 増加 ( 肥満) はイ ンス リ ン非依存型の糖尿病, 高血圧, 虚血性心疾患, 乳癌等 を引 き起 こ す 因子で あ る。 こ れ らのこ と か ら も適切 な体脂肪率 を保つ こ と は, 健康 に生活す る ため に は重 要な要素の一つであ る と言え よ う 。 そ こで , 今回は本学女子学生の体脂肪率の現状 に関す る基礎資料 を得 る た めに, 平成7年 度入学生 を対象に体脂肪率等の測定, 及び若干の肥満判定指標 を算出 し検討 を行っ た ので 報 告す る。 皿。 研究方法 A . 身体測定 身体測定を2回実施 した。 ・ 測定1 : 平成7年4月か ら5月にかけ て行われたス ポーツテス ト期間中に身体測定を行っ た。 平成7年度本学入学女子学生402名を測定 した ( 表1) 。 測定項 目は身長, 体重 と した。 身長は5月に保健管理セ ン タ ーで実施 さ れた健康診断時の測定値 を 自己申 告 さ せた。 ・測定2 : 平成7年6月か ら9月に実施 した。 平成7年度本学入学女子学生163名 を測定 し た ( 表2) 。 測定項 目は身長, 体重, 体脂肪率 と した。 体重, 体脂肪率測定 には体 内 脂肪計 ( T B F - 102 ・ タ ニ タ社製) を使用 した。 表1 測定数 ( 測定 1 ) 表2 測定数(人) 在籍数(人) 割 合( % ) 学部 210 238 88. 2 教育 医 19 22 86. 4 工 44 58 農 129 計 402 学部 教育 測定数 ( 測定 2 ) 測定数( 人) 在籍数(人) 割 合( % ) 98 238 41. 2 医 2 22 9. 1 75. 9 工 13 58 22.4 140 92. 1 農 50 140 35. 7 458 87. 8 計 163 458 35. 6 B . そ の他の測定項 目 測定2の実施時に1週間の運動回数の調査 を行 っ た。 調査の内容は表3に示 し た 。 なお , 身 体活動科学演習は運動回数に含めない よ う 指示 し た。 本学女子学生の体脂肪率 ( 第 1報) 表3 193 1週間の運動回数 1。 し て い な い 4。 2回 2. あ ま り し て い ない 5. 3回 3. 1回 6. 4回以上 C。 肥満判定指標等の算出 肥満度 ( % ) , BM I ( Body Mass lndex ) の各算出方法を表4に示 した。 肥満度の標準 体重は日本肥満学会で採用 している22×身長 ( m)2 を用 い た 。 表4 肥満判定指標の算出方法 肥満度( % ) = ¦ (現有体重一標準体重) ÷標準体重 ¦ ×100 標準体重 = 22×身長( m) 2 BM I (Body Masslndex) = 現有体重÷身長( m) 2 D. 肥満 とやせの判定の基準 体脂肪率 について は, 正常な月経周期の確立には22% 以上必要 と い う 報告があ り , また , 日本人成人女性の平均が25% , そ し て , 30% 以上 を肥満 と し , 30% 以上35% 未満 を軽度, 35 % 以上40% 未満 を中等度, 40% 以上 を重度 の肥満 と 分類 さ れて い る 。 そ こ で , 22% 未満 を 「やせ」, 22% 以上28% 未満 を 「正常」, 28% 以上30% 未満 を 「肥満傾向」, 30% 以上 を 「肥満」 と分類 した。 肥満度 ( % ) , BM I について は, 日本肥満学会の肥満判定基準 ( 表5) を用い た。 表5 判 標準体重[ ( 身長 m) 2 ×22] に よる肥満度お よび BM I か らみた肥満の判定 ( 日本肥満学会) 定 やせ (低体重) 肥 満 度 (% ) < - 10 B M I < 20 正常 (普通体重) ≧ - 10< 十10 ≧20く 24 肥満傾向 ( 過体重) ≧ 十10く 十20 ≧24< 26. 5 肥満 (肥満体重) ≧ 十20 ≧26.5 E . 体脂肪率測定について 前回の報告5) において, 体脂肪率の算出で は皮下脂肪厚 ( 上腕背部 ・ 肩甲骨下部) を測定 し, そ の合計値 を長峰 らの 日本人用身体密度推定式 14) にあて はめ, さ ら にブ ロ ゼ ッ ク の式4) から体脂肪率を推定 した。 しか し, 皮脂厚の測定において①測定場所を正確に決定す る こ と が難 しい②皮膚の引っ張 り方や測定方法等, 測定者によ り微妙に異なる③いろいろな種類の 194今井 一 ・ 山本佳代 ・ 玉腰由美 ・ 杉森弘幸 ・松 岡敏男 ・ 川岸輿志男 ・ 奥田英二 ・ 篠田昭八郎 皮脂厚計があ り, その種類によ り測定値が変わる④皮脂厚の測定は皮膚の厚さ を無視 してい る⑤皮下脂肪 と筋肉の間の境界が不明瞭である こ と も多 く , 皮下脂肪組織だけを正確 に引っ 張る こ と は事実上不可能⑥皮膚及び皮下組織の堅さ は個人差が大 きい⑦著 しい肥満では皮下 脂肪全体 をつ まみ上げる こ と は事実上不可能等 によ り, 測定誤差が生 じやすい。 そ こ で , 今 回 は体 脂 肪 率 測 定 法 と し て 生 体 電 気 イ ン ピ ー ダ ン ス 法 ( bioelectrical impedance analysis;BIA) を用いた。 イ ンピーダンス法 と は生体に微弱な交流電流 ( 50kHz ・ 800μA) を通 じて体内の電気イ ン ピーダンス (抵抗) を測定 し√体水分量から L BM ( 除脂肪体重 ) , ついで体脂肪率 を推定す る方法で ある。 測定は非常 に簡単で , 被験者は何の異常 も感 じ ず , 安全, 迅速 ( 1分以内) , 便利である。 機器は多少重いが, 持ち運びはで き る。 しか し , 同一 機種 によ る体脂肪率測定で は体密度法に比 し遜色がない と い う 報告20) もあるが, 運動, 脱水, 飲食によっ てばらつ きがでた り1), やせの体脂肪率を多めに, 肥満の体脂肪率 を少 なめに算 定する傾向がある 9) 。 しか し なが ら, 第3回米国健康栄養調査 ( N H A N E S Ⅲ) で は体 組成の測定に生体電気 イ ン ピーダ ンス法が用い られてお り 2), 皮脂厚法 よ り , よ り正確 な体 脂肪率推定法 と言え よ う 。 m。 結果 と考察 A 。 測定1 1. 身長, 体重 ( 図1) ‥ 身長の平均値は, 158.4 ±5.25cm, 体重の平均値は, 50.8 ±5.78kgであ り , 全 国大学 生 [18歳] ( 身長 158.6 ±5.15cm・体重51.7 ±6.24kg) と の比較 で は体重 に5% 水 準 で有意な差がみ られた。 また, 身長 と体重には1% 水準でかな り な正の相関(r= 0.56 9) が認められた。 (kg) 100 QV 0 Q︰ y 0 体 70 重 60 ﹂ Q 0 9 0 140 150 身 図1 160 長 身長 と 体重 の分布 170 (n= 402) 180 (cm) 本学女子学生の体脂肪率 ( 第 1報) 2。 肥満度 ( % ) 195 ( 図2) 肥満度 ( % ) の平均値は-8.0±9.02% であっ た。 肥満 とやせの判定では, やせ ( 低体 重) 44.0% ( 177例) , 正常 ( 普通体重) 52.5% ( 211例) , 肥満傾向 ( 過体重 ) 2.7% ( 11 例) , 肥満 (肥満体重) 0.7% (3例) であっ た。 平均値 は正常 ( 普通体重) の範囲内 にある ものの約半数は正常 ( 普通体重) の範囲外に分布 し, 特にやせ (低体重) の分布 が大 きな割合 を 占めていた。 0 10 20 30 40 50 60 (% ) やせ (低体重) 正常 (普通体重) 肥満傾向 (過体重) 肥満 (肥満体重) (n= 402) 図2 3. BM I 肥満度 ( % ) に よ る肥満 と ヤセ の判定 ( 図3) ∧ BM I の平均値は20.2±1.98であ っ た。 肥満 とやせの判定で は, やせ ( 低体重) 48.3 % ( 194例) , 正常 ( 普通体重) 48.0% ( 193例) , 肥満傾向 ( 過体重) 3.0% ( 12例) , 肥 満 ( 肥満体重) 0.7% (3例) であっ た。 肥満度 ( % ) と 同様, BM I の平均値 は正常 の範囲に入っ ている ものの, やせ ( 低体重) に分類 さ れた者が約5割存在する こ と は注 目すべ き点 と言 え よ う 。 0 10 20 30 40 50 60 (% ) やせ (低体重) 正常 (普通体重) 肥満傾向 (過体重) 肥満 (肥満体重) 図3 B M I に よ る肥満 と やせ の判定 (n= 402) 196今井 一 ・ 山本佳代 ・ 玉腰由美 ・杉森弘幸 ・松岡敏男 ・川岸輿志男 ・奥田英二 ・篠田昭八郎 B . 測定2 1. 身長, 体重 身長の平均値は, 158.6 ±5.09cm, 体重の平均値は, 51.2±6.10kgで あ り , 両者 に1 % 水準でかな りな正の相関 (r = 0.473) が認められた。 測定 し た時期が測定1実施か ら2~ 4ヵ 月経過 し ていたが, 身長, 体重共に有意な差はなかっ た。 また, 全国大学生 と の比較 にお い て も有意な差 はなかっ た。 2. 肥満度 ( % ) ( 図4) 肥満度 ( % ) の平均値は-7.5±9.78% であっ た。 肥満 とやせの判定で は, やせ ( 低体 重) 41. 1% ( 67例) , 正常 ( 普通体重) 52.8% ( 86例) , 肥満傾向 ( 過体重) 例) , 肥満 ( 肥満体重) 0 5.5% (9 0.6% ( 1例) であっ た。 10 20 30 40 50 60 (% ) やせ (低体重) 正常 ( 普通体重) 肥満傾向 ( 過体重) 肥満 ( 肥満体重) (n= 163) 図4 3. BM I 肥満度 ( % ) に よ る 肥満 と やせ の判定 ( 図 5) BM I の平均値は20.3士2.15, 肥満 とやせの判定で は, やせ ( 低体重) 44.2% ( 72例) , 正常 ( 普通体重) 48.5% ( 79例) , 肥満傾向 ( 過体重) 6.7% ( 11例) , 肥満 (肥満体重) 0.6% ( 1例) であっ た。 0 10 20 30 40 50 60 (% ) やせ (低体重) 正常 ( 普通体重) 肥満傾向 ( 過体重) 肥満 ( 肥満体重) 図5 B M I に よ る肥満 と やせの判定 (n= 163) 本学女子学生の体脂肪率 ( 第 1報) 4. 体脂肪率 197 ( 図6 ・ 7) 体脂肪率の平均値は23.4±4.18% で あっ た。 肥満 とやせの判定で は, やせ ( 低体重) 35.0% (57例) , 正常 ( 普通体重) 52.1% (85例) , 肥満傾向 ( 過体重) 肥満 (肥満体重) 4.3% ( 7例) , 8.6% ( 14例) であっ た。 肥満度 ( % ) , B M I での判定 と比較す る とやせ (低体重) の割合が減少 し, 肥満 ( 肥満体重) の割合 が増加 し た。 体脂肪の分 布で は, 22% 以上24% 未満が, 28.2% と最 も多かっ た。 体脂肪率が低 く , やせ (低体重) と判定 さ れたのが35.0% も存在 して い る こ と は健康の面 にお いて重大な問題で あ ろ う 。 つ ま り, 女性の体脂肪は, 女性 ら しい丸みを帯びた体 型 を作 り だ し て い る ばか り で な く , 正常な性機能の発現, 維持 におい て重要で あ り , 体脂肪 の減少は, 性ス テ ロ イ ド ホ ルモ ンの代謝に影響 を及ぼ し月経異常の発現の原因 と な っ て いる。 こ れ は結果 的に低 エス ト ロゲ ン状態 を招来す る こ と と な り, 骨粗程症の発症 と も関連す る こ ど に な る 。 また, 体脂肪の分布 は男女で大 き く 異 な り , 一般に成人男性 で は腹部に, 成人女性で は 脊部大腿部に脂肪がつ く 傾向がある。 やせ ( 低体重) の割合 が多い原因 と し て は, ス タ イ ルを気 に し て肥満で ないのにダイ エ ッ ト を行 っ た結果 と も考え られる。 0 10 20 30 40 50 60 (% ) やせ (低体重) 正常 (普通体重) 肥満傾向 (過体重) 肥満 (肥満体重) (n= 163) 図6 0 5 体脂肪 率 に よ る 肥満 と やせの判定 10 15 20 25 30 35 (% ) 16% 未満 16% 以上18% 未満 18% 以上20% 未満 20% 以上22% 未満 22% 以上24% 未満 24% 以上26% 未満 26% 以上28% 未満 28% 以上30% 未満 30% 以上32% 未満 32% 以上34% 未満 34% 以上36% 未満 36% 以上 図7 体脂肪率 の分布 (n= 163) 198今井 一 ・ 山本佳代 ・ 王腰 由美 ・ 杉森弘幸 ・ 松 岡敏男 ・ 川岸輿志男 ・ 奥田英二 ・ 篠田昭八郎 5。 肥満度 ( % ) と体脂肪率 ( 図8) 肥満度 ( % ) で, やせ (低体重) と判定さ れ, 体脂肪率で は正常 ( 普通体重) と判 定 されたケース は26.9% ( 18例) であっ た。 肥満度 ( % ) で , 正常 ( 普通体重) と判 定 され, 体脂肪率で はやせ (低体重) と判定さ れたケースは 9.3% (8例 ) , 肥満傾向 (過体重) と判定 さ れたケース は 7.0% ( 6例) , 肥満 (肥満体重) と判定 さ れたケース は5.8% (5例) あ り, 肥満度 ( % ) で, 正常 ( 普通体重) と判定さ れ, 体脂肪率で はそ れ以外に判定さ れた合計は22.1% ( 19例) であっ た。 肥満度 ( % ) で肥満傾向 ( 過体 重) と判定さ れ, 体脂肪率で は肥満 (肥満体重) と判定さ れたケ ース は100% (9例) 帽 ぐ 40 で あ っ たレ 35 o ﹂ Q o 体脂肪率 ﹂ a O 一 1 30 - 20 - 10 0 20 10 30 図8 6. B M I と体脂肪率 40. (% ) 肥 満 度 (% ) 肥満度 ( % ) と 体脂肪 率の分布 ( 図9) BM I で, やせ (低体重) と判定 さ れ, 体脂肪率では正常 ( 普通体重 ) と判定 さ れ たケース は31.5% ( 23例) であっ た。 BM I で, 正常 ( 普通体重) と判定さ れ, 体脂肪 率で はやせ (低体重) と判定さ れたケース は8.9% ( 7例) , 肥満傾向 ( 過体重 ) と判定 さ れたケース は7.6% ( 6例) , 肥満 ( 肥満体重) と判定さ れたケース は3.8% (3例) で あ り, BM I で, 正常 ( 普通体重) と判定さ れ, 体脂肪率ではそれ以外 に判定された合 計は20.3% ( 16例) であっ た6 BM I で, 肥満傾向 ( 過体重) と判定さ れ, 体脂肪率で は肥満 ( 肥満体重) と判定さ れたケース は90.9% ( 10例) , 正常 ( 普通体重 ) と判定 さ れたケース は9.1% ( 1例) であっ た。 = 本学女子学生の体脂肪率 ( 第 1報) 199 j 垢0 04 5 3 0 3 25 体 脂肪率 CSj O ﹂ Q 10 14 16 18 20 22 24 26 28 30 B M I 図9 B M I と 体脂肪率 7。 肥満判定指標 [肥満度 ( % ) ・ BM I ] と体脂肪率 肥満判定指標 団巴満度 ( % ) ・ BM I ] から と体脂肪率からの肥満 と やせの判定で は肥満判定指標ではやせ (低体重) と判定さ れたが, 体脂肪率で は正常 ( 普通体重) であっ たケース, 肥満判定指標では正常 ( 普通体重) と判定 さ れたが, 体脂肪率で は やせ (低体重) あるいは肥満傾向 ( 過体重) や肥満 (肥満体重) で あ っ たケ ース等, 種々の違っ た判定が出現 した。 病気 にかか り に く い とか死亡率が低い と い う , い わゆ る理想体重を求め, その理想体重に対 して個人の体重が どの程度多いのか少 ないのか と い う 視点か ら肥満 を判定 して い こ う とす る方法は, 古 く か ら確 立 さ れて き た も ので あ り, 確かに有用で あ る。 しか し本来, 体脂肪率 を反映す る も ので はな い 。 確 か に肥 満度 ( % ) ・ BM I と体脂肪率には強い正の相関 ( r= 0.922) が見 ら れたが, お よそ 人体 を体重 と身長の簡単な式で表す こ と 自体が無理な こ とで あ り , 正 し い肥満 と やせ の判定 には体脂肪率の推定 に よ り行 う こ とが適切で あ る こ と が今 回の測定か ら も理解 さ れた と 思 われ る 。 8. 運動回数 ‥ ( 図10) 1週間の運動回数は, していない (29. 1% ) , あま り し て い ない (24.1% ) を合計す る と53.2% とな り, 運動習慣のない者が多いこ とが示唆 さ れた。 こ のこ と は骨粗耘症 と の関連 において , い く ら カ ルシ ウム を摂取 し て も適度 な運動が行 われ な い と カ ルシ ウムは体内に吸収 さ れず, また, 重力 に抗 した体重, 運動, 筋 肉活動 に よ る 応力が非 常 に低い時には骨の代謝は働かず骨塩量は増加 し ない こ と か ら , 今後 は適切 な運動習 慣 をつ ける よ う にラ イ フ ス タ イ ルを改善す る必要があ ろ う 。 200今井 一 ・ 山本佳代 ・ 玉腰由美 ・ 杉森弘幸 ・松 岡敏男 ・ 川岸輿志男 ・ 奥田英二 ・ 篠田昭八郎 4回以上 11. 3% して い ない 29. 1% (n= 163) 図10 1週 間の運動 回数 Ⅳ。 結 論 平成7年度入学女子学生を対象に, 体脂肪率等の測定, 肥満度 ( % ) ・ B M I を算 出 し検 討を行 っ た と こ ろ , 次の結論 を得た。 1. 肥満度 ( % ) ・ BM I による肥満 とやせの判定で は, 体脂肪率 に よ る も の と 比べ , あ ま り的確 に判定で きなかっ た。 2. 体脂肪率の平均値は, 23.4±4. 18% で あ っ た。 3レ 体脂肪率に よ る肥満 と やせの判定で は, 肥満8.6% , 肥満傾 向4.3% , 正常52.1% , やせ 35.0% で あ っ た。 4. 1週間の運動回数は, していない ( 29.1% ) , あ ま り し て い な い ( 24.1% ) を合計 す る と 53.2% と な り, 運動習慣のない者が多い こ とが示唆さ れた。 体脂肪率の減少及び運動不足 は, 骨塩量の減少 に密接 に関係す る こ と か ら , 本学 女子学 生に対 し て , 現状 を認識 させ, 運動 と栄養の量的バ ラ ンス調整が適切 にで き る よ う に指導 する必要性があ る と思われる。 本学女子学生の体脂肪率 ( 第 1報) 参 考 文 201 献 1) Brodie D A: Techniques of measurement of body composition, Part II . 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