活動報告 - JFA Community

活動報告
Reports from
Japan National Teams
目指せ!世界のトップ10
U-15日本代表、フランコ・ガッリーニ国際大会より
U-17日本代表チーム
【報告者】森保 一(ナショナルトレセンコーチ)
2006サニックス杯U-17国際ユースサッカー大会
第11回NIKKEI杯沖縄県高校招待サッカー大会
1.大会概要
(1)日時
2006年3月19日∼3月26日/3月27日∼3月30日
(2)会場
グローバルアリーナ(福岡県宗像市)/沖縄県総合運動公園陸上
競技場、多目的広場
(3)目的
今回で4回目となるサニックス杯は、①次世代の日本代表を育て
る。 ②スポーツの原点を見つめ直す。 ③サッカーと文化・国際交流
の融合の場を創造する。という大会理念が掲げられている大会であ
る。例年通り、海外招待チームが4チーム(ACミラン、アヤックス、
韓国高校選抜、U-16中国代表)と、U-17日本代表そして国内の強豪
11チーム(東海大五、前橋育英、野洲、ヴェルディユース、大津、
青森山田、鵬翔、九州国際大学付属、鹿児島実業、市立船橋、アビ
スパ福岡)を含む全16チームを4チーム4ブロックに分けて予選リー
グを行い、上位2チームが決勝トーナメントに進む形式で行われた。
その他はグローバルアリーナ杯と名称される下位トーナメント戦へ
進む形式で行われた。
② 沖縄招待
今回で11回目となる大会である。この大会は沖縄県サッカーのレ
ベルアップのため、日本代表(2度目の参加)をはじめ県外から強
豪チームを招待して開催されている。
昨年のU-16日本代表ドイツ遠征のメンバーを中心に、全国からU17を代表する選手を招集してチーム編成し、オン・ザ・ピッチでは、
沖縄県内の新人戦上位4チームに、県外の8チームを含む全12チー
ム(U-17日本代表、野洲、浦和レッズユース、アルビレックス新潟
海外、国内の強豪チームとの試合を通し、個々のレベルアップを図
ユース、日大藤沢、星稜、遠野、東福岡、南風原、読谷、豊見城南、
る。オフ・ザ・ピッチでは、チーム内の選手、他チームの選手との
交流を図り、サッカー仲間の輪を広げること。
知念)を3チーム4ブロックに分けて予選リーグを行い、上位1チー
ムが決勝トーナメントへ。その他は下位リーグ戦へ進む形式で行わ
また、このU-17日本代表は2009年のFIFA U-20ワールドカップを
目指す年代であり、代表として国際舞台で戦える選手の把握も目的
れた。
として行った。
(4)概要
① サニックス杯
2.コンセプト
①ハードワーク(頭も身体も。自分の力を100%出し切る)
②攻守にかかわる(オン、オフの局面すべてにかかわる)
③積極的に!(失敗を恐れず前向きにトライする)
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④予測(ゲームの流れを読み、相手より一歩先の動き出し)
⑤要求し合う(お互いをレベルアップのために、チーム力を上げる
ために、質にこだわりを持ち要求し合う)
3.試合結果
ックとしてスパイクのチェックをしてみるなど、当たり前のことで
はあるが、行動に移せるところは、これまでの成果としてここまで
彼らの育成に携わってこられた指導者の働きかけにあるという思い
がした。
試合を通して感じたことは、全体的にもっとタフにならなければ
(1)サニックス杯
〔予選リーグ〕1位通過、準々決勝進出
いけない。ゲーム体力をもっともっと上げていく必要があると思っ
た。このU-17日本代表に選出された選手は技術的には高いものがあ
vsACミラン(1-1) vs東海大五(5-1) vs前橋育英(1-0)
〔準々決勝〕敗戦、5∼8位決定戦へ、最終順位:5位
るのは言うまでもないが、ピッチが少し緩くなったり、プレッシャ
ーが速くなり、ボディコンタクトが多くなる試合展開になると、動
vs鵬翔(0-1) 〔5∼8位決定戦〕vs鹿児島実業(3-2)
〔5位決定戦〕vs大津(2-0)
きが鈍くなり持ち前の技術を発揮できなくなるシーンが多く見受け
られた。また、合宿生活が長く10日で10試合(22人の選手を沖縄の
(決勝戦/延長)ヴェルディユース(1-0)アヤックス
準決勝、決勝以外はほとんどの選手を試合ごとに入れ替えながら戦
(3位決定戦)ACミラン(2-2/PK5-4)鵬翔
(結果)優勝:ヴェルディユース、
った)の日程の中、心身の疲労から終盤でパフォーマンスが明らか
に落ちていっている選手も出ていた。
準優勝:アヤックス、3位:ACミラン
今後彼らは、2009FIFA U-20ワールドカップを目指して厳しいア
ジア地区予選を戦っていかなければならない年代として、厳しいプ
(2)沖縄県高校招待
レッシャー下でも技術を発揮できることや、攻守ともに連続したプ
〔予選グループ〕1位通過、準決勝進出
vs南風原(2-0) vs東福岡(5-0)
レーができるゲーム体力をつけること、そして、どんな環境でも力
を発揮できる精神的タフさをもっと身につけることが必要だと感じ
〔準決勝〕vsアルビレックス新潟ユース(1-1/PK4-2)
〔決勝〕vs野洲(0-0/PK4-5)
た。
この合宿では監督として、真摯にサッカーに対して取り組む選手
(3位決定戦)浦和レッズユース(1-0)アルビレックス新潟ユース
に対し、大会優勝という成果により、さらなる自信をつけさせてあ
(結果)優勝:野洲高校、
準優勝:U-17日本代表、3位:浦和レッズユース
げられなかったことを反省しています。
最後にケガ等で遠征に参加できなかった選手が出たのは残念でし
4.成果と課題
(1)成果
①U-17日本代表各選手の能力、特徴の確認ができたこと。
②ゲーム中、流れを読み取り、お互いがコミュニケーションをとり、
たが、各チーム春のチームづくりにおいて大切な時期に、選手を派
遣していただき心より感謝しています。また、監督としてこのよう
な良い経験をさせていただいたことと、スタッフ全員がプレーヤー
ズファーストの考えの下、それぞれの役割を果たしていただいたこ
とにも大変感謝しています。本当にありがとうございました。
対処しようとする姿勢
③チャレンジ&カバー(ファーストディフェンダーとカバーの関係)
④ゴール前の守備(人につく)
⑤ボランチを使う(多少プレッシャーがかかっていても、ボランチ
を使った攻撃ができた)
U-16日本代表チーム
【報告者】城福 浩(U-16日本代表監督)
モンテギュー国際大会
(2)課題
①ルーズボールになったときのボールの奪い合いで力強さが足りな
かった。
②フィニッシュの精度とラストパスの精度
③トップの起点の質
(トップにくさびが入ったときの精度が低く、次の展開が途切れる
1.遠征・大会概要
(1)参加チーム
Aグループ:フランス、チェニジア、イングランド、中国
Bグループ:イタリア、コートジボワール、日本、ポルトガル
ことが多かった)
④DFラインコントロール
(パスが出てくるタイミングのときに、守備の対応ができる体勢が
できていない)
⑤ビルドアップ時のDFの選手のパスコースをつくるポジショニング
(DFラインの深み)
5.所感
この合宿を通して全体的に感じたことは、選手個々の向上心の高
さ、スタッフの働きかけに対し非常に真摯な態度で試合、練習とも
に取り組んでいる姿勢はとても印象に残った。また、これまでの育
成段階で、数々の大会を通じ、経験をともにした選手も多く、チー
ムとしてのまとまりもとれていたと思う。そして試合前の用具チェ
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U-16日本代表
Reports from Japan National Teams
(2)概要
・U-16代表8チームがA、B、2グループに分かれてリーグ戦の後、順
イングランドは球際の強さでルーズボールを奪いボールを前に前
にと運んで行く姿勢に加え、つなごうという意識も見られた。日本
位決定戦を行う。また、同時進行でフランス国内クラブU-17ユース
チーム12チームが大会を行っており、U-16ナショナルチーム同士の
は同点にする前後の時間帯は攻め続けたが、中盤をつくりアタッキ
ングエリアまで進入したときのしかけで突破しきれない、あるいは
決勝戦の前座でクラブチーム決勝戦を開催。
・ピッチは軟らかく芝は粗く深いヨーロッパ特有のコンディション。
フィニッシュやその直前のプレーの精度の低さにより、加点するこ
グラウンダーのボールが跳ねることが多少あった。天候は少し雨が
降った日もあったがおおむね良好。
・大会運営、輸送、宿泊等は伝統ある大会らしくシンプルでしっか
とができなかった。
3.トピック
(1)他の参加国から受けた印象
りしていた。審判が後方からのチャージや手が掛かっているプレー
と激しくボールを奪い合っているプレーを区別して笛を吹いていた
①ボールに近い者が躊躇なく(ポジションの役割やバランスという
ことから行動を起こすのではなく)ボールを奪いに来ていた。
のは印象的であった。
②土壌が軟らかくスリッピーなグラウンドにもバランスを崩すこと
が少なく、また崩してもすぐ復元してプレーしていた。
③得点、失点に直接関係するプレーエリアを除いては、おおむね各
(3)日程・結果
4月8日 成田空港集合
14日 PMトレーニング
9日 出発(パリ→モンテギュー)
15日 vsイタリア(0-1)
10日 AMトレーニング PMトレーニング
16日 PMトレーニング
11日 AMトレーニング PMトレーニング
17日 vsイングランド(1-1/PK3-4)
12日
18日 モンテギュー発、パリ→成田
vsポルトガル(3-1)
13日 AMトレーニング vsコートジボワール(0-1) 19日 成田空港着、解散
2.試合について
(1)ポルトガル戦
技術がしっかりしておりポゼッション力は日本より高かった。ま
た、ボールを奪おうとする意識が強く、抜かれることを恐れずボー
ルにアタックしてきていた。日本は前半押されながら先制したこと
や、追いつかれた後、後半終盤に2点を取ったという決定力は、こ
の試合に関してはあった。ポルトガルの監督であるパウロ・ソーザ
が選手に「落ち着いてプレーしろ」と何度も声をかけていたことや
国のコーチはつなごうとしている際に起こるミスには寛容な印象
を受けた。
④優勝したフランスは奪いに来ている相手をワンタッチパスおよび
ファーストタッチでかわす、2タッチ目を素早くして局面を切り
抜けてボールを動かしていく技術をボランチをはじめとして全員
が持ち合わせており、その上で個性があった。
⑤GKはキック、ハイボール処理等いずれかに特徴を持ってはいたが、
この年代でまとまっている選手はいなかった。各国とも長身のGK
を育てるという意識が強いように見受けられた。
(2)日本(他国と比較して、およびチームコンセプトの観点から見
た課題)
■チームコンセプト∼イニシアチブを握るために
Mobility(モビリティ)人とボールが動く ⇒ 世界基準に
敗戦後に先頭に立ってクールダウンしていたのが印象的であった。
Aggressive
(アグレッシブ) ボールを奪いにいく&ゴールを奪いにいく
(2)コートジボワール戦
バランスを崩して復元する力や足の伸びてくる距離は、予想通り
①ボールに対して連動する意識(精度は不満足だが)は他国より高
日本人にはないものを持っていた。それにも増して驚いたのは、良
かった。パスがつながり局面を脱した際にはリズム感があり、観
好とは言えないピッチコンディションの中でも「止める」
、
「蹴る」
技術、および状況に応じたドリブルやワンタッチパスなどの判断の
客席から歓声が沸いていたこともあった。
②軟らかい土壌でのプレーに慣れずミスが多発していた。判断をし
確かを持ち合わせていたこと。また、ピッチ内外において、最もデ
ィシプリンを感じたことである。日本は相手が警戒していたことも
ながら「正確にプレーする」ことと「素早くプレーする技術」お
よび自分で時間をつくるためのポジショニング、相手の逆を取る、
あり、最初の15分攻勢に出たが次第に押し戻され、オウンゴールで
ということをレベルアップする必要がある。
失点してからは過剰に焦り、ミスを突かれ守勢に回るといった疲労
感の残る試合となった。
(3)イタリア戦
イタリアは1-4-4-2を極力崩さず、特徴的な選手を前線に揃え、守
ってカウンターというA代表を彷彿させる試合運びと、ポジション
によるタスクが明確化しているチームであった。日本が前半にDFラ
インの連携ミスで失点してからは中盤でつなぎながら攻めるが、シ
ュートまで行くケースが少なく、逆にカウンターで決定的な場面を
つくられることがあった。日本サイドから見たらポゼッション率で
上回りシュートが決められず、アンラッキーな結果のように感じる
が、イタリアサイドから見たらプラン通りの完勝と言われそうな試
合展開であった。
(4)イングランド戦
U-16日本代表、vs U-16コートジボワール代表より
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③ピンチを「いち早く察知する」ことと、いつ、どのようなプレー
をするかの判断が他国に比べて甘い場面があった。
② 大会方式など
4回目を迎えるこの大会は、イタリアのベネチアから1時間ほどの
④ゲーム状況に応じたプレー、特にリズムを取り戻すために相手陣
地に押し戻すプレーやDFを組織化すること、劣勢をリカバーする
小さな町フォルデノーネで行われ、この地域のボランティア活動に
貢献したフランコ・ガッリーニ氏の功績をたたえた記念大会である。
メンタリティを培っていくことは、今回物足りなかったので今後
1グループ4チームの8グループで予選を行い、上位2チームが決勝
取り組んでいく。
⑤GKは多くの決定機をつくられながら各試合1失点に抑えたのは成
トーナメントに進出する。試合時間はすべて20分ハーフで決勝トー
ナメントでは、40分で決着しない場合はPK方式により勝敗を決める
果と言えるが、クロスの対応、DFの裏のボールの処理、キックの
質はさらなるレベルアップが必要である。
(決勝戦だけは20分の延長あり)
。日本は合計7試合を戦ったが、1日
2試合が3日間あった。また、予選リーグでは審判は1人制でタッチ
ラインの判定のため各チームから副審が1人ずつ出された。
試合会場はフォルデノーネという町を中心に8会場で行われた。
4.まとめ
4月26日からのイラン遠征組と今回のモンテギュー組の2グループ
どの会場のピッチも決して良い状態とは言えなかった。決勝戦だけ
に分かれて活動するために選手を幅広く招集するいい機会でもあっ
た。したがって、初招集や久しぶりの選手もいたため、チーム戦術
は、STADIO PORDENONEという競輪場の中にあるサッカー場で行
われたが、他の会場と比べてピッチの状態は良かった。
を確認するというよりもチームコンセプトを認識しながら個人の判
断と技術の精度を高めること、および個人をグループとしてつなげ
2.試合結果
ていくことに重きを置いた。結果としては必ずしも満足のいくもの
ではなかったが、9月のアジア最終予選(シンガポール)を見据え
た活動としては大きな成果を得た。主要なものとして人とボールが
動くサッカーをやるためにさらに高めなければならない要素を整理
できたこと、ボールを奪う姿勢を対戦相手から体験できたこと、新
予選Dグループ試合結果(32チーム参加 4チーム×8グループ)
〔予選リーグ〕
4月14日 vs CONEGLIANO(イタリア)
4月15日
3-0 (得点者:オウンゴール、児玉、三浦)
vs PITTSBURGH U.S.A(アメリカ)
たに伸びてきた選手を確認できたこと、選手自身が世界の同世代か
2-0 (得点者:奥山、古田)
らサッカーにひたむきに向き合っている姿勢に接して原点に戻れた
こと、などが挙げられる。
vs REGGIO EMILIA(イタリア)
3-1 (得点者:原口、酒井、玉田)
〔決勝トーナメント〕
4月16日 (1回戦)vs NEC NIJMEGEN(オランダ)
U-15日本代表チーム
3-0 (得点者:田口、宇佐美、原口)
(準々決勝) vs LIV GORGHENSE(イタリア)
1-0 (得点者:原口)
【報告者】池内 豊(ナショナルトレセンコーチ)
フランコ・ガッリーニ国際大会
4月17日 (準決勝) vs RAPID VIENNA(オーストリア)
1-1(PK4-3) (得点者:酒井)
(決勝) vs JUVENTUS(イタリア)
2-0 (得点者:田口×2)
1.大会概要
(1)場所
フォルデノーネ、またはその近郊
(2)スケジュール
4月11日 成田集合
12日 成田空港発→フランクフルト着 フランクフルト発→ヴェニス着
13日 トレーニング
14日 vs CONEGLIANO
15日 vs BEADLING PITTSBURGH
vs REGGIO EMILIA
16日 上位トーナメント vs NEC NIJMEGEN、vs LIV GORGHENSE
17日 上位トーナメント vs RAPID VIENNA、vs JUVENTUS
18日 ヴェニス発→フランクフルト着、フランクフルト発
19日 成田空港着、解散
(3)概要など
① 参加チーム
U-15ハンガリー代表、U-15ルーマニア代表、U-15日本代表、ヨー
ロッパ10カ国から参加のクラブチーム、アメリカ・ナイジェリアか
ら参加のクラブチーム、イタリアでは、セリエAの下部組織のチー
U-15日本代表
U-15日本代表
3.試合について
(1)予選リーグの3試合
ム(インテル、フィオレンティーナ、ユベントスなど)
、地元から参
加の数チームの合計32チームが参加。参加チームのレベルは、上位
対戦相手3チームは、技術的には決して高いと言えなかったが、
ボール際の激しさやゴールに向かう姿勢、ゴールを守るといった本
と下位チームの差が大きかった。
質的なところは、学ぶべきところが多かった。予選の3試合では、
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Reports from Japan National Teams
④守備から攻撃の切り替え(速いセットプレー)
(2)課題
①ハイプレッシャーな中でボールを動かしていく技術
・DFからのビルドアップ(ボールを奪った後にすぐにボールを失う
ことも多かった)
・キックの質(パススピード・正確性)
・サポートの質
②守備のポジショニング
ボールウォッチャーから相手をフリーにすることがあった。
③攻撃から守備の切り替え
FW・MFの多くの選手にこの意識が薄かった。
U-15日本代表、フランコ・ガッリーニ国際大会より
この遠征でトレーニングの時間がほとんどなかったことで、選手全
員を使いながら選手個人の特徴やポジションの特性、コンディショ
ンの把握をしながら、ゲームに臨むことができた。また、試合時間
が短いことや審判の守備者の手を使うことに対するファウルの基準
など、この大会の特徴を確認しながら予選リーグを戦うことができ
た。
(2)決勝トーナメント1回戦・準々決勝・準決勝
④フィニッシュ
シュートに対する積極性はあったが、ミドルシュートの精度が低
かった。
⑤得点ができ、ポストプレーができるFWの発掘と育成
5.まとめ
今回の遠征に参加した20名のうちエリートプログラム参加者は、
15名だった。この大会を通じてその成果も確認することができた。
個人差はもちろんあるが、食事や休息など自己管理の意識が少しず
つ芽生えてきている。また、海外の選手やスタッフに対して、コミ
1回戦から準決勝を戦った3チームは、それぞれに特徴のあるチー
ムであった。まずは1回戦のNEC NIJMEGEN(オランダ)はボール
ュニケーションを図ろうとする姿勢があり、それがどのようなゲー
ムにもスムーズに自分の力を出せることにつながっていた。試合の
ポゼッションを大切にするチームで、後半は攻め込まれる場面も多
中でも自分たちで問題を解決していこうとする姿勢があり、前半の
修正を後半にうまくつなげることができていた。今大会を通じてイ
かった。日本はフィジカルの優位性で試合に勝つことができたが、
相手チームに学ぶことも多かった。
エローカードが1枚もなく、フェアなプレーができたことも成果で
準々決勝のLIV GORGHENSE(イタリア)は、地元チームであり
ながらACミランが選手発掘・育成のために協力をしているクラブ
あった。
エリートプログラムに参加していない残りの5名は、3月のナショ
で、GKなど将来性のある選手がいた。リトリートからカウンター中
ナルトレセンU-14から選考した選手で、その中からも特徴のある選
手をピックアップできた。この年代のトレセンの重要性もあらため
心の戦い方で、日本チームは相手の守備を崩すことに苦労をしたが、
何とか1点を取ることができた。
準決勝のRAPID VIENNA(オーストリア)は、激しい守備と速い
攻撃を特徴としているチームであった。日本は、自らのミスからボ
ールを失うことが多く、苦戦をしたが、GKの活躍で決勝に進むこと
ができた。
(3)決勝 vsユベントス
日本は、DFからの攻撃参加(ビルドアップ)に課題はあったが、
攻撃の積極性や個人のドリブル突破で試合を優位に進めることがで
きた。相手の高さには試合の途中から対応できるようになってきた
ことが良かった。
4.成果と課題
(1)成果
①しかけ
個人のドリブル突破、後方からの飛び出し、連動した動き、前を
て確認することができた。
今大会の目標としていた優勝をできたことは、最高の結果として
選手の努力、スタッフ・関係者の方々に感謝を申し上げます。
結果は結果として、選手にはすばらしい経験になったのは事実で
ある。しかしながら、80分・90分のハイプレッシャーな中でのゲー
ムをイメージしたときに課題は山積みであることは忘れてはいけな
い。選手の今後の努力に期待したい。
U-14日本選抜チーム
【報告者】須藤茂光(ナショナルトレセンコーチ)
AFC U-14 FESTIVAL OF FOOTBALL in GUAM
1.大会概要
この大会は昨年、中国・青島でAFC U-13フェスティバルとして開
向く意識はあった。
②連動した守備
催されたもので、今年はU-14フェスティバルとしてグアムで開催さ
正しいポジションがとれているときは、連続して相手にプレッシ
ャーをかけ続けボールを奪うことができた。
れた。2009FIFA U-17ワールドカップを目指す年代を対象としている。
アジアをWEST・CENTRAL&SOUTH・SOUTH EAST・EASTの4つ
③コンタクトスキル
のエリアに分け、AFCが次のFIFA U-17ワールドカップを目指す年代
の強化を目的として毎年行われる大会である(来年はU-13フェステ
中盤のボールの奪い合いでは身体をうまく使って自分のボールに
できる場面が増えてきた(FWのポジションでは課題が残る)
。
ィバルで開催され2011年の世界大会を目指す年代に変わっていく)
。
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りがとう”の気持ちを持とう)
2.結果
4月7日
vsグアム(青) 9-0
(30分1本)vs韓国 0-0
4月8日
vsマカオ 1-0
vsグアム(白)
1-1
(30分1本)vsグアム(青) 4-0
vs韓国 0-0
4月10日
vsマカオ 4-0
vsグアム(白)
(30分×2) 13-0
vsマカオ(20分×2) 6-0
U-14日本選抜
〔EAST ASIA〕
Aグループ:グアム(ホスト国)日本、韓国、マカオ
4月11日
vsグアム(青)
(20分×2) 12-0
vs韓国(25分×2)※TRマッチ 1-2
3.ゲームにおいてテーマとしたこと
Bグループ:香港(ホスト国)中国、チャイニーズ・タイペイ、
①フェアプレー…最後まで勝負にこだわること(あきらめない)
DPR KOREA、モンゴル
AFCが考える育成年代の大会は、①多くのプレーヤーにポジティ
②オフ・ザ・ボールの良い準備…常に意図を持ってプレーすること
③コミュニケーション…プレーの正確性を追求すること
ブで楽しい経験をさせ、②フェアに戦うことの大切さを伝えること
を第一の目的とし、サブメンバーは次のゲームに必ず先発させるこ
4.成果と課題
とがルールとなっている。そしてチャンピオンシップではなく、大
(1)成果
会に参加した選手全員が勝者であるという理念の下に、順位をつけ
ないで行われたフェスティバルである。グラスルーツの発展がアジ
①技術(正確にプレーすることの意識)
昨年から取り組んできた正確にプレーすることを意識し、結果的
アサッカーの未来を支えるという考えはJFAと同じである。
参加チームは、日本、韓国、マカオ、開催国グアムからはA・B、
にコミュニケーションが図られていた。パスの意思疎通ができてい
ないときにはお互いに確認し合うことがゲームの中で行われていた。
2チーム、計5チームが参加した。試合は80m×60m(天然芝)ピッ
②オフ・ザ・ボール
チで、11対11で行われた。初日、2日目は30分ゲームを1日3∼4試合、
4日目と最終日は30分ハーフ(暑さを考慮して途中から20分ハーフ
相手のプレッシャーに対し、ファーストタッチやワンタッチパス
で局面を打開していた。特に韓国戦では相手の速いプレッシャーに
に変更)で1∼2試合が行われた。3日目はゲームがなく、スキルテ
スト(5種目)が昨年に引き続き行われた。また、最終日にはU-14
も慌てずに対応できていた。
③サイドチェンジ
オールスターvsU-16グアム代表やスタッフチームとの対戦があった
(日本から6人が選出された)
。
日本、韓国以外のチームのレベルに大きな差があり、大味なゲー
80m×60mの狭いピッチの中で、幅と厚みを意識しながら、意図
的にサイドチェンジを行い、攻撃を組み立てていた。
④しかけ
ムが多かったが、日本人とは違うタイプのプレーヤーがいて、選手
には良い経験となった。そして将来、アジアサッカーを支えていく、
自分から積極的にゴールに向かってしかけていくプレーが多く見
られた。いろいろなポジションをトライさせたが、全員が積極的な
あるいはライバルとなっていく多くのサッカー仲間と交流し、同じ
夢に向かっていくことを確認し閉幕した。また、AFCのC級指導者
プレーを示してくれた。
講習会(日本から2人参加)
、レフェリー講習会(2人)が同時に開
(2)課題
催され、レフェリー講習会ではJFA審判部長の小川氏がインストラ
クターとしてアジアのレベルアップに貢献されていた。
①フィニッシュの精度
多くのチャンスをつくりながらフィニッシュの精度が低く、特に
●エリートプログラム活動目標
韓国戦ではそれが勝敗を左右する大きな原因となった。
②ヘディング
(今年度も5つの活動目標を掲げて活動していく)
ヘディングの技術を上げることが試合を優位に進める上で重要で
∼個のレベルアップ∼
1.関わる(いろいろなことに目を向けて積極的にかかわり、サッカ
あることが確認できた。
③イージーミス
ーの器を大きくしよう)
2.Enjoy Football(楽しむために何をしたらいいか考えよう…楽しい
なんでもないイージーミスがゲームの流れを変えることをもっと
理解させる必要があるように感じた。韓国戦では優位に進めながら
からうまくなれる)
もイージーミスからリズムを崩し、失点につながってしまった。
3.ポジティブシンキング(失敗しても下を向かずに、いつも前向き
にプレーしよう)
④勝負へのこだわり
球際の弱さが日本の課題である中で、それは勝負に対するこだわ
4.フェアプレーの精神を身につける(勝負にこだわり、サッカー仲
間を尊重しよう)
りにつながっているのではないかと感じる。ルーズボールに対する
プレーは韓国と大きな意識の差があった。なんとしてでもマイボー
5.感謝の気持ち(自分のサッカーを支えてくれている人たちに“あ
ルにしようとする強い意思と足先でかすめ取っていこうとするプレ
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Reports from Japan National Teams
ーの差が、最終的に勝負のこだわりに通じていたように思う。日本
は、我慢することには粘り強い力を発揮するのが特徴であるが、絶
対に勝たなければならないときに、何が何でも勝とうとする意志の
強さが発揮できるかどうか? 結果の勝敗も重要であるが、特に育成
年代では攻守において、各々の局面での勝負に対するこだわりを意
識させることが必要であると感じた。韓国と3戦戦って技術、戦術
的に勝っていても勝ちきれなかった原因が、その意識の差であった
ように思う。勝負に対するこだわりを持たせることを、バランスを
考えながら今後の活動に生かしていきたい。
5.メディカル
大きなケガもなく、大会を終えることができた。熱中症等心配し
AFC U-14 FESTIVAL OF FOOTBALL in GUAMオールスターゲームより
たが、水分補給の指導を吉岡ドクターはじめ菅原コーチのサポート
があり、自分たちで工夫していた姿があった。ただ、試合中の水分
ボールに対する気迫が多少薄れていた。2戦目で初戦の課題を意識
補給の工夫は今後の課題であった。日本では給水タイムを設けてい
るが、そのためか試合状況の中で水分補給のタイミングをつかめな
することで、プレーを修正することができる一面もありながら継続
することが難しい。この年代ではまだまだ波があり、我慢強く指導
いプレーヤーが多かった。給水タイムについて一考することも必要
し、自らの力でコンスタントに力を発揮できるように持続させるこ
とが大切であると感じた。
であるように思う。
6.GK講習会
グアムにGKコーチがいないので指導者講習会を開催したいという
要望が築舘グアム代表監督からあり、中日を利用し、濱田GKコーチ
がグアムの指導者と子どもたちを対象に講習会を行った。多くの指
導者が参加し、活発なディスカッションが行われ、大変好評な講習
会であった。
7.大会運営
昨年FIFAにより、グアムサッカー協会にグラウンド2面および照
明設備が設置され、このピッチでAFC主催の大会を企画したのも今
コミュニケーションも、同様である。なかなか個人としての意見
を言わないことがある。しかし、何かをきっかけに急に話し出すこ
ともあり、指導者は我慢強く指導しなければならないとあらためて
思う。
暑さの中、また変則的なゲームであったため集中力の持続が難し
かった面もあったが、これから選手が成長し、世界で闘うためには
さらに過酷な環境が待っていることも理解させていかなければなら
ない。育成年代における海外遠征の経験は2つの目的があると思う。
一つはヨーロッパや南米などで強い相手と試合を行うことで世界を
知ること。二つ目はいろいろな環境の中でサッカーが行われている
ということを知ること(特にアジアでは)
。韓国以外とはレベル差が
回が初めてということであった。バスの手配などで問題があったが、
速やかに解決された。また、多くのボランティアが大会を支えてお
あり強化の面では課題があったが、日本とは違う暑さの中で試合を
行う環境の経験は、選手には貴重な経験となった。選手自らが今回
り、不安な面はさほどなかった。ホテルは改装されたばかりのため
清潔感があり、食事に関してもそれといって問題はなかった。グア
の経験を次のステップに生かしてくれることを期待したい。
ムサッカー協会の「成功させたい」という気持ちが伝わるボランテ
ィア精神はすばらしいく(グアム観光、クロージングセレモニーな
ど)
、真心が伝わってきた。
リエゾンの下條さん、築館グアム代表監督のサポートがあり、大
きな問題もなく大会を終えられたことに大変感謝している。
8.まとめ
AFCワークショップ
【報告者】菅原大介(ナショナルトレセンコーチ)
「AFC U-14 FESTIVAL OF FOOTBALL」に先駆けて、4月3日から
3日間にわたりAFCワークショップが開かれた。
ワークショップには、
日本の選手は高い技術を持っていることを再確認することができ
フェスティバルに参加するグアムから6名、韓国から1名、日本から
た。攻撃に関しては、得点を奪うためのプロセスを理解しており、
幅と厚みを利用したポゼッションからゴールを狙っていた。守備に
2名(須藤/菅原)のスタッフが集まり行われた(マカオはフェステ
ィバルから参加)
。
関してはグループで守る意識の高さもうかがえた。
課題としては、前述の通り、韓国戦から浮き彫りになった攻守に
おける勝負に対するこだわりやフィニッシュの精度である。韓国の
ワークショップでは講義を中心に計12時間行われ、
「選手の育成」
「選手の発掘」
「コーチの役割」
「親に対するかかわり方」
「スポーツ
科学」
「スポーツ心理学」などが議題であった。
選手のボールを奪う、ゴールを目指すための気迫に日本の選手は結
果的に押されてしまった。勝負に対するこだわりが日本選手にない
AFCでは、年代別にグラスルーツ(U-6∼U-13)とユース(U-14
∼U-20)にカテゴリー分けし、さらに細かくU-6∼U-10をFUN、U-
のではなく、もっと前面に出すことが大きな課題であると感じた。
11∼U-13をFoundation、U-14∼U-16をFormative、U-17∼U-20をFinal
と分けている。今回のワークショップでは、特にU-6∼U-13までの
これはサッカーの本質的な部分であり、指導者が日ごろから、本質
から追求した中で指導を行うことで、日本の高い技術はより効果的
グラスルーツに関しての内容で、ディスカッション形式で進められ
に発揮され、ワンランクのレベルアップにつながっていくのではな
いだろうかと思う。韓国戦を3回行った中で、1本目に比べ2本目は
た。
AFCにおいてもトップトップの選手だけでなく、グラスルーツの
ある程度の球際の強さを出すことができた。しかし、3本目はまた
発展がサッカーの未来を支えるという考えを持っていた。これは、
23
すること。
3.遠征全般
(1)遠征先
中国の南東部にある湖南省の長沙市へ遠征。長沙市は人口600万
人の都市で町を挙げて歓迎してくれた。
(2)宿舎・食事等
長紗市Jinhui Junijang Hotel(金魚錦江大酒店)に宿泊。部屋は2人部
屋。個人使用の部屋とは別にメディカルルームが用意されていた。
また、一般宿泊客と一緒ではあったが、日本代表宿泊階には警備員
が配備されていた。
AFC U-14 FESTIVAL OF FOOTBALLに先駆けAFCワークショップが行われた
食事は日本代表専有の部屋が確保され、3食とも中華料理のビュ
ッフェスタイル。食事メニューも豊富で何も問題はなかった。
JFAが掲げる、代表強化・指導者養成・ユース育成の三位一体の強
化策を支える、サッカーの普及に対する重点的取り組みと同じ考え
である。
ディスカッションの中で、まだまだサッカー発展途上国であるグ
アムのスタッフは、日本のユース育成システムである「トレセン制
(3)天候
気温は22、23度で過ごしやすかったが湿度が高かった。特に雨が
降った後の練習時は、日本の梅雨のようで、少し動いただけで汗が
噴き出す環境であった。
度」に大きな関心を寄せていた。また、グアムでは子どもと親の絆
が深く、指導現場にも度々介入してくることが問題であり、日本の
キッズインストラクター制度や親へのハンドブックなどの取り組み
にも多くの質問を受けた。
グアムサッカー協会スタッフのサッカー発展に対する熱意を感じ
(4)試合会場への移動
試合当日、宿泊ホテルからスタジアムへの往復は、日本代表のバ
スをパトカーが先導してくれ、一般車両を静止しながらほとんど信
号にも止まることもなく移動できた。
ることができ、あらためて日本の選手育成、指導者養成に対する考
え方や方法に高い関心があることが実感でき、アジア諸国へのサッ
カーの貢献の重要性を感じた。また同時に、日本のさらなる発展が
なければ世界に追いつくことができず、逆にすぐに追い越されてし
まうといった危機感も持つことができた。日々アジア諸国と切磋琢
(5)スタジアム、観客
Changsha Helong Sports Center Stadiumは収容人数55,000人。
試合当日は20,000人を越える大観衆で試合が盛り上がったととも
に、中国でのサッカー人気が高いことがうかがえた。
磨し、自らも努力し続けることが世界へとつながっていくのではな
いだろうか。
今回のワークショップに参加したことで、あらためて日本の目指
す方向性は間違っていないことを再確認することができた有意義な
ものであった。
(6)中国代表
2008年北京オリンピックへ向けて、この世代の選手たちも強化対
象である。チームの5名がFIFAワールドユース選手権オランダ2005
(旧称)を経験している。また、FIFA U-17世界選手権ペルー2005
(旧称)を経験した選手もGKをはじめ4名いた。そして、1人の中国
A代表選手も出場していた。
U-19日本代表チーム
【報告者】吉田 靖(U-19日本代表監督)
中国遠征
4.試合結果
4月26日/19:30キックオフ(晴れ)
Changsha Helong Sports Center Stadium
U-19日本代表 0-2(前半0-1) U-19中国代表
1.大会概要
(1)日時
2006年4月23日∼4月27日
(2)会場
Changsha Helong Sports Cente Stadium
2.目的
アジアトップレベルのスピード、パワー、テクニック、激しさを
兼ね備えた中国とアウェイの厳しい状況で対戦することにより、選
手個々、チーム力のレベルアップを図る。そして、インドで行われ
るAFC ユース選手権に向けて良い準備をするための本番想定の場と
24
U-19日本代表、中国遠征(vs U-19中国代表)
より
Reports from Japan National Teams
ートがクロスバーに当たったり、安田のクロスから青木のヘディン
グシュートなどの得点チャンスはつくり、中国に勝てる可能性は十
分あったが得点を奪えず試合終了となってしまった。
5.成果と課題
青木
河原
(長沢)
田中
山本
(安田)
柏木
堤
(佐野)
(1)成果
①アウェイでの厳しい状況下で試合ができたこと。
森重
(長谷川)
柳川
青山
②ビルドアップ
多くの選手がかかわり、コンビネーションを使いながら攻撃につ
なげられた。
③粘り
前半に失点してしまったが、その後崩れることなくプレーを続け
柳澤
ることができた。
(2)課題
①ゲームへの入り方
林
(秋元)
試合会場のアウェイの雰囲気、相手がアグレッシブに攻めてくる
であろうことは予測できたが、雰囲気に飲まれた感があり、冷静な
対処ができず、後手を踏んでしまっていた。
FP14人 GK2人
②ボールを奪った後のパスの質
相手に押し込まれた状態でボールを奪った後のパスが短いため、
得点経過 前半20分 失点、後半29分 失点
再度プレッシャーをかけられていた。
交代 HT 河原→長沢、59分 山本→安田
65分 森重→長谷川、75分 堤→佐野
③高さへの対応(チャレンジ&カバーの徹底)
相手の長身選手への単純なロングフィードに対しての対応が不安
定であった。
④フィニッシュの精度、意識
チャンスはつくれたが、得点が奪えなかった。
中国、日本ともにシステムは、1-4-4-2。
ホームの中国は、立ち上がりからアグレッシブに前へ前へ出てき
リトリートした相手に対し、シュートチャンスと思われる場面で
パスを選択してしまう。そして、ゴール前で相手が守備の人数をか
ていた。ホームでは絶対に勝たなければいけないという意識が運動
量、球際の攻防あらゆる局面でプレーに表れていた。中国が立ち上
けている状況での動きの質、パスの質が低くフィニッシュに結びつ
けられなかった。
がりから積極的に激しく戦ってくるだろうということは試合前から
予想されていたことであり、日本としてはある程度は主導権を握ら
6.所感
れても、相手の攻撃をできるだけ高い位置で受けて、攻撃に結びつ
今回の中国遠征はAFCユース選手権(インド)に向けて、本番を
けていく展開が理想であったが、中国サポーターが醸し出す圧倒的
なアウェイの雰囲気に選手が飲み込まれてしまい、冷静さを欠いて
想定した非常に大切な経験ができたと思う。残念ながら、所属チー
ムの試合出場やケガ等により遠征に参加できない選手もいたが、U-
しまった。そして相手に対しても受身になってしまったため、後手
に回ることが多く、試合開始直後から失点につながりそうな場面が
19日本代表のチーム力の底上げにつながったことは間違いない。欲
を言えば、絶対的なアウェイの状況下での親善試合で勝利すること
数回あったが、身体を張った守備などで凌いでいた。結局、前半20
によって自信を深めたいところではあったが、ホームでは絶対に負
分に自陣での横パスから相手のプレッシャーにかかってしまい、ボ
ールを奪われ失点してしまった。しかしそれ以後は、冷静さを取り
けられない、死に物狂いで戦いを挑んでくる中国代表を相手に試合
ができ、そしてAFCユース選手権も間違いなく激しい試合展開にな
戻し、徐々に互角の試合内容に持ち込んでいき、得点チャンスもつ
くれるようになった。前半最大のチャンスはセットプレーの守備か
るであろうことを考えると、アウェイでの厳しい状況下で試合がで
きたこと自体が成果だと言える。
ら林→山本→河原とつなぎ、カウンター攻撃をしかけ決定的チャン
そして、FIFA U-20ワールドカップに出場するには、中国代表と同
スをつくったが得点には至らなかった。
後半に入ると、中国の運動量が落ちたこともあり、日本が良い形
レベルであろう、他の国の代表を倒していかなければいけない基準
ができたことは貴重な成果である。
でボールを動かし、攻撃につなげられるシーンが多くなっていった。
ビルドアップから前線のコンビネーションを使った攻撃、あるいは
予選では、今まで参加した国内外の大会や合宿とは違う、技術・
戦術をも打ち消してしまう予選独特の「プレッシャー」が押し掛か
後半から出場した長沢を中心に、相手の背後を狙った動き出しでチ
ってくる。
ャンスをつくり出すことはできていたが、なかなかゴールには結び
つけることはできず。逆に日本にとって良い流れで試合が進んでい
これからの準備として、この遠征を踏まえチーム戦術面の徹底は
もちろん細かく行っていくが、精神面のコントロールも非常に大切
る時間帯の後半29分に自陣ペナルティーエリア付近での横パスが相
手に渡ってしまい、追加点を許してしまった。その後、日本は今ま
になる。選手が普段通りに自分の持っている力を出すため、タフに
戦うことができることへのアプローチもしっかり行っていきたいと
で以上に積極的に攻めて最後まであきらめず戦ったが、田中のシュ
思う。
25
終える。
後半、丸山・柳田を投入し、積極的にシュートを狙っていった。
なでしこジャパン活動報告
【報告者】大橋浩司(なでしこジャパン監督)
53分、GKからのフィードが酒井、荒川へと渡り、澤がスルーパス
をシュートし2点目。67分、ゴール前20mFKを安藤が直接決めて3点
第10回強化キャンプ
(イタリア遠征)
3月3日∼14日
目。75分、GKへのバックパスを荒川が詰めて4点目を奪った。
全体的に、前にボールを運ぶ意識の出たゲームであった。また、
守備も安定した戦いができた。
1.はじめに
3月3日に成田を発ったが、フランクフルト(ドイツ)でフライト
キャンセルのため、24時間待機しなければならず、4日の夕方、ス
イス経由でローマに入り、ホテルに着いたのは5日の午前1時であっ
4.イタリア女子代表戦
なでしこジャパン 0-1(0-1) イタリア女子代表
た。荷物もいくつかが届かず、困難な状況でのイタリア入りとなっ
失点:5分
た。また、気候は日本よりも寒く、悪天候の中での遠征となった。
ローマから約200km離れたISERNIA地方で、10日にスコットラン
交代:45分−宮間(←大
荒川
大谷
ド女子代表と、12日にイタリア女子代表とゲームを行った。
攻撃では、サイド攻撃を中心に、クロスの質・セットプレーでの
シュートチャンスの増加などを狙いとした。
大野
澤
柳田
酒井
下小鶴
磯崎
矢野
守備では、コンパクトフィールドから連動した守備を行い、高い
位置でボールを奪うことを取り組んだ。
野)
、60分−丸山(←大谷)
安藤
山郷
2.キャンプの狙い
①ヨーロッパの強豪国とのゲームにおいてチーム力アップ
開始3分、左サイドから右サイドに振られ、クロスからシュート
②AFCアジア女子選手権に向けてのチームづくり
③コンセプトの徹底
され失点する。主導権は握れるものの、決定機をつくれず、前半を
0-1で終える。
3.スコットランド女子代表戦
後半、大野に代えて宮間を投入し、1-4-4-2のシステムでスタート
した。ピッチが狭いため、サイドチェンジを有効に使い、サイドか
なでしこジャパン 4-0(1-0) スコットランド女子代表
らの攻撃を狙いにした。シュートは多くうつものの、得点には至ら
荒川
澤
大谷
大野
宮間
酒井
矢野
安藤
下小鶴
磯崎
ず0-1で試合終了。ハイプレッシャー下での、パスの質・シュートの
精度が大きな課題であった。
得点:29分−酒井、53分−
澤、67分−安藤、75分−荒
川
交代:45分−丸山(←大
谷)・柳田(←宮間)、70
分 − 近 賀 ( ← 大 野 )、 8 0
分−四方(←磯崎)・中岡
(←酒井)
今後、クロスの精度も含めて得点を奪うための技術・戦術レベル
アップが必要だと感じた。しかし、前への意識・サイド攻撃など意
図したプレーは随所に出せたので、成果は見られた。
5.遠征を終えて
イタリアはヨーロッパの強豪チームの中で、もまれているという
印象を受けた。技術も正確で、戦術的にも統一されたチームであっ
山郷
た。前線からハイプレッシャーな状況で、今までに対戦したことの
ないチームであった。
雨が降りしきる中、強風の風下でのキックオフでスタート。人工
ハイプレッシャー下での正確なプレーは、日本がもっとレベルア
芝で行われ、横幅が60mと狭いグラウンドであった。立ち上がりは
相手のロングボールに手こずったが、少しずつペースをつかんでい
ップしなければいけない部分である。アウェイでの戦いの中で、先
制されると非常に苦しくなることは、選手も肌で感じたと思う。
った。29分酒井がサイドからクロス気味のシュートで得点、前半を
一方、失点したもののDFは安定してきた。トラブル続きで、選手
スケジュール
AM
3月3日
4日
5日
6日
7日
8日
9日
10日
11日
12日
13日
26
メンバー
PM
GK
移動
浦和レッズレディース
澤穂希
日テレ・ベレーザ
福元美穂
岡山湯郷Bellle
安藤梢
浦和レッズレディース
矢野喬子
神奈川大学
宮間あや
岡山湯郷Belle
コンディショニング
磯崎浩美
TASAKIペルーレFC
近賀ゆかり
日テレ・ベレーザ
下小鶴綾
TASAKIペルーレFC
山本絵美
TASAKIペルーレFC
ポジション別
中岡麻衣子
TASAKIペルーレFC
クロス守備
四方菜穂
移動
DF
パス&コントロール/ポゼッション
守備
セットプレー
vsスコットランド女子代表(4-0)
リカバー
vsイタリア女子代表(0-1)
移動
MF
山郷のぞみ
移動
MF
FW
丸山桂里奈
TEPCOマリーゼ
日テレ・ベレーザ
大野忍
日テレ・ベレーザ
柴田里美
武蔵丘短期大学
大谷未央
TASAKIペルーレFC
酒井與惠
日テレ・ベレーザ
荒川恵理子
日テレ・ベレーザ
柳田美幸
浦和レッズレディース
鈴木智子
TASAKIペルーレFC
Reports from Japan Women's National Teams
がたくましさを身につける上では、非常に意義のある遠征であった。
この遠征での経験を今後のトレーニングで生かしていきたい。
U-20日本女子代表チーム
【報告者】今泉守正(U-20日本女子代表監督)
AFC U-19女子選手権 マレーシア2006
③ vs インド
2勝の日本と2敗の
インドの対戦となっ
た。日本はメンバー
を入れ替えて1-3-5-2
のシステムで試合に
臨んだ。インドは予
選リーグ敗退が決ま
っているが、1-3-5-2
1.大会概要・結果
U-20日本女子代表©Jリーグフォト
(株)
大会日程:2006年4月8日∼18日
のシステムでしっかりと戦ってきた。試合開始直後よりボールを支
配する日本だが、ゴール前を固め、捨て身の守備で対応するインド
開催都市:マレーシア・クアラルンプール
になかなか点が奪えない。また、ボールの失い方が悪く、時折カウ
大会結果:1位:中国、2位:DPR KOREA、3位:オーストラリア、
4位:日本
ンター攻撃を許してしまう。前半は6分、26分に得点を奪った。後
半は攻撃の幅と深さを取り、パスの精度を上げていくように指示す
A組 韓国
11-0 インド
B組 中国
DPR KOREA
0-3 日本
ヨルダン
DPR KOREA 14-0 インド
オーストラリア
日本
2-1 韓国
中国
韓国
1-2 DPR KOREA
中国
日本
6-0 インド
オーストラリア
準 決 勝:日本
DPR KOREA
3位決定戦:日本
決 勝:中国
1-1
(PK3-5)
4-2
2-3
1-0
0-1
2-1
16-0
9-0
22-0
7-0
オーストラリア
マレーシア
マレーシア
ヨルダン
マレーシア
ヨルダン
中国
オーストラリア
オーストラリア
DPR KOREA
2.アジア予選の戦い
(1)予選グループ
① vs DPR KOREA
る。後半は3分、15分、23分、27分に得点し、勝利を収めた。
(2)準決勝 vs 中国
2日の休みをあけて、準決勝は中国と対戦する。日本は1-4-4-2の
システム。中国も同様の1-4-4-2のシステムながら、2トップが縦並
びになる。キックオフ直後から中国はサイド攻撃を徹底し、スピー
ドを生かしてチャンスをつくり出す。日本は、サイドの守備の対応
が後手に回り、なかなかボールを奪えず、苦しい立ち上がりとなる。
前半15分、中国のカウンター攻撃から、日本のクリアボールを奪い、
中央で競り勝ったボールをゴールし先制する。日本は、その前のプ
レーで接触したDFが倒れていたことで一瞬の隙ができ失点した。日
本は、すぐに反撃に転じ、積極的にゴールを目指す。前半19分、左
サイドからの宇津木のクロスを永里とGKが競り合い、こぼれ球を鮫
初戦となったこの試合は、立ち上がりより攻守の切り替えの速い
島彩(TEPCOマリーゼ)がシュートし同点とする。その後、日本が
ゲームとなった。日本は1-4-4-2のシステム。DPR KOREAも同様に
1-4-4-2のシステムでゲームを展開する。日本は、中盤の宇津木瑠美
主導権を握り、サイドから何度か決定機をつくり出すが、フィニッ
シュの精度に欠け、得点できずに前半が終了する。後半に入り、阪
(日テレ・ベレーザ)
、阪口夢穂(TASAKIペルーレFC)を中心にボ
ールと人を動かしながらゴールをうかがう。DPR KOREAは、速い
口を投入。ためのできた日本は、ゲームを優位に展開。決定機をつ
くり出すが、最後のところで中国DF、GKの好守や、フィニッシュ
パス回しから、2トップをターゲットにスペースへボールを展開す
る。先に主導権を握ったのは日本。前半37分、CKより阪口が下がり
の精度に欠けるために得点できない。守備は、前半の問題点を改善
し、コンパクトな守備からアプローチも徹底され、中国には決定機
ながらヘディングシュートを決め先制する。後半に入り、さらに白
をつくらせなかった。延長に入り、激しいスコールがピッチを叩き
熱した展開となるが、後半22分、PKを得て阪口が冷静に決め追加点
を得る。さらに終了間際に永里優季(日テレ・ベレーザ)がドリブ
つけた。好機は日本の方が多くつくったが、ゴールを奪えずPK戦で
敗れ、3位決定戦に回ることとなった。
ルシュートを決め試合を決定づけた。コンパクトな守備を徹底し、
ファーストディフェンダーが徹底されて、DPR KOREAに決定的チ
(3)3位決定戦 vsオーストラリア
日本は世界大会(FIFA U-20女子ワールドカップ)への最後の出場
ャンスをつくらせない守備意識の高さが勝利をもたらした。
権を賭けてオーストラリアと対戦した。日本、オーストラリアとも
② vs 韓国
ともに初戦を勝利して迎えた第2戦。日本は、阪口に変えて松田
に、1-4-4-2のシステムでスタートする。オーストラリアはオーソド
ックスな展開ではあるが、展開力と2トップのスピードを武器にゴー
望(スペランツァFC高槻)を中盤に起用し、1-4-4-2のシステムでス
タートする。韓国は180cmのトップをターゲットに、1-4-5-1のシス
ルをうかがう。日本は、中盤の宇津木、松田、トップの阪口を中心
にリズムをつくる。先に主導権を握ったのは日本。前半11分、サイ
テムでスタートする。日本は全体をコンパクトに保ち、ボールを保
ドからの崩しを中央から阪口が冷静に決めて先制する。その後も主
持したらボールを動かしながら人が連動して動き、2トップの永里、
山口麻美(フロリダ州立大学)に展開する。韓国は、パワーとキッ
導権を握り、決定機をつくり出すが、フィニッシュの精度に欠け得
点できない。逆にオーストラリアは、CKの守備からカウンターで同
ク力を生かしたサッカーを展開する。日本はボールを動かしながら
サイドに展開して韓国を揺さぶり、前半18分、30分に得点し、試合
点とする。後半は、オーストラリアの展開力とスピードがある2トッ
プを抑えていくために、最終ラインの準備の徹底と長いボールを蹴
を優位に進める。その後も決定的チャンスをつくり出すが、フィニ
らせないアプローチの徹底を図った。後半9分に阪口からのスルーパ
ッシュの精度に欠けるため得点できない。後半に入っても同様の展
開が続き、終了間際にカウンターから失点するが、2-1で勝利した。
スに反応した上辻佑実(TEPCOマリーゼ)が中央へクロス。永里が
ダイビングヘッドを決め再び勝ち越した。前半同様に追加点が奪え
この試合もコンパクトな守備を徹底し、ファーストディフェンダー
が徹底されて連動を生み、韓国にチャンスをつくらせない守備意識
る決定的チャンスをつくり出すが、フィニッシュの精度に欠けるこ
とと、オーストラリア守備選手の身体を張った守りに得点が奪えな
の高さが勝利をもたらした。
い。後半30分、左サイドからのクロスのこぼれ球を中央から決めら
27
Reports from Japan Women's National Teams
れ同点とされる。終了間際に再びサイドを崩され、クロスをファー
サイドから得点され、2-3で敗れた。得点を奪った後の追加点が取れ
3ラインをコンパクトに保ち、ボールに集中した守備を実践する
ことができ、ゴールを守りながらボールを奪う守備を行った。
なかったことと、終盤でロングボールに対するファーストディフェ
ンダーのアプローチが弱まったことが勝利に結びつかなかった。
(4)チームワーク
キャンプから通じて、グループワークを通してチームにおける基
3.なぜ出場権を得られなかったのか
(1)フィニッシュの精度
ボールと人が動く日本のスタイルにより、多くの決定機をつくり
出した。しかし、ボールをゴールの中に入れるということの精度に
本コンセプトづくりを行ってきた。そのグループワークを軸に選手
は大きく成長した。
5.まとめ
(1)アジア全体のレベルアップ
欠けた。これは、キックの技術的問題もあるし、オフの準備であっ
たり、コミュニケーションであったり、状況分析力(シュートかパ
中国、DPR KOREA、オーストラリアの3カ国が世界大会に出場す
ることになった。前回の2004年大会に比してアジアのレベルアップ
スかドリブルか)といったところを、さらにレベルアップしていか
は急激な速度である。特にこの3カ国に共通することは、
「不用意な
なければならない。世界大会へ出場する3カ国はいずれもシュート
の精度を有していた。
ミスをしない」ことである。準決勝からの試合は、世界に通用する
質の高い、一瞬のミスが致命傷となるような緊迫した戦いであった。
(2)基本の質
どんな状況においてもぶれない技術の質を上げていかなければな
中国の強固な守備をベースに、少ないチャンスを確実に得点する
ミスの少ない確実なゲーム運び。DPR KOREAの鍛えられた走力を
らない。キックの精度、コントロールの精度に関しては、身体の軸
ベースにスペースに展開してくるサッカー。オーストラリアはゲー
づくりと併せて考えていかなければならない。サッカーの基本であ
るボールを止める、蹴るということについて、繰り返し動作を反復
ム戦術教育が徹底されており、個々の戦術理解力とその実践的技術
の高さ。韓国は、個の身体能力を生かし、スピードとパワーを生か
し、習得していく必要性がある。戦術的動作を実践していくための
技術の精度を高めていくこと。
(3)情報分析力
したサッカーを展開している。
(2)たくましい個の育成
サッカーの基本は判断、技術、メンタリティである。この基本の
判断にかかわること。観て、考えて判断することの習得。ハイプ
レッシャーな状況下でいかに情報を分析していくかについて、身に
質がアジアでの差となる。日本も基本のレベルが確実に向上してき
ているからこそ、今回の4カ国との試合は、どれも主導権を握って
つけていくことが大切である。ボールを持っている選手がドリブル
突破なのかパスなのか、シュートなのかドリブルなのか。オフの選
試合を進めていくことができた。しかし、出場権を賭けた緊迫した
試合の中では、1回のプレーが致命傷となり、勝負を決定づけるこ
手に対してどこにパスを出せばよいのか。オフの選手はいつ、どこ
とを認識し、常に冷静さを保ち、闘うメンタリティを試合終了まで
に、どのように動き出せばよいのか。守備において、危機管理をど
のようにすればよいのかなど、ゲームの状況をよく分析していく中
持ち続けていくことが大切である。
試合の状況に合わせた技術の質の向上を追求していかなければな
でプレーできる分析力を身につけていくことが必要である。
(4)走力
ただ単に走る力ではない。アプローチに行くスピード。そのスピ
ード持久力。攻撃においては、スペースに走り込んでいく力。その
スピード持久力。90分間あらゆる動きに対応できる走力を身につけ
る必要がある。
(5)コミュニケーション力
らない。状況に合わせたキックの質と種類。ボールをゴールの中に
入れるフィニッシュの質。ゴールから逆算された最適なファースト
タッチの質。ボールを奪うチャンスを逃さない1対1の対応力。チャ
レンジとカバーを連動させた対応力。
そして、判断力を追求していくトレーニングのオーガナイズ。特
に情報分析力を高めていくこと。突破にかかったときに、ドリブル
なのかパスなのか。パスはスペースなのか足元なのか。右に出すの
プレー中あるいはオフの時間にかかわらず、自己表現をすること
の難しさ。特に厳しいゲーム中でのコミュニケーション力は、勝負
か左に出すのか。自分がシュートなのか、より良いポジションにい
る味方にパスを出すのか。時間帯はペースを握っているのか、相手
の分かれ目にもつながっていく。いつ、いかなるときにも持ってい
のペースなのか、など。
るすべてを使って味方に伝えていく力、相手の意志を理解する力を
必要とする。
たくましい個を育成していくために「基本の質」を徹底して追求
していくことが重要だと強く感じた。
4.成果
(1)ボールと人が動く主導権を持つサッカー
(3)最後に
末筆になりましたが、今回の代表チームに対して選手派遣、情報
交換など、多方面で指導者の皆さまにご協力をいただき、深く感謝
日本のボールを動かす力、複数のプレーヤーがかかわることに関し
て、参加チームの中でも高いレベルにあった。各ゲームとも幅と厚み
申し上げます。また、選手には、今回の経験を常に忘れることなく
レベルアップに取り組み、さらなる成長をしてくれることを期待し
を利用して、主導権を握りフィニッシュまでつくり出す力は発揮した。
(2)デイリートレーニング
ています。
今大会、現地の日本人学校を毎回のトレーニングに使用させてい
ヘディング、スライディング、コンタクトスキルに関して、毎回
ただきました。新年度を迎える忙しい時期に快く応援していただき
のトレーニングにおいて取り組んできた。ゲームの各場面において
発揮していた。これらの内容をこだわって取り組んできた成果は、
ましたこと、選手ともども連日30度を超える暑さの中、すばらしい
環境下で大会の準備ができましたこと、深く感謝申し上げます。ま
ルーズボールの競り合い、ボールを失わない、クロスでの競り合い
などに生かされていた。
た、試合会場に多数の方々に応援、差し入れなどいただきました。
本当にありがとうございました。この場をお借りして感謝申し上げ
(3)連動した守備
28
ます。
活動報告
JFA GK
プロジェクト
U-16日本代表候補、
トレーニングキャンプより©Jリーグフォト
(株)
U-17日本代表チーム
JFA Goalkeeper Project
since 1998
5.大会準備
今号では、各年代日本代表
チームが参加した大会・試合
の報告、2005ナショナル
トレセンU-14での活動をお
伝えします。
きのポジショニングを的確にとること。
3月19日に集合し、大会前にコンディシ
・ブレイクアウェイ・クロスにおいて、積
極的なスターティングポジションはとれ
ョニングを含め4回のトレーニングを行っ
た。GKトレーニングとしては、19日、20
ているが、DFラインの構築・ラインコ
ントロールが不十分のため、プレーエリ
日はシュートストップ、21日はシュートス
アの確保ができず、積極的にアタックで
2006年3月22日∼26日に福岡県グローバ
トップとブレイクアウェイ、22日はクロス
のトレーニングを行った。また、20日の夜
きない場面が多かった。
・配球においては、プレッシャーがかかっ
ルアリーナにて、予選リーグ(4チーム4ブ
ロック)・8チームによる決勝トーナメン
のミーティングでセットプレーのオーガナ
イズを確認し、21日のトレーニングにて実
た状況になるとキックの精度が落ちる。
また、ゲームの流れを的確に察して時間
ト方式で、サニックス杯(各ブロック1・2
位トーナメント)、グローバルアリーナ杯
践し、チームでの意識統一を図った。
をかけるところ、素早く味方につなげる
など、判断にやや欠ける部分が見られた。
2006サニックス杯
U-17国際ユースサッカー大会
【報告者】渡辺英豊
(ナショナルトレセンコーチ)
1.大会概要
(各ブロック3・4位トーナメント)を行い
順位を決定する。
2.大会結果
予選リーグ(3勝、1位)
vsACミランユース
(1-1/PK3-1)
vs前橋育英ユース
(1-0)
vs東海第五ユース
(5-1)
決勝トーナメント(第5位)
vs鵬翔ユース
(0-1)
vs鹿児島実業ユース (3-2)
vs大津ユース
(2-0)
6.成果
・事前トレーニングを含め、モチベーショ
ンが高く、集中してトレーニングや試合
に取り組めた。
・テーマに対して積極的にトライし、かつ
追求する意識が高かった。
・常に的確なポジションをとり続けなが
ら、DFとコミュニケーションをとり、
・リスクマネージメントにおいてのコーチ
ングで具体性に欠ける。
・セットプレー等のセカンドボールの対応
(DFの再構築とラインコントロール)
8.特記事項
①昨年に引き続き大会期間中の24日に、U17日本代表を含む大会出場の日本人
ゴールを守ろうとしていた。
・シュートストップにおいては、安定した
GK20名による合同練習会を行った。メ
ニュ−は予選リーグを視察し、シュート
技術を発揮していた。特に「つかむか弾
ストップとブレイクアウェイの状況下で
くかの判断」の部分でも弾くときには、
その方向を意識していた。
のトレーニングを行った。シュートスト
ップでは、構えとそのタイミング、移動
・ブレイクアウェイ・クロスにおいても、
積極的なスタートポジションから予測を
方法をクローズアップした。特に、ブレ
イクアウェイでは、DFラインの構築と
8日生、182cm/71kg)
し、幅広い範囲を守ることができた。ま
ラインコントロールを行いながらスター
木下正貴(ガンバ大阪ユース/1989年6月
22日生、185cm/78kg)
た、パンチングにおいても弾く方向を意
識していた。
ティングポジションを的確にとり、予測
を持って積極的にプレーできるように意
3.大会GK
大谷幸輝(浦和レッズユース/1989年4月
4.GKテーマ
①アグレッシブゴールキーピング
②グッドポジション
③DFとの連携
以上の3本柱を追求する。
サブテーマとして、「つかむか弾くかの
判断」
、
「リスクマネージメント」
、
「配球」
、
「セットプレーで失点しない」の4つを掲げ
た。
・セットプレーに関しては、チーム全体で
意識統一ができ、ファーストボールから
の失点は、ほとんどなかった。
7.課題
識させた。しかし、実際のゲームの中で、
自動的に発揮されるにはまだまだ時間を
かけてトレーニングをする必要性がある
と感じた。
②外国チームのGKで特筆すべきは、ACミラ
・スローイン、セットプレーのリスタート
での切り替えが遅く、瞬時のDFの組織
ンのGKは身長191cmと大きく、コーディ
ネーションは良くないが、パワーとゴー
化で課題が残った。
・シュートストップにおいては、45度以上
ル前での迫力を持っていた。また、アヤ
ックスのGKは、180cm程度であったが、
の角度からインサイドに切り返されたと
コーチング、ビルドアップへの参加にお
29
いてフィールドプレーヤーに引けをとら
ない実力を持ち、身体能力も高く、基本
ョニング中心のトレーニングを行った。翌
日の3月28日(大会前日)にサニックス杯
技術も安定していた。リーダーシップと
での課題を埋めるべくトレーニングを試合
勝負へのメンタリティは非常に強い。
形式の中で行い、セットプレーの確認、シ
ュートトレーニングをして準備した。GK
・PKにおけるGKプレーの戦略、技術的、
体力的、メンタル的トレーニングを導入
としては、継続した集中と試合を意識した
トレーニングを心掛け、シュートストップ、
して、自身のスタイルを確立すべく段階
を踏み始めること。
U-17日本代表チーム
第11回NIKKEI杯
沖縄県高校招待サッカー大会
【報告者】加藤好男
(GKプロジェクトリーダー)
1.大会概要
3月29日、30日の両日で70分ゲーム4試
合を行い、順位を決定する大会だった。し
たがって、1試合当たり最大9名まで交代が
可能となった。
大会参加チームは12チームで、沖縄県
クロスを主に行った。
木下は移動日の夜、環境の変化からか39
度の発熱をしてダウンしてしまった。した
高めることや、バックパスの対応におい
て左右両足のキックにおける正確性と飛
距離向上を求めること。
7.今後の展開
この年代の大会は、7月に新潟国際ユー
がって、29日は点滴をしてホテル待機とな
ってしまった。最終日の30日に熱が下がり
ス大会出場を計画しているが、GKとして
チームでレギュラーを獲得している者、ま
何とか合流できたものの、試合をできるコ
た控えなどで、なかなか試合出場の機会を
ンディションには至らなかった。
与えてもらえない者など環境による差が激
しい年代でもある。したがって選手個人の
5.成果
・サニックス杯と同様に集中した態度、積
取り組む姿勢はもとより、日ごろから試合
を常に意識したトレーニングが重要とな
高校新人戦ベスト4チームと全国高校サッ
極的な姿勢で練習や試合に取り組めたこ
る。GKとしての良い準備、ポジションと
カー選手権大会優勝校の野洲高校(滋賀
県)
、Jクラブから浦和レッズユース、アル
と。
・テーマに対しては、意識を持って前向き
ビレックス新潟ユース、また全国各地から
遠野高校(岩手県)、星稜高校(石川県)、
にトライしたこと。
・DFに対して、コミュニケーションをと
(プレー)するというサイクルとそのサイ
クル速度を追求すること。また、実行(プ
り連携してゴールを守り、また攻撃へ参
加したこと。
レー)の質の向上が鍵となる。こうしたこ
とを踏まえ、巡回視察や各指導者との情報
・準決勝、決勝のPK戦において3本止めた
交換および連携を深めていきたいと考えて
こと。
・4試合で1失点という結果を出したこと。
いる。
・ブレイクアウェイ、クロスの状況下で積
極的にチャレンジしたこと。
U-16日本代表候補
日大藤沢高校(神奈川県)や東福岡高校
(福岡県)が出場した。
2.大会結果
優勝:滋賀県立野洲高校
準優勝:U-17日本代表
第3位:浦和レッズユース
第4位:アルビレックス新潟ユース
U-17日本代表対戦成績
3月29日(予選リーグ)
vs南風原高校(沖縄県新人戦優勝)
2-0(得点者:谷島、市原)
vs東福岡高校 5-0(得点者:安田、小井戸、
中田、中野、谷島)
3月30日(決勝トーナメント)
準決勝 vsアルビレックス新潟ユース
1-1(PK4-2)
(得点者:鈴木)
決勝 vs野洲高校 0-0(PK3-4)
出場GK:大谷幸輝(浦和レッズユース)、
全試合出場
3.GKテーマ
※サニックス杯同様(前項参照)
4.大会準備
サニックス杯を終えた3月27日に移動し
て沖縄に入り、移動日に公園でコンディシ
30
・4試合を通じて安定した守備を発揮した
こととシュートストップの状況下で毎試
合、数回の相手決定機を抑えたこと。
6.課題
・環境の変化、疲労、移動という中で発熱
してコンディションを崩した選手が出て
しまったこと。
・学年が上といっても、同じ高校生の大会
で最終的な結果(優勝)を出せなかった
こと。
姿勢、「観る」ということで状況の把握、
予測を立てることから決断(判断)、実行
トレーニングキャンプ
【報告者】川俣則幸
(U-16日本代表GKコーチ)
1.参加GK
廣永遼太郎(FC東京U-18)
大畑拓也(伊勢市立港中学校)
浜川成章(都城市立五十市中学校)
2.キャンプでのテーマ
AFC U-17サッカー選手権(FIFA U-17
ワールドカップアジア最終予選)に向け
・試合を重ねるごとに自信をつけ、決断の
タイミングが向上してきたが、大会初日
た2006年最初のキャンプ。チームは、こ
れまで取り組んできた「イニシアチブを
からできるようにしなければならないこ
と。
握る」「アグレッシブ」というテーマをさ
らに進めて、攻撃面での課題として、「よ
・クロスやブレイクアウェイの状況下で積
極的な姿勢からチャレンジできていた
り前にボールを運ぶこと」をテーマに取
り組んだ。これに伴い、GKもより効果的
が、今後は、的確な判断の下、さらにそ
の質を高めなければならないこと。
・攻撃への参加において、キックの精度を
に攻撃に参加することをテーマとした。
また、今回のキャンプでもGKプロジェ
クトが取り上げている育成年代のGKが意
JFA Goalkeeper Project
活動報告 JFA GKプロジェクト
識すべき3つのテーマ(1.積極的なゴール
ションが不十分だったことを差し引いて
いてこれらの課題にチャレンジすることを
キーピング 2.良い準備 3.DFとの連携)
も、もっと早く守備の組織をつくり、カ
目標とした。
を継続して押さえつつ、それらを実現す
るために「観る&状況判断」、「ポジショ
バーリングを徹底できれば、いくつかの
失点は防げたはずである。この点は今後
3.大会への準備
ニング」、「コミュニケーションとコンビ
ネーションの確立」にも継続して取り組
の課題である。クロスの守備では、積極
的に出る意欲は感じられたが、守備範囲
現地では、大会前に4回、試合の合間に2
回のトレーニングを行うことができた。ト
んだ。また、ゴール前で隙をつくらない
の差は依然縮まっていない。また、DF背
レーニングでは、主にクロスの守備で「ゴ
ため、「つかむか弾くかの判断」について
も取り組みを開始した。そして試合にお
後へのボールに対して、判断が遅れてDF
との連携がとれていない場面が見られた。
ール前の状況把握と確実な技術発揮」を、
DFライン裏の守備では、
「適切なポジショ
いてこれらの課題にチャレンジすること
に取り組んだ。
また、攻撃参加に関しては、エスパルス
戦の前半で、相手のプレッシャーに押さ
ニングからDFラインのコントロール」を行
い、
「判断と指示の声の徹底」を確認した。
3.トレーニング・練習試合
れて味方選手がボールを受けようとしな
かったこともあり、ロングボールを蹴っ
また、シュートストップやクロスの守備で
つかむか弾くかの判断もそれぞれウォーミ
今回のキャンプでは6回のトレーニング
て結果的にボールを失う回数が多かった。
ングアップで毎回確認した。
と、練習試合を3試合行った。シュートス
トップのトレーニングでは、アングルプ
この試合の後半以降は修正されたが、守
勢に回った試合でも、自分たちで試合の
さらに、フリーキックの守備、PKの守備に
関しても守備の原理や原則の確認を行った。
レーにおけるポジショニングの精度向上
とつかむか弾くかの判断の向上。クロス
流れを見て、奪ったボールを簡単に失わ
ないようにする意識を高めることや工夫
4.試合結果
の守備では、ゴール前の状況把握と守備
していくことは今後の課題である。
範囲の拡大。ブレイクアウェイではDFと
連携してより広い範囲を守ること。攻撃
以上の課題に関しては、次の代表遠
征・モンテギュー国際大会でも継続して
への参加では、優先順位を意識してより
効果的な選手にボールをつなぐことに取
取り組んでいきたい。
り組んだ。
3月24日 vs清水エスパルスユース
2-4 GK:廣永(後半、浜川)
3月25日 vs清水東高校
6-2 GK:大畑(後半、浜川)
3月26日 vsジュビロ磐田ユース
5-5 GK:廣永(後半、大畑)
U-16日本代表チーム
モンテギュー国際大会
【報告者】川俣則幸
(U-16日本代表GKコーチ)
1.参加GK
4月12日 vsU-16ポルトガル代表
3-1 GK:大畑
4月13日 vsU-16コートジボワール代表
0-1 GK:大畑(後半、浜川)
4月15日 U-16イタリア代表
0-1 GK:大畑
4月17日(5位決定戦)vsU-16イングランド
代表 1-1(PK3-4) GK:浜川
5.成果
高いレベルの相手に対して、4試合を
大畑拓也(ジュビロ磐田ユース)
浜川成章(鵬翔高校)
通して積極的にプレーし続けることがで
きた。4試合で4失点したが、現時点での
2.大会でのテーマ
GK個々の能力からするとシュートストッ
プやブレイクアウェイの場面では、持っ
勢で取り組めたことは、今後のGK選手間
での競争の活性化が望めるという部分で
チームはAFC U-17サッカー選手権(FIFA
U-17ワールドカップアジア最終予選)に向
ているものを出し切って安全確実なプレ
ーでピンチを防ぐことができた。また、
評価できる。全体では、トレーニングで
け、3月のJステップキャンプ(上記)を経
セットプレーの守備に関しては、初戦こ
挑戦した選手それぞれの課題を試合の中
でも積極的にチャレンジできた。個々の
て、さらなるステップアップを課題にこの
大会に臨んだ。
そマークの不徹底などが見られたが、そ
れ以降は、組織的に守り、GKがプレーす
課題においては、特にシュートストップ
では安全確実にキャッチングとディフレ
この遠征でもGKプロジェクトが取り上げ
ている育成年代のGKが意識すべき3つのテ
べき場面では確実にプレーができた。PK
戦では敗れはしたが1本防ぐことができ
クティングを使い分けることができた。
ーマ(上記参照)を継続して押さえつつ、
た。何よりも、このチームでの出場機会
また、GK個人としては、攻め込まれた場
面でも良い準備からそれぞれの持ち味を
より高いレベルの中で、
「観る&状況判断」
、
「ポジショニング」
、
「守備の組織」
、これら
が少ない2人のGKにとって、このレベル
の試合経験を積めたことは大きな成果で
4.成果
今回初招集の浜川も、終始積極的な姿
発揮できていたと言える。
5.課題
をできるだけ素早く行うこと、その上で安
全確実な技術発揮を行っていくことを求め
た。また、選手個々の課題でもある「クロ
ある。
6.課題
3試合で11失点という結果は、年上のチ
ームとの対戦とはいえ多すぎる。新しく
スの守備範囲の拡大」
「DF背後へのボール
の効果的な守備」
「効果的な攻撃参加」にも
クロスの守備では、クロスのスピード
が速かったこともあり、出られない場面
招集した選手が入り、互いのコンビネー
継続して取り組み、高いレベルの試合にお
が見られた。また、DF背後へのボールに
31
対して、結果的には失点にこそ結びつか
なかったが、ボールの出されるタイミン
えた。日本も引き続き大型のGKを発掘・
養成していかねばならない。
4.成果
グや、走り込んでくる選手のスピードが
・結果が優勝であったこと。
速くて判断ができずにピンチを招く場面
が見られた。また、攻撃参加に関しては、
・大会を通して7試合で失点が2点であっ
たこと。なおかつ両GKとも3.5試合に出
初戦のポルトガル戦では、相手のプレッ
シャーに負けて味方選手がボールを受け
ようとしなかったこともあり、ロングボ
U-15日本代表チーム
フランコ・ガッリーニ国際大会
【報告者】中河昌彦
(ナショナルトレセンコーチ)
たこと。
・両GKともに積極的にDFの背後のスペー
スを狙う意識が非常に高かったこと。
ールを蹴って結果的にボールを失う回数
が多かった。守勢に回った試合でも、試
1.大会概要
合の流れを見て自分たちのボールを簡単
に失わないようにする工夫や意識が必要
フランコ・ガッリーニ国際大会が4月14
日∼17日まで開催された。予選4チームの
である。また、全般的に、ゴールキック
8グループ、計32チーム(大会参加チー
などでロングボールを蹴る必要がある場
面でのキックの質(距離と精度)は対戦
ム:ハンガリー代表・ルーマニア代表・ス
パルタクモスクワ・ユベントス・フィオレ
・DFとの連携が試合で常に発揮できない
相手よりも低いことが多かった。
これらの課題に関しては、代表チーム
ンティ−ナ等)の上位2チームが決勝トー
ナメントに進み、決勝も含め20分ハーフ
ことが多々あった(GKがプレーするの
かDFに任せるかの判断が中途半端にな
ではもちろんのこと、所属チームと連携
で行われた。
し継続して取り組んでいきたい。
大会参加GKは、金谷和幸(ガンバ大阪
ジュニアユース)・川浪吾郎(柏レイソル
7.他国のGK
対戦した中では、イタリアのGKは
180cm中盤のがっちりした体格でシュート
ストップでのスムーズな身のこなしが目に
ユースU-15)の2名であった。
2.GKのテーマ
・シュートストップにおいて、非常にグラ
ウンドコンディションが悪い中、安全確
実につかむか弾くかの判断ができていた
こと。
5.課題
っていた)
。
・時間が経つにつれて集中が途切れがちで
(特に予選リーグの味方CK・FK時に)
、リ
スクマネージメントの意識が薄れていた。
・サイドから攻め込まれている状況で“観
池内監督よりチーム全体のコンセプトと
る”タイミングを逃し、状況把握ができ
ていないため、DFに対して的確なコー
付いた。また、キック力があり、イタリア
して「ボールも人も動くサッカー」が挙げ
チングができていない局面があり、ピン
リードで迎えた後半は、度々前線に残る長
身FWにロングキックを蹴り、日本のDF陣
られたため、GKも同様に「常にゲームに
かかわる」。観る−状況把握−予測するこ
チになる場面が幾度か見られた。
を苦しめた。一方、クロスの守備では広く
守ろうとしていたがキャッチングやパンチ
とを意識させつつ、次の3つのテーマを掲
げた。①積極的なゴールキーピング ②良
ングが不安定だった。
い準備 ③DFとの連携。
持って試合で積極的にプレーしていた。他
イングランドのGKは、190cm近い長身
でややぎこちなさを残すものの、基礎技術
3.試合結果
国のGKよりも日本の両GKの方が非常に大
型であり、基本技術はしっかりとしている
がしっかりしてプレーに安定感があった。
特に、クロスを高い位置でキャッチできる
ことと、バックパスを安全確実にプレーす
る足元の技術の良さが見られた。
チームで観戦したフランスとイタリアの
決勝戦では、フランスのGKが良いプレー
を見せた。この選手も180cm後半でクロス
の守備での高さと強さを持ち、動きのスピ
ードも速かった。また、足元の技術がしっ
かりしており、バックパスも確実に味方に
つないでいた。相手のイタリアが試合の流
れにかかわりなく、前線のFWめがけてロ
ングボールを蹴って結果的にボールを失う
のとは好対照であった。
イタリア、イングランド、フランスには、
16歳の年代でも、すでに190cm近くある大
型の選手を育成しようという姿勢がうかが
32
〔予選リーグ〕
4月14日 CONEGLIANO(イタリア)
3-0 GK川浪
15日 PITTSBURGH(アメリカ)
2-0 GK金谷
15日 REGGIO EMILIA(イタリア)
3-1 GK川浪(後半、金谷)
〔決勝トーナメント〕
16日 NEC NIJMEGEN(オランダ)
3-0 GK川浪
16日 LIV GORGHENSE(イタリア)
1-0 GK川浪
17日 RAPID VIENNA(オーストリア)
1-1(PK4-3) GK金谷
17日 JUVENTUS(イタリア)
2-0 GK金谷
計7試合 得点15 失点2
6.まとめ
両GKともに高い意識を持ち、集中力を
印象を受けた。
ただ日本のGKよりもバックパスなど足
元のボールに対しての処理が優れており、
ワンタッチでクリアなのか、コントロール
してからパスするのかの判断が的確であっ
た。GKの技術はもちろんのこと、フィー
ルドプレーヤーの要素もあらためて必要不
可欠だと感じた。それに状況が把握できて
いる=観るということが習慣化しているよ
うに思えた。これらの年代でも、もっとし
っかりと観て、状況把握−予測−判断・決
断−実行が習慣化していかなければいけな
いとあらためて実感した。それとオン・
ザ・ピッチ、オフ・ザ・ピッチでももっと
リーダーシップを発揮できる選手になって
ほしいと感じた。
JFA Goalkeeper Project
活動報告 JFA GKプロジェクト
U-14日本選抜チーム
AFC U-14 FESTIVAL OF
FOOTBALL in Guam
【報告者】濱田 堯
(ナショナルトレセンコーチ)
1.大会概要
して取り組んだ。
3.試合結果
vsグアム(青)
9-0 GK赤堀
「積極的なゴールキーピング」
「良い準備」
vs韓国
0-0 GK松澤
「DFとの連携」
vsマカオ
1-0 GK赤堀
4月7日(30分1本)
また、前述したようにピッチサイズが
4月8日(30分1本)
4月7日∼11日の5日間、グアムでAFC主
催のU-14フェスティバルが開催された。
vsグアム(白)
1-1 GK赤堀
vsグアム(青)
4-0 GK松澤
参加チームは韓国、マカオ、グアム(青)
、
グアム(白)
、日本のそれぞれU-14代表の
vs韓国
0-0 GK赤堀
vsマカオ
4-0 GK松澤
5チームであった。試合形式は変則的で、
試合時間に関しては、7日、8日の2日間は
4月10日
30分1本、10日、11日の2日間は30分ハー
フでのマッチ(暑さのため20分ハーフに
変更)であった。選手交代についても、前
ゲームでスターティングメンバーでなかっ
た選手は、次ゲームにおいて必ずスターテ
ィングメンバーに入ることが条件となって
おり、したがってGKに関しては2選手が交
互に出場する形となった。また、ピッチサ
イズはAFCがこの年代のゲームにおいて推
奨している80m×60mを採用していた。
vsグアム(白)
(30分×2)
13-0 GK赤堀/松澤
vsマカオ(20分×2)6-0 GK赤堀/松澤
4月11日
vsグアム(青)
(20分×2)
12-0 GK松澤/赤堀
vs韓国(25分×2)※TRマッチ
1-2 GK赤堀/松澤
80m×60mであったこと、それから対戦チ
ームの特徴として、狭いピッチサイズを利
用して相手GKやDFラインからロングボー
ルを多用して、日本陣内の深い場所にポイ
ントをつくってルーズボールを奪い取って
一気に攻め込んでくるというスタイルのチ
ームが多かった。そうしたことを踏まえて、
そのようなロングボールに対して、GKと
して良い準備を継続すること、DFを越え
てきたボールに対して積極的にGKがプレ
ーすること、そしてその決断を味方守備者
に的確に伝えることを細かな部分として取
り組んだ。
4.遠征でのテーマ
5.トレーニング
今回の遠征では、招集した選手がエリー
今回の遠征では、集合日に成田で行った
トプログラムに参加するのが2回目であっ
トレーニングの1回のみであった。ここで
赤堀洸太(ヤマハジュビロ掛川)
たということを考慮して、基本に立ち返り
GKプロジェクトが取り上げる育成年代の
はGKとしてのトレーニングは実施せずに、
グアムでのゲーム前のウォーミングアップ
松澤香輝(ヴェルディジュニアユース)
GKが意識すべき3つのテーマを大きな柱と
を利用してテーマを意識させた。
具体的には基本技術の徹底、ゲーム状況
2.参加選手
下におけるGKの良い準備とは何か、そし
て味方守備者に自分の意思を伝えるために
は何が必要かということを考えさせて取り
組んだ。
6.まとめ
全体的な基本技術をより追求していくこ
と、特にシュートに対して安易に身体を地
面に倒してセーブするのではなく、できる
だけ足を使って守備範囲を拡大させていく
必要があると感じた。また、枠に飛んで来
るか来ないかというギリギリのシュート
や、GK自身の守備範囲を越えたと自分が
感じたシュートに対して安易に見切ってし
まい、プレーを中断してしまうことが多く
見られた。このようなプレーに対しては、
GKの悪い習慣であることを認識させ、常
に最後まであきらめずに反応することを要
求した。
1日目、2日目まではピッチサイズと相
U-14日本選抜、AFC U-14 FESTIVAL OF FOOTBALL in Guamより
手のパワープレーに戸惑い、味方守備者と
33
の連携があいまいになるシーンが多く見ら
れ、失点を喫してしまうゲームもあった。
しかし、トレーニングや映像を用いての
GKミーティングを重ねることで、遠征後
半でのゲームでは、ロングボールに対して
GK自身がベストポジションをとり、的確
な判断、味方への指示でプレーを落ち着い
日本高校選抜
第66回FIFAベリンツォーナ
国際ユースサッカー大会
【報告者】石末龍治
(ナショナルトレセンコーチ)
1.選考、強化合宿および遠征概要
3.予選リーグについて(30分×2)
※予選2位通過
(1)13日 予選リーグ第1戦
vs サンプドリア(3-1) GK武田
サンプドリア戦は大会初戦とあって慎重
な試合展開となった。高校選抜(以下、日
て行えるようになってきた。ひもといてみ
ると、GK自身がプレーを予測しながら、
2月10日∼12日、宮崎県綾町にて選考合
宿を行い、以下の18名を選考した。
本)はFW森島の高さを起点に終始大きな
展開で進めていった。
それに対して明確な狙いを持ってプレーで
きるようになったことで決断のタイミング
(GK)武田洋平・清水圭介(DF)本城宏
紀・作田裕次・左山晋平・宮路洋輔・西岡
サンプドリアは中盤でのプレッシャーが
速く、ボールを奪ってからは縦パスで裏を
が良くなり、指示のタイミングや声の大き
さにも工夫が見られ、味方との連携も向上
謙太・田中雄大(MF)小島暢明・松本
怜・菅田恭介・平間直道・楠神順平(FW)
つくイタリアらしい戦い方であった。激し
いプレッシャーのかけ合いの中、相手選手
したと考えられる。
森島康仁・青木孝太・佐々木竜太・迫田亮
の「止める」「蹴る」技術は高く、日本の
ゲームを通して2選手ともGKの役割の理
解が徐々に深まってきた。課題としては、
介・小澤竜己
3月3日∼5日に強化合宿を行い、静岡選
プレッシャーをかわして、ゴール前まで攻
め込まれることが多い時間帯もあったが、
その上でGKとしてどのような仕事を行っ
ていくかという意識は表れてきている。し
抜とのゲームを行ったが0-1と敗れ、コン
ディションの悪さを露呈した。しかし、個
3-1で勝利することができた。
かし、1試合を通してのかかわりはまだ十
人の運動能力は高く、選考合宿および静岡
分でなく、ボールのある局面のみを追って
いる場面や、ただ立っているような状態に
合宿を通じ可能性を感じさせるものがあっ
たのは疑いない。
vs FCポルト(1-0) GK武田
FCポルトは前日、FCバーゼルと激しい
なってしまう場面もまだ多く見られ、1試
合を通したかかわりを持ったゴールキーピ
4月5日から始まった直前合宿において
は、順天堂大学および早稲田大学とテスト
ゲームを行い、落としている(敗戦)ため、
開始からすさまじいプレッシャーをかけて
ングが行えるようになることが重要である
マッチを行い、個々のコンビネーションの
きたが、日本も互角に戦うことができた。
と考えられる。今回もゲームを通じて向上
した部分が非常に多かったと感じている。
見極めに重きを置き、ベリンツォーナ国際
ユースサッカー大会へのメンバーを確立し
事前に「ボールと逆サイドにスペースが
できること」
、
「相手はそこのケアができて
この年代に獲得すべきスキルを向上させる
とともに、国内においてもシビアなゲーム
ていった。
4月8日にデュッセルドルフ(ドイツ)
いないこと」が分かっていたため、サイド
チェンジを狙った攻撃が功を奏し1点を奪
を多く経験しながらゴールキーピングを行
入りし、9日∼11日にトレーニングおよび
い勝利した。
っていくことが、この年代においても非常
に大切だろう。
地元クラブのユースチームとのゲームを2
試合こなし、徐々にではあるがコンディシ
7.特記事項
ョンは上向きとなっていった。
4月12日にベリンツォーナ入りし、13日
vs FCバーゼル(0-0) GK清水
この試合は、前2戦で出場機会が少なか
∼17日までの本大会へ備えた。
った選手を主体に構成し、試合に臨んだ。
バーゼルは典型的な1-4-4-2で流れるよ
今大会の期間中にグアムサッカー協会か
らの要請で、グアム代表のスタッフとGK
選手、ローカルの指導者を対象にGKセミ
ナーを実施した。
内容は、対象者のGK経験が浅いことか
ら、日本の公認GK-C級コーチ養成講習会
で扱うトピックスの一部(基本姿勢、キャ
2.FIFAベリンツォーナ国際ユース
サッカー大会概要
(本年よりFIFA公認)
期間:2006年4月13日∼17日
(1)大会参加チーム 計8チーム
ッチング、ポジショニング)を紹介しなが
Aグループ
ら、選手に対してコーチングしていくスタ
イルでセッションを進めた。
レッドスターベオグラード(セルビア・モ
ンテネグロ)・デポルティボ・ラ・コルー
選手は向上心を持って取り組んでくれ、
指導者からも多くの質問が飛び交うなど、
ニャ(スペイン)・ACベリンツォーナ
(スイス)・クレモネーゼ(イタリア)
(2)14日 予選リーグ第2戦
(3)15日 予選リーグ第3戦
うなポゼッションから攻撃をしかけてくる
好チームであったが、日本も劣らずポゼッ
ションからのコンビネーションで攻撃し互
角に戦い、引き分けとなり予選2位通過で
準決勝へと進んだ。
4.決勝トーナメントについて
(1)16日 準決勝
vs レッドスターベオグラード(1-0)
GK武田
グアムの選手と指導者にとって新鮮な内容
Bグループ
であったようである。アジアにおける日本
のGK育成のメソッドの影響力の大きさを
日本高校選抜(日本)・サンプドリア(イ
タリア)・FCポルト(ポルトガル)・FC
ド。平均身長は180cmをゆうに越えるであ
ろう大型チーム。連戦の疲れと当日の気温
あらためて感じた。
バーゼル(スイス)
の高さで動きが悪く、日本の速い攻撃がう
34
準決勝の相手はレッドスターベオグラー
JFA Goalkeeper Project
活動報告 JFA GKプロジェクト
まく機能し、1点を挙げ決勝に駒を進めた。
しかしながらレッドスターの「ここ」と
②GKについて
れるべきチームであったといえるであろう。
今回「ゲームに常にかかわること」「リ
最後に、各選手がこの結果を胸にそれぞ
いう場面での攻撃の速さ、セットプレーの
迫力は大会ナンバーワンであった。また、
ーダーシップを取ること」をテーマとして
取り組んだ。ゲームに集中することで流れ
れの進路先で大きく羽ばたいてくれること
を祈り報告を終わります。
GKも非常にすばらしく、私が見た中では
大会ナンバーワンのGKであった。
を読み、良い準備ができること。それに伴
って、的確な指示が出せるであろうと考え、
このテーマを挙げた。
(2)17日 決勝(40分×2)
vs FCバーゼル(1-1/PK3-1) GK武田
ゲーム数の差こそあれ、両GKはゲーム
に集中し、速い準備(良いポジショニング)
※10年ぶり2度目の優勝
決勝は予選でも戦ったFCバーゼル。非
からプレーを行うことができ、DFへの指
示もできていたように感じた。特に、武田
常にバランスのとれたチームで速攻とビル
ドアップからの攻撃を状況によってうまく
に関しては試合をこなすごとに安定感が増
し、決勝のPKストップは圧巻であった。
使い分け、非常に完成度の高いチームであ
った。GKも良く、小柄ながら機動力と俊
敏さがあり、なかなか得点を許さなかった。
日本がゲーム中に得たPKを阻止し、チー
ムを鼓舞していた。
しかし日本は再度得たPKを確実に決め、
(2)課題
①チーム全体
ハイプレッシャーの中での「技術…ボー
ルコントロール」と「判断」が他チームと
差があったように思われる。
2005ナショナル
トレセンU-14
(東日本・西日本)
【報告者】佐々木 理
(ナショナルトレセンコーチ)
須永 純
(ナショナルトレセンコーチ)
川俣則幸
(U-16日本代表GKコーチ)
1.期間・場所
東日本−2006年3月18日∼22日/Jヴィレ
ッジ(福島県)
西日本−2006年3月24日∼29日/大津町総
合運動公園(熊本県)
2.参加選手
試合を優位に進めることができた。後半
30分過ぎに失点し、同点となり、PK戦へ
日本の個々の選手が相手のプレッシャー
からボールを収められず「とりあえず前線
ともつれ込んだが、武田が3本を阻止し勝
利に導いた。
へ」のパスが多く見られた。また、それに
伴ってゴール前でのコンビネーションが少
(1992年生まれ)8名(早生まれ2名)、計
なく、FWの高さが発揮できないときの攻
西日本−U-14・7名、U-13・5名(早生ま
撃が物足りなかった。
②GKについて
れ1名)
、計12名
5.大会所感
今回よりFIFA公認となったこともあり
東日本−U-14(1991年生まれ)9名、U-13
17名
3.ゴールキーパーのテーマ
フェアプレーに重きを置き大会運営がなさ
れていた。
DFに指示は出しているものの単純なこ
とではあるが「声が小さい」。クロスの守
しかし試合の流れは激しく各クラブのプ
備範囲が狭いことが挙げられる。また、デ
ーク」を踏まえながら、GKとして、以下
ライドをかけた戦いが繰り広げられてい
た。常にハイプレッシャーでゲームが展開
ィストリビューションの判断が遅く、蹴る
場面が多かったことも課題である。
のテーマを掲げた。
○積極的なゴールキーピング
全体のテーマである「攻守にグループワ
していたが、その中でも、バーゼル、レッ
ドスターの技術は高いものがあり、少しで
(3)大会GK総評
もプレッシャーが緩くなると、コンビネー
ションからフィニッシュまで持ってくるチ
大会を通じ、レッドスターのGK
(180cm後半)およびバーゼルのGK
ーション
また、トレーニング内容に関しては、U-
ームであった。
○グッドポジション(良い準備)
○DFとのコミュニケーション&コンビネ
(170cm後半)が非常に安定しており毅然
13/14年代ということを踏まえ、GKとして
日本は全選手の献身的な運動量とDFの
頑張りがこの結果を導いたと言える。
とした態度、リーダーシップが群を抜いて
いた。クロスの処理、シュートストップの
の基本要素(GKの姿勢、キャッチングな
どの基本技術、ポジショニングなど)の徹
6.成果と課題
判断も的確でピンチを幾度も救うことでチ
ームを鼓舞していたのが印象的であった。
底、そして、シュートストップ、ブレイク
アウェイ、クロス、攻撃参加という状況下
(1)成果
①チーム全体
今回のテーマとして「切り替えの速さ」
7.まとめ
「成果」の項でも述べたが、全選手の献
において適切な対応を理解し、プレーする
ことを目標とした。
4.トレーニング
「速い攻撃」
「戦う姿勢」を挙げ取り組んだ。
このテーマを全試合通じて、出場した選手
身的な姿勢、激しいプレーにも逆上するこ
となく冷静に、なおかつ熱く戦い通せたこ
は全うしてくれたこと。優勝できたことが
とが優勝という結果をもたらした。
「高校選
プごとでGKトレーニングを行った(東は4、
大きな成果であった。事前合宿でのチーム
の出来に不安があっただけに今回のファイ
抜」という名前ではあるが、選手たちは日
本を代表し、その名に恥じない活躍をした
西は3グループに編成)
。
各グループをナショナルトレセンコーチ
ティングスピリットには敬意を表したい。
ことは、ベリンツォーナ大会の歴史に刻ま
が1人ずつ担当し、各地域のGKコーチにサ
U-13とU-14を分け、それぞれのグルー
35
ポートしていただいた。
GKのトレーニングテーマは、初日(PM)
ト(7∼8m)をうたれるときに構えずに、
先に動いてしまいシュートコースを空けて
ドプレーのベースとなる要素については、
より一層、質を高めていくことが重要であ
と2日目(PM)がシュートストップ(基本
しまう選手が見られた。フロントダイビン
る。
技術)、3日目(AM)がブレイクアウェイ
(ポゼッション含む)
、4日目(AM)がクロ
グに関しては、ボールを確保した後、顔が
保護できていない選手が数人見られた。
一方、GKがボールを保持した際の、味
方選手のサポートの動きを徹底していく必
◆クロス
要性を感じる。この点については、GKが
自らDFのサポートを指示できるようにも
スであった。
5.GKミーティング
これまで例年のように課題に挙げられて
なってほしい。これらの課題克服のため、
2∼4日目の夜に20分程度のGKミーティ
ングを設け、それぞれのミーティングにお
いた、「ポジショニングがニアに寄りすぎ
る」、または「クロスの落下地点の見極め
GKがフィールドプレーヤーとともにトレ
ーニングを行うことの重要性を指導者が理
いて、その日にトレーニングで行った内容
のビデオ映像を観て、選手からの意見(発
が不安定」などの現象は、以前に比べ、少
なかったと言える。ポジショニングに関し
解し、実践していくことが不可欠であろう。
表)を引き出す形で行った。2日目は「シ
ては、ゴール前のエリアを広く守ろうとい
◆ ゲーム全般
ュートストップ」、「良い準備」、3日目が
「ブレイクアウェイ」、「ディストリビュー
う意識が多くの選手に見られ、高いポジシ
ョンをとろうとしていた。しかし、高いポ
まず、ゴールから遠い位置にボールがあ
る際、指示はしているが、自分自身の準備
ション」
、
「パス&サポート」
、4日目が「ク
ロス」
、
「リーダシップ」をテーマとして行
ジションを意識することによって、ニアポ
スト側が空いてしまう選手もいた。また、
がおろそかになっている選手が多く見られ
た。どのような状況下でも、良い準備(ポ
い、もう一度各状況におけるプレーの整理
FWの位置に応じて、ポジショニングを微
ジショニング、良い姿勢、狙いなど)を行
を行った。
修正できない選手も見られた。ジャンピン
グのドリルトレーニングにおいては、判断
うことを常に選手に意識させることが必要
であろう。また、いつ状況を把握し、ポジ
を伴わずにスタートを切ったり、「キーパ
ー」と声をかける選手が一部見られた。
ション修正や指示を行い、いつボールに対
して集中すべきか(構えるか)ということ
手間における個人差は大きかった。選手
個々の課題についてそれぞれアプローチを
DFに対する指示という面では、状況(FW
の位置など)を把握していても、味方選手
を整理し、徹底する必要があると言えるだ
ろう。
行った。
に伝えきれない選手が多かったと言える。
◆シュートストップ
また、DFにプレーさせる局面で、その選
手がフリーであっても「クリア!」といっ
ルがゴールから遠い位置にある状況におい
ては、積極的なゴールキーピングというこ
トレーニングでは、GKの姿勢、キャッ
チングなどの基本技術、シュートに対する
てしまう選手が見られた。
とを意識し、前後の意識として積極的な高
いポジションをとる選手が多く見られるよ
ポジショニングなどの徹底を図っていっ
◆攻撃面(ディストリビューション、パ
うになってきた。しかし、左右の意識が薄
た。特に、GKの姿勢に関して、
「構えるタ
イミングが適切でない」
、
「スタンスが広す
ス&サポート)
まず、ディストリビューションに関して
ぎる」
、
「身体に力が入りすぎてしまい動き
やすい姿勢をとれない」
、
「重心が踵にかか
は、2日目のゲームと比較して、4日目も
しくは最終日のゲームにおいて、守備から
また、ボールがゴール方向に近づいて来た
ときに、後方へのポジション修正をうまく
りプレーの方向が後方になってしまう」、
攻撃への切り替えの意識が速く、確実にボ
できない選手が多い。
ールをつないでいこうというプレーが多く
見られるようになっていた。それは、U-
クロスの状況下では、ボールが移動して
いるときにゴール前の状況を把握できる選
ポジショニングに関しては、ゴール前の
斜め45度付近からのシュートに対して、
16日本代表の映像でGKのスローイングか
ら得点につながったシーンが良い影響を及
手が少なかった。そのため、狙いを持って
いる選手が少なく、狙いを持ったポジショ
ポジショニングがずれるケースが見られ
ぼしたと思われる。今後の課題としては、
た。
パスの優先順位ということが挙げられる。
パス&サポートについては、全体的なレ
◆ブレイクアウェイ
1対1の対応を中心にトレーニングを行
ベルの向上は見られるが、選手によるレベ
ル差が大きく見られた。その中で、サポー
っていった。その中で、1対1におけるFW
との間合いをつかめていない選手が多く見
トに入ろうという意識は高まってきたと言
えるが、状況を把握し、どこにサポートす
られた。そのため、いつアプローチし、チ
べきという判断(サポートポジション)に
ャレンジもしくは、構えるべきかがつかめ
ないというケースが見られた。またシュー
ついて、さらに高めていきたい。また、フ
ァーストタッチ、パスの質というフィール
6.選手のプレーについて
全体のレベルは向上しているが、逆に選
「構えた際の手の位置」などの課題が多く
見られた。
36
次に、ポジショニングに関しては、ボー
く、ボールが移動しているにもかかわらず、
中央にとどまってしまう選手が多かった。
2005ナショナルトレセンU-14西日本より©AGC/JFA news
JFA Goalkeeper Project
活動報告 JFA GKプロジェクト
ニングをとれずに、守備範囲が狭まるケー
ると言えるのではないだろうか。そのため
スが見られた。加えて、ゴール前の選手に
に、日常のトレーニング環境をより一層整
対する指示も課題の一つである。
指示に関しては、ファーストディフェン
備していくことが重要だろう。
ダーに対して、明確に強く指示できる選手
が少なかった。DFとの連携を意識した中
U-19日本代表チーム
でプレーできるようになってほしいと感じ
られる。全般的には、GKがチームの一員
として、フィールドプレーヤーのプレーを
理解すること、そして、ゲームの中で次の
プレーを予測し、味方選手を動かしていく
(指示していく)ということについて、さ
らなる質の向上を期待したい。
7.スタッフワークについて
中国遠征
【報告者】加藤好男(U-19日本代表GKコーチ)
1.遠征概要
今年10月にインドで開催されるAFCユー
ス選手権大会(2007年FIFA U-20ワールドカ
ップアジア最終予選)へ向けた準備の一環
として、中国の南東部にある湖南省の長沙
既に述べたが、各地域から1名のGK担当
市へ遠征した。長沙市は人口600万人の都
市で、町を挙げて歓迎してくれた。相手は
が参加しており、それらのスタッフは、
10月の大会への出場を決定しているU-19中
GKトレーニングと、各グループでのトレ
ーニングで指導に当たった。その中には各
国代表である。2008年北京オリンピックへ
向けて、この世代の選手たちも強化対象で
地域や各都県において、積極的にトレセン
活動を行っていただいたり、公認GK-C級
ある。チームの5名がFIFA ワールドユース
選手権オランダ2005(旧称)を経験してい
コーチ資格を持つ方がいたりと、指導レベ
ルは全体的に向上していると言える。
る。また、FIFA U-17世界選手権ペルー2005
(旧称)を経験した選手もGKをはじめ4名い
トレーニングにおける課題として、各グ
た。さらに、中国A代表選手も1名出場して
ループで指導に当たる際のスタッフワーク
が挙げられる。各グループを担当するナシ
いた。試合は、2万人を超える大観衆に圧倒
されるかのごとく0-2で完敗した。
ョナルトレセンコーチ、各地域のアシスタ
ントコーチ、それらのスタッフとコミュニ
2.参加GK
ケーションをとりながら、チームトレーニ
林 彰洋(流通経済大学)
ングの中でGKに効果的な指導を行うという
点は、今後さらに向上させたい課題である。
1987年5月7日生、190cm/81kg
秋元陽太(横浜F・マリノス)
8.まとめ
今後の展望として、この年代(U-13/14)
は、基本技術を中心とした基本要素を徹底
する年代であり、それらの質のさらなる向
上を図っていくことが不可欠であろう。そ
れと並んで試合の中でどれだけ効果的にプ
レーにかかわるかという点も向上させる必
要がある。また、GKは将来的に、身長など
の体格的な要素が大きくかかわってくるポ
1987年7月11日生、180cm/75kg
3.結果
4月26日/19:30キックオフ
U-19日本代表 0-2(前半0-1)U-19中国代表
前半 GK:林/後半 GK:秋元
4.成果
・良いコンディションで参加でき、集中し
ジションであると言えるが、この年代では、
成長に個人差が大きく、既に成長がスパー
て練習・試合へ取り組めたこと。
・アウェイの環境で、プレッシャーを受け
トを迎えている選手、そしてこれからスパ
ートを迎える選手がいる。これらのことを
ながら試合を経験できたこと。
・積極的なゴールキーピングをトライでき
踏まえると、多くの選手に対して、基本要
たこと。
素をしっかりと身につけさせておくことで、
U-14年代以降に大きくパフォーマンスを向
・シュートストップやクロスの場面で良い
判断とプレーができていたこと。
上させるGKがまだまだ出てくる可能性があ
・攻撃への参加では、良いキックからチー
2005ナショナルトレセンU-14西日本より©AGC/JFA news
ムの決定的シーンを引き出したこと。
・チームのリーダーシップをとるべく、多
くの選手とコミュニケーションを図って
いたこと。
5.課題
・結果として2失点して敗戦してしまった
こと。
・試合の立ち上がりで大観衆の大歓声に圧
倒され、自分たちのペースで試合を運べ
なかったこと。
・ブレイクアウェイの状況下で、予測を立
て、的確な判断でDF背後のスペースを
幅広く守れなかったこと。
・バックパスの対応で、早め早めの判断か
ら味方とコミュニケーションをとり、ボ
ールを引き出せなかったこと。
・相手FKに対して、適切な壁の枚数と素
早いゴール前の組織化ができなかったこ
と。
・試合の時間帯、スコア、相手の守備隊形
を察知してディストリビューション(配
球)することができなかったこと。
6.今後の展開
GKテーマとしては、引き続き継続して9
つのテーマを追求する。5月には、10月の
本番に備えて大会地であるインドへ遠征し
て環境に慣れることと、U-19インド代表
と2試合行うシミュレーションを実施する。
今後は、選手の所属先における試合・練習
を視察してコンディションを把握すること
と、担当コーチらとの情報交換を綿密に行
う。また、バックアップ選手を含めた状況
を確認して、選考へと生かしていきたいと
考えている。
37
年代別指導指針⑬ JFA技術委員会
次のプレーに直結するためのボールコントロール∼U-16
2005ナショナルトレセンU-14西日本より©AGC/JFAnew
『ボールコントロールは次の部屋に入る
鍵だ。この鍵さえあれば、サッカーという
プレーへの判断を含めたトータル的なプレ
ーの中でのトレーニングの必要性を考えた
ンよりノンプレッシャーのポジションをと
るオフ・ザ・ボールの動きも要求したい。
ゲームではなんでもできる』
。
デットマール・クラマー氏の言うよう
いと思います。U-12、U-14同様にボール
コントロールの技術だけを取り出し、ドリ
そして、ボールを受ける前のパスの質をレ
シーバーがパサーに要求することなども意
に、状況に応じた判断の下、次のプレーへ
ルトレーニングをすることも必要ですが、
識づけたい。さらに、スピードに乗った状
直結するコントロールができたならば、ど
んなクリエイティブなプレーも可能です。
「コントロールし、次のプレーに移るのか」
それとも「コントロールせずに、そのまま
態での次のプレーに直結するボールコント
ロールを身につけさせるトレーニングの量
○U-12年代では思ったところにコントロ
ールできるパーフェクトスキル
ワンタッチでパスやシュートをする方が良
いのか」という判断も含めた『いつ使うの
も徐々に増やしてほしいと思います。
もちろん、パスをレシーブする前に判断
○U-14年代ではゲーム状況の中での有効
か』さらに『どこで使うのか』『相手の状
するためにストレスを感じないボールコン
なコントロール
そして、U-16年代のボールコントロー
況等を観て、ギリギリのところで必要に応
じて判断を変えられるのか』ということも、
トロールの自信(U-12)
、状況を判断しよ
うとする習慣(U-14)という前段階での
ルは、『より具体的に次のプレーに直結す
るため』という点がキーワードとなります。
トレーニングの中で要求していくことが重
要です。
課題に問題があれば、そこに立ち戻りなが
らトレーニングを進めてもらいたいとも考
今回も、選手として完成期に世界で闘える
また、U-16年代では、ハイプレッシャ
選手になるために、オーガナイズの発信で
はなく、何を年代別に獲得させていくかと
ーの状況下では、次のプレーへ直結する最
善のボールコントロールの習得が重要とな
「言われたことをするのが得意」と言わ
れる日本の選手たちが、それをベースに、
いう考え方を理解していただければ幸いで
す。
ります。したがって、ハイプレッシャーの
トレーニング量を増やすことが必要です。
将来『自立し自らの判断で』ボールコント
ロールできるように成長して…
U-16年代のボールコントロールを考え
トレーニングでは、ハイプレッシャー下で
るときには、目標値を明確にし、課題にフ
ォーカスする必要があることは言うまでも
の技術の発揮と同時に、ハイプレッシャー
を受けるポジションよりミドルプレッシャ
ありません。特に大切にしたいのは、次の
ー、ミドルプレッシャーを受けるポジショ
38
えています。
★ロナウジーニョのように身体のどこを使
っても、思ったところにコントロールで
きるプレーヤーに
★ラウルのようにハイプレッシャーでもギ
リギリで最善の選択に判断を変えられる
ボールをレシーブする前に
プレーヤーに
★エトーのようにスピードを落とさずにゴ
ールへ向かうファーストタッチができる
判 断
プレーヤーに
★ロナウドのようにシュートを常にイメー
ジしたところにボールを置けるようなプ
レーヤーに
コントロールせずに
ワンタッチでパスやシュート
次のプレーに
直結するコントロール
なることを心より願っています。
では、そのためのトレーニング方法の一
例を紹介します。
今回は、
『3対1』⇒動きながらの技術の
発揮とオフ・ザ・ボールの動き。そして、
それぞれのプレーも
必要に応じて
判断を変えられる
コントロール後に
ドリブル
コントロール後に
パスやシュート
判断の要素をとり入れたウォーミングアッ
プ。
『1対2+2対1+GK』⇒「いつ使うのか」
「どこで使うのか」という観点から、ゴー
ル前であるペナルティーエリア付近でのト
スペースが スペースが スペースが スペースが
ない
ある
ない
ある
レーニングを紹介します。
トレーニング1:3対1
(1)
(2)
ルール
(1)・プレーエリアの制限なし、ただし広がり過ぎない
・1本は長いパスでもOK
・タッチ制限は2タッチ以下、ただし2タッチのときは左右の足
を必ず使うこと
※オンリーワンタッチ、オンリー2タッチ
(左右必ず使う)
と行ってか
らでも可
(2) 前に進む
キーファクター
●観る
(3人とボール)
●コミュニケーション
(3人で協力する)
●ボールの置き所
●パスの質
●ポジショニング
●サポートの質
(2)の狙い
ゴールを目指すベストなプレーを判断し実践する
トレーニング2:1対2+2対1+GK (4人で協力して1回の攻撃でシュートを決める)
ルール
GK
・それぞれのグリッドでプレーする
・4人誰でもシュート可
・アウトボールはGKからスタート
キーファクター
GK
●ボールの移動中に観る
●コミュニケーション(4人で協力する)
●ポジショニング(サポートの質含む)
●シュートへ向かうボールコントロール
●シュートをさせるパスの質(パスの優先順位含む)
●リバウンドの意識 ●コンパクトな振り
(シュート)
39
© Jリーグフォト㈱
AFC加盟協会向け
JFA公認C級コーチ
養成コース報告
1. 参加者とJFAスタッフ
【報告者】
中山雅雄
(ナショナルトレセンコーチ/
JFAインターナショナル
Cライセンスコーチングコース
コースマスター)
る学生で帰国子女である落合君と中沢君が
サポートしてくれた。須永純、林晋太郎コ
チームや各協会の強化担当として働いてい
ることが日本サッカーのためにも必要であ
JFAのアジア貢献事業の一環で、AFC加
ーチは実技での補助や、参加者との親交を
り、職業としてのサッカーコーチのマーケ
盟協会向けのJFA公認C級コーチ養成コー
ス(JFAインターナショナルCライセンス
深めつつ、彼らが楽しく過ごせる雰囲気づ
くりに大いに貢献した。そして、中山がコ
ットをどんどん広げていかなければならな
い。そのためには英語によるコミュニケー
コース)が、2006年3月13日から19日まで
の7日間、Jヴィレッジで開催された。
ースマスターとして全体の運営を進めた。
ション能力は必須である。
参加者はAFC加盟13協会から20名(う
このコースの目的の第一はアジア貢献で
ち女性1名)
。既にAFCのA・B・C級ライセ
あり、日本のアイディアをアジアで共有す
途中どうしても助けが必要な場合に限りア
ンスやそれぞれの協会でコーチライセンス
を取得している参加者が半数、コーチライ
ることによってアジアのコーチのレベルア
ップを図ることである。対戦相手チームに
シスタントの通訳を使って行った。既に英
語でのコミュニケーション能力を十分に身
センスを取得していない者が半数であっ
た。実技のレベルは元代表選手から本格的
対して日本の情報をオープンにすることに
対する批判もあるかもしれないが、田嶋技
につけているコーチもいるが、初めて英語
なサッカーの経験がない者までさまざまで
術委員長が常に言っているように、アジア
それぞれ1時間のセッションに向けて十分
あった。
全体のレベルが上がらなければ日
本の強化にならないといった立場
講師は田嶋幸三技術委員長をはじめ、矢
作典史技術委員、加藤好男GKプロジェク
で今回も取り組み、それぞれの担
当者が十分にそれぞれの仕事を果
トリーダー、布啓一郎、眞藤邦彦、須藤茂
たした。
光、池内豊、中山雅雄、小倉勉、和田一郎、
原田貴志、菅原大介JFAナショナルトレセ
2. コースの目的
での実技・講義に挑戦するコーチもいた。
第二の目的は日本人コーチの国
ンコーチ、今泉守正U-19日本女子代表監
督、小川佳実審判部長、河野照茂スポーツ
際化である。AFC加盟協会にJFA
医学委員で、実技・講義を分担した。また、
英語の通訳として筑波大学蹴球部に所属す
5名である。将来的にはもっと多
くの日本人コーチがアジアの代表
40
今回のコースではそれぞれの担当の実
技・講義は基本的にすべて英語で行った。
から派遣されているコーチは現在
20名の参加者は意欲的にコースに臨んだ © Jリーグフォト㈱
に準備をして臨み、満足に英語を使いこな
すことはできなかったかもしれないが、伝
えなければならないことは遺漏なく伝える
ことができたと確信している。もちろん英
語でのコミュニケーションがもっとうまく
できたのであれば、それぞれの担当した内
容について、さらにお互いにディスカッシ
ョンをして深めることができたかもしれな
い。いずれにしても、JFAの各コーチの英
語による指導経験は、コーチとしての国際
化に向けて大きな一歩になったと思われ
る。
3.コースの概要
今回のコースは日本の公認C級コーチ養
成講習会に準拠したものであった。したが
って、講義、実技、指導実践、筆記テスト
とすべてのセッションに参加し、指導実践
と筆記テストで合格することがコースを修
了する条件であった。残念ながら1名だけ
途中で体調を崩し実技や講義を休んでしま
い、さらに指導実践、筆記テストを受ける
参加者はナショナルトレセンU-14(東日本)
の見学も行った © Jリーグフォト㈱
も、ポジティブ、ネガティブ両方のコメン
によってどんどん改善していくことができ
トを参加者全員がオープンマインドで出し
合っていた。さらに最後の筆記テストにお
るものである。今回のコースは各コーチの
英語学習のモチベーションを上げることに
いても準備に怠りなく、全員がすばらしい
成績で合格することができた。
成功した。次回のインターナショナルコー
スが楽しみである。
4.コースを振り返って
5.アジアは決して侮れない
今回、このコースに挑戦して本当に良か
「ゲームで勝つこと」に対する執念を、
ったと思っている。各コーチが自らの英語
でセッションを担当するという無謀と思え
実技を通して何度も見ることができた。必
死になってチームメートにコーチングし、
たコースであったが、それぞれのコーチが
ミスをすると心の底から悔しがる。自分た
十分に準備をして臨み、それぞれが全く満
足はしていないが、達成感を得て終えるこ
ちに都合の良いようにルールを変えようと
したり、時間稼ぎをしたりなど、日本人が
とができた。
弱点としている「駆け引き」のうまさを指
導しながら感じることができた。ウォーミ
これは、参加者のほぼ全員から今回のコ
ングアップでの鬼ごっこ、チームミーティ
ことができず修了することができなかっ
た。コース期間中は気温の変化が大きく、
ースに対して良い評価を得ることができた
ことによるものである。その要因として第
ングでのディスカッションでも、いろいろ
なアイディアがどんどん出てきていて、そ
雨や風がひどい日もあれば陽気の良い日も
一に日本の公認C級コーチ養成講習会のコ
ンテンツが優れている点である。コンテン
れを楽しそうに試していた。ゲームを楽し
んでいるのである。日本人が持たない「強
あるといった状況で、しかも比較的暖かい、
あるいは暑い国からの参加者が多く、長い
ツが優れているからこそ彼らの興味を引き
み」を持つアジア各国のサッカー環境が整
距離の移動も考慮すると決して楽なコース
ではなかったと思われる。夕食後にセッシ
つけ、学ぼうとする意欲をかき立てること
ができたと思われる。さらに良いものを目
えば、間違いなく日本より良いパフォーマ
ンスを発揮することになるであろう。
ョンを設定していなかったので、午前は2
指し、今年度の改定に努力していかなけれ
ばならない。
それに負けない日本であるためにも、学
第二に各コーチの情熱が実技、講義のセ
び続けること、前進し続けることが大切で
あるとあらためて認識させられた一週間で
時間∼2時間30分、昼休みが約2時間、午
後に3時間の実技のセッションがあり、さ
らに夕方から2時間∼2時間30分の講義の
セッションという基本的なスケジュールは
タイトなものであった。
参加者は非常に積極的にすべてのセッシ
ョンに取り組んでいた。実技で数名のけが
人を出してしまったが、手を抜くことなく
ハードワークしてくれた。講義のセッショ
ンにおいても日中の実技で相当疲れている
と思われたが、集中して真剣に取り組み、
ッションで十分に参加者に伝わった点であ
てくれた。「日本のコーチは
われわれと同じ目線で接して
くれる」。これは参加者から
のコメントである。このよう
な日本人のメンタリティをこ
質問等も積極的になされていた。指導実践
れからも大切にしながら、国
際社会で堂々とした態度で指
についても、参加者に与えられたテーマに
導できるように努力を続けて
ついての質問も多く、しっかりと事前に準
備をして臨んでいた。お互いの実践に対す
いかなければならない。
るディスカッションも活発であり、具体的
英語によるコミュニケーシ
ョン能力は個人差があるもの
なプレーについての各自の意見を出し合っ
た。また、コーチングに関する点について
あった。
る。全員が誠意を持ってそれ
ぞれのミッションを成し遂げ
の、各人の今後の経験と努力
実技講習の様子 © Jリーグフォト㈱
41
スポーツの社会科学
サッカー文化論
スポーツと
政治を
めぐって
−日本と朝鮮半島の
サッカー交流史から考える−①
AFC U-14 FESTIVAL OF FOOTBALL inGUAMより
中塚義実(筑波大学附属高校教諭)
Play−Sports−Athletic
…その先にみえるもの…
(2)
「スポーツ」と「競技」
スポーツの形をした「戦争」と言えるよう
やめたいときにやめられるという気軽な
かかわりから、
「やめられないくらいに楽し
くなる」段階(狭義の「スポーツ」
)を経て、
な様相を呈する。
サッカーは、世界で最も多くの人々を惹
公認B級コーチ養成講習会の共通科目
「スポーツの社会科学」では、まずはじめに
その先には、プレイしたあとの結果に関心
が向いてくる段階がある。それは勝利を求
きつけるスポーツです。だからこそ、こう
した多様な側面−「戦争」と言える様相も
「スポーツとは何か」について学びます。し
かし、多様な側面を持つスポーツという文
め、記録や結果に第一の関心が向けられる
段階である。プレイの瞬間よりもプレイし
含めて−を、いつの時代でも、世界中いた
るところでみることができます。
化を一言で表現するのは難しく、さまざま
た結果に重きが置かれ、卓越性の追求のた
な研究者の諸説を紹介するだけでも大変で
す。そこで、図1を用いて、スポーツの概念
めに大きな犠牲を払うことをよしとする。
これは「競技」と呼ばれる段階であり、こ
の幅の広さを紹介することにしています。
以下は、ワークブック(※1)からの引用
うした姿勢でスポーツに取り組む者を「競
技者(アスリート)
」と呼ぶ。
です。
スポーツという概念の広がりを理解し、
受け入れることは、文化としてのスポーツ
を学ぶ第一歩である。広義のスポーツは、
「プレイ」
「スポーツ」
「競技」
「戦争」まで
含めてとらえることができる。
(1)
「プレイ」と「スポーツ」
スポーツの本質は「プレイ」にある。
「プ
(3)スポーツの形をした「戦争」
「競技」の先には、一つ一つの勝敗に大
きな責任が伴う段階がある。例えば、国の
威信をかけて戦うFIFAワ
図1
ールドカップ。競技レベル
を競い合うだけでなく、メ
ダル争いを通して国家間の
朝鮮半島へのサッカーの伝来と
日本による支配
日本における最初のサッカーの記録は、
1873(明治6)年、英国海軍の軍人たちが
スポーツのあり方は多様である
優劣を競い、公式スポンサ
ーとなることで企業が優劣
レイ」の条件は、ホイジンガ氏によると、
を競い合うオリンピックな
①自由(やりたいときにやって、やめたい
ときにやめられる)
、②分離(遊びの時間・
どである。
こうした巨大イベントに
空間は日常生活と離れている)
、③規則(遊
びにはルールがある)にある。
は、そこにかかわる人や組
織に、政治や経済の観点か
「スポーツ」もこれらの特徴を備えた遊
びの一種または延長上にあるものとしてと
ら、あるいは民族や宗教の
違いから、さまざまな期待
らえることができるだろう。
やプレッシャーがかかり、
42
こうした例を、身近なところで、すなわ
ち日本と朝鮮半島のサッカー交流史を通し
て考えてみたいと思います。
Play
遊び
Sport
Athletic
(狭義の)
競技
スポーツ
(広義の)スポーツ
"War"
“戦争”
行ったものとされていますが、朝鮮半島に
朝鮮・満州代表として、ソウル市の培材高
しかし朝鮮半島の側からすれば、日本の
サッカーをもたらしたのも英国人でした。
1882(明治15)年、英国軍艦フライングフ
等普通学校が出場しました。このときは優
勝した御影師範に初戦で敗れますが、
「本大
一部とみなされるのは耐え難い屈辱であり、
統治権を失っても、国まで奪われたわけで
ィッシュ号が仁川港に入港した際、
「当時、
鎖国政策を取っていた朝鮮では、交流を願
会の一大掘出物」
(※3)と評された朝鮮半
島のサッカーは、1928(昭和3)年に行わ
はないという自負は持っていました。日本
のチームとの試合は国の名誉、民族の誇り
う軍艦乗務員らの入国は許されていなかっ
れた第10回大会で大きな成果を残します。
を賭けた戦いでしたが、オリンピックに出
たために、乗務員らは暇をつぶすために船
の上でサッカーを楽しんでいた。このとき
圧倒的な強さで優勝した平壌の祟実中学校
は、神戸以外の初めての優勝校であり、優
場するためには「日本」代表選手になるし
か方法がないということは、大きな悩みの
に置いてあったサッカーボールで競技を真
似したのがサッカーの始まり」
(※2)とさ
勝旗は玄界灘を越えて行ったのです。平壌
がサッカーの盛んな地域だったこともあり
種でもありました。
1936(昭和11)年3月26日から、ベルリン
れています。
ますが、日本国内のチームに負けることは
オリンピックへ向けての代表候補合宿が始ま
もともとサッカーによく似た遊戯があっ
たためか、このスポーツが朝鮮半島全域に
できないという高い気概を持って戦った結
果であると言えるでしょう。
ります。しかし、候補選手として朝鮮半島か
ら呼ばれたのは金栄根と金容殖(キム・ヨン
広まっていくのに時間はかかりませんでし
た。外国からやって来た宣教師や教師たち
このチームには、後にベルリンオリンピ
ックの幻の代表となった金栄根(キム・ヨ
シク)のわずか2名。この選手選考には、当
然ながら朝鮮側から大きな非難の声が上がり
が、このスポーツの普及に大きく貢献しま
ングン)がいました。そしてこの年代の選
ます。選ばれた2人の金選手の心境も複雑で
した。
サッカーが伝来し、普及していった19世
手たちは、大人の年代の大会にも出場し、
旋風を巻き起こします。
す。サッカー選手としてはオリンピックに出
場したい。しかし自分は朝鮮人であって日本
紀後半から20世紀初頭にかけての朝鮮半島
は、まさに激動の時代でした。日清・日露
戦争を経て日本の勢力が強まり、1910(明
治43)年には、朝鮮半島は日本の統治下に
ベルリンの奇跡の裏にあった、
2人の金選手の苦悩
人ではない。朝鮮蹴球協会からは、代表候補
を辞退するよう迫られる…。
実力的には2人とも最後まで残る力があり
ましたが、最終的に、金栄根は途中で代表
置かれます。言語、思想、教育、習慣など
ベルリンオリンピックを翌年に控えた
合宿を辞退し、朝鮮半島に戻ることを決意
さまざまな分野で統制されたこの特殊な時
代背景の中で、朝鮮半島のサッカーは発展
1935(昭和10)年、代表選手の選考・強化
を兼ねて、全日本総合選手権大会が開催さ
しました。当時、東洋一のセンターフォワ
ードと言われた金栄根は、その後サッカー
していきます。
「国を失った悲しみを表出し
がたい社会的状況と、日本政府が相対的に
れました。この大会の優勝チームを中心に
代表チームが編成されることもあって、各
の表舞台に出てくることはありませんでし
た。一方、そのまま合宿を続けた金容殖は、
統制しがたい非政治的分野がスポーツ活動
地域の予選を勝ち抜いた6チームはやる気
朝鮮半島からの唯一の代表選手として、
“ベ
であった特性によって、韓国民においてス
ポーツ活動は、国民抵抗運動という目的と、
満々です。日本の統治下にあった朝鮮半島
でもオリンピックへの関心は高く、予選を
ルリンの奇跡”の一員となりました。オリ
ンピック後、早稲田大学に留学した金容殖
国民の情緒的カタルシスの目的から深い意
味を持っていた」
(※2)のです。
勝ち抜いた京城蹴球団に対する期待は大変
大きいものでした。
は、その後も日本代表の中心選手として活
躍し、戦後は韓国サッカーの重鎮として、
大人数で集会を行うことすら禁じられて
ユース年代の大会参加はありましたが、
韓国最初のプロチーム・ハレルヤの初代部
いたこの時代、サッカーの試合会場だけは、
合法的に人が集まることのできる場でした。
朝鮮半島のチームが日本一を決する大会に
参加したのはこれが最初です。在日朝鮮人
長・監督を務めるなど、韓国サッカーの発
展に尽くしました。
1921(大正10)年に第1回全朝鮮サッカー
大会が開催され、1929(昭和4)年にはソ
が大勢見守る中、準決勝で名古屋高商を6-0
と完封した京城蹴球団は、決勝でも東京文
ピッチの中では日本人も朝鮮人も関係あ
りません。皆仲間です。しかし、ピッチを
ウル(当時は京城)とピョンヤン(平壌)
の「京平定期戦」が始まりました。最初の
理大に6-1で圧勝して優勝。その年の秋に行
われた明治神宮体育大会にも優勝し、朝鮮
取り巻く社会情勢は、彼らの意志とは無関
係に、彼らの運命を左右します。
ころは、このゲームのために編成された即
半島のレベルの高さを証明しました。技術
席チームによるゲームでしたが、両都市と
も常備軍を持つようになり、人々の関心は
や体力の差以上に、
「日本のチームには絶対
に勝たなければならない」という使命感、
年々高まります。
さらにこの時期、日本との交流も始まり、
精神力の差が大きかったと言えるでしょう。
戦前の日朝交流は、厳密に言うと国レベ
朝鮮代表が日本国内で行われる「全国大会」
ルの交流とはいえません。日本と朝鮮半島
に出場するようになります。1918(大正7)
年に始まった「日本フートボール大会」は、
は一体と考える日本にとって、朝鮮半島は
一つの地域です。したがって海を越えてチ
1926(昭和元)年の第9回大会から、各地
域の予選を勝ち抜いたチームによる全国大
ームが来るのは国内交流の一環であり、朝
鮮半島出身者が日本代表チームに入るのも
会として「全国中等学校蹴球大会」となり、
当然という考えでした。
政治によって振り回された2人の金選手の
苦悩は、決して過去のものとして忘れ去っ
てはなりません。
〈次号へ続く〉
<引用・参考文献>
※1:『(財)日本サッカー協会公認B級コーチ養成
講習会 共通科目・スポーツの社会科学ワーク
ブック』
、2005
※2:李鐘英、韓国の立場から見た2002年ワールド
カップ大会の韓日共同開催の意義及び課題、
The 1997 International Scientific Symposium
on the Korea-Japan Co-Hosting of the
2002FIFA World Cup
※3:全国高等学校体育連盟サッカー部編、
『高校サ
ッカー60年史』
、1983
43
第12回
クラブづくりを考えよう!
クラブの
活動拠点の確保
©AGC/JFAnews ※写真はイメージです
間野義之(早稲田大学スポーツ科学学術院助教授)
クラブづくりでは、法人格・財源・マネ
は、所有する公共スポーツ施設について、
ました。軽井沢の地域特性を生かし、地域
ジャーとともに活動拠点の確保が極めて重
要といえます。
2006年9月までに「指定管理者」への委託
か直営かを決定しなければならず、また、
住民のみならず、首都圏からの別荘滞在者、
観光客を会員とし、食事や温泉等も組み合
わが国の公共施設では、1,113の球技場、
「指定管理者」とした場合、公募か特例か
わせた“スロースポーツライフ”を掲げた
6,700の多目的運動広場、952の陸上競技
場があります(文部科学省、平成14年
を決めなければなりません。ある調査によ
れば、公募を採用した公共施設は38.4%で、
度/下表1)
。この数は民間所有施設をはる
かに上回ることからも、全国のクラブが安
民間企業・NPOが選定された割合は12.5%
でした。つまり、第一期で公募によって民
「スポーツコミッション」を置き、スポー
ツ施設の案内・予約だけではなく、宿泊の
定的・継続的に活動を進めるには、公共施
設を利用した活動拠点の確保が必要となり
間企業・NPOが指定管理者となった割合
は全施設の5%弱でしかないということで
手配、温泉施設やレストランの紹介・予約
等、軽井沢の滞在をトータルにコーディネ
ます。
す。残りの多くは特例条項を適用し、スポ
ートする窓口機能を果たしています。この
しかし、現実には多くのクラブは、公共
スポーツ施設の抽選利用や学校体育施設の
ーツ振興事業団やスポーツ公社など、従前
からの団体が指定管理者となる場合が多い
クラブは2006年4月より町営体育館の「指
定管理者」となりました。「指定管理者」
調整会議によって、活動場所を借りている
に過ぎず、その結果、利用回数の制限や抽
ようです。
このように多くの施設が特例として既存
となることで、事務所スペースが無料で確
保できたことに加えて、町からの委託費に
選漏れ、あるいは工事などがあれば、活動
団体に継続しているわけですが、次回以降
より常勤職員の雇用が可能となり、クラブ
場所の予約に奔走しなければならず、自由
に利用可能な活動拠点を有するクラブは少
は公募になる可能性が高いことから協定期
間が終わる第二期以降には、クラブの活動
経営に多くのメリットをもたらしていま
す。
数に過ぎません。ここでは、公共スポーツ
施設を活動拠点とする方式・事例について
拠点候補となる物件が数多く出てくると思
われます。「指定管理者」となるためには
廃校を利用した活動拠点
ご紹介します。
法人格を持つことが望ましいことから、第
少子化の進行に伴い、全国でこの10年
二期への応募を考えるクラブは法人格の取
得を目指してはどうでしょうか?
間に毎年100∼200の公立学校が廃校とな
る中、その再利用について自治体や住民の
「NPO法人スポーツコミュニティー軽
井沢クラブ」は、地域経済の停滞に危機感
関心が高まっています。スポーツ施設が不
足するわが国では、学校体育施設は貴重な
「指定管理者制度」として公共スポーツ施
を持ち、地域活性化の取り組みを進めてき
スポーツ資源であり、クラブの活動拠点と
設の管理運営にあたることで、活動拠点を
確保するクラブが出てきています。自治体
た地元若手経営者たちが、スポーツを核と
した集客・交流事業を展開すべく設立され
しても、ぜひとも活用していきたいところ
です。
指定管理者制度による
活動拠点確保
2003年9月の地方自治法改正を機に、
表1.わが国のスポーツ施設数(一部、文部科学省、平成14年度)
44
超広域型の総合型地域スポーツクラブで
す。クラブでは「スポーツコンシェルジュ」
東京都北区では、2002年に廃校となっ
た旧北園小学校を活動拠点に、2005年度
球技場
多目的運動広場
陸上競技場
合 計
公共
1,113
6,700
952
8,765
より「北園クラブ」を設立しました。「地
域が創る豊かなスポーツライフビジョン
民間
137
267
34
438
(北区生涯スポーツ振興計画)
」に基づくモ
∼サッカーをもっと楽しむために∼
デル事業としてスタートしたクラブであ
り、北区と早稲田大学スポーツビジネス研
向上が喫緊の課題といえます。
用して、毎週26種目42プログラムを提供
しています。
究所が、スポーツ振興に関する協力協定に
休館日を利用した活動拠点
基づき運営しています。クラブの設立に当
たっては、職員室をスタジオに、校長室を
公共スポーツ施設では、週1回の休館日
を設定している場合が多いようです。これ
指定管理者への移行が予定されることか
ら、クラブとしても、現在の月曜日利用を
事務所と受付フロントに、教室をロッカー
ルームやコミュニケーションスペースに改
は、自治体直営や外郭団体による運営の名
残りであり、公務員の勤務体系に由来して
確保するためにも、また他の曜日への発展
的な展開も見据えて、指定管理者への応募
修しました。また、会員管理、プロモーシ
います。週休日、年末年始、定期点検など
ができるようNPO法人格を取得する準備
ョン、フィットネスプログラムには、民間
フィットネスクラブのノウハウを導入し、
を加えると年間で50日以上が使用されて
いないことになります。そもそもスポーツ
を進めています。
質の高いサービスの提供を目指していま
す。また、教室プログラムの一部について
施設数が不足する中、この休館日を利用し
ない手はありません。
公共スポーツ施設を活動拠点
とする際の留意事項
は、実績のあるNPO法人にアウトソーシ
「スポルテ目黒」は、体育指導委員と地
指定管理者となり活動拠点を確保できた
ングすることで、豊富なメニューを確保し、
同時にクラブのリスクの低減を図っていま
域住民が主体となって創設したクラブで、
区立体育館等の週休日である毎週月曜日を
としても、公共スポーツ施設は、地域住民
の共有財産であることには変わりありませ
す。運営には、地域スポーツコーディネー
ター(体育指導委員)が参画し、プロモー
中心に活動しています。設立準備に際して
は、綿密なマーケティングリサーチを行い、
ん。利用者の満足度が低下したり、多くの
地域住民の賛同や納得が得られなければ、
ションの一環として地域イベント等を開催
クラブの方向性についての議論を重ねた結
指定の取り消しや次期協定での落選もあり
するほか、地域住民も有給スタッフとして
勤務するなど、産官学民が一体となってク
果、「スポーツをやりたいけれど行ってい
ない人」
(子ども33%、大人65%)をター
得ます。
公共施設の活動拠点を目指す場合には、
ラブ運営を推進しています。
2006年度中にNPO法人格の取得、2007
ゲットとすることにしました。対象を非ス
ポーツ実施者に設定したことで、月曜日で
サッカーを中心としながらも、地域全体の
年度からは、地域住民を中心とした自主運
営への移行を目指しています。現状では、
ありながらも900名近い会員を集めること
につながったようです。当初は休館日を想
性のある運営が求められることに留意しな
ければなりません。サッカーは素晴らしい
地方自治法上の「公の施設」としていませ
定していませんでしたが、半径2km以内の
スポーツですが、同様に他のスポーツが素
んが、自主運営に際しては条例を設定し、
指定管理者制度を適用していくことになる
スポーツ施設をすべて調査したところ、す
でにほとんどが他の団体に利用されていた
晴らしいと思っている人々も大勢いること
にも配慮しながら、地域全体のスポーツ振
と思われます。北園クラブとしては、現行
のクラブシステムを継続するには、指定管
ことから、休館日に区立施設を利用させて
もらうこととしました。クラブ専用のスペ
興をリードしていくクラブとなり、多くの
人々を幸せにする活動拠点づくりが成功へ
理者に選定される必要があることから、地
ースを体育館内に設置し、体育館・天然芝
の近道となります。
域住民の運営ノウハウによるクラブの経営
グラウンド・テニスコート・周回道路を利
現在、体育館は区の直営ですが、今後は
スポーツに目配りをしつつ、公共性・公益
表2.公共スポーツ施設を利用したクラブの活動拠点の確保方式
休館日利用方式
方式
指定管理者方式
クラブ名
(URL)
スポーツコミュニティー軽井沢クラブ
http://www.karuizawaclub.ne.jp/
所在地
長野県軽井沢町
人口約18,000人
東京都北区
人口約310,000人
東京都目黒区
人口約250,000人
活動場所
勤労者体育センター
(風越公園)
(仮称)北園まなび館2階および体育館
(旧北園小学校)
区立碑文谷体育館・野球場・庭球場ほか
設立年月日
2004年3月21日
2005年12月4日
2004年10月7日
法人格取得
2004年7月2日
2006年中を予定
2006年中を予定
950名
(うち有料会員207名)
(2006年2月28日現在)
174名
会員数
(2006年3月1日現在)
合計 866名人 (うち利用会員617名、ファミリー会員138名、賛助会員2名)
(2006年2月28日現在)
会費
5,000円/年(一般会員)
3,000円/月∼
1,000円/月
クラブマネジャー
1名
1名
1名
運営スタッフ
9名
4名
107人(正会員)
インストラクター
1名
約10名
約60名
廃校利用方式
スポルテ目黒
北園クラブ
http://www3.kitanet.ne.jp/~kitazono-z01/index.htm http://www.city.meguro.tokyo.jp/sports/sogo/index.htm
45
指導者・指導チーム検索システム
コーチ・スクエア マッチング
成功事例紹介
日本サッカー協会(JFA)は、2004年11月より、公式ホームページまた
は、JFAコミュニティーで「コーチ・スクエア」を実施しています。
コーチ・スクエアは、指導するチームを探している公認指導者と、指導者
を探しているチームが補完し合うためのシステムで、2006年4月末時点で、
マッチングが成功した事例が100件を超えました。
今回は、学校の部活動において、外部指導者を採用した、駒澤大学高等学
校(東京都世田谷区)の事例を紹介します。
学校部活動における問題点
東京都世田谷区にある駒澤大学高等学
© AGC/JFA news
たってみました
が、見当たりませ
んでした。しかし、
校サッカー部(以下、駒大高校)の部員
数は、現在100名を超える。駒大高校だ
個人的に新しい血
が入ると良いので
けでなく、中学、高校の部活動では、顧
問と指導を兼ねる教員の負担が大きいの
はないかと思い、
コーチ・スクエア
は、問題の一つとして挙げられている。
また、高校になると、大人数の選手たち
のサイトを見てみ
ました」
(亀田氏)
。
を監督1人、あるいはコーチを含めた2人
亀田氏は、コー
といったように、選手数に対して指導者
数が適正ではなく、選手一人ひとりに目
チの年齢やプロフ
ィール欄に記載さ
を向けた指導ができないチームも少なく
ないだろう。
れている内容をく
まなくチェックし、加えて「学生の方な
駒大高校では、これまで大野祥司監督
ど、指導の勉強をしたいという感じで来
選手数に対して指導者1人が指導できる人数には限界がある © AGC/JFA news
以下、GKコーチやトレーナーを含めて4
人のスタッフが選手の指導に当たってい
てもらえると、一緒に研鑽を積みながら
指導できる」点も含めて、検索を行った。
た。スタッフは少しずつ増えてきている
が、育成年代という大事な時期に100名
そして亀田氏の前に数人のコーチ希望
者が目に止まった。
を超える選手たちをしっかり指導できな
いという問題は、悩みの一つとなってい
た。
指導者としての第一歩
自分の知識や経験を生かしたい
た。そこで、ライセンスを取得する前か
ら知っていたというコーチ・スクエアに
登録、システムを利用して東京都、神奈
川県、千葉県を中心に、指導現場を求め
た。
高橋氏はコーチ・スクエアのプロフィ
ール欄に、大学でトレーナーの勉強をし
ているため、その知識や経験を生かすべ
このような状況を改善するため、同校
の常勤講師で、コーチを務める亀田雄人
今回、コーチ・スクエアに登録して駒
大高校とのマッチングに成功し、指導に
氏は、アシスタントコーチ探しに奔走す
当たることになった高橋宏明氏は、現在、
く「フィジカル面の指導ができる」こと、
さらに「育成年代(中学生、高校生)の
る。
「はじめは駒澤大学の卒業生などを当
国際武道大学4年生で、昨年の夏に公認D
級コーチライセンスを取得した。
指導が希望」といった内容を掲載した。
今回のマッチングは、亀田氏から高橋
高橋氏は神奈川県内の中学、高
校のサッカー部で活躍した後、国
際武道大学に進学。1年間、選手
として活動した後、指導者として
の道を歩み始めた。昨年、母校で
1年間アシスタントコーチを務め、
駒大高校のアシスタントコーチ兼
フィジカルコーチとして、大学の
勉強と指導を両立している。
高橋宏明氏(左)
と駒大高校サッカー部監督の大野祥司氏(右)© AGC/JFA news
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(千葉県勝浦市)の近辺で指導ができる現
場を探したが、なかなか見つからなかっ
当初、高橋氏は、国際武道大学
氏にコンタクトを取って契約に至った。
亀田氏は、サイト内で数人のコーチに目
を付けたが、高橋氏のプロフィール欄の
情報にひときわ目を引かれたという。
「フィジカルの部分ですとか、周りに
ない部分を高橋氏は持っていました。ま
た、情報もしっかり書いてありましたの
で不安もありませんでした。高橋氏が一
番(チームに)合っていると思い、連絡
をとることにしました」
(亀田氏)
。
契約が成立に至るまでの経緯としては、
eメールでのやり取りから始まり、学校
生もいれば、仕事と掛
け持ちで指導したい方
内で大野氏、亀田氏、高橋氏の3者によ
もいらっしゃいます。
る面接を行った。その場で、駒大高校の
指導の方向性、コンセプトなどを高橋氏
また、就職希望の方も
いるなど、登録してい
に伝えた。また、高橋氏の意向も聞いた。
その後、実際に駒大高校のトレーニング
る方はさまざまです
が、チームとうまく合
を見学してもらうなどの過程を経て、コ
えば、あらゆる需要に
ーチを引き受けてもらえるか否かの最終
的な判断は高橋氏に委ねた。最初のコン
応えられるのではない
かと思います」(亀田
タクトからわずか2週間ほどでの契約成
立となった。
氏)
。
また、今後、コー
適正指導者数での指導
教員の負担も軽減される
チ・スクエアを活用し
「プロフィール欄に自分の長所などを前面に押し出すことが大事」と高橋氏 © AGC/JFA news
ようと思う人へのアド
バイスとして、指導者を探す立場だった
「自分の長所や得意としている分野を前面
高橋氏は、大学の都合などもあり、週
3日、駒大高校の指導に携わっている。
亀田氏は、
「プロフィール欄、特にコメン
トをしっかり書くことが大切です。適当
に押し出して、自分をどんどんアピール
することが大事だと思います。そうすれ
これまで学校部活動における問題点の一
つであった選手に対する指導者の適正人
なコメントやあまりコメントが書かれて
いないと、どのような方なのか分からな
ば、先方にも良いイメージを持ってもら
数や、顧問・監督を兼ねる教員の負担と
いので、対象外になってしまいます」
。
いったものは、軽減されてきている。大
野氏も「4、5年前は、私1人で選手を指
導していました。今年から教え子も教員
として帰ってきましたし、高橋氏にもサ
ポートしてもらっています。現在では6
人のスタッフがいるので、だいぶ助かっ
ています」と胸を撫で下ろしている。
新たなコーチを迎えた駒大高校での高
橋氏に対する評価や期待も上々だ。
「スト
一方、指導現場を探していた高橋氏は、
えますし、良い交渉もできると思います。
私も声をかけてもらうことができたので、
登録した甲斐がありました」
。
JFAホームページ http://www.jfa.or.jpまたは、
JFAコミュニティ http://member.jfa.jpからアクセス!
!
コーチ・スクエアでは、指導者、指導チーム探しをサポートします
■コーチ・スクエア∼手続きの流れ
①指導者がチームを探す
レッチにしてもいろいろな引き出しを持
っています」
(大野氏)。「選手が多いと、
ケガ人も多いんです。今後、ケガでプレ
ーができない選手は、高橋氏によってリ
ハビリなどのメニューを計画・実行して
もらい、選手が早く復帰できることがで
きていけたらいいと思います」
(亀田氏)
。
プロフィール欄で自分をアピール
亀田、高橋両氏にコーチ・スクエアを
②チームが指導者を探す
利用した感想を聞いた。
「私のように自宅など近所に指導でき
る現場がない人にとっては良いシステム
だと思います。また、中学校や高校、社
会人など、さまざまなカテゴリーのチー
ムも検索できますし、利用する価値はあ
ると思います」
(高橋氏)
。
「指導現場のない有資格者が意外と多
いことに驚きました。高橋氏のように学
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審判員と指導者、
ともに手を取り合って・・・
C O O R D I N A T I O N
B E T W E E N
T H E
F I E L D S
O F
R E F E R E E I N G
A N D
T E C H N I C A L
JFAレフェリーカレッジ「トップレフェリー[主審]養成コース」
2005ナショナルトレセンU-14に参加して
太田 潔(JFAレフェリーカレッジ・カレッジマスター)
2005ナショナルトレセンU-14西日本より © AGC/JFAnews
レフェリーカレッジ受講生(以下「受講
生」
)の多くは、コーチや指導者の経験も浅
貴重なことですし、チームの戦術や意図を
理解することが判定の精度を上げることに
互の意見を聞くことができ、とても良い
勉強になった。このような機会が、地域
く、審判員の道のみを歩んできています。
もつながります。この年代の選手の育成面
や都道府県でも行えるようになると良い
したがって、サッカーの指導者の方々の考
えや取り組みを理解し、体験することは、
から考えても、指導者と審判が同じ考え方
や姿勢で接することが大変重要なことを、
のではないかと思う。
彼らのサッカー観を深めるとともに、人間
性を高めることにつながると考えています。
あらためて実感しました。今回このナショ
ナルトレセンに参加させていただいたこと
□指導者の方も審判員の資格を取り、講習
に参加されており、競技規則を勉強され
に感謝するとともに、今後ともこのような
ていた。審判員も指導者の資格を取った
機会が持てることを願っています。
り講習に参加したりと、指導者側がどの
ようなことを目標でやっているかなどを
以下、参加した受講生の感想を紹介しま
す。
もっと知る必要があると思った。
今回は、2005ナショナルトレセンU-14
(東日本―Jヴィレッジ/2006年3月18日∼
20日、西日本―熊本県大津町/3月25日∼
27日)に参加させていただき、指導者の
方々との研修やディスカッション、指導実
践の見学など、有意義な時間を持つことが
できました。また、ピッチでは、主審1人制
□主審1人制を行うためには、競技者と審判
□これまで試合の現場での技術の方とのコ
ミュニケーションは、
「ファウルorノーフ
の両者の「尊重」がなくては成立しない。
今回の試合を担当して、お互いの信頼関
によるゲームを受講生が担当し、普段のレ
フェリングとは一味違った経験をするなど、
ァウル」の意見交換が主だった。しかし、
今回のナショナルトレセンのように、
「タ
係によって試合が成立する喜びや充実感
を感じることができた。
視野を広げてゲームに取り組むことができ
ました。
フな選手の育成」という同じ目標を持つ
ことで、お互いに持つべき意識が明確に
□判定について、自分とは違う見方もあり、
示されたように思う。競技者は「プレー
こういうところを勉強してもらいたいと
技術と審判の協調に関しては、以前より
その必要性が言われてきています。研修会
を続ける」
「早いリスタート」を実践し、
レフェリーは「的確で積極的なアドバン
技術の方から言ってもらえたことは、あ
りがたかった。
では指導者の方々にカレッジカップ(仮称)
での取り組みをVTRで紹介し、意見交換を
テージ」
「早いリスタートの保障」を意識
してゲームをコントロールすることがで
□育成年代の選手に対しても、審判員がし
行うことができました。カレッジカップ
きた。その結果が両者のスキルアップに
っかりファウルを見極めることが重要だ
(仮称)では、ゲーム中の判定等についてシ
ーンを止めて技術と審判でディスカッショ
つながり、理想のサッカーにつながって
いくことを実感できた。
と感じた。特に危険なプレー、手の不正
使用をさせないことや、アドバンテージ
ンすることを試みました。技術サイドから
の意見を聞くことは、審判員にとって大変
□技術と審判のディスカッションでは、相
を的確に適用することが円滑な試合運び
につながると感じた。
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