2015 年 6 月 4 日(木) No.3887 IMAGICA ウェスト 『デジタルプロダクション部』を発足 企画~撮影~ CG/VFX ~ポストプロ~メディア変換~納品 ドラマで培ったデジタルワークフローの実績やノウハウを幅広い映像制作に活かす ㈱ IMAGICA ウェストが、4 月 1 日付で『デ ジタルプロダクション部』を発足した。昨年 発 足 さ せ た「 デ ジ タ ル プ ロ デ ュ ー ス 部 」 を さらに進化させ、企画プロデュース・撮影・ CG/VFX・ポストプロダクション・メディア変 換・納品まで、ファイルベース・デジタルワ ークフローによるプロダクションサービスを、 ワンストップで提供する。主にテレビドラマ や映画関係で培ったコンテンツ制作のワーク フローやノウハウを活かし、ファイルベース 化や 4K 制作が急速に進むテレビ CM など、幅 (円内)徳本武氏 (後列左から)髙沢智也氏、保木明元氏、 広い分野における映像制作のニーズに対して、 斎藤大輔氏 (前列左から)鈴木浩文氏、佐々木宏氏 シームレスでハイクオリティ、ハイパフォーマンスのサービス提供を拡大させていく。一方、ネガ 現像、アーカイブなどのフィルム事業も順調に推移しており、同社では事業の二本柱である「デジ タル」「フィルム」ともにトータルサービスを提供する体制を整えている。 ポストプロのビジネスモデル変革に向けた「種まき」の時 昨年のデジタルプロデュース部は、 撮影と CG とプロデュース(営業)の 11 人で構成していたが、 今年発足したデジタルプロダクション部は、ポストプロダクション(編集・MA)およびメディア 変換、オンエアコピーも加わり、いわゆる デジタル に関わる業務が全て 1 つの部署としてまと まったカタチになる。メンバーは、渡辺浩部長以下、プロデュースチームが 6 人、CG チームは 7 人、撮影部は 4 人、編集チームは 14 人(以上、すべて新人含む) 、メディア変換が 6 人の合計 37 人の大所帯となった。 デジタルプロダクション部は、デジタルプロデュース部からどのように進化したのか。 デジタ ルプロダクション部 ポスプロチーム 課長/ビデオデザイナーの髙沢智也氏は〈IMAGICA ウェス トの二本柱である「フィルム」と「デジタル」のうち、「デジタル」に関わる部署として、デジタ 2015 年 6 月 4 日 第 3887 号 ルプロデュース部が昨年発足し、ポストプロ ダクション業務がメインの「デジタルイメー ジング部」と分かれた。それぞれのコンセプ トは、デジタルプロデュース部は「ワンスト ップ」を売りに、部署内で全て完結すること。 新しい案件などに向けた 攻め のサービスを 提供し、一定の成果を収めました。一方、デ ジタルイメージング部は、基本的に CM 制作 デジタルプロデュース部発足のきっかけとなった BS 時 代劇『妻は、くの一~最終章~』 など現業を守るという流れで業務を進めてき ましたが、やはり「変わらねば」という強い 気持ちを持っていました。 「ポストプロダクション」と業務自体を見直し、 「映像」に対する視野を 広げ、様々なことにチャレンジしていくことも必要ではないか。ポストプロダクションのビジネス モデルの変革に対する「種まき」をする時が来ているのではないかと考えました。今回、デジタル プロデュース部のワークフローにポストプロダクションが加わることで、 「ワンストップ」の機能 をさらに強化し、新しいサービスをどんどん提供していきたいと考えています〉と話す。 さらに幅広い映像コンテンツにも対応できる 今後は、受注した案件に対してどのようなアプローチができるのかを考えてチームを編成し、そ のチーム単位で動くことも可能になるという。 同部 課長 テクニカルプロデューサーの徳本武氏は〈デジタルプロデュース部では、撮影・CG/ VFX 部門を擁していましたが、デジタルプロダクション部には編集部門も参加したことで、ワ ンストップ受注のワークフローに厚みが出たと思っています。デジタル系のほとんどの部署が 1 つになったことで、IMAGICA ウェストが展開しているデジタル関連のチカラをフルに発揮でき ると考えています〉 、同部 課長 VFX スーパーバイザーの佐々木宏氏は〈プロダクション的な業務 を拡大していく中で、編集のクリエイティビティがプラスされ、IMAGICA ウェストとして 攻め の対応が強化されることになると思います〉とする。また、撮影チーム VE/ デスクの鈴木浩文氏 は〈これまでのドラマや映画に加えて、テレビ CM 関連など幅広い分野への撮影に対して同様の アプローチができるのではないかと思います。撮影からフィニッシングまで、1 つの部署内で完結 できる。場合によってはフィルムの部署も巻き込んでいくこともあるかも知れません〉 、VFX プロ デューサーの斎藤大輔氏は〈デジタルプロデュース部で培ってきたものの拡大、延長だと考えてい ます。技術力や知識を持ったポストプロダクションチームとつながったことで、受けられる作品の 量や幅がより広がっていくのではないかという期待は大きい。これまでなら賄いきれないような案 件や物量などに対しても、より飛躍して受けていけるのではないかと感じています〉としている。 プロジェクト管理やデータ・ファイル管理が重要 また、デジタルプロダクション部ではプロジェクト全体をしっかりと管理していくという。 佐々木氏は〈工程管理だけでなく、プロジェクト単位での原価管理を徹底することで、より良い サービスにつなげていきたい〉とする。 一方、ファイルデータによるワークフローを展開していく中で、デジタルプロダクション部への 2015 年 6 月 4 日 第 3887 号 同社は今年、創立 15 周年を迎えた。記念のロゴ(←写真)は西洋の “封蝋” をイメージしたものだ。デザインを担当した髙沢氏は、〈「フィルム」と「封 蝋」はともに長い歴史を持ち、独特な味わいがある。古くからあるモノの温 もりなどを間接的に伝えたいと考えました。一方、文字を有機的に直線で描 くことで現代的なイメージを持たせています〉と話す。 一元化は、ファイル管理やデータ管理という面でもメリットがある。同部発足に伴って保木明元氏 がテクニカルディレクター(TD)に就任、 DIT を含むワークフロー全体を管理する。保木氏は〈 ワ ークフローエンジニア という全体を俯瞰して見る立場として、主に長尺のファイルベース撮影案 件などでは「ハンドリング」が非常に重要になってくると感じています。今後は TD として、お客 様への提案に向けてもっと明確に動いていきたいと考えています。編集が同じチームに入ったこと で仕事の幅が広がり、様々な選択肢をチョイスできるような場面を作れるのではないかと思ってい ます。CM 編集など映像の最先端にいる編集マンの技術や情報をリアルタイムに共有しながら作業 できることを期待しています〉とし、佐々木氏は〈保木はこれまで、フィルム部門から編集、撮影、 デジタルプロデュース部まで携わっており、一連のワークフロー全てを現場で見てきて、それぞれ の事情もよく理解している。そうした人間が部署の垣根なく活動できることも、デジタルプロダク ション部の大きな利点ではないかと思います〉とする。 「IMAGICA ウェストだからこそ」のプロダクションワークを さらに、今後は 人材 に対する意識も変革していくという。髙沢氏は〈今後やっていきたいこ との 1 つに、編集マンの意識改革があります。編集マンは、映像に対して俯瞰的に見ることがで き、フィニッシングまで見据えて最終形をイメージするチカラを持っていると考えています。単な る編集マンから、ディレクションやデザインが提案できる人間への転換を視野に入れていきたい。 「こういう映像表現にはこうした撮影が必要」 「今回は CG を有効に活用しよう」など、部署にとら われずに選択肢を提案できるようになる。 「ハコからヒトへ」の具現化に向け、そういう視野を持 った人間を編集マンの中から発掘し、フロントマンとしてアピールしていくこともできると思って います。今、プロダクションや広告会社も様々な映像制作を手がけようとしている中で、 「ポスト プロダクションが故」 「IMAGICA ウェストだから故」といったアプローチもあるのではないかと 考えています。今後は Web 用の映像などもドンドン増えてくると思いますが、トータルなプラン ニングやクライアントへのご提案まで含めてプロジェクト全体を進めていこうとすれば他社との協 業は不可欠です〉 、保木氏は〈フットワークを軽く、案件がありそうな所にはすぐに飛び込んでい けるような体制にしたいですね。昨年の新松竹マーク 2015 のように、案件の規模のよってはプロ ダクションとコラボレーションするケースも 出てくるのではないかと考えています〉 。また、 徳本氏は〈新松竹マーク 2015 の企画・制作 以降、プロダクションとしての動きを加速さ せています。企画や R&D、プレゼン等にも積 極的に人材を投入していこうと思っています〉 と話している。 (次ページに続く) デジタルプロデュース部の大きな成果となった『新松竹 マーク 2015』 2015 年 6 月 4 日 第 3887 号 「デジタル」も「フィルム」も「ワンストップのトータルサービス」 一方、同社事業の柱の 1 つである「フィルム事業」 も順調に推移しているという。 同社では、今年 1 月から再スタートしたカラーネガ 現像サービスを含め、IMAGICA グループのフィルム事 業全般を手がける体制となった。 営業部 課長の廣瀬英志氏は〈おかげさまで、非常に 良い再スタートが切れたと考えています。当初はかな り受注が落ちてしまうのではないかと心配しましたが、 IMAGICA ウェストが更新したネガ現像機 思ったほどではなかった。それは IMAGICA ブランドの クオリティに対する「信頼感」と、 物流と HARBOR(ネ ットワーク)を活用した「距離と時間を感じさせない サービス」の提供が大きく寄与しているのではないか と思っています。CM を中心に映画のお話もいただい ています。CM では特にビューティ系、自動車系、シ ズルカットの欲しい食品系はフィルムに対する根強い ニーズがあることはわかっていましたが、今、改めて 実感しているところです〉と語る。 http://www.imagicawest.com/filmlook/ さらに、今後は 35mm 撮影の素材を「CineVivo」で 4K スキャン、HARBOR で東京に転送−− というワークフローも広げていきたい考えだ。 なお、同社では「ネガ現像サービス特設サイト」 (写真↑)を開設、 サービスの概要やワークフローなどを紹介している。 さらに、同社が長い歴史を有するフィルムアーカイブ事業も好調だ。 〈HD マスタリングは昨年度、アニメーション・時代劇・現代ド ラマ等のシリーズや映画の業務で、毎日フル稼働の状態でした。これ まで IMAGICA グループとしておつきあいのなかったコンテンツホル ダーからの受注にも広がっています〉(廣瀬氏) また、4K マスタリングに関しては、現在、テストのオーダーが数 多く来ている段階だという。 廣瀬氏は〈パラ消しなどの時間やコストの 同社独自の 4K 対応フィルムス キャンシステム「Cine Vivo」 関係から、検討段階としてのテスト依頼を多 くいただいています。2020 年の東京五輪を 見据えた高解像度化にともない、将来は大量マスタリングに移行していく ことを期待しています。レストレーションのキャパシティは IMAGICA グ ループが日本随一だと自負しており、お客さまからの「短納期」のご要望 にも十分お応えできることをアピールしていきたいと考えています〉と話 している。 ◇ IMAGICA ウェスト http://www.imagicawest.com/ 大阪市北区同心 1-8-14 TEL06-6353-1711 廣瀬英志氏
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