本書 は、英文法 について 書 かれた 本 です。 しかし、「 この 文 で は、過去形 と 現在完了形 の ど ち ら を 使 う ほ う が よ い か 」 、 「“two weeks later”と“in two weeks’time”の 違 い は 何 か 」、 あるいは、 「この状況では、 “a”と“the”のどちらを用いるべき か」といった些細なことがらは扱っていません。 私 は 本書 で、英文法 に 関 わるさまざまな 論点 の 中 でも、「高 次元」と称されるようなものばかりを、日本語との比較という 観点を加えて取り上げています。 その 中 のいくつかについてふれれば、第 1 章(「中間動詞」と 「中間態」)では、 「中間動詞」という概念を導入し、論じていま す。みなさんは、今まで、それと気づかずに、多くの中間動詞 を学んできたはずです。しかし、中間動詞の概念を明らかにす ることにより、その用法や文型の難しさから、みなさんを悩ま せてきたいくつかの動詞について理解していただければと思い ます。その理解が、みなさんのこれからの英語に対する取り組 みに役立つことを期待します。 第 2 章(動詞はどこまで「軽く」なれるか)での議論は、文法書 や 教科書、 その 他 の 参考書 で 述 べられてきた、 「 これはイディ オムである」とか「動詞 take にはたくさんの意味がある」とい う 旨 の 言及 と 関係 の 深 いものです。実際、take をはじめとす るいくつかの動詞にどうして多くの意味があるのでしょうか。 第 3 章∼第 5 章では、英語の動詞は何種類に分類できるか(実 3 際 は 6 つのグループがあります ) 、 そして、 それらのグループ はどのようなものかについて論じています。さらに、この観点 から英文法をとらえることが、英文法のある種の難しさを解明 してくれる新たな灯火になることを示しています。 その具体的な例をあげれば、第 4 章(頭や心の中の出来事に関 わる動詞の特性)では思考と感覚に関わる動詞の文法について、 いくつかの 部分 を 取 り 扱 っています。 また、第 5 章(speak と talk は 発言 に 関 わる 動詞 か ) では、speak と talk が 発言 に 関 わ る 動詞 か 行動 のタイプに 関 わる 動詞 かについて 論 じています。 この種の疑問に対して答えを考えることが、英文法の重要な部 分を明らかにしてくれるでしょう。 第 6 章(“have a headache”を「頭痛を持っている」と訳せない理 由)では、英語と日本語における「所有」の本質について論じ、 比較考察 を 行 っています。英語 における 所有 の 概念、 および、 それが日本語における所有とどのように異なるのかを理解する ことが、英語学習者に(また、同様に日本語学習者にも)重要 であることを示しています。 発音についての第 12 章(今すぐ発音がよくなる方法)は「英文 法」というタイトルから大きく離れているように思えるかもし れません。 しかし、 この 章 は、 「 もし、 あなたが 英語 をマスタ ーしたければ、自分の身の回りで聞こえる言語に注意深く耳を 傾け、真似をしなさい」という狙いを一種の譬え話ふうに語っ たものです。この意味において、この章は本書の趣旨に外れて いないと思います。 「標準的 な 」文法書、 本書 で 私 が 取 り 上 げた 論点 の 多 くは、 あるいは「学校文法」の本では、あまり見かけないものであり、 4 はじめに それらによりなじみの深い読者のみなさんにとって、かなり斬 新に映ることでしょう。それにもかかわらず、これらの論点の 多くは、これまでも、ひょっとしたら何年にもわたって、みな さんの頭の片隅に潜み続けてきたものと思います。しかしなが ら、みなさんのほとんどは英文法や言語学の専門家でないため、 それらの論点を追求する時間がなかったり、あるいは、そこま での気持ちにならなかったのかもしれません。 本書を通読することにより、このような、みなさんが今まで あいまいなままやり過ごしてきた潜在的な疑問点の多くが解決 され、みなさんの英語全般に対する理解や洞察が、さらに深め られることを祈ります。 2005 年 1 月 クリストファ・バーナード Christopher Barnard 5 Contents ............................................................................ 3 第1章 「中間動詞」と「中間態」 一 「態」................................................................. 12 中間動詞 「出来事」 表 中間動詞 ............................................... 14 潜 「使役」...................................................... 16 用法 、最近 drop 傾向 ............................. 17 ..................................................................... 23 fall These cakes sell well. sell 中間動詞 ................. 24 第 2 章 動詞はどこまで「軽く」なれるか 動詞 「軽 日本語 」 「軽 軽 」 動詞............................................................... 31 辞書 軽 動詞 have a smoke 軽 動詞 軽 動詞 .......................................... 28 扱 ............................................ 33 ........................................ 35 smoke have 文脈 和 示唆 意味 「得 ................ 37 」............................ 39 第 3 章 動詞の意味と文法パターンの因果関係 動詞 動詞 .................................................................. 42 先 英語動詞 「 6 、意味 先 .................................... 42 ........................................................ 44 6 」 「 」 ........................... 55
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