加工食肉および鶏肉製品のための衛生作業範囲(PDF:169K)

CAC/RCP 13
-1-
加工食肉および鶏肉のための国際的衛生作業規範
(CAC/RCP 13-1976, Rev.1(1985)
説明的序文
A.
規範はできる限り、食品衛生の一般的原則の構成や内容と一貫性を持つように
作成されている。
B.
危害分析重要管理点(HACCP)システムが規範に適用されている。
HACCP システムは次で成り立っている。1)供給された原材料または食品の生育、
収穫、加工/製造、市場取引、準備に関連する危害;2)特定された何らかの危害を
管理するための重要なポイントの判断;3)重要管理点(CCP)を監視するための
手順の設定。
CCP は規範で特定され、危害(リスク)を説明したり、適用するべき管理の種類や
頻度を述べている注釈は、該当する段落に関連して挿入されている(CCP 注記と
記されている)。
C.
本規範を作成する際に、新しい技術開発が健全な食肉製品の衛生的生産に相反しな
いことを条件に、それらの採用を除外しないようにする必要性があると認識された。
新しい技術を導入する際には、それが健康に対する危害を作り出さないことを
確実にするために、注意を払わなければならない。例:発酵ソーセージを生産する
ための新しい迅速な手段は、ブドウ球菌毒の生成を予防する特別な管理を要する。
D.
規範を満足に実施するには、相応にトレーニングを受けた検査員や人員、そして
適切な衛生インフラストラクチャーが必要とされる。
E.
限られた数の小売店にのみ供給している多くの小規模な製造業者では、販売前に
自分達の食肉製品の包装はしていない。そのような施設に対して規範は特別規定を
設けることはできず、そのような製造業者に対する規範の適用は、各国に管轄区域
を持つ特別機関の裁量に任せられる。
F.
製造業者の食肉製品に鶏肉や狩猟動物の食肉が使用されている場合、それらの
種類の肉に対しても、本規範の条項が等しく適用される。
参考資料
生肉のための国際的衛生作業規範(CAC/RCP 11-1976, Rev. 1 (1993))
-
動物屠殺の前後に行われる検査のための国際的規範、動物屠殺および食肉の前後に
行われる審査のための規範(CAC/RCP 41-1993)
CAC/RCP 13
-2-
-
猟鳥獣類のための国際的衛生作業規範(CAC/RCP 29-1983, Rev.1 (1993))
-
食品衛生の一般的原則に関する国際作業基準(CAC/RCP 1-1969, Rev.2 (1985))
-
低酸性および酸性強化低酸性缶詰食品のための国際的衛生作業規範(CAC/RCP
23-1979, Rev.1 (1989))
-
鶏肉加工のための衛生作業規範(CAC/RCP 14-1976)
CAC/RCP 13
-3-
セクション I‐適用範囲
付属文書を含む本衛生作業規範は、加工食肉と鶏肉製品に適用される。健康に良く、健全
なこのような製品の供給を確実にするために、規範には加工食肉製品の生産、取り扱い、
包装、保管、輸送に関する最低限の衛生についての要求事項が含まれている。
セクション II‐定義
本規範用には次のようにする。
食肉処理場:人間が食するための動物を屠殺するために利用する、管理当局から
2.1
認可され、登録された施設を意味する。
ブランド:管理当局から認可を受けたマークやスタンプを意味する。また、
2.2
そのようなマークやスタンプを有するタグやラベルも含まれる。
洗浄・清掃:土壌や食物残渣、汚れ、油脂、その他好ましくない物質の除去を意味
2.3
する。
2.4
汚染:好ましくない物質の直接的な、または間接的な感染を意味する。
管理当局:施設に関連して、食肉や食肉製品の検査を含む、衛生管理を政府に
2.5
よって課せられた職権を意味する。
留め立てする:最終的な判断が出るまで、管理当局の管理・防護下に置かれる
2.6
ことを意味する1。
消毒:衛生的に申し分のない化学物質または物理的方法により、食品に悪影響を
2.7
及ぼすことなく、食肉や食肉製品に危害を与えることのないような数にまで微生物を削減
することを意味する。
2.8
食用可能な:人が食するのに適していることを意味する。
施設:食肉製品の前処理、加工、取り扱い、包装、保管を行うことを管理当局に
2.9
より認可され、登録された建物を意味する。
狩猟動物の肉:臓物を含む、狩猟動物の肉を包装する建物で加工された狩猟動物
2.10
の屠殺体から出て、検査員より人間が食するのに適していると許可された、食用可能な部
分を意味する2。
1
製品が留め立てされた場合、発見事項や状況に応じて、取れる選択肢が基本的にいくつかある。
そのような選択肢には分類、再加工(例:再加熱)
、破棄が含まれ、また他に特定する必要が
あるかもしれない。選択肢を決める際に最も考慮しなければならないのは、許容不可能な食品が
消費者の元にいってしまうリスクを最小限に留めることである。しかし、食品は不必要に破棄
されたり、人間が消費するのには不適切と宣言されてはならない。
2
規範内で「食肉」という単語が出てくる時は常に、鶏肉や狩猟用動物の肉も含まれていると
みなすべきである。
CAC/RCP 13
-4-
2.11
密閉容器:加熱加工中および加熱加工後に、微生物の進入から内容物を防ぐこと
を意図し、デザインされた容器を意味する。
2.12
成分:食品添加物を含む、食肉製品の製造や前処理に利用される物質を意味する。
検査員:食肉や食肉製品の検査、食肉衛生の監督をすることを目的に、国の管理
2.13
当局によって任命された、適切な訓練を受けた役人を意味する。
2.14
ロット:原則的に同じ条件で生産された商品の一定量を意味する。
2.15
マネージャー:施設に関係して、当面は施設の管理に責任を負う人物を含む。
2.16
食肉:食肉処理場で屠殺された哺乳類の食用可能な部分を意味する3。
食肉製品:哺乳類、鳥類、狩猟用動物の肉を含んだ、人間が消費するための製品
2.17
を意味する。
包装資材:カンやビン、カートン、箱、ケース、袋などの容器、またはホイルや
2.18
フィルム、金属、紙、油紙、布などの包装や被覆材料を意味する。
飲料水:WHO の「飲用水基準の国際的ガイドライン」に含まれる要求事項に
2.19
従った、純粋で健全な水を意味する。
家禽の肉:鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、鳩などを含む家畜化
2.20
され、屠殺された鳥類の食用可能な部分を意味する1。
加工された:事前包装された生、チルド、あるいは冷凍された食肉以外の、
2.21
あらゆる製造・保存方法が含まれる。
防護服:食肉、または食肉製品を汚染から予防することを目的とした、施設内の
2.22
人間によってアウターウェアをして着用される特別な服を意味する。帽子(頭の覆い)、靴、
手袋が含まれる。
人間が食するのには不適切:食肉、食肉製品の生産に関連して、通常は食用可能
2.23
だが、病気、腐敗、その他の理由によって食用不可能となった物を意味する。
セクション III‐施設:登録、設計および設備
3.1
登録
施設は当局によって認可され、登録されていなければならない。
2
規範内で「食肉」という単語が出てくる時は常に、鶏肉や狩猟用動物の肉も含まれていると
みなすべきである。
CAC/RCP 13
-5-
3.2
場所
施設は、定期的かつ頻繁に洪水にさらされない、また、好ましくない臭いや煙、
埃、その他の汚染物質がない場所に位置していなければならない。
3.3
車輪交通によって使用される道路や区域
3.3.1
施設の境界内にある、またはそのすぐ近くにあり、施設へと続く道路や区域は、
車輪交通に適するよう硬く舗装された表面でなければならない。清掃できるよう、適切な
排水路や設備がなければならない。
3.3.2
必要に応じて施設は、そこへのアクセスが管理できるように設計されていなけれ
ばならない。
3.4
建物および設備
3.4.1
全ての業務が満足に遂行できるよう、施設には適切な作業スペースが設けられて
いなければならない。
3.4.2
適切な空調や申し分のない自然光、または人工光を確保し、確実に掃除しやすく
するために、しっかりとした造りでなければならない。すべての建設資材は、食肉や食肉
製品にとって望ましくない物質を感染させないようなものでなければならない。
3.4.3
施設は、検査や管理のパフォーマンスを含む、食肉衛生の適切な監督を促進する
ように配置され、装備されていなければならない。
3.4.4
施設は、昆虫や鳥、齧歯動物、その他の害虫・害獣の侵入や繁殖を防止するよう、
また、煙や埃、その他環境汚染物質の侵入を防止するような造りになっていなければなら
ない。
3.4.5
建物や設備は、交叉汚染の原因となるような業務同士をパーティションや位置、
その他の効果的な方法で分離できるよう設計されていなければならない。
3.4.6
施設は、食肉や食肉製品が、食肉と接触することを前提に特別にデザインされた
以外の床や壁、その他の固定構造物に接触しないよう、確実に配置され、装備されていな
ければならない。
3.4.7
冷蔵室や冷凍室、冷凍保管室、冷凍庫の造りや配置は、本規程の要求事項を満た
していなければならない。
3.4.8
食肉や食肉製品の作業が行われている部屋では:
- 床は防水で非吸収性な、水洗い可能な滑らない材質で、割れ目がなく、容易に
清掃や消毒ができるようでなければならない。必要に応じて、液体が格子を
含むトラップ付きの排水口に排水できるよう、床は適切に傾斜していなければ
ならない
CAC/RCP 13
-
-6-
壁は防水で非吸収性の水洗い可能な材質で、薄い色でなければならない。作業
に適した高さまでは、壁は滑らかで割れ目がなく、容易に清掃や消毒ができる
ようでなければならない。必要に応じて、壁と床の角は接着され覆われている、
また、壁と壁、床と壁の角は洗浄・清掃を促すために接着され、覆われていなけ
ればならない。
- 天井は汚れの堆積を防止し、凝結やカビの発生、剥離を最小限にするように
設計され、建設され、仕上げになっていなければならない。
-
窓やその他の開口部は汚れの堆積を回避するよう建設され、開口可能な部分に
は防虫スクリーンが設置されていなければならない。スクリーンは洗浄・掃除
のために容易に外せなければならず、手入れが行き届いていなければならない。
内部に窓枠があるのであれば、棚として利用されることを防ぐために、傾斜を
つけなければならない。
-
ドアの表面は滑らかで、非吸収性でなければならない。必要に応じて、自動開
閉式で、きっちり閉まらなければならない。
-
階段やエレベーターの箱、補助的構造(踏み台やはしご、シュートなど)は、
食肉の汚染の原因とならないように設置し、建設しなければならない。
それらは効果的に清掃できるようでなければならない。シュートには検査
および清掃用ハッチを取り付けて造られなければならない。
3.4.9
木材など、適切に洗浄・消毒ができない建設資材の使用は、その使用が明らかに
汚染源でない限りは避けるべきである。
3.4.10 検査サービスを利用する際には、オフィスの設備を利用できるようにしなければ
ならない。
3.5
衛生設備
3.5.1
給水
3.5.1.1 必要に応じて、保管や配給ための適切な設備と共に、適切な圧力下にある飲料水
の十分な供給がなければならない。また、汚染に対する適切な防護もなければならない。
CCP 注記:水は WHO の「飲用水基準の国際的ガイドライン」に含まれる要求事
項に適合すべきである。特に、腸を源とした微生物に関してはそうである。定期
的にサンプルを採るべきであるが、頻度は水源や使用次第である。例:通常、
公共的に供給されるよりも、私的に供給される方が頻度は多い。また、洗浄・清掃
目的で利用される水よりも、缶詰にされた食肉を冷却するために利用される水の
方が頻度は多い。塩素殺菌処理された場合は、有効塩素を調べるための薬品テス
トを毎日行って点検すべきである。サンプリング箇所は水を利用している場所が
望ましいが、時には水が施設内に入ってくる箇所でサンプリングすると役立つ
場合もある。
3.5.1.2 作業時間中は常に、飲料可能な温水が適切に供給されなければならない。
CAC/RCP 13
-7-
CCP 注記:本条項は洗浄・清掃目的に利用される水と、食肉や食肉製品と直接接触
する、ナイフや器具、その他に付着している微生物(特に人間に対して病原とな
る)を死滅させるために利用する水の両方を取り上げることを目的としている。
洗浄・清掃を目的とする場合、水温は 65℃が適切である(詳細については、食品衛
生の一般的原則の付属文書 I を参照)。消毒を目的とする場合、約 80℃の熱湯を 2
分以上利用し、ナイフの刃やその他が適切な接触時間(2 分以上)熱湯に浸るよう
な方法(例:作業場所の近くにある、特別なデザインをした箱)で措置を施す。
しばしば給水は、洗浄・清掃や手洗い、その他に利用される温水給水とは別になっ
ていることがある。しかし、温水の給水がひとつしか無い場合、「適切」という用
語は、大量の温水が使用される時(例:洗浄作業の時)でも、どの施設の蛇口か
らも温水の給水量が減ってはならないことを意味する。
3.5.1.3 氷は飲料水から作られ、汚染を防止するよう製造、取り扱い、保管されなければ
ならない。
3.5.1.4 蒸気が食肉や食肉製品と直接接触して使用される場合、それは飲料可能な水で
生成されなければならず、健康に危害を与える可能性がある、または食品を汚染する可能
性がある物質が含まれていてはならない。
3.5.1.5 非飲料水が蒸気の生成や冷蔵機器の冷却、防火管理、その他食肉や食肉製品に関
係しない目的で利用される場合、それらは完全に別な、可能であれば色で識別され、飲料
水を供給している導管とは交差結合していない、または反サイフォン作用が起きない導管
で供給されなければならない。
3.5.2
排水および廃棄物処理
施設には効果的な排水および廃棄物処理システムがなければならない。全ての排
水管(下水道システムを含む)は、最大量を運べるだけの大きさでなければならず、また、
飲用に適した給水を汚染しないような方法で構築されてなければならない。
3.5.3
廃物および食用不可能な資材の保管設備
廃物および食用不可能な資材を施設から動かす前に保管しておく設備が設けられ
ていなければならない。これらの設備は害虫・害獣が廃物や食用不可能な資材にアクセスす
るのを防げるよう、また、食品や飲料水、敷地内の機器や建物への汚染を防止できるよう
な設計になっていなければならない。
3.5.4
更衣設備およびトイレ
全ての施設には、適正かつ適切な更衣設備とトイレが便利な場所に設けられてい
なければならない。トイレは老廃物が衛生的な方法で除去できるような設計になっている
ことを確実にしなければならない。これらの区域は明るく、通気が良く、必要な場合は暖
房があり、食品を取り扱う区域に向けて直接開放されてはならない。温水・冷水が出る手洗
い設備、適切な手洗い用洗剤、手を乾燥させるための適切な衛生的手段がトイレの隣かつ、
従業員が加工区域に戻る際には必ず通り過ぎる場所に設けられていなければならない。
温水と冷水の両方が出る場合は、それらを調節する蛇口もなければならない。ペーパー
タオルを使用する場合は、ペーパータオルを備えた十分な数の取り出し容器と、使用済の
ペーパータオルを入れるための容器が各手洗い設備の近くに設けられていなければならな
い。手を使用しないで操作できる種類の蛇口が望ましい。人員にトイレを使用した後は手
洗いを命じる注意書きが貼られていなければならない。
CAC/RCP 13
-8-
3.5.5
加工区域での手洗い設備
加工工程が要求する場合はどこにでも、適切な手洗いと乾燥設備が便利な場所に
設けられていなければならない。必要に応じて、手を消毒するための設備も設けなくては
ならない。手洗い設備は 3.5.4 で述べているように備えられなければならない。設備には下
水管につながる、適切なトラップのある排水管が備え付けられていなければならない。
3.5.6
洗浄・清掃および消毒設備
3.5.6.1 除骨、前処理、包装、その他食肉や食肉製品の取り扱いを行う部屋全てに、人員
が作業中に使いやすい場所に適切な洗浄・清掃および消毒器具の設備が備えられていなけ
ればならない。これらの設備はナイフやスチール、大包丁、のこぎり、その他の器具の洗
浄や消毒に限定して使用される。
3.5.6.2 器具を洗浄・清掃や消毒するための設備は全て、器具を適切に洗浄・清掃、消毒で
きるような性質とサイズのものでなければならない。これらの設備は耐食性の材質で造ら
れていなければならず、また、容易に洗浄・清掃できるようでなければならない。
3.6.5.3 器具を洗浄・清掃や消毒するための設備は全て、施設のその部分で食肉や食肉製品
が取り扱われている時は常に、十分な量の熱湯が供給できるような適切な手段が備えられ
ていなければならない。
3.5.7
照明
施設全体に適切な自然光、または人口光が供給されなければならない。必要に
応じて、照明は色を変更してはならず、強度は次の数字以上でなければならない。
全ての検査箇所において 540 ルクス(50 フートキャンドル)
作業場において 220 ルクス(20 フートキャンドル)
その他の区域において 110 ルクス(10 フートキャンドル)
いかなる生産工程においても、電球や食肉の上に吊るすよう取り付けられて備品
は、安全なタイプ、さもなければ破損した場合、食肉や食肉製品が汚染から守れるように
防護したものでなければならない。
3.5.8
空調
過度の熱気や水蒸気凝縮、埃を防止するために、また、汚染された空気を除去す
るために適切な空調が備えられていなければならない。空気は決して、汚染区域から清潔
な区域に流れてはならない。空調の開口部は防虫スクリーン、またはその他耐食性の材質
の防護用の囲いが備えられていなければならない。スクリーンは洗浄・清掃のために、容易
に外せなければならない。
3.6
3.6.1
機器や器具
材質
CAC/RCP 13
-9-
食肉を取り扱う区域で、むき出しの食肉や食肉製品に接触する機器や器具は全て、
有害物質や臭い、味をうつさず、非吸収性で、耐食性があり、度重なる洗浄・清掃や消毒に
耐えられる材質のもので作られていなければならない。表面は滑らかで、くぼみや割れ目
があってはならない。木材やその他適切に洗浄・清掃、消毒できない材質の使用は、その使
用が明らかに汚染源でない限りは避けるべきである。接触することで腐食が起きるような
方法で違う材質を使用することは避けるべきである。
CAC/RCP 13
- 10 -
3.6.2
衛生的な設計、構造および設置
3.6.2.1 全ての機器や器具は衛生危害を予防し、容易かつ徹底的に洗浄・清掃、消毒できる
よう設計され、組み立てられていなければならず、実際的であれば、検査のため可視でき
なければならない。固定機器は容易かつ徹底的に洗浄・清掃できるような方法で取り付けら
れなければならない。
3.6.2.2 食用不可能な物質や廃物のための容器は、液漏れ防止になっており、耐食性の
金属、あるいは容易に洗浄・清掃、または廃棄でき、必要に応じてしっかりと閉められる、
その他の適切な不浸透性の材質のものでなければならない。
3.6.2.3 全ての冷蔵場所には温度測定、または記録装置が備えられていなければならない。
3.6.3
機器の識別
食用不可能な物質や廃物に使用される機器や器具はそのように識別され、食用
可能な製品に使用されてはならない。
セクション IV‐施設:衛生要求事項
4.1
保持
建物や部屋、機器、下水管を含むその他施設の物理的な設備は、手入れが行き届
いており、整然とされた状態に保持されていなければならない。加熱加工や洗浄・清掃作業
が行われている部屋以外は、蒸気や水蒸気、余分な水分はあってはならない。
4.2
洗浄・清掃および消毒
4.2.1
洗浄・清掃および消毒は本規範の要求事項に適合しなければならない。洗浄・清掃
および消毒手順のさらなる詳細については、食品衛生の一般的原則の付属文書 I を参照のこ
と。作業場は清潔に保たれていなければならない。
4.2.2
更衣設備やトイレ、検査のための事務所スペースなど、従業員や検査サービスの
ために用意されている設備は、常に清潔に保たれていなければならない。
4.2.3
食肉や食肉製品の取り扱いや前処理、加工、包装、または保管の目的で、なおか
つほとんどの場合そのように利用されている部屋が他の食品の準備目的で利用された場合、
洗浄・清掃および消毒が、そのように利用される直前および直後に必要となる。
CCP 注記:食肉や食肉製品の取り扱いを目的とした部屋で他の食品を取り扱う
ことは、食肉や食肉製品の微生物に悪影響を与える可能性があり、その次に違う
食品のために利用する部屋で食肉や食肉製品を取り扱うことは、その食品に悪影
響を与える可能性がある。従って、これらの作業を洗浄・清掃、消毒によって分離
することが望ましい。担当の検査員は、そのような使用用途に変更がある都度に
洗浄・清掃、消毒手順が取られていることで納得するべきである。
4.2.3
機器や器具の洗浄・清掃措置が最低でも 4 時間ごとに実行されない限り、
CAC/RCP 13
- 11 -
除骨やトリミングを行う部屋の温度は適切に低く管理され、保たれていなければならない。
CCP 注記:作業開始時がそうであるが、包装されていない食肉が洗浄・清掃、消毒
された表面で取り扱われた場合、食品が表面を汚染するのが経験によって示され
ている。部屋の温度が比較的高い場合(10℃以上)、機器の表面に付着した微生物
は増殖し始め、しばらく(1∼4 時間)すると、表面に付着している微生物が食肉
を汚染するようになる。そのサイクルを妨げるために、部屋の温度が 10℃以下に
保たれていない限り、表面は4∼5 時間おきに洗浄・清掃されなければならない。
消毒薬の残余が速やかに除去されるのならば、消毒を用いることもできる。検査
においては、洗浄・清掃、消毒薬の使用の可能性、そしてそのような消毒薬の除去
が適切な間をおいてなされていることを確認しなければならない。温度管理され
ている部屋の温度は、定期的に点検されなければならない。
4.2.5
食肉や食肉製品への汚染を防止するために、全ての機器や器具、仕事台、ナイフ
や大包丁、ナイフ用ポーチ、のこぎりを含む用具、機械的器具、容器などは日中、頻繁に
洗浄・清掃されなければならない。また、病気や感染した素材と接触した、さもなければ汚
染されたなど、状況が必要とした場合には直ちに徹底的に洗浄・清掃し、消毒しなければな
らない。さらに、1 日の作業の終わりには洗浄・清掃し、消毒しなければならない。
CCP 注記:機器や器具など、常に食肉と接触するものは微生物に汚染され、これ
らに付着している微生物の増殖がじきに起こる。これは、引き続き取り扱われる
食肉や食肉製品に悪影響を与える可能性がある。従って、日中頻繁に、少なくと
も休憩が終わる毎に、洗浄・清掃が必要となる。ナイフが病気の素材に接触したな
どの、特別な状況がある。この場合、次の肉片が病原菌に感染する危険性(リスク)
があるのは明らかであり、洗浄・清掃、消毒が直ちに実施されなければならない。
毎日の作業終了時に洗浄・清掃、消毒を行う目的は、好ましくない、病原となる可
能性のある植物相が施設に蓄積するのを妨げるためである。定期的検査において
モニタリングを、できれば微生物テストを用いて、実施すべきである。
4.2.6
食用可能な物質が取り扱われている部署で使用されている廃棄物入れコンテナー
や台車、その他の容器が食用不可能な物質が取り扱われている区域に入る場合、それらは
食用可能な物質の部署に再度入る直前に洗浄・清掃、消毒されなければならない。
CCP 注記:そのような慣行は制限されなければならないが、起こった場合は、
検査員は洗浄・清掃、消毒が行われたかを点検すべきである。
4.2.7
その日の作業停止の直後、またはその他必要とされる時には、床や壁は汚染物質
を除去するために洗浄・清掃されなければならない。床の排水管の手入れは行き届いていな
ければならず、ストレーナーを設置して修繕されなければならない。
4.2.8
施設へと続く、またはそのすぐ近くの道路や中庭は、清潔に保たれていなければ
ならない。
4.2.9
水や洗剤、消毒薬やその液体を使用して部屋や機器、器具を洗浄・清掃、消毒をし
ている最中に食肉および食肉製品が汚染されないよう、適切な予防措置を取っていなけれ
ばならない。洗剤や消毒剤はその目的に適ったものではなければならず、また、管轄権を
持つ公的機関が許容するものでなければならない。食品と接触する可能性のある表面に付
着しているこれら物質の残余は、区域や機器が再度、食肉や食肉製品を取り扱うために使
用される前に、飲料水ですすいで除去されなければならない。
CAC/RCP 13
- 12 -
4.3
衛生管理プログラム
各施設がそれぞれの私益のために、生産とは無縁の職務の 1 個人に、施設の清潔
度に対する責務を与えることが望ましい。その人間のスタッフは永続的に組織の一部であ
る、または組織に雇用され、洗浄・清掃のための特別器具の使用や洗浄・清掃のための機器
の分解方法、汚染や関連する危害の重篤性について、十分なトレーニングを受けていなけ
ればならない。施設のあらゆる部分が適切に洗浄・清掃され、重要な区域や機器、資材が毎
日の、もしくは必要に応じてそれ以上の頻度で、洗浄・清掃、あるいは消毒するよう指定さ
れていることを確実にするために、永続的な洗浄・清掃および消毒スケジュールが作成され
なければならない。
4.4
廃物の保管および廃棄
廃物は食品や飲料水を汚染しないような方法で取り扱わなければならない。
害虫・害獣が廃物に近づかないような予防手段を取らなければならない。廃物は休憩時、
そして少なくとも毎日、食肉および食肉製品の取り扱い場所やその他の作業区域から取り
除かれなければならない。廃物を取り除いた直後に、その保管容器や廃物と接触したその
他の機器は洗浄・清掃され、消毒されなければならない。少なくとも毎日、廃物の保管区域
も洗浄・清掃され、消毒されなければならない。
4.5
飼いならされた動物の排除
管理できない動物や、健康に対して危害となるような動物は、施設から排除され
なければならない
4.6
害虫・害獣管理
4.6.1
昆虫や鳥、齧歯動物、その他の害虫・害獣を管理するための効果的かつ継続的な
プログラムを取っていなければならない。はびこっている証拠を見つけるために、施設や
その周辺区域は定期的に調査されなければならない。
4.6.2
害虫・害獣が施設や周辺区域に侵入してきた場合、根絶させるための手段を設け
なければならない。化学薬品や物理的、微生物学的物質による処置を伴う管理手段は、製
品の残留物から生じるものを含めて、それらの物質の使用による健康への潜在的危害につ
いて十分な理解のある人間の直接監督の下でのみ取られなければならない。そのような手
段は管轄権のある公的機関の勧告に従って、また、検査員の十分な知識によってのみ実施
されなければならない。
4.6.3
殺虫剤は、その他の予防方法が効果的に利用にできない場合にのみ用いられなけ
ればならない。管轄権を有する当局によって、施設での使用が認可された殺虫剤のみが使
用でき、その際は食肉や食肉製品、機器や器具への汚染を予防できるよう、慎重な注意を
払って使用されなければならない。殺虫剤が散布される前に食肉および食肉製品は部屋か
ら移動させ、機器や器具は全て、再度使用される前に十分に洗われなければならない。
4.7
危害物質の取り扱いおよび保管
殺虫剤やその他健康に対して危害をもたらす物質には、それらの毒性や使用に
ついての注意を促すラベルが貼られていなければならない。衛生目的のための要求事項を
除いて、食肉や食肉製品、包装資材、原料を汚染する可能性のあるそれらの物質は、施設
において食肉および食肉製品の前処理や加工、取り扱い、包装、または保管に利用される
以外の場所で取り扱われ、保管されなければならない。
CAC/RCP 13
- 13 -
これらの物質は承認され、適切にトレーニングされた人員によって、またはトレーニング
を受けた人員から厳しく監督された人員によってのみ取り扱われ、調剤されなければなら
ない。食肉および食肉製品への汚染を避けるよう、非常に注意を払わなければならない。
しかし、施設の建造や維持に利用される資材は、検査員の許可の下、常に使用されなけれ
ばならない。
CCP 注記:害虫・害獣管理や消毒、塗装、その他の目的で使用される多くの物質は
ヒトに対して危害となる物質を含んでいる場合がある。それらが食肉製品を汚染
した場合、公衆衛生に対する危害をもたらす可能性がある。検査員はそのような
物質のヒトに対する潜在的危害やその保管、使用について学ぶべきである。検査
員はそのような物質を作業時に使用することを辞めさせるべきであり、使用され
た場合は、そのような物質が食肉や食肉製品、食肉や食肉製品と接触する可能性
のある表面や器具に残留物を残さないことを納得すべきである。
4.8
私物および私服
私物や私服は、食品取り扱い区域に持ち込まれてはならない。
4.9
メンテナンス用器具
洗浄・清掃およびメンテナンス用の器具や製品は、食品取り扱い区域に保管されて
はならない。
セクション V‐人員の衛生および健康に対する要求事項
5.1
衛生トレーニング
施設のマネージャーは、人員が汚染を防止するために必要な予防措置を理解でき
るよう、食肉および食肉製品の取扱者全員に対して、食肉および食肉製品の衛生的な取り
扱い、また、個人衛生についての適切かつ継続的なトレーニングを計らわなければならな
い。指示には本規範の該当箇所が含まれるべきである。この目的のためには、管理当局、
または施設が検査員の協力のもと作成した教材が使用されるべきである。
5.2
健康診断
5.2.1
疫学的考慮や特定の施設で前処理される食肉製品の特質、または食肉や食肉製品
を取り扱う見込みのある人間の病歴などの理由から、医療アドバイスに従っている、管轄
権を持つ公的機関が必要と考えた場合、作業中に食肉や食肉製品と接触する人員は雇用前
に健康診断を受診しなければならない。臨床的または疫学的に必要とされた場合、食肉お
よび食肉製品の取扱者の健康診断は、他の時も実施されなければならない。
5.2.2
検査員によってそうすることを要求された場合、いかなる施設のマネージャーも、
施設の従業員がマネージャーのために作成した診断書を検査員が精読するために提出しな
ければならない。
5.3
伝染性の病気
施設は、食肉や食肉製品を通じて感染する可能性のある病気を患っている、
CAC/RCP 13
- 14 -
その疑いのある人間、またはその保菌者、もしくは細菌感染した傷や皮膚感染、腫れ/ただ
れ、下痢などに悩む人間が、直接あるいは間接的に食肉や食肉製品を病原菌微生物で感染
させる可能性のあるいかなる区域で、いかなる量の作業を行うことを許可されることがな
いことを保証するための注意を払わなければならない。そのように感染している人間は、
自分が病気に感染していることを直ちにマネジメントに報告しなければならない。
CCP 注記:細菌感染した傷や皮膚感染のある人員は、レトルト採取法直後に缶に
入っていても、食肉や食肉製品をブドウ球菌で汚染させる可能性がある。下痢に
悩んでいる人員や、胃腸炎を起こす微生物の保菌者は症状がなくても、食肉や食
肉製品をサルモネラ菌やその他胃腸の病原菌で汚染する可能性がある。そのよう
な人間は責任を負う医療当局によって健康に対して危害を与えないと宣言するま
では、たとえ閉鎖されたコンテナの中でも、食肉や食肉製品の取り扱いをさせて
はならない。
5.4
ケガ
切り傷や摺り傷がある人間は誰でも、食肉や食肉製品の作業を中断しなければな
らず、適切に包帯をされるまでは、その人間は食肉や食肉製品の前処理や取り扱い、包装、
または輸送に携わってはならない。いかなる施設で働いている者も、目立つ色で、偶然に
外れることのないような性質を持つ、完全防水のカバーで覆われていない限り、包帯をむ
き出しで巻いていてはならない。このような目的のため、適切な救急設備が備えられてい
なければならない。
CCP 注記:防護されていなければ、傷はブドウ球菌などの病原微生物に感染しや
すい。これらはその後、食肉や食肉製品を汚染する。感染や汚染を防止するため
に、傷は直ちに、判別しやすい包帯などで処置を施さなければならない。作業員
はそのような事故をマネージャーに報告するよう奨励されなければならない。
5.5
手洗い
食肉および食肉製品の取り扱い区域に従事している人間は全員、勤務中は頻繁か
つ徹底的に自分達の手を、飲料用の流温水で適切な手洗い用洗剤を用いて洗わなければな
らない。手は、作業開始前や、トイレの使用直後、汚染された材料の取り扱い後、その他
必要な時は常に洗わなければならない。病気の、またはその疑いがある素材を取り扱った
後は直ちに手を洗い、消毒しなければならない。手洗いを要求する注意書きが表示されて
いなければならない。
CCP 注記:トイレの外や作業場の近く、その他など、手洗い設備に簡単にアクセ
スできるよう手配するのはマネジメントの責任である。また、マネジメントは従
業員に対して正しい手洗い方法を指示し、やる気を起こさせなければならない。
本要求事項に確実に適合するために、適切な監督を行うべきである。
5.6
個人の清潔度
5.6.1
施設内で食肉や食肉製品を取り扱う区域に従事している人間は全員、勤務中は
清潔度を高く保っていなければならない。また、そのように従事している間は常に、ヘッ
ド・カバーや履物を含む、適切な防護服を着用していなければならない。それらのものは全
て、使い捨て用にデザインされていない限り洗濯可能であり、その人間が従事している作
業の性質に整合するような、清潔な状態に維持されなければならない。
CAC/RCP 13
- 15 -
CCP 注記:施設内では、衣類は肉の破片や脂肪、血液などで汚染されやすい。
不快であることに加えて、そのような汚染は食肉や食肉製品に悪影響を与える微
生物を増殖させる可能性がある。シフトの終了時には、全ての防護服は徹底的に
洗浄され、消毒されなければならない。
5.6.2
エプロンおよび同様のアイテムは、床で洗浄してはならない。
5.6.3
そのようなアイテムは、作業区域の機器の上に置いていってはならない。
CCP 注記:そのようなアイテムは、害虫・害獣から防護するために、鍵のかかる
安全な場所にしまうのが望ましい。いかなる状況下でも、作業区域の装置の上に
置きっぱなしにしてはならない。
5.7
個人のふるまい
飲食する、喫煙する、物を噛む、唾を吐くなど、食肉や食肉製品を潜在的に汚染
する可能性のあるいかなるふるまいも、食肉や食肉製品の前処理や取り扱い、包装、保管、
または輸送に使用する施設のいかなる場所において禁じられている。
5.8
手袋
食肉や食肉製品の取り扱いにおいて手袋が使用されている場合、それは正常で、
清潔な状態に保たれていなければならない。手袋を着用することで、作業者が手を十分に
洗うことを免れるわけではない。その使用が関連する作業には不適切、または矛盾する場
合を除いて、手袋は不浸透性の材質で作られていなければならない。
CCP 注記:関連する作業が必要とするだけ頻繁に、または、少なくとも休憩毎に
変更できるよう、使い捨ての手袋が望ましい。金属製の手袋には特別な手入れを
行わなければならない。そのような手袋は少なくとも 1 日 1 回、もしくは汚染さ
れた都度に洗浄し、消毒しなければならない。磨耗した、または鎖の輪が欠けて
いる金属製の手袋は適切に修繕される、または交換されなければならない。
5.9
来客
施設内の食肉や食肉製品の取り扱い区域を訪問する来客は全員、清潔な防護服を
着用しなければならない。来客は条項 4.8、5.3、5.4 および 5.7 にて推奨される規定を守る
べきであり、清潔な防護服を着用しなければならない。来客は条項 4.8、5.3、5.4 および 5.7
にて推奨される規定を守らなければならない。
5.10
監督
人員全員が条項 5.1∼5.9 を含んだ全ての要求事項へ適合することを確保するため
に、力量のある管理職にその監督責任を明確に割り当てられていなければならない。
セクション VI‐施設:衛生加工要求事項
6.1
原材料に対する要求事項
CAC/RCP 13
- 16 -
6.1.1
食肉製品の製造に利用される肉は全て、生肉のための衛生作業規範の条項に適合
して生産されていなければならず、また、その規範や動物屠殺の前後に行われる検査のた
めの規範、動物屠殺および食肉の前後に行われる審査のための規範に規定されている検査
工程に従っているべきである。食肉は人間が消費するのに適していると、検査員より許可
を得ていなければならない。
6.1.2
鶏肉は鶏肉加工のための衛生作業規範に適合して生産されていなければならず、
また、人間が消費するのに適していると、検査員より許可を得ていなければならない。
6.1.3
狩猟用動物の肉は猟鳥獣類のための衛生作業規範に適合して生産されていなけれ
ばならず、また、人間が消費するのに適していると、検査員より許可を得ていなければな
らない。
6.1.4
動物、野菜、その他を源とするのに関わらず、他の原材料や原料は全て、人間の
消費に適していなければならず、また、該当するならば、関連する衛生作業規範の条項に
適合して生産されていなければならない。
CCP 注記:条項 6.1.1~6.1.3 は、所轄官庁が食肉製品の生産に利用される食肉や
鶏肉、狩猟動物の肉の源および生産を検査したことを確実にしなければならない。
所轄官庁が原材料は人間の消費に適していると考えた場合、官庁はしかるべく
マークを付け、食肉や鶏肉、狩猟動物の食肉の委託販売に従った証明書を発行す
る。検査員や食肉製品を生産している施設のマネージャーは、マークと証明書(添
付されている場合)、そして原材料そのものを検査することで原材料の受容性に納
得するべきである。6.1.4 に示唆されているように、その他の材料に関しては、事
前検査や証明は何も行われていない。この場合、検査員やマネージャーは人間が
消費するのを容認できるものであれば、または 6.1.5 で推奨されているように、
試験後、衛生的に受け入れ可能であると考えられれば、原料を受け入れる。
6.1.5
劣化した、またはその他の腐敗工程が進んだ、あるいは異物によって汚染され
人間が消費するのに不適合となった食肉や鶏肉、狩猟動物の肉、その他の原料は食肉製品
の加工や製造に利用されてはならない。必要な場合、施設内の生産区域に移動させる前に
原料の実験室試験を行うべきである。
CCP 注記:検査員によって人間が消費できると許可されても、輸送中などに変化
が生じて、食肉製品を生産する施設では、もう人間の消費に適していないと考え
られることもある。そのような食肉は、人間が消費する目的以外で利用される、
もしくは破棄されなければならない。汚染が表面上だの場合は、汚染された部分
をトリミングするだけで十分である。食肉が未だ人間の消費に適しているとの判
断は、観察される、または疑わしい変化に関連する微生物学的、化学的、物理的
分析を参考にできる。
6.1.6
施設の構内にて保管される原材料や原料は、劣化を予防し、汚染から防護し、
損傷を最小限にするような状態で維持されていなければならない。原材料や原料の在庫は、
適切に回転させなければならない。
CAC/RCP 13
- 17 -
6.2
交叉汚染の防止
6.2.1
初期の加工段階で資材と直接、または間接的に接触することで食肉や食肉製品が
汚染されるのを防止するための適切な手段を取らなければならない。食肉製品の前処理、
加工、保管のために使用される区画は全てその目的にのみ、あるいは、同じ衛生条件のそ
の他の食品の前処理や保管にのみ使用されるべきである。区画が非食肉製品の加工に利用
されているのであれば、その結果による汚染が食肉製品に起こらないことを確実にするよ
うな手配がなされていなければならない。
6.2.2
最終製品を汚染する可能性ある原材料、または半加工食肉製品を取り扱っている
人間は、自分達が使用した器具全てを洗浄・清掃、消毒し、原材料や半加工製品の取り扱い
中にそれらと接触したときに着用していた、あるいは原材料や半加工製品の汚れがついた
防護服を全て着替えない限り、最終製品と接触してはならない。原材料や半加工製品の取
り扱い後に最終製品を取り扱い場合、手や腕は常に徹底的に洗浄し、消毒しなければなら
ない。
CCP 注記:ほとんどの場合、最終製品は微生物の数を減らすための工程を必要と
している。しかし、加熱工程などの後に、微生物が食肉製品を汚染する可能性が
ある。この場合、加熱工程後に食肉製品を汚染した微生物は、食肉本来の植物相
による競争がないので、瞬く間に増殖する。そのような汚染は、原材料や半加工
製品と作業を行っていた人員の器具や手、腕、衣類から起こることがある。その
ような理由により、それらの人員は最終製品、特に未包装のものの汚染を防止す
るような予防措置を取ることが重要である。ある場合においては、カビの生えた
ソーセージなどの最終製品を取り扱った後は、作業員は原材料や半加工製品の取
り扱いを行わないことが望ましい。
6.2.3
トレーや樽、台などの機器は、加工食肉製品に指定された区域に持ち込まれる前
に完全に洗浄・清掃、消毒しない限り、原産物と加工製品と交互に使用してはならない。む
き出しのインスタント食品、または調理済製品は、生肉と同じ部屋に保管されてはならな
い。
CCP 注記:6.2.2 の注記で述べられたのと同じ状況が適用される。
6.2.4
除骨やトリミング作業は常にできるだけ迅速に行い、除骨およびトリミングに
使用する部屋に食肉を溜めることを許可してはならない。
CCP 注記:除骨やトリミングは食肉の表面が汚染源、他の食肉や機器、器具、に
晒されることを伴う。そのような汚染は除骨した、あるいはトリミングした食肉
を冷蔵保管庫、または次の加工に速やかに移動させることで、最小限に保たれる。
6.2.5
いかなる食肉の調理や燻製も、その目的のために装備された別の区域で行われ
なければならない。
6.3
水の使用
6.3.1
6.3.2 と 6.3.3 の先入観を与えることなく、食肉の加工には飲料水のみが使用され
なければならない。
CAC/RCP 13
- 18 -
6.3.2
非飲料水は管轄権のある公的機関の認可を得て、蒸気の生成、冷蔵、防火、その
他食品には結びつかない、同類の目的のために利用できる。しかし、管轄権のある公的機
関の具体的な認可があれば、非飲料水は健康に対する危害とならないことを条件に、特定
の食品取り扱い区域で使用できる。
6.3.3
施設内で再利用されるための再循環水は、その使用によって健康に対する危害の
原因とならないような状態に処理され、維持されなければならない。処理工程は継続的監
視の下に置かなければならない。反対に、更なる処理を経ていない再循環水は、健康に対
する危害とならないよう、また、原材料と最終製品のいずれかを汚染しないような状態で
使用されなければならない。再循環された非飲料水は、容易に識別できるような別々の給
水システムを有していなければならない。いかなる処理工程や食品加工に再循環水を利用
する場合も、管轄権のある公的機関の認可が必要とされる。
6.4
6.4.1
加工工程
加工工程は、技術的に力量のある人員によって監督されなければならない。
6.4.2
包装を含む、生産工程の全段階は不要な遅延なしに、また、汚染や劣化の可能性、
あるいは病原および損傷微生物の増殖を予防するような状態で遂行されなければならない。
CCP 注記:全ての工程が互いの直後につながる、連続的な流れで遂行されるよう
生産工程がデザインされているのが理想である。しかし、何らかの理由によって
遅延が必要な場合は、半加工製品は遅れている間冷蔵され、10℃以下の温度に保
たれているべきである。しばしば食肉加工は食肉製品の状態変化を意味し、より
微生物の攻撃の影響を受けやすい。乾燥や(燻製、塩漬けなどの)保存用加工
など、例外は微生物の増殖する可能性を減少させる工程である。時間や温度以外
にも、特定の状況下では、水分活性や酸化還元電位、または食肉製品の微生物を
定期的にモニタリングしなければならない。
6.4.3
保存方法や必要な管理方法は、公衆衛生に対する危害の汚染や増殖を予防するよ
うなものでなければならず、また、最適商慣行の範囲内で劣化を防止できるようでなけれ
ばならない。
6.5
包装
6.5.1
むき出しの食肉や食肉製品が前処理、加工、取り扱い、包装、保管される施設の
いかなる場所にも容器や機器、器具が保管されてはならない。
6.5.2
包装資材は全て、清潔かつ衛生的な方法で保管されていなければならない。資材
は食肉製品の包装や予想される保管状態に適していなければならず、管轄権を持つ公的機
関が許容する範囲を超えて不適合物質を製品に通してはならない。包装資材は健全で、
汚染に対して適切な防護を備えていなければならない。
6.5.3
食肉製品の容器は、製品の汚染に繋がるような目的で利用されていてはならない。
CAC/RCP 13
- 19 -
それらの元の容器によって必要な場合、それらが申し分のない状態であり洗浄されている、
または洗浄、消毒されていることを確実にするために、容器は使用直前に検査するべきで
ある。洗浄された場合は、容器は詰められる前にしっかりと水切りされていなければなら
ない。すぐに使用を必要とされる包装資材のみ包装、またはフィリング/充てん区域に保管
されているべきである。
CCP 注記:それが衛生的に実施されている自動運転の一部でない限り、ダンボー
ル箱用の板紙などの包装資材は、むき出しの食肉や食肉製品の前処理、加工、
取り扱い、包装、保管がなされている部屋で組み立てられてはならない。
CAC/RCP 13
- 20 -
6.5.4
最終食肉製品が汚染される可能性を防止するために、容器の乱暴な扱いは避けな
ければならない。
6.5.5
食肉製品は、通常の取り扱い、輸送、保管による汚染や劣化から防護されるよう
な方法で包装されなければならない。
6.5.6
ロットの識別
包装された食肉製品には生産工場とロットを識別するために、コードまたは明文
で恒久的な印が付けられていなければならない。
6.5.7
加工および生産記録
各ロットに関連して、該当する加工および生産の詳細について読みやすく、
日付の入った恒久的な記録が保管されなければならない。これらの記録は製品のシェルフ
ライフを越えた期間維持されるべきであるが、特定の必要性がない限り、記録は 2 年以上
保管する必要はない。また、記録は最初のロット毎の流通で保管されるべきである。
6.6
保管
6.6.1
食肉や食肉製品は、汚染や微生物の増殖による汚染を妨げ、製品を劣化から、
または容器への損傷を防護するような状態で保管されなければならない。保管期間中は、
人間が消費するのに適した食肉製品のみが発送され、最終製品の仕様書が存在するのであ
ればそれに適合することを確実にするために、食肉および食肉製品の定期的検査を実施す
べきである。製品はロット番号の順番で発送されなければならない。
6.6.2
食肉や食肉製品が冷蔵室に置かれている場合、次の条項が適用される:
6.6.2.1 入室は、業務を円滑に行うのに必要とされる人間に限定される。
6.6.2.2 扉は長時間開放されていてはならず、使用後は直ちに閉められなければならない。
6.6.2.3 食肉や食肉製品だけでなく、食肉や食肉製品を入れている容器も床に直接積んで
はならない。
CCP 注記:製品の中心部分の劣化を予防するために、暖かい製品は大きな容器に
入れる前に冷蔵されなければならない。食肉製品の全ての部分、または包装され
た全ての食肉製品の迅速な冷却や、長期保存用ではない食肉を冷蔵温度に保つ
ことは必須である。それらは適切な空気循環ができるような方法でパレットや
荷敷きに載せられていなければならない。
6.6.2.4 設定された容量を越えて詰め込まれている冷蔵室があってはならない。
6.6.2.5 冷蔵設備が有人でない場合、自動温度記録装置が設置されていなければならない。
CAC/RCP 13
- 21 -
自動装置が設置されていない場合は、定期的に温度を測定し、測定値をログブックに記録
しなければならない。
CCP 注記:冷蔵室において望ましい温度を維持することは、非常に重要なことで
ある。冷却設備が偶然故障し、その結果、部屋や製品の温度が上昇する。そのよ
うな温度上昇を探知するために、自動もしくは手動で記録を取らなければならな
い。その結果はマネージャーに報告され、必要であればマネージャーはどのよう
な措置を取るかを判断させるために、検査員に報告する。
6.7
6.7.1
最終製品の輸送
コンテナの輸送手段は、次の条件に適合しなければならない:
6.7.1.1 内側の仕上げは全て、耐食性の材質で作られており、滑らかかつ不浸透性で、容
易に洗浄・清掃、消毒ができなければならない。結合部やドアは、害虫・害獣、その他の汚
染源の侵入を防ぐよう密閉されていなければならない。
6.7.1.2 設計や機器は郵送期間を通して、必要とされる温度が維持できるようになってい
なければならない。冷蔵輸送の時は、温度記録装置を設置するのが望ましい。自動装置が
設置されていない場合は、定期的に温度を測定し、測定値をログブックに記録しなければ
ならない。
6.7.1.3 食肉製品の輸送を目的とする車両は、食肉製品が床に接触しないような方法で
装備されていなければならない。
6.7.2
食肉製品は、生きた動物を運搬するために使用されるいかなる輸送手段において
運ばれてはならない。
6.7.3
食肉製品は、製品に悪影響を与えるような方法で、他の物品と同じ手段で運ばれ
てはならない。
6.7.4
食肉製品は、清潔ではないいかなる輸送手段にも置かれてはならない。必要で
あれば、積み込む前に洗浄・清掃、消毒しなければならない。
6.7.5
保管および輸送中、冷凍された食肉製品の温度変化を防止するためにあらゆる努
力をするべきである。しかし、不慮に解凍されてしまった場合、食肉製品はいかなる次の
工程を取る前に、検査員によって検査・評価されなければならない。
6.8
サンプリングおよび実験管理手順
6.8.1
検査サービスが行う定期的な管理に加えて、各施設に加工された食肉製品を実験
管理するための手段があるのが望ましい。そのような管理の回数や種類は食肉製品の種類、
また、マネジメントの必要性によってさまざまである。そのような管理では、人間が消費
するのに不適合とされる食肉製品は全て、拒絶されなければならない。
6.8.2
衛生状態をモニタリングするために、実験室の設備が設けられていなければなら
ない。これは施設独自の設備や公の実験室、またはその他の適切な実験室でも良い。
CAC/RCP 13
- 22 -
6.8.3
検査員は、自らの職務や責任に関する全ての情報が入手できるようでなければな
らない。
6.8.4
食肉製品の安全性や衛生状態を評価するために、製品のサンプルを取らなければ
ならない。
6.8.5
結果が敏速に解釈されるように、実験室における手順は、公認、もしくは標準
方法に従わなければならない。
6.8.6
病原菌を検査するための実験室は、食肉生産区域から十分離されていなければ
ならない。
セクション VII‐最終製品の基準
7.1
微生物学的、化学的、物理的などの基準は、食肉製品の性質によって要求される。
しかし、本規範の要求事項に従い、その目的の達成されていることを確実にするには、
徹底的な最終製品試験よりも、HACCP のコンセプトの適用の方がより効果的である。最終
製品試験が実施された場合は、サンプリング手順や分析方法論、仕様、許容範囲が基準に
含まれていなければならない。
7.2
い。
適正製造規範の可能な範囲内で、製品には不適合な物質が含まれていてはならな
7.3
適正なサンプリングや検査方法で試験された場合、製品には:
(a)
(b)
健康に対する危害となる数の病原菌があってはならない。
微生物から発生した、健康に対する危害となり得る量の物質が含まれて
いてはならない。
(c) 健康に対する危害となり得る量のその他毒性、または有害な物質が含まれて
いてはならない。
7.4
製品は、コーデックス委員会が定める殺虫剤残余や食品添加物の要求事項に
適合しなければならない。
CAC/RCP 13
- 23 -
付属文書 A
固く密閉された容器での食肉製品の保存
密閉された金属容器での保存用食肉製品の保存についての詳細は、低酸性および
酸性強化低酸性缶詰食品のための国際的衛生作業規範(CAC/RCP 23-1979)を参照のこと。
固く密閉された容器で食肉製品を保存する際の CCP は、次のとおりである:
a)
加熱加工。製品は以降の保管、輸送、販売中に公衆衛生に対して危害とならず、
また、傷みに耐えられるように加工されなければならない。特定の処方の温度
と加工時間は、缶詰化の技術の力量を持つ、技術専門家の勧告を元にすべきで
ある。
b)
加工工程の監督。加工工程は技術的力量を持つ人員によって監督されなければ
ならず、また、検査員の点検を受けなければならない。
c)
シーム(継ぎ目)の管理記録。シームの管理は生産中、定期的に行われなけれ
ばならない。製品の各バッチの加工やその履歴を特定するのに適した工程記録
と共に、この管理記録はマネジメントによって保管され、検査員が入手できる
ようにしなければならない。
d)
水の管理。空の容器の洗浄、または密封容器の調理・冷却には、飲料水のみが
使用されなければならない。加熱加工された容器の冷却に再循環水が使用され
ている場合、それはろ過され、必要であれば塩素を追加して処理されなければ
ならない。どの程度飲料不可かにもよるが、そのような水は冷却装置の放流口
において2∼500 万分の一の残留塩素を含んでいなければならない。塩素の
代用に、その他の許容可能な殺菌剤を有効濃度で使用することも可能である。
e)
容器の取り扱い。加工した製品の汚染を予防するために、加工の前後に容器を
乱暴に扱うことは避けるべきである。濡れた缶を取り扱いが必須の場合、人員
は衛生的な予防措置を用いて行うべきである。ベルトコンベヤや滑走路、その
他の缶を運搬する機器は障害物がなく、手入れが行き届いた状態にしておかな
ければならない。
f)
食肉製品の保管。室温で保存できるような加熱処理をされない缶詰の食肉製品
は、常に冷蔵された状態で保管、輸送、販売されなければならない。
CAC/RCP 13
- 24 -
付属文書 B
包装前に加熱処理された保存用ではない食肉製品の保存
a)
食肉製品が包装前に加熱処理される施設では、生の加工前の食肉を受け入れた
際に保管する、また、調理、その他の加工セクションに直接移動されない除
骨された、カットされた、その他の生の加工前の食肉を保管するための、冷
蔵室が備えられていなければならない。
調理された食肉が、最も遅い冷却でも中心温度が 7℃以下で迅速に冷却・保管
できるような適切な手段がなければならない。
b)
前処理後は、製品は最終調理まで冷蔵されていなければならない。これら加熱
処理された食肉製品の加熱工程の温度と時間は、加熱処理のみで、あるいは
その他の保存工程と合わせて、病原体の栄養型からの健康危害を除去するの
に十分となるようでなければならない。工程は技術的に力量のある人員によ
って監督されなければならず、必要に応じて、管轄権のある公的機関によっ
てチェックされなければならない。製品の各バッチの加工や履歴を特定する
のに適した工程記録がマネジメントによって保管され、管轄権のある公的機
関が入手できるようにしなければならない。
CCP 注記:そのような食肉製品による公衆衛生に対する主な危険性(リスク)
は、サルモネラ菌やブドウ球菌、ウェルシュ菌などの食中毒微生物であるこ
とが経験によって示されている。この危険性(リスク)を削減するには、加熱処
理が増殖微生物を確実に不活性化させる。これには正確な温度と時間の条件
が必要とされ、それらはモニタリングされなければならない。
c) 調理後のあらゆる段階は、むき出しの食肉製品を人間が取り扱うことは絶対的
に最小限に抑えなければならず、また、可能であれば、機械的な方法に置き換
えるべきである。
CCP 注記:加熱処理後は、食肉製品は手や接触する表面からの微生物汚染に
は特に敏感になっている。特に重要なのはブドウ球菌などが付着している手か
らの汚染である。そのような食肉製品を取り扱う人員は、使い捨て手袋を使用
することを推奨すべきである。
d) 調理された食肉製品は、中心温度が 7℃以下になるよう、衛生的な方法ででき
るだけ迅速に冷却されなければならない。調理された食肉製品の冷却に水が使
用されている場合、それは飲料可能な品質でなければならず、処理後は飲料可
能な品質に戻るのであれば、再循環しても良い。
CCP 注記:ウェルシュ菌など、調理しても生き残った、また、調理後に食肉
製品を汚染した微生物の増殖を妨げるため、迅速な冷却が必須である。水が飲
料可能かは、条項 3.5.1.1 の CCP 注記に従って確認するべきである。冷却温度
は、継続的でなければ、頻繁にモニタリングしなければならない。
CAC/RCP 13
- 25 -
e) 加熱処理によって保存された食肉製品の包装は、不要な遅延なしに別室で行わ
れなければならない。
CCP 注記:生の加工前の食肉からの交叉汚染を予防するために、特別な注意
を払わなければならない。スライスやカット後に包装工程が続くのであれば、
これらの工程は満足できる衛生状態の下、同じ部屋で行われるのが望ましい。
目視可能な不良品を確実に検出し、却下するために、包装された最終製品は
検査されなければならない。
f)
包装前に加熱処理された食肉製品は冷蔵設備に保管され、汚染から防護されな
ければならない。
CCP 注記:加熱処理後に包装された食肉製品の冷蔵保管および汚染からの保
護のみが、予定シェルフライフと公衆衛生に対する危害からの保護を確保する。
冷蔵室の冷却温度は、継続的でなければ、頻繁にモニタリングしなければなら
ない。
g) 定期的な微生物検査を行うために、適切な実験設備が備えられていなければな
らない。
CCP 注記:そのような微生物学的モニタリングには食肉製品そのもののみが
含まれる。しかし、洗浄・清掃、消毒手順が十分なことを確保するために、食
肉が接触する表面も含まれる。
CAC/RCP 13
- 26 -
付属文書 C
密閉容器に詰められた食肉製品の細菌試験の手順
説明覚書
1.
細菌試験によって密閉容器に詰められた大量の食肉製品の出荷品の安全性や安定
性を管理するには、実験室の設備よりも容器の検査が要求され、人員にも取り扱いができ、
製品の大量廃棄に繋がる。細菌試験によってボツリスムを検出できる可能性は低い。
2.
安全性や安定性についての一層の知識が、生産管理や加工施設における加熱処理、
給水についてのデータから得られる。その供給源からの過去の積荷の経験から得た、施設
の製品についての知識にも信頼性がおける。そのようなデータが適切かつ十分であれば、
試験は省略することができる。しかしながら、工場のデータが十分であっても、管理当局
は入港地での積荷の定期的検査の実施を決定する可能性がある。
3.
密閉容器の完全性は、製品の安全性に非常に重要である。従って、積荷が検査
される場合、容器の完全性について注意深く検査されなければならない。
4.
積荷が検査される場合、容器が破損すると積荷の安全性に危険が生じるので、
そのようなことが起こらないよう注意を払わなければならない。サンプル内の容器への
損傷は、不当な積荷の留め立てに繋がることもあり得る。
5.
1.で示されたように、サンプリングで公衆衛生に対する危険性(リスク)に繋
がる微生物学的危害(例:ボツリスム)を検出する可能性は低い。加熱処理された保存用
食肉製品については、この文書は単にさまざまな欠陥の割合のあるロットの欠陥サンプル
を得る可能性を示唆しているだけである。不正確な加工や加工後の汚染の危険性を疑う理
由がある場合など、サンプリングの手順は治験的である。検査は入港地に到達後、直接取
られたロットの缶で行うこともでき、また、十分な潜伏期間を置いて行うこともできる。
保存用ではない加熱処理された食肉製品の場合、細菌試験やガイドラインを必要とするサ
ンプリング計画が提案される。これらの製品を疑う主な理由は、加工後、輸送中、保管中
の極端な温度変化である。したがって、もっと少ない数のサンプルが必要とされるサンプ
リング計画で十分である。しかし、不正確な加工を疑うだけの理由がある場合、この計画
も利用されるべきである。
セクション I−適用範囲
1.
これらの手順は、包装後に加熱処理された、密閉容器に詰められた食肉製品の
ロットの、微生物学的治験目的の国際取引をする際のガイドラインとして利用するための
ものである。
2.
保存用製品の場合、取るべきサンプル数や検査方法は検査機関によって評価され
る。文書にはロット中の欠陥サンプルを得る可能性が含まれている。細菌試験によって
ボツリスムを検出する可能性は低い。
CAC/RCP 13
- 27 -
3.
加工処理された非保存用食肉製品の場合、細菌試験とガイドラインを必要とする
サンプリング計画が提案される。
4.
これら全ての手順は、管理当局がロットは不十分で、決まった目的のためでは
ないと疑う理由がある場合に使用されることを意図している。
セクション II−参考資料
1.
低酸性および酸性強化低酸性缶詰食品のための国際的衛生作業規範(CAC/RCP
23-1979)
2.
本規範の付属文書 A
セクション III―手順
A.
包装後に加熱処理された保存用食肉製品
1.
検査機関が予想される危害に従って取るべきサンプル数を評価し、必要とされる
サンプル数の検査の実行可能性を評価する。次の表は、検査機関がサンプル計画を選択す
る際の参考のためである。しかし、治験的サンプリングが利用されている場合、記載され
た範囲の外や記載された数字の間のサンプル数が異なった目的のために利用可能なので、
その限りではない。
欠陥ロット(p)の割合に対して、(n)サブ・サンプル(サンプル・ユニット)の
サンプル内にひとつ、もしくはそれ以上の欠陥品がある可能性
サンプル1つあたりに対して
検査されたサンプル・ユニット
(例:缶)の数
200
1000
2000
3000
4000
5000
欠陥ロットの割合
0.01
0.001
0.0001
0.00001
ひとつ、もしくはそれ以上の欠陥品を検出する可能性
0.87
0.18
0.02
0
1.00
0.63
0.10
0.01
1.00
0.86
0.18
0.02
1.00
0.95
0.26
0.03
1.00
0.98
0.33
0.04
1.00
0.99
0.39
0.05
B.
包装後に加熱処理された、非保存用食肉製品
1.
非保存用食肉製品の場合、5つの容器が目視検査され、中身の細菌試験がなされ
る。得た結果やその他ロットについての関連情報によっては、それは合格、留め立て4、ま
たは更なる調査のために隔離される。
規範本文の留め立てするの定義を参照。
CAC/RCP 13
2.
- 28 -
手法:
(a) ロットの温かい場所から 5 つの容器をサンプリングし、目視可能な欠陥を
検査する。
(b)
(a)で言及した5つの容器を正確に識別し、細菌試験のために実験所に送る。
輸送は冷蔵温度 10℃以下でなされなければならない。
(c) 実験所では、5つの容器から試料を無菌状態に用心しながら取り出す。
ひとつの試料を各容器の中心部から、もうひとつを各容器の周辺から得る。
(d)
2×5 の大きさの試料の好気性生菌数を検査する。ISO 規格(IS 2293)- Aerobic
Count at 30℃(30℃における好気性生菌数)(参考方法)を利用する。
(e)
10 個の試料のうち、ひとつでも 1 グラムあたり 10,000 を越える好気性生菌
数があった場合、留め立てする。また、3 つ以上の容器の中心部、または周辺
の
試料から 1 グラムあたり 1,000 を越える好気性生菌数があった場合も、留め
立てする。
(f)
留め立てする場合、特定の微生物の調査が示される場合がある。
CAC/RCP 13
- 29 -
付属文書 D
消費者用の大きさの密閉容器に詰められた
保存用塩漬け食肉製品の保存
保存用塩漬け食肉製品を密閉容器で保存する場合、次の要因が極めて重要で
ある:塩分と水分の含有量、入っていく亜鉛硝酸の含有量、食肉および非食肉原料の微生
物汚染、pH、加温工程、容器の完全性。保存においての安定性は、細菌胞子汚染の部分的
な加温破壊や、それに続く生き延びた胞子の抑制によって確保される。製品の安全性は先
に述べた重要な要因の正確な組み合わせにかかっている。
慣例により、製品の効果的な加熱処理は F。として表示されている。F。=1の数
値は容器の最も冷たい部分(中心部)を 121.1℃で 1 分加熱することと同等である。また、
111.1℃で10 分、あるいは 101.1℃で 100 分の加熱処理は F。=1と等しい。
本文を低酸性および酸性強化低酸性缶詰食品のための国際的衛生作業規範
(CAC/RCP 23-1979)と、本規範の付属文書 A と併せて読むことは絶対不可欠である。
本付属文書で対応されている重要な要因は次のとおりである。
a)
生の食肉原料の微生物汚染は定期的に検証されるべきである。1 グラムあたり
100 中温性バチルス胞子が平均レベルを上回った場合、潜在的な汚染源を特定
するために生産連鎖を徹底的に検査する、あるいはより厳しい加熱処理を適用する
理由とするには十分である。
b)
香辛料の好気性菌中温性胞子数は 1 グラムあたり 1×104を越えてはならない。
c)
香辛料以外の非食肉原料が生の最終製品を汚染する原因となった場合、合計で
1 グラムあたり 50 中温性胞子の範囲内でなければならない。
d)
項目a)からc)の要求事項が適合していると仮定した場合、次の塩水濃度(%NaCl
×100/(%NaCl+%H2O))と加温加工、1kgあたり 150mgの添加亜硝酸塩
(亜硝酸ナトリウムと表示されている)と未修正のpH範囲 6.0∼6.7 とを併せた組
み合わせが、密閉容器に詰められた安全な保存用ランチョンミートや細切れ肉、ハ
ムやショルダーベーコン、フランクフルトタイプのソーセージを製造する上での大
まかなガイドラインとなる。
ランチョンミートおよび細切れ肉:
塩水濃度 3.0∼4.0%
塩水濃度 4.0∼4.5%
塩水濃度 4.0∼5.0%
塩水濃度 5.0∼5.5%
/
/
/
/
1.0∼1.5F。
1.0F。
0.5∼1.0F。
0.5F。
CAC/RCP 13
- 30 -
ハムおよびショルダーベーコン:
塩水濃度 3.3%
塩水濃度 3.7%
塩水濃度 4.0%
/
/
/
0.3∼0.5F。
0.2∼0.3F。
0.1∼0.2F。
ソーセージ:
塩水濃度 2.5%
/
1.5F。
塩漬け殺菌されたサイドベーコン:1kgあたり 100mgの添加亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム
と表示されている)と併せて、保存用の塩漬け殺菌されたベーコンには、少なくとも 7%の
塩水濃度がなければならず、また、中心部を最低でも 70℃で加熱されなければならない。
e)
さほど厳しくはない安全要因の組み合わせを適用する場合、それらは微生物学的研
究を通してなどの工場の幅広い経験や、細菌胞子を確実に最小レベルに抑える衛生規格に
基づいていなければならない。
f)
1kg あたり 150mg の添加亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウムと表示されている)の
レベル以下を利用するのが望ましいかもしれないが、これは塩水濃度を上げるおよび/また
加熱加工を増加させることを必要とする可能性がある。
g)
塩水濃度と入れられる亜硝酸塩の量は、製品の全ロットが少なくともそれぞれに
特定されたレベルを確実に含むよう、注意を払って管理されなければならない。