HOW TO PLAY "THE RUSSIAN CAMPAIGN2" 『独ソ戦 2』再版記念・短期集中連載 『独ソ戦2』はこう戦え ──ドイツ軍の場合 文／山内克介 前号に引き続き、 『独ソ戦 2』の作戦研究をお送りします。今回は序盤で主導 権を握る……はずのドイツ軍について。「はず」としたのは、前回で紹介した 通り、実はソ連軍がゲームの主導権を握っていることが多々あるからです。し かしドイツ軍が勝利するためには、ソ連軍プレイヤーの頭脳を席巻する「電撃 戦」をもって主導権を奪わなければなりません。そのためにはどうすべきか、 そして電撃戦をもってしてもソ連軍プレイヤーを屈服させられなかった時は どう対処するのか、考えてみたいと思います。 た。これらによって『独ソ戦 2』のドイツ軍は、 フイにしてしまうのを防ぐことにあります。 史実がそうであったように、可能な限り前で 緒戦で電撃侵攻を行うドイツ軍は、テクニカ 守る必然性と、どんなに難攻不落を誇っても ルな運用を求められることもあって詳しく書 砲兵シフトによって抜かれる危うさを感じる き出せばキリがありませんが、試行錯誤しな 『独ソ戦（RC）』 （AH）と最新『独ソ戦 2』との ようになったのです。 がら自分で作戦を練り上げていくのもウォー 最大の違いは、ドイツ軍が荒唐無稽な戦略を これらを踏まえた上でドイツ軍が狙うべ ゲームの大きな楽しみだと思うので、あまり 採れなくなった点です。ここで言う荒唐無稽 きは、ソ連軍プレイヤーが思わず投了を申し 突っ込んだ研究は提示しません。幸い今回の とは、全てのドイツ装甲軍団を、第 1 ターン第 出るような史実以上の大戦果か、または最終 再版をきっかけとして、緻密な作戦研究を 1 インパルス（初手）で攻撃を行わない代わり ターンまでポーランドやルーマニアへの侵入 ネット上で発表されている方も見受けられる にルーマニアに初期配置し、南ロシアの工業 を許さない地歩の確保となります。いずれの ので、技巧的な駒さばきを知りたい方はそち 都市とコーカサスの油田を席巻した後でモス 場合もキャンペーンゲームでの勝利条件上は らを当たっていただけると幸いです。 クワに攻め上がる戦略であったり、最低限 1 引き分けですが、史実における最終ターン（45 都市を保持しつつヒトラーが健在なら引き分 年 5/6 月）の状況を考えれば、充分にドイツ軍 けという勝利条件を逆手にとっての極端な引 の勝ちと断じていいでしょう。もちろんモス き籠もり防御戦略だったりするのですが、こ クワを占領して、スターリンが除去されてい れらは初期配置の制限強化と、最低保有都市 れば文句なしにドイツ軍の勝ちですが、その 一見地味ながら大きな配置制限は、ルーマ 数によるサドンデス負け設定の導入によって 状況が生まれるとしたら多分にソ連軍のポカ ニア領内と指定されたもの以外のドイツ軍ユ 過去のものとなりました。 ミスによるものであり、素直に喜べるかは微 ニット全ての配置が、ポーランド領内（ちなみ もちろんウォーゲームである以上、プレイ 妙なところです。 に表記上ポーランドにはドイツ本土も含む） ヤーの自由な発想に基づいた大胆な戦略を検 しかしゲーム上の勝利条件はどうあれ、ヒ に限定されたことでしょう。RC ではポーラ 証できる楽しみを否定する気は毛頭ありませ ストリカル・シミュレーションゲームの醍醐 ンド、ハンガリー、ルーマニアのいずれにも配 んが、当時の情勢的に全く有り得ない戦略が 味は、あの時こうしていたら、ああしていれば 置可能で、 「初手に攻撃するならどの軍管区 少なからず有効だったのは、笑い話のネタと という「歴史上の if（歴史のタラレバ）」を試せ してはともかく、決して褒められたものでは る点にあります。史実でドイツ軍をがんじが 『独ソ戦 2』では、ドイツ北方軍集団はバルト ありませんでした。さすがに南部偏重配置や らめにした総統命令的な陰謀ルールのない 軍管区の敵、南方軍集団はキエフ軍管区の敵 ヒトラーをセバストポリに籠もらせての「超 『独ソ戦 2』であれば、南方旋回せずにモスク を必ず攻撃しなければならず、さらにスタッ 持久要塞クリミア」などを試みる人は滅多に ワ攻略へ邁進したり、冬季反攻を回避するた ク制限上この敵に隣接できないユニットも、 いませんでしたが、ある程度慣れたドイツ軍 めに事前撤退したり、スターリングラードな 可能な限り指定軍管区の敵に近づいた形で移 プレイヤーだと、勝てないと分かった途端、強 ど無視してコーカサス侵攻に全力を注いだ 動を終えることを強いられます。攻撃義務 固な防御スタックを組んで、河から河へと秩 り、クルスク攻勢の代わりに東方防壁的な防 に縛られない中央軍集団や、キエフ軍管区の 序立った戦略的撤退を行い、結局最後までソ 御態勢を整えたりといった、ドイツ軍参謀本 南端を攻撃できた南方軍集団のユニットも、 連軍が攻めきれずに引き分けに終わる展開に 部が果たせなかった戦略を存分に試すことが ポーランド領内に配置が限定されたことで、 持ち込むことが多かったのも事実です。 できます。その上で史実と比べて、どれだけ ハンガリーやルーマニアからドイツ軍の主力 この閉塞状況を打破するために『独ソ戦 2』 善戦したかを基準に評価すれば、おのずから が進発するというパラレル展開がなくなりま で導入されたのが、ソ連軍による攻撃で戦闘 勝敗は明らかとなるのではないでしょうか。 した。その上でバルバロッサ作戦を考えた場 比を 3 増加させられる砲兵マーカーと、42 年 なお本稿の目的は、大まかなプレイの指針 合、自動的勝利（10 対 1 の戦闘比）による一点 以降毎ターン末に判定される、ドイツ軍最低 を提示することで『独ソ戦 2』の勘所を押さえ 突破の全面展開と、南方軍集団の機械化迂回 限支配都市数によるサドンデス負け設定でし ていただき、ポカミスで貴重なゲーム時間を が有効となります。 「勝てなくとも負けない戦い」を 封じられたドイツ軍 !? 54 ドイツ軍初期配置と 第 1ターンの突破 のソ連軍」との規定しかありませんでしたが、 『独ソ戦 2』はこう戦え──ドイツ軍の場合 初手に限り、一つの司令部で複数のスツー のベテランで展開を達観している相手なら効 れにできればベストです（補給切れ除去は降 カを運用することが許されるので、縦深配置 果は薄いですが、そうでなければソ連側投了 伏ではないので再建は可能）。 された敵を次々と自動的勝利で屠り、その穴 によるドイツ側勝利を狙えます。そのために 41 年の進撃で注意すべきは、次のターンの から装甲軍団を敵戦線の背後へと移動させ は装甲軍団の集中と自動的勝利を活用して、 攻撃で装甲軍団の先鋒が到達する未来位置 て、強敵を包囲するなり、モスクワやレニング ソ連側の想定を上回る進撃や包囲殲滅を行わ へ、スツーカを送り込めるドイツ軍司令部の ラード目指して突進させるなりします。また なければなりません。 位置取りと、退却無効の森林攻めに兵力を割 突破に関わらない部隊も、攻撃側有利な戦闘 ソ連軍にとって予測し辛いのは、装甲軍団 き過ぎないこと、そして歩兵を遊ばせないこ 結果表を活かして 2 対 1 以上の比が立つなら、 の 7 移動力という進撃速度とスツーカによる とです。三つあるドイツ軍司令部は第 2 イン 積極的に攻撃する必要があります。初動のソ 戦闘比 3 増加の可能性、攻撃側退却を逆用し パルスにしか動けないため、スツーカの航続 連軍が一番辛いのは動かせる手駒が少ないこ ての退却という名の前進です。装甲軍団やス 距離 8 ヘクスを見越して可能な限り前へ出す とであり、序盤のドイツ軍は自軍の消耗より ツーカはともかく、退却という名の前進なん 必要があります。また初手を除き一つの司令 ソ連軍の消耗を重視すべきです。また退却の て聞くと反感を抱かれるかもしれませんが、 部からは一つのスツーカしか派遣できないの 方法は完全に攻撃側の自由なので、スタック 少なくとも『独ソ戦 2』に限って言えば、ゲー で、戦略によっては南方軍集団司令部をも、モ をバラしたり、続く第 2 インパルスに攻撃で ムバランス的にも想定の範囲内であり、シン スクワ進撃に帯同させる必要があるでしょ きる位置にわざと退却させたりといった手法 プルなルールの中で電撃戦の特殊な状況を再 う。また装甲軍団の運用は数が少ないだけに をうまく考えて下さい（そして第 2 インパル 現するのにも役立っています。戦闘後前進の 明確ですが、足が遅くて数が多い歩兵軍団は、 スの退却に際しては、敵を鉄道線上に退却さ ルールがない分、これによって損害に関わら 場当たり的に使いがちです。41 年の歩兵運 せないことが重要になります）。 ず無理やり強行突破する作戦を再現している 用は、できるだけ装甲軍団の進撃に追いつく 南方軍集団には機械化迂回という作戦もあ とも言えます。もちろん敵中に孤立する恐れ ことが目的なので、歩兵には脇目も振らずに ります。陰謀的なリボフ・ギャップの山地帯 から、こんな無茶ができるのは特殊な場面に 進撃させる必要があります。晴れている間は を無理して南進するより、機械化の快速を活 限られます。 第 1 インパルスに 4 移動力、第 2 に 2 移動力の かし、プリピャチ湿地／ミンスク森林地帯の これらを利用して狙うは、一にモスクワ、二 全消費が理想であり、可能な限り最後の移動 北を迂回させて、数ターン後にスモレンスク にレニングラード、三にソ連軍ユニット大量 力消費で敵に隣接して攻撃を行わせます。た 方面からキエフの背後へと南方旋回させる、 除去でしょう。優先順位や組み合わせは人そ だし森に籠もる敵を攻める場合、退却無効に またはそのままモスクワ、レニングラード、ア れぞれですが、モスクワの 3 労働力と「全ての よって予想以上に進撃が停滞する恐れがあり ルハンゲル攻略に転用するのです。もちろん 鉄道はモスクワへ通ず」といった交通の要所 ます。モスクワ前面の森なら無理押しもアリ 初手ではキエフ軍管区の敵を攻撃しなければ としての重要性は、たとえ占領が一時的なも ですが、ミンスク近郊の森林地帯のように進 なりませんが、大迂回を念頭に置いた運用は のであろうと絶大です。もちろんスターリン 撃路の脇であれば最低限の兵力を充てるだけ 可能なはずです。実際 41 年中の南ロシアは や赤軍大本営がモスクワに留まっていれば、 で構いません。 両軍にとって手に余る場所であり、ソ連軍も それらを除去することで決定的勝利を得た 歩兵が装甲に追いついたら、モスクワやレ プリピャチ以北での防衛線構築がより重要な り、冬季反攻時の空挺侵攻を阻止したりでき ニングラードへ向けてゴリ押ししつつ、降雪 だけに、ドイツ軍が南で無理に攻めなくとも ます。 時の戦闘補給のためにブリヤンスクやツー ソ連軍ユニットの抽出・北方転用により、必 レニングラードへの進撃はモスクワへの圧 ラ、カリーニンといった小都市の占領を狙い 然的に戦線を東へ押し進めることができま 力を弱めることにもなりかねませんが、ソ連 ます。 す。またたとえソ連軍が南で踏ん張ったとし 軍にとってもレニングラードまでの防衛線構 原則的に、スツーカが使えるうちは攻勢継 ても、プリピャチ以北でのドイツ軍進撃との 築は重荷であり、ドイツ軍が真面目に攻め上 続、スツーカなしなら防御転換と考え、第 4 ギャップは埋め難く、遅かれ早かれ史実同様、 れば大抵の場合陥落するでしょう。一見する ターンに天候が降雪になったとしても、主力 南方旋回を受けてドニエプル防衛線は崩壊／ とレニングラードを占領したとしても、その は自軍支配下の大小都市に隣接できる位置取 放棄せざるを得ません。逆に言えば少ない兵 周りには他にめぼしい目標もなく、兵力の分 り（全防御力を発揮できる。いわゆる冬営／ 力で南部のソ連軍を引き付けることができれ 散のように感じられるかも知れませんが、ソ 冬季陣地）を心がけます。史実ではモスクワ ば、南方軍集団のお手柄でしょう。 連側の心が折れず戦争が長期化した場合、こ 攻撃に深入りし過ぎて、冬季反攻で大損害を ちなみに盤外鉄道移動の選択ルールを導入 この重要性は飛躍的に増大します（後述）。 出したドイツ軍ですが、スツーカなしでモス した場合、初手で中央軍集団の全装甲軍団（5 敵の兵力を削ぐことは、どんなゲームでも クワ攻めを強行するのは良策とは言えず、天 個）をルーマニアへ移送し、第 2 インパルスの 重要ですが、 『独ソ戦 2』の場合、4 対 1 以上の比 候が悪化したらモスクワ攻めは潔く諦めて冬 移動でオデッサ軍管区に突入するという奇策 率で永久除去（補充不可）となる降伏の戦闘結 営に転ずるべきでしょう。ただしレニング もあり得ます。 果があるのが特徴です（特に自動的勝利は自 ラード攻略に向かった部隊は別で、天候が悪 動的降伏をも意味する）。不用意に前線に出 化してから撤退を始めても間に合わないた てきたスタヴカや、敵が頼みとする強力な親 め、それまでにスツーカも投入して是か非で 衛赤軍をスツーカを投じて降伏に追い込むこ もレニングラードを陥とすか、すっぱり諦め ドイツ式の電撃戦とは、敵首脳部の心の動 とができれば、敵に与える心理的ダメージは て秋の段階でタリン・ヴィテブスクの線まで 揺を突き、攪乱し、奔命に惑わせて戦争続行を 大きく（特にスタヴカ降伏は砲兵支援喪失な 下がり、余剰兵力をモスクワ前面へ抽出する 断念させることにあります。『独ソ戦 2』に当 ので致命的）、そうでなくとも戦車や親衛赤 かの決断を下さねばなりません。なお降雪時 てはめるなら、史実以上の快進撃を成し遂げ 軍など各ターン１枚ずつしか補充できないの のソ連軍第 1 インパルスには、スタヴカの 8 ヘ てモスクワやレニングラードを陥落させる で、これら補充制限のある兵種を地道に潰し クス以内に空挺降下があり得ることを忘れず か、防衛線の構築ができないほど手駒を除去 ていくのが効果的です。また自軍ターンの最 に、主力の背後は司令部でも SS 予備隊でも、 ／降伏させることに他なりません。史実がそ 後に、自軍支配下の大小都市、またはそれに繋 場合によっては総統ユニットさえ呼び寄せて うであるように、ソ連軍プレイヤーがスター がる鉄道線まで補給線が引けないユニットは ZOC で敷き詰める算段をしましょう。特に リンの如き不屈の闘志を持つか、 『独ソ戦 2』 問答無用で除去されるため、包囲して補給切 フィンランドの首都ヘルシンキが無血占領さ 1941 年の攻め方 ス タ ブ カ 55 HOW TO PLAY "THE RUSSIAN CAMPAIGN2" とある対戦における44 年秋（第 21ターン：9/10 月）のドイツ軍防衛線の様子。ヒトラーは装甲軍団とともにベルリンではなく「狼の巣」に立てこもっている。『独ソ戦』はドイツ軍が守りに入るとソ連軍は なかなか勝利できなかったが、 『 独ソ戦 2』ではその点を改善するためのルールが用意されている。 れて無為に降伏しないよう、スタヴカの位置 南ロシアでの戦略目標はハリコフ、スタリ 確認は怠りなく。 ノの 2 生産力と、南に増援配置されているで 1942 年の攻め方 あろう労働者ユニットの除去です。とは言 ります。 1943 年以降のしのぎ方 え、新たに受け取った労働者は、スターリング ラードを含むサラトフやゴーリキといった、 43 年の春を迎えてもソ連軍の継戦意欲が ドイツ軍にとっての正念場は 42 年の春か 進撃距離的に到達困難な奥地に配置されてい 失われていない場合、攻めても攻めても大し らです。実のところ 41 年の進撃は、42 年の る可能性も高く、その場合はモスクワ、ハリコ て前進できない徒労感を味わわせる戦略に転 攻勢のための下準備といった面があり、晴天 フ、スタリノの労働者除去を狙った平押しの 換すべきでしょう。史実ではスターリング の訪れと共に南ロシアの工業都市を席巻す 攻勢案も検討すべきでしょう。二つに減少し ラードやコーカサスへ突出したまま冬季反 るか、遠くアルハンゲルの港へ進撃するかの たとは言え、スツーカの効果は未だ絶大で、巧 攻を受け、軍事的な目的より多分に政略的な 選択肢があります。もちろん、あくまでモス く運用すれば 42 年中のモスクワ陥落も十分 目的でクルスク攻勢に出て、無用の消耗を被 クワ攻略に専念したり、43 年以降を視野に入 あり得ます。 りましたが、ゲームでは退くも進むもプレイ れて、ひたすらソ連軍を削り取る殲滅戦略を アルハンゲルへの進撃は、42 年春までにレ ヤー次第です。あと一押しすればソ連軍の心 採ったりと選択肢は無限にありますが、ソ連 ニングラードを占領していることが大前提 も折れるというのなら別ですが、43 年の補充 軍プレイヤーの継戦意欲を奪う最大の戦果 で、歩兵による補給鉄道の推進と装甲軍団の を得たならドニエプル河の線まで秩序立った は、43 年夏以降 2 倍換算される工業都市と、42 突進、さらにソ連軍の油断が必要ですが、41 戦略的撤退を行うべきでしょう。 年以降 44 年一杯まで毎ターン最良で 6 生産力 年の南ロシア同様、ここの防衛に大兵力を割 ここで重要になってくるのがレニングラー を与え続けるレンドリース港であるアルハン く余裕はソ連軍にはないはずなので、モスク ドの支配で、ここを保持していればリガから ゲルの占領です。 ワ以南での攻勢と連動すれば決して夢ではあ ドヴィナ河沿いの線まで下がらなくても湿地 工業都市が集中する南ロシアへはモスクワ りません（ただ残念ながら筆者もアルハンゲ 帯に戦線を敷くことができます。また防御は 前面からクルスク、ドネツ河沿いに攻め下る ルの陥落は見たことがありません）。いずれ 極力フルスタックで行い、損害吸収用の歩兵 のが効果的でしょう。またこれに伴いソ連の にしても 42 年中にどれだけ労働者とソ連軍 も入れておきます。そしてソ連軍が防衛線を 防衛線が東へ撤退したら、忘れずにセバスト ユニットを除去したかで 43 年以降の勝敗が 食い破って突出してきたら、低比率でも反撃 ポリも占領しておきます。後述しますがセバ 決すると言ってよく、いかに自軍の損害を抑 を行う姿勢を見せるのが肝要で、攻撃側有利 ストポリの保持は、レニングラード同様 43 年 えて、敵に大出血を強いるか、巧妙な立ち回り な結果表もさりながら、包囲殲滅されるかも 以降に極めて重要となります。理想を言えば が問われることになります。 しれないとソ連軍に思わせて突破を躊躇わせ ロストフを抜いてコーカサスの油田を占領す なお 42 年末から 43 年頭にかけてのソ連軍 ます。また可能な限り縦深防御を敷き、場合 ることですが、ソ連の戦線がよほど薄くてド 冬季反攻は強烈なので、雪が降るまでに支配 によっては司令部でさえソ連軍突破の足止め イツ軍の装甲主力が春から南ロシアに位置し 下大小都市の 2 ヘクス以内という冬営位置 に使います。スツーカなき後の司令部は、降 （大抵はドネツ河沿い）に戻っている必要があ 伏しない限り、年に一度無償で戻ってくる便 ていない限り難しいでしょう。 56 『独ソ戦 2』はこう戦え──ドイツ軍の場合 利な火消し部隊と見なします。 43 年のサドンデス負け条件は大都市 6 と 1944 年に編成されたロシア解放軍と司令官アンドレイ・ウラソフ （右）。もともとソ連兵捕虜で構成された「東方部隊」が存在したが、 ドイツ軍に投降して協力者となったウラソフにヒムラーが支援を申し出て、2 個師団約 50,000を有するロシア解放軍が創設され た。 小都市 4 ですが、ポーランド／ドイツ、ルーマ ニアとフィンランドの大都市 4 と小都市 3 に 加え、リガとオデッサの大都市 2 と国境付近 の小都市 3 を守ればいいので、よほどのこと がない限り 43 年中に負けることはありませ ん。またセバストポリまたはレニングラード を支配していれば、その奪回にソ連軍はかな りの兵力を割かねばならず、その分だけ主戦 線の進撃が遅れることになります。特にレニ ングラードの支配はフィンランドの自動的降 伏（44 年 9 月）を阻止する効果もあり、ドイツ 軍としては史実のクールラント包囲陣並みに 相当の兵力を投じる価値があります。またセ バストポリは、RC でも「超持久要塞クリミア」 と謳われただけに守りやすく（ケルチ海峡は ZOC さえ及ぼしていれば進入禁止）、黒海で のソ連軍上陸作戦のリスクも高めるので、可 能な限り保持すべきです。これらを守り続け れば 44 年〜 45 年に課せられる大都市 4、その 『独ソ戦 2』再版記念ヴァリアント・ユニット 他都市 3 という過酷なサドンデス条件の履行 も楽になります（ただしソ連軍には晴天時に 『独ソ戦 2』自体には何ら過不足を感じませ POA ユニットの登場／補充はマップ西端 使える戦闘比 3 増の砲兵支援があるので、決 んが、歴史的興味の度合いに応じて、簡単に から行われ、二次移動に関しては枢軸同盟軍 して難攻不落ではありません）。この条件を ルールやユニットを追加できるのも、非電源 扱いとし、冬季の戦闘補給も通常通り制限を 史実になぞらえると、大都市 4 はそれぞれベ ウォーゲームならではの利点と言えます。そ 受けます。また除去されたなら、改めて規定 ルリン、ワルシャワ、ブカレスト、ヘルシンキ、 こで今回、編集部のご厚意により以下のヴァ の降伏戦力を確保しない限り、復活させられ 小都市 3 はブレスラウ、ポーゼン、ケーニヒス リアント・ユニットを製作していただきまし ません。 ベルグに相当し、44 年夏にルーマニアとフィ た。枢軸軍のロシア解放軍は、ソ連軍ユニッ ンランドが降伏した段階でゲーム的にはドイ トの降伏に、より付加価値を持たせることと、 英雄都市 ツの敗北が確定したことになります。一見す 独ソ戦がロシアにとって単純な祖国防衛戦で 900 日に渡るレニングラード包囲戦、難攻 ると条件が厳し過ぎるように思えますが、総 はなかったことに目を向けてもらいたくて。 不落に思われたセバストポリ要塞、伝説的な 統命令なき『独ソ戦 2』ではドイツ軍が柔軟に またソ連の英雄都市は、比較的簡単に陥落し スターリングラード市街戦と、東部戦線のイ 機動防御できるので、実はこれがギリギリの てしまう大都市で、史実のような持久戦が展 メージに大都市を巡る死闘は欠かせません。 線なのです。 開できるようにとの意図があります。もちろ しかしゲームにおける大都市は補給源であ 44 年 9 月にフィンランドが降伏しても巧く んゲームバランスに少なからず影響を与える り、防御力倍以外の特典はありません。そこ セバストポリを保持しているなら、ケーニヒ ので（特に英雄都市）、その導入にあたっては で 41 年の晩秋（第 3 ターン終了時）と 42 年の スベルグの攻防が勝敗を分けることになるで 事前に対戦する両者の了解を得ていなければ 初夏（第 6 ターン終了時）に、それぞれ 1 個の英 しょう。従ってドイツの絶対国防圏はニェメ なりません。 雄都市マーカーを受け取り、ソ連領内で支配 下の大都市に配置します。英雄都市の配置は ン河となり、そこへ至るまでどれだけ前で粘 れるかが勝負となります。この際ニェメン ロシア解放軍（POA） 直ちに行わねばならず、配置せずに次ターン 河上流域の森では、43 年以降可能となる相殺 枢軸軍は補充の際に、それまでに降伏させ 以降に持ち越すことは許されません。もしそ （EX）を退却（DR）に変え、森特典で効果なし たソ連軍ユニットの戦力（兵科・種別を問わ の時点で配置可能な友軍大都市がなければ、 とする遅滞戦闘が展開されます。こうした抜 ず）を合計して 30 戦力あれば、3-3 の POA 歩 その英雄都市マーカーは失われます。 けそうで抜けないドイツ軍の頑強さは、進撃 兵軍団１個を登場／補充できます。またこの 英雄都市の効果は（大都市本来の効用に加 距離こそ異なるものの史実でソ連軍が味わっ 際、降伏させたソ連軍騎兵戦力が 15 戦力に達 えて）、強制攻撃と退却の否定です。英雄都 た焦燥感に近く、たとえオーデル河の代わり していれば、2-7 の POA 騎兵軍団１個を登場 市ヘクスに存在するソ連軍ユニットは、隣接 にニェメン河で最終決戦が繰り広げられると ／補充できます。ただし二重換算は不可で、 する枢軸軍を攻撃する義務から解放されま しても、ベルリン攻防戦と同等の醍醐味を満 POA 騎兵の登場／補充に使った騎兵戦力は、 す。ただし英雄都市にいるユニットの一つで 喫できるでしょう。 POA 歩兵の登場／補充用にはカウントでき も攻撃に参加させるなら、残りのユニットも いずれにしても「ヒトラーのロシア侵攻に ません（その逆も同様）。また登場／補充用に いずれかの攻撃に参加させなければなりませ 究極の勝利はあり得なかった」というデザイ 換算された降伏ソ連軍ユニットは費消された ん。退却の否定は森による退却不可と同じで、 ナーの考えに対し、定められた敗北の中でど として、二度と再び換算には使えません。そ 退却という選択肢自体を否定するものです。 れだけ運命に抗うことができるか、歴史の流 れと分かるように区別しておいて下さい。な そして一度配置された英雄都市マーカーは決 れに逆らって大戦果を挙げ、ソ連軍首脳の継 お換算はユニット単位であり、端数が出ても して他のヘクスに置き直しできず、枢軸軍に 戦意欲を挫くにはどうするかという壮大な挑 繰り越せません（例えば、どう組み合わせても その都市を占領されると完全にプレイから除 戦は、ドイツ軍プレイヤーを奮い立たせずに 34 戦力になる場合、ユニットの戦力を分割し 去され、再使用できません。 はおきません。 て 4 だけ残すことはできません）。 ■ 57
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