魚の干物とカラスミの作り方 BS神奈川・湘南地区 ■ 湘南渚獲物クラブ 増田 素人でもできる「おいしい干物」の作り方 保存食の干物は初心者でも簡単に、失敗なく、作ることができます。 どんな魚でも高級干物に生まれ変わると思います。 ポイントは干す前にしっかりと水気を切ることです。 特に頭の部分に水分が残りやすいので注意が必要です。 特別な道具を必要としないので、スカウトプログラムで試すのに最適な食料調理の方法でしょう。 投網・釣り・魚屋などで得た新鮮なアジ・カマス・スズキ・カワハギ・メバル・コチなどの魚をバケツ に入れます。 ● 鮮度の良いものしか干物にしないように注意しましょう。 ● 塩 :水の量に対して3〜10%ほど ・・・海水より「濃い目」に。特に夏場は「濃い目」が良い でしょう。 ● ボウルやバケツ: 魚を塩水に浸ける為のものと、開いた魚を洗うものが必要です。 ● 干物用の網かごが必要・・・普通のザルでもよいですが、すぐにハエがたかってきて最悪なので、 釣り道具屋で売っている専用干物網かごが良いでしょう。 ボウルなどのそこの深い容器に塩水を作ります。この時、少し日本酒を入れると生臭さが解消できると 思われます。 塩の濃度は、少々濃い目の10%ぐらいがおいしいでしょう。 (好みに応じて3〜10%ぐらいで調節) 背開き、腹開きはどちらでも良いです。 頭、ヒレなどは、好みに応じて残してもかまいません。 ウロコは必ず落とし、内臓を取り出し、血もきれいにとらないと生臭いです。注意しましょう。 次に腹側から背骨にそって背中を切り離さない様に首から尾まで包丁を入れます。 次いで頭の内側にも包丁を入れて頭を割り、 「開き」にしたらさっと水洗いします。 もちろん頭は落としてしまっても味に影響はなく、見た目の問題です。頭も美味しいです。 水洗いをしたらすぐにキッチンペーパーなどで水分を良く吸い取ります。干物の質に大きな影響があり ます。 塩水の中に開いた魚を浸します。食塩濃度にもよりますが、30分から1時間ぐらいです。 場合によっては1時間から2時間が必要・・・魚の大きさ・厚みによります。 色々な割合で試して好みの味を追究すると良いでしょう。 いよいよ干します。 干す前に、表面の水分と血あい、内蔵をよくふき取ること・・・ここで、味が左右されます。 皮を下にして、干し籠に並べて、2〜3時間、裏返して1〜2時間ほどです。 気温や、風、湿度によって出来が違いますが、魚の表面が乾いて身が固くなったら出来あがりです。 軽くあぶれば、いつでもご馳走に変身し、食事のおかずに困りません。 できたものは、冷蔵庫に保管します。2週間ほどは保存できるでしょう。 長期保管の場合は冷凍しておくと良いでしょう。 ■ 超高級珍味:おいしいカラスミの作り方 1. まずは、釣り、投網、魚屋さんなどで、ボラの卵巣を手に入れましょう。卵巣を腹から取り出 すときに細心の注意が必要です。卵巣の薄皮袋を破らないようにしましょう。また、卵巣はい つでも手に入らないので、秋:ボラの旬の季節がよいと思います。腹から取り出した卵巣をよ く塩水・日本酒で洗います。血合いはやさしくふき取ってください。 2. 卵巣をパレットとか皿に入れ塩漬けします。ケチらず、かなり多めに塩をまぶしてください。 塩の山の中に入れるような感じです。そのまま、陰干し(日光は厳禁)または、冷蔵庫の中で 4〜5日程度干してください。パレットに最初は水分が出るのでこまめに捨ててください。表 裏をひっくり返してください。 3. 次に、塩抜きをします。パレットにお酒とみりんを1:1の分量(塩水だけでも良いかもしれ ません・・・お好み次第です)で卵巣が完全に浸るように入れてください。2〜7日程度つけ ておきます。 この時、卵巣を絶対に水洗いしないでください。塩抜きの時間が短いと塩辛いで す。また、長いと塩味に欠けます。これが難しい所です。 4. 最後は、パレットから塩抜きが終わった卵巣を取り出し陰干し(風通しに注意)にします。魚 の干物用の網かごで干すことができます。冷蔵庫の中で干しても良いかと思います。 ・・・4〜 5日程度経つと黄色い色から飴色に変化してきます。表裏よくひっくり返しまんべんなく干し ましょう。水気がなくなれば”からすみ”の出来あがりです。 私は、直射日光が当たる天日干し を1日間やってしまい、表面の一部が硬くなってしまいました。くれぐれも陰干しにしてくだ さい。 5. 完成したら”からすみ試食”をしましょう。必ず他人に食べさせる前に、自分で毒味をしましょう。 そこで腹痛になっても自分一人だけで、他人を巻き込まなくて済みます。自分で食べて美味し くて、翌日何も問題無ければ、家族・友人に勧めましょう。 ・・・もともと保存食なので結構日 保ちします。では、さっそく海に行くか、魚屋さんに出かけることをおすすめします・・・。 味と風味に驚くこと請け合いです。 ■ からすみについて 古来、からすみは保存性を高めた高蛋白質食品として食用に供されていました。それが最近の人手不足 に加え、製造の手間がかかるため珍味の類になってしまいました。 なぜ昔の人たちは手間暇かけてからすみを作り、食料としていたのでしょうか。 単なる高蛋白質の保存食としてでしょうか。 この疑問の答えを出すべく専門家の方々が研究した結果、いろいろな事実が解ってきました。 即ち、からすみは成人病予防・老化防止に有効な不飽和脂肪酸類を多く含んでいることが明かになりま した。ドコサヘキサエン酸(DHA) 、パルミトオレイン酸(POA) 、リノール酸(LA)等で、からすみ 10g当たりそれぞれ183mg(1.83%) 、235mg(2.35%) 、125mg(1.25%)含 んでいます。 DHA は最近、新聞・雑誌等で記憶学習能力を高める脂肪酸として注目されていますが、その他に、直 接的に、または体の中でエイコサペンテン酸(EPA)になって間接的に、血栓症(心筋梗塞や脳梗塞等) になりにくくする作用や炎症を抑える作用のあることが動物実験によっても解っています。 POA は動物実験により、抗腫瘍活性、血管補強作用(脳卒中の予防につながる)が認められています。 また、POA は細胞の活力を高める作用があることも認められており、現在 POAを多く含むマカデミア・ ナッツ油が皮膚化粧料・養毛・育毛剤に配合されています。 LA は、必須脂肪酸の一つであると同時に、血液中のコレステロールを低下させる作用を有しているこ とが古くから知られています。 このように、からすみは単なる珍味なお酒の肴ではなく、私たちの体に大変良い成分を含んでいること がご理解頂けたと思います。 適度なアルコールの摂取は体に良いことが認められていることから、からすみを肴にして晩酌をするこ とは血管を丈夫にし、血管の環境を良くし、ボケないで健康な老後生活を送ることができる一つの方法 と言えましょう。 一般に、 「おいしいものは体に良くない」とよく言われていますが、からすみはこの範疇に全く該当しな い珍しい部類の食品で、 「おいしく食べて体に良い」 成人病予防食品であることがご理解頂けるでしょう。 ただし、塩分はひかえて作ったものが良いと思います。 ■ カラスミの由来 豊臣秀吉が朝鮮の役を起こし、佐賀県名護屋に陣取った時に、カラスミが献上されました。 秀吉曰く「コレハ何か?・・・」 この時、長崎代官の鍋島信正がボラのマコ(たまご:真子)と知りながら、唐墨であると申し上げた、 と言われています。 唐(中国)の墨は、中国で毛筆と硯と墨が実用品から高級品となり、更に骨董品とされ、墨は何百年何 千年でも古いほうがよいとされていました。 本当に古い墨は、短冊型、丸棒、八角棒など、手で形を造ったカラスミの片腹(ボラのたまご)の様な 格好で日本でも珍重されていました。 鍋島はボラのマコ(たまご:真子)を唐墨に匹敵する芸術品だという意味を含めたのでありましょう。 そもそも北西九州の鍋島氏は朝鮮半島からの渡人であると言われ、中国文化を日本へ紹介した豪族で、 特に陶磁器の日本での元祖であるとされてもいます。
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