close

Enter

Log in using OpenID

概要版PDFデータ - 九州地域産業活性化センター

embedDownload
半導体関連産業の起業化・事業化創出に関する調査報告書
~九州半導体クラスターの新事業創造に向けて~
概要版
1.九州半導体クラスターの構造
・九州の半導体デバイス生産額は、2002 年で 1 兆 243 億円。金額ベースの世界シェアは 6.1%、
国内シェアは 32.2%となっている。国内シェアは約3割を維持するものの、中国等アジア各国
の勃興で世界シェアは低下傾向にある。半導体製造装置の生産額は、2002 年で 1,322 億円とな
っており、金額ベースでの国内シェアは 15.6%と年々上昇傾向にある。
・半導体産業の九州での位置づけは極めて大きく、自動車、鉄鋼、化学、食品、金属製品、窯業
土石(いずれも1兆円超)などとともに、地域を牽引する主要な製造業となっている。また、
半導体電子部品の輸出額は 4,968 億円(2001 年)で、九州の輸出総額の 15.9%を占めており、
自動車(3,636 億円)や造船(3,020 億円)を上回る規模となっている。
・九州半導体クラスターは、半導体デバイスメーカーを中心とした関連産業の集合体として形成
される。部品・材料や装置のほかに、近年では設計やフラットパネルディスプレイなど、新し
い産業も興っている。中小・中堅企業が多いこと、地場企業比率が高いことなどの特徴もある。
図表1
九州における半導体関連メーカーの構造図
半導体設計・システム設計
93社
電気電子機器設計
48社
半導体関連商社
34社
プリント基板製造
23社
デフ
ラ
ス
プト
レパ
イネ
製ル
造
半導体デバイス製造
90社
ッ
半導体設計
53社
電気電子機器製造
59社
ィ
設計ツール
9社
その他半導体関連産業
86社
半導体デバイス
(後工程)
87社
半導体デバイス
(前工程)
16社
半導体関連部品・材料 253社
金型・リードフレーム
49社
シリコンウェハ
7社
化学薬品・化学処理
38社
その他部品材料
176社
教育・研究機関
8社
半導体関連装置
188社
検査装置(組立)
25社
15社
検査装置(ベンダー)
22社
半
導
体
関
連
設
備
製造装置(組立)
91社
製造装置(ベンダー)
102社
40社
注1)以下の資料から九州外の企業17社を除いた553社での構成を示す。
注2)複数の業種にまたがる企業はダブルカウントしている。
注3)■の名称は事業分野の区分であり、本報告書ではこの区分で分析を展開している。
資料)MAP2003実行委員会・九州経済調査協会「MAP2003九州とアジアの半導体実装関連企業データベース」より作成
1
2.九州半導体クラスターの形成過程
・九州半導体クラスターは、大手デバイスメーカーから派生した周辺産業が、国際競争の中で生
き残りをかけて高度化・自律化し、技術蓄積を生かして新事業へ展開を進めてきたという発展
の道筋をみることができる。
・クラスターの形成過程は、4つの時代区分で特徴付けることができる。1975 年以前(創生期)
には、大手デバイスメーカーによって地場協力メーカーが育成されて産業が始動。70 年代後半
(成長期)には大手デバイスメーカーの装置外製化の動きによって装置産業が興り、85 年の円
高以降(成熟期)は、国際分業の進展と国内製造拠点への R&D 機能の付加によって産業が高度
化を果たす。90 年代後半(複合発展期)には、大手デバイスメーカーの再編に伴って、地場企
業が自律化への取り組みを進めるとともに、フラットパネルディスプレイや設計などの新分野
への展開も図られる。この間、企業間関係は、
「セットメーカー内製→系列垂直分業→国際水平
分業→戦略的協業」へと変化している。
・産業発展を続けた要因としては、①時代に応じた業種展開と業種の多様化、②アンカー企業の
生産拠点の機能高度化、③クラスター形成企業の自律化、④クラスターを牽引するアンカー企
業(需要を搬入する企業)の重層化、⑤半導体クラスターの空間的拡大とグローバル化に集約
することができる。特に、事業開始期の主要取引先として、創生期には 65.0%が九州内の企業
をターゲットとしていたのに対して、複合発展期には 67.9%が九州外の全国・世界のマーケッ
トをターゲットとするなど、マーケットを世界に求める動きが加速している。
図表2
九州半導体クラスターの形成過程
時代区分
創生期
~1975
成長期
1976~1985
特徴
大手半導体デバイスメー
カーの進出と地場協力企
業の勃興
系列型垂直分業の形成と
地場装置・部材メーカー
の参入
日本電気、東芝、ローム、
ソニー、松下、沖電気、TI
等の大手デバイスメー
カーが立地。技術供与に
よって、野田市電子、原
精機産業、コニック、大津
電子など協力工場が創
業。
主な出来事
の
特
徴
新事業への展開と地場企
業の自律化・国際化
大手デバイスメーカーと協
力企業間の技術交流が
進化。系列として組織化
を強化。石井工作研究
所、上野精機、櫻井精
技、エスティケイテクノロ
ジー、武田産業など地場
製造装置メーカーが異業
種から参入。
労働集約的な後工程の
海外展開が加速。国内生
産拠点は技術開発・次世
代製品にシフト。技術や
人材の蓄積を求めて東京
エレクトロン、アルバック
九州、第一精工等の大手
装置メーカーや、ソニー、
ヤマハ、旭化成等の後発
組デバイスメーカーが前
工程工場を立地。
東芝、ソニーなど競争力
強化のために研究開発機
能やホームベース機能を
生産拠点に移管。NEC、
ソニー、東芝、セイコーエ
プソンなどがシステムLSI
設計拠点を立地。ENGや
ロジックリサーチといった
ファブレス設計メーカーも
誕生。パッケージ、装置、
部材など地場企業の自律
化が進み、国際展開が加
速。
豊富で安価な労働力等の
経営資源、大手半導体デ
バイスメーカーによる手
厚い技術供与、資本力・
信用力
大手半導体デバイスメー
カーの製造装置メンテナ
ンス・スペアパーツ等の現
地調達、大手デバイス
メーカの装置製造の外生
化
半導体半導体デバイス
メーカーの集積、技術や
人材の蓄積、大手製造装
置メーカーの立地と協力
企業の組織化
技術や人材の蓄積、生産
拠点の高度化、海外マー
ケットの勃興、競争激化
による自律化の要請、ス
ピンアウト、大学等研究機
関の存在、産業集積の存
在
大手半導体デバイス(前
工程)メーカー
大手半導体デバイス(前
工程)メーカー
大手半導体デバイス(前
工程)メーカー、製造装置
メーカー(組立)
大手半導体デバイス(前
工程)メーカー、製造装置
メーカー(組立)、フラット
パネルディスプレイ
前工程、後工程、装置製
造、テスト
前工程、生産技術、テスト
前工程、R&D(生産技術、
評価解析)
前工程、R&D(設計・開
発、評価解析、生産技術)
半導体デバイス(後工程)
メーカー、部品材料メー
カー
地場製造装置メーカー
(ベンダー)
製造装置メーカー(組立)
フラットパネルディスプレ
イ、半導体設計メーカー、
装置メーカー(設計・開
発・テスト)
アンカーセクション
アンカーセクショ
ンが主に担う機能
主要な
派生産業
複合発展期
1996~
国際競争の激化とR&D・
関連産業への展開
ー
九
州
半
導
体
ク
ラ 起業化・事業化
ス の誘発要因
タ
成熟期
1986~1995
資料)ヒアリングより作成
2
図表3
九州半導体クラスターの形成モデル
大手デバイスメーカー
(前工程)
創生期
(~1975)
後工程メーカー
前工程部門
テスト部門
半導体以外の
分野から参入
後工程部門
部品材料メーカー
装置製造部門
大手デバイスメーカー
(前工程)
後工程メーカー
前工程部門
成長期
(1976~1985年)
部品材料メーカー
生産技術部門
半導体以外の
分野から参入
テスト部門
装置製造メーカー
(ベンダー)
大手デバイスメーカー
(前工程)
R&D
後工程メーカー
前工程部門
部品材料メーカー
成熟期
(1986~1995年)
●生産技術部門
●評価解析部門
装置メーカー
装置メーカー
(組立)
装置製造メーカー
(ベンダー)
大学
大手デバイスメーカー
(前工程)
H.B.
複合発展期
(1996年~)
R&D
●営業技術部門
●品質管理部門
設計メーカー
後工程メーカー
前工程部門
●設計・開発部門
●評価解析部門
●生産技術部門
部品材料メーカー
半導体以外の
分野へ参入
装置メーカー
プラットパネル
ディスプレイ
H.B.
●営業技術部門
●品質管理部門
装置メーカー
(設計・開発・テスト)
R&D
●設計・開発部門
●評価解析部門
●生産技術部門
装置メーカー
(組立)
装置製造メーカー
(ベンダー)
凡例
産業分野
取引関係
協力関係
波及経路
注)H.B.はホームベース機能(本社機能)、R&Dは研究開発機能を指す。
資料)ヒアリングより作成
3
3.起業化・事業化を取り巻く環境変化
・九州は活発な起業化・事業化によって産業クラスターを形作ってきた経緯がある。他産業から
の参入比率が 46.6%に達し、電気機械、鉄鋼、化学、造船、石炭などの九州の他の基幹産業か
ら参入が多くみられていた。しかしながら、複合発展期になると他産業からの参入比率が 21.4%
にまで減少している。
・この結果、近年では起業が減少するという変化が見られる。地場企業本社の事業開始を起業と
みると、時代区分別にみた構成比は創生期が 45.3%、成長期が 25.3%となっており、両者で7
割に達し、複合発展期にはわずかに 13.7%にとどまっている。
・その一方で、複合発展期には九州が蓄積してきた産業集積と技術力に吸引され、九州への進出
ブームが起こっている。この時期の進出業種は、装置メーカー、設計メーカー、フラットパネ
ルディスプレイメーカーが中心となっている。
・創生期や成長期には、資本力のある地場の有力企業が取引先(カスタマー)や本社・親会社等
から手厚いサポートを受けつつ新規事業化を果たすしくみが構築されていたが、近年では企業
間関係が「系列垂直分業→国際水平分業→戦略的協業」へと移り変わるなかで、手厚いサポー
ト体制は崩れつつある。これまでの新規事業化に際して、サポートを受けたとする比率は 70.3%
となっており、新規事業化に対するサポートの重要性が明らかになっている。特に、創生期に
は 95.0%がサポートを受けたとするものの、成熟期には 55.0%まで減少し、複合発展期には
78.6%となっている。
・サポート内容としては、技術開発・商品開発が 65.4%と最も高く、これに情報提供(36.5%)
や営業・取引(33.7%)が続いている。新規事業化のサポートのイメージとしては、マーケッ
トや取引先のニーズに関する幅広く深い情報によってチャンスをつかみ、技術開発や商品開発
でサポートを受けつつ商品化を果たし、スタートアップ時に取引先としてリアルジョブを得る
という「情報→開発→リアルジョブ」の一連のサポートを受けてきたという流れを見ることが
できる。ただし、近年の複合発展期では、情報や開発の比重を落とし、資金や人材獲得などの
比重が高まる動きがみられ、技術や情報を独自に確立した上で新規事業化を進めていくとい「技
術保有型」のスタイルをみることができる。
・半導体関連事業に関わり始めたきっかけや主要事業立ち上げの競争優位点をみても、コスト競
争力から技術競争力へのシフトをみることができる。事業開始のきっかけをみると、古い時期
が「取引先からの要請等のマーケット要因」が主となっていたのに対して、最近では「保有技
術の応用や技術開発成果の応用等の技術要因」の比率が高まっている。また、競争優位点をみ
ても、創生期にはコスト競争力が 75.0%、技術開発力が 35.0%で認識されていたのに対して、
複合発展期ではコスト競争力が 39.3%、技術開発力が 67.9%となっており、技術競争力にシフ
トしている。
・近年の起業化・事業化には、技術力を生かして新しいマーケットを独自に探すという姿勢が重
要であり、新規事業化のスタイルが「資金保有型から技術保有型へ」移り変わっている。
4
図表4
起業・事業開始の時期(事業形態別)
0%
10%
20%
40%
50%
39.9
総数
地場企業
(本社)
進出企業
(事業所)
30%
70%
23.6
45.3
21.4
成長期
80%
16.9
25.3
31.0
創生期
60%
100%
17.6
14.7
2.0
1.1
13.7
19.0
成熟期
90%
26.2
複合発展期
2.4
無回答
注)総数N=148、地場企業(本社)N=95、進出企業(事業所)N=42
資料)「半導体関連産業における事業展開の動向に関するアンケート」より作成
図表5
主力事業立ち上げの際の競争優位点(時代区分別)
(単位:%)
製品販売力
コスト競争力
技術開発力
製品企画力
カスタマー
サポート力
創生期
15.0
75.0
35.0
15.0
35.0
5.0
10.0
成長期
8.5
48.9
61.7
17.0
29.8
14.9
0.0
成熟期
10.0
47.5
75.0
12.5
32.5
12.5
2.5
複合発展期
7.1
39.3
67.9
14.3
28.6
7.1
3.6
その他
無回答
注1)創生期N=20、成長期N=47、成熟期N=40、複合発展期N=28
注2)複数回答のため回答数とサンプル数は一致しない
資料)「半導体関連産業における事業展開の動向に関するアンケート」より作成
図表6
起業化・事業化を果たすための条件の変化
技術の高度化
サポートの減少
戦略的協業の模索
環境変化
地場企業による起業化・起業化の減少
きっかけ
・マーケットの成長性
・取引先からの要請
マーケット
・隣県・九州レベル
事業スタイル
・技術競争力
ッ
・コスト競争力
ー
競争要因
・マーケットニーズの発掘
・保有技術の応用・技術成果の応用
タ
の
変ゲ
化
ト
資金保有型
・全国・世界レベル
技術保有型
資料)ヒアリング、アンケートより作成
5
4.起業化・事業化の特徴とパターン
・技術レベルの高度化と製品ライフサイクルの短縮化という業界を取り巻く環境変化によって、
起業化・事業化を進める分野は、
「専門分野への特化」と「高付加価値フィールド」に、集約さ
れつつある。専門分野への特化としては、ファウンドリーや EMS、テストハウスなどがあり、
専門分野におけるアウトソーシングの受け皿として機能しており、高度な技術力を背景として
系列を超えた事業展開を進めている。高付加価値フィールドとしては、部品から装置へ、メン
テナンスから装置へといったオリジナル製品への展開(アプリケーションへの展開)がある。
技術蓄積を果たすなかで、事業の範囲を「系列受託」から「外販受託」へと変化させ、
「オリジ
ナル製品の開発・販売」にまで拡大して新しいマーケットを切り開いている。また、これまで
蓄積してきた技術を生かせる半導体関連以外の新しいマーケット、例えば計測・測定機器や医
療機器、微細加工機器などを目指した幅広い事業展開も見られる。
・新規事業化の推進力として、外部資源の活用、特にコラボレーションによる力の結集が図られ
ている。新規事業化に際して、64.9%がコラボレーションの重要性を指摘し、その相手先とし
て取引先(カスタマー)、技術力のある企業、大学等研究機関を指摘している。
・カスタマーとの関係強化については、ニーズの発掘や開発段階からのコミットメントの必要性
を示しており、このニーズを具現化するために技術力を持った企業とのコラボレーションを必
要としている。このため、企業間のコラボレーションの形態は、
「技術供与型」の上下関係では
なく、「技術開拓型」の協業関係へと変化している。
・新しい技術開発が必要な際や新分野への展開を検討する際には、大学の知見とネットワークが
求められており、産学連携が新規事業化に重要な役割を果たしつつある。大学との連携では、
民間が求める新技術の研究開発を果たすケース、大学の技術の民間移転を目指すケース(大学
発ベンチャー企業)などがみられる。
・新規事業化を目指す企業に求められる条件としては、商品開発や営業といった自律経営を行な
うために必要な機能を有することと、新規事業化に対する「意識、保有資源、推進体制」を整
備していく必要がある。自律的経営機能については、オリジナル製品を開発して新たなマーケ
ットへ展開していく上で欠かせない。例えば、商品開発機能を持たない企業は 54.1%が九州内
のマーケットに販売しているのに対して、商品開発機能を持つ企業は 67.4%を九州外のマーケ
ットで稼ぐなど、マーケットの明確な違いを見ることができる。意識については、新規事業の
先にどのような世界が開けるのか、世の中にどんな貢献ができるのかという「夢」を持つこと
が最も重要であり、常に現在の事業に対して危機感を持って、変化への対応を目指していくこ
とが求められている。保有資源については、技術力・人材力、人脈、キーマンの存在が欠かせ
ない。特に、事業スタイルが技術オリエンティッドになっている現在、技術を組み合せ、応用
させ、新しいマーケットを切り開いく必要があるため、キーマンの専門領域が技術・研究開発
にシフトし、その経歴もプロパーから転職組みにシフトしつつある。推進体制については、情
報収集とマーケットニーズの発掘・具現化が行なえる体制を、トップの号令のもとで作り上げ
る必要がある。
6
図表7
近年における起業化・事業化の分野と特徴
新規事業化を進める分野
専門分野への特化と
技術の応用
高付加価値フィールドへの
事業展開
・関連する高付加価値分野へ
(部品→装置、設計→ツール等)
・オリジナル製品へ(新しいマーケットへ)
・ファウンドリ、EMS、テストハウス
・ファブレスLSI設計
・特定デバイス・装置・材料への特化
新規事業化の推進力
コラボレーションによる力の結集
資料)ヒアリングより作成
図表8
新規事業化のメカニズム
<近年の変化>
・事業立ち上げが資源保有型から技術保有型へ
・新規事業立ち上げの競争力としてはコスト競争力から技術開発力へ意識がシフト
・技術的要因から共同での立ち上げが増加傾向
・キーマンに転職組みが増加
<起業化・事業化の特徴>
<新規事業化の必要条件>
新規事業化を進める分野
意識
推進体制
夢
情報収集
マーケットニーズの発
掘・具現化
保有資源
専門分野への特
化と技術の応用
技術力・人材力
現在の事業に対する
危機感
人脈(外部とのネッ
トワーク)
変化への対応
キーマンの存在→
技術力・力量
トップの号令(全社的コ
ンセンサス)
コラボレーション
高付加価値フィー
ルドへの事業展開
新規事業化の推進力
コラボレーションによる力の結集
カスタマー
新事業を推進しよう
とする意識
技術力のある企業
大学
産学連携
<新規事業化に向けた課題>
・十分な経営資源が避けないこと
・技術、情報、取引・営業等で必要なサポートが受けにくいこと
・マーケットの開拓、人材育成・獲得、マーケット情報の獲得が
行いにくいこと
・資金の獲得が難しいこと
・必要とする産学連携のハードルが高いこと
<新規事業化を目指す企業に求められる機能
=自律した経営体としての機能>
①意志決定機能
②商品開発・商品企画機能
③商品設計・試作商品化機能
④営業機能
⑤品質管理・カスタマーサポート機能
新 規 事 業
資料) 「 半導体関連産業における 事業展開の動向に関する アン ケート 」 、ヒ アリ ン グよ り 作成
7
5.起業化・事業化の今後の方向性
・新規事業化については 85.8%が今後ともその必要性を認識している。特に、コスト競争力を強
みとしている設備や部品等の業種で高く、既存事業に対する危機意識とこれに対応しようとす
る意識の明確な現れとみることができる。
・新規事業化の分野として、半導体関連分野を模索する企業は 45.3%で約半数に達する。なかで
も、装置が 58.6%で最も高く、これまでの技術蓄積を応用して新たな付加価値の高い装置開発
を目指している。特に、九州の大手デバイスメーカーは最先端の生産ラインを持つため、ここ
が装置開発のフロントエンドとなっており、ここで開発した装置を世界のマーケットに売り出
していこうとする動きが見られる。
・一方で、半導体関連以外の分野で新規事業化を模索する企業も 47.3%と約半数に達する。なか
でも、設備が 81.8%、部品が 60.6%、装置が 58.6%と高くなっており、産業の裾野分野、他業
種からの参入が多い分野で高くなる傾向が見られる。特に、2001 年の IT バブル崩壊以後は景
気変動が大きな半導体業界に頼ることをやめ、リスク回避のために半導体関連部門で培った微
細加工技術や微細制御技術等の技術応用によって、半導体関連以外に新たな事業の柱を模索し
ている企業が多い。
・半導体関連事業以外のターゲットとしては、医療福祉が 34.3%と最も高くなっており、これに
環境が 30.0%、ナノテクが 24.3%、ロボットが 21.4%、自動車が 17.1%などで続いている。一
方、医療関連、自動車関連、ロボット関連などでは、セミコンジャパン来場者から今後の取引
が検討されており(積極的に検討がそれぞれ 42.9%、33.3%、30.8%)
、九州のポテンシャルが
高く評価されている。
・今後の新規事業化に必要な条件としては、保有技術の応用が 58.8%、技術革新・技術開発成果
の応用も 42.6%と、これまでになく技術力の必要性が高く認識されている。同時に、マーケッ
トの発掘も 50.0%となっており、技術を応用して自ら新しいマーケットを開拓していく能動的
な展開が目指されている。
・九州が技術的な強みを有する分野としては、評価・解析技術と、これと連動する設計・開発技
術や生産技術」であり、その具体的な分野としては「IC パッケージを核とする半導体実装技術」
である。近年のデジタル家電はモバイル化・パーソナル化の動きのなかで小型化が求められて
おり、高密度実装技術が不可欠になっているが、九州はこれらの高密度実装デバイスを高信頼
性のもとでスピーディーにマーケットに送り出せる能力を持った地域となっている。
8
図表9
半導体事業以外の新規事業検討分野
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
35.0
(%)
34.3
医療・福祉
30.0
環境
24.3
ナノテク
21.4
ロボット
17.1
自動車
N=70
11.4
バイオ
10.0
食品
7.1
化学・素材
22.9
その他
無回答
40.0
4.3
注)複数回答のため回答数とサンプル数は一致しない
資料)「半導体関連産業における事業展開の動向に関するアンケート」より作成
図表 10 時代区分別にみた新規事業化に求められるマーケットと技術のイメージ
技術軸
開発
今後
複合発展期
応用
成熟期
要請
成長期
<マーケット軸>
要請:45.0%
発掘17.5%
<技術軸>
応用:50.0%
開発:17.5%
<マーケット軸>
要請:51.1%
発掘:14.9%
<技術軸>
応用:29.8%
開発:8.5%
<マーケット軸>
要請:14.3%
発掘:25.0%
<技術軸>
応用:39.3%
開発:25.0%
<マーケット軸>
要請:22.3%
発掘:50.0%
<技術軸>
応用:58.8%
開発:42.6%
発掘
マーケット軸
創生期
<マーケット軸>
要請:40.0%
発掘:25.0%
<技術軸>
応用:25.0%
開発:0.0%
特になし
注1)マーケット軸に関して、「要請」は「取引先からの要請」、「発掘」は「マーケットニーズの発掘・開拓」を示す。
注2)技術軸に関して、「応用」は「保有技術の応用」、「開発」は「技術革新・技術開発成果の応用」を示す。
注3)図中の各期の位置は、上記4つの選択率からイメージとして配置。
資料)「半導体関連産業における事業展開の動向に関するアンケートより作成
9
6.九州半導体クラスターの目指す新事業創造戦略
・九州半導体クラスターの今後の展開を図っていくためには、これまで培ってきたクラスターの
成長メカニズムを継続的に発展させていく必要がある。その際、半導体業界を取り巻く環境変
化、特に戦略的アライアンス、機能モジュール化、開発と生産の融合というデバイス開発の環
境変化に対応し、高付加価値分野において生産技術・開発技術を磨く必要がある。また、九州
半導体クラスターが培ってきた技術面、機能面、環境面での優位性を生かしつつ、
「技術的優位
性(高機能デバイスに関する実装技術・生産技術・評価解析技術・装置材料技術・商品開発設
計技術)
」を軸にした幅広い分野への戦略的な事業展開を図っていく必要がある。
・展開イメージは「半導体機能モジュールクラスター」への展開である。
1)デバイス生産拠点から機能モジュール生産拠点へ(技術展開1)
・九州半導体クラスターが持っている最新鋭の工場と生産技術の蓄積、それに評価・解析の技術
蓄積や素材から製造装置までの幅広い産業集積のメリットを活かして、機能モジュールにおけ
る生産技術と開発技術の高度化を図る。半導体デバイスの開発主体がアプリケーションにシフ
トしていくなかで、半導体デバイスにはシステムとしての機能が求められるようになっている。
半導体デバイス単体から、機能やシステムまで統合した機能モジュール(液晶モジュールやカ
メラモジュール、信号処理モジュール等)でのビジネス展開を目指す。
2)産学分業から産学連携へ(技術展開2)
・九州半導体クラスターが持っている豊富な研究者の集積と支援機関を活用して、開発技術の高
度化を図る。近年、産学連携が進むシステム LSI 分野のみならず、装置、材料、素材等の幅広
い分野での産学連携を進めるとともに、外部資源の活用という発想のもとで「大学を社外の基
礎研究所」と位置付けて、新しい技術を生み出す場として活用していくことが求められる。
3)エリアマーケットからグローバルマーケットへ(マーケット展開1)
・九州半導体クラスターが持っている技術や製品の優位性を生かして、成長する海外のマーケッ
トで勝負していく必要がある。九州には高いマーケットシェアを持つ製品も多く、これに続く
技術や製品を地域が一丸となって創出していく必要がある。また、海外展開を果たす企業は、
売上の半数以上を海外マーケットで稼ぎ出しているという実績があるが、今後も積極的な海外
展開によって新しいマーケットの獲得を図り、地域に需要を搬入するアンカー企業を増やして
いく必要がある。
4)単一クラスターから複合クラスターへ(マーケット展開2)
・九州半導体クラスターの成長要因のひとつであるアンカー企業の重層化を進めるべく、これま
での技術蓄積を新しい産業分野へ応用して、複合的な産業クラスターの形成を図る。特に、地
元に産業集積がみられる鉄鋼、化学、自動車、食品をはじめ、九州内外から期待を集める医療
福祉や環境、ロボットなどの今後の成長分野に対して、技術応用・高度化による展開を目指す。
10
5)ネットワークと事業機会の形成へ(サポート体制)
・九州半導体クラスターにこれまで形成されてきた多くの支援機関や支援プログラムをベースと
しつつ、先の4つの事業展開を積極的にサポートするために、ネットワークと事業機会の形成
を図るしくみを充実させていく必要がある。ネットワークについては、事業化に密接した技術
開発やマーケット開拓のためのアライアンスや産学連携の形成支援の充実が必要である。また、
事業機会の形成については、新しいマーケットや新しいアプリケーションを生み出す社会実験
プログラムや研究会等の場の形成が求められる。
図表 11 九州半導体クラスターの事業展開の方向性
半導体業界を取り巻く
環境変化
デジタル家電の世界的マーケット
の拡大と競争激化
アプリケーションメーカー
主導のデバイス開発
デジタル家電の
統合化とモバイル化
新しいカスタマーの誕生
(自動車・医療・バイオ・ロボット)
商品ライフサイクルの
短縮化
新事業展開に求められる能力と課題
将来のデバイス開発のイメージ
・戦略的アライアンス
(開発段階からの企業間協業)
・設計・試作機能と生産機能の融合
・機能モジュール化
・技術開発能力
・マーケット発掘・開拓能力
・外部資源の活用能力
・コラボレーション構築能力
九州半導体クラスターの
成長メカニズム
時代に応じた業種展開と
業種の多様化
アンカー企業の生産拠点の
機能高度化
空間的拡大とグローバル化
クラスターを牽引する
アンカー企業の重層化
技術オリエンティッドへの変化
クラスター形成企業の自律化
九州半導体クラスターの持つ優位性
環境面での優位性
技術面での優位性
機能面での優位性
・高機能デバイス実装技術
・高生産性を実現する生産技術
・次世代技術を生み出す評価解析技術
・生産技術に係る製造装置・材料技術
・生産技術に係る商品開発・設計技術
・設計・試作・商品開発機能の付加
・アンカー企業のホームベースの立地
・地場企業の本社機能の存在
(自律的経営体としての機能の強化)
・業界・系列をまたいだビジネスを実践
・幅広い関連産業の存在
・大学研究者の存在
・支援機関・支援組織の存在
・アジアとの近接性
・他の基幹産業の存在
九州半導体クラスターに対する外部評価
・技術力や産業集積で高い評価
・製造装置・部品・材料分野、医療分野、自動車分野、ロボット分野で期待
優位性の活用と
深化
環境変化と課題
への対応
成長メカニズムの
継続的発展
九州半導体クラスターの今後の展開イメージ
デバイス生産拠点から
機能モジュール生産拠点へ
技術展開
エリアマーケットから
グローバルマーケットへ
産学分業から
産学連携へ
単一クラスターから
複合クラスターへ
マーケット展開
ネットワークと
事業機会の形成へ
サポート体制
展開イメージ : 「半導体機能モジュールクラスター」への展開
11
Author
Document
Category
Uncategorized
Views
1
File Size
527 KB
Tags
1/--pages
Report inappropriate content