レスベラトロールの健康長寿効果について 誌名 日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan ISSN 09147314 著者 佐藤, 充克 巻/号 107巻10号 掲載ページ p. 740-749 発行年月 2012年10月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所 Tsukuba Office, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat レスベラトロールの健康長寿効果について 最近の話題 赤ワインの機能性については f フレンチパラドクス Jに端を発した赤ワインブームの後も,種々の研究 が続けられている。今沼は,赤ワインの活性酸素消去効果を発表した,日本の赤ワインの機能性研究の第一 入者である筆者に,特に注目されている成分であるレスベラトロールについて最新の話題を含めて解説して いただいた。 佐藤充克 ケイソウは,アルカロイドである殺虫成分を含むが, はじめに 本物質は有毒成分ではない。本物質はレゾルシノール 9 9 7年,本誌]) ワインの機能性成分については. 1 に詳しく解説した。その中で, レスベラトロール (RSV) に強力な抗がん作用があることについて,サ ( R e s o r c i n o ] ) 構造を有することから R e s v e r a t r o l( レ スベラトロール)と命名された。高岡氏は RSVを化 学合成し構造を確認している。 イエンス誌 2)の報告を引用し紹介している。世界の その後. 4 0年弱主自されることはなかったが, RSV研究は,この報告から極めて多くなった o RSV 1 9 7 6年に Langcakeとわ yce6)がブドウ主主からファイ についても. 1 9 9 71:ドに総説 3)を書いているが,約 1 5 トアレキシンとして再発見した。ファイトアレキシン 年を経過し抗がん作用のほかに種々の新しい生理作 とは,植物が外部からの感染やストレスに対応し,生 0 0 6年,米国ハーバー 用が報告されている。特に. 2 合成する抗菌性物費を言う。 RSVには抗カビ性があり, ド大学医学部の S i n c l a i rらが,ネイチャー誌t)に RSV B o t r y t i sc i n e r e a ) に対抗し,ブドウが植 灰カピ病菌 ( がマウスの寿命を延ばすことを報告した。これは,米 物体内に合成する。 1 9 7 7年には,ブドウから RSVの 国でブームを引き起こした。米関の RSVサプリメン )された o 1 ' . ピ 二量体である,かどニフェリンも発見 i 0億円に達するという。 トの売り上げは,現在では約 3 ニフェリンはブドウに比較的多量に存在し稜々の活 0 1 1年 6月 1 2B . テレビ番組 INHKス 日本では. 2 性の高いことが知られている。 ペシヤル」で. I あなたの寿命は延ばせる 発見!長 第 l図に RSV単 長 体 の 構 造 乞 第 2図に RSVの 2 寿遺伝子 ~J を放咲し更に,視稿者の 1) クエストで から 4量イ本の構造を示す。 RSV類はその基本構造か 繰り返し向番組が放映されたことで,一種のブームを らステイルベン化合物と称される。 呈している O ここでは. RSVについて,これまで報 された内容を概説すると共に,米国 NIHグループ による作用機構に関する最新の話題も含め総介したい。 発見の歴史 RSVは,北海道帝国大学理学部化学教室の高同道 夫氏 5 )により 1 9 3 9年,有毒植物パイケイソウ(梅窓 Veratrumg r a n d i f l o r u m ) から発見された。パイ 9 8 8年で¥Creasy ブドウ来実から発見されたのは 1 ら 8)は果皮から RSVを発克した o 1 9 9 2年にはワイン から RSVが検出 9 )され. 1 9 9 1年に CBSテレビで放映 されたフレンチ・パラドックス による赤ワイン・ 1 0 ) Tわれた。 ブームに乗って,機能性研究が積極的に 1 RSVの分析とブドウにおける分布 9 9 1~ 1 9 9 2年,カリフォルニア大学デーピ 筆者は 1 L o n g e v i t yE f f e c t so fR e s v e r a t r o l:RecentT o p i c s M i c h i k a t s uSATO ( FormerP r o ) にLψl o n gWineE d u c a t i o J ZProgram,U n i v e r s 仰 が Yamanashi) 7 4 0 醸 協 ( 2 0 1 2 ) R4 ¥ ι : R 1 OH OH OMe O G l c O G l c HO 、 R1 丁 r m a t lOn R2 HO 、 R4 R2 OH OH OMe OH OH 第1 関 R3 H OH H H OH o V、 f 〆 R e s v e r a t r o l P i c e a t a n n o l P t e r o s t i l b e n e P i c e i d A s t r i n g i n てi グ 倒 OH R4 OH OH OH OH OH c i s f o r m a t i o n レスベラトロール類単量体の構造 γ 勺 、 tム/~"角止 、 ¥ [ 、 「 九 d / 今 R2 ふv i n i f e r i n HO OH OH OH な HO HO 、メ九 Yゴ ノ HO OH HO OH OH α ω v i n i f e r i n 第 2国 ( +) h o p e a p h e n o l OH レスベラトロール重合体の構造 ス校で研究しており,フレンチ・パラドックスを特集 が必要であった。我々は,北海道から九州まで国内産 1 9 9 1年の C B Sテ レ ビ 番 組 f60m i n u t e s J に遭遇 のワインを集め,含まれる RSVの定量を行った O そ した した。帰国後,赤ワインの活性酸素捕捉活性の研究 1 1 ) の結果 1 2 ) 白ワインには平均約 0 . 1mg/ し赤ワインに に取り組み. RSVの研究も行った。ワインには多くて は 1~ 数 mg/L 含まれていることが判明した。赤ワイ p mしか含まれていないので,成分の選択的濃縮 も数 p ンでは,どノ・ノワールに多いことも分かり,世界の 第 1 0 7巻 第 1 0号 7 4 1 報告とも…致した。ピノ・ノワールはブドウの果皮が RSVは果粒より,葉や茎に多く, しかもカどに汚染 薄く,カピ汚染から来粒を守るため,果皮に抗カど活 されると多くなることが分かる。市販の RSV製剤は, 性のある RSVを比較的多量に蓄積する。赤ワインに ブドウの新梢や若葉が原料になることが多いが,領け は多量のポリフェノールと共に, RSVも含まれ,夜接, る結果である。 活性酸素・ラジカルを捕捉J!)することが分かつた。 RSVの配糖体,パイシード(第 1図)は,イタド RSVはファイトアレキシンであり,ブドウに紫外 リ根である漢方薬 線 ( U V ) を照射すると,その生成最は増加する。山 f 虎杖根(コジョウコン ) J の主成 分である O イタドリ根は食薬区分では, r 専ら医薬」 梨大学・ワイン科学研究センターの久本准教授らは, 収穫後,ブドウ果皮に UVを 照 射 し HPLCにて蛍光 第 1表 検出を行い,多くのステイルベン化合物を検出した。 ブドウの部位別レスベラトロールとパイシ ード含有量 第 3障に HPLCプロファイルを示す。天然の RSV製 t r a n s -レスベラトロ j レ 剤には,多くのステイルベン化合物が含まれる。ブド t r a n s -ノfイシード ウには RSVの他に 2愛体のかピニフエリンが比較的 ぶどう部{立 多く含まれる O 来校 0 . 2 2 . 3 . 9 0 . 6・2 来粒(カピ汚染) 0 . 7 1 2 . 1 1 .5 6 . 3 葉 ぺ0 . 3 2 . 5 業(カど汚染) 3 . 7 2 0 . 9 立Jゑ急生 1 8 . 5 6 0 . 9 RSVはワインに含まれるが,その存在量は,ブド ウの葉や茎に多いことが知られていた。最近, B a l i k ら 13)はブドウ部位別の存在量を報告している。チエ コのシャルドネや赤品種, S . tLaur 巴n tの果粒.葉,茎, 表い茎(新梢)の存在量を第 l表に示す。第 1表から 茎 盟主岩部品 1 2 . 6 9 9 . 7 新梢 一O -h 円 thh c ctωhw 一 ﹀ 一 一語﹄百一﹀も m w﹂m w﹀ののいS M Wむの ﹂判 shv a zめCmw occmwtwωω一 ゐ w O X M E M w m h m w L N 古 一m E ﹀会 ωcsc (﹀ R e t e n t i o ntime( m i n ) 第 3図 UV照射したブドウ巣皮のステイルベン化合物の HPLCプロファイル n e r t s i I @ODS-SP,蛍光検出 ( E x .3 1 0nm,Em.4 0 3nm) カラム:I 7 4 2 穣 協 ( 2 0 1 2 ) t r α ,n s p i c e i d c i s p i c e i d t r a n s r e s v e r a t r o l mβ389[ M H ] - mj包389[M-同 ー m/ 告227[MH ] 拘 8肘 1 7 0 e l 60e-l 2 1 1 0 5 ~ Emodine 2 2ら4 50e-l m / z269[M州]' ! O e l 30e-1 白 2 1 0 e l -,-rr--,-~,.,..-,..,...,....."一一一一?日 1 6即 時 加 叩 ∞ 目 加 印 お 印 第 4図 2500 T~" ' f ' i " " ! 'T l m e ,-'TTT""]'_-_]"""'"""TT ";H""""_"'T,T"_"T"'-'_"""""---'Tr" ヤー 30 叫担回目印加さS 印 ~O QO J 2関 付 加 G叫 ~ll 00 コジョウコン抽出物の UPLC/DAD/TOF-MSパターン J c システム ( UPLCは ACQUITYUPLC W a t e r s ),カラムは ACQUITYUPLCHSST3(1 . 8μm, 2 . 1x1 0 0m m,Waters)を使用。検出はフォトダイオードアレイ装誼(検出波長 2 0 0 6 0 0nm)。 MSは LCTP r e m i e rHI XE( W a t e r s )飛行時間型質量分析装置を用いた O (山梨大学,久本准教授提供) に分類され,食品としては使用できない。第 4図にイ たに形成され,古い細胞は一定販問で,若い細胞に霞 タ ド リ 絞 拙 出 物 の UPLC/DAD/TOF-MS (超高速液 J 灸される 体クロマトグラフー飛行時間型質最分析計)分析パタ 結質成分の酸化である。拘禁が般化されると,過酸化 ーンを示す(山梨大学,久本准教授提供)。イタド 1 ) 脂賓となる。!況の脂質が酸化されると,皮膚の溜いが O また,エイジングの初期に認められるのが, は,主要生産物が RSVの配糖体,パイシードであり, なくなり,シワやシミを主主じ,肌のハリも失われる。 ブドウには含まれない,徳性の低いエモジン配糠体お 脂質は光やフリーラジカルにより,酸化され過酸化脂 よびエモジンも多いことがわかる O パ イ シ ー ド は s - 質ラジカルとなる O 脂質は酸化物が酸化の触媒になり グルコシダーゼ処理で容易に RSVに変換可能で、'イ (自動酸化),酸化がどんどん進むので,抗酸化物質で タドリ;を原料にすれば,比較的安価に RSVが得ーられ 脂質の酸化サイクルを止めることが重要である O 生体 の酸化は,活性酸素やフリーラジカルにより行われ, るO 以下, RSVの健康長寿効巣について説明するが, 種々の疾病の 8 0 9 6以上の原因となっているとされる九 最近よく話題になる「アンチエイジング効果」をキー ワードに解説を進める。 レステロールの酸化防止(動脈硬化予防),癌予紡, アンチヱイジングイ宇用とは エイジングはワインやウイスキーでは熟成だが, 従って,アンチエイジング作用とは,新陳代謝を活 発にする,脂質成分の酸化を防ぐ(抗酸化),悪玉コ 脳神経の傷害防止,細胞の寿命をのばすことなどが含 ヒ トでは加齢あるいは老化である。網目包には寿命があり, まれると考えられる。 RSVには種々のアンチエイジ ング効果が報告されている O 細胞死は DNAにプログラムされており,その死滅は r I アポトーシスと言われる。細胞は新陳代謝により,事 第 1 0 7巻 第 1 0号 7 4 3 抗酸化活性および血小板凝集臨書活性 その後, RSVの高い抗がん活性の漂白を示す論文却) カ宝出た。 RSVは,イ本内でチトクローム P450である アンチエイジングとして,脂質の酸化を防止するこ CYPIB1により水酸化され, p i c e a t a n n o l( 第 1殴) とは重要である o RSVには, フェノール性の水産主義 に変換される。これが高い抗1 重傷活性を示すというこ があり,抗酸化l i d 生を示す。皮j 議の脂質ではないが, とである。 動脈硬化の引き金として知られる,悪玉である L DL- 脳神経保護効果 コレステロールの酸化は,活性酸素やラジカルにより 進行する。 RSVは,これを効率よく組答 する。酸 1 4 ) ボケずに長生きすることも,アンチエイジングとし 化 LDLはマクロファージにより食食され,これが治 ては重要である o RSVの抗がん効果の論文発表と, 状細胞となり,動脈硬化の引き金となる。即ち, LDL l まぽ間待期に,ボルド一大学法学部の Orgogozoら 2)) の酸化防止は動脈硬化予妨となる。脂質が殺化すると, は,赤ワインを 3~4 杯飲んでいると,認知症やアル 「身体が錆びる」と言われ,シミやシワの原因となる ツハイマー症の発生が 7 0~ 80%減少することを報告 が , RSVは脂質酸化を防ぐ。また,酸化紡止とは異 した。論文では表になっていたが,第 5図に変換した なるが, RSVは血栓の原因になる血小板の凝集も問 データを示す。イタリアの B e r t e l l iら詑}は, RSVには, 5 . 1 6 )する。配糖体であるパイシードについても,血 答1 小板凝集阻等活性が報告 されている。筆者らは, l i . 1 8 ) 赤ワインの血液サラサラ効果を報告 1 9 ) しているが, RSVの血小板凝集阻答効果が貢献している。 抗がん活性 寿命をのばすという意味では,抗がん活性も重姿な アンチエイジング作用である o RSVが一躍注目を集 めたのは,当時イリノイ大学の教授であった John批 この疫学データを裳付ける活性のあることを報告した O 1 9 9 9年正月,殆どの朝刊に「ワインに脳の病防ぐカ J という記事が掲載された。 B e r t e l l iらによれば, RSV は非常に低濃度(1μM) で,記憶:や学習のプロセス における,シナプスの変化に街与している ERK2の 燐酸化を誘導する O 非常な低濃度で良いので,赤ワイ ンをグラス1.5杯飲めば充分としている。 3 )が ワインの認知症予防に関しては,最近も報告 2 ある。 ' 6 8~ ' 6 9に 38~ 6 0歳であった,スウェーデ P巴z z u t oらが,サイエンス誌に強力な抗がん活性を報 ン在住の 1462名について, 34年間に主主り摂取アルコ 告 2)したからである。 RSVは発がんプロセスの主要 3 ールの種類,摂取量,ライフスタイルなどと認知症の 段階(イニシエーション,プロモーション,プログレ 1 . 2 ッション),全てにおいて抗がん活性を示した。郎ち, 発がん物紫を解毒する第 2相薬剤代謝酵素を活性化す 崎1 ゲナーゼはプロスタグランジン,ビドロペルオキシ夕、、 0 . 2 ーゼは活性酸素の生成を触媒し,両者はがんのプロモ o ーション活性を示す。吏には,骨髄性白血病細胞(分 ドZ 杯1 I ヨ 3-4事1 1 ヨ 5杯以上/ 1 ヨ (0-125mL)(125ω250mL)(375 500mL)(詰 625mL) 0 1事I l 緩 化能を失った血液細胞が増殖を続ける,血液のがんの 状態)の分化を誘導し正常細胞に戻したことから, 抗プログレッション活性も示された。また,マウスの 習がんモデルにおいて, 0 . 2~ 5 . 7m gの塗布で,皮 皮j OOFOd ドロペルオキシダーゼ活性を陸答した。シクロオキシ nunvnv のプロモーションに関わるシクロオキシゲナーゼやヒ h m パコ該寝 ることで,がんのイニシエーションを阻等し発がん 州 ワイン欽議室鐙 第 5鐙 ワイン摂取と認知疲,アルツハイマー症の 関係 ジロンド, ドルドーニュ在住の 65歳以上の 3777名に 膚がんを 68~ 98%減少した。報告された雑誌が超一 つき, 3年間にわたり調査した。著者の一人, ] . M . 流のサイエンス誌だ、ったことと, RSVがワインに含 Orgogozoよりデータ入手,改変。 R e v .N e u r o l .( P a r - まれるということから,位界中から注目され, RSV 8 5 1 9 2( 19 9 7 ) . でo ~ 1杯/週と比べ, I s ) :153(3),1 の研究に火がついた。 . 0 5以下で統計的に有意。 危険率 0 744 穣 協 ( 2 0 1 2 ) 関係を調べたところ. 2 0 0 2年までに 1 6 4例が認知症 性が高まって,強く結びつくことで遺伝子の発現が抑 と診断された O ワイン摂取群は認知症のリスク(ハザ 制される。サーチュイン遺伝子は,抗老化遺伝子とも . J 照群の発症率を lとしたときの ードレシオ. HR:j 呼ばれ,通常,飢餓やカロリー制限で活性化される O 発症率)が低く,ワイン摂取最と認知症発症は逆相関 カロリー制限をすると,サーチュインが活性化されて し. HR= 0 . 6であった。この相関は女性では吏に高 DNAの転写が抑制され,結来的に DNAの損傷防止, く,認知症の HR= 0 . 3であり,発症率は 70%も低か 更には長寿につながることが明らかにされている O と った。喫煙墜を考慮に入れると,喫煙者では相関は一 ころが,カロリー制限をしなくても RSVを摂取する 段と高かった。一方,スピリッツ(蒸留酒)摂取群の ことで,サーチュインが活性化されることが番組で紹 .5 ) . ワインと反対の結 認知症リスクは高く (HR= 1 介され. RSVがブームとも言える注目を浴びている。 果となった。他のアルコール飲料についても,認知症 RSVのサーチュインに関する作用としては,最初 のリスク低下は認められないことから,ワインのアル に2 0 0 3年に酵母の寿命をのばすという報告別)があり, コール以外の成分,例えばポリフェノールや RSVが 0 0 4年 に は 多 綿 胞 動 物 25) 学会の注目を集めた。 2 認知症発疲低ドに有効に作用していると考えられる O 2 0 0 5年には線虫 C .elegani6). 2 0 0 6年初期には短命 の脊椎動物(小魚) 27). 2 0 0 6年後期にはマウス りから ι 寿命延長効果 報告があった。 マウスの報告は,最近の TV放映のベースになっ 2 0 1 1年. NHKが長寿遺伝子サーチュインの番組を 放映した。サーチュイン ( S i r t u i n ) とは. NAD+依存 ている。マウスに高脂紡餌を投与すると,肥満になり, 性のヒストン脱アセチル化酵素 (EC3 .5.1)である O 寿命が短縮するが,同時に RSVを投与すると,サー 染色体の DNAは,塩基性タンパク質のヒストンに巻 チュインが活性化され,肥満にはなったが,寿命は短 きついたクロマチン構造を取っている。ヒストンがア 0 RSVと高 縮せず,標準餌と向様になった(第 6関) セチル化されると,塩恭性が弱まり,クロマチン構造 脂肪餌併用投与群は,活発に動き,寿命も短縮しなか が緩み. DNAが転写されやすくなる O 逆に,サーチ った。このマウスでは,インスリン感受性が上昇し, ュインが活性化すると,ヒストンが脱アセチル化され, 種々のがん細胞で充進する,インスリン様増殖悶子 1 ヒストンの塩恭性が強くなり,酸性の DNAとの親和 C I G F I)レベルが低下し. AMP活性化タンパクキナ 1 . 0 。 β ol c 〉 ~ O.S ' " c c l ω 問 問 時 O 、 ~ S t. und品r dd i 紋 標 準 餌( S T D ) ulone … … ト ,Hiigghc hcalon 関 繍 縦 0 . 2 号令 高カロリー鰐 (HC) F邸 内 r a t r o l 高カロリ一館十レスベラトロール (HC+RSV) 60 70 80 90 T l m e胸 部k s ) 第 6密 レスベラトロールのマウス寿命延長効果 マウス高脂肪餌投与群は寿命が短縮するが,同時にレスベラトロー a u r . ルを投与すると,標準餌とほぼ同様の生存率を示す。].A.B D. A .S i n c l a i r .e ta l . :N a t u r e .4 4 4 . 3 3 7 3 4 2( 2 0 0 6 ) 第 1 0 7巻 第 1 0号 7 4 5 ーゼ (AMPK) およびペロキシソーム増殖因子活性 オ ー バ ー に で 投 与 し た 。 薬 剤 投 与 l符 跨 後 , 血 紫 化受容体ァ活性化補助因子 lα(PGC-1α) 活性が上昇 RSVレベルおよび FMDをi R I J定した。男性 1 4名,女 G C 1 α は,筋細胞において,糖総送体 GLUT4 した。 P 性 5名が試験を完遂した。 RSV投与には用量依存的 発現を増加させ, p<0 . 0 0 1 ) と FMD ( p< 効 果 が あ り , 血 淡 RSV ( ミトコンドリアを活性化しエネル ギー消費を高める。また, ミトコンドリアの数も増加 0 . 0 1 ) が有意に上昇した。 RSV2 7 0l11g投与で. FMD し,運動機能も改善した。即ち, RSVは,肥満に伴 はプラセボの 4 . 1土 0.8%から 7 . 7: t1 .5%に上昇した。 う2型糖尿病など,稜々の疾病を軽減し老化による 即ち, RSVは 血 管 内 皮 細 胞 機 能 を 改 善 し 動 脈 硬 化 を減少することにより,寿命を延長すると考えら を抑制することが示された。 れる o RSVにはサーチュインの活性化により, DNA 吸校と代語 損傷を防ぎ,生体全体の DNAの活動を抑 i llJする作用 がある一方で, P G C 1 α を活性化し筋細胞のミトコ ンドリアを活性化,エネルギー滋賀を増大するという, 一見,矛盾した現象が認められる。 なお, 2008主!三の報告 281によれば,老化や肥満によ 1.口腔粘膜からの吸収 311 1l11gの RSV ( 5 0l11L,50%エタノール溶液)は吸 収され,飲み込む前 1分間の接触で, 2分後には 37 ng/l11Lの遊離体が血紫から検出された。錠剤でこの る隊答予防に RSVは有用だが,健常人の寿命は伸ば 血紫濃度を得るためには, 2 5 0l11gを経口摂取する必 さないことが示されている。ただ,老化によるアルブ 婆がある。口腔粘膜投与は, RSVの水溶性が低いので¥ ミン尿症,血管内皮の炎症やアポトーシスの減少,大 現実的ではない。 R の柔軟性の向上,運動性の改善,白内 i 僚の減少 動!D 骨管皮の維持など稜々の健康効果が示された。 ヒトにおける介入試験 2 . 経口投与 錠予測で投与した RSVの約 70%は吸収される。ただ, 経口投与すると,消化管と肝臓で,急速にグルクロン 2011年,肥満男性 ( 1 1名)と健常人 ( 1 1名)によ 酸および硫酸抱合体となり, RSVのバイオアベイラ るランダム,ニ重~検研究鈎}が行われた o RSV ( r e s - 5l11gの錠剤を投 ピリティーは非常に低い。ヒトに 2 nl Vida ) 与 321しでも,血中には 5ng/l11L以下しか検出されな 1 5 0l11g/dを 30日間クロスオーバーにで経 口投与した。即ち,最初,被験者にランダムに RSV または疑似薬(ブラセボ)投与をおこない,一定のウ い。殆どは抱合体である。 ヒトやラットでは,経口投与 RSVの 5%以下しか オッシュアウト期間を設け,次に,投与物を互いに代 期中には現れない:3 : 1 1。 殆 ど は 抱 合 体 で あ る かo n s - え(クロスオーバー),投与 試験を f 子った。 RSV投与 RSV3 0 g 1 u c u r o n i d eお よ び t r a n s ぷ SV ふs u l f a t eとな 民,休止代謝率を減少した。一方,筋肉で は有意に 1邸l る 。 RSVの効果は,抱合体の活性による可能性が考 は , AMPKを活性化し, SIRTlおよび P G C 1 α タン えられるが,まだ,活性は務べられていない。ケルセ A パクレベルを上昇した。また, RSVは炎症マーカー チンの場合,抱合体そのものに弱いが抗駿化活性が認 血糖値を低下し,カロリー制限と類 肝臓脂質,血圧, J められている。また,炎症部位には,グルクロニダー 似の効果を示した。これはマウスでの試験iIと同様の ゼが発現し炎症部位で、脱抱合が起きていることが示 結果である O されており ω ,RSVでも同様の可能性が考えられる。 よ腕動脈の流量依存性拡張 (FMD) は,心臓や卵 管内皮綿胞機能のバイオマーカーである。 Wongら却) 3 . 毒性 は RSVの FMD改善効巣を調べた。境界域高血圧(収 ヒトに 5g を経口投与した試験お)があり,特段の 3 0~ 1 6 0,拡張期 i 血圧 85~ 1 0 0l11l11Hg) 総期lIIl庄 1 ' 出土極めて低いようであ 異常は認められなかった。主き1 で¥肥満度を示す BMIが 2 5~ 3 5kg/l112の 1 9名の る。しかし RSVには弱いがエストロゲン様活性が r e s 肥満男性と閉経女性に 30,90,270l11gの RSV ( あり,また,胎児では無毒化酵素経路が確立していな nl ) またはブラセボを二重富検,ランダム投与 Vida い可能性もあるので,妊婦は摂取しないほうが良いと 試験を行い.更にウオッシュアウト期間の後,クロス の文献却もある。 746 醸 協 ( 2 0 1 2 ) 止し, ミトコンドリア機能を向上,ブドウ糖耐性を改 RSVの 新 作 用 機 構 と テ 口 メ ア の 関 保 善した。今後は, PDE4阻害剤が寿命延長物質として RSVは~接サーチュイン (SIRTl)を活性化する と言われてきたが,米国 NIHのグループは, RSVに 注目される可能性がある。 Epacl38)は最近発見された cAMP受容体タンパクで T1活性化には,必ず MAPKなるタンパク よる SIR ある。 cAMP総胞シグナル研究で重要で、あり, cAMP が必要であり,他のメカニズムがあると考えた。 依存性タンパクキナーゼ (PKA) は Epacl依存性で Parkら 37)は , RSVの作用機構を細脆の代謝活性機構 ある。新しい cAMPレセプターの発見は cAMPの多 から競べたところ,サイクリック AMP (cAMP) を 様な機能角平明に貢献すると思われる。 分解するフォスフォジエステラーゼ (PDE) 4を直接 寿命を語るには,テロメアに触れない訳にはいかな 阻害することを突き止めた。作用機構を第 7闘に示す。 い。テロメアは高等動物の染色体の末端に存在する繰 RSVが PDE4に結合し,活性を搭抗阻害すると, り返し配列で,染色体 DNAを保護している。細胞分 cAMPレベルが上昇する。 cAMPの上昇にて活性化 裂にはテロメアが必要で,分裂のたびに短縮しなく c i +レベルを上昇し,フ なると,アポトーシス(細胞死)を起こす。がん細胞 された Epacl3S)は,細胞内 2 遊 ォスフォリバーゼ Cおよびリアノジン受容体 Ca+ はテロメアを伸ばす酵素,テロメラーゼを持っており, 離チャネルにて, CamKKs-AMPK経路を活性化し, 不死細胞となっている。 i rt1活性を上昇させた。 その結果, NAD+を 増 加 し S COPD (慢性閉塞性肺疾患)治療薬であるロリプラム 遺伝子である p53遺伝子は,異常 DNAの がん抑制j 修復や,細胞増殖サイクルの停止,細胞のアポトーシ は , PDE4 阻害総である。ロリプラムで PDE4 を~J3.害 ス誘導を行い,細胞のがん化を防いでいる。しかし しても, RSVのほとんどの効果を再現した。郎ち, 正常細胞で p53が過剰に発現すると,細胞の寿命を RSVは直接 S i rt1を活性化するのではなく, PDE4を 短縮する。細胞のテロメアが銭縮したり,損傷を受け i rt1を活性化することが判明した。 限害する結果, S ると, p53のレベルが上昇し細胞の増殖サイクルを その結果 RSVは,マウスでは,食事誘導性肥満を防 止め,アポトーシスが誘導される。過剰の p 53は PGC-1aを低下させ, ミトコンドリアの数と機能を低 R昏事:ve r 轟t o li n h i b i t 悪P DE 器 ! : 下させる。ミトコンドリアの機能が低下すると,活t 酸素種が過剰に生成され,この活性酸素が更にミトコ ンドリアの機能湾害を引き起こす。テロメアとミトコ ンドリアの関係を調べた論文 39)があり,分かりやす く説明している(第 8図 ) 。 サーチュインは NAD+依存性のヒストン脱アセチ ル化酵素である。間接的ではあるが, RSVはサーチ 際協象事務 ュインを活性化し,サーチュインは過剰に存在する ERISR p53も脱アセチル化し,活性を下げる。同時に,サー C鯛 KK > i チュインはヒストンを脱アセチル化することで, A長 . 4PK DNAと ヒ ス ト ン の 結 合 を 高 め , 染 色 体 DNAを保 PGC ぺα+Sirt1 護・安定化する。 RSVはテロメアの損傷で活性が下 ム G C 1 α の活性を回復し, がる P 十Mi初 出ond縦 食S おc t l o n 第 7図 RSVの新作用機構 RSVはフォスフォジエステラーゼ (PDE)4を阻害し, 結果として, PGC1 日および S i rt1を活性化する。 S, ] . Parkら:C e l l ,148, pp,4 2 1 4 3 3 ( 2 0 1 2 ) 同 第 1 0 7巻 第 1 0号 ミトコンドリアの数と 活性を上げると考えられる。 おわりに RSVについて,発見の歴史,構造,種々の健康効 果,更には最近のサーチュインに対する作用機構につ いて述べた。残念ながら, 日本では化学合成物やコジ 7 4 7 第 8図 テロメア損傷とミトコンドリアの機能の関係 E .Sahin,e ta , . lN a t u r e,470,359365(2011) 伺 ョウコンから抽出したものは,サプリメントとして言E 可されていない。抗癌効果や寿命延長効果を期待する には,かなり大量の RSVを摂取する必要があるが, 脳神経保護効果を期待するのであれば,赤ワインをグ ,2杯飲めば充分であるように忠われる。お ラスで 1 溜が飲めるヒトには,日常的に赤ワインを愉しむこと をお勧めする。市場には,ブドウの紫や新梢から抽出 去を摂取する した RSV製品もあるので,ある穏度の f のであれば,こちらを試すのも良いと思われる。ただ し活性物震を大量に摂取すると,思わぬ副作用も考 えられるので,適度の蚤を守ることが重要である。ア ンチエイジングには, RSVのみならず,ポリフェノ vが脂質過酸化防止など,種々の効果を持つので, ー) 適量の赤ワインを美味しい食事と共に楽しめば,潤い のある生活をしながら,老化防止になると思われる O 本論文は, RSVの分析,構造式の作成,校関など, 山梨大学・ワイン科学研究センター・久本雅嗣准教授 のご協力を得ました。ここに深謝致します。 〈山梨大学・ワイン人材生涯養成拠点 非常勤コ…ディネーター〉 参考文献 1 ) 佐藤充克:ワインと健康, ~.農協, 92 ( 2 ) ,9 6 7 4 8 19 9 7 ) . 1 0 7( ,] . M .P e z z u t o .e ta l . :5 c i e n c e,275,2 1 8 2 ) 抗 ]ang 2 2 0( 19 9 7 ) . 3 ) 佐藤光克:リスベラトロールについて ,F ood 1,1 ( l ) ,9 6 9 8( 1 9 9 7 ) . 5 t y l e2 . A .Baur,D. A .S i n c l a i r,e ta l . :N a t u r e,444,3 3 7 4 ) ] 3 4 2( 2 0 0 6 ) l l ) ,1 0 9 0 1 1 0 0 5 ) 高凋道夫.日本化学会誌, 60 ( ( 19 3 9 ). . ] .P r y c e :P h y s i o l .P l a n t 6 ) P . Langcakeand R 7 8 6( 1 9 7 6 ) . P a t h o l .,9,7 . ] .P r y c e :P h y t o c h e m i s t r y, 7 ) P .LangcakeandR 16,1 1 9 3 1 1 9 6( 1 97 7 ) . 8 ) L . L .CreasyandM.C o f f e e : ] .Am.5 0 c .H o r t i c ., 113,2 3 02 3 4( 19 8 8 ) . 回 . L .C r e a s y :Am.JE n o l .V i 9 ) E瓦 SiemanandL 2( 1 9 9 2 ) . t i c .,43,495 即 c . 1 0 ) S . R巴naudandM.deL o g e r i l :L a n c e t ,3 39, 1 5 2 3 1 5 2 6( 1 9 9 2 ) a t o,e ta l . :JA g r i c .FoodChem.,44,3 7 4 1 1 1 ) M.S ( 1 9 9 6 ). 1 2 ) M.S a t o,e ta l . :B i o s c i .B i o t e c h .B i o c h e m .,6 1, 1 8 0 0 1 8 0 5( 1 9 9 7 ) . ta l . :C z e c hJ Food5 c i .,26,S25-S32 1 3 ) ] .B a l i k,e ( 2 0 0 8 ) ,l e ta l . :L a n c e t ,3 41,1 1 0 3 1 1 0 4 1 4 ) E . N . Franke ( 1 9 9 3 ) 援 協 ( 2 0 1 2 ) 1 5 ) A.A.E .B e r t e l l i,e ta l . :I n t .T i s s u eR e a c t .,17,1 3 ( 1 9 9 5 ). .Pace-Asciak .e ta l . :C l i n .C h i m .A c t a ,2 35, 1 6 ) C .R 2 0 7 2 1 9( 19 9 5 ) . .Kimura,e ta l . :B i o c h i m .B i o . ρh y s .A c t a ,8 34, 1 7 ) Y 2 7 5 2 7 8( 1 9 8 5 ) . 1 8 ) C.W.Shan,e ta l . :ActaP h a r m a c o l .S i n .,1 1, 5 2 7 5 3 0( 1 9 9 0 ) . .N a m i k i :I n c r e a s i n gE f f e c to f a t oandK 1 9 ) M.S WineonB l o o dF l u i d i t y .P o l y p h e n o l s,Wineand p .7 8,Bordeaux, HealthCommunications,p France ( 19 9 9 ) . .P o t t e re ta l . : B r .] . Cancer ,8 6,7 7 4 7 7 8 .A 2 0 ) G ( 2 0 0 2 ). 21 ) ] . M .Orgogozo,e ta l . :R e v .Neurol . ( P a r i s ), 153,1 8 51 9 2( 19 9 7 ) . .B e r t 巴l l ie ta l . :Dru g .E;ゆ• C l i n .R e s .,25,9 9 2 2 ) A 1 0 3( 19 9 9 ) . 2 3 ) K .M e h l i g ,e tal . :Am.] .E p i d e m i o l .,167,6 8 4 6 9 1( 2 0 0 8 ) . 2 4 ) K .H owitz,e ta l . :N a t u r e,425,1 9 1 1 9 6( 2 0 0 3 ) . 2 5 ) ] . G .Wood,e tal . :N a t u r e,430,6 8 6 6 8 9( 2 0 0 4 ) . ta l . :D e v .C e l l,9,6 0 5 6 1 5 2 6 ) M.Viswanathan,e ( 2 0 0 5 ). 2 7 ) D .R .Valenzano,e tal . :C u r r .B i o, . l 1 6,2 9 6 3 0 0 ( 2 0 0 6 ) 2 8 ) K . ] .P e a r s o n,] . A .Baur ,K .N .Lewis,e ta l . :C e l i M e t a b o l i s m,8,1 5 7 1 6 8( 2 0 0 8 ) . 2 9 ) S 百 m m巴r s,e ta l . :C e l lM e t a b o l i s m,14,6 1 2 6 2 2 ( 2 0 1 1 ) 3 0 ) R . H .Wong,e tal . :N u t r .M e t a b .C a r d i o v a s c . 3 1 ) 3 2 ) 吟 “ 3 3 ) 3 4 ) 司 第 1 日7券 第 1 0号 D i s .,2 , 18 5 1 8 5 6( 2 01 1 ) . M.Asens . ie ta l . :F r e eR a d i c a lB i o l o g y& Medi c i n e,33,3 8 7 3 9 8( 2 0 0 2 ) T .W a l l e,e ta l . :DrugM e t a b o l i s mandD i s ρo s i t i o n,32,1 3 7 71 3 8 2( 2 0 0 4 ) . C .Y u .e tal . :P h a r m a c e u t .R e s . .1 9 .1 9 0 7 1 9 1 4 ( 2 0 0 2 ) 下位香代子:E n v i r o n .M u t a g e n .R e s .,26,2 4 1 2 4 6( 2 0 0 4 ) D . ] .Boococ , ke ta l . :C a n c e rE . ρi d e m i o l .,B i o m a r k e r s& P r e v e n t i o n,16,1 2 4 6 1 2 5 2( 2 0 0 7 ) . M.P a o l i n i,e ta l . :M u t a t .R e s ., 527,9 9 1 0 1 ( 2 0 0 3 ) S . ] .Parke t a l . :Ce, ! l 1 48,4 2 1 4 3 3( 2 0 1 2 ) . FangC .Mei,e ta l . : ] .B i ol .C hem.,277 ( 1 3 ) , 1 l4 9 7 1 1 5 0 4( 2 0 0 2 ) . E .S a h i n,e tal . :N a t u r e,470,3 5 9 3 6 5( 2 0 1 1 ) . 3 5 ) 3 6 ) 3 7 ) 3 8 ) 3 9 ) 7 4 9
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