フードロス削減にパッケージが出来ること 凸版印刷株式会社 生活環境事業本部 押谷 光人 目次 □ フードロスの現状 - 世界全体 - 日本 - フードロスの発生要因分析 □ フードロス解決に向けたパッケージソリューション - フードロスに対して、パッケージが食品に与える効果 - 食品の劣化要因 - ①長期保存品の品質保持とロングライフ化 - ②短期保存品・生鮮品の品質保持とロングライフ化 - （③開封後の品質保持） - ビッグデータを活用した需要予測 □ フードロス削減へのキーワード 1 フードロスの現状 【世界全体】 世界全体で… ■ フードチェーン全体で年間13億トン(食品廃棄物、フードロス) ■ 金額で約1兆ドル (約100兆円）相当 ■ 廃棄にかかる経済的コスト7,500億ドル(約75兆円） FAO（国際連合食糧農業機関）の2011年度の報告では、世界の増え続ける人口と 飢餓の削減を迅速化する問題を解決するには、フードロスや廃棄物をなくすこと、 とくに先進国では販売及び消費の段階での課題を改善するように促す、とある。 2 フードロスの現状 【日本】 日本では… ■ 年間約1,700万トンの食品廃棄物を排出 ■ 本来食べられる「フードロス」は年間約500～800万トンと推計 ※世界全体の食糧援助量の約2倍、日本のコメ生産量に匹敵 食品廃棄物【約1,700万トン】 事業系（食品製造・卸・小売・外食産業）廃棄物 再生利用（飼料・肥料化等） 【400万トン】 【641万トン】 ▼ うち可食部分と考えられる量 【300～400万トン】 家庭系廃棄物 フードロス全体 フードロス全体 うち可食部分と うち可食部分と 考えられる量 考えられる量 【1,072万トン】 【500～800万ﾄﾝ】 (規格外品、返品、売れ残り、食べ残し) ▼ うち可食部分と考えられる量 【200～400万トン】 (食べ残し、過剰除去、直接廃棄) 3 焼却・埋め立て 【1,300万トン】 フードロス発生要因の分析 発生要因 製造 卸売 小売 外食 破損 汚れ 売れ残り (需要予測) 売れ残り (需要予測) 売れ残り (需要予測) 売れ残り (需要予測) 在庫管理 家庭 (需要予測) 破棄 再利用率 温度管理 物流 システム 製造ミス 衛生管理 包装材 破損 汚れ 包装材 商習慣 破損 汚れ 包装材 商習慣 調理ロス 使い残し 食べ残し 調理ロス 使い残し 食べ残し 4 商習慣 商習慣【 １／３ルール】 調達 賞味期限1/3ルール 現行 ※賞味期限6カ月(180日)の場合 製造日 納品期限 2カ月 メーカー 卸売 販売期限 2カ月 小売 賞味期限 2カ月 小売 (店頭) 店頭での販売 店頭から撤去、廃棄 (一部値引き販売) 商品の賞味期限が残っているにもかかわらず、「納品できない」 「店頭から撤去しなくてはいけない」という商習慣によって、 撤去、廃棄するためフードロスが発生してしまう。 5 賞味期限1/2ルールへの取り組み 1/3ルール(現行) ※賞味期限6カ月(180日)の場合 製造日 納品期限 販売期限 2カ月 メーカー 2カ月 卸売 小売 賞味期限 2カ月 小売 (店頭) 店頭での販売 店頭から撤去、廃棄 (一部値引き販売) 1/2ルール(パイロットプロジェクト) 製造日 賞味期限 納品期限 3カ月 卸売 メーカー 3カ月 小売 (店頭) 小売 返品 販売期限については、各小売において設定 6 フードロス解決に向けたパッケージソリューション どうすればパッケージの側面から フードロスを減らすことができるか？ 7 フードロスに対して、パッケージが食品に与える効果 品質保持 賞味期限の延長 風味、香り、食感 短期保存品の延長 長期保存品の延長 を目的としたソリューション ① 長期保存品の品質保持とロングライフ化 ② 短期保存品・生鮮品の品質保持とロングライフ化 (③ 開封後の品質保持) 8 パッケージソリューションで改善するポイント ① 長期保存品の品質保持とロングライフ化 ② 短期保存品・生鮮品の品質保持とロングライフ化 (③ 開封後の品質保持) ロングライフ化 品質保持 風味、香り、食感 短期 中長期 ② ① 需要予測 9 開封後 ③ 食品が劣化する要因 【劣化要因】 衝撃 ガス (打撲・キズ) 匂い 香り 菌 (移り香・香り抜け) 食品 水分 光 温度 酸素 10 パッケージソリューション【長期保存品】 ① 長期保存品の品質保持とロングライフ化 ロングライフ化 品質保持 風味、香り、食感 短期 中長期 ② ① 需要予測 11 開封後 ③ パッケージソリューション【バリア包装】 長期保存品の品質保持とロングライフ化/①バリア包装 品質(香り、水分、食感)の保持 香り 食感 水分 12 パッケージソリューション【バリア包装】 長期保存品の品質保持とロングライフ化/①バリア包装 賞味期限の延長の可能性 様々な分野の食品に展開し、賞味期限の延長が考えられます クッキー 調味料 13 おでん パッケージソリューション【ＧＬファミリー】 長期保存品の品質保持とロングライフ化/①バリア包装 ＧＬファミリーとは コーティング・蒸着技術を核に開発された透明蒸着ハイバリアフィルムのブランドです。 優れた水蒸気・ガスバリア性をもち、食品・トイレタリー製品の包装材料や、電子部品、 産業資材などさまざまな用途に活用されています。 世界の透明蒸着フィルム市場のトップシェアブランドです。 【構成】 基材（PET・ONY) 蒸着バリア層とオーバーコート層の二層構造により、 世界最高水準のバリア性と安定した品質を実現します。 蒸着バリア 世界シェア No.1 オーバーコート インキ シーラント（ＣＰＰ、ＰＥ等） 14 パッケージソリューション【ＧＬファミリー】 長期保存品の品質保持とロングライフ化/①バリア包装 【特徴】 機能 環境 バリア性 脱塩素 アルミ箔に匹敵する世界最高レベルのバリア性能 塩素を含む原材料を使用していないため、 焼却しても有害な塩素系ガスが発生しない 透明性 焼却処理適性 中身を見せて商品をアピール可能 アルミ箔を用いた包材に比べ、 焼却後の残りカスがほとんど発生しない 絶縁性 セラミック蒸着のため、電気を通さない ゴミの減量化 印刷基盤とバリアフィルムの役割を１枚で果たすため、 包装材を減量化、容器包装リサイクル法の再商品化 委託料の負担を軽減 電子レンジ対応 包装状態のまま、電子レンジで加熱可能 金属探知機対応 金属を使用しないため、金属探知機にかけられる 低熱伝導性 セラミック蒸着のため、熱を伝えにくい 15 パッケージソリューション【短期保存品・生鮮品】 ② 短期保存品・生鮮品の品質保持とロングライフ化 ロングライフ化 品質保持 風味、香り、食感 短期 中長期 ② ① 需要予測 16 開封後 ③ パッケージソリューション【短期保存品・生鮮品】 短期保存品・生鮮品の品質保持/ロングライフ化のメリット 通常包装 ※賞味期限3日の場合 製造・配送 販売 撤去・廃棄 1日 1日 1日 工場 例)サンドイッチ 店舗 店舗 (店頭) パッケージソリューション 製造・配送 販売 撤去・廃棄 1日 ２日 1日 工場 店舗 店舗 (店頭) 賞味期限が１日延びただけで、販売機会が倍増する 17 パッケージソリューション【短期保存品・生鮮品】 短期保存品・生鮮品の品質保持とロングライフ化/②加熱殺菌併用バリア包材 チルド商品 ケーキ プリン 肉・魚 チルド 加工品 野菜・果物 生鮮品 貝 卵 果物 加工生鮮品 カット 野菜 果物 18 おにぎり サンド イッチ カップ そば 野菜 肉 魚 チーズ 惣菜 コロッケ 煮物 パッケージソリューション【加熱殺菌併用チルド】 チルド加工品 短期保存品・生鮮品の品質保持とロングライフ化/②加熱殺菌併用チルド包装 チルド商品の品質保持とロングライフ化 加熱殺菌併用チルド包装(セミレトルト)とは 調理調合技術、前処理技術、そして製造ラインの 衛生管理技術・殺菌条件を確立し、 包装材料のバリア性により実現。 レトルト殺菌より加熱ダメージを抑えて品質を上げ､ 冷蔵保存でのロングライフ化を可能にします。 ポテト サラダ 角煮 煮物 19 ボイル 野菜 パッケージソリューション【ＭＡＰ包装】 生鮮品 惣菜・チルド加工品 短期保存品・生鮮品の品質保持とロングライフ化/③MAP包装 MAP包装システムのガス置換により、包装内の環境を最適化 精肉 品質保持 チルド 商品 微生物・カビの抑制 鮮魚 風味の劣化・変色防止 しおれ防止(エチレンガス) 弁当・ サンド イッチ 腐敗防止 カット フルーツ カット 野菜 賞味期限の延長 20 パッケージソリューション【ＭＡＰ包装】 生鮮品 惣菜・チルド加工品 短期保存品・生鮮品の品質保持とロングライフ化/③MAP包装 ＭＡＰ包装とは（Ｍodified Ａtmosphere Ｐackaging) 化学保存料などを使用せず、包装の工程で、「酸素」、「二酸化炭素」、「窒素」を 用いて、包装パッケージ内の空気を入れ替え、食品の劣化要因を極力軽減。 食品の鮮度を長く保てるよう工夫された包装方法です。 【効果】 Ｏ2 ■ 脂肪・油脂成分の酸化防⽌ ■ ⾊素の酸化による変⾊・退⾊の防⽌ ■ 腐敗の阻⽌・微⽣物抑制 ■ ビタミンの損失防⽌ ■ ⾹気成分の酸化による異臭・変臭の防⽌ 21 ＣＯ2 Ｎ2 パッケージソリューション【ＭＡＰ包装のBtoB活用】 生鮮品 惣菜・チルド加工品 短期保存品・生鮮品の品質保持とロングライフ化/③MAP包装 店舗 店舗 通常包装 包装 M A P 店舗 工場 セントラル キッチン 店舗 賞味期限 解凍 ブロック肉(冷凍) ブロック肉(冷凍) 配送(冷凍) ブロック肉(冷凍) カット・小分け 小分けパック (通常包装) 販売 解凍 スライス肉(チルド) スライス肉(チルド) 小分けパック カット 【MAP包装】 (通常包装) 【MAP包装】 包装 配送(チルド) 小分け 販売 販売時の賞味期限は変えず、店舗の作業を軽減可能 22 パッケージソリューション【ＭＡ包装】 生鮮品 短期保存品・生鮮品の品質保持とロングライフ化/④MA包装 微細多孔フィルムにより、水分蒸散と呼吸を最適制御 品質保持 水分蒸散による目減り防止 呼吸による成分の消耗防止 代謝による成熟の抑制 賞味期限の延長 23 パッケージソリューション【ＭＡ包装】 生鮮品 短期保存品・生鮮品の品質保持とロングライフ化/④MA包装 ＭＡ包装とは（Ｍodified Ａtmosphere ) 青果物の鮮度を保持することができるフィルムです。 青果物の周囲のガス組成（包装袋内のガス環境）をその青果物に 最適な組成に調整することにより、鮮度保持を実現します。 【原理概念図】 【断面模式図(非貫通タイプ)】 微細孔(数μm) MA包装(袋) ＣＯ2 Ｏ2 Ｏ2 ＣＯ2 フィルム クラック フィルムの表面に微細多孔加工を施し、 水分蒸散防止と、呼吸制御に最適な 環境をつくり出します。 ※［貫通タイプ / 非貫通タイプ］ の選択により、ガスや細菌など 選択透過させることができます。 水分、酸素、炭酸ガスについて、青果物の 鮮度保持に最適な条件に保ちます。 24 パッケージソリューション【開封後】 (③ 開封後の品質保持) ロングライフ化 品質保持 風味、香り、食感 短期 中長期 ② ① 需要予測 25 開封後 ③ パッケージソリューション【アセプティック・アクティブ包装】 開封後の品質保持/⑤アセプティック・アクティブ包装 開封後の品質保持 メルシャン 『FRANZIA』 【TLパック】 キッコーマン 『しぼりたて生しょうゆ』 【やわらか密封ボトル】 注ぎ口にプラスチック製コックを採用した、 ワイン向けＢＩＢ（ＴＬパック） 内袋とコックの組み合わせにより注ぐときに空気が 逆流せず、空気との接触が極力抑えられる仕組み これによって、開封後のワインの酸化を抑制 26 注ぎ口にも逆止弁を採用し、密閉性を より高め、酸化をほぼ抑制 従来冷蔵保存で１ヵ月程度の消費を 勧めていたが、常温保存でも９０日間 の新鮮保存を実現 ソリューション【需要予測】 需要予測による最適化 ロングライフ化 品質保持 風味、香り、食感 短期 中長期 ② ① 需要予測 27 開封後 ③ ソリューション【ビッグデータを活用した需要予測】 需要予測/⑥ビッグデータを活用した需要予測 近い将来予測 流通小売業と消費者の意思疎通 企業（流通） 売りたい ＝ 消費者 買いたい バランスが保てると廃棄ロスは発生しない 28 ソリューション【ビッグデータを活用した需要予測】 需要予測/⑥ビッグデータを活用した需要予測 企業 （流通） 販売 データ の解析 商品の売れ筋や仕入れ状況と共に 「フードロス」や「廃棄ロス」を 事前に解析しセールなどを決定 消費者の ライフ スタイルに 合わせた 情報発信 購買 行動 冷蔵庫のストック、 消費者 セール情報等を スマートフォンで 連携して提案 無駄な買い物を防ぎ、「フードロス」や「廃棄ロス」の削減に貢献 29 フードロスの解決に向けた取り組み 解決に向けた取り組み 製造 需要予測 小分け 卸売 需要予測 ハイバリア 包材 商習慣 小売 需要予測 小分け ハイバリア 包材 外食 需要予測 持ち帰り 家庭 (需要予測) アクティブ パッケージ 破棄 再利用 ハイバリア MA包装 MAP包装 包材 セミ レトルト 商習慣 2 商習慣 (エネルギー) 30 余剰食品のフードバンク寄付 コールド チェーン １／ ルール 調達 フードロス削減に向けての今後の当社の方向性 フードロス削減へのキーワード 廃棄物の 長期保存化 再利用 http://working‐illustration.com/04‐pict/070‐plant.html http://working‐illustration.com/04‐pict/070‐plant.html ムダに作らない 需要予測 による最適化 品質保持 31 ex.エネルギー化 ありがとうございました 32
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