建築材料演習 外装材の選定に関する調査内容 ・ 調査対象

建築材料演習 外装材の選定に関する調査内容
4班 20054~20058
北村・喜安・桑田・郷田・塩毛
『銀座エルメス そしてガラス建築』
・ 調査対象
<メゾンエルメス>
名称:MAISON HERMES
場所:東京銀座
設計:レンゾ・ピアノ・ビルディングワークショップ
竹中工務店
内装:レナ・デュマ・アルシテクチュール・アンテリュール
建設年代:2001
レンゾピアノ氏によるインタビューの抜粋
『
施主からの要望
銀座という場所に溶け込み、さらに時を超え、時に溶け込み流されることなく質を
保持するようなたてものであること。
大都会の真ん中の銀座という場所に位置し地下鉄に直結しているということを利
用した建物であること。
人々の大きな流れのある中で静謐であり穏やかな環境を持つ建物であること。
エルメス社が表現している文化、さらには質のよい製品を提供し続けていることを
表現すること。
なぜガラスブロックか
ピアノ氏は東京のまちの特徴は絶えず変化して、さらに急に変化をすることである
と考えた。特に夜には街は急にその表情をかえる。氏はそれが魔法のランタンが灯っ
たかのようだと述べている。ここから氏はエルメス社の使う素材の中でガラスを思い
浮かべた。なぜなら昼間は天候や時間の流れを映し、夜はランタンのように東京らし
い表現をそのままに表すガラスの質感が最も適していると考えたからである。
それではなぜ普通の板ガラスではなくガラスブロックを使ったのだろうか。これは
設計者が板ガラスのような均一な平らなガラスよりガラスブロックのような不揃いな
歪みのあるガラスが好きだということによる。設計者はこれを液体が瞬間的に固まっ
てしまったようなガラスと表現している。
ピアノ氏はこの建物を設計し始めるときにパリにあるピエール・シャローの「ガラ
スの家」を見に行きその詩的な表現を気に入ったようである。詩的な表現とは、ここ
では周りの情景を映すという意味である。つまりこのエルメスのビルの場合は雨の日
のブルーグレーの色を映し、夕方の穏やかな光を映すといた表現を意図している。そ
のためには光を透過するガラスではなく反射するガラスがよかったということであろ
う。
またこのガラスブロックの一枚一枚は地震の時にはそれぞれが動くようになってい
る。ピアノ氏は表現とともに実際の生活に適したものであることを意識していて、そ
の点からもこのガラスブロックは適している。
手づくりというのも一つのポイントである。これはピアノ氏が職人の一家に生まれ
たということが関係しているのではないだろうか。氏は 20 世紀に建築が工業製品の組
み合わせになってしまったことを嘆いている。また日本は伝統とか職人芸が失われて
いない特殊な国だと考えているようで、それは日本がそういったものの価値を理解し
ているからであり、そのような国はそれを守っていく義務があるといっている。
もちろん手づくりというのは現在ではなかなか難しいことだと氏も述べているが、
大切なのはできるだけの手間をかけ情熱と愛情を注ぐということを重視したというこ
とである。そういう意味ではガラスブロックを積み上げるという行為は職人がレンガ
をひとつひとつ積み上げることに似ている。じっさいピアノ氏はガラスブロックを積
み上げたということが手作りで建物をつくったという証だと考えているようである。
日本という場所
ピアノ氏は、日本において建物の寿命が短いことを欠点とはおらず、むしろ美点と
考えているようである。日本の時間の感覚が非常に移ろいやすいものであると考えて
いる。アメリカ西海岸でもそのような感覚は同様であることから、この感覚の原因は
地震にあると氏は考えている。そしてこのようなことから日本ではものではなく技を
財産とみなしているのではないかということを 20 年ごとに立て替える伊勢神宮の例
を出して考えている。したがってヨーロッパのように石を使うのは日本の文化にあっ
ていないのではないかと考えている。
この移ろいやすさという時間感覚は質をともなってはじめて成り立つものである。
だから質の良い建物をたてることが日本人特有の時間感覚をあらわすことになるのだ
が、日本も世界の流れと同様に質が失われている。ピアノ氏が手作りにこだわったの
もここに理由があるのではないだろうか。
』
ステッピングコラム工法
こうしたピアノ氏のデザインの都合、柱を細くする必要があったため、ここでは五重の塔を
モチーフに柱を切り 3M の VEM 粘弾性ダンパーでつなぐ工法がとられた。この技術でコア
柱にかかる引張力を1/3におさえ550mm に、店舗前面の柱を180mm まで小さくできた。
ガラスの歴史
光と視覚の歴史の中で明らかに重要な役割を果たしつづけた素材ガラス。ガラスは風雨を遮断し
つつ視界を獲得し光を取り入れる役割とともに、反射というもう一つの側面を持っている素材だ。ガラ
スは紀元前二千年以前に発見され、人類の歴史とともに常に存在してきた。長い間、食器や装飾品
として使われてきたガラスは、一三〇〇年頃からのヴェニスで鏡や装飾品として独占的に生産され、
一七世紀からフランスそしてイギリスで大量に平板としてつくられ、鏡に、そして窓へと使われていく。
ガラスがその資質を飛躍的に爆発させるのは、鉄というもう一つの素材が建築や土木構築物に登
場した一九世紀。一八五一年ロンドン万博の水晶宮(クリスタルパレス)など大温室や展示場、駅、ギ
ャラリア、パサージュによってガラスは都市を覆い始める。一九世紀半ばから二十世紀初頭は、明ら
かに「鉄とガラス」の時代として歴史に位置づけられる。空間が加速度的に膨張し、光を惜しみなく手
にしていった輝かしい時代だ。フロート法の発明によってガラスの生産にも画期的な革命がもたらさ
れる。「鉄とガラス」の時代は、ヨーロッパにおいてはそれまでの石造りの様式的建築に対して、エン
ジニアリング(技術)が環境を支配し始めた「エンジニアの時代」ともいえる歴史の節目だ。ガラスはそ
の後、鉄骨高層ビル建設の重要な素材として建設産業の一翼を一方で担い、他方で近代建築家た
ちの新たな空間構築の実験の中に様々な形で組み込まれていく。一九二〇年代、三〇年代には新
たな感覚を求めてガラスを組み込んだすぐれた近代建築が生まれた。ガラスのボキャブラリーとして、
透明性と反射性に加えて、半透明性が加わってくるのもこの時代だ。日本の伝統的建築素材である
「障子」と同様の半透明な資質を持つガラス、しかも光を集光して導入する「ガラスブロック」がいくつ
もの歴史に残る近代建築作品の中に現れる。その中でもピエール・シャローによって設計され、現存
しているパリの「ダルザス邸」(一九三一)(通称「ガラスの家」)は秀逸だ。石造りのアパートの一、二
階をくりぬいて鉄骨とガラスブロックの近代建築が挿入され、拡散した柔らかな光が外部からの視線
を遮断し、落ち着いた住の空間を見事に生み出している。
現代建築の中でもガラスは主要な素材としてますます探求されている。熱を伝達しにくい複層ガラ
ス、構造材として鉄と一体化して組み上げられる構造ガラスシステムに使われる強化ガラス、火を遮
断する耐火ガラスなど多くの建築用ガラスが生み出されているが、非結晶素材としてのガラスは、多
くの更なる可能性が期待できる。光ファイバーなどのニューガラスの世界からの技術もそのうち建材
へと導入されてくるかもしれない。ガラスは実に興味の尽きない建築素材だ。
誰もがガラスは透明だと思っているが、一般に建築に使われるガラスには色がついている。割れた
窓ガラスの断面を見れば、それがエメラルドのような深いグリーンであることに気づくだろう。一般の
建築用のガラスには鉄分が含まれていて、それがグリーンの色をガラスにつける。パリのルーブル美
術館改装増築工事では、入口のガラスのピラミッドには建築家 I・M・ペイの意志により、このグリーン
をできる限り抜いた色のないガラスが使われた。ガラスの透明さの持つ魔術性を強調した大きな挑戦
だったといえる。
また今では壁面全てをガラスにしたり、柱含め構造体がガラスでたてられる建築もあり今後ガラスを
構造体として利用する建築が増えると思われる。