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編 集 後 記

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編集後記
2 月 6 日に本年第 1 回目の編集委員会が開催されました。英文
かもしれない。」能勢先生がおっしゃるように,生体の適応力に
誌「Jour nal of Ar tificial Organs(JAO)」に つ い て は,Impact
は目を見張るものがあります。いずれ人工心臓を装着したラン
Factor の 獲 得(2010 年 1.532,2011 年 1.488,2012 年 1.593)以
ナーが 2 時間を切るスピードでマラソンを完走するなんてこと
降,投稿数は顕著に増加しております。また,投稿数の増加に
が、実現するかもしれませんね。
(編集委員 F)
伴って採択率も低下しつつあり,投稿論文の質の幅が広がって
います。会員の皆様には,引き続き JAO への高品質の論文のご
投稿をよろしくお願い致します。また,JAO へのご投稿時なら
我々臨床医はこれまで患者さんの寿命を延ばすことを最大の
びに他のジャーナルにご投稿される際には,JAO 掲載論文を積
目標に日々の診療を行い,また新しい治療法を開発してきた。
極的にご活用頂きたいと思います(JAO の引用回数が増えると
しかし,最近特に高齢者に対する医療がより安全に行えるよう
Impact Factor も高くなります)。
になり,その適応をどう考えるかという問題が議論されるよう
それから,JAO 投稿規定の一部改定が行われ,Review Paper
になり,延命効果だけでなく,むしろ quality of life(QOL)や社
以外の原稿の制限ページ数の増加と制限遵守が盛り込まれまし
会復帰を重視した治療効果の判定が重要ではないかという指摘
た。これに伴い,著者は図表を含めた合計 Word 数をカウントし,
がされることが多くなってきた。
それに基づく予想ページ数を投稿に際して申告することになり
海外では補助人工心臓による destination therapy が現実のも
ました。もし予想ページ数が規定ページ数を超過している場合
のとなり,良好な遠隔成績が報告されるようになったが,わが
には,原則として投稿を受け付けないことになっていますので
国ではむしろそういった患者が社会に増えていくことに対する
ご注意下さい。
体制の不備や医療経済への懸念がよく学会などでも表明されて
また,JAO においても,和文誌「人工臓器」ともに,当学会の
いる。その一方で,日本の循環器医療における費用対効果はこ
COI 指針および指針運用規則に基づく COI 自己申告が求められ
れまであまり検証されてこなかったのではないか。カテーテル
るようになりましたので,投稿時に申告書の提出をお願い致し
治療やペースメーカー治療などは大きな制限なく適応が決定さ
ます。
れてきたのに対し,左心補助人工心臓(LVAS)に対しては過度
和文誌「人工臓器」については,PDF ファイルの学会ホーム
とも思える規制を置こうとしている現状には大いに矛盾を感じ
ペ ー ジ 掲 載 に 加 え て,科 学 技 術 振 興 機 構(JST)に よ る 電 子
るが,日本の LVAS 治療は全例レジストリー登録することが義
ジ ャ ー ナ ル 化 事 業「J-STAGE」へ の 収 載 も 行 っ て い ま す
務付けられており,精度の高い成績やリスクの解析が今後進ん
(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jsao/-char/ja/)。創刊以
でいくはずである。QOL を大きく改善し社会復帰をも可能に
降現在までの「人工臓器」(1972 ∼ 2012),および「人工臓器」の
する LVAS 治療が,きちんとしたデータをもとに適応拡大して
前身である「日本人工臓器学会雑誌」(1963 ∼ 1971)の全ての
いくことを確信している。
(編集委員 M)
収載・公開を完了していますので,一度覗いてみて下さい。そ
れから,本号では岸田晶夫編集委員の監修により「センサの最
先端」の特集を組み,生体センサ研究の第一線で活躍されてい
補助人工心臓に関する論文発表は 1990 年頃には新規の人工
る先生方にご執筆頂きました。この分野の最先端の大変興味深
心臓の研究開発や補助循環の生体への影響に関する研究が中心
い内容ですので,是非ご一読下さい。
であったが,2000 年頃からは拍動流式補助人工心臓の臨床応用
(FastEddie)
に関する研究が,最近では連続流式補助人工心臓の臨床応用に
関する研究が目立つようになってきています。着実な進歩が補
日本は空前のマラソンブームのようです。42.195km という
長距離を人工臓器で走りきることができるのでしょうか。十分
助人工心臓の領域には認められてきています。この何十年間か
の多くの方々の努力か結実したといえるかと思います。
に準備をした上ですが,人工弁や人工関節の置換術を受けた患
一方で,さらなる進歩に向けた研究はどうでしょうか。臨床
者さん達はフルマラソンを完走しているそうです。さて,人工
応用に関連した研究は無論重要でありますが,その基盤には数
心臓ではどうでしょうか。ふと,故能勢之彦先生から伺った話
多くの基礎研究が存在したことが,時に臨床の最前線で見えな
を思い出しました。「残念ながら現在の人工心臓は,生体の心
くなっていないでしょうか。「基礎研究の積み重ねのもとに臨
臓よりも性能が劣るし,生体の心臓ほどの運動はできない。し
床応用がある」ということの意味をもう一度謙虚に見つめなお
かし,人工心臓を装着した動物に適当な運動を続けていくと,
すことがとても大事ではないかとこの 1 年の Journal of Artificial
次第に動物は疲れにくくなるんだ。人工心臓と生体とがある意
Organs を見返してみて最初に思ったことでした。
味で適合したならば,長時間にわたって大量の拍出量を得るこ
(編集委員 N)
とができる人工心臓は,生体の心臓に持久力では負けなくなる
人工臓器 42 巻 1 号 2013 年
157
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