第 105 回日本循環器学会北海道地方会

第 105 回日本循環器学会北海道地方会 日 会 会 時:平成 23 年 6 月 11 日(土)10:00∼16:20 場:札幌市教育文化会館 長:松居 喜郎(北海道大学大学院医学研究科 循環器外科学分野) 札幌市北区北 14 条西 5 丁目 TEL 011-716-1161 内線 6042 FAX 011-706-7612 E-mail [email protected] 会長挨拶 10:00 10:05 一般演題午前の部 10:05 11:50 教育セッションⅠ(ランチョン形式) 12:00 13:10 手稲渓仁会病院 心臓血管センター センター長/循環器内科部長 村 上 弘 則 先生 大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学 准教授 室 生 卓 先生 教育セッションⅡ 13:10 14:00 日本医科大学武蔵小杉病院 内科・循環器部長 佐 藤 直 樹 先生 評議員会 (研修室 403) 14:05 14:30 総 会 (研修室 305) 14:35 14:50 一般演題午後の部 14:50 16:05 医療安全・医療倫理に関する講演会 14:50 16:20 ❖❖❖❖❖❖専門医の皆様へ❖❖❖❖❖❖ 専門医カードにて単位登録を行うと,単位受付が円滑にできますので 専門医カードをご持参ください。 取得可能単位 地方会参加 5 単位 教育セッション(Ⅰ・Ⅱあわせて) 3 単位 医療安全・医療倫理に関する講演会 2 単位 ❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖ ❖❖❖❖❖❖会場のご案内❖❖❖❖❖❖ 札幌市教育文化会館(札幌市中央区北 1 条西 13 丁目) 札幌市営地下鉄東西線「西 11 丁目駅」1 番出口から徒歩 5 分 会場には駐車場がありません。お近くの民間駐車場をご利用ください。 第一会場:研修室 305 第二会場:研修室 301 評議員会:研修室 403 受 付:第一会場前 ❖❖❖❖❖❖演者の皆様へ❖❖❖❖❖❖ 発表時間 5 分 討論時間 2 分 発表方法 すべて演者の PC 持ち込みによる発表となります。(昨今の動画データの肥大化と使用 OS
が多様化しているため)各自,AC アダプターを(Mac ご利用の方は MiniD-sub 15pin 対
応コネクターも)忘れずご持参ください。 ※ 演者はセッション開始 30 分前までに受付にお越しください。 1
日本循環器学会 北海道地方会 第 105 回学術集会 平成 23 年 6 月 11 日(土) 於:札幌市教育文化会館 第一会場 研修室 305(3 階) 10:00-10:05 第二会場 研修室 301(3 階) 研修室 403(4 階) 会長挨拶 冠動脈Ⅰ 10:05-10:40 (1
5) 冠動脈Ⅱ 10:45-11:13 (6
(10
(25
9) (30
33) 大血管 11:15-11:43 14) 29) 先天性心疾患・その他 10:45-11:13 不整脈など 11:15-11:50 弁など 10:05-10:40 (34
37) 教育セッションⅠ (ランチョン形式) 12:00-13:10 「激増する硬化性大動脈弁
狭窄症の評価と対策」 教育セッションⅠ 12:00-13:10 スライドと音声の放映 「非高齢者の大動脈弁狭窄 注意すべき病態
」 教育セッションⅡ 13:10-14:00 「心不全における 教育セッションⅡ 13:10-14:00 体液貯留を考える」 14:35-14:50 スライドと音声の放映 総会 14:05-14:30 評議員会 ペースメーカー・ 14:50-15:25 アブレーション (15
DVD セッション 19) 14:50-16:20 15:30-16:05 医療安全・ 医療倫理に関する講習会 末梢血管 (20
24) 2
第一会場 会長挨拶 (10:00∼10:05) 会長 松居 喜郎 座長 野崎 洋一(カレスサッポロ北光記念病院) 冠動脈 Ⅰ (10:05∼10:40) 赤坂 伸之(旭川医科大学 心臓血管外科・救急部) 1.
ドクターヘリ搬送が奏功し救命し得た多枝冠攣縮による心原性ショックの 1 例 ○今川正吾 1,松本純一 1,西川幹人 2,降旗高明 2,坂井英世 1,其田 一 3 (1 市立釧路総合病院 心臓血管内科,2 北海道大学大学院医学研究科 循環病態内科学,3 市立釧路総合
病院 救命救急センター・麻酔科) 2.
意識消失発作を契機に診断された冠動脈自然解離の 1 例 ○後平泰信 1,竹之内豪 1,士反英昌 1,山崎和正 1,橋富 裕 1,谷 友之 1,八戸大輔 1,巣山 環 1,
山崎誠治 1,斎藤 滋 1 (1 札幌東徳洲会病院 循環器内科,2 札幌東徳洲会病院) 3.
大伏在静脈グラフト狭窄の不安定狭心症に対し再手術を施行した 1 透析症例 ○櫻田 卓,大澤久慶,荒木英司,佐々木潤 (社会医療法人 札幌中央病院 心臓血管外科) 4.
右冠動脈近位部に trap した Rotablator burr の bail out に成功した 1 例 ○山崎誠治,八戸大輔,橋冨 裕,谷 友之,士反英昌,山崎和正,後平泰信,齋藤 滋 (札幌東徳洲会病院 循環器内科) 5.
左主幹部への PCI 後,肺動脈を高度圧排する血腫にて死亡した 1 例 ○二村麻美 1,竹内利治 1,平井俊浩 1,TALIB AHMED1,坂本 央 1,太田久宣 1,田邊康子 1, 佐藤伸之 1,光部啓治郎 2,赤坂伸之 2,長谷部直幸 1 (1 旭川医科大学 内科学講座 循環・呼吸・神経病態内科学分野,2 旭川医科大学 外科学講座 循環・
呼吸・腫瘍病態外科学分野) 冠動脈 Ⅱ (10:45∼11:13) 座長 下重 晋也(札幌医科大学 第二内科) 吉田 俊人(北海道社会保険病院 心臓血管外科) 6.
HOCM に対する PTSMA の有用性=中期フォローを経て ○奥山道記,鈴木ひとみ,郡司尚玲,幕内智子,河野龍平,鈴木隆司 (勤医協中央病院 循環器内科) 7.
長径 5cm を超える巨大冠動脈瘤を併発した冠動脈肺動脈瘻の 1 例 ○小原雅彦,中 智昭,安藤康博,川嶋 望,宮本憲行,甲谷哲郎,松浦弘司,瀧上 剛,松崎賢司,
水無瀬昂 (NTT 東日本札幌病院) 3
8.
大動脈浮遊血栓により発症した急性心筋梗塞に対して観血的加療を行った 1 例 ○谷 友之 1,後平康信 1,士反英昌 1,山崎和正 1,橋冨 裕 1,八戸大輔 1,巣山 環 1,山崎誠治 1, 齋藤 滋 2 (札幌東徳洲会病院 循環器科,2 湘南鎌倉総合病院 循環器科) 9.
Oozing rupture を合併した急性下壁梗塞の 1 例 ○長島雅人 1,山下武廣 1,今井斎博 1,前野大志 1,中野記嗣 1,森田 亨 1,中川俊昭 1,光島隆二 2 (1 心臓血管センター北海道大野病院 循環器内科,2 心臓血管センター北海道大野病院 心臓血管外科) 不整脈など (11:15∼11:50) 座長 坂本 央(旭川医科大学 循環・呼吸・神経病態内科) 中村 雅則(市立札幌病院 心臓血管外科) 10. アミオダロン誘発性甲状腺中毒症の 1 例 ○相川忠夫 1,村井大輔 1,浅川響子 1,壇浦 裕 1,小松義和 1,相馬孝光 1,岩切直樹 1,牧野隆雄 1, 福田洋之 1,加藤法喜 1,和田典男 2 (1 市立札幌病院 循環器内科,2 市立札幌病院 糖尿病内分泌内科) 11. 全身性 AL 型アミロイドーシスに伴う心不全に対しトルバプタンが有用であった 1 例 ○勝山亮一,野口圭士,森本信太郎,及川達也,斉藤高彦 (北見赤十字病院) 12. 心蔵外科手術後の心房細動に対する amiodarone の予防的投与 ○大澤久慶,櫻田 卓,佐々木潤,荒木英司 (札幌中央病院 心臓血管外科) 13. 門脈肺高血圧症の急性増悪に Ambrisentan と Tadalafil の combination therapy が
著効した 1 例 ○佐藤隆博,辻野一三,大平 洋,山田安寿香,後藤知紗,渡部 拓,西村正治 (北海道大学病院 第一内科) 14. 当科での副腎静脈サンプリングの初期成績 ○鈴木隆司,幕内智子,郡司尚玲,奥山道記,河野龍平,鈴木ひとみ (勤医協中央病院 循環器内科) 4
教育セッション Ⅰ (12:00 13:10,ランチョン形式) 座長 松居 喜郎(北海道大学大学院医学研究科循環器外科) 『激増する硬化性大動脈弁狭窄症の評価と対策』 手稲渓仁会病院 心臓血管センター センター長/循環器内科部長 村 上 弘 則 先生 『非高齢者の大動脈弁狭窄
注意すべき病態
大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学 准教授 』 室 生 卓 先生 教育セッション Ⅱ (13:10 14:00) 座長 共催:エドワーズライフサイエンス株式会社
筒井 裕之(北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学) 『心不全における体液貯留を考える』 日本医科大学武蔵小杉病院 内科・循環器部長 評議員会 (14:05 14:30,4 階 研修室 403) 総会 (14:35 14:50,3 階 研修室 305) 佐 藤 直 樹 先生 共催:大塚製薬株式会社
5
ペースメーカー・アブレーション (14:50∼15:25) 座長 横式 尚司(北海道大学病院 循環器内科) 宮武 司(市立旭川病院 胸部外科) 15. 下肺静脈共通幹をともなう心房細動に対するカテーテルアブレーション後に著明な心
機能の改善を認めた心不全 ○南部 忠詞 (日鋼記念病院) 16. 異なる原因で意識消失した1例 ○廣田亮介,別役徹生,加藤瑞季,杉山英太郎,蓑島暁帆,武藤晴達,乗安和将,藤田雅章,佐藤 実,
井上仁喜,寺西純一,竹中 孝,岡本 洋 (北海道医療センター) 17. 当科における両室ペーシングの有効性評価 ○石丸伸司,柿木梨沙,田所心仁,川崎まり子,木谷俊介,管家鉄平,西村邦治,五十嵐正, 岡林宏明,古谷純吾,五十嵐康己,五十嵐慶一 (北海道社会保険病院 心臓血管センター 心臓内科) 18. 左上大静脈遺残に植込み型除細動器の植込みを行った 1 例 ○大野紘平,村上沙耶香,村上直人,村椿真悟,藤戸健史,望月敦史,西田絢一,神津英至, 村中敦子,国分宣明,下重晋也,湯田 聡,長谷 守,橋本暁佳,土橋和文,三浦哲嗣 (札幌医科大学 第二内科) 19. 洞機能不全症候群を有した CLS(Closed Loop Stimulation)機能付ペースメーカーの
有効性を検討した 1 例 ○棗田 誠,小川孝二郎,宮本憲次郎,村上弘則 (手稲渓仁会病院 循環器内科) 末梢血管 (15:30∼16:05) 座長 山下 武廣(心臓血管センター北海道大野病院) 東 信良(旭川医科大学 第一外科) 20. 複数腎動脈を有する機能的単腎に発症した腎血管性高血圧の 1 例 ○白井真也,小岩弘明,竹内 剛,田口幸枝,堀本和志 (市立千歳市民病院 循環器科) 21. 腎動脈狭窄による CKD 増悪に早期 PTRA が腎機能悪化の進行を防ぎ得た 1 例 ○秋田耕嗣,米澤一也,安在貞祐,小室 薫,野口圭士,広瀬尚徳,伊藤一輔 (国立病院機構函館病院循環器科) 22. 末期動脈閉塞症に対する pedal bypass の有用性 ○内田大貴 1,東 信良 2,菊池信介 2,福山貴久 2,光部啓次郎 2,小久保拓 2,古屋敦宏 2, 内田 恒 2,赤坂伸之 1,稲葉雅史 2,笹嶋唯博 2 (1 旭川医科大学 救急医学講座,2 旭川医科大学 第一外科) 6
23. Paget-Schroetter 症候群と診断された原発性左鎖骨下静脈血栓症の1例 ○相川忠夫 1,石森直樹 1,水島 航 1,水上和也 1,濱口早苗 1,横田 卓 1,榊原 守 1,古本智夫 1, 久保田卓 2,松居喜郎 2,筒井裕之 1 (1 北海道大学病院 循環器内科,2 北海道大学病院 循環器外科) 24. 企業製デバイス導入後の EVAR 症例の早期中期成績 ○飯島 誠,関 達也,浅井英嗣,加藤伸康,南田大朗,夷岡徳彦,内藤祐嗣,新宮康栄,若狭 哲, 大岡智学,橘 剛,久保田卓,松居喜郎 (北海道大学 循環器外科) 7
第二会場 弁など (10:05∼10:40) 座長 三神 大世(北海道大学大学院 保健科学研究院) 村上 達哉(王子総合病院 心臓血管外科) 25. 当科における大動脈弁形成術の検討 ○関 達也,浅井英嗣,南田大朗,飯島 誠,内藤 祐嗣,新宮康栄,夷岡徳彦,若狭 哲, 加藤裕貴,大岡智学,橘 剛,久保田卓,松居喜郎 (北海道大学大学院医学研究科 循環器外科学) 26. Inoue B alloon による経心房中隔順行性経皮的大動脈弁形成術−経カテーテル的大動脈
弁留置術時代での役割 ○鈴木丈二 1,坂田芳人 2,野崎洋一 1,四倉昭彦 1,乗安和将 1,大田幸博 1,大艸孝則 1,高木 康 1, 吉田 泉 1,櫻井正之 1 (1 北光記念病院 循環器科,2 池上総合病院 ハートセンター 循環器科) 27. 当院におけるメイズ手術の検討 ○大川洋平,森 大輔,岩崎昌弘,野村文一,光島隆二,杉木健司,数井暉久,大野猛三 (心臓血管センター北海道大野病院 心臓血管外科) 28. 症候性巨大肺動脈瘤の 1 例 ○西里仁男,古堅 真,前田卓人,佐藤孝宏,福岡将匡,宮崎義則,東海林哲郎 (市立室蘭総合病院 循環器内科) 29. 脳梗塞を発症し未診断寛解 2 年後に診断された大動脈弁位感染性心内膜炎の 1 例 ○神垣光徳 1,伊東直史 1,簗詰徹彦 1,斎藤俊一 1,上田秀樹 2,大畑俊裕 2 (1KKR 札幌医療センター 循環器科,2KKR 札幌医療センター 心臓血管外科) 先天性心疾患・その他 (10:45∼11:13) 座長 村上 弘則(手稲渓仁会病院心臓血管センター循環器内科) 橘 剛(北海道大学 循環器外科) 30. うっ血性心不全を来した成人不完全型心内膜床欠損症の1例 ○中谷資隆 1,會澤佳昭 1,國崎 守 1,池田大輔 1,原 豊道 1,吉村治彦 1,鈴木章彦 1,牧野裕樹 2 (1 岩見沢市立総合病院 内科,2 牧野内科医院) 31. 成人期まで高肺血流量を呈した VSD(Ⅱ)の 1 例 ○田淵正樹,高木伸之,村木里誌,前田俊之,樋上哲哉 (札幌医科大学 医学部 第二外科) 32. 末梢血好酸球増多を伴わない好酸球性心筋炎の 1 例 ○杉山英太郎,加藤瑞季,簑島暁帆,武藤晴達,乗安和将,藤田雅章,佐藤 実,別役徹生, 井上仁喜,寺西純一,竹中 孝,岡本 洋 (国立病院機構 北海道医療センター) 8
33. 心臓悪性腫瘍の診断における心膜生検・心嚢液細胞診の有用性の検討 ○浅井英嗣,松居喜郎,久保田卓,橘 剛,大岡智学,若狭 哲,新宮康栄,夷岡徳彦,内藤祐嗣 (北海道大学 医学部 循環器外科) 大血管 (11:15∼11:43) 座長 竹中 孝(北海道医療センター 循環器内科) 川原田修義(札幌医科大学 第二外科) 34. 上行大動脈人工血管置換術後 8 年経過し吻合部仮性動脈瘤を生じた 1 例 ○中島智博,中村雅則,黒田陽介,渡辺祝安 (市立札幌病院) 35. 大動脈縮窄症に合併した慢性 B 型大動脈解離に対する 1 手術症例 ○柳清洋佑 1,川原田修義 1,宇塚武司 1,小柳哲也 1,伊藤寿朗 1,栗本義彦 2,樋上哲哉 1 (1 札幌医科大学 第二外科,2 札幌医科大学 救急集中治療部) 36. LMT 病変を合併した A 型急性大動脈解離に対し PCI 後ヘリで搬送し外科的治療を行っ
た 1 例 ○福山貴久 1,赤坂伸之 1,光部啓治郎 1,菊地信介 1,内田大貴 1,小久保拓 1,古屋敦宏 1, 内田 恒 1,東 信良 1,稲葉雅史 1,笹嶋唯博 1,鈴木孝英 2 (1 旭川医科大学 心臓血管外科,2 遠軽厚生病院 循環器科) 37. B 型急性大動脈解離で生じた腎動脈狭窄に対するステント留置術 ○山下武廣 1,今井斎博 1,前野大志 1,中野記嗣 1,長島雅人 1,森田 亨 1,中川俊昭 1,光島隆二 2 (1 心臓血管センター北海道大野病院 循環器内科,2 心臓血管センター北海道大野病院 心臓血管外科) 医療安全・医療倫理に関する講習会(DVD セッション)(14:50 16:20) 9
1 ドクターヘリ搬送が奏功し救命し得た多枝冠攣縮によ
2 る心原性ショックの 1 例 意識消失発作を契機に診断された冠動脈自然解離の 1 例 ○後平泰信 1,竹之内豪 1,士反英昌 1,山崎和正 1,橋富 裕 1, 1
1
2
2
1
谷 友之 1,八戸大輔 1,巣山 環 1,山崎誠治 1,斎藤 滋 1(1 札
○今川正吾 ,松本純一 ,西川幹人 ,降旗高明 ,坂井英世 , 3
1
2
幌東徳洲会病院 循環器内科,2 札幌東徳洲会病院) 其田 一 ( 市立釧路総合病院 心臓血管内科, 北海道大学大学
58 歳男性。冠危険因子は高血圧,喫煙。1 年前より冠攣縮
性狭心症が疑われ,カルシウム拮抗薬および亜硝酸剤で治
療されていた。自宅で意識消失し倒れているのを家人が発
見し救急要請。
ドクターヘリにより飛行 19 分で当院へ到着。
着陸直前に心室細動(VF)となり,胸骨圧迫しつつ救急室
搬入。電気的除細動後の 12 誘導心電図上Ⅱ,Ⅲ,aVF およ
び前胸部誘導で ST 上昇が認められた。ショックの遷延,VF
再発のため救急室で経皮的心肺補助装置を装着。緊急冠動
脈造影検査で多枝冠攣縮が認められ,硝酸イソソルビド冠
動脈内投与により冠攣縮は解除された。第 4 病日に集中治
療室を退室,神経学的後遺症無く第 18 病日に退院した。広
大な医療圏を有し,高度救急医療過疎地域の多い北海道に
おいて,ドクターヘリは重症心疾患患者の救命率向上に大
きく寄与する。 症例は 85 才男性。3 ヶ月前から失神のため当院に救急搬
送,異常所見なく経過観察となったが,その後も失神を繰
り返した。精査のため当科へ紹介,冠動脈 CT で右冠動脈に
50%の狭窄と Holter ECG での ST 変化を認め精査入院とな
った。 CAG/EPS を行い,ODS test は陰性だったが,右冠
動脈#2 に解離を伴う 50%の狭窄を認めた。造影所見から
冠動脈自然解離と診断。翌日 PCI とし,IVUS を観察したと
ころ,冠解離所見を認め,DES を植え込んだ。 失神の原
因は他に指摘されず,PCI 後に失神発作を認めないことか
ら,原因は冠動脈自然解離が示唆された。本症例は高齢男
性の意識消失を契機に冠動脈自然解離との診断に至った症
例であり,比較的稀な 1 例と考えられるため,多少の文献
的考察を加え報告する。 3 4 3
院医学研究科 循環病態内科学, 市立釧路総合病院 救命救急セ
ンター・麻酔科) 大伏在静脈グラフト狭窄の不安定狭心症に対し再手術
を施行した 1 透析症例 右冠動脈近位部に trap した Rotablator burr の bail out に成功した 1 例 ○櫻田 卓 1,大澤久慶 1,荒木英司 1,佐々木潤 1(社会医療法人 ○山崎誠治,八戸大輔,橋冨 裕,谷 友之,士反英昌,山崎和正,
札幌中央病院 心臓血管外科) 後平泰信,齋藤 滋(札幌東徳洲会病院 循環器内科) 症例は 52 歳男性。19 歳時に血液透析導入。腎移植,腹
膜透析を経て平成 21 年より血液透析加療中。平成 20 年 4
月に不安定狭心症に対して冠動脈バイパス術 5 枝
(LITA-LAD, SVG-HL-OM, SVG-#4PD-#4AV)を施行。平成 23
年に透析時,労作時に心電図変化を伴った胸痛発作を生じ
るようになり精査施行。SVG-HL-OM の HL 吻合部の中枢側に
数ヶ所の狭窄病変を認めた。同部位に対して PCI を施行し
たが,2.0 NC balloon では全く狭窄解除できず,cutting balloon 通過せず。造影 CT では SVG 仮性瘤も疑われた。翌
週に冠動脈再バイパス術を施行した。SVG を用いて上行大
動脈から HL 吻合部に bypass を行った。大動脈弁も硬化の
進行を認めたため,圧格差は中等度であったが,21mm SJM Regent で大動脈弁置換術も同時に施行した。 症例は CABG 後の 89 歳の男性で,最近労作時胸痛が頻回と
なり前医で CAG 施行したところ,右冠動脈へのグラフト閉
塞が確認され,右冠動脈に PCI 試みたが高度石灰化のため
不成功に終わり,当院に再度 PCI 目的で紹介となった。
Rotablator burr (1.5mm)が右冠動脈近位部に trap したが,
Corsair の使用により burr の近傍からガイドワイヤー通過
が可能となり,ballooning を繰り返すことで burr が除去で
きた。その後,Rotawire と guiding catheter を変更し手技
を継続し完結した。 10
5 左主幹部への PCI 後,肺動脈を高度圧排する血腫にて
6 HOCM に対する PTSMA の有用性=中期フォローを経て 死亡した 1 例 ○奥山道記,鈴木ひとみ,郡司尚玲,幕内智子,河野龍平, ○二村麻美 1,竹内利治 1,平井俊浩 1,TALIB AHMED1,坂本 央 1,
鈴木隆司(勤医協中央病院 循環器内科) 太田久宣 1,田邊康子 1,佐藤伸之 1,光部啓治郎 2,赤坂伸之 2, 症例は 70 代,男性。H14 年,3 型急性大動脈解離を発症。
H19 年,CAG にて LMT に 75%狭窄を認め,CABG(RITA-LAD,
SVG-LCX)が施行されたが,術後 SVG-LCX は閉塞。同年,遠
位弓部−下行大動脈置換術が行われたが,
その後グラフトよ
り遠位側で大動脈瘤径の拡大傾向が見られた。
H23 年1 月,
再手術のための術前 CAG にて LMT は 90%に進行し,
RITA-LAD は閉塞していた。後日 LMT に対して冠動脈ステン
トを留置し,4 日後に退院した。しかし,退院翌日に呼吸
困難が出現し当院に救急搬送。造影 CT 上,主肺動脈を圧排
する 40mm 大の血腫が認められた。
処置中に心肺停止したた
め PCPS を挿入。
血腫除去術のため開胸したところ多量の出
血が確認され死亡した。血腫の部位が冠動脈ステント留置
部に近接しており,PCI との関係も示唆される症例と考え
られ報告する。 眼前暗黒感,胸苦等を認めた薬物治療抵抗性の HOCM 6 例に
PTSMA を施行し,15∼58(平均 31)ヶ月フォローした。術前
5 例に MR が,2 例に冠動脈狭窄が合併していた。焼灼に要
した中隔枝は3例が1本で,
残りは2本であった。
全例PTSMA
直後に圧較差の軽減をみた。UCG での圧較差は術前安静時
7∼154(平均 62) mmHg,ドブタミン負荷時 67∼176(平均
131)mmHg であったが退院前安静時では5∼33(平均15)mmHg,
慢性期では安静時 3∼36(平均 12)mmHg と下がっていた。MR
は 3 例で消失した。BNP も術前 110∼1080(平均 358)pg/mL
が慢性期 18∼235(平均 145)pg/mL と改善し,全員自覚症状
は消失・軽快し,心イベントでの入院はなかった。治療抵
抗性のHOCMに対しPTSMAは有用であり長期間の効果が期待
された。 7 8 長谷部直幸 1(1 旭川医科大学 内科学講座 循環・呼吸・神経病態
内科学分野,2 旭川医科大学 外科学講座 循環・呼吸・腫瘍病態
外科学分野) 長径 5cm を超える巨大冠動脈瘤を併発した冠動脈肺動
脈瘻の 1 例 大動脈浮遊血栓により発症した急性心筋梗塞に対して
観血的加療を行った 1 例 ○小原雅彦,中 智昭,安藤康博,川嶋 望,宮本憲行,甲谷哲郎,
○谷 友之 1,後平康信 1,士反英昌 1,山崎和正 1,橋冨 裕 1, 松浦弘司,瀧上 剛,松崎賢司,水無瀬昂(NTT 東日本札幌病院)
八戸大輔 1,巣山 環 1,山崎誠治 1,齋藤 滋 2(1 札幌東徳洲会病
症例は 62 歳女性。20 年程前に心雑音指摘あり,造影検査
にて冠動脈肺動脈瘻認めたが無症状のため経過観察となっ
ていた。6 年前から慢性腎不全となり平成 22 年に維持透析
導入となった。透析中の低血圧,NYHA 2 度の心不全症状が
出現するようになり心精査行ったところ,心エコー上心臓
前面に mass を認め,CT 検査では同部位に冠動脈肺動脈瘻
に連続した長径 5cm を超える巨大冠動脈瘤が認められた。
心臓カテーテル検査では左右シャント率 44.5%,Qp/Qs 1.87 であった。冠動脈動肺動脈瘻のシャント血流が心不全
へ悪影響を及ぼしていることが予想され,巨大冠動脈瘤の
破裂の危険性も考えられたため十分な IC のもと外科的治
療を選択した。病理所見では巨大冠動脈瘤部分は拡大した
静脈組織と推測された。画像診断を中心に報告する。 院 循環器科,2 湘南鎌倉総合病院 循環器科) 症例は 62 歳女性。突然の背部痛とこれに続く胸痛を認め,
当院救急外来へ搬送された。来院時の診察,検査にて前下
行枝領域の急性冠症候群が疑われた。その際に心臓エコー
検査にて血栓と考えられる上行大動脈内の浮遊構造物を認
め,胸部 CT にて確認された。冠動脈造影は血栓塞栓症を誘
発するものと考えられたため,
冠動脈 CT 造影にて前下行枝
領域の閉塞を確認したうえで,緊急冠動脈バイパス術およ
び大動脈内血栓摘除術を施行した。本症例のように粥腫破
裂による大動脈内の血栓形成により急性の合併症を来す症
例は稀であり,心臓エコー検査にて大動脈内血栓を発見す
ることで合併症を回避できた大動脈浮遊血栓症の 1 症例を
経験したので報告する。 11
9 Oozing rupture を合併した急性下壁梗塞の 1 例 10 ○長島雅人 1,山下武廣 1,今井斎博 1,前野大志 1,中野記嗣 1, 1
1
2
アミオダロン誘発性甲状腺中毒症の 1 例 ○相川忠夫 1,村井大輔 1,浅川響子 1,壇浦 裕 1,小松義和 1, 1
相馬孝光 1,岩切直樹 1,牧野隆雄 1,福田洋之 1,加藤法喜 1, 森田 亨 ,中川俊昭 ,光島隆二 ( 心臓血管センター北海道大
2
野病院 循環器内科, 心臓血管センター北海道大野病院 心臓血
和田典男 2(1 市立札幌病院 循環器内科,2 市立札幌病院 糖尿病
管外科) 内分泌内科) 症例は 60 歳男性,
2009 年 12/30 強い胸痛自覚するも改善。 2010 年 1/11,再度胸痛自覚,近医受診 AMI の疑いで当院に
紹介された。
心電図上Ⅱ,Ⅲ,aVf,V3-6 誘導に ST 上昇あり,
UCG で下壁が akinesis dyskinesis であり,中等量の心嚢
液貯留も認められた。心嚢穿刺で,心嚢液が血性であった
ため,左室 oozing rupture を合併した AMI と診断した。
CAG で,#3:100%, #7:90%.が認められた。血性心嚢液は
計 350ml 排泄された後,再貯留なく,血行動態も安定して
おり,心臓血管外科医と相談の上,PCI を選択し,RCA に
Bare metal stent を留置した。PCI 後 CPK の上昇は認めら
れなかった。7 病日後に心嚢ドレーンを抜去,14 病日後に
LAD への PCI を施行,22 病日に退院した。外科的修復術を
施行せず,良好な経過をたどった症例を経験したので報告
する。 症例は 57 歳男性。2007 年に陳旧性心筋梗塞に伴う低心機
能と心室頻拍で ICD 植込手術とアミオダロン内服を開始し
た。その後の定期的な採血では甲状腺機能は正常範囲内で
経過していたが,
2010 年 10 月の採血で FT3 6.03pg/mL, FT4 4.19pg/mL, TSH<0.03μIU/mL と急激な甲状腺機能亢進症
を認めた。各種自己抗体は陰性で,甲状腺エコー所見から
アミオダロン誘発性甲状腺中毒症と診断してプレドニゾロ
ン内服を開始したところ,甲状腺機能亢進症の改善を認め
た。アミオダロン誘発性甲状腺中毒症は比較的稀と考え,
文献的考察を加えて報告する。 11 12 全身性 AL 型アミロイドーシスに伴う心不全に対しト
ルバプタンが有用であった 1 例 心蔵外科手術後の心房細動に対する amiodarone の予
防的投与 ○勝山亮一,野口圭士,森本信太郎,及川達也,斉藤高彦(北見赤
○大澤久慶,櫻田 卓,佐々木潤,荒木英司(札幌中央病院 心臓
十字病院) 血管外科) 患者は 78 歳,男性。2010 年 10 月 IgG 高値を指摘され当院
内科紹介受診し多発性骨髄腫の診断となった。うっ血性心
不全を繰り返しており,心電図上四肢誘導低電位の所見と
心エコー上軽度のgranular sparklingがあり心アミロイド
ーシスを疑われた。フロセミド 140mg,スピノロラクトン
50mg の内服とフロセミド 20mg の静注を繰り返し尿量は保
たれていた。しかし,胸部レントゲン上肺水腫の明らかな
増悪と下肢浮腫の増悪を認めたためトルバプタン(サムス
カ)の内服を開始し,尿量の明らかな増加と下肢浮腫の改
善を認め,呼吸苦も改善を認めたが合併症の出現を認めな
かった。トルバプタンの薬理作用等について若干の論文的
考察を交え報告する。 開心術後心房細動(post-operative atrial fibrillation:
POAF)の発症予防を目的として,周術期に amiodarone の経
口投与を行いその有効性について検討したので報告する。
対象となる amiodarone 投与群(A 群)は 2007.1 2010.1 ま
でに当院で施行した待機的冠動脈バイパス・弁膜症手術例
で,術前心電図が洞調律である 30 例とした。対照群(C 群)
は 2006.12 以前の同様な 45 症例とした。amiodarone の投
与方法は手術7日前から 400mg/day,術後は術翌日から
200mg/day 経口投与した。POAF の発症率は,A 群 13.3%,C
群 28.9%で A 群で有意に低かった(p=0.029)。本研究結果
から,amiodarone 周術期投与によって POAF 発症の予防が
期待できると思われた。 12
13 門 脈 肺 高 血 圧 症 の 急 性 増 悪 に Ambrisentan と
14 Tadalafil の combination therapy が著効した 1 例 当科での副腎静脈サンプリングの初期成績 ○鈴木隆司,幕内智子,郡司尚玲,奥山道記,河野龍平, ○佐藤隆博,
辻野一三,
大平 洋,
山田安寿香,
後藤知紗,
渡部 拓,
鈴木ひとみ(勤医協中央病院 循環器内科) 西村正治(北海道大学病院 第一内科) 53 歳男性。B 型慢性肝炎,門脈圧亢進症にて他科通院。2010
年 9 月当科入院。WHO FC I, BNP 104.5 pg/ml。平均肺動脈
圧(mPAP)40 mmHg にて門脈肺高血圧症と診断。同年 12 月 2
日,
軽労作でも胸部圧迫感,
呼吸困難感が出現し同日来院。
来院後,車いすに移乗した際に失神し,同日緊急入院。BNP 2212 pg/ml, ドブタミン 2γ使用下の右心カテーテル検査
では mPAP 55 mmHg と増悪。肝障害でも使用可能な
Ambrisentan,Tadalafil での治療を開始。WHO FC II とな
り退院。門脈肺高血圧症に対して Ambrisentan, Tadalafil
での治療を経験したので報告する。 【目的】当科では 2010 年 1 月から,原発性アルドステロン
症(PA)に対する副腎静脈サンプリング(AVS)を開始した。
2011 年 4 月までに試行した AVS の結果を検討した。
【結果】
(1)症例:5 例。男性 4 例,女性 1 例。平均年齢 60 歳(48
∼74 歳)
。(2)AVS の適応:負荷試験陽性で PA と診断され,
手術治療の希望がある症例とした。(3)AVS の成功率:5 例
中,左は 5 例,右は 4 例が成功と判断された。(4)手技時間:
平均 108 分(79∼127 分) (5)治療:AVS に成功した 4 例
は全例,手術治療となった。(6)不成功例:1 例は右副腎静
脈が非常に細く,サンプリングの最中から採血が困難であ
った。
【結論】AVS は開始初期から比較的良好な成績を期待
できる。更なる成績向上に向け,今後は採血困難例に対す
る対処法を準備することが必要である。 15 下肺静脈共通幹をともなう心房細動に対するカテー
16 テルアブレーション後に著明な心機能の改善を認め
た心不全 ○廣田亮介,別役徹生,加藤瑞季,杉山英太郎,蓑島暁帆, 異なる原因で意識消失した1例 武藤晴達,乗安和将,藤田雅章,佐藤 実,井上仁喜,寺西純一,
竹中 孝,岡本 洋(北海道医療センター) ○南部忠詞(日鋼記念病院) 症例は 54 歳男性。2010 年 9 月から労作時呼吸の乱れを自
覚,同 10 月から平地歩行でも息切れを感じ,夜間起坐呼吸
となり初診した。CTR 63% HR 122 の心房細動調律,心エ
コ-図で LVDd 63mm LVEF 0.32 と低下を認め入院した。冠動
脈造影は異常を認めず,心房細動にともなう心不全と診断
した。
心臓 CT では 左右の下肺静脈が近接し入口部が一つ
に融合しており,下肺静脈共通幹と診断した。心房細動は
電気的除細動が無効で,カテーテルアブレーション施行,
上肺静脈個別隔離,下肺静脈一括隔離を行った。その後は
洞調律が維持され LVDd 49mm LVEF 0.49 に改善した。心
筋症様の心不全が洞調律維持で著明改善する報告は多いが,
鑑別指標はない。肺静脈形態異常の有無をスクリーニング
するのは有用かもしれない。 13
症例は 52 歳男性,平成 18 年胸苦を感じ意識消失。尿失禁
と強直性痙攣を伴った。ヘッドアップチルト試験は陽性だ
ったが,自覚症状が異なった。EPS で心拍数 220 の発作性
上室頻拍が誘発され,収縮期血圧 60 以下となり,自覚症状
が一致したためアブレ-ション施行。H22 年 12 月仕事帰り
に意識消失。救急車内で JCS1,血圧 169/97mmHg,HR125
舌から出血あり。ILR を埋め込んだ。10 日後職場で眼前暗
黒感があり,ILR をアクチベートし 30 秒後に倒れた。全身
性の痙攣で約 5 分持続。ILR に不整脈は記録されず,てん
かんとして治療を開始した。 17 18 当科における両室ペーシングの有効性評価 左上大静脈遺残に植込み型除細動器の植込みを行っ
た 1 例 ○石丸伸司,柿木梨沙,田所心仁,川崎まり子,木谷俊介, 管家鉄平,西村邦治,五十嵐正,岡林宏明,古谷純吾,五十嵐康己,
○大野紘平,村上沙耶香,村上直人,村椿真悟,藤戸健史, 五十嵐慶一(北海道社会保険病院 心臓血管センター 心臓内科)
望月敦史,西田絢一,神津英至,村中敦子,国分宣明,下重晋也,
当院では 2009 年より両室ペースメーカーの植込手術を施
行しており,治療成績について報告する。2009 年より 2011
年までの2年間にCRT-P 5例 ( PPMからCRT-P へのupgrade 4 例,新規 1 例 ),CRT-D 17 例 ( PPM からの upgrade 1 例,
新規 16 例 ) の手術を施行した。拡張型心筋症が 11 例 (51%) と最も多く,
虚血性心疾患が 8 例 (36%) で続いた。
平均年齢は 74 10 歳,男性 20 名,女性 2 名,術前の平均
EF は 29.7%,QRS 幅は 161 msec,BNP 387 pg/ml,LVDd 62.4 mm,LAD 52.7 mm であった。術直後の QRS 幅は 155 msec と
短縮を認め,
術後 3 ヶ月での平均 EF は 35.7%(p = 0.0068),
BNP は 258 pg/ml (p = 0.0033),LVDd は 60 mm (p = 0.011),
LAD 51.3 mm (p = 0.041) と収縮能および心拡大の改善を
認めた。両室ペーシングは wide QRS を伴う重症心不全に対
し有効である。 湯田 聡,長谷 守,橋本暁佳,土橋和文,三浦哲嗣(札幌医科大
19 20 洞機能不全症候群を有した CLS(Closed Loop 学 第二内科) 症例は 77 歳,男性。2010 年 12 月陳旧性心筋梗塞に伴う持
続性心室頻拍に対する植込み型除細動器(ICD)植込みのた
め当科紹介。術前の胸部 CT で左上大静脈遺残(PLSVC)を
認め,右上大静脈は欠損しており,左上大静脈が冠静脈洞
を経て右房に開口していた。2011 年 1 月 ICD 植込み術を施
行。静脈造影で静脈の走向を確認後,左鎖骨下静脈アプロ
ーチにて右室リードを右室心尖部,右房リードを右心耳に
スクリューイン固定した。本体は左前胸部に留置し,電位
波高やペーシング閾値,
除細動閾値に問題を認めなかった。
リードはスタイレットの形状を工夫することで,通常のシ
ステムを用いて比較的容易に留置することが可能であった。
PLSVC は 0.3%程度に存在するとされるが,ICD 植込みを行
った稀な症例を経験したので若干の文献的考察を交えて報
告する。 Stimulation)機能付ペースメーカーの有効性を検討
複数腎動脈を有する機能的単腎に発症した腎血管性
高血圧の 1 例 した 1 例 ○白井真也,小岩弘明,竹内 剛,田口幸枝,堀本和志(市立千歳
市民病院 循環器科) ○棗田 誠,小川孝二郎,宮本憲次郎,村上弘則(手稲渓仁会病院
循環器内科) 症例は 63 歳女性。
慢性腎不全に対し維持透析中(HD)であ
り,洞機能不全症候群(SSS),を併発。HD 終末の血圧低下
透析困難を来たしペースメーカー植え込み目的に当科紹介。
心拍応答機能として従来の加速性センサーではなく,心筋
収縮動態での心腔内インピーダンス変化により生理的応答
可能な CLS 機能付ペースメーカー(日本光電(BIOTRONIK))
の植込みを行った。植込み後,CLS 機能により収縮期血圧
低下の際にペーシングレートの上昇が認められ,血圧変動
の改善が得られた。SSS を有した透析困難や不均衡症候群
が緩和され,QOL の改善につながった可能性が示唆された。
14
症例は 72 歳男性。2010 年 6 月に健診で高血圧を指摘され
て当科に受診。2 次性高血圧の検索では特異的疾患は示唆
されなかったが,降圧剤を 4 種 3 剤使用しても血圧は 150
台まででコントロール不良であった。そこで腎動脈エコー
だけでなく非造影の MRA を施行したところ左腎の委縮と右
腎動脈の高度狭窄を認めた。この右腎動脈は 3 分岐した形
であり,このためにエコーでは検出できなかった懸念があ
る。RI 検査でもレノグラムで左腎は重度機能低下型を示し,
右腎動脈狭窄はインターベンションの適応と考えて工夫し
ながら施行した。術後はようやく血圧コントロールが良好
となり外来通院中である。本例の経験から,腎血管性高血
圧のスクリーニングとして多用されている腎動脈エコーの
弱点や分岐血管への治療の工夫を報告する。 21 腎動脈狭窄による CKD 増悪に早期 PTRA が腎機能悪化
22 の進行を防ぎ得た 1 例 末期動脈閉塞症に対する pedal bypass の有用性 ○内田大貴 1,東 信良 2,菊池信介 2,福山貴久 2,光部啓次郎 2,
○秋田耕嗣,米澤一也,安在貞祐,小室 薫,野口圭士,広瀬尚徳,
小久保拓 2,古屋敦宏 2,内田 恒 2,赤坂伸之 1,稲葉雅史 2, 伊藤一輔(国立病院機構函館病院循環器科) 笹嶋唯博 2(1 旭川医科大学 救急医学講座,2 旭川医科大学 第一
症例は 70 歳男性。両側腎梗塞による CKD stage3,高血圧,
慢性心房細動の既往で当科通院中。外来採血で腎機能悪化
(Cre1.19→2.24mg/dl)
。CT,腎動脈エコーでは起始部が石
灰化のため描出不明瞭であったが,腎エコーで葉間動脈血
流の AT 延長から右腎動脈狭窄が示唆され,
腎機能悪化の責
任病変と考えられた。右腎は萎縮傾向だが,分腎レノグラ
ムで右:左=8:13 と右腎機能残存。リスク対効果について
御本人と検討し,腎臓脈造影施行。右腎動脈に高度狭窄を
認め,PTRA を施行。術後に CCR 及び Cre 値の増悪なく,慢
性期には改善傾向を認めた。また,収縮期血圧の改善,分
腎レノグラム比の改善(12:16)を認めた。high stage CKD
への PTRA は充分なエビデンスが確立されていない。
本症例
では早期に行うことで腎機能悪化を防ぎ得たため,ここに
報告する。 外科) 23 Paget-Schroetter
24 【 は じ め に 】 当 科 に お け る 足 関 節 を 越 え る pedal bypass(PB)の成績を報告する。
【対象】2001 年 1 月∼2010
年 8 月に PB を行った 135 例 147 肢。男性 101 例,女性 34
例,平均年齢 65.4 才。原疾患は ASO 128 例 140 肢,TAO 4
例 4 肢,末梢血管炎 3 例 3 肢。Fontaine 分類はⅢ度 17 肢,
Ⅳ度 130 肢。 74 例(54.8%)が維持透析症例。
【方法】末梢
吻合を足関節以下動脈とした自家静脈バイパスを行った。
【結果】末梢吻合は足背動脈 122 肢(83.0%),中足骨動脈
6 肢(4.1%),外側足底動脈 11 肢(7.5%),内側足底動脈 8
肢(5.4%)であった。
【結語】糖尿病・維持透析症例の増加
に伴い救肢不能な症例が増加している現状では,PB が重要
な治療手段となりつつある。 症候群と診断された原発性左鎖
骨下静脈血栓症の1例 企業製デバイス導入後の EVAR 症例の早期中期成績 ○飯島 誠,関 達也,浅井英嗣,加藤伸康,南田大朗,夷岡徳彦,
○相川忠夫 1,石森直樹 1,水島 航 1,水上和也 1,濱口早苗 1, 1
1
1
2
内藤祐嗣,新宮康栄,若狭 哲,大岡智学,橘 剛,久保田卓,松
2
横田 卓 ,榊原 守 ,古本智夫 ,久保田卓 ,松居喜郎 , 居喜郎(北海道大学 循環器外科) 筒井裕之 1(1 北海道大学病院 循環器内科,2 北海道大学病院 循
2007 年度以降,腹部大動脈瘤に対するステントグラフト企
業製デバイスが本邦でも保険適応となった。当科でも解剖
学的適応ののもとhigh risk 症例も含めてEVAR を導入して
おり,その早期・中期成績を検討した。対象は 2007 年より
2011 年3 月までに当科で施行されたEVAR47 例。
男女比42/5
例。平均 75.4 4.8 才(58-91 才)
。Zenith 39 例,Excluder 8 例。最大血管径は平均 52.4 6.5mm。主要合併症として
COPD 15 例(31.9%)
,担癌 6 例(12.8%)であり,開腹既
往は 12 例(25.5%)であった。技術的成功率 97.8%,手
術死亡なし,周術期脳合併症を 1 例(2.1%)認めた。術後
平均入院期間は 15.6 日。平均観察期間 30.5 か月で,1 年
生存率 100%,2 年生存率 95.7%,瘤関連死亡は 1 例であ
った。企業製デバイス導入後の EVAR の早期・中期成績は満
足できるものと考えられた。 環器外科) 症例は 30 歳代男性,生来健康。本年 1 月上旬より軽度の左
上肢浮腫を自覚していた。1 月下旬,スキー後に急に左上
肢の浮腫が増悪し,熱感も伴ったため翌日前医を初診。画
像所見から左鎖骨下静脈血栓症と診断され,抗凝固療法導
入された。その後症状改善したが,第 21 病日に安静時胸苦
を自覚し,
肺血栓塞栓症の合併が疑われて当院入院するも,
その後の経過より同症の合併は否定された。血液検査で血
栓性素因は認めず,CT・MRI 等の画像検査で左鎖骨下静脈
の圧排所見も認めないことより,原発性鎖骨下静脈血栓症
(Paget-Schroetter 症候群)と診断した。本症候群は,鎖
骨と第一肋骨間の空隙が上肢の動きで狭小化し,鎖骨下静
脈が慢性的に機械的刺激を受け局所で血栓形成されると考
えられており,文献的考察を加えて報告する。 15
25 26 当科における大動脈弁形成術の検討 弁形成術−経カテーテル的大動脈弁留置術時代での
○関 達也,浅井英嗣,南田大朗,飯島 誠,内藤祐嗣,新宮康栄,
役割 夷岡徳彦,若狭 哲,加藤裕貴,大岡智学,橘 剛,久保田卓, 松居喜郎(北海道大学大学院医学研究科 循環器外科学) ○鈴木丈二 1,坂田芳人 2,野崎洋一 1,四倉昭彦 1,乗安和将 1, 【緒言】大動脈弁形成術は抗凝固薬の回避,心内膜炎リス
クの低下などの利点があり近年,
大動脈弁閉鎖不全症
(AR)
治療の選択肢となってきている。
【目的】当科での大動脈弁
形成術の成績を報告する。
【方法】対象は当科における 1996
年から現在までに大動脈弁形成術を施行した 18 例。
これら
を AR の成因で A,大動脈基部拡大(4 例),
B,上行大動脈瘤に
伴うもの(7 例),C,大動脈弁自体の異常によるもの(7 例)
の 3 群に分類し短期成績を検討した。術前 AR の程度は A,
C 群の全例が重度,B 群では中等度以下であった。
【結果】
平均観察期間は A 群で 10.7 ヶ月,B 群で 7.9 ヶ月,C 群で
26.3 ヶ月。A,C 群で術後 AR が有意に改善,左室径が有意
に縮小した。
【結語】大動脈弁形成の短期成績は満足のいく
ものであったが,長期成績の検討や症例のさらなる蓄積が
必要である。 27 Inoue Balloon による経心房中隔順行性経皮的大動脈
大田幸博 1,大艸孝則 1,高木 康 1,吉田 泉 1,櫻井正之 1(1 北
光記念病院 循環器科,2 池上総合病院 ハートセンター 循環器
科) 弁尖硬化性大動脈弁狭窄症 (AS) は増加一途で,多くは高
齢小体型女性のため,開胸に伴うリスクは高く,また,小
径人工弁選択になりがちである。一方,進行性疾患で,発
症後は著しい QOL 低下を招き,
臨床医困窮の疾患群である。
経皮的大動脈弁形成術(PBAV)は,1986 年の症例報告以降,
有用性が論議されてきたが,合併症頻度や再狭窄率の高さ
から,その使用は限られてきた。2000 年,Eisenhauer 等,
Sakata 等は使用 Balloon,アプローチ法に改良を加え,安
全・確実性を報告している。
我々は96 歳女性の進行AS
(NYHA IV)例にこの手法を用い,圧較差改善完全消失,弁可動改
善に伴う大動脈弁逆流消失,機能的僧房弁逆流著明減少,
ADL 改善を認めた。本邦で Stent Valve の臨床治験進行中
であるが,今後の PBAV の臨床的位置づけ,役割について検
討する。 28 当院におけるメイズ手術の検討 症候性巨大肺動脈瘤の 1 例 ○大川洋平,森 大輔,岩崎昌弘,野村文一,光島隆二,杉木健司,
○西里仁男,古堅 真,前田卓人,佐藤孝宏,福岡将匡,宮崎義則,
数井暉久,大野猛三(心臓血管センター北海道大野病院 心臓血管
東海林哲郎(市立室蘭総合病院 循環器内科) 外科) 症例は 75 歳女性。30 歳頃に浮腫を認める様になり,総合
病院にてカテーテル検査を施行される。詳細は不明である
が,肺動脈疾患と診断された。その後は近医にて,利尿剤
による外来加療を受け,自覚症状なく経過していた。H21
年 4 月頃から労作時の息切れと浮腫の増強を自覚するよう
になり,近医を受診。CT で 6cm を超える肺動脈瘤を認めた
ことから当科紹介受診となる。造影 CT・血管造影でも主幹
部が 6.8cm の肺動脈瘤を認め,
肺動脈圧は 43mmHg と高値で
あった。手術適応と考えられ,心臓血管外科にて肺動脈縫
縮術を受けた。肺動脈瘤は,外傷,感染や膠原病などの炎
症性疾患,先天性心疾患などが原因とする報告が多いが,
自験例では明らかな原因は認められず,特発性と考えられ
た。比較的稀な疾患と考えられたので,若干の文献的考察
を含め報告する。 2010 年 04 月 01 日より 2011 年 03 月 31 日までに当院で
施行したメイズ手術は 25 例であった。男性 17 例,女性 8
例,平均年齢は 72.3 歳であった。術前の心臓超音波検査に
て左房径は平均 50.2mm であった。
治療対象となった不整脈
は発作性心房細動 1 例,慢性心房細動 23 例,カテーテルア
ブレーション後の心房粗動が 1 例であった。併施した外科
治療の対象となった疾患は弁膜症 22 例,虚血性心疾患 1
例,心臓腫瘍 1 例,急性大動脈解離が 1 例であった。全例 Cardioblade を用いた full maze (両心耳温存メイズ手術)
を施行した。手術死亡,入院死亡例は無かった。1 例が術
後早期に脳梗塞を発症した。22 例が洞調律へ復帰し,2 例
が心房細動,ペースメーカーを必要とした症例は 1 例であ
った。両心耳温存メイズ手術は有用な術式と考えられた。 16
29 30 脳梗塞を発症し未診断寛解 2 年後に診断された大動
脈弁位感染性心内膜炎の 1 例 うっ血性心不全を来した成人不完全型心内膜床欠損
症の1例 ○神垣光徳 1,伊東直史 1,簗詰徹彦 1,斎藤俊一 1,上田秀樹 2, 2
1
○中谷資隆 1,會澤佳昭 1,國崎 守 1,池田大輔 1,原 豊道 1, 2
大畑俊裕 ( KKR 札幌医療センター 循環器科, KKR 札幌医療セン
吉村治彦 1,鈴木章彦 1,牧野裕樹 2(1 岩見沢市立総合病院 内科,
ター 心臓血管外科) 2
症例は 80 歳男性,2008 年初旬から全身倦怠感・発熱を認
め,4 月に脳梗塞を起こし脳外科病院に入院して改善した。
2010 年になり労作時息切れが出現して 2 月 3 日に当科初診。
経胸壁心エコーにて重症大動脈弁狭窄症兼閉鎖不全症と大
動脈弁口を往来する径 8mm の疣腫を認め,手術適応と判断
され,大動脈弁置換術が施行された。疣腫の病理ではグラ
ム陽性球菌の集簇が認められた。使用された抗生剤の詳細
は不明だが,感染性心内膜炎が未診断のまま寛解した稀な
症例と考えられた。また planimetry 法による弁口面積
(1.77cm2)に比して,連続波ドップラーによる平均圧較差
(54mmHg)が高値で,弁口を往来する疣腫が大動脈弁狭窄
症の程度を重症化させたと考えられた。画像的にも興味深
い症例と考え報告する。 症例は 49 歳男性。
幼少時より心臓内の欠損口を指摘される
も放置していた。今回,起座呼吸,咳嗽を主訴に近医受診
し,うっ血性心不全の診断で当院内科を紹介受診した。胸
部 X 線で両側胸水,心拡大,左右肺動脈拡張,肺うっ血を
認め,心電図では左軸偏位,肺性 P 波,二峰性 P 波を認め
た。心エコーで心房中隔一次口欠損と僧帽弁のクレフトを
認めた。
血液サンプリングでは肺体血流比 2.94 であったが,
収縮期肺動脈圧 36mmHg と肺高血圧は軽度であった。
左室造
影にて 2 度の僧帽弁逆流を認めた。入院後,利尿薬と ARB
で心不全は軽快した。今後は外来通院にてコントロールを
継続し,今冬に手術予定である。今回,成人不完全型心内
膜床欠損症を経験したので若干の文献的考察を加えて報告
する。 31 32 成人期まで高肺血流量を呈した VSD(Ⅱ)の 1 例 牧野内科医院) 末梢血好酸球増多を伴わない好酸球性心筋炎の 1 例 ○田淵正樹,高木伸之,村木里誌,前田俊之,樋上哲哉(札幌医科
○杉山英太郎,加藤瑞季,簑島暁帆,武藤晴達,乗安和将, 大学 医学部 第二外科) 藤田雅章,佐藤 実,別役徹生,井上仁喜,寺西純一,竹中 孝,
<症例>43 歳女性,1 歳時に VSD と診断。しかし,肺高血
圧合併のため手術不能とされた。40 歳時に心エコー検査で
VSD(Ⅱ),Qp/Qs=4.86 で手術適応と診断されたが,患者は
手術を希望されず。しかし,近年,心不全症状を自覚する
ようになり,外科的治療を目的に精査を行った。心カテー
テル検査で Pp/Ps=0.83 と高度肺高血圧であったが,
Qp/Qs=6.2,肺血管抵抗 426 dyne・sec・cm-5 のため,手
術適応として VSD 閉鎖術を行った。<考察>成人期まで
Eisenmenger とならない大欠損 VSD は稀である。今回,高
肺血流量を呈した成人期 VSD(Ⅱ)に対する外科治療を経験
したので報告する。 岡本 洋(国立病院機構 北海道医療センター) 症例は 53 才,女性。2010 年春,動悸を主訴に当科を初診。
特発性心筋症,心室性期外収縮の診断で薬物治療を開始。
2010 年冬,自宅で失神したため近医を受診。受診後再度失
神し心室頻拍を認めたため,当科に救急搬送された。入院
後,完全房室ブロックも合併,EF 33%と左室機能の低下も
あり,後日 CRT-D を植え込んだ。右室心筋生検の結果,好
酸球を中心とした著明な炎症細胞浸潤を認め,末梢血好酸
球増多を認めないものの,
好酸球性心筋炎の診断となった。
また,慢性咳嗽,CT 上肺野に淡い陰影を認め,肺への好酸
球浸潤も疑われた。ステロイド治療の適応と考えられ,プ
レドニゾロンを 30mg/日より開始,現在漸減中で心機能は
改善傾向にある。今回,好酸球増多を伴わない好酸球性心
筋炎を経験したので報告する。 17
33 34 心臓悪性腫瘍の診断における心膜生検・心嚢液細胞診
の有用性の検討 上行大動脈人工血管置換術後 8 年経過し吻合部仮性
動脈瘤を生じた 1 例 ○浅井英嗣,松居喜郎,久保田卓,橘 剛,大岡智学,若狭 哲,
○中島智博,中村雅則,黒田陽介,渡辺祝安(市立札幌病院) 新宮康栄,
夷岡徳彦,
内藤祐嗣
(北海道大学 医学部 循環器外科) {背景}心臓腫瘍は UCG,MRI,PET-CT など多様な modality に
より診断能力は上昇しているが画像診断,臨床診断からも
確定診断が得られず治療方針決定に難渋する症例は存在す
る。今回,心膜生検と心嚢液細胞診の心臓腫瘍確定診断に
おける有用性について検討する。{対象}CT や MRI で心臓悪
性腫瘍が疑わしいが確定診断が得られないため治療開始で
きなかった 5 例を対象として剣状突起下切開による心膜生
検と心嚢液細胞診検査を施行した。{結果}心嚢液細胞診に
て 3 例で悪性リンパ腫,1 例でリンパ腫の診断であった。1
例で心嚢液細胞診・心膜生検で陰性であり腫瘍生検で悪性
リンパ腫の診断であった。心膜生検で異常を示した症例は
なかった。{結語}心臓悪性腫瘍確定診断のために剣状突起
下切開による心嚢液細胞診は有効な方法であると考えられ
る。 【背景】大動脈人工血管置換術後の経過観察期間に関して
はガイドラインが無く各施設間によりその期間は様々であ
る。
【序文】Stanford A 型大動脈解離に対して上行大動脈
人工血管置換術後 8 年を経過して中枢側吻合部に仮性瘤を
生じ手術を行った症例を経験したので報告する。
【症例】患
者は 69 歳,女性.2000 年に大動脈解離に対して上行大動
脈人工血管置換術を施行され年1回CT撮影を施行されてい
た。2008 年の CT で中枢側吻合部仮性動脈瘤をはじめて指
摘された。大動脈弁閉鎖不全も重症化してきたため 2010
年に再上行大動脈人工血管置換術および大動脈弁置換術を
施行し仮性動脈瘤を病理検査に提出した。病理組織学的検
討および人工血管置換術後の経過観察期間に関する考察を
加えて報告する。 35 36 大動脈縮窄症に合併した慢性 B 型大動脈解離に対す
る 1 手術症例 LMT 病変を合併した A 型急性大動脈解離に対し PCI 後
ヘリで搬送し外科的治療を行った 1 例 ○柳清洋佑 1,川原田修義 1,宇塚武司 1,小柳哲也 1,伊藤寿朗 1,
2
1
1
○福山貴久 1,赤坂伸之 1,光部啓治郎 1,菊地信介 1,内田大貴 1,
2
栗本義彦 ,樋上哲哉 ( 札幌医科大学 第二外科, 札幌医科大学 小久保拓 1,古屋敦宏 1,内田 恒 1,東 信良 1,稲葉雅史 1, 救急集中治療部) 笹嶋唯博 1,鈴木孝英 2(1 旭川医科大学心臓血管外科,2 遠軽厚生病
症例は 39 歳男性。37 歳時に胸背部痛にて近医受診し,急
性 B 型大動脈解離および大動脈縮窄症を指摘された。
follow 中に下行大動脈瘤が拡大し当科紹介された。動脈瘤
は第一肋骨に接しており,無名静脈走行異常のため左後側
方切開では視野の確保が困難と考えられ,胸骨正中切開お
よび左前側方切開でアプローチした。右腋窩動脈送血,上
大静脈脱血,右大腿静脈経由下大静脈脱血にて人工心肺を
確立した。低体温循環停止,逆行性脳灌流下で動脈瘤を切
開した。縮窄部位を切除し下行置換術を行った。経過は良
好であり術後 26 日目に退院した。
大動脈縮窄症に B 型大動
脈解離を合併することはまれとされている。手術は左後側
方切開でアプローチされることが多いが,今回,胸骨正中
切開および前側方切開を行い良好な視野で手術を行うこと
ができたので報告する。 院 循環器科) 症例は 73 歳女性.突然の胸痛,背部痛を自覚し前医へ救急
搬送.血圧の低下あり心電図で広範囲の ST 低下,心エコー
では前壁から側壁の壁運動異常を認め急性心筋梗塞の疑い
で心臓カテーテル検査を施行された.LMT distal に 99%狭
窄を認め,造影所見や IVUS 所見から急性大動脈解離による
血腫を疑われた.外科治療困難な施設であったため左冠動
脈内にステント留置した後,当院にヘリ搬送された.搬送中
からバイタルは安定して経過し緊急手術,循環停止+選択
的脳灌流下に上行部分弓部置換術を施行した.術後脳梗塞
を合併したが,リハビリにより軽度の右半身麻痺のみで症
状は改善した.術後評価の CT で偽腔は概ね閉鎖していた.
脳梗塞リハビリ目的のため転院となったが現在麻痺はほぼ
改善し外来通院中である. 18
37 B型急性大動脈解離で生じた腎動脈狭窄に対するステ
ント留置術 ○山下武廣 1,今井斎博 1,前野大志 1,中野記嗣 1,長島雅人 1, 森田 亨 1,中川俊昭 1,光島隆二 2(1 心臓血管センター北海道大
野病院 循環器内科,2 心臓血管センター北海道大野病院 心臓血
管外科) B 型急性大動脈解離(AAD)の約 30%に分枝血流障害が合併
し,中でも腎動脈血流障害は約 7%に生じるとされる。分
枝血流障害が生じた B 型 AAD は手術適応とされるが,臓器
の再潅流障害や代謝産物が悪影響するためその成績は不良
である。腎動脈ステント術により腎動脈血流障害を改善し
た後に大動脈外科手術を行った症例を提示する。症例は背
部痛で B 型 AAD を発症した 44 歳男性。
保存療法中に腎動脈
狭窄が生じ,潅流低下による腎機能障害が進行したため,
15 病日に腎動脈ステント留置術を行った。術後に腎機能は
回復し,その1週間後に大動脈外科手術が施行された。腎
動脈血流障害を合併した B 型 AAD に対する腎動脈ステント
術に関し若干の文献的考察を加え報告する。 19