ネルソン・マンデラ

ネルソン・マンデラ
ネルソン・ホリシャシャ・マンデラ（コサ語: Nelson
Rolihlahla Mandela、1918 年7 ⽉ 18 ⽇ - 2013 年12
⽉ 5 ⽇）は、南アフリカ共和国の政治家、弁護⼠
である。
1952 年8 ⽉にヨハネスブルグにてフォート・ヘア
⼤学で出会ったオリバー・タンボと共に弁護⼠事
務所を開業する。同年の 12 ⽉に ANC 副議⻑就
任。1961 年11 ⽉、ウムコント・ウェ・シズウェ（⺠
族の槍）という軍事組織を作り最初の司令官にな
る。それらの活動などで1962 年8 ⽉に逮捕される。
1964 年に国家反逆罪で終⾝刑となりロベン島に
収監される* [3]。1982 年、ケープタウン郊外のポ
ルスモア刑務所に移監。この時、イギリス⼈傭兵
の有志が集まってネルソンを救出する作戦が⽴て
られたことがあったが、南アフリカ側への情報漏
れで中⽌されたという* [4]。この収監は 27 年にも
及び、マンデラはこの時期に結核を始めとする
呼吸器疾患になり* [5]、⽯灰⽯採掘場での重労働
によって⽬を痛めた* [6]。収監中にも勉学を続け、
1989 年には南アフリカ⼤学の通信制課程を修了
し、法学⼠号を取得した。
⼤統領（第 8 代）、下院議員（1 期）
、アフリカ⺠族
会議議⻑（第 11 代）、南アフリカ共産党中央委員
を歴任。
賞歴としてネルー賞、ユネスコ平和賞、アフリカ
賞、サハロフ賞、ノーベル平和賞、国際検察官協
会名誉章受章など。称号には名誉法学博⼠（早
稲⽥⼤学）など。南アフリカ共和国での愛称は
マディバ、タタ（⽗）* [2]。マディバとは彼の先祖
が誰かを象徴する⽒族名であり、部族社会の影響
が残る南アフリカでは単なる愛称ではなく、尊称
に近いものである。ミドルネームのホリシャシャ
はコーサ語で「トラブルメーカー」の意味。
1
1.2
来歴
全民族融和の象徴
若くして反アパルトヘイト運動に⾝を投じ、1964
年に国家反逆罪で終⾝刑の判決を受ける。27 年
間に及ぶ獄中⽣活の後、1990 年に釈放される。
翌1991 年にアフリカ⺠族会議（ANC）の議⻑に
就任。デクラークと共にアパルトヘイト撤廃に尽
⼒し、1993 年にノーベル平和賞を受賞。1994 年、
南アフリカ初の全⼈種参加選挙を経て同国⼤統領
に就任。⺠族和解・協調政策を進め、経済政策と
して復興開発計画（RDP）を実施した。1999 年に
⾏われた総選挙を機に政治家を引退した。
1.1
反アパルトヘイトの闘士
1918 年7 ⽉ 18 ⽇にトランスカイのウムタタ近郊 1992 年、フレデリック・ウィレム・デクラーク南アフ
クヌ村で、テンブ⼈の⾸⻑の⼦として⽣まれる。リカ共和国⼤統領 (当時) と握⼿するネルソン・マンデ
ラ期同国⼤統領
メソジスト派のミッションスクールを卒業した
後、フォート・ヘア⼤学で学ぶ。在学中の 1940 年
には、学⽣ストライキを主導したとして退学処分 1989 年12 ⽉に当時の⼤統領フレデリック・デク
を受ける。その後、南アフリカ⼤学の夜間の通信ラークと会談し、翌1990 年2 ⽉ 11 ⽇に釈放され
課程で学び 1941 年に学⼠号を取得した。また、そる。釈放後、ANC 副議⻑に就任。デクラークとの
の後、ウィットワーテルスランド⼤学で法学を学予備会談に ANC 代表として出席する。また、1990
び、学⼠号を取得した。1944 年にアフリカ⺠族会年10 ⽉ 27 ⽇から11 ⽉ 1 ⽇まで ANC 代表団を率
議（ANC）に⼊党。その⻘年同盟を創設し⻘年同いて訪⽇している。
盟執⾏委員に就任して反アパルトヘイト運動に取 1991 年、ANC 議⻑に就任。デクラークと協⼒し
組む。1950 年、ANC ⻘年同盟議⻑に就任。アフリて全⼈種代表が参加した⺠主南アフリカ会議を 2
カ⺠族会議を構成する南アフリカ共産党にもひ度開き、さらに多党交渉フォーラムを開いた。暫
そかに⼊党し、党中央委員を務めるようになる。定政府、暫定憲法を作成。1991 年 6 ⽉にアパルト
1
2
3
交
ヘイトの根幹法である⼈⼝登録法、原住⺠⼟地法、の式典を開き、ネルソンの功績を称えると共に回
集団地域法などを廃⽌し、翌1993 年12 ⽉ 10 ⽇に復を祈った* [13]。
デクラークとともにノーベル平和賞受賞。
2013 年 12 ⽉ 5 ⽇（⽇本時間 6 ⽇未明）、ヨハネス
1994 年4 ⽉に南ア史上初の全⼈種参加選挙が実施ブルグの⾃宅で死去* [14]* [15]* [16]。95 歳没。
された。ANC は勝利し、ネルソンは⼤統領に就任
追悼式にはアメリカ3 ⼤ネットワークとCNN・
した。就任式ではヒンドゥー教、イスラム教、ユダ BBC もそれぞれのアンカーマンを現地（ヨハネス
ヤ教、キリスト教の指導者が祈るなど全宗教の融
ブルグもしくはプレトリア）に派遣し、各国から
和も図られた* [7]。暫定憲法の権⼒分与条項に基も⽇本の皇太⼦徳仁親王、イギリスからはチャー
づき、国⺠党やインカタ⾃由党と連⽴政権をたて、ルズ皇太⼦* [17] とキャメロン⾸相、アメリカ合衆
統⼀政府を樹⽴した。ネルソンは 6 つの原⾊に彩国よりバラク・オバマアメリカ合衆国⼤統領及
られた新国旗に象徴される「虹の国」を掲げ、新びビル・クリントンやジミー・カーター元⼤統領、
憲法制定によるアパルトヘイト体制下での⽩⼈・ブラジルのジルマ・ルセフ⼤統領、キューバのラ
⿊⼈との対⽴や格差の是正、⿊⼈間の対⽴の解消、ウル・カストロ国家評議会議⻑など各国の国家元
経済不況からの回復として復興開発計画（RDP）⾸もしくはそれに準ずる⼈物が出席し、追悼式
を公表した。
典のVIP 席でバラク・オバマとラウル・カストロ
1997 年12 ⽉の ANC 党⼤会でネルソンは、議⻑のが握⼿する、弔問外交となった* [18]。
座を副⼤統領のターボ・ムベキに譲る。1999 年2
⽉ 5 ⽇、国会で最後の演説をした。同年⾏われた
総選挙を機に政治の世界から引退した。
2 人物
メソジスト教会で洗礼を受けたクリスチャンであ
る。若き⽇の彼に⼤きな影響を与えたのは、テン
2000 年1 ⽉ 19 ⽇に国際連合安全保障理事会で初ブの⼈々の習慣とキリスト教のミッションスクー
*
めて演説を⾏った。2001 年7 ⽉に前⽴腺癌が発⾒ルで受けた教育であった [19]。
され、7 週間の放射線治療を受けた。2005 年1 ⽉結婚は 3 度している。1944 年にエブリン(Evelyn)
7 ⽇に前妻・ウィニーとの⼦供マカト・マンデラと最初の結婚。1957 年離婚。1958 年、ウィニーと
がエイズによる合併症で死亡した事を公表した。 2 度⽬の結婚。マンデラの収監中にウィニー夫⼈
2008 年 6 ⽉末、正式に⽶国政府により、テロリスは獄外で政治活動を⾏った* [20]。しかし1992 年4
ト監視リストより名前が削除された* [8]。
⽉ 13 ⽇、離婚の意思を表明し、4 年後の1996 年3
引退後も⼈気は根強く、2005 年にBBC が⾏った世⽉ 19 ⽇にウィニーとの離婚が成⽴。1998 年7 ⽉
界政府の⼤統領選挙と仮定した世論調査ではトッ 18 ⽇にモザンビークの初代⼤統領で⾶⾏機事故
プに選ばれている* [9]。2010 年6 ⽉ 11 ⽇に⾏われで亡くなったサモラ・マシェルの未亡⼈、グラサ・
たFIFA ワールドカップ南アフリカ⼤会の開会式マシェル夫⼈と 3 度⽬の結婚。
1.3
引退後
に出席する可能性が⾼いと親族が明らかにしてい
たが、前⽇にひ孫が交通事故で亡くなったことを
受け、出席を断念。代わりにビデオメッセージを
送った。なお閉会式には出席した。
⼤統領時代、⽇本のバラエティー番組「進め! 電波
少年」で松村邦洋のアポなしロケを受けたことが
ある（「イヨ! ⼤統領! 憎いねコノー!」と声をかけ
るというもの）。周りには SP もいたが、突然のこ
この時以降公の場には姿を現さなかった。90 歳とに驚いた様⼦だったものの、遥々⽇本から来た
を越えて⾼齢のため体に衰えが⾒え始めており、松村を温かく歓迎した。
2012 年12 ⽉ 8 ⽇に肺の感染症のため、⾸都プレ
トリアの病院に⼊院した。2013 年 4 ⽉ 6 ⽇、症状
が改善したため退院した* [5]。しかし、2013 年 6
⽉から体調は悪化し、感染症を再発し 6 ⽉ 8 ⽇か
ら再⼊院となった* [10]。
3
1.4
ジャクソン死去の際マンデラは、
死去
2013 年 6 ⽉ 23 ⽇、南アフリカ⼤統領府は、ネル
ソンが危篤状態に陥ったと発表した* [11]。その後、
ネルソンの容態は安定しており、7 ⽉ 18 ⽇に病室
で 95 歳の誕⽣⽇を迎えた。娘のジンジは 7 ⽉ 16
⽇に、「ヘッドホンを着けてテレビを⾒ており、笑
顔を⾒せた」という様⼦を語っている* [12]。ネル
ソンの誕⽣⽇に合わせて、2013 年7 ⽉ 18 ⽇に、国
際連合は本部で「ネルソン・マンデラ国際デー」
交友関係
3.1
マイケル・ジャクソンとの交友
「マイケルのりにも早い死を本当に残
念に思います。彼は定期に南アフリカ
を訪れ、ライブを
してくれるように
なり、々は親しくなり、彼は家族同然
の在になりました。は彼の
らし
い能、⼈⽣における様々な
をり
越えて来た彼をから尊しています。
マイケルは⾳界の伝説です。彼をっ
3
て本当にしいです。彼の死はしまれ、
彼の功績は末⻑く受けがれていくこと
でしう。」
[10] “マンデラ⽒が肺感染症で再⼊院、容体深刻も安
定南ア”. CNN. (2013 年 6 ⽉ 9 ⽇) 2013 年 6 ⽉ 9 ⽇
閲覧。
と追悼のコメントを残した* [21]。
[11] “マンデラ⽒が「危篤」
、容体が悪化南ア⼤統領府
発表”. CNN. (2013 年 6 ⽉ 23 ⽇) 2013 年 6 ⽉ 23 ⽇
閲覧。
4
[12] “危篤だったマンデラ⽒、ＴＶ⾒て笑顔…９５歳
に”. 読売新聞. (2013 年 7 ⽉ 19 ⽇) 2013 年 7 ⽉ 24
⽇閲覧。
映画
•『マンデラの名もなき看守』
（2007 年）
監獄に⼊れられたマンデラと看守の交流
を描く。マンデラ役はデニス・ヘイスバー
ト。
•『インビクタス/負けざる者たち』（2009 年）
1995 年に南アラグビーチームがワール
ドカップに優勝した話の映画化。マンデ
ラ役はモーガン・フリーマン。
•『マンデラ⾃由への⻑い道』
（2013 年）
⾃伝の映画化。マンデラ役はイドリス・
エルバ。
5
脚注
[1] "The Nobel Peace Prize 1993" NobelPrize.org
[13] “マンデラ⽒誕⽣⽇国連で式典”. NHK. (2013 年 7
⽉ 19 ⽇) 2013 年 7 ⽉ 24 ⽇閲覧。
[14] 南アフリカマンデラ元⼤統領が死去NHK2013 年
12 ⽉ 6 ⽇閲覧
[15] Nelson Mandela Dead Former South African President
Dies at 95（ABC News）12/6 閲覧
[16] マンデラ⽒死去、95 歳＝アパルトヘイト撤廃に尽
⼒―ノーベル平和賞・南ア（時事）12/6 閲覧
[17] ⼥王エリザベス 2 世は出席を希望したが⾼齢の
ため叶わず、代わりにウェストミンスター寺院で
の追悼⾏事を⾏うこととなった。ウェストミンス
ターで国外の⼈物の追悼⾏事を⾏うのは初であ
る（チャールズ皇太⼦が出席へ MSN 産経ニュース、
2013 年 12 ⽉ 10 ⽇閲覧）。
[18] NBC ナイトリーニュース、Podcast にて 2013 年 12
⽉ 10 ⽇閲覧
[19] ネルソンマンデラ幼少時代 Google Cultural Institute .
[20] ウィニー夫⼈、N・マンデラの⾜跡ナショナルジ
オグラフィック 2013 年 12 ⽉ 6 ⽇
[2] “訃報: ネルソン・マンデラさん 95 歳＝元南ア⼤
統領”. ⽇新聞. (2013 年 12 ⽉ 6 ⽇) 2013 年 11 ⽉
6 ⽇閲覧。
[21]“Nelson Madela:'Michael Jackson Was Part Of Our
Family”. 2014 年 7 ⽉ 18 ⽇閲覧。
[3] このときの、彼の監獄番号が「46664」であり、現
在、彼の財団の活動を象徴する番号となっている。
厳密には上位「466」が彼の囚⼈番号、下位「64」が
彼の投獄された年、19「64」年の下 2 桁である。そ
のため、「46664」は⼀般に、four-double six-six-four
と発⾳する
6
関連項目
• アパルトヘイト
• アフリカ⺠族会議
• 南アフリカの⼤統領
[4]『ネルソン・マンデラ』メアリー
・ベンソン著
• ネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアム
[5] “マンデラ元⼤統領が退院、肺疾患の病状改善南
アフリカ”. CNN. (2013 年 4 ⽉ 7 ⽇) 2013 年 4 ⽉ 7
⽇閲覧。
• ネルソン・マンデラ・チルドレンズ・ファン
ド
[6] 独居房、N・マンデラの⾜跡ナショナルジオグラ
フィック 2013 年 12 ⽉ 6 ⽇
[7] 読売新聞『
「⺠主南ア」世界にアピール⼤統領就任
式列席１５０か国の代表祝福』1994 年 5 ⽉ 11 ⽇
号（プレトリア 10 ⽇）
[8] Mandela taken off US terror list BBC 2008-07-01
[9] BBC NEWS | Africa | Mandela wins BBC's 'global
election'
7
外部リンク
• Gallery of Mandela pictures, including some rare
ones from his early days
• ANC profile of Mandela
• Time 100 profile
7 外部リンク
4
• Nelson Mandela Defiant At Rivonia Trial
• Nelson Mandela Foundation - 46664
• Big Picture TV Free video clip of Nelson Mandela
• Nelson Mandela's Order of Canada Citation
• Mandela appeals on behalf of Lockerbie bomber
• International diplomacy by Nelson Mandela
• 早稲⽥⼤学名誉博⼠学位贈呈者⼀覧
• 「ネルソン・マンデラ⽒のデジタルアーカイ
ブが公開」（2012 年 3 ⽉ 28 ⽇）- カレントア
ウェアネス・ポータル

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