アフリカン・アメリカンカルチャーセンター ブロワード郡のアフリカ系アメリカ人の図書館 by Daniel Keller, System Contractor News, June 2003 フロリダ州フォートローダーデ イルはマイアミの北側に広がる郊 外という役割を演じ続けてきただ けではない。海岸から 50km ほ どの立地条件と「アメリカのベニ ス」という別名の通り運河も豊富 だ。さらに全米で 13 番目に大き な物流専門の港エバーグレーズ 港 を 擁 し て い て、 劇 的 に 生 ま れ 変わった中心部には眺めの良い ニューリバーウォーク、ライブパ フォーマンスが楽しめるブロワー ド・カウンティ・センターがあり、 さらに最近アフリカ系アメリカ人の 研究施設が完成した。 アフリカン・アメリカン調査研究所とカルチャーセンターは図書館であるだけではなく 劇場、展示エリア、マルチメディアエリアなどを 5600 平方メートルの施設に備えている アフリカン・アメリカン図書館は地域住民に対しては一般的な図書館として機能しているが、単純な図書館ではないと言って いい。2002 年 10 月にオープンした 5600 平方メートルの施設には 300 席の映画館兼ホール、地域のための展示エリア、地方 と全国の観光展示スペース、マルチメディアエリア、セミナーや会議用のさまざまなスペース、コンピューター研究施設、公共 のオフィススペースがある。また 7 万 5 千冊以上の蔵書、書類、工芸品など、地元の歴史やアフリカ系の人々をテーマにした ものを集めている。この種の研究施設は全米でもニューヨークのションバーグセンター黒人研究所とアトランタのオウバンアベ ニュー研究図書館に次いでまだ 3 番目だ。こうした施設はアフリカ系アメリカ人の歴史や貢献に対する感謝や理解を促すための 文化と教育と情報の集合体なのだ。 夢の建物 当初、この施設はブロワード郡の公共図書館システムにおける目玉の一つとして計画された。1995 年に始まったこのプロジェ クトに郡は中心部の土地と立ち上げ費用 500 万ドルを提供した。メディアや企業パートナーによる基金や寄付で残りの予算をま かない、昨年 4 月にはブロードワード郡の図書館ディレクター、サミュエル・F・モリソンと委員長のローリー・ナンス・パリッシュ が着工式で鍬を入れた。 この建物の革新的な設計はアフリカ系アメリカ人が経営する PAWA コンプレックス・インターナショナルが担当した。ブロワー ド郡では大手の建築設計エンジニアリング事務所で、それまでにマイアミ国際空港、フォートローダーデイル国際空港、フロリ ダ交通局などを手がけている。アフロを中心とした魅力的な内装は数々の受賞経験を持つインテリアデザイナー、セシル・ヘ イズの作品だ。俳優のウェズリー・スナイプス、サミュエル・L・ジャクソンといった顧客を持ち、その作品は『アーキテクチャル・ デザイン』など専門誌にも紹介されている。 ニューヨークのホイットニー美術館でプログラム編成を担当し、全米芸術基金からも表彰を受けたゲイリー・ムーアがこのプ ロジェクトのまさに芸術的な部分の設計に関与した。 2 階層の構造には図書館と研究施設が融合していて、さらにメディアの豊富なプログラム室と多目的ホールがある。460 平 方メートルを超える屋内と屋外のギャラリーは企画展示と常設展示に対応し、マルチメディアエリアやユースセンター、コンピュー ター研究室、地元団体用のさまざまなセミナー / 会議室に沿うように配置されている。ここにはあらゆるサービスを提供する小 さなビジネスセンターまであるのだ。 アフリカン・アメリカンカルチャーセンター 大きな部屋 この新しい図書館最大の特徴は 300 席の多目 的ホールで、映画から生演奏、演劇、ダンスにま で対応する劇場として機能する。システムの設計と 施工はマイアミのインフィニティ・オーディオが担 当した。同社はそれまでにマイアミ国際空港、マイ アミ大学をはじめさまざまなホテルや高度な改修 プロジェクトに携わってきた。 「このホールは本当に多目的です」インフィニティ・ オーディオのオーナーでありチーフデザイナーの ロード・トゥッセントは言う。 「私たちは映画から音 楽の生演奏やダンス、地元団体の会議まで何にで も使え、素早く簡単に転換できるシステムを作らな ければなりませんでした。外部スタッフの手助け を最小限にしながら、どんなイベントにもどんなゲ ストエンジニアにも適応するプリセットを作ることが 300 席の劇場には映画から音楽の生演奏、ダンスなど さまざまなイベントに対応する多目的システムが入っている 必要だったのです」 ホールには EAW の 2 ウェイスピーカー JF560z を 2 本使ったクラスターが 3 つ備えられ、JF60 がサイドフィルに付いてい る。低域は EAW のサブウーファー SB180P が 4 本で受け持っている。パワーアンプは Crest の CA12 が 1 台、CA9 が 3 台、 CA6 が 2 台、CA4 が 4 台だ。 ハウスフロントを受け持つのは Crest のコンソール LMx24 で、その出力が BIAMP の Audia 4 × 12 と 8 × 8 に送られている。 Audia はあらゆるシグナルプロセシング、ダイナミクス、イコライザー、システムすべてのスピーカーディレイを処理している。 トゥッセントによれば従来の機器ではなく Audia を選んだのは最終段階で発生した問題を解決するためだった。 「施工計画は工事中に少し発展し、すばらしいことに EAW と Crest までアップグレードすることができました。でもその間にシ グナルプロセシングのために仕様化していた 20 台ほどの機材を収容するラックの置き場所がなくってしまったのです。それだ けのプロセッサーがなければ音響的に良い結果は出せません。 そこで省スペース化を決めたのが目を覚ますきっかけでした。Audia は音響特性に優れたプラットフォームで、その時点で はただ現場にないというだけでした。音には色や癖は全くありません。それに私は EAW の JF シリーズが好きでいつも使って います。つくりも動作も良いししっかりしているからです。Audia は私が EAW から聴きたかったものを聞かせてくれました。そ れまでになかったことです」 資産を覆い隠す このホールで行う演目はあまりに多彩で、地元には文化的なメリットをもたらしたがシステムデザイナーにはさまざまな課題 をつきつけた。エンジニアの出入りが激しいことと制作の予定を見れば、本当に必要なことは絶妙なバランスをとることだった。 一方でユーザーに必要な道具を与え、もう一方でほぼ日常的に転換されるシステムの完全さを維持することのバランスだ。こ こでまたトゥッセントは Audia を褒めた。 「このシステムには 4 レベルのパスワードプロテクト機能があって、ユーザーをタイプ別に分けてそれぞれに必要とされる機能 にだけアクセスを許可できる優れたものです。ユーザーは入って来ることもシステムのセットアップを見ることもできますが、操 作できる機能と範囲はそのアクセスレベルによって指定されています。設定を戻してしまったりコンプレッサーやパラメトリックイ コライザーをリセットすることもありません。もちろんエンジニアはコンソールとプロセシングに完全にアクセスできますが、シス テム自体は DSP が多くを処理するとても洗練されたものなのです。レイアウトのほとんどはあらかじめ設定されていて、かな り技術的な理解のあるユーザーでない限りグローバルなパラメーターにアクセスすることはできません」 アフリカン・アメリカンカルチャーセンター 無限の幸せ トゥッセントのチームにとって EAW と Audia はその技術でも実際の仕事でも魅力あるものだった。 「私たちは一生懸命働くし最先端であり続けたいと思っていますが、毎月定期発行のように出てくる新製品を軽々しく使うことは ありません。自分たちが使う製品とプラットフォームは慎重に選んで繰り返し使うことで深く理解しようと務め、自分たちが心地 よいレベルを評価基準にしています。このためある製品を使って良い経験をするとそれに頼る傾向があります。私はできる限り EAW を指定しますが、それは使いやすいし一貫性があって計算が成り立つからです。 Audia でも似たような経験をしました。今回初めて使いましたが本当に良い経験でした。現在ホテルの案件に 3 台、近々着 手するナイトクラブに 4 台仕様化しています。EAW と BIAMP はこういう公共のプロジェクトに重要な条件を満たしています。つ まり強固で度が過ぎるほど丈夫にできているということです。これは単純なことですがとても大切な能力なのです」
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