建築基準法施行令等の改正について

建築認証事業本部
建築基準法施行令等の改正について
日本再生戦略に基づき、平成 24 年 9 月 20 日付で建築基準法施行令等が大きく次の 2 点で改正されました。
1 つ目は、近年の防災意識の高まりから、備蓄倉庫等の設置事例が増加していることを受け、建築物の部分で
ある備蓄倉庫、蓄電池、自家発電設備、貯水槽について上限を定め、容積対象の延べ面積へ算入しないことと
なりました。2 つ目は、国際競争力の強化等の新たなニーズに対応し、一定の安全性が確保されている既存
建築物の大規模な増改築を一層促進するため、既存部分の 2 分の 1 を超える大規模な増改築について新たに
既存遡及緩和措置が講じられたことです。
以下、これら 2 点について、順に概略を説明いたします。
Ⅰ.防災・減災施設(備蓄倉庫、蓄電池、自家発電設備、貯水槽)について容積対象延べ面積からの除外
今回の改正により、以下の4種類の防災・減災施設については、容積率算定上の床面積の対象外となりました。
1. 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分(上限 床面積合計の1/50)
2. 蓄電池(床に据え付けられるものに限る)を設ける部分(上限 床面積合計の1/50)
3. 自家発電設備を設ける部分(上限 床面積合計の1/100)
4. 貯水槽を設ける部分(上限 床面積合計の1/100)
① 「専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分」とは、災害時に必要な非常用食糧、応急救助物
資等を備蓄するための倉庫のことで、建築物の一部に設ける場合は、壁等によって他の用途と明確に区画され、
滞在者等が非常時に防災用備蓄倉庫の位置を容易に判別できるよう、見えやすい位置に当該倉庫である旨の
表示がされていることが、条件となります。建物の用途に限定はなく、非常時に倉庫を利用する人についても、
建物利用者、地域住民など特に限定はありません。
② 「蓄電池(床に据え付けられるものに限る)を設ける部分」とは、蓄電池を備え付けるスペースのことです。「床
に備え付けられるもの」とありますので、ハイブリッド車を蓄電池として用いるようなものは対象となりません。
③ 「自家発電設備を設ける部分」とは、同一敷地内の建物で消費する電力をまかなうために発電する設備を
設けるスペースのことです。「自家発電」の設備ですので、売電専用の設備は対象となりませんが、自家消費
した上で余剰分を売電する程度のものであれば、対象となると考えられます。
④ 「貯水槽を設ける部分」とは、水を蓄えるための槽を設置する部分で、修理・点検時以外は人の立ち入ら
ないスペースのことです。水の使用目的(飲料用、消火用など)は問いません。当然ながらプールなどは対象とは
なりません。
②~④の施設については、必ずしも囲われた室とまでする必要はありませんが、他の設備を設ける部分と明確
に区画されている必要があります。
これまでも、建築物の機械室その他これに類する部分の床面積の合計の建築物の延べ面積に対する割合が
著しく大きい建築物においては、特定行政庁の許可に基づき容積率制限の緩和(建築基準法第52条第14項)が
行なわれていますが、今回の改正による緩和の上限を超えて備蓄倉庫等を設ける場合については、引き続き、
この許可の適用を受けて、容積率の緩和を受けることが考えられます。
なお、この改正に伴い確認申請書(計画変更を含む)、建築計画概要書の記載欄も変更となっています。平成24
年9月20日以降に申請を行なう場合は、新しい書式での申請が必要となります。
Ⅱ. 既存部分の1/2を超える大規模な増改築について新たな構造規定の既存遡及緩和措置
◆改正の概要 : 既存不適格建築物の延べ面積の1/2を超える増改築が可能
平成24年9月20日施行の建築基準法施行令第137条の2、平成17年国土交通省告示第566号の改正によって、
既存不適格建築物の基準時※における延べ面積の1/2を超える増改築を行う場合であっても、増改築部分が
現行基準に適合し、既存部分が一定の耐震性能を確保すれば、既存不適格建築物として存続可能になりました。
また、既存不適格建築物の建築設備についても、一部緩和されました。この法改正により、大規模な増改築が
可能となり、既存建築ストックの大規模な改修が円滑化されることが期待されます。
※
法第3条第2項の規定により法第20条の規定について既存不適格となった時(令第137条)
既存不適格建築物の増改築に係る緩和措置(全体)
建築基準法施行令第 137 条の 2 改正イメージ
既存不適格建築物の増改築に係る緩和措置(全体)
既存不適格建築物の増改築に係る緩和措置①
既存不適格建築物の増改築に係る緩和措置②
既存不適格建築物の増改築に係る緩和措置③
(国土交通省)
◆改正内容の詳細
✓ 施行令構成の変更
規模制限がかかる旧令第137条の2第一号、第二号はそれぞれ令第137条の2第三号、第四号となり、新たに
規模制限がかからない第一号、第二号が追加されました。
なお、第三号において、EXP.J増築の取扱いは、平成17年国土交通省告示第566号第3に規定されています。
✓ 施行令第1号、第2号と第3号イとの違い
構造計算に関して、第三号では地震に係る法第20条第二号イ後段及び第三号イ後段に規定する構造計算およ
び地震以外に係る令第82条第一号から第三号に適合させるのに対し、第一号の建物全体に令第3章第8節、第
二号の増改築部分については、令第3章第に適合させる必要があります。
詳しくは国土交通省のHPをご参照ください。
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