アフリカにおける環境と紛争 講義の主な内容 背景 アフリカと紛争 背景 冷

大阪大学2009年度1学期 サスティナビリティ学教育プログラム
GLOCOL協力科目 「環境と社会」「環境と社会特講」
講義の主な内容
環境と社会
2009年7月15日
アフリカにおける環境と紛争
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背景 アフリカの紛争
環境問題1 紛争と天然資源
環境問題2 紛争と生活環境
環境問題3 紛争と自然環境
コンゴ民主共和国の事例
グループワーク
GLOCOL特任助教
Virgil Hawkins
背景
アフリカと紛争
背景
冷戦後の紛争による
死亡者数の比較
冷戦後の紛争による死亡者の割合(大陸別)
アジア
6%
アフリカ
88%
中東
4%
ヨーロッパ
1%
アメリカ
(中南米)
1%
コンゴ民主共和国
(死亡者:約540万人)
赤文字はアフリカ
の紛争
スーダン(南北)
アンゴラ
ルワンダ
ボスニア
アフガニスタン
イラク
コロンビア
ダルフール
ブルンジ
• 死亡者の数でみると、世界のひどい紛争はアフリカに集中している
• どこの国の紛争が最もひどい(死亡者の数)なのか?
背景 冷戦後のアフリカの主な紛争
リベリア
(死亡者20万人)
アルジェリア
(死亡者15万人)
南部スーダン
(死亡者120万人)
スーダン(ダルフール)
(死亡者30万人)
コンゴ民主共和国
(死亡者540万人)
アンゴラ
(死亡者80万人)
ソマリア
(
(死亡者40万人)
)
ルワンダ
(死亡者80万人)
ブルンジ
(死亡者30万人)
トルコ
コートジボ
アール
ナイジェリア
コンゴ
フィリピン
ミャンマー
シエラレオネ
ソマリア
リベリア
アルジェリア
ザイール
スリランカ
ネパール
湾岸戦
コソボ
ウガンダ
エチオピア・
エリトリア
チャド
(死亡者:
イスラエル・
パレスチナ
約5千人)
問題1 紛争と天然資源
• 場合によっては紛争の原因の一つになる
– Greed(貪欲):高価資源の支配をめぐる紛争
– Grievance(苦情):資源の不均等分配
– 「民族紛争」というラベルが誤解を招く(民族紛争
は政治的 経済的な紛争の結果なのでは?)
は政治的・経済的な紛争の結果なのでは?)
• 紛争を長引かせることも多い
– 望ましくない意味で紛争をSustainableにする
• 先進国が紛争資源の買い手になっている
(「内戦」で済ませられない)
アフリカ大湖地域(Great Lakes)
全世界の冷戦後の紛争による死亡
者の54%を占めている
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GLOCOL協力科目 「環境と社会」「環境と社会特講」
問題3 紛争と自然環境
問題2 紛争と生活環境
• 紛争は社会サービスに大きな影響を与える。
– 保健医療・教育システムなどが崩壊
– 物流が止まる
自然環境破壊ルート1
政府・反政府軍・
民兵などが戦う
生活環境が破壊
される
自然環境破壊ルート2
反政府勢力・民兵が拠点を探す
条件1
隠れやすい
一般市民が逃亡
感染病などが流行する
条件3
食糧がとりやすい
難民・国内避難民キャンプができる
• 紛争は農業にも大きな影響を与える
– 農民は種まき・収穫などのタイミングを失う
– 土地から追い出される(地雷も含む)
エネルギーのた
めに木を切る
水資源がなく
なってくる
下水処理ができ
ず、水汚染
食糧がなく、野
生動物を狙う
条件2
攻撃かけられにくい
国立公園・森林・山を選ぶ
木を切る
野生動物をとる
食糧危機・飢餓が発生する
(自然災害と人工災害が重なる)
自然環境が破壊される
コンゴ民主共和国紛争
(1998-2003-現在?)
コンゴ民主共和国紛争と天然資源
豊富な鉱物資源をめぐる争いが紛争の大きな原因
反政府側
•ルワンダ
•ウガンダ
•ブルンジ
• 国内の多数
の反政府軍
政府側
•アンゴラ
•ジンバブエ
•ナミビア
•スーダン
•チャド
スズ
(ハンダ)
タンタル
(コンデンサ)
タングステン
(ICチップ)
銅、コバルト
(リチウムイオン電池)
これらの鉱石が使われているのは携帯電話だけではない
カメラ
ゲーム機
パソコン
10
コンゴ民主共和国紛争と生活環境
弾丸と爆弾より病気と飢えによる被害が大きい
死者(540万人)の分類
暴力
6%
病気・飢
え
(非暴力)
94%
• 多くの人が何も持たずに紛
争から逃げ、山・森に避難
• 病院等の社会サービスが
崩壊し・物流が止まる
• 緊急援助、復興支援は届
かず、きれいな水、食糧、
薬もない状態で、病気・飢
えなどで死亡してしまう
• 紛争が注目されていない
からこそ、防げるはずの被
害を防げず、死亡者がここ
まで増加してしまった
コンゴ民主共和国紛争と自然環境
森林伐採と野生動物の危機
オカピ
• 1994年のルワンダ虐殺後、100万
人が直ちに東ザイル(現コンゴ民主
共和国)に逃亡
• ゴリラの保護地区付近のキャンプ
に、25万人が滞在していた
• 2年間で約3,600万本の木が国
立公園内で切られる
• 現在も、様々な反政府軍・民兵が
国立公園を占領する
ゴリラ • 食糧のために野生動物(絶滅寸前
のものを含む)が狙われてきた
• 政府の収入源である観光に対する
攻撃としても、野生動物も外国から
の観光客も狙われてきた
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コンゴ民主共和国紛争と環境問題
つなげてみよう
コンゴ民主共和国
•国内の不安定・統治問題
•民族対立
•豊かな資源へのアクセス
隣国
•ルワンダ虐殺の遺産物
•反政府勢力問題
•豊かな資源へのアクセス
隣国の介入制圧
反政府勢力制圧
先進国
•同盟国への支援
•豊かな資源へのアクセス
支援
軍事介入
紛争
社会サービス崩壊
人道支援不足
そこで問題
武装勢力が資源を確保し、
武器と交換、または売って、
活動資金にする
(紛争の長期化へ)
コンゴ民主共和国紛争と天然資源問題
「つながり」を考えてみよう
• 天然資源と紛争に関係しているアクター(国内外)をまずリスト
ア プしまし う
アップしましょう
難民・国内避難民発生
反政府勢力の国立公園占領
生活環境への被害
(病気、飢え)
自然環境への被害
(森林伐採、野生動物被害)
天然資源と紛争に関わるアクター
•
•
•
•
•
国内
政府
軍部
土地の所有者
民族グル プ
民族グループ
武装勢力
•
•
•
•
•
•
国外
輸送会社
電機メーカー
鉱物商社
兵器メ カ
兵器メーカー
兵器商社
消費者
続いて
• それぞれのアクターがどうつながっているのか?3-4人のグル
ープで討議をし、アクターの関係図を作成してください
見本
アクターA
行動・関係
行動・関係
アクターC
行動・関係
アクターD
アクターB
写真・地図の引用元
その他の問題
• コンゴ民主共和国にあるような資源からできた
商品を消費している我々は「責任」がある?我
々の行動で状況は変わる?
• 人道支援の有無で紛争の現場にいる住民の
生活環境が大きく変わる。我々の行動で状況
は変わる?
• 「ゴリラ観光」と紛争との関係をどう考えればい
い?
•
空白のアフリカ地図
– neoafricanus.com
•
講義の内容
– children.foreignpolicyblogs.com
•
アンゴラ VS モザンビーク
– www.
www.fxtechnical.net
tec ca . et
– www.gm-volt.com
– www.shrimp-scampi-recipes.com
– www.germes-online.com
•
コンゴ民主共和国紛争
– homepage3.nifty.com
– www.alertnet.org
•
コンゴ民主共和国と環境
– www.bigstockphoto.com
– www.learnanimals.com/okapi/pictures.php
– www.answers.com
– www.fas.org
• その他の資源
– authentic.ie
– www.cnn.com
– www.designsbyindigo.co.uk
– www.catalogue.ws
– www.ces.ncsu.edu
– maidenofthefae.blogspot.com
•
地雷と生活環境
– www.bernos.org
– saharanvibe.blogspot.com
– www.refintl.org
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大阪大学2009年度1学期 サスティナビリティ学教育プログラム
GLOCOL協力科目 「環境と社会」「環境と社会特講」
参考文献
• Jeremy Lind and Kathryn Sturman, eds. Scarcity and
Surfeit: The Ecology of Africa’s Conflicts. Institute for
Security Studies, 2002.
• 吉田敦「鉱物資源問題と世界経済―コンゴ民主共和国
の「紛争ダイヤモンド」問題を例証として」商学研究論集(
明治大学) 21 2004
追加資料
(http://www.africanewsletter.com/Documents/congo.pdf)
• Global Witness (http://www.globalwitness.org/)
• Tin Soldiers – Democratic Republic of Congo
(YouTube video: http://www.youtube.com/watch?v=Io8c81xHLmw)
「資源の呪」?アンゴラ VS モザンビーク
その他に紛争とつながっている資源
石油
(ナイジェリア)
アンゴラ
•ポルトガルから独立し
たときに冷戦絡みの紛
争開始
•冷戦後に和平合意・
選挙が行われる
•しかし、敗者は選挙の
結果を受け入れず、紛
争が再開(10年間続
く)。
•天然資源といえば、石
油とダイヤモンド。
モザンビーク
•ポルトガルから独立し
たときに冷戦絡みの紛
争開始
•冷戦後に和平合意・
選挙が行われる
•選挙は無事受け入れ
られ、平和に向かう。
•天然資源といえば、エ
ビとピーナッツ。
ダイヤモンド
金
(シエラレオネ、アンゴラ) (コンゴ民主共和国)
チョコレート
材木
コーヒー
(コートジボアール)
(リベリア)
(ブルンジ)
地雷と生活環境
• アンゴラでは地雷のために、農業用
の土地の8割は使用不可になってい
る。
• モザンビークでは、紛争が1992年
に終わっているが 2000年の洪水
に終わっているが、2000年の洪水
のために、多くの地雷が流され、移
動してしまった。
(ちなみに、一人が一日で地雷撤去作
業ができるのは1×4メートル)
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