いろいろな仕事・職業について調べる

ヤングアダルト(YA)向けパスファインダー No.1
いろいろな仕事・職業について調べる
小さい頃は、
「大きくなったら何になりたい?」と、よく聞かれていたけれど、
実際に進路を考えようとすると、途方に暮れてしまう……。そもそも、したい
ことなんてよくわからないし、世の中に一体どんな仕事があるのかも、意外と
知らなかったりする。不況とか、就職難とか、よく耳にするニュースに不安に
なることがあるかもしれない。でも、まずは、「仕事」についてのいろいろな考
えかたや、さまざまな「職業」について、知るところからはじめよう。
★ここで取り上げている資料の詳細は、「資料を探す(詳細検索)」のページで
検索の上、ご確認ください(資料によっては、出版年や分類番号が異なる場合
があります)。
はじめに
・本で調べものをした結果を後でまとめるときは、どれが自分の考えで、どれが他の
人の考えかがわかるように、使った本の名前や著者名を、
「参考にした本」として書い
ておくようにしましょう。
・ある職業につくための具体的な資格の取り方などは、制度の改定などにより変更に
なる場合があります。資料を調べるときは、それが何年に書かれた本なのかを確認し、
最新の情報かどうか、その資格を認定している機関などに問い合わせてみましょう。
① まずはこの本棚をチェック!
今回は、「仕事」「職業」「働くということ」「社会」といったこと が、調査のキーワード
になります。図書館の本は、すべて本の主題を示す分類番号に沿って並べられていますの
で、上のようなキーワードに関わる分類の本棚に行ってみましょう。
★ 今回のキーワード ★
仕事、職業、働くということ、社会
★ キーワードに関係する本の分類番号 ★
300番台 …… 社会科学
366番台 …… 労働経済・労働問題
※本棚の場所がわからないときは 、図書館のスタッフに聞いてみてください。
※杉並区立図書館では、
『日本十進分類法(新訂 8 版)』を基準に資料を分類しています。
(ただし、杉並区独自に一部を変更しています。分類番号について詳しく知りたいときに
は、
「パスファインダー 基礎編その 1」のページを見てみてください。)
② 蔵書検索システム(OPAC)で調べてみよう
図書館の本は、蔵書検索システム(OPAC)を使って調べることもできます。
OPAC は、図書館内のパソコンか、図書館のホームページから 検索できます。
1
● 図書館内のパソコンから検索するとき
ここに、好きな「キーワード」
を入れてみよう!
● ホームページから検索するとき
詳しい使いかたはこちら
ここに、好きな「キーワード」
を入れてみよう!
詳しい使いかたを知りたいときには、「ヘルプ」のページか、「パスファインダー 基礎編
その 1」のページを見てみてください。
2
③ 働くってどういうこと?
原点に戻って考えてみよう
さて、実際に本棚を見ると、実にたくさんの 本があり、迷ってしまうかもしれません 。
どんな職業があるか具体的に調べていく前に、ちょっと寄り道してみましょう 。
進路について考えていると、いろんな疑問が湧いてきます。「働くってどういうこと?」
「どうして大人になるとみんな働くのかな。」
「そもそも、大人になるってなんだろう ……。」
そんな疑問の数々には、わかりやすい正解はないかもしれません。ただ、これまでに誰か
が頑張って考えた「答えのひとつ」が紹介されている本だったら、たくさんあります。
● 働くって何?
『「働きたくない」というあなたへ』
山田ズ―ニー/著、河出書房新社、2010 年(366 ヤ)
「ほぼ日刊イトイ新聞」
(http://www.1101.com/home
.html)の連載「オトナの小論文教室」から生まれた著作。
フリーランスの 編集者である著者が、
「働きたくない」と
いう若者の気持ちに正面から応えられる言葉を探し、投
げかける。
「自己実現と自立と幸せになること」の違いや、
「自分と社会のつなぎかた」など。
『増補改訂 14 歳からの仕事道』
玄田有史/著、イースト・プレス、2011 年(300 ケ)
「やりたいことなんてない 」
。それが当たり前。実は大人
だって、ずっと迷いつづけている。そのことを正直に認
め、
「そこからどうやってスタートするか 」を、いろいろ
な角度から考える。そして大人の立場から、「それでも、
仕事ってものには醍醐味がある」と真摯に示した一冊。
3
● 大人って何?
『大人になるって何?』
鶴見俊輔/著、晶文社、2002 年(300 ツ)
哲学者の鶴見俊輔が、テレビ番組で中学生と行った対談
の記録。
「親って何」
「先生って何」「大人になるって何」
という三つの素朴な疑問を、かつて中学生だった大人と、
現役の中学生が、率直に語り合う。
「親が子どもから学ぶ」
ということや、
「きれいごとだけを話す先生」のことなど。
『いまこの国で大人になるということ』
苅谷剛彦ほか/著、紀伊国屋書店、2006 年(367.6 カ)
いまこの国で大人になるということは、実はとっても難
しい……らしい。それはいったいなぜ ?
文学や医学、
教育学などの各分野で活躍する著者たちが、ポジティブ
な出口を目指して考え、発する 16 のメッセージ。恋愛、
自由、学校、できちゃった婚、メディア、サブカルなど
の雑多な問題が切り口になっているのも面白い。
『大人への条件』
小浜逸郎/著、ちくま書房、1997 年(A:新書) .
社会的な意味で「大人」になる年齢と、身体的な意味で
「大人」になる年齢とのギャップが開き、「大人になる」
ということそのものが曖昧になっている現代。人はどう
やって大人になるのか。成長の自覚は、どのようにして
訪れるのか。著者自身の記憶や、さまざまな文学・漫画
作品をもとに、深く掘り下げた一冊。
4
● お金って何?
『生きるための「お金」のはなし』
高取しづか/著、サンマーク出版、2010 年(300 タ)
「あなたはどうして 働くの?」と聞いたら、たいていの
人は「お金をかせぐため」と答えるだろう。でも、その
「お金」のことを、ちゃんと考える機会は少ない。生き
るためにはどれだけかかるのか 。お金に困らないように
するにはどうするのか。どうしてお金が人を惑わすのか
…… 一度は見つめておきたい、
「お金」のはなし。
④ どんな仕事があるか眺めてみよう
大人になることや、働くことのイメージが何となくわいてきたら(わいてこなくても!)、
世界にはどんな仕事があるのか、ウィンドウショッピングをするように、まずは気ままに
眺めてみましょう。図書館の本棚には、いろいろな「お仕事カタログ」が並んでいます。
『新 13 歳のハローワーク』
村上龍/著、はまのゆか/絵、幻冬舎、2010 年(366.2 ム)
「国語」や「理科」などの好きな科目や、
「きれいなもの・
面白いものを集める」など興味のあること別に、
「じゃあ
こんな職業はどう?」という、作家・村上龍からの仕事
紹介。
「何も好きじゃない、何にも興味がないとがっかり
した子のための特別編」や、
「環境」や「日本の伝統工芸」
といったテーマごとに、各職業人たちが語るエッセイや
対談が載っている章も。
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『中学生の進路さがし最強 Books
将来の仕事 なり方 完全ガイド 1』
学研/編、学習研究社、2002 年(300 カ)
その職業に就くにはどうしたらいいか ?
の「なり方」
フローチャートを 、簡単な紹介と一緒に掲載。
2002 年刊行当時の情報なので少し注意は必要だが、収入、
休暇、家庭との両立のしやすさ、必要な資格情報の問い
合わせ先など、さまざまな職業についての具体的な情報
が、コンパクトに載っているところがおすすめ 。
『NHK あしたをつかめ平成若者仕事図鑑』
NHK「あしたをつかめ」制作班/編、NHK 出版、
2005 年(366.2 エ)
実際にいろいろな職業に就いている人たちに、
「なぜその
仕事を選んだのか」
「大変なこと・やりがいは何か」など
について聞いたインタビュー記事と、その職業に就くに
はどうするかの情報をまとめたもの。働いている人たち
の気持ちや、一日のスケジュール例を知ることができる。
「働く自分」の姿を、あれこれ想像してみたいときに。
『わたしが選んだ職業』
井上荒野ほか/著、福音館書店、2001 年(300 ワ)
「自分の仕事が大好きだ」と感じながら働く人へのイン
タビューが中心の職業紹介本。宇宙飛行士の毛利衛さん、
プロ野球選手の仁志敏久さんのほか、天文学者やミュー
ジシャンなど、憧れる人の多い職業や、クリエイティブ
な職業の話が多い。でも読んでいくと、面白いのはその
職業そのものより、そこで働く人自身の「考え方」だと
いうことに気づく。「いい仕事に就く」のではなく、「就
いた仕事をいいものにする」ために、参考になる一冊。
6
⑤ 興味がわいてきた分野について、くわしく調べてみよう
自分の興味のあることがなんとなくわかってきたら 、その分野の仕事について、さらに
詳しく調べてみましょう。
「人気の職業早わかり!」シリーズ
PHP 研究所/編、PHP 研究所、2010∼2011 年(300 ヒ)
「医療・福祉・教育のしごと」
「料理・旅行・スポーツの
しごと」などの分野別に、どんな仕事があるかをまとめ
たシリーズ。ひとつの職業について、ひとことずつわか
りやすい紹介が載っているので、まず、浅く広く業界の
ことを知るための入門書としておすすめ。
「女の子のための仕事ガイド」シリーズ
しごと応援団/編著、理論社、2006∼2008 年(300 シ)
「おいしいものが好き」
「自然のなかで働きたい」など、
やってみたいこと別に、女の子に向けてさまざまな職業
を紹介したシリーズ。各業界で働く女性に対するインタ
ビュー記事と、その職業にどうやって 就くかなどの情報
が合わせて掲載されている。結婚して子どもを産んでも
続けられるか、などの観点からの情報も多数。
「好きな仕事実現」シリーズ
学研/編、学習研究社、2000 年∼2005 年(300 カ)
「動物・ペットとふれあう仕事」
「医療の仕事」など分野
別にさまざまな職業を紹介、その職業に就く方法をまと
めたシリーズ。適正や待遇、イチ押しの資格、それらに
関する問い合わせ先、おすすめ図書、その仕事に近づく
ための勉強ができる大学リストなど、とにかく具体的な
情報が多いところがポイント。
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「プロフェッショナル 仕事の流儀」シリーズ
茂木健一郎&NHK「プロフェッショナル」制作班/編、
NHK 出版、2006∼2008 年(366.2 フ)
NHK の番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」の内容を
まとめたシリーズ。バレリーナの吉田都さんや映画プロ
デューサーの鈴木敏夫さんなどの有名人から、一般企業
の社員まで、各界の第一人者・大ベテランの話を、脳科
学者の茂木さんがじっくり聞き出す。プロと呼ばれる人
たちは、どんな業界にいてもかっこいい。その職業のこ
とだけでなく、その人ごとに多様な生き方、人生の姿勢
についても学べる内容。
「地球を救う仕事」シリーズ
くさばよしみ/編著、汐文社、2008∼2009 年(300 チ)
「地球を救う仕事」なんていうと、あまりに大事で自分
の手には負えない、と思ってしまうかもしれない 。でも、
たとえばこのシリーズ第一巻「平和な世界を作りたい」
の最初に出てくるのは、地球一周の船旅を企画する仕事
についた人のインタビューです。一人でも多くの人が、
外国で友人を作って帰ること。それも世界平和のための
立派な仕事なのだと気づかされます。他、
「貧しさをなく
したい」
「命を助けたい」など。
⑥ 自分の目や耳で、実際に見て・聞いてみよう
今、就職活動の場面でも、インターネットが 重要な情報源になっています。でも、まだ
まだ変わらず大事なのは、身の周りにある「仕事」や「職業」について、実際に自分の目
で見てみること、自分の耳で聞いてみることです。そうすると、不況で就職難といわれる
現代でも、がんばっている人はたくさんいるし 、誰かを待っている仕事もたくさんある 、
とわかるはず。たとえば、こんなことからはじめてみるのはどうでしょう ?
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● 身近な大人に聞いてみる
あなたの周りにも、家族や兄姉、親戚、学校や塾・予備校の先生、学校司書、スクール
カウンセラー、地域の人たちなど、自分の仕事を持っている人はたくさんいるのではない
でしょうか。職場体験学習などで、働く人たちと直に接することもあるかもしれません 。
興味がある仕事はもちろん、たとえ今はぜんぜん興味を持てない仕事でも、「どうしてそ
の仕事に就こうと思ったのか」
「実際に就いてみてどうだったか 」など、誰かにじっくり話
を聞いてみると、また別の側面が見えてきたりします 。ぜひ機会を見つけ、これまで紹介
した本のインタビューのしかたなども 参考に、いろいろな人たちに話を聞いてみましょう。
● 新聞の求人欄や、町で配っている求人情報紙を眺めてみる
新聞の求人欄や、町角(駅や本屋さんなど)でよく見かける無料の求人情報誌。「自分に
はまだ関係ない」と思って、無視してしまうのはもったいない 。そこには、今まさに社会
で展開されている、生の情報がたくさん載っています。
最初は、面白半分でかまいません。自分の住んでいる地域には、どんな仕事が多いのか、
また、それはどんな条件の仕事か、ちらっとのぞいてみるのもよい でしょう。その企業に
就職した人の体験談や、面接で聞かれることなど、突っ込んだ記事やコラムが載っている
こともよくあります 。(もちろん、もしできる人は、実際に何かバイトをしてみるというの
も大事な職業体験です。
)
● 学校の進路相談室に行ってみる
あなたの通う学校には、進路相談室はありませんか(場所によっては、キャリアセンタ
ーなど、別の名前のこともあります)。さまざまな高校・大学・専門学校のパンフレットや、
就職先の情報、卒業生の体験談をまとめたファイルを置いてある学校も多いのでは。また、
職場体験やインターンの紹介をしている場合もあります。
先輩たちが実際に選んだ進路や、どうやって選んだかの情報は、何より身近な手がかり
です。詳しくは、進路指導の先生を探して、話を聞いてみましょう。
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⑦ さいごに
いろいろ情報はあるみたいだけど、やっぱりピンとこないし 、具体的に何も見えてこな
いし……、というときもあるでしょう 。そんなときは、いったん考えるのをやめて、視点
をぐっと近づけるか、逆にぐっと遠ざけて、今の自分や、未来について思いをめぐらせて
みては。そのうちに、進路について、また何かのイメージが見えてくるかもしれません 。
『13 歳からの自信力』
河地和子/編著、朝日新聞社、2006 年(371 カ)
何だか今の世の中、普通に就職するのだって大変そう。
やる気が起きないし自信だってないよ 、というときに。
そう思ってる子が、今、他にもたくさんいるってこと 、
そして、自信を持つとか、表現するとか、自立するとは
何かいうことについて考える本。
『みんなで考えよう 世界を見る目が変わる 50 の事実』
ジェシカ・ウィリアムズ /著、酒井泰介/訳、草思社、
2007 年(302 ウ)
「 インドでは四四○○万人の児童が働かされている」、
「世界にはいまも二七〇〇万人の奴隷がいる」など、信
じられない世界の事実を、若者向けにわかりやすく紹介
する。働きはじめる前に、目の前のことにばかり捉われ
がちな日本社会をマクロな視点で見つめなおしておくこ
とも、きっと大切なはず。
『あなたの暮らしが世界を変える』
安部治・野田研一/監修、山と渓谷社、2007 年(519 ウ)
世界で起きている、貧困、飢餓、環境破壊に人口問題 etc
……人類の問題は山積みで、世間で「仕事がない」と言
っているのは嘘みたいに思えてくる。就職するとかしな
いとかの前に、これから「じゃあ何を考えて生きるべき
か?」のヒントをくれる、読みやすい絵本風の手引き書。
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杉並区立中央図書館
2012 年 12 月 1 日発行
(代表)03-3391-5754
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