1/6 平成17年 9月22日 制 定(国空航第313号、国空機第

平成17年 9月22日 制
定(国空航第313号、国空機第467号)
平成18年10月19日 一部改正(国空航第485号、国空機第626号)
平成19年 8月 9日 一部改正(国空航第396号、国空機第474号)
航空局技術部長
カテゴリーⅠ航行の承認基準及び審査要領
第1章 総
則
1.1 目 的
この基準は、本邦航空運送事業者がカテゴリーⅠ航行を行うため必要な地上施設、機上装置、航空機乗組
員の教育、訓練及び審査、運航方式その他の事項に関する承認基準等を定めることを目的とする。
1.2 用語の定義
a.
b.
c.
d.
e.
f.
g.
h.
i.
j.
k.
l.
「決心高(Decision Height : DH)
」とは、精密進入を行う場合において進入及び着陸に必要な目視
物標を視認できないときに、進入復行を行わなければならない滑走路進入端からの高さをいう。
「滑走路視距離」
(Runway Visual Range : RVR)とは、滑走路の中心線上にある航空機から操縦
士が滑走路標識、滑走路灯又は滑走路中心線を視認できる距離にあって、透過率計等により測定した
ものをいう。
「地上視程換算値(Converted Metrological Visibility:CMV)
」とは、
「飛行方式設定基準(平成1
8年7月7日付け国空制第111号)
」の規定に従い視程通報値をもとに換算された値をいい、RVR
が利用できない場合に限り、RVRに相当する値として利用することができる。
「カテゴリーⅠ航行」とは、DHが200フィート(60メートル)以上でRVRまたはCMVが5
50メートル以上の場合に、計器着陸装置を利用して進入及び着陸を行う航行をいう。
「航空機乗組員」とは、機長、副操縦士及び航空機関士をいう。
「模擬飛行装置」とは、
「模擬飛行装置等認定要領(平成14年3月28日付け国空航第1285号、
国空機第1308号、国空乗第91号)
」
(以下「要領」という。
)において国土交通大臣の認定を受け
た模擬飛行装置をいう。
「初期訓練」とは、航空機乗組員が初めてカテゴリーⅠ航行に係る資格を取得する際に必要な訓練を
いう。
「定期訓練」とは、副操縦士又は航空機関士がカテゴリーⅠ航行に係る資格を維持するため必要とす
る訓練をいう。
「実地審査」とは、機長がカテゴリーⅠ航行に係る資格を取得し、又はその資格を維持するため必要
とする審査をいう。
「類似型式」とは、性能及び操縦性が相互に類似している航空機の型式をいう。
「ローデーター進入」とは、フライトディレクターを利用しないで行う進入をいう。
「フライトディレクター」とは、所定の経路を飛行するために操縦士がとるべき操作を指示する計器
をいう。
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第2章 地上施設
カテゴリーⅠ航行を行う空港の地上施設(ILS装置、ILS信号に対する干渉を防止するための制限区域、
視覚援助装置等)は、国際民間航空条約(昭和28年条約第21号)第10附属書及び第14附属書並びに「航
空業務方式-運航(PANS-OPS)
」に規定された基準又は航空局長がこれと同等以上と認める基準に適合
していること。
第3章 機上装置
3.1 機上装置
a.
機上装置の内容
カテゴリーⅠ航行を行う航空機は、次に掲げる装置(以下「機上装置」という。
)を搭載すること。
(1) ローカライザー受信装置、グライドスロープ受信装置及びマーカー受信装置各1式
(2) ターボジェット機にあっては、フライトディレクター1式
又は自動操縦装置(ILS進入が自動的にできるものに限る。以下同じ。
)1式
b.
機上装置の基準
カテゴリーⅠ航行を行うための機上装置は、法第10条第4項の基準に適合していること。
第4章 航空機乗組員
4.1 地上教育
カテゴリーⅠ航行を行う航空機乗組員は、次に掲げる科目について地上教育を受けていること。
a.
一般的事項
(1) カテゴリーⅠILSの機能及び許容誤差
(2) 進入灯、接地帯灯、滑走路中心線灯、進入角指示灯等カテゴリーⅠ航行に利用する飛行場灯火の機
能及びその効果
(3) RVRの特性及びその利用法(CMVを設定する場合にはCMVに関する事項を含むこと)
(4) 霧、降水、タービュランス、ウインドシアー等進入及び着陸に悪影響を及ぼす気象現象の特性及び
対応措置
(5) 低視程下において計器飛行から目視飛行に移行する場合の操縦上の留意点
(6) 低視程下において進入角指示灯を利用する場合の留意点
(7) DHより低高度において視程が悪化し、目視飛行から計器飛行に移行して進入復行を行う場合の操
縦上の留意点
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(8) 低視程下における地上滑走実施上の留意点
b.
当該型式の航空機に係る事項
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
承認された航行方式及び操縦上の留意点
機上装置の特性、使用方法及び運用限界
承認された航行資料の使用法
航空機乗組員の職務区分及び呼称方法
発動機が停止した場合の自動操縦装置又は自動出力制御装置が受ける影響の程度(当該装置を有す
る場合に限る。
)
。
(6) DH到達以前又はDH到達以降において機上装置が故障した場合のそれぞれの処埋
(7) 進入復行における高度損失の程度
(8) 降下角及び降下姿勢の変化と操縦席前方視界との関係及びこれが低視程の気象状態下において目
標視認に及ぼす影響の程度
4.2 初期訓練
a.
カテゴリーⅠ航行(ターボジェット機並びに最大離陸重量が5,700キログラムを超えるプロペラ
機又は路線を定めて旅客輸送を行うプロペラ機を使用して、DH250フィート未満であって、RV
Rが1,200メートル未満の航行を行う場合に限る。以下本章において同じ。
)を行う航空機乗組員
は、それぞれの職務区分に従い次に掲げる科目について初期訓練を受けていること。
(1) フライトディレクター及び自動操縦装置を装備していない航空機の場合は、ローデーター進入を高
度200フィートまで2回並びにこれに引き続く進入復行及び着陸を各1回(プロペラ機の場合に
限る。
)
(2) フライトディレクター1式のみを装備する航空機の場合は、フライトディレクターによる進入及び
ローデーター進入を高度200フィートまで各1回並びにこれらに引き続く進入復行及び着陸を
各1回(プロペラ機の場合に限る。
)
(3) 独立したフライトディレクター2式を装備する航空機の場合は、フライトディレクターにより高度
100フィートまでの進入を2回及びこれらに引き続く進入復行及び着陸を各1回
(4) フライトディレクター1式又は自動操縦装置1式を装備する航空機の場合は、高度200フィート
までのローデーター進入を1回及びフライトディレクター又は自動操縦装置による高度100フ
ィートまでの進入を1回並びにこれらに引き続く進入復行及び着陸を各1回
(5) 表示器2個を備えたフライトディレクター1式及び自動操縦装置1式を装備する航空機の場合は、
フライトディレクターによる高度100フィートまでの進入及び自動操縦装置による高度100
フィートまでの進入を各1回並びにこれらに引き続く進入復行及び着陸を各1回
(6) フライトディレクター1式及び自動操縦装置2式を装備する航空機の場合は、自動操縦装置による
高度100フィートまでの進入を2回及びこれらに引き続く進入復行及び着陸を各1回(2回の進
入のうち1回をフライトディレクターで実施してもよい。
)
(注1)高度100フィートまでの進入に引き続く進入復行とは、高度100フィート未満において視程
が失われたものとして行う進入復行をいう。
(注2)1発動機不作動時にもカテゴリーⅠ航行を行うことができる旨運航規程に規定されている航空機
は1発動機不作動での進入及び進入復行を各1回含むものとする。
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b.
訓練方法
(1) 初期訓練は、模擬飛行装置により行うことができる。
(2) 模擬飛行装置により初期訓練を行う場合のRVRは、着陸において適用する最低値を使用するもの
とする。
(3) 実機により初期訓練を行う場合は、進入限界高度までフードを使用するものとする。
4.3 実地審査及び定期訓練
a.
b.
c.
d.
e.
f.
g.
カテゴリーⅠ航行を行う機長は、初期訓練の科目について運航審査官又は査察操縦士により行われる
実地審査に合格していること。
なお、路線を定めて旅客の輸送を行う最大離陸重量が5,700キログラム以下の航空機がカテゴリ
ーⅠ航行を行う場合においては、当該審査を高カテゴリー航行について教育を受けた査察担当操縦士
により行うことができるものとする
前項の実地審査は、年2回実施するものとする。
ただし、航空法施行規則第164条の2第1項に掲げる国土交通大臣が指定する訓練を受けた場合は
年1回行うものとする。
類似型式の航空機について、カテゴリーⅠ航行を行う機長は、それぞれの航空機の型式について年1
回実地審査を受けること。
カテゴリーⅠ航行を行う副操縦士及び航空機関士は、初期訓練と同内容の定期訓練を年1回受けるこ
と。
実地審査及び定期訓練は、模擬飛行装置により行うことができる。
模擬飛行装置により実地審査及び定期訓練を行う場合のRVRは、着陸において適用する最低値を使
用するものとする。
実機により実地審査及び定期訓練を行う場合は、進入限界高度までフードを使用するものとする。
4.4 機長の経験要件
a.
b.
c.
航空運送事業の用に供する当該型式機の機長として、100時間以上の飛行時間を有していること。
上記 a.の機長飛行時間100時間については、航空運送事業の用に供する他の類似型式の航空機の機
長飛行時間を100時間以上を有する場合には、50時間を限度として、航空運送事業の用に供する
当該型式機における機長としての着陸回数1回につき、1時間を減じることができる。
上記 a.の機長飛行時間100時間については、航空運送事業の用に供する他の類似型式の航空機の機
長飛行時間を1000時間以上有する場合には、50時間とすることができる。
第5章 運航方式
カテゴリーⅠ航行を行う本邦航空運送事業者は、次に掲げる事項を運航規程又はその付属書に定めること。
a.
運航方式及び訓練方式
(1) 進入から着陸に至るまでの通常の操縦に係る次の事項
イ. 航空機乗組員の職務区分
ロ. 機上装置の操作方法及び監視方法
ハ. 呼称方法
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(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
(11)
(12)
(13)
(14)
(15)
地上及び飛行中における機上装置の機能検査方法
地上施設の機能低下による運用上の制限事項
複数のRVRの利用方法
機上装置が故障した場合の措置
必要とする機上装置の運用許容基準
発動機、油圧系統、電気系統、操縦系統等が故障した場合の措置
横風限界、追風限界、迫加必要滑走路長等の運用制限事項
自動操縦装置を使用できる限界高度(当該装置を装備している場合に限る。
)
航空機がDHに達した位置において許容されるローカライザー及びグライドスロープの偏位量
DHにおいて進入継続の可否を判断すべき目視物標
DH以降において気象状態が悪化した場合の措置
進入復行方式及び当該方式における航空機乗組員の職務区分
機長の経験要件
CMVを設定する場合には、CMVを利用できる条件及び利用方法
第6章 承
認
前章までに定める各基準が満足されている楊合は、カテゴリーⅠ航行を承認することができる。当該承認は、
運航規程の認可の際DH及びRVR(CMVを設定する場合はRVR/CMV)を認可することにより行う。
第7章 雑
則
この基準の実施に当たり、他の方法により同等の安全性が確保されると判断される場合には、航空局技術部
長の承認を得て他の方法によることができる。
附 則
(1) 本基準は、平成17年9月22日から施行する。
(2) 本基準によって、平成12年1月31日制定(空航第103号・空機第93号)
「カテゴリーⅠ運航及び
カテゴリーⅡ運航の承認基準細則」を、平成17年9月30日付にて廃止する。
附 則 (平成18年10月19日)
(1) 本基準は、平成18年10月26日から施行する。
(2) 現に改正前の基準による承認を受けてカテゴリーⅠ航行を行っていた航空機乗組員に対する改正後の第
4 章の規定の適用については、当該航空機乗組員に対し基準の相違点についての地上教育を行うことに
より同章の規定に適合しているものとみなしてもよい。
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附 則 (平成19年8月9日)
(1) 本基準は、平成19年9月27日から施行する。
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