アフリカ 開発問題の焦点

アフリカ 開発問題の焦点
[外務省資料]
I.アフリカの抱える問題
●2001 年国民所得(GNI) :
●
一人当たり GDP 水準:
アフリカ(除、南アフリカ)300$=世界最低
過去 30 年間
<
南アジア
450$
実質低下(世界唯一)
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UNDP 人間開発指数
下位 20 ヶ国
●
教育:初等教育就学率
●
保健:乳幼児死亡率(2001 年千人当り 172 人)・・・・HIV/AIDS により悪化
●
農業就業率 60%以上(世界平均 45%)・・しかし、食糧輸入(除、南ア・ジンバブエ)
●
低生産性=天水依存粗放的小農(アジアなどは「緑の革命」)
全てアフリカ
80 年代は低下傾向
漸く 90 年代は改善したが依然 59%
外延的拡大⇒限界
高い人口増加率(多産多死)=高い人口圧力
自給→輸入
●
人口シェア約 10%(6.7 億人)
アフリカ:
生産高シェア約 1%
生産高は人口 1 千万人のベルギーと同程度
1950 年
3%
→
90 年代中盤
かつ
46%は南ア 1 カ国
2%
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世界貿易シェア:
●
直接投資:低調・・・厳しい投資環境(政情不安、法制度・インフラの未整備など)
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周縁化
グローバリゼーション=貿易・資金・技術などの国際移動による経済統合化
しかし、アフリカはグローバリゼーションの恩恵とは無縁
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低い投資率・貯蓄率
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一次産品依存のモノカルチャー構造=国際商品市況による不安定性
●
厳しい財政状況:
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公的援助依存:海外資金の 9 割が公的援助(資本形成の 23%2001 年)
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対 GDP・累積債務比率は南米より低いが、問題は低い返済能力
脆弱な経済・貿易構造、政府歳入構造、財政規律問題
90 年代末の「拡大重債務貧困国イニシアチブ(HIPC)
」で一旦緩和したが一次産品
価格下落により輸出能力低下、抜本的解決にならず
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70 年代紛争多発
90 年代モザンビーク・アンゴラ・シエラレオーネ、コンゴで内戦終結
ソマリア、スーダン、象牙海岸で依然紛争
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米国によるソマリア介入、フランスのルワンダ介入の失敗⇒先進国は介入に慎重
OAU 紛争監視メカニズム機構設置・西アフリカ経済共同体のリベリア・シエラレオー
ネ PKO 派遣
⇒欧米から地域へ仲裁主体のシフト・・・しかし、リベリアへのナイジ
ェリア軍PKO派遣は事態を悪化
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90 年代初頭より民主化プロセス進展
⇒
「民主国家」
選挙によって国内対立が激化するケースや実態は地縁・血縁による強権政治も
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汚職・腐敗度指数調査(Transparency International 報告)154 カ国中、下位 10 カ国
のうちアフリカ 5 カ国
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砂漠化、森林減少、生物多様性減少、都市環境悪化
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II
問題の背景
(1) 厳しい自然条件:
痩せた土壌・旱魃
マラリアなどの風土病
(2) 不利な地政学的条件: 人口規模が小さく・市場が狭隘 内陸国の輸送コスト
(3) 植民地経済の遺産: モノカルチャー経済 商業・流通の外人支配(インド・レバノン)
(4) 植民地行政の遺産: 脆弱な国家基盤:
人為的国境線・・低い統一国家意識(言語・宗教・種族構成が多様)
人材不足・・・植民統治期の教育軽視・植民地行政への現地人不登用
治安維持型中央集権機構を継続
注)アジア植民地では中国は植民地化以前に国家統治・行政運営経験
インドでは植民地行政に現地人登用
アジアも多民族国家だがアフリカほどの多様性はない
III 開発政策
(1) 独立から 70 年代:国家主導型経済開発
(2)80 年代: 累積債務問題(第二次石油ショック後の世界不況・金利高騰など)
構造調整政策
(3)90 年代: 80 年代構造調整政策はマクロ経済安定化に成果
しかし、民間主導のダイナミックな成長は生まれない
一方、教育・医療など社会的側面にマイナスの影響
貧困問題深刻化
▽新たな開発戦略
① 制度構築
② グッド・ガバナンス
③ 社会開発・人間開発
(4)2000 年代:
●「貧困削減戦略ペーパー(PRSP)」 1999 年世銀・IMF主導
貧困削減に焦点を当て、重点課題と対策を包括する 3 年間の開発計画
全対象国 74 カ国中、アフリカ 32 カ国
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●「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」2001 年
参考:JICA アフリカ問題研究会報告
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