試験所認定取得の効果と 環境計量証明事業者の認証・認定制度への対応 株式会社ユニケミー 濱地 光男 1 会 社 概 要 名 称 株式会社ユニケミー 所在地: 本社 名古屋市 営業所 東京中野 設 立: 1972年(昭和47年)2月 資本金: 4,000万円 従業員数: 70名 設立の目的: 研究開発支援 検査・分析の受託 (主に化学分野) 主な分野別売上の割合 ・開発支援関係の検査分析受託 ・環境計量証明事業などの受託 ・共同開発製品の販売 61% 27% 12% 2 当社のISO/IEC 17025認定 認定分野 認定項目 認定技術 認定取得 認定機関 環境[水質・土壌・固形廃棄物] 飲料水[上水] 揮発性有機化合物(VOC)の サンプリングから分析 ガスクロマトグラフ質量分析 2001年6月 JCLA(日本化学試験所認定機構) JCLA 13 3 その他の主な認定・認証・認可 1.計量証明事業所 特定計量証明事業(MLAP) 濃度・音圧・振動加速度計量証明事業 2.ISO 14001 環境マネジメントシステム認証 3.水道法第20条第3項 水質検査機関 4.作業環境測定機関 5.土壌汚染対策法による環境省指定調査機関 6.飲料水水質検査機関(ビル管) 4 試験所認定取得への動機 1.技術の保存とその伝承に苦慮していた 技術者の古い体質。知識、経験、SOPは頭の中、 技能は指先と五感。 2.顧客の問い合わせに時間がかかっていた。 スピーディーな対応ができない。 1.の状況では、検査分析を した担当技術者しか 対応できない。 3.LIMS(Laboratory Information Management System)を導入 するも、受付処理が大半で、技術にはあまり利用さ れない。 5 試験所認定取得後の効果 技術部門での効果 1.品質管理活動が広範囲になった ・システム維持活動を行なうことにより、継続的な管理 システムの手順改善が行なえる。 ・ISO/IEC 17025の要件に従い行なうため、部分的な 管理でなく、担当者が行なう機器管理から経営層へ の報告まで総合的な管理が行なえる。 ・MLAPの認定取得など、他のシステムの認定を取る 際、応用が利くので構築が容易であった。 6 試験所認定取得後の効果 技術部門での効果 2.精度が安定し、向上した(精度管理意識の向上) ・信頼性のあるデータの供給を行なうのが試験所の社会的使命 であるが、認定の維持により日常の作業を利用して、継続的に 精度を安定させることが可能。 ・内部精度管理の確立により、技能試験の結果が安定し、成績 の良い状態が継続する。 ・システム維持に必要な内部精度管理は、その採用手法によっ ては、管理状態の判断や技術レベル向上の確認等の有効な 手段となる。 ・精度が、不確かさとして具体的に示される。 7 不確かさの改善(例) 8 精度の改善(例) 9 試験所認定取得後の効果 会社としての効果 ・会社及び技術に対する顧客の評価が向上。 ・精度管理意識の向上により、他の部門へ管理 手法が伝播し波及した。 ・技術が会社の財産として蓄積されるようになっ た。 ・他の活動(6S)にも素直に受け入れられ、合理 化、省力化に結びついた。 ・総合的に経済的効果が生れた。 10 6S行動指針 整 理 整 頓 必要or不要の分別をして不要な物を捨てる 清 掃 掃除してきれいにする 清 潔 整理・整頓・清掃を維持 ⇒不要品を発見したらすぐにアクションをとりましょう 並べ替えと表示 ⇒物を探すムダはすぐに改善しましょう ⇒作業終了後に必ず清掃しましょう ⇒小さな変化に気づくよう常に気を配りましょう 決められたことを守る習慣 躾 作 法 ⇒ルールや決まりの目的を常に考えましょう ⇒大きな声ではっきりと挨拶をしましょう マナーやモラル(相手への思いやり) ⇒常にお客様の視点に立って行動しましょう 11 試験所認定取得後の効果 経済的効果 ・管理システムの構築と 完成されたSOPの効果は大である 中レベル技術者は不要 パートタイマーの活用 ・6S活動につなげられたことによる効率化(工数減) 総合的に人件費を抑制することができ 利益に貢献した 12 平成20年度環境計量証明事業所実態調査概要 アンケート調査 項 目 調査事業所数 今回調査(20年度) 前回調査(15年度) 1588(-67) 1655 回 収 数 794 891 回 収 率(%) 50.0 53.8 13 各支部別環境計量証明事業所数の変化 地 域 平成20年度 平成15年度 北 海 道 71(+10) 4.5% 61 3.7% 東 北 123(+5) 7.7% 118 7.1% 関 東 627(−32) 39.5% 659 39.8% 中 部 221(−10) 13.9% 231 14.0% 関 西 222(−64) 14.0% 286 17.3% 中国・四国 175(+11) 11.0% 164 9.9% 九 149(+13) 136 8.2% 合 州 計 9.4% 1588(−67) 1655 *事業所数は北と南が増加、関東、中部、関西は減少 *資本金(事業所規模)による会員・非会員の特徴 1000万円未満 会員 5.2% 非会員 10.7% 10億以上 会員 1.1% 非会員 3.2% 14 従事者 1588事業所 推定従事者数 推定36,500人 前回調査から3,200人増加 調査年度 社員・役員 パート 人材派遣 アルバイト 総従事者数 1事業所 平 均 平成20年度 13,262 2,795 (16.4%) 999 (5.8%) 17,056 23.0 平成15年度 14,103 2,320 (13.5%) 738 (4.3%) 17,161 20.1 *パート・アルバイト・人材派遣は従事者の22.2%を占める(前回 より4.4%増加、調査のたび約4%ずつ増加傾向) *パート、アルバイト、派遣は技術、事務いずれも増加 *1事業所平均従事者数は約3名増加した *平均従事者が最も多い地域 関 東 24.8名、 15 最も少ない地域 北海道 13.9名 環境分析分野の売上高 (大気、水質、底質、悪臭、騒音、振動、産廃、作業環境、ビル管、水道) • 回答数 757事業所 • 売上総額 1079億842万円 1,588事業所の8割が営業 推定額 1810億9228万円 *平成20年度 *平成15年度 *平成10年度 *平成 6年度 1810億 1655億 1839億 1323億 2000 1800 1600 1400 1200 1000 800 約10%伸び 600 400 約10%減 200 約39%伸び 0 平成6 年度 平成10 年度 平成15 年度 平成20 年度 16 環境測定分析分野種目別 売上高比率の変化(10種目を100%として) 40 35 平成15年度 平成20年度 30 25 20 15 10 5 0 大気 水質 底質・土壌 悪臭 騒音 振動 産廃 作業環境 ビル管 水道 17 特徴的分野に関する売上高(万円) 16000 1事業所当り 14000 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 ダイ オキ 農薬 アス ベス ト シン シック ハウ R oH 建材 S 放散 量 ス PR T R 絶縁 油 PC 以外 安全 分野 性評 価 B 18 認証・認定等顧客からの問い合わせ (平成20年度調査・回答766事業所) イ)ISO 9001 ロ)土対法調査 ハ)ISO 14001 ニ)MLAP ホ)ISO/IEC 17025 へ)環境省ダイオキシン 指名参加資格 ト)GLP 80 ある 無い 無回答 70 60 50 40 30 20 10 0 9 00 1 土対 法 1 40 01 ML AP 1 70 25 DX G N資 LP 19格 認証・認定等顧客からの問い合わせの推移 イ)ISO 9001 ロ)ISO 14001 ハ)ISO/IEC 17025 ニ)環境省 ダイオキシン指名参加 ホ)土対法指定調査機関 へ)GLP (基準適合試験施設) ト)MLAP 平成10年度 平成15年度 平成20年度 60 50 40 30 20 10 0 900 1 140 01 170 25 DX N 土対 法 GL P M 20L A P 認証・認定制度に対する対応状況 (平成20年度調査・766事業所) 70 取得済み(%) 検討中(%) 関心なし(%) 無回答(%) 60 50 40 30 20 10 0 9001 14001 17025 MLAP GLP 21 主な認証・認定取得状況の推移(%) 60 平成10年度 平成15年度 平成20年度 50 40 30 20 10 0 ISO9001 ISO14001 ISO/IEC17025 GLP 22 ISO/IEC 17025 地域別対応の状況(%) 取得済み 検討中 関心なし 無回答 60 50 40 30 20 10 0 北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州 取得率では中部が高く九州、中国、東北が低い傾向にある 全国 23 回答のあった79事業所ISO/IEC 17025 認定分野 (化学試験のみ、複数分野認定事業所あり) 塗料及び顔料 2 2.1% セラミックス/セメント 1 1.1% 微生物 1 1.1% 食品添加物 1 1.1% その他(不明) 2 2.1% 化学工業製品 6 6.4% 環境 39 41.5% ゴム・プラスチックス 17 18.1% 飲料水(上水) 12 12.8% 食品 6 6.4% 鉄/非鉄 7 7.4% 24 39事業所が「環境分野」で、RoHS指令対応「ゴム・プラスチック」認定18.1% 認定取得による効果 (88試験所の複数回答) 選 択 回 答 認定の維持に時間が浪費される ミスを事前に発見できるようになった 経営者が安心して報告書が提出できる 認定取得して試験の依頼が増加した 経営が苦しくなった 認定のための投資に元が取れた 試験単価を上げることができた 少々のミスを寛大に見てくれる 無回答 88試所(%) 回答数 75.0 39.8 29.5 14.8 2.3 1.1 1.1 0.0 3.4 66 35 26 13 2 1 1 0 25 3 認定取得検討中の理由 (複数回答) 選 択 回 答 認定のための投資に元がとれるか不安 法的なお墨付になるなら申請したい 業務の維持・発展に必須とは思わない 試験所規模が小さいので取れるか不安 真に顧客の信頼が増すと思えない 経営者と従業員の意識改革が必要 具体的なプロセスがわからない 取得にコンサルタントが必要か考慮中 無回答 回答数 122 112 69 55 52 45 40 33 28 26 環境計量証明事業者 現状において特に問題とする課題 1.測定分析料金の低価格化 2.人材の確保(経験者) 3.受注量の拡大 4.受注量の減少 5.装置や技術者の精度管理 6.入札制度の問題 7.処理能力の不足 8.パート・アルバイトの教育 9.資金調達 10.コンプライアンスの実施 11.各種国際規格の取得 45 40 35 平成10年度 平成15年度 平成20年度 30 25 20 15 10 5 0 27 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 環境計量証明事業者が考える 日本において認定制度が普及しない理由 (平成10・15年度調査) 1.81%(平成10年調査時・15%)が認定の取得維持に経 費と労力が掛かり過ぎる。 2.76%が認定取得に見合う発注価格の増加がない。 3.52%(平成10年調査時・21%)がデーターの信頼性への 関心が徹底せず、顧客が認定取得を要求しない。 4.51%(平成10年調査時・17%)が認定分野が細分化され、 広範囲の認定取得が困難。 28
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