世界・日本の文字と社会 情 05-361 橋本枝里 指導教員 加藤雅人 序論

情 05-361
橋本枝里
2008 年度
卒業研究
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世界・日本の文字と社会
情 05-361 橋本枝里
指導教員 加藤雅人
序論
我々が生活を送る際、文字は必要不可欠なものである。この、普段何気なく使用している文
字は、どのように生まれ、どのように変化しているのであろうか。また、文字が誕生し、使用
される中で、どのような文化が生まれたのであろうか。この論文ではまず、世界の文字の歴史
と新たに生まれた文字に関して考察した。次に、文字が生み出した文化に関して、カリグラフ
ィ、書道、ケータイ小説の 3 つの観点から見つめ、これに関して述べた。
本論
・第 1 章
世界の文字とその歴史
1.1「世界の文字体系」では、世界の文字体系を大きく 5 つに分類し、それぞれに関して解説
した。具体的には、楔形文字体系、ヒエログリフ文字体系(図 2)、アルファベット文字体系、
漢字体系、そしてその他の文字体系である。
1.2「世界の主要文字と日本文字」では、ラテン文字と日本文字に関して解説した。1.1.2「ラ
テン文字」では、ラテン文字はギリシア系移民によってイタリアにもたらされたギリシア文字
が原型となった文字であるということを述べた。そして、1.2.2「日本文字」では、日本でが中
国文字の書法が取り入れられるまでと、中国語と日本語の相違のために中国文字にいくつかの
変化を取り入れたということに関して論じた。
1.3「デジタルで表現される新しい文字」では、新しい文字表現として、1.3.1 ではギャル文
字、1.3.2 では leetspeak に関して解説した。この2つには、他の記号や文字を、ひらがなやラ
テンアルファベットに見立てて使用する、という点での共通点があった。
・第 2 章
カリグラフィと書道の文字の書体
2.1「カリグラフィと書字」では、カリグラフィを、書字(writting)、装飾(illumination)、文
字造詣(Lettering)の 3 つをまとめて指すものと定義した。また、書字を、ペンや筆などを用い
て、手書きでアルファベット文字を書くこと、と定義した。
2.2「書字で使用される書体の種類」では、書字で使用される書体をローマン、ポスト・ロー
マン、インシュラー、ゴシック、ルネッサンス、バロック、モダンの 7 種類に分類し、考察し
た。
2.3「書道の書体の種類」では、書道の基本となる 5 つの書体である、篆書、隷書、楷書、行
書、草書(図 2)に関して考察をした。
・第 3 章
デジタル文字が生み出した文化
3.1「携帯電話によるモバイルコンテンツ利用の推移」では、携帯電話でのモバイルインター
ネット利用者のうち、パケット定額制加入者・非加入者の割合をまとめた。さらに、モバイル
インターネット市場が、モバイルインターネットを利用することの多いパケット定額制加入者
が増加することで、今後更に成長するであろうことに関してを述べた。
3.2「ケータイ小説の現状」では、3.2.1「ケータイ小説の定義」でまず、本論文での「ケー
タイ小説」の定義を「主に携帯電話を使用して閲覧されることを想定して、モバイルインター
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ネット上に公開された小説」と定めた。次に、3.2.2「ケータイ小説の特徴」では、多くのケー
タイ小説に見られる特徴をまとめた。これは、
「実話テイスト」であること、
「少女の恋愛物語」
であること、
「定番悲劇」イベントが組み込まれていること、
「ハイテンポ」であること、
「すか
すか。文章が短く、改行が多用される」こと、「社会的に正しくない」こと、の 6 つにまとめ
られる。また、3.2.3「ケータイ小説が流行した理由」では、第二次ケータイ小説ブームの火付
けに、パケット定額制が大きく関与していることを述べた。
3.3「ケータイ小説の未来」では、今後、ケータイ小説文化がどのように変化するかを、ケー
タイ小説のメーカ(=作者、魔法の i らんど等ケータイ小説執筆サイト、もしくは書籍化に携
わる出版社)が、読者をいかに飽きさせずにいられるかが重要なポイントになると論じた。
図 1 ヒエログリフ体系ののエジプト文字
図 2 書道で使用される 5 つの書体
文献表
・ジョルジュ・ジャン『文字の歴史』高橋啓訳、創元社、1990 年
・アルベルティーン・ガウアー『文字の歴史――起源から現代まで』矢島文夫・大城光正訳、原
書房、1987 年
・スティーヴン・ロジャー・フィッシャー『文字の歴史 A History of Writing』鈴木晶訳、研
究社、2005 年エドワード・ジョンストン『書字法・装飾法・文字造形』遠山由美訳、朗文堂、
2005 年
David Harris『カリグラフィー
欧文書体の書き方 100』福本友美子訳、日本ヴォーグ社、2004
・本田透『なぜケータイ小説は売れるのか』ソフトバンククリエイティブ、2008 年
・石原千秋『ケータイ小説は文学か』精興社、2008 年
・岸原孝昌「3G とパケット定額制の普及でみる 2008 年からの携帯電話市場」『ケータイ白書
2008』モバイル・コンテンツ・フォーラム編、インプレス R&D、2007 年年、pp.14-15
・柴谷大輔「実態調査で見る個人のケータイ利用動向」
『ケータイ白書 2008』モバイル・コンテ
ンツ・フォーラム編、インプレス R&D、2007 年、pp.16-140