交通調査_no.1 全国をカバーしている道路ネットワークは、わが国の暮らしと経済を支えており、道路の整備によって、時間の短縮やの振 興、安全な交通の確保など様々な効果が現れています。道路の整備計画は、地域の状況や、地域交通の現況を把握・分析し、 将来に渡る交通量を予測した上で策定します。 現状の交通量は定期的に実施される全国的調査(「道路交通センサス」)などで把握します。予測交通量は現状の分析を踏 まえて、将来の地域の状況などを想定した上で算定するものです。道路交通センサス(全国道路・街路交通情勢調査)は、全国 の道路と道路交通の実態を把握し、道路の計画、建設、管理などについて概ね3∼5年間隔で実施されているものです。 一定の調査対象地域内において「人の動き」(パーソントリップ)を調べるPT調査は、交通に関する実態調査としては最も 基本的な調査の一つとなっています。PT調査を行うことによって、交通行動の起点(出発地:Origin)、終点(到着地:Des tination)、目的、利用手段、行動時間帯など1日の詳細な交通データ(トリップデータ)を得ることができます。 「トリップ(Trip)」は、ある目的(例えば、出勤や買物など)を持って起点から終点へ移動する際の、一方向の移動を表 す概念であり、同時にその移動を定量的に表現する際の単位となります。 このトリップは、リンクトトリップとアンリンクトトリップの2つに分類できます。下図のような「人の動き」について、 自宅から勤務先までの移動を「出勤」という一つの「目的」を達成するためのトリップと捉える場合、この一連の移動をリン クトトリップ(目的トリップ)と言います。一方、徒歩・バス ・鉄道・徒歩による各トリップは、一つの「交通手段」による 移動を単位としており、これをアンリンクトトリップ(手段ト リップ)と言います。 右図の場合は、1リンクトトリップ(1つの目的)が4アンリン クトトリップ(4つの手段)で構成されていることになります。 従来から行われている自動車交通などの一つの交通手段にタ ーゲットを絞った調査に比べ、パーソントリップ調査ではリン クトトリップについても把握できる点に特徴があります。 PT調査を行うことによって、地域全体の交通量を数量的に扱うだけでなく、乗り換えを含めた交通手段の分担等の検討が可 能になります。これにより、都市圏における複雑で多様な交通実態を把握・予測し、円滑な都市機能を確保するための検討を 行うことができます。そして、その後の総合都市交通体系調査を踏まえて、総合的な将来交通計画・マスタープランを策定す ることや都市交通における個別課題への対応、特定施設の計画に関する検討などに役立てることができます。 将来の都市交通計画を策定するために、現況交通量を活用して20年後の将来交通量を推測しています。交通の需要予測手法 は大きく集計型と非集計型の2つに分類されます。集計型でもっとも一般的な予測手法は、マクロに記述する四段階推定法で す。非集計型は、個人の交通行動の多様性やその変化をミクロに記述することを意図した手法です。 四段階推定法は、生成交通量の予測、発生・集中交通量の予測、分布交通量の予測、分担交通量(手段別交通量)の予測、 配分交通量の予測の5段階に段階をわけて、交通需要を推定していく手法です。一般的には生成交通量の予測の段階をいれず に4段階と数えるのが一般的です。5段階となっている理由としては分担交通量の段階がアメリカで発明された直後ではなかっ たためです。 ここでは、現在のOD表から現在の分布交通量を、下記を参考に求めなさい。 1,2,・・・,i,j・・・,n:ゾーン番号 現在(基準年)の分布交通量 ゾーン 1 2 ・・・ I j ・・・ n 計 n:ゾーン数 1 t1 Xij:ゾーンiからjへの交通量 2 t2 ・ ・ Xji:ゾーンjからiへの交通量 I tij =Xij+Xji、tji=Xji+Xij :n×n個の分布交通量 ti Oi:ゾーンiの発生交通量 j tj ・ ・ Di:ゾーンjの集中交通量 n tn T:総トリップ数、総交通量 計 t1 t2 ・・・ ti tj ・・・ tn 2T Oi=ΣXij、Dj=ΣXij 現在(基準年)のOD表 O D 1 2 ・・・ I j ・・・ n 計 T=ΣOi=ΣDj=ΣΣXij 1 O1 tij=Xij+Xji、tji=Xji+Xij 2 O2 ・ I j ・ n 計 O D 1 2 3 4 計 Xij :n×n個の交通量 D1 D2 ・・・ Di Dj ・・・ 計算例:現在(基準年)のOD表 1 2 3 4 7250 2497 1500 4250 2503 4650 900 2250 1500 900 4500 3097 4250 2250 3103 8600 15503 10297 10003 18197 Dn 計 15497 10303 9997 18203 54000 ・ Oi Oj ・ On T O D 1 2 3 4 計 計算例:現在(基準年)の分布交通量 1 2 3 4 14500 5000 3000 8500 5000 9300 1800 4500 3000 1800 9000 6200 8500 4500 6200 17200 31000 20600 20000 36400 計 31000 20600 20000 36400 108000
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