授与機関名 順天堂大学 学位記番号 甲第 1540 号 Relationship between cognitive impairment and white-matter alteration in Parkinson’s disease with dementia: tract-based spatial statistics and tract-specific analysis (認知症を伴うパーキンソン病患者及び認知症のないパーキンソン病患者における大脳白質 変性と認知機能障害との関連) 鎌形 康司(かまがた こうじ) 博士(医学) 論文審査結果の要旨 本論文は、未だ明らかとなっていないパーキンソン病における認知機能障害発症の原因解明 を目的に、脳拡散テンソル像を用いて、大脳白質変性と認知機能障害との関連を検討したも のである。20 人の健常者と 20 人の認知症のないパーキンソン病患者、20 人の認知症を伴う パーキンソン病患者を対象に 3 テスラ MRI を用いて拡散テンソル像を撮像し、拡散テンソ ル解析ソフトウェアである Tract Based Spatial Statictics を用いて画像統計解析を行い、さ らに得られた結果から脳梁膝部にターゲットを絞って Tract-specific analysis によるさらな る検討を行っている。この結果、認知症のないパーキンソン病群に比較して認知症を伴うパ ーキンソン病群で前頭前野白質や脳梁膝部で有意な FA 低下を検出され、認知症のないパー キ ン ソ ン 病 群 ・ 認 知 症 を 伴 う パ ー キ ン ソ ン 病 群 の 前 頭 前 野 白 質 と 脳 梁 膝 部 の FA が Mini-Mental State Examination (MMSE)と有意な相関を示すことを見出した。同様に拡散 テンソル像を用いた大脳白質変性と認知機能障害との関連を検討した報告が過去にもあるが、 3 テスラ MRI を用いた精度の高い拡散テンソル像を用いた論文、Tract-specific analysis に より解析のアプローチを変えて、結果の頑健性を確認した論文はない。本論文は、前頭前野 白質と脳梁膝部の白質変性がパーキンソン病における認知症発症機序の一端である可能性を 示した臨床的に意義のある論文である。 よって、本論文は博士(医学)の学位を授与するに値するものと判定した。
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