「米国IT業界動向2006年1月」(PDF/44KB)

米国 IT 業界動向 2006 年 1 月
JETRO, New York
1.
企業動向
(1)アップルコンピュータ
アップルの 05 年 10−12 月期決算は、携帯楽曲プレーヤ「i ポッド」の好調な売れ行きが奏
功し、大幅な増収増益となった。i ポッドの販売台数は前年同期比約3倍の 1400 万台(01
年秋からの累計で 4200 万台)に達し、四半期ベースで過去最高を記録した。一方、マック
の販売も好調で、同期比 20%増の 125 万台を確保した。【1 月 18 日】
アップルは、音楽やビデオなどが楽しめる携帯電話サービス向けの商標「モバイル・ミ
ー」を米特許商標局(USPTO)に申請した。
同社はまた、「携帯型マルチメディア端末を利用したデータ転送手法」についても
USPTO に特許を申請している。これは、i ポッドを車載用ラジオなど FM ラジオ受信機に無
線接続して楽曲を再生できるようにする仕組み。具体的には、「ラジオ・データ・システ
ム(RDS)」と呼ばれる FM ラジオ技術を利用し、アーチスト名や楽曲名といったデータも
i ポッドからラジオへ転送し表示できる。【1 月 18 日、11 日】
アップルは車載システムの開発に積極的に取り組んでいる。例えば、i ポッドの関連製品
として、FM ラジオを聴くことができるリモコン「i ポッド・ラジオ・リモート」を 49 ドル
で発売した。リモコンは i ポッド本体にケーブルでつなぐ。後は、リモコンから伸びるイヤ
ホンで聴く仕組みだ。
「i ポッド・ブーム」は小売企業にも影響を与えている。例えば、米衣料大手リーバイ・
ストラウス(リーバイス)は、i ポッドを収納するためのサイドポケットを付けたジーンズ
「レッドワイヤ DLX」を今秋、世界で発売すると発表している。【1 月 11 日】
1月と言えば、毎年恒例となっているアップルのマックワールド・エキスポが開催され、
新たな発表で観客がにぎわう。今年は、期待されていたインテル製デュアルコア・プロセ
ッサを使用した「マックブック・プロ」および最新版「i マック」を発表した。処理速度は
従来の2∼3倍高速になるという。マックブックは、アップルの画像および動画表示技術
「フロント・ロー」を採用することで、より鮮明な表示を実現。そのほか、リモコンによ
る楽曲再生操作、内蔵ウェブカメラなどの新機能が加わった。i マックはすでに発売を開始。
マックブック・プロは2月から発売を開始する。価格は、17 インチ機種が 1299 ドル。20 イ
ンチが 1699 ドル。15.4 インチのマックブックは 1.67 ギガヘルツ版が 1999 ドルで、1.83 ギ
ガヘルツ版が 2499 ドルとなっている。【1 月 10 日】
(2)IBM
IBM の 2005 年 10−12 月期決算は、減収となったものの粗利益率の改善などで増益となっ
た。ただし、中国聯想(レノボ)グループに売却したパソコン事業を除外すると1%の減
収となる。通年ベースでは、売上高が前年比 5.4%減の 911 億ドルで、純利益が同 6.1%増
の 79 億 3000 万ドルだった。
部門別にみると、コンサルティング事業を含むサービス部門は 4.9%の減収だったが、粗
利益率を 24.3%から 27.4%に改善したのが奏功した。また、ソフトウェア部門が 0.3%の増
収、ハードウェア部門はパソコン事業の売却を受け、27.4%の大幅減収となった。【1 月 18
日】
IBM は、東芝、ソニーと半導体技術の開発で協力していく。具体的には、線幅 32 ナノメ
ートルの超微細加工による半導体製造に関する基礎技術の研究開発が主体となる。3社は、
ソニーの次世代家庭用ゲーム機「プレイステーション3」に搭載されるプロセッサ「セ
ル」を共同開発している。【1 月 13 日】
一方、同社は、2005 年に 2972 件の特許を取得し、米国内特許取得企業番付でトップとな
った。これで 13 年連続首位の座を守った。米特許データ会社、IFI クレームズ・パテント・
サービシズが報告した。以下、キヤノン(1837 件)、ヒューレット・パッカード(1801
件)松下電器産業(1720 件)、サムスン(1645 件)となっている。【1 月 10 日】
(3)インテル
インテルの 2005 年 10−12 月期決算は、増収増益となった。しかし、デスクトップ向け半
導体の出荷が予想より落ち込んだのを受けて、当初の予測より収益が落ち込んだ。粗利益
率は 61.8%。また、競合相手アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)がインテルの
シェアを浸食しつつあることも影響を与えていると見られている。【1月 18 日】
1月にラスベガスで開催された国際家電見本市(CES)で、同社は、デジタル家電を簡単
に操作できるパソコン向け新技術「ヴィーブ(Viiv)」を披露した。ヴィーブは、インテル
製のデュアルコア・プロセッサと周辺技術をパッケージ化したもので、「ウィンドウズ
XP・メディア・センター・エディション 2005」を採用する。同技術を搭載したパソコンで
は、デジタル楽曲や映画、写真をリモコンで遠隔再生できる。また、各種コンテンツをパ
ソコン画面やテレビ、携帯端末で簡単に視聴でき、高品位(HD)映像に対応する【1 月 8
日】
インテルがこれまで中核事業としてきたパソコン関連事業から、家電分野へ移行しつつあ
るのはヴィーブの開発でも明らかだ。同社はさらに、事業転換を明確にするために、ブラ
ンドの再構築も進めている。その一環として、37 年間使用してきたロゴマークの刷新も計
画中だ。新たなロゴは社名を楕円で囲ったもので、ロゴフレーズはこれまでの「インテ
ル・インサイド」から「リープ・アヘッド(躍進する)」に変更する。【1 月 3 日】
(4)マイクロソフト
マイクロソフトは、IBM の人気グループウェア「ロータス・ノーツ」からマイクロソフ
トの競合製品への乗り換えを促す一環として、データ移行ツールを発表した。両社は 10 年
近くにわたり、28 億ドル規模といわれている企業メッセージング・ツール市場で競合して
いるが、最近ではマイクロソフトが市場シェアを拡大しつつある。【1 月 18 日】
一方、同社は、自社のマルチメディア再生ソフト「ウィンドウズ・メディア・プレーヤ
(WMP)」のマック版の開発を中止する意向を明らかにした。次期 OS「ビスタ
(Vista)」の開発に注力するというのが公式な理由だ。ただし、同社はテレストリーム
(Telestream)が開発するプラグインとクイックタイムを併用することで、WM ファイルを
再生できるようにする。
デジタル楽曲事業では、アップルに大きく水を開けられた同社だが、音楽専門チャンネル
を展開する MTV ネットワークとの共同事業で、ネット経由の楽曲配信事業「アージ
(URGE)」を近く開始し、対抗していく。アージは、次期 WMP に組み込まれ、大手およ
び独立系レーベル会社から 200 万曲以上の楽曲を取り込むことができる。【1 月 17 日】
マイクロソフトは、昨年末発売した家庭用ゲーム機「X ボックス 360」に次世代 DVD 規
格「HD DVD」を採用する。対応する外付けドライブは、関連製品として年内にも提供する
予定だ。これにより、高品位(HD)映画も視聴できる。マイクロソフトは、今年6月末ま
でに、世界市場で 450 万−550 万台の X ボックス 360 を販売するとの見通しを明らかにして
いる。【1 月 6 日】
(5)サン・マイクロシステムズ
サンは、ハイエンドの Unix サーバにオラクルのデータベース・ソフトをバンドルする。
また、ソフトの利用に必要なライセンス料も、顧客に代わって負担する方針だ。これによ
り、競合する IBM やヒューレット・パッカード(HP)へ対抗する。対象となるのは、プロ
セッサを4基搭載した「サン・ファイアーV490」、または、「ウルトラスパーク IV」およ
び同「IV+」プロセッサを搭載したハイエンド・サーバ。これにオラクルの「エンタープラ
イズ・エディション」をバンドルする。年間のサポートおよびメンテナンス料は顧客の負
担となる。サンの売り上げの 50%以上は、ローエンド・サーバ。ハイエンドでは、IBM が
優位だが、オラクルとのバンドル販売で同市場へ食い込みたい考えだ。【1 月 11 日】
主な企業の決算報告:
企業名
2.
四半期売上高
前年同期比
四半期純益
前年同期比
アップル
57.5億ドル
64.00%
5.65億ドル
91.53%
IBM
244億ドル
-11.70%
31.9億ドル
12.70%
インテル
102億ドル
6.00%
25億ドル
16.00%
パーソナル・コンピュータ(PC)と OS
(1)米国特許商標局(USPTO)は、ソフト特許の品質を向上させるのを目的に、オープン
ソース・ソフトの開発者と協力し、3つのプロジェクトを進めていく。3つのプロジェク
トのうち2つは、最近開発された技術を用いたもので、特許局のウェブサイトに検索シス
テムを導入し、申請を考えている人が特定分野での申請があった場合は警告メールを受け
取れるようにする仕組み。
もう1つのプロジェクトは、特許品質指標の作成で、これは、申請者が申請書を作成する
際のガイドラインとして使われる。
米国では、以前に特許の申請が行われた発明と十分な比較調査を行わずに別の特許を認可
することもある。このため、特許の重複を招く結果になり、知的所有権(IP)をめぐる訴訟
が大量に発生するようになったと見られている。これに伴い、USPTO は、特許認可の基準
が甘くなっているとの批判を受けていた。【1 月 10 日】
(2)調査会社大手 IDC によると、世界におけるパソコンの出荷台数が今年第4四半期、前
年同期比約 17.1%増の 6110 万台に達した。IDC は当初伸び率を約 15%と予想していたがそ
れを上回る結果となった。特に西欧と中国市場が好調だったが、インド市場は低迷した。
一方、米国市場は前年同期比 8.7%増の 1750 万台で、世界市場における占有率は今期も縮
小し 28.6%になった。
昨年 IBM のパソコン事業を買収した中国のレノボ(Lenovo)は出荷台数を 12.6%伸ばし、
特に日本を除くアジア太平洋地域では 30%増を記録した。【1 月 19 日】
表1:2005 年第 4 四半期における世界パソコン販売
企業名
デル
HP
レボノ
エイサー
富士通・富士通シーメンス
その他
合計
レボノ(合併)
05Q4出荷台数
(単位:1000台)
10,539
9,564
4,414
3,302
2,535
30,745
61,099
4,414
05Q4
市場シェア
17.2%
15.7%
7.2%
5.4%
4.1%
50.3%
100.00%
7.2%
04Q4年出荷台数
(単位:1000台)
8,774
8,257
1,257
2,165
2,058
29,675
52,186
3,919
04Q4年
市場シェア
16.8%
15.8%
2.4%
4.1%
3.9%
56.9%
100.00%
7.5%
前年同期成長率
20.1%
15.8%
251.3%
52.5%
23.2%
3.6%
17.1%
12.6%
04Q4年
市場シェア
32.9%
20.7%
6.4%
0.0%
3.6%
36.4%
100.00%
4.3%
前年同期成長率
8.6%
6.7%
15.5%
N/A
9.9%
-3.5%
8.7%
3.9%
表2:2005 年第 4 四半期における米国パソコン販売
企業名
デル
HP
ゲートウェイ
レノボ
東芝
その他
合計
レボノ(合併)
05Q4出荷台数
(単位:1000台)
5,741
3,545
1,184
711
635
5,639
17,455
711
05Q4
市場シェア
32.9%
20.3%
6.8%
4.1%
3.6%
32.3%
100.00%
4.1%
04Q4年出荷台数
(単位:1000台)
5,287
3,323
1,025
0
577
5,845
16,057
684
(出典:IDC)
注:四捨五入などによりに誤差を含む
3.
インターネットとメディア・ビジネス
(1)検索エンジン大手グーグルは、ラジオ広告サービスを手がける d マルク・ブロードキャ
スティング(dMarc Broadcasting)を 12 億ドルで買収する。d マルクは、広告主がラジオ放
送の広告配信スケジュールを設定して、オンエアの記録を確認できるプラットフォームを
開発している。一方、ラジオ放送局側にしてみれば、d マルクのソフトで広告配信を自動化
できるため、コスト削減につながる。
今後、グーグルは、d マルクの技術と、サードパーティのウェブサイトがグーグルと広告
売り上げを共有できるようにする「アドワーズ」を統合する。【1 月 17 日】
グーグルはまた、娯楽・メディア大手タイムワーナー傘下のアメリカ・オンライン
(AOL)に 10 億ドルを出資し、AOL 株5%を取得する。また、AOL はグーグルの検索サ
イト上に掲載するネット広告を販売するほか、ネット上でのビデオ放映などで協力する。
加えて、インスタント・メッセージング(IM)の相互活用も検討する。【12 月 22 日】
(2)ボーイング傘下のコネクションは、航空機内のネット接続料金を変更する。コネクショ
ンは、航空機内向けにネットおよびエンタテインメント・サービスを提供している。
コネクションは、現在6時間以上の接続に対して課金している 29 ドル 95 セントを 2006
年1月 31 日より 26 ドル 95 セントで 24 時間無制限接続にする。また現在は一律 14 ドル 95
セントとなっている3時間以下のアクセスに関しては、1時間9ドル 95 セント、2時間 14
ドル 95 セント、3時間 17 ドル 95 セントにする。
また、1月 23 日からは、自分のノートブックで、BBC ワールド、ユーロニュース、ユー
ロスポーツニュース、CNBC、MSNBC などの番組をライブで見ることができるようになる。
コネクションは現在、ルフトハンザ、スカンジアビア航空、日本航空、全日空、シンガポ
ール航空など9つの航空会社にブロードバンド接続を提供している。【1 月 11 日】
(3)ISP 大手アメリカ・オンライン(AOL)は、動画検索エンジンを提供するトゥルベオ
(Truveo)を買収する。買収規模は、2004 年に Advewrtising.com を4億 3500 万ドルで買収
して以来の大型買収になるという。
トゥルベオが開発した「ビジュアル・クローリング」は、最新のニュース、スポーツ、そ
の他の最新動画を CNN、ABC、ヤフーやマイクロソフトなどのサイトから簡単に検索でき
る。また、Ourmedia.org のように個人ユーザーが提供する動画を集めたサイトも検索対象と
している。
通常、検索エンジンは、HTML コードから特定のウェブページを探し出してくる。しかし、
動画サイトの場合は、従来の手法では検索するのが難しい。これに対して、トゥルベオは、
すべてのプログラム・スクリプト、プラグイン、その他のツールまで分析することによっ
て、動画コンテンツを漏れなく収集できるという。【1 月 10 日】
(4)クリア・チャンネル・コミュニケーションズ(Clear Channel Communications)は、同社
ラジオ局のウェブサイトで広告をバンドルした音楽ビデオのストリーミング・サービスを
開始する。同社は全米に 1200 局のラジオ放送局を所有する。
新サービスでは、15 秒の広告の後で音楽ビデオを無料でストリーミング配信する。各局
は放送地域や楽曲ジャンルなどの放送内容に応じサイトの機能をカスタム化する。また、
ビベンディ・ユニバーサルのユニバーサル・ミュージック・グループ、ワーナー・ミュー
ジック・グループなどのビデオを扱い、楽曲販売サイトへのリンクも提供する。
クリア・チャンネルはネット配信サービスを強化している。昨年は新曲の視聴版を提供する
「スニーク・ピーク(Sneak Peek)」、コンサートビデオ・シリーズ「ストリップド
(Stripped)」などのサービスを開始した。【1 月 9 日】
(5)通信大手 AT&T(旧 SBC コミュニケーションズ)は、本社のあるテキサス州サンアン
トニオでネットを使うテレビ配信(IPTV)サービスを開始した。向こう6ヵ月で提供地域
を他の都市へも拡大し、局数も 1000 局以上に増やす。また、数百タイトルの映画をビデ
オ・オン・デマンド(VOD)で提供する。サービスでは、「ピクチャ・イン・ピクチャ」
形式で他局の番組を閲覧できる。マイクロソフトの IPTV プラットフォームを採用し、提供
局は大手ネットワーク局や ESPN、HBO、CNN といった人気 CATV 局など合計 200 局に上
る。
将来は携帯電話を使ったデジタルビデオ録画(DVR)設定や、スポーツ観戦時のカメラ
アングル選択機能を追加する。また、自宅のデジタルビデオカメラに録画した番組を携帯
電話で視聴できるようにする。【1 月 6 日】
(6)東芝が中心となっている次世代 DVD 規格「HD DVD」陣営は、ハリウッドの映画大手
が約 50 の対応映画タイトルを3月に発売すると発表した。北米で同規格対応のプレーヤが
発売されるのに合わせた格好だ。
映画タイトルを発売するのは、ワーナー・ブラザースのほか、パラマウント・ピクチャー
ズ、ユニバーサル・ピクチャーズなど4社。3月以降も供給タイトルを拡充して、今年の
年末商戦までに合計で 150 以上の作品を提供する予定。
一方、ソニーが中心となっている「ブルーレイ・ディスク(BD)」陣営も同規格対応の
映画ソフト 60 作品を 20 世紀フォックスなど4社が発売すると表明している。
C ES では、両陣営の製品発表が相次ぎ、互いに火花を散らしていた。しかし、プレーヤの
価格では、HD DVD が格安となっており、優位という声も上がっている。例えば、東芝は、
北米で発売するプレーヤの価格を 499 ドルに設定している。これに対して、BD 陣営は、パ
イオニアが発表したプレーヤが 1800 ドル。先陣を切る韓国サムスン電子の製品も約 1000 ド
ルと非常に高価だ。BD 陣営は価格競争で苦戦を強いられる可能性がある。
一方、次世代 DVD 規格をめぐる争いは、家庭用ゲーム機市場にも飛び火している。マイ
クロソフトが HD DVD を採用する一方、ソニーが次世代ゲーム機「プレイステーション
3」に BD を採用する方針だ。【1 月 6 日、5 日】
(7)電子メールサービス大手リサーチ・イン・モーション(RIM)は、検索エンジン大手
グーグルのサービスを電子メール受信機「ブラックベリー」に組み込んでいく。
ブラックベリーのユーザーは、グーグルのインスタント・メッセージング(IM)「グー
グル・トーク」ほか、地図と衛星画像による地理案内「グーグル・ローカル」を利用でき
る。グーグル・ローカルはすでに提供開始済みだが、グーグル・トークは今春から提供を
開始する。サービスはいずれも無料でダウンロードできる。グーグル・トークを利用する
には、G メールのアカウントが必要になる。【1 月 13 日】
(8)オンライン競売大手 e ベイ傘下の IP 電話サービス大手スカイプは、ネットワーク製品
メーカー、ネットギアと共同で、Wi-Fi 対応電話機を発表した。
スカイプのユーザーは、電話機にパスワードとユーザーネームを入力するだけで、あらゆ
るブロードバンド接続を利用して世界のどこへでも電話がかけられる。電話機はまた、パ
スワードが分かれば、暗号化された Wi-Fi ネットワークでも利用できる。製品は、今年第1
四半期に発売を開始し、一般消費者向けのみ提供していく。【1 月 6 日】
(9)携帯電子メール端末「ブラックベリー」の特許をめぐりサービス会社のリサーチ・イ
ン・モーション(RIM)と特許管理会社 NTP が争っている件で、米国特許商標局
(USPTO)が NTP の主張する2件の特許を無効とする「非確定措置」を通知した。
USPTO は、裁判とは別に NTP が管理する特許の有効性を再審理しているが、これまで NTP
が主張する特許8件のうち7件を却下した。
これに対して NTP は、特許再審理の行方を見守る考えを示している。特許の再審理は、
裁判を通じて決定を覆すことが可能なため、数年かかる可能性があるというのが理由。【1
月 3 日】
(10)半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)は、IP 電話会社が顧客の機器を簡単に
遠隔地から操作できるゲートウェイ常駐ソフト「ピクア(Piqua)」を開発した。
ピクアは、音質を環境に合わせて調節することで、常に最良の音質を提供できる。例えば、
電話にエコーがかかっている場合、ソフトがエコーを検出して消去する。また、ソフトを
利用することで、コールセンターの技術者がゲートウェイの問題を分析して迅速に対処で
きる。【1 月 17 日】
(11)新興企業スリング・メディア(Sling Media)は、世界中どこからでも携帯電話を使っ
て自宅のテレビに接続し、番組を視聴できる技術を開発した。
スリングが開発した携帯端末用ソフトは、携帯電話網の帯域の利用を最適化する。テレ
ビの画像が一般的に毎秒 30 フレームであるのに対し、既存の携帯電話の動画は毎秒 15∼20
フレーム。これに対して、同社のソフトを利用すれば最大で毎秒 25 フレームを実現できる。
スリングは昨年7月、自宅のテレビや周辺機器とブロードバンド接続を橋渡しする機器
「スリングボックス(Slingbox)」(250 ドル)を発売したばかり。世界中どこでも外出先
のコンピュータからテレビ番組を視聴できる。
(12)無線放送アンテナ事業を営むクラウン・キャッスル・インターナショナル(Crown
Castle International)は、年内に米国内の複数の主要都市で携帯機器向けにテレビ放送を開始
する計画だ。同社は、独自のテレビ放送ネットワークの構築に着手している。担当するの
は、子会社のモデオ(Modeo)で、2007 年には、動画 10 チャンネル前後、音声が少なくと
も 24 チャンネルのサービスを 30 都市で提供する。今のところ、携帯電話会社と契約を結ん
でいないが、モトローラとノキアを含む携帯電話メーカー大手4社が、モデオをサポート
する予定だという。【1 月 6 日】
(13)リバティ・メディア傘下のケーブルテレビ(CATV)会社スターズ・エンタテインメ
ント・グループ(Starz Entertainment Group)は、ネット経由で映画をダウンロードして、コ
ンピュータや携帯プレーヤ、テレビで視聴できるサービス「ボンゴ(Vongo)」を開始する。
サービスは月額9ドル 95 セントで、無制限にダウンロードできる。約 800 本の映画を取り
揃え、その内容は常に変更していく計画だ。300 本は1∼3年以内に公開された新作、500
本は古い映画。テスト版はすでに Vongo.com で提供されている。
スターズは、これまでもリアルネットワークスの技術を使って有料の映画ダウンロード・
サービス「スターズ・チケット」を提供してきたが、携帯機器へ対応していなかった。ボ
ンゴでは、マイクロソフトの技術「ウィンドウズ・メディア・プレーヤ」を採用している。
【1 月 5 日】
4.
電子商取引
(1)オンライン顧客管理(CRM)サービスを提供する Salesforce.com は、アドビシステムズ、
スカイプ・テクノロジーズなどの提携パートナーと提携し、プログラムを提供するマーケ
ットプレイス「アプエクスチェンジ(AppExchange)」を拡張している。
アドビが提供するのは、文書を PDF 形式に変換するプログラムで、同社では現在このソ
フトを、販売の場合は 299 ドル、オンライン変換サービスの場合は年間 99 ドルで提供して
いる。アドビによると、アプエクスチェンジのユーザー向け利用料は年間 80 ドル前後にな
る見通しだ。
一方、スカイプは、アプエクスチェンジの使用中に IP 電話を簡単にかけられるようにす
るプログラムを提供していく考え。
アプエクスチェンジでは、現在 150 種以上のアプリケーションが無料または有料で提供さ
れている。【1 月 17 日】
(2)デジタル楽曲販売の卸売業者が登場している。オンライン音楽配給会社のオーチャード
(Orchard)は、小さな独立レコード会社や外国レーベルから楽曲を購入し、オンライン楽
曲配信(小売り)業者に卸す事業を営んでいる。これまでに 72 ヵ国から仕入れた楽曲約 65
万曲を配給し、小売り各社とは携帯電話の着信音を含むさまざまな用途に販売する契約を
結んでいる。販売先には、i チューンズ、ナプスター、ヤフーが名を連ねている。
一方、同業のインディペンデント・オンライン・ディストリビューション・アライアンス
は、中国の公営レコード会社から音楽アルバム6万枚分に相当するデジタル楽曲の販売権
を取得している。
オンライン・ストアでは、1曲ごとの販売数は少なくても全体で大量に販売することによ
って収益を得ることができると考えられている。【1 月 17 日】
(3)2005 年の歳末商戦で消費者が最も頻繁に利用した検索エンジンはグーグルだったこと
が、インターネットのアクセス数を追っているヒットワイズの報告で明らかになった。
昨年 12 月の小売り関連サイトへのアクセスの 11.1%がグーグル経由で、前年同期比 28%
増となったまた、4.05%はヤフー・サーチ経由、0.79%が MSN サーチ経由だった。小売り
サイトやクラシファイド・サイトの訪問者のうち、検索エンジン経由でアクセスしたのは
18.3%だった。
オンライン購入者がグーグル経由でアクセスした小売りサイトの中で最も人気が高かった
のは、e ベイ、Amazon.com、フルーグル(グーグル)、ビズレートで、グーグル経由のト
ラフィック全体の 18.1%を占めた。【1 月 13 日】
(4)グーグルは、ビデオコンテンツを自社サイトから購入できるようにする「ビデオ・マー
ケットプレイス」を開設した。コンテンツには、CBS テレビや全米バスケットボール協会
(NBA)、ソニーBMG のミュージックビデオなどが含まれる。価格はビデオの長さによっ
て1ドル 99 ドルから様々。
同社はまた、マイクロソフトと対抗する様々なソフトのダウンロード・サービス「グーグ
ル・パック」の提供も開始した。自社独自のソフトほか、オープンソース・ブラウザの
「ファイアーフォックス」、シマンテックの「ノートン・アンチウイルス」、アドビシス
テムズの「リーダー」、リアルネットワークスの「リアルプレーヤ」、セルリーン・スタ
ジオ(Cerulean Studios)の IM ソフト「トリリアン」、ラバソフト(Lavasoft)AB のスパイ
ウェア対策ソフト「アドアウェア」などが含まれる。【1 月 6 日】
(5)ゴールドマンサックス、ニールセン・ネットレーティングス、ハリス・インタラクティ
ブによると、2005 年歳末商戦期のオンライン売上高は 301 億ドルに達し、前年同期比 30%
増加した。調査は昨年 10 月 29 日から 12 月 23 日までの期間中、1週間あたり消費者 1000
人強を対象に行われた。
分野別にみると、最も売れ行きが良かったのが衣料品で、前年同期比 42%増の 53 億ドル
だった。次いで、コンピュータおよび周辺機器と家電製品が並び、それぞれ 48 億ドルを売
り上げた。中でも、ノートブック、プラズマテレビ、デジタルカメラ、デジタル楽曲プレ
ーヤが好調だった。以下、書籍(売上高 30 億ドル)、玩具・ビデオゲーム(同 23 億ドル)
となっている。
Amazon.com は注文個数が1億 800 万点を超え、歳末商戦期としては過去最大を記録。対
照的にオンライン・ディスカウントショップの Overstock.com はホリデー商戦が期待外れだ
ったと発表している。【1 月 6 日】
5.その他
(1)連邦通信委員会(FCC)は、米国内の航空機内で利用する設置電話の帯域(4メガヘル
ツ)を5月 10 日から競売にかける。
電話サービスはこれまでベライゾンが提供しているが、最近では利用されることがほとん
どないという。最低入札金額として 500 万ドルを設定している。当局はまず4メガヘルツ
の帯域を複数にわけ、最も高額の入札金額がついた帯域を提供する考えだ。競売にはベラ
イゾンも入札する予定。
可能性としては、①2つの重複するライセンスを3メガヘルツ向けに提供、②あるいは同
帯域および1メガヘルツに対してそれぞれ独占的にライセンスを提供、の2つが浮上して
いる。【1 月 12 日】
(2)顔面認識技術を開発するビサージュ(Viisage)は、同業のアイデンティクス(Identix)
を7億 7000 万ドル相当の株式交換で買収する。買収手続きが完了すれば、バイオメトリク
ス(生体認証)大手が誕生し、2008 年までに同市場シェアの 75%を占める見込みだ。ビサ
ージュも新会社の一部門となる予定。新会社はコネチカット州スタムフォードに拠点を移
す。【1 月 12 日】
(3)サン・マイクロシステムズ、3Com、ブロードコム、サムスンなど IT 大手は、イーサネ
ットの普及に向けて団体「イーサネット・アライアンス」を発足する。同団体は、規格の
策定や製品の認可には携わらず、あくまでイーサネット技術に対する啓蒙や普及活動を主
体としていく。活動の一環として、電気電子学会(IEEE)、イーサネット製品の認定を行
っているニューハンプシャー大学インターオペラビリティ・ラボ(InterOperability
Laboratory)と協力していく。
同団体が今後注力していく点として、銅線上での 10 ギガビット・イーサネット向け規格
の推進、サーバ・クラスタへの応用、さらに電線とデータ配信をイーサネット上で可能に
する技術の促進など。【1 月 10 日】
(4) ハードディスク・ドライブ(HDD)大手のシーゲート・テクノロジーはノートブッ
ク用新 HDD ドライブ「モメンタス(Momentus)5400.3」の出荷を開始した。製品は、「垂
直記録」と呼ばれる新しい技術を採用した。これまでは、データを記憶する磁気を帯びた
粒子を小型化することでディスクの小型化と記憶容量の増大を進めてきたが、粒子の極小
による干渉が問題とされてきた。これに対して、垂直記録技術は従来ディスク平面に水平
に配置してきた粒子(ビット)を垂直方向に置き換える。その結果、ディスク上の領域が
開放され、それを利用することで記憶容量を高めることができる。【1 月 17 日】
シーゲートは、競合のマクスター(Maxtor)を 19 億ドル相当の株式交換で買収すること
で合意。これにより、巨大 HDD メーカーが誕生する。
調査会社 i サプライによると、シーゲートは 2005 年第2四半期にハードドライブの 30%
を出荷、一方のマクスターは第2四半期に 13.4%にシェアを獲得していた。【12 月 22 日
(5) ハードディスク・ドライブ(HDD)メーカーのコーニス(Cornice)は、業界最小の
HDD 製品「ドラゴン」シリーズを発表した。最新版は、8ギガバイトと 10 ギガバイトの2
種類。容量が増大した一方で、大きさは従来のものに比べて 40%削減し、紙マッチ程度に
まで縮小している。
コーニスは、同社の製品の小売価格は1ギガバイトあたり 18 ドル 50 セントとなり、フラ
ッシュメモリより安価だと主張している。同社はまた、USB ポートへ HDD を接続するため
の最新スティックも開発している。【1 月 6 日】
(6)フランスの機器メーカー大手トムソン傘下のテクニカラーは、映画館チェーンのセンチ
ュリー・シアターズへデジタル映写機を提供する。
提携により、センチュリーが保有するおよそ 1000 枚のスクリーンを対象に、テクニカラ
ーがデジタル映写機を設置する。トムソンが映写機を所有し、映画製作会社が「印刷費
用」の項目で 1000 ドルのほか、デジタル編集料をトムソンに支払っていく。
デジタル映写機による放映は、画質の向上だけでなく、映画フィルムの配信などにかかる
コストを大幅に削減できる。しかし、最大の問題は最新機器のコスト。通常のフィルム映
写機がおよそ1万∼2万ドルなのに対して、デジタル映写機の価格はその5∼10 倍に達し
ている。このため、映画会社は、デジタル映写機の普及を支援するため、デジタル映画の
複製1本につき「印刷費用」として 1000 ドルを支払うことで合意している。【1 月 6 日】