中国における障害児教育と 「障害者教育条例」

中国における障害児教育と「障害者教育条例」
玉 村 公二彦・清 彦 葵
(奈良教育大学障害児教育教室)
Some Developmentsandthe Regulationof Educationfor Personwith DisabilityinChina
Kunihiko TAMAMURA・YanKuiPAN
(DepartmentofSpecialEducation,NaraUniversityofEducation)
要旨:中国における障害児教育の法制は1990年代において急速に整備されてきた。1990年に制定された「中華人民共
和国障害者保障法」は、その第三章(第18条から26条まで)において、障害者教育を規定した。それを受けて、1994
年に制定された「障害者教育条例」は、中国において障害者教育に関して初めて制定された固有の法律である。本稿で
は、この「中国障害者教育条例」を翻訳・紹介した。
キーワード:障害児教育法制LegislationofSpecialEducation for theDisabled、障害者教育条例Regulation of
SpecialEducation、中国China
1.はじめに
80年代後半以降、中華人民共和国は、固有の特色を
持っ社会主義を原理として、国情と対応しうる諸施策
の発展を探索してきた。政治、経済、文化、教育など
については、社会主義の原理にもとづいて、新たに施
策を発展させてきた。もちろん、教育の一部分を構成
する障害児教育についても、「障害者教育事業を発展
させるために、障害児教育の普及と向上とを結びつけ、
普及を重点な方針として、中心的に義務教育と職業教
育を発展させ、積極的に就学前教育を展開し、徐々に
高級中等以上の教育を発展させる」という国情に対応
する方針を確定している。
障害児教育の法律制度の体系化と法律による教育の
管理は、80年代からはじまり、1990年代において基本
的な法制度を確立させ、現在、その実施をはかってき
ている。中国における障害児教育は、この10年間にお
いて徐々に形成されてきたといえる。その法制上のメ
ルクマールとなるものが、ここで紹介しようとする
「中国障害者教育条例」である。
定する他、第45条において「国家と社会は視覚障害者、
聴覚障害者、言語障害者とその他の障害を持っている
公民の労働、生活と教育に対して、援助する」と規定
している。国家の根本法の中に独立的に障害者教育の
条項を規定したことは中国憲法の特徴となっている。
この規定は国家の最高の法律規定であり、障害児教育
の法律制度の根拠と出発点であり、障害者の平等的に
教育を受ける権利の根本的な保障を定めたものと考え
ることができる。
さらに、1990年には「中華人民共和国障害者保障法」
が制定された。この第三章(第18条から26条まで)に
障害者教育が規定されている。すなわち、「国家は障
害者に教育を受ける権利を保障する」、「国家、社会、
家庭は障害児に対して、義務教育を実施する」という
ことを再度明確に規定している。さらに、中国におけ
る障害者として保障がなされる障害者の概念と種類が
規定されている。これらは視覚障害児、聴覚障害児、
知的障害児、その他の障害児・者が平等に教育を受け
るための法律的基礎となっている。
「中華人民共和国障害者保障法」を受けて、中央の
教育行政規則として制定されたのが、1994年の「障害
者教育条例」である。中国ではじめての障害者教育に
関する専門的な法律として位置づけることができる。
中国障害児教育の法律体系において、この条例は、重
点的内容となるものである。この条例は、9章52条に
よって構成されており、中国の障害児教育の各方面に
2.1990年代中国における障害児教育の整備
2.1 法律
国家の根本法である、「中華人民共和国憲法」は、
国際障害者年の次の年の1982年に制定された。この憲
法は、すべての国民の平等的に教育を受ける権利を規
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玉村公二彦・清 彦葵
対して明確な規定を行っている。
うところにある。その他、障害児と健常児の交流の機
会を増加させることができる。
随班就読(インテグレーション):随班就議は、中
国で近年に出現した新型の特殊教育の形態である。即
ち、障害児を地域の普通小学校に就学させることであ
る。現在、この特殊教育の形態は既に全国の一部の省
(区、市)で施行している。その中には全国の14の省、
区、市で視覚障害児の随班就読を行っている。2000年
の統計によれば、全国の随班就読の生徒は259,882人
である。
特殊教育教員養成:1986年、国家教育委員会は、北
京、上海、武漢、重慶、西安などの地方の高等師範学
校で障害児教育専修を設立した。また、一部分の大学
大学院で障害児教育の修士課程を設立した。1993年、
初めての中等障害児教育師範学校の計画、綱要を制定
した。中国は国情に応じて、正規の多段階的な障害児
教育の教員の養成体系を形成している。
2.2.「中国障害者教育条例」の内容と意義
「中国障害者教育条例」の内容の概要は次のとおり
である。
この条例の目的は、障害者の教育を受ける権利を保
障することであり、「中華人民共和国障害者保障法」
と国家の教育に関する法律に基づいて障害者教育の施
策を発展させるために具体的な規定がなされている。
具体的に言えば、障害者の心身の特徴によって全面的
に障害者の素質を高めるために、障害者教育の各段階
の権利と義務及び障害者教育者養成、障害者教育の物
的条件の保障などを規定し、障害者教育の奨励とそれ
に反した場合の処罰に対して、明確に規定している。
この条例は中国の障害者教育の性質、地位、方針、
政策、体系、指導などの方面が明確化されている点に
その意義があるといえる。さらに、この条例は、国際
的にも障害者の教育の権利を明確にするという点で普
遍性を反映しているが、同時に、中国障害者教育の発
展段階に規定された特色を持っているともいえよう。
以上のように、1980年代以降、特に1990年代におい
て、中国の障害児教育は確実に進展している。しかし、
全体の障害児教育は普通教育のレベルの普及に遠く遅
れている。また、障害児教育においてもその普及にお
いては極端な地域間格差が見られる。すなわち、中国
の農村部や少数民族地域においては、障害児の就学率
はまだ低いのである。「中国障害者教育条例」は制定
されたものの、法律に基づいた障害児教育に対する施
策とその管理に対する認識は高いとはいえないものが
る。中国における障害児教育事業の発展を保障するた
めに、各関連する法律の実施が財政的裏づけをもって
急がれる必要があるし、またそれに基づく障害児・者
教育施策の実施が急がれている。
2.3.障害児教育の施策の展開
主として、「中国障害者教育条例」が制定されて以
降の中国における障害児教育施策の発展について述べ
ておきたい。
特殊学校:特殊学校は、障害児教育の形態の中で歴
史が最も長いものである。特殊学校には盲、聾、知的
障害などの学校がある。特殊学校は就学前学級を設置
し、就学前の障害児を措置し、障害児が基礎義務教育
を受けるために各方面の準備を行う。主な障害として
視覚障害、聴覚障害、知的障害などの障害児童・生徒
のために設立された特殊学校は各級教育行政部門によっ
て管理され、中央から地方まで専門の職員が指導して
いる。これらは、国家の計画、綱要と関連規定に基づ
いて教育が行われ、基礎教育の任務を遂行している。
また、各種類の特殊学校の中等普通教育と職業教育は
3.「中国障害者教育条例」(中華人民共和国国務院令
第161号)
1994年8月23日、総理李鵬の名によって中華人民共
和国国務院令第161号として、「障害者教育条例」が発
表され、その発効期日から、これが実施されることと
なった。以下は、「中国障害者教育条例」の内容であ
中等専門学校、中等技術学校、高等職業学校などを含
んでいる。高等教育システムは専門的な特殊教育学院、
普通大学での障害者の学部あるいは専修を含んでいる。
その他、大学院を含んでいる各種類の成人教育がある。
2000年の統計では、全国の特殊学校は1,539校であり、
生徒数は117,717人である。
特殊学級:特殊学級(特殊班)は、一般的にいえば
普通学校あるいは特殊教育学校において障害児学級を
設置することである。その形態は、通学制と寄宿制と
る。
目 次
障害者教育条例(1994年8月)
第一章 総則
第二章 就学前教育
いう2つであるが、主要には普通学校において特殊学
級は設置される。1998年末の段階において、中国全土
で、特殊学級は19,287班がある。特殊学級の特色は一
次性の使用費用が少ないので、設備、教学用具、学習
用品以外に、専門な学校を建設する必要性がないとい
第三章 義務教育
第四章 職業教育
第五章 普通高級中等以上の教育及び成人教育
第六章 教師
第七章 物的条件の保障
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中国における障害児教育と「障害者教育条例」
障害児の家庭は、障害児に対して、就学前教育を実
施すべきである。
第十一条 障害児の教育は、保育、リハビリテーショ
ンと結びっけ、実施すべきである。
第十二条 衛生保健システム、障害児の就学前教育施
設と家庭は、障害児の早期発見、早期治療、早期教
育を重視すべきである。
衛生保健システム、障害児の就学前教育システムは、
障害児の早期発見、早期治療、早期教育に対して、
相談と指導を行なうべきである。
第八章 奨励と処罰
第九章 附則
第一章 総則
第一一条 障害者の教育を受ける権利を保障すること、
障害者教育の施策を発展させるために、〈中華人民
共和国障害者保障法〉 と国家の教育に関する法律に
基づいて、本条例を制定する。
第二条 障害者教育を実施する場合には、国家の教育
方針に基づいて障害者の心身の特徴によって、全面
的に障害者の素質を高め、障害者が平等に社会参加
するための条件を作るべきである。
第三条 障害者教育は、国家教育施策の構成部分であ
第三章 義務教育
第十三条 地方各級人民政府は、障害児童・生徒の義
務教育を当地の義務教育発展計画の中に含め、実施
する。
る。
障害者教育の施策を発展させるためには、普及と向
上を結びつけ、普及を重点的な方針として、重点的
に義務教育と職業教育を発展させ、積極的に就学前
教育を展開し、徐々に高級中等教育を発展させる。
県以上の各級人民政府は、義務教育の実施に対して、
監督し、指導し、検査し、そして、障害児童・生徒
の義務教育の実施に対して、監督し、指導し、検査
すべきである。
第十四条 学齢の障害児童・生徒の両親あるいはその
障害者教育は、障害者の種類と学習能力によって、
普通教育方式あるいは特殊教育方式を利用し、役立
つ普通教育システムを障害者教育の実施過程に十分
反映させる。
第四条 各級人民政府は、障害者教育施策の指導を高
め、全面的計画的に障害者教育施策を発展させ、徐々
に障害者教育の費用を増加させ、学校施設の条件を
改善させる。
第五条 国務院の教育部門は、全国の障害者教育の施
策を主管する。県以上の地方各級人民政府の教育部
門は、地域内の障害者教育の施策を主管する。
県以上の各級人民政府及びその他の関連部門は、責
任の範囲の内において障害者教育を管理する。
第六条 中国障害者連合会及びその他の地方組織は、
積極的に障害者教育施策を展開させる。
第七条 幼児教育システム、各級、各種類の学校及び
その他の教育システムは、国家の法律、法令に基づ
いて障害者教育を実施する。
第八条 障害者の家庭は、障害者が教育を受ける権利
を保障すべきである。
第九条 社会は、障害者教育の施策に対して、関心を
はらい、援助すべきである。
他の保証人は、法律に基づく自分の子どもあるいは
保証する者に義務教育を受けさせる。
第十五条 障害児童・生徒の義務教育の就学年齢と就
学年限は、当地の児童・少年の義務教育の就学年齢
と就学年限と同じものとし、必要な場合には、就学
年齢と在校年齢は、適度に延長できる。
第十六条 県以上の人民政府の教育部門と衛生部門は、
学齢の障害児童・生徒の就学相談を行い、障害の状
況に対して、鑑定し、教育を受ける形態に対して、
助言を提出すべきである。
第十七条 学齢の障害児童・生徒は、その条件によっ
て、以下の形態を通して、義務教育を受ける。
(一)普通学校にインテグレーションする。
(二)普通学校、児童福祉施設あるいはその他の施
設に設置する障害児童・生徒の特殊教育学級
に就学させる。
(三)障害児童・生徒の特殊学校に就学させる。
地方の各級人民政府は、徐々に条件を作り、身体の
原因によって、学校で就学できない学齢の障害児童・
生徒に対して、適切な形式を利用し、義務教育を行
なうべきである。
第十八条 経済に困難がある障害児童・生徒に対して、
雑費とその他の費用を免除すべきである。
第十九条 障害児童・生徒の特殊学校(学級)の教育
施策は、恩想教育、文化教育、労働技能教育と障害
の補償と結びつけ、児童・生徒の障害の状況と補償
の程度によって、分類教育を実施し、条件のある学
校は、個別教育を実施する。
第二十条 障害児童・生徒の特殊学校(学級)のカリ
キュラム、教学要綱と教材は、障害児童・生徒の特
第二章 就学前教育
第十条 障害児の就学前教育は、以下の施設を通して、
実施する。
(−)障害児教育施設
(二)健常児教育施設
(三)障害児福祉施設
(四)障害児リハビリテーション施設
(五)普通小学校の就学前学級と障害児童・生徒の
特殊教育学校の就学前学級
二ご1
玉村公二彦・清 彦英
は禁止される。
第三十条 区域を設定している市以上の地方各級人民
政府は、障害者の要求に基づいて、障害者の高級中
等以上の特殊教育学校(学級)を設置することがで
き、障害者の教育のレベルを高める。
第三十一条 県以上の各級人民政府の関連部門は、ラ
徴に適合させるべきである。
障害児童・生徒の特殊学校(学級)のカリキュラム
と教学要綱は、国務院の関連部門が制定する。教材
は、省以上の人民政府の関連部門が、審査する。
第二十一条 普通学校は、国家の規定によって、普通
学級に適応できる学齢の障害児童・生徒を募集し、
就学させ、学習と回復などの特殊な要求に対して、
援助すべきである。条件のある学校は、専門の指導
教室を設置できる。
県以上の人民政府の関連部門は、区域内の障害児童・
生徒のインテグレーションの施策を高めるべきであ
る。
インテグレーションされた障害児童・生徒の義務教
育は、普通の義務教育のカリキュラム、教学要綱と
教材を適用することができ、その学習要求に対して、
適切性があるものとする。
第二十二条 義務教育を実施する障害児童・生徒の特
殊学校は、児童・生徒の要求に基づいて、適当な段
階で障害児童・生徒に対して、労働技能教育、職業
教育と職業指導を行なう。
ジオ放送部門、テレビ放送部門と協力し、実際の状
況に基づいて、障害者に適切なコース、課程を設置
あるいは放送する。
第三十二条 障害者を含む職場は、障害者に対して、
文化知識の教育と技術訓練を行なうべきである。
第三十三条 文字普及教育は、15歳以上の学習能力を
持っている不識字、半識字の障害者を含めて、識字
教育を実施すべきである。
第三十四条 国家と社会は、障害者の自学活動に対し
て、奨励し、援助する。
第六章 教師
第三十五条 各級人民政府は、障害者教育を行なう教
師の養成・訓練を重視すべきであり、適切な手段を
利用し、徐々に障害者教育の教師の社会的地位・待
遇を高め、事業環境と条件を改善し、教師に対して、
生涯にわたる障害者教育事業を励する。
第三十六条 障害者教育を行なう教師は、障害者教育
事業を熟愛し、社会主義の人道主義的精神を持っべ
きであり、障害児童・生徒に対して、関心を持ち、
そして障害者教育の専門知識と技能を把握すべきで
ある。
第四章 職業教育
第二十三条 各級人民政府は、障害者の職業教育を職
業教育の全体的な計画の中に含め、障害者の職業教
育体系を設立し、全面的に実施する。
第二十四条 障害者の職業教育は、重点として初等と
中等職業教育を発展させ、適当な高等職業教育を発
展させ、実用性を主として中期・短期職業訓練を行
なう。
第三十七条 国家は、障害者教育の教師の免許制度を
実施し、具体的な方法を国務院の関連部門と国務院
のその他の関連部門が制定する。
第三十八条 障害者の特殊教育学校を設置する組織は、
障害者の特殊教育学校の教師構成の基準に基づいて、
教学、リハビリテーションなどに携わる教師を配置
すべきである。
第二十五条 障害者の職業教育の体系は、普通職業教
育システムと障害者の職業教育システムによって構
成し、普通職業教育システムを主体とする。
県以上の地方人民政府は、障害者の要求に基づいて、
合理的に障害者に職業教育を提供すべきである。
第二十六条 普通職業教育の学校は、国家の募集基準
に対応できる障害者を募集しなければならない。普
通職業訓練システムは、積極的に障害者を募集すべ
きである。
第二十七条 障害者の職業教育の学校と訓練システム
は、社会の要求と障害者の心身の特徴に基づいて、
合理的な専修を設置し、そして教学の要求と条件に
基づいて、学校所有の企業を活用し、実習の場を作
障害者の特殊教育学校の教師の構成基準は、国務院
の教育部門と国務院のその他の関連部門が制定する。
第三十九条 国務院の教育部門と省、自治区、直轄市
に人民政府は、計画的に特殊教育師範学校と専修を
設置すべきであり、あるいは普通師範学校において
特殊教育師範コースを設置し、障害者教育者の養成
を行なう。
るべきである。
第二十八条 経済に困難がある生徒に対して、状況に
応じて、学費とその他の費用を減免すべきである。
第四十条 県以上の各級人民政府の教育部門は、障害
者教育の教師の訓練を施策計画の中に含め、そして
訓練場などの形態を設立し、障害児教育の現場の教
師の訓練を向上させる。
第五章 普通高級中等以上の教育及び成人教育
第二十九条 普通高級中等学校、大学、成人教育施設
は、国家の募集基準に対応できる障害受験生を募集
しなければならない。障害の原因に基づく入学拒否
第四十一条 普通師範学校は、計画的に障害者の特殊
教育の必修課程あるいは選修課程を設置すべきであ
り、学生に必要な障害者の特殊教育の基本知識と技
能を把握させ、インテグレーションされた障害児童・
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中国における障害児教育と「障害者教育条例」
設備、教具、学習具及びその他の補助用品の生産と
研究を支え、障害者教育施設が学校の附属企業ある
いは福祉企業を設置、発展させることを支える。
生徒の教育的ニーズに適応させる。
第四十二条 障害者教育を行なう教師、職員は、国家
の関連規定によって、障害者教育の手当及びその他
の待遇を受ける。
第八章 奨励と処罰
第四十九条 以下のいずれかの単位と個人を、各級人
民政府あるいは教育部門は、奨励をするものとする。
(一)障害者教育、教学研究に著しい貢献する。
(二)障害者の就学のために著しい扶助を提供する。
(三)障害者教育の整備、教具と学習具を研究、生
産する、あるいは障害者教育を高める方面に
著しい成績を持っ。
(四)障害者学校の建設に著しい貢献する。
(五)障害者教育事業のために重大的な貢献する。
第五十条 以下の行為のいずれも、関連部門は、直接
の責任者に対して、処分を与える。
(一)国家の規定に対応できる障害者の入学を拒否
する。
(二)障害児童・生徒に対して、侮辱、体罰を行っ
たり、殴るなどをする。
(三)障害者教育の費用に対して、占有、控除、無
断使用をする。
以上の(一)の行為については、教育部門は、学校
に障害者の入学させる指示を出す。(二)の行為に
ついては、《中華人民共和国治安管理処罰条例》 に
違反し、公安機関が処罰する。(二)、(三)の行為
については、犯罪を構成し、法律に基づく刑事責任
を追求する。
第七章 物的条件の保障
第四十三条 省、自治区、直轄市の人民政府は、障害
者教育の特殊な状況に基づいて、国務院関連主管部
門の指導上の基準に基づいて、区域内の障害者学校
の建設基準、費用基準、教学設備の整備基準などを
制定する。
第四十四条 障害者教育の費用は、各級人民政府によっ
て措置し、保証される。教育施策の費用の増加に伴っ
て、徐々に増加させる。
県以上の各級人民政府は、要求に基づいて、特別な
基金を設立し、障害者教育を発展させる。
地方の各級人民政府は、義務教育の財政費用と教育
の附加費用を一定の比率支出し、障害児童・生徒の
義務教育を発展させる。
第四十五条 国家は、社会の力で、障害者教育施設の
設置あるいは寄付金による学校の設置を奨励する。
第四十六条 県以上の地方人民政府は、障害者教育施
設の設置に関して全面的に計画し、合理的に設置を
行なうべきである。
障害者の学校の設置は、教育部門によって、国家の
関連規定に基づいて、実施される。
第四十七条 障害者教育施設の建設は、障害児の学習、
リハビリテーションと生活の特徴に適応すべきであ
る。
普通学校は、実際の状況によって、障害児童・生徒
の入学後の学習、生活のために便利な条件を提供す
べきである。
第九章附則
第五十一条 省、自治区、直轄市の人民政府は、本条
例によって、実施方法を制定する。
第五十二条 本条例は発表日時から実施する。
第四十八条 県以上の各級人民政府及びその他の関連
部門は、適当な政策と施策を利用し、障害者教育の
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