東京都医薬品情報 № 4 5 9 平成24年12月号 海外医薬情報から‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 一般財団法人 日本医薬情報センター 安全性情報 1 Itraconazole と Domperidone:プラセボ対照薬物相互作用試験 海外医薬情報2012年11月号から 一般財団法人 安 全 性 情 1 Itraconazole と Domperidone:プラセボ対照薬物相互作用試験 日本医薬情報センター 報 Yoshizato T.(Oita Univ.,Oita/Japan),ほか Eur. J. Clin. Pharmacol. 68(9)1287-1294/(2012.9) 【目的】ヒトにおいて itraconazole が domperidone の薬物動態,中枢神経系(CNS)作用, およびプロラクチン血中濃度増加作用に及ぼす影響を検討した。 【方法】二重盲検無作為化クロスオーバー試験を実施した。健常男性志願者 15 例に対し itraconazole(200mg)(Itrizole)またはプラセボを 1 日 1 回 5 日間経口投与し,5 日目 に domperidone(20mg)(Nauzelin)を単回経口投与した。domperidone の血漿中濃度およ び血清中プロラクチン濃度を測定し,domperidone の CNS 作用を自己評価スケールおよび 脳波で評価した。 【結果】プラセボと比較すると,itraconazole は domperidone の AUC0-∞(3.2 倍)および Cmax(2.7 倍)を有意に増加させたが,消失半減期への影響は認められなかった。自己評価 スケールおよび脳波検査による domperidone の CNS 作用,ならびにプロラクチン血中濃度 増加作用は,itraconazole によって有意な影響を受けなかった。domperidone の血漿中濃 度とプロラクチン血清中濃度の関連性において,反時計回りのヒステリシス※が認められ, itraconazole 投与によりヒステリシスは右側にシフトした。濃度-効果モデル解析の結果, 理論上の作用部位における domperidone 濃度とプロラクチン濃度に有意な直線関係が認め られ,itraconazole は直線関係の勾配を低下させた。 【結論】itraconazole は domperidone の血漿中濃度を有意に増加させた。恐らくこの相互 作用は,主に CYP3A および/または MDR1 阻害による初回通過代謝の減少によるものと考え られる。 参照文献 36 Nauzelin:domperidone(INN),Itrizole:itraconazole(INN),相互作用 「JAPIC Pharma Report 海外医薬情報」速報 No.846 掲載 抄録番号 201250887 <参考:代表的な先発医薬品名(保険薬事典より)> domperidone,ナウゼリン【消化管運動改善剤】(協和発酵キリン) itraconazole,イトリゾール【経口抗真菌剤】(ヤンセンファーマ) 【掲載理由】 ・ 掲載基準1-(1) ※ヒステリシスとは、血中濃度と薬物の効果との時間的ずれのことで、履歴効果ともいう。 血中濃度(横軸)に対して薬効(縦軸)をプロットし、測定時間の順に点を結ぶことによ ってできた線(履歴)が反時計回りのループを描く場合、薬効が血中濃度より遅れて現れ る。ほとんどの薬物は反時計回りのヒステリシスを描く。 ここでは、縦軸に血清プロラクチン濃度、横軸に血漿中ドンペリドン濃度をとり、ドンペ リドン投与後一定時間までのデータをプロットし、測定時間順に点を結ぶと反時計回りの ヒステリシスを描いている。このループにイトラコナゾールの投与を加えると、このプロ ットが右側に移動した。これは、イトラコナゾールは血清プロラクチン濃度の変化には有 意な影響を及ぼさなかったが、血漿中ドンペリドン濃度を上昇させたということを示して いる。 東京都医薬品情報 №459 (平成24年12月号) 平成24年11月22日編集 平成24年12月発行 編集委員 阿部 和史(都立府中療育センター薬剤科長) 舩津 久美(都立大塚病院薬剤科長) 右川 浩 (都立多摩総合医療センター薬剤科主任技術員) 濱野 朋子(東京都健康安全研究センター薬事環境科学部医薬品研究科長) 早乙女芳明(東京都健康安全研究センター広域監視部薬事監視指導課長) 垣 弘一(東京都健康安全研究センター企画調整部食品医薬品情報担当課長) 発 東京都健康安全研究センター企画調整部健康危機管理情報課 郵便番号169-0073 東京都新宿区百人町3丁目24番1号 電話(ダイヤルイン) 03(3363)3472 行
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