平成 19 年度業務実績報告書
平成 20 年 6 月
目
次
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.1 組織運営
1.1.1 中期目標、中期計画及び年度計画の内容 ･･･････････････････････････････････
1.1.2 年度計画における目標設定の考え方 ･･･････････････････････････････････････
1.1.3 当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し ･･･････
（１）３研究領域における専門性を高める活動 ････････････････････････････････････
① 航空交通管理領域における取組みと成果 ･･･････････････････････････････････
② 通信・航法・監視領域における取組みと成果 ･･･････････････････････････････
③ 機上等技術領域における取組みと成果 ･････････････････････････････････････
（２）長期ビジョンと新規研究課題の創設 ････････････････････････････････････････
（３）研究企画及び総合調整機能の充実 ･･････････････････････････････････････････
（４）計画線表やアクションアイテムリストを活用した自己点検・評価 ･･････････････
（５）航空宇宙学会の航空交通管理（ATM）部門との連携強化 ･･･････････････････････
（６）新規プロジェクトチーム･･･････････････････････････････････････････････････
（７）評議員会の活用 ･･････････････････････････････････････････････････････････
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1.2 人材活用
1.2.1 中期目標、中期計画及び年度計画の内容 ･････････････････････････････････････
1.2.2 年度計画における目標設定の考え方 ･････････････････････････････････････････
1.2.3 当該年度における実績 ･････････････････････････････････････････････････････
（１）職員の業績評価 ････････････････････････････････････････････････････････････
（２）職員の任用 ････････････････････････････････････････････････････････････････
（３）外部人材の活用 ････････････････････････････････････････････････････････････
（４）人材の育成 ････････････････････････････････････････････････････････････････
（５）大学における研究者育成への貢献･････････････････････････････････････････････
① インターンシップによる育成 ･････････････････････････････････････････････
② 連携大学院制度の活用による育成 ･････････････････････････････････････････
③ 研究指導による育成 ･････････････････････････････････････････････････････
④ 大学院の講座による育成 ･････････････････････････････････････････････････
⑤ 海外研修生（留学生）の育成 ･････････････････････････････････････････････
1.2.4 その他適切な評価を行う上で参考となり得る情報 ･････････････････････････････
（１）研究員の学会賞受賞 ････････････････････････････････････････････････････････
（２）研修等の実施について ･･････････････････････････････････････････････････････
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1.3 業務運営
1.3.1 中期目標、中期計画及び年度計画の内容 ･･･････････････････････････････････
1.3.2 年度計画における目標設定の考え方 ･･･････････････････････････････････････
1.3.3 当該年度における実績････････････････････････････････････････････････････
（１）業務の効率化 ････････････････････････････････････････････････････････････
（２）一般管理費の抑制 ････････････････････････････････････････････････････････
（３）業務経費の抑制 ･･････････････････････････････････････････････････････････
（４）人件費の削減等 ･･････････････････････････････････････････････････････････
① 人件費の削減 ･･･････････････････････････････････････････････････････････
② 給与水準の引き下げ、年功的な給与上昇の抑制 ･････････････････････････････
（５）予算及び人的資源の適正な管理 ････････････････････････････････････････････
① 予算配分及び執行状況の適時把握 ･････････････････････････････････････････
② 人的資源の適正な管理 ･･･････････････････････････････････････････････････
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1.3.4 その他適切な評価を行う上で参考となり得る情報 ･･･････････････････････････
（１）コンプライアンス強化 ････････････････････････････････････････････････････
（２）平成 19 年度契約について ･････････････････････････････････････････････････
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２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を
達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
2.1.1 中期目標、中期計画及び年度計画の内容 ･･･････････････････････････････････
2.1.2 年度計画における目標設定の考え方 ･･･････････････････････････････････････
2.1.3 当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し ･･･････
（１）社会ニーズに対応した研究開発の重点化 ････････････････････････････････････
① 空域の有効利用及び航空路の容量拡大に関する研究開発 ･････････････････････
ア．航空交通管理における新管制運用方式に係る容量値に関する研究 ･･････････
イ．静止衛星型衛星航法補強システムの 2 周波対応に関する研究 ･･････････････
ウ．RNAV 経路導入のための空域安全性評価の研究 ･･･････････････････････････
エ．SSR モード S の高度運用技術の研究 ････････････････････････････････････
オ．ATM パフォーマンスの研究 ････････････････････････････････････････････
② 混雑空港の容量拡大に関する研究開発 ･････････････････････････････････････
ア．A-SMGC システムの研究 ･･･････････････････････････････････････････････
イ．高カテゴリ GBAS のアベイラビリティ向上と GNSS 新信号対応に関する研究 ･･
ウ．今後の管制支援機能に関する研究 ･･････････････････････････････････････
③ 予防安全技術・新技術による安全性・効率性向上に関する研究開発 ･･･････････
ア．無線測位におけるマルチパス誤差低減に関する研究 ･･････････････････････
イ．航空機の動態情報を利用するコンフリクト検出手法の研究 ････････････････
ウ．航空管制用デジタル通信ネットワークシステムの研究 ････････････････････
エ．航空無線航法用周波数の電波信号環境に関する研究 ･･････････････････････
オ．携帯電子機器の航法機器への影響に関する研究 ･･････････････････････････
カ．航空機の安全運航支援技術に関する研究 ････････････････････････････････
（２）運転者・操船者等の業務負荷状態評価システムの研究 ････････････････････････
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2.2 基盤的研究
2.2.1 中期目標、中期計画及び年度計画の内容 ･･･････････････････････････････････
2.2.2 年度計画における目標設定の考え方 ･･･････････････････････････････････････
2.2.3 当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し ･･･････
（１）当該年度における取組みの概要 ････････････････････････････････････････････
（２）諸情勢の変化を考慮した柔軟な対応 ････････････････････････････････････････
① 諸情勢の変化に柔軟に対応するための予備的研究の実施 ･････････････････････
ア．洋上経路システムの高度化の予備的研究･････････････････････････････････
② 内部研究評価などによる研究の方向性や具体的な方策への反映 ･･･････････････
（３）研究者の自由な発想に基づく研究の実施と若手研究者の自立促進 ･･････････････
ア．対空通信メディア高度化に関する基礎研究･･･････････････････････････････
イ．ASAS に関する予備的研究 ･･････････････････････････････････････････････
（４）実施した主要な基盤的研究とその成果 ･･････････････････････････････････････
ア．航空管制業務におけるヒューマン・ファクタの評価分析手法の研究･････････
イ．高緯度地域における電離圏・大気圏の基礎研究･･･････････････････････････
ウ．航空機衝突防止装置の運用状況の研究･･･････････････････････････････････
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2.3 研究開発の実施過程における措置
2.3.1 中期目標、中期計画及び年度計画の内容 ･･･････････････････････････････････
2.3.2 年度計画における目標設定の考え方 ･･･････････････････････････････････････
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2.3.3 当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し ･･･････
（１）新規研究要素の企画と達成目標の相互確認 ･･････････････････････････････････
①報告会の開催 ････････････････････････････････････････････････････････････
②連絡会の開催 ････････････････････････････････････････････････････････････
（２）関係者からの情報収集とニーズに即応できる柔軟性の確保 ････････････････････
（３）研究評価の実施 ･･････････････････････････････････････････････････････････
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2.4 共同研究・受託研究等
2.4.1 中期目標、中期計画及び年度計画の内容 ･･･････････････････････････････････
2.4.2 年度計画における目標設定の考え方 ･･･････････････････････････････････････
2.4.3 当該年度における実績････････････････････････････････････････････････････
（１）共同研究の実施 ･･････････････････････････････････････････････････････････
① 平成 19 年度共同研究の実施状況 ･･････････････････････････････････････････
② 共同研究における相乗効果 ･･･････････････････････････････････････････････
（２）受託研究の実施 ･･････････････････････････････････････････････････････････
① 平成 19 年度受託研究の実施状況 ･･････････････････････････････････････････
② 高精度測位補正技術に関する研究 ･････････････････････････････････････････
③ ヒューマンエラー事故防止技術の開発 ･････････････････････････････････････
④ その他の受託研究 ･･･････････････････････････････････････････････････････
433MHz 帯アクティブ IC タグによる電磁放射に関する実測調査 ････････････････
⑤顧客満足度調査の実施と反映 ･･････････････････････････････････････････････
⑥競争的資金への応募 ･･････････････････････････････････････････････････････
⑦運輸技術研究開発調査費で行う受託研究･････････････････････････････････････
（３）研究者・技術者の交流会等の開催 ･･････････････････････････････････････････
① 第 1 回研究交流会(4/26)『日米の ILS 研究動向』 ･･･････････････････････････
② 第 2 回研究交流会(7/10)『フランスからの留学生 研修修了報告会』 ･････････
③ 第 3 回研究交流会(7/24)『Flight Management System の概要等』 ････････････
④ 第 4 回研究交流会(8/17)『アメリカの運航管理の秩序』 ･････････････････････
⑤ 第 5 回研究交流会(9/21)『単一目標追尾の基本 −現状と将来−』 ･･･････････
⑥ 第 6 回研究交流会(12/6)『4D 管制について』 ･･････････････････････････････
⑦ 第 7 回研究交流会(1/23)『DSNA R&D activities in the
European and global context』 ･･････････････････
⑧ 第 8 回研究交流会(3/28)『航空交通管理における CNS と IT 技術』 ････････････
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2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
2.5.1 中期目標、中期計画及び年度計画の内容 ･･･････････････････････････････････
2.5.2 年度計画における目標設定の考え方 ･･･････････････････････････････････････
2.5.3 当該年度における実績････････････････････････････････････････････････････
（１）知的財産権 ･･････････････････････････････････････････････････････････････
① 研究成果の知的財産権による保護 ･････････････････････････････････････････
② 平成 19 年度出願特許と取得特許 ･･････････････････････････････････････････
③ 特許の活用 ･････････････････････････････････････････････････････････････
④ 知的財産権に係る広報・普及活動 ･････････････････････････････････････････
（２）広報・普及・成果の活用 ･･････････････････････････････････････････････････
① 研究課題の発表状況 ･････････････････････････････････････････････････････
② 査読付論文 ･････････････････････････････････････････････････････････････
③ ホームページの充実 ･････････････････････････････････････････････････････
④ 研究発表会 ･････････････････････････････････････････････････････････････
⑤ 研究講演会 ･････････････････････････････････････････････････････････････
⑥ 研究所一般公開 ･････････････････････････････････････････････････････････
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⑦ 「空の日」イベントへの参加 ･････････････････････････････････････････････
⑧ 広報誌及び研究成果の普及 ･･･････････････････････････････････････････････
⑨ 出前講座 ･･･････････････････････････････････････････････････････････････
（３）国際協力等 ･･････････････････････････････････････････････････････････････
① 海外研修生（留学生）への技術指導 ･･･････････････････････････････････････
② 米国連邦航空局(FAA)技術者との交流 ･･････････････････････････････････････
③ KARI 研究者との交流 ････････････････････････････････････････････････････
④ EUROCONTROL 技術者との交流 ･････････････････････････････････････････････
⑤ アジア地域の航空交通の発展に寄与するための研修等 ･･･････････････････････
⑥ 国際ワークショップ ･････････････････････････････････････････････････････
⑦ 航空局の RMA 活動を技術支援 ･････････････････････････････････････････････
⑧ ICAO 会議等における航空局への技術支援･･･････････････････････････････････
⑨ その他の国際会議における発表 ･･･････････････････････････････････････････
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３．予算（人件費の見積りを含む。
）、収支計画及び資金計画
3.1 中期目標、中期計画及び年度計画の内容 ･･･････････････････････････････････････
3.2 年度計画における目標設定の考え方 ･･･････････････････････････････････････････
3.3 当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し ･･･････････
（１）平成 19 年度予算 決算額 ･････････････････････････････････････････････････
（２）第２期中期計画 ･･････････････････････････････････････････････････････････
（３）平成 20 年度計画 ･････････････････････････････････････････････････････････
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４．短期借入金、重要な財産及び剰余金
4.1 中期目標、中期計画及び年度計画の内容 ･･･････････････････････････････････････
4.2 年度計画における目標設定の考え方 ･･･････････････････････････････････････････
4.3 当該年度における取り組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し ･････････
（１）短期借入金 ･･････････････････････････････････････････････････････････････
（２）重要な財産の譲渡等 ･･････････････････････････････････････････････････････
（３）剰余金の使途 ････････････････････････････････････････････････････････････
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５．外部委託及び人事に関する計画
5.1 中期目標、中期計画及び年度計画の内容 ･･･････････････････････････････････････
5.2 年度計画における目標設定の考え方 ･･･････････････････････････････････････････
5.3 当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し ･･･････････
（１）管理、間接業務の外部委託 ････････････････････････････････････････････････
（２）施設整備 ････････････････････････････････････････････････････････････････
（３）施設・設備利用の効率化 ･･････････････････････････････････････････････････
①研究所施設・設備の性能維持、向上等 ･･････････････････････････････････････
②実験用航空機の性能維持・向上と効率的な利用 ･･････････････････････････････
③電波無響室の効率的な利用 ････････････････････････････････････････････････
（４）業務処理の工夫と業務に応じた適正な人員配置 ･･････････････････････････････
5.4 その他適切な評価を行う上で参考となり得る情報 ･･･････････････････････････････
（１）所内ネットワークの維持運営について ･･････････････････････････････････････
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【資料】
資料 1 重点研究開発課題 ････････････････････････････････････････････････････････
資料 2 基盤的研究課題 ･･････････････････････････････････････････････････････････
資料 3 受託研究【抜 粋】 ･･･････････････････････････････････････････････････････
資料 4 外部評価結果の概要 ･･････････････････････････････････････････････････････
資料 5 電子航法研究所 業務方法書 ･･････････････････････････････････････････････
資料 6 電子航法研究所 第２期中期目標・中期計画・平成 19 年度計画対比表 ･････････
資料 7 略語表 ･･････････････････････････････････････････････････････････････････
資料 8 用語解説 ････････････････････････････････････････････････････････････････
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１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.1 組織運営
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.1
組織運営
1.1.1
中期目標、中期計画及び年度計画の内容
［中期目標］
第２
業務運営の効率化に関する事項
１．組織運営
（１）組織運営の合理化・適正化の推進
中期計画において、組織運営に関する計画と目標を具体的に定めることにより、組織運営の合理
化・適正化を推進するとともに、その実施状況と目標達成状況について、定期的な自己点検・評価
を実施すること。また、年度計画については、中期計画を基本としつつ、自己点検・評価結果及び
独立行政法人評価委員会の年度評価結果を踏まえた改善策を盛り込むこと等により、組織運営を効
果的・効率的かつ機動的に行うこと。
（２）業務執行体制の見直し等
高度化、多様化する社会ニーズに迅速かつ的確に対応でき、理事長のリーダーシップと研究企
画・総合調整機能を最大限発揮できるように業務執行体制を見直し、責任の範囲と所在を明確にし
た組織運営を行うこと。また、専門分野を集約した組織構成とすることにより、研究開発機能の専
門性と柔軟性の向上を図ること。特に重要なプロジェクトの推進については、プロジェクトチーム
により自立的・弾力的な組織編成を行うこと。
［中期計画］
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
（１）組織運営
研究開発機能の専門性と柔軟性の向上を図り、かつ航空交通管理システムに係る中核的研究機関
としての機能を果たすために、研究領域を大括り再編し専門分野を集約する。具体的には、航空交
通管理領域、通信・航法・監視領域及び機上等技術領域の３領域の組織構成とする。
また、社会ニーズの高度化・多様化に迅速かつ的確に対応でき、理事長の運営方針・戦略の発信
等を通じたリーダーシップと研究企画・総合調整機能を最大限発揮できるように業務執行体制を見
直し、責任の範囲と所在を明確にした組織運営を行う。具体的には、航空行政と連携しつつ航空交
通管理システムの全体構想における各研究課題の位置付けの明確化を図るなど、企画・調整機能を
重点化する。
特に重要なプロジェクトの推進については、プロジェクトチームにより自立的・弾力的な組織編
成を行う。
本中期目標期間においては、組織運営に関する計画の実施状況と目標達成状況について、年度計
画線表やアクションアイテムリスト等を活用して定期的な自己点検・評価を実施し、研究の進展及
び社会情勢の変化に柔軟に対応する等効果的・効率的な組織運営を行う。また、運営全般にわたる
意思決定機構の整備、外部有識者により構成される評議員会の活用等を行い、運営機能の強化を図
る。
［年度計画］
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
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１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.1 組織運営
（１）組織運営
航空交通管理領域、通信・航法・監視領域及び機上等技術領域の３領域の組織構成により、それ
ぞれの専門性を高めるとともに、研究内容に応じて柔軟に対応できるようにする。平成 18 年度に
検討を開始し、中間報告としてまとめた長期ビジョンの完成度を高め、これに沿った新規研究課題
を創出する。研究企画統括の業務を強化するため、企画部門へ研究員を配置し、研究企画・総合調
整機能を発揮できる体制の充実を図る。
平成 19 年度は、以下を実施する。
・ 国際会議等へ参加する機会を活用した電子航法に係る海外動向調査を継続し、長期ビジョンへ
の反映を図る。また、長期ビジョンと研究課題との関係を明らかにし、両者の整合を確保するため
の検討を行う。
・ 組織運営に関する計画の実施状況と目標達成状況について、引き続き年度計画線表やアクショ
ンアイテムリストを活用して定期的な自己点検・評価を実施する。
・ 我が国における航空交通管理に係る研究活動の拡大及び活性化を促すとともに、日本航空宇宙
学会に平成 19 年 3 月に新規に設置された航空交通管理部門と連携強化を図り、その活動を積極的
に支援する。
・ 第 3 期科学技術基本計画を着実に推進するため、平成 19 年度に開始する「航空機の安全運航支
援技術に関する研究」について、新規にプロジェクトチームを編成して機動的に推進する。
・ 外部有識者により構成される評議員会を活用し、研究開発評価のみならず、研究所の業務運営
に関する助言を求める。
1.1.2
年度計画における目標設定の考え方
・ 研究組織の効率的な業務運営と研究開発における専門性の向上を両立させるため、各領
域において各種研究会を開催するとともに、研究員間の相互協力体制を築く。
・ 関係機関との連携を強化するとともに、電子航法に係る長期ビジョン策定の完成度を高
め、新規研究課題の創出に繋げる。
・ 企画部門に研究員を配置し、研究企画及び総合調整機能を強化する。
・ アクションアイテムリスト及び計画線表により、年度計画の進捗状況を定期的に確認す
るとともに達成状況を自己評価し、効果的・効率的な組織運営を行う。
・ 日本航空宇宙学会の航空交通管理（ATM）部門との連携を強化し、その活動を積極的に
支援する。
・ 「航空機の安全運航支援技術に関する研究」に係る新規プロジェクトチームを編成し、組
織横断的な意思疎通を図る。
・ 評議員会では研究テーマに係る評価だけでなく、電子航法研究所の業務運営全般につい
ても意見を求める。
1.1.3
当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し
（１）３研究領域における専門性を高める活動
平成 18 年度からの第 2 期中期目標期間においては、高度化・多様化する社会ニーズ
に迅速かつ的確に対応できるよう、また電子技術の高度化・複雑化の進展により従来の
地上システムだけでなく機上システムも融合した総体としての航空交通管理システム
2
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.1 組織運営
に係る中核的な研究機関として機能していくよう、従来は 4 部に分散していた研究部門
を、主にソフト面を取り扱う「①航空交通管理（ATM）領域」と、これを支える主にハー
ド面を取り扱う「②通信・航法・監視（CNS）領域」及び「③機上等技術領域」の 3 つ
の専門領域に集約・再編し、同じ専門性を有する研究員が意見や情報交換を頻繁に行う
とともに、積極的に研究協力し合える体制を構築した。
平成 19 年度は、航空交通管理領域、通信・航法・監視領域及び機上等技術領域の各
研究領域において、それぞれの専門性を高めるための「研究会」等を開催するとともに、
研究内容に応じて研究員間の相互協力体制を築き柔軟に対応するなど、研究開発機能の
専門性と柔軟性の向上および航空交通管理システムに係る中核的研究機関としての機
能を果たすことを目指して取り組んだ。
こうした取り組みの結果、学会及び国際会議等における研究発表件数が増加するなど
研究活動が大きく活性化している。さらに、機上等技術領域の「航空管制業務における
ヒューマンファクタの評価分析手法の研究｣に係る実験に航空交通管理領域の若手研究
員が参加したり、航空交通管理領域の「空域の安全性の定量的評価手法に関する研究」
に係る飛行実験に通信・航法・監視領域の研究員が参加するなど、研究領域を超えた研
究員間の相互協力体制も着実に進みつつある。
各研究領域における具体的な取り組みと成果は以下の通り。
① 航空交通管理領域における取組みと成果
航空交通管理領域では、各研究員が有する専門知識を他の研究員と共有したり、国際
会議等で収集した最新情報を共有したり現在の研究状況を紹介するなど、領域内の活動
を活性化するための「ATM 研究会」を 6 回開催した。こうした「ATM 研究会」を定期的
に開催し、発表者が参加者からコメントや助言を得ることにより研究の質を高める効果
を目指している。
ATM に関する研究は、これまでどちらかといえば「国内」問題として考えられる傾向
にあったが、国際的にも共通の課題を抱えていることから国際会議への参加回数も増加
傾向にある。特に、平成 19 年度から当領域に外国人研究員が加わった影響もあって、
「ATM 研究会」の運営が国際共通言語である英語により実施されることになり、若手研
究員には専門性を高める効果のみならず、英語による議論に積極的に加わる機会の提供
ともなっている。この効果は極めて大きく、若手研究員が海外における研究発表に積極
的に参加する機運を高めている。
② 通信・航法・監視領域における取組みと成果
通信・航法・監視領域においては、GPS 等の測位衛星を航空で安全に利用できるよう
にするための GNSS（全地球的航法衛星システム）に関する研究が大きな研究テーマで
ある。GNSS に関する研究開発においては、従来は旧「航空システム部」が GBAS（地上
型衛星航法補強システム）に関する研究を、旧「衛星技術部」が SBAS（静止衛星型衛
星航法補強システム）及び QZSS（準天頂衛星システム）に関する研究を実施していた
が、これらが通信・航法・監視領域として統合されたことにより、それぞれの研究グルー
プが協力して研究できる体制が構築され、作業効率の向上及び情報の共有が図られると
ともに、研究員の知識向上にも成果を上げている。加えて、平成 21 年度からは「高カ
テゴリ GBAS のアベイラビリティ向上と GNSS 新信号対応に関する研究」と「GNSS 精密
進入における安全性の解析及び管理技術の開発」の統合を予定しており、効率的に研究
を行うことで研究費の節減効果も期待される。また、航空通信研究に関しては、旧「衛
星技術部」の衛星通信研究グループと旧「航空システム部」の VDL 研究グループの連携
が強化され、航空通信関連の情報が頻繁に交換されるとともに、航空通信全体としての
3
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.1 組織運営
広い視野が養われる効果を生んでいる。
当領域では、GNSS グル－プの情報交換などを目的とした「GNSS 研究会」を 12 回開催
し、GBAS/SBAS のインテグリティの考え方のレビューを行うとともに、今後の研究方針
を明確にした。また、
「航空通信検討会」を 18 回開催し、将来必要となる通信方式を調
査・検討するとともに、将来的に考えられる通信サ－ビスの内容や運用概念等の知識を
深め、平成 21 年度からの重点研究課題の創出・提案に繋げた。一方、スタンフォード
大学や清華大学と合同で行った研究動向に関する討議や研究情報の交換は、今後の通信、
GBAS/SBAS 研究方針の作成に大いに有効活用できた。
③ 機上等技術領域における取組みと成果
機上等技術領域の主な研究内容は、電磁波による干渉の解析や航空無線航法用周波数
の信号環境、マルチパス誤差低減、ヒューマンファクタ評価等であり、航空分野のみな
らず他分野においても利用・活用が期待できる技術開発が多いのが特徴で、国土交通省
等の国の機関のみならず民間企業等からも幅広く研究を受託している。
機上等技術領域では機上技術等に関する「研究会」を開催し、「携帯電子機器の航法
機器への影響に関する研究」及び「航空無線航法用周波数の電波信号環境に関する研究」
に係る研究動向についてディスカッションを行い、専門性の深化を図った。特に「航空
無線航法用周波数の電波信号環境に関する研究」は、有限な資源である「電波」を効率
よく国民の利益に適う利用を目指す基本的な研究であり、我が国における有害な干渉事
例の原因究明に貢献していることは特筆すべき成果である。また、これらの「研究会」
を通じて各研究テーマに関する研究員の相互理解が深まり、その結果、競争的資金への
応募にも繋がっている。
一方、電磁環境の測定では実機を使用した貴重な実験機会であることから、若手研究
員を対象に広く参加を呼びかけ、実験計画の立て方から測定方法までを体験させたり、
成田空港においても実習を行うなど、研究員の育成にも積極的に取り組んだ。
（２）長期ビジョンと新規研究課題の創設
欧米においては、中長期的な航空需要の伸びが想定される中で、航空の容量を拡大し、
遅延の恒常的発生を解消するとともに、ATM の効率的運用を達成すべく新しい ATM 研究
（米国における NextGen、欧州における SESAR）が始動している。我が国においても、
空域の有効利用、空港容量の拡大、定時発着の定着（遅延の解消）は、地上交通に対す
る航空交通の競争力を確保し、利用者の利便性向上を図る上で不可欠である。電子航法
研究所が平成 18 年度より検討・作成に着手した長期ビジョンは、我が国における将来
の ATM 環境を示し、その達成に必要となる研究課題を明らかにしようとするものである。
平成 19 年度は、航空交通管理に関連した長期ビジョンの検討を進め、研究発表会や
CNS/ATM シンポジウム等で報告するとともに研究交流会でも報告し、長期的な研究方向
について研究所内におけるコンセンサスの共有に努めた。その成果としては、次世代の
航空交通管理の中心的コンセプトであるトラジェクトリ管理関連の基盤的な研究テー
マの始動や、平成 21 年度から開始する新たな重点研究としての提案に繋がっている。
なお、長期ビジョンについては平成 20 年度に長期的な研究課題に係るロードマップを
作成し、広くリリースを予定している。
一方、平成 19 年 6 月に「交通政策審議会航空分科会」の答申が明らかにされたが、
この答申には電子航法研究所の研究テーマが航空分科会のテーマと幅広く関連して取
り上げられており、当研究所が社会的なニーズに応えている研究を実施していることを
確信することができた。また、これらについては航空局との「連絡会」で報告し、行政
当局からも高く評価された。
4
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.1 組織運営
（３）研究企画及び総合調整機能の充実
平成 18 年度からの第 2 期中期目標期間では、研究部門を再編するだけでなく企画部
門の機能を強化するため「研究企画統括」ポストを新設し、さらに従来の総務課企画室
を企画課として独立した組織として機能強化し、新規研究に係る企画立案および研究所
の長期ビジョンの策定、研究領域間の調整や関係機関との連携強化、ベンチマーキング
による研究所能力の分析や研究員の任用・育成を円滑に進めるための環境整備等に係る
取り組みを強化してきた。
平成 19 年度は、研究に係る企画立案機能の強化、行政及び研究領域との連携強化を
目的として、企画部門に統括付研究員を通年配置し統括業務の体制を強化した。当年度
は、独法整理合理化関連の作業が急遽加わったことにより定常業務への影響が心配され
たが、企画部門に研究員が通年配置されていたことにより、研究課題に係る予算要求や
次年度以降の研究課題の設定、その他航空局との各種調整等においても適確に対応する
ことができた。また、長期ビジョンの完成度を高めて時間管理を含めた将来の航空交通
管理のビジョンを提案し、これに沿った新たな研究課題を創出するとともに、航空交通
管理システムの全体構想における各研究課題の位置付けを明確にする活動でも、中心的
な役割を果たした。
一方、統括業務を円滑に行うとともに研究員の相互理解を深めることを目的として、
重要な研究テーマの実施責任者を務め、かつ次世代の研究所運営で中心的な役割を担う
上席研究員をメンバーとする「研究企画統括会議」を立ち上げた。この会議では、航空
交通管理を含む電子航法全体の研究について、上席研究員レベルで研究相互間の関連や
社会的ニーズとの相互の関わり合いについての知見を共有することを目指している。こ
の「研究企画統括会議」は、平成 20 年度においても引き続き開催し、若手研究員の育
成について議論を深めるなど、リーダー的研究員であるべき上席研究員の更なる活性化
を図っていくこととしている。
（４）計画線表やアクションアイテムリストを活用した自己点検・評価
電子航法研究所においては、年度計画を確実に実施するとともに、計画の進捗状況を
逐次確認することにより、年度途中においても研究の進展及び社会情勢の変化に柔軟に
対応することができるよう、計画線表を用いた進捗管理を行っている。この計画線表は、
年度計画に記載されている実施項目毎に管理責任者を割り当てて作成しており、管理責
任者は、年度当初に具体的な活動内容及び活動時期を記入し、四半期毎の進捗報告会議
でその進捗状況について点検することとしている。
平成 19 年度においては、受託研究課題の進捗管理についても計画線表を用いて進捗
管理を行い、的確なスケジュール管理に努めた。また、計画線表の様式を見直し、個々
の活動がどのような成果に繋がっているか総括できるよう改善するとともに、四半期毎
の進捗報告会において総括された内容を計画線表に記録し、年度を通して一貫した進捗
管理を目指した。さらに、進捗報告会で四半期毎の全ての活動内容が管理職に周知され
ることに伴い、研究所全体の年度業務実績を全管理職が把握することに繋がり、定期的
な計画・目標の変更や対外的な活動報告にも有効活用した。
一方、定例の企画会議で提案された新たな取組み事項や検討案件については、これら
の作業が確実に実施されるようアクションアイテムリストを用いて管理し、所内で検討
された内容について、漏れなく活動に反映する体制を構築するなど、日々、研究環境の
向上に努めている。
（５）航空宇宙学会の航空交通管理（ATM）部門との連携強化
航空機の効率的な運航と安全確保においては、航空交通管理の役割が極めて重要で、
5
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.1 組織運営
航空交通管理に係る研究開発に向けられる期待も近年大きくなっている。我が国におい
ては、電子航法研究所がその中心的な役割を果たしているが、欧米と比較して研究規模
が小さいことに加え、大学や他の研究機関で航空交通管理に関する学術的な研究を本格
的に実施しているところはほとんどないのが実態である。このため、我が国における航
空交通管理に関する研究推進体制や環境を一層充実させるとともに研究活動の裾野を
広げることを目的に、平成 19 年 3 月、
（社）日本航空宇宙学会に航空交通管理部門が設
置された。その初代部門委員長には航空交通管理領域長（現研究企画統括）が就任し、
電子航法研究所として同学会の活動を積極的に支援している。
航空宇宙学会の航空交通管理部門では、ATM にかかる講演会を積極的に企画し、ATM
に関する研究成果の普及・啓発に努めた。特に、平成 19 年 10 月に開催された「飛行機
シンポジウム」では、日本語セッションだけでなく国際（英語）セッションにおいても
電子航法研究所からの発表数が増えるなど、国際化に向けた研究員の意識向上にも繋が
っており、一連の好循環を生む大きな成果を得ることができた。こうした活動により、
ATM 研究とその中核を担っている電子航法研究所の存在及び役割を広く国内外に印象づ
けることができたとともに、当該分野における当研究所からの発表件数が増大するなど、
学会活動が更に活性化する相乗効果も生まれている。
（６）新規プロジェクトチーム
電子航法研究所では、重点的に実施すべき研究開発のうち、組織横断的に取組む必要
がある研究や、短期間で人員を集中させて実施しなければならない緊急性の高い研究に
ついては、プロジェクトチームを編成して機動的に対応している。具体的には、平成
16 年 3 月に編成した「先進型地上走行誘導管制システム開発プロジェクトチーム」及
び「高精度測位補正技術開発研究プロジェクトチーム」に加え、平成 19 年度からは航
空機の安全運航支援技術に関する研究をテーマとして、新たに「航空機安全運航支援技
術研究プロジェクトチーム」を設置し、研究体制を強化して取り組んでいる。各プロジ
ェクトチーム個別の研究成果は別途記載するが、このように体制を強化して研究に取り
組んだ結果、以下のような成果に繋がっている。
「先進型地上走行誘導管制システム開発プロジェクトチーム」においては、監視・経
路設定・誘導・管制の 4 つの基本機能を持つ総合的なシステムである A-SMGC システム
の開発を目指している。本プロジェクトチームでは、航空交通管理領域、通信・航法・
監視領域、機上等技術領域の研究員を結集するのみならず、（独）交通安全環境研究所
と共同研究契約を結ぶなど、複数の専門分野の知見を結集して重点的に研究に取り組ん
だ結果、各要素を結合させた A-SMGC 実験システムを構築することができ、特にシステ
ムの中核となる監視機能については、監視センサの管制機器化に向けた基礎資料をとり
まとめることができた。
「高精度測位補正技術開発研究プロジェクトチーム」においては、政府が進めている
準天頂衛星の技術開発のうち、国土交通省が担当する高精度測位補正技術の開発を担当
している。本研究は、国家プロジェクトとして研究の重要性が高いことから、任期付研
究員を配置するなど衛星航法システムを専門とする研究員を総動員して重点的に研究
に取り組んだ結果、本プロジェクトチーム研究員の論文が優秀論文賞を受賞するなどの
成果にも結びついている。
「航空機安全運航支援技術研究プロジェクトチーム」においては、航空機が相互の位
置を把握し、航空の安全に必要な情報を地上から航空機へ自動送信する技術の開発に取
り組んでいる。本プロジェクトチームでは、平成 18 年度に実施した「小型航空機の安
全運航支援に関する予備的研究」において、航空機相互間及び航空機地上間のデータ通
信の実験を JAXA（宇宙航空研究開発機構）と共同で行った実績を踏まえ、本研究にお
いても JAXA と共同研究を行うなど更なる研究体制の強化を予定しており、
「第３期科学
6
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.1 組織運営
技術基本計画」の戦略重点科学技術である「交通・輸送システムの安全性・信頼性の向
上」を目指して、航空機の安全運航支援技術に関する研究に重点的に取り組んでいる。
（７）評議員会の活用
電子航法研究所においては、業務運営全般にわたる意思決定機構を整備し、組織運営
機能の強化を図ることを目的として、外部有識者により構成される評議員会を活用し、
研究開発評価のみならず、電子航法研究所の業務運営全般についても意見を求めること
を試行している。
平成 19 年度の評議員会においては、電子航法研究所の年度計画について説明した際
に評議員から受託収入に関する質問があり、受託研究は航空行政ニーズ等によるものが
多く、通常の予算では賄いきれいない様々な評価試験や技術開発等を実施していること、
さらに科学研究費補助金等の競争的資金に係る研究についても受託研究扱いとしてい
ることを補足説明するなど、電子航法研究所の研究活動全般について理解を深めて頂い
た。
このように、段階的ではあるが研究テーマ以外についても意見交換が行われるように
なりつつあり、平成 20 年度の評議員会においても、引き続き電子航法研究所の業務運
営全般について説明し、広く意見を求めるとともに、今後とも開かれた研究所運営を目
指していくこととしている。
7
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.2 人材活用
1.2
人材活用
1.2.1
中期目標、中期計画及び年度計画の内容
［中期目標］
第２
業務運営の効率化に関する事項
２．人材活用
（１）職員の業績評価
職員の自発的な能力向上を促し、これを最大限発揮させるため、職員の業績評価を職務、職責、
社会ニーズへの貢献度等を勘案して、厳正かつ公正に行うこと。また、職員の自主性、自立性及び
創造性を尊重し、公平性を維持する観点から、業績評価結果に基づいて適切な処遇を行うこと。
（２）職員の任用
職員の採用と配置は、研究開発業務が高度な専門性を維持して効果的・効率的に実施されるとと
もに、研究所のポテンシャル向上が図られるよう、戦略的に実施すること。
特に若手研究者の任用については、多様な人材を確保し、資質・能力に応じた配置とすること。
（３）外部人材の活用
研究所のポテンシャル及び研究開発機能の向上を図るとともに、社会ニーズに迅速かつ的確に対
応するため、外部人材を研究者として積極的に活用すること。具体的には、任期付任用を最大限活
用することとし、他の研究機関・民間企業等との人材交流を中期目標期間中に２８名以上実施する
こと。
（４）人材の育成
今後、退職者の増加に伴い、研究所のポテンシャルが低下することを防ぐため、人材育成に関す
る長期計画を作成し、着実に実行すること。また、社会ニーズに的確に対応できる幅広い視野を持
つ研究者を育成すること。
［中期計画］
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
（２）人材活用
①職員の業績評価
職員の業績評価においては、職務、職責、社会ニーズへの貢献度等を的確に反映させる。また、
評価の実施状況を見ながら、必要に応じ制度の精査と改善を行う。
業績評価結果を処遇に適切に反映させることにより、職員の活性化と職務効率の向上を図る。
②職員の任用
効果的、効率的な研究体制を確立するため、研究員個人に蓄積された能力、経験及び研究所の今
後の研究開発課題等を勘案して適正な人員配置を行う。女性研究者の任用については、その拡大を
目指す。若手研究員の任用については、公募等の実施により多様な人材を確保するとともに、研究
課題の選定に当たっては資質・能力に応じた配置を行うことにより研究組織の活性化を図る。
③外部人材の活用
研究所のポテンシャル及び研究開発機能の向上を図るとともに、社会ニーズに迅速かつ的確に対
8
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.2 人材活用
応するため、国内外の研究機関・民間企業等から任期付研究員、非常勤研究員、客員研究員等を積
極的に受け入れる。具体的には、中期目標期間中に２８名以上実施する。
④人材の育成
今後、熟年研究者の退職に伴い、研究所のポテンシャルが低下することを防ぐため、人材育成に
関する長期計画を作成し、着実に実行する。また、研究部門以外のポストの経験や留学等により、
社会ニーズに的確に対応できる幅広い視野を持つ研究者を育成する。具体的には、中期目標期間中
に研究部門以外のポストへの配置や留学等を６名程度実施する。
［年度計画］
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
（２）人材活用
①職員の業績評価
職員の業績評価においては、職責、社会ニーズへの貢献度等を処遇に適切に反映させることによ
り、職員の活性化と職務効率の向上を図る。また、これまでの評価状況を再確認し、研究者のモチ
ベーションを高める観点から、必要があれば評価手法の改善策を検討する。
②職員の任用
研究所のポテンシャルマップを考慮して作成した中期目標期間の採用計画に基づき、平成 19 年
度の新規採用職員を航空交通管理領域に配置し、研究実施体制を強化する。また、平成 20 年 4 月
に新規採用する職員を募集、選考し、新規に開始する研究開発課題に応じて適切に研究員を配置す
る。女性研究員の任用の拡大を目指す。
③外部人材の活用
研究所のポテンシャル及び研究開発機能の向上を図るとともに、社会ニーズに迅速かつ的確に対
応するため、引き続き国内外の研究機関・民間企業等から任期付研究員、非常勤研究員、客員研究
員等を積極的に受け入れる。具体的には、任期付研究員 1 名の採用を含め、外部人材を 6 名以上活
用する。
④人材の育成
平成 18 年度に定めたキャリアパスに関する指針に基づき、ポテンシャルの高い研究者の長期的
な育成を目指す。また、幅広い視野を持って社会ニーズを把握し、これに対応する研究を企画でき
る人材を育成するため、企画部門に研究員 1 名を通年配置する。国際感覚を養い、国際的なリーダー
シップを執ることができる研究者を育成するため、海外派遣を 2 名以上実施する。
1.2.2
年度計画における目標設定の考え方
・ 職員の活性化と職務効率の向上を示す方法について検討し、業務評価における課題を確
認するとともに改善策について検討する。
・ 新規採用募集を公募により実施し、航空交通管理領域に 1 名を配置する。
・ 外部人材の活用にあたっては、研究所のポテンシャル向上を目指して積極的に受け入れ
ることとし、中期目標で設定された 28 名以上の目標値に対し、平成 19 年度の計画とし
て 6 名以上を設定する。
・ 国際的人材の育成、研究企画管理能力の向上及び研究レベルの向上を目指し、海外派遣
や企画部門への配置を行う。
9
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.2 人材活用
1.2.3
当該年度における実績
（１）職員の業績評価
職員の自発的な能力向上を促し、これを最大限発揮させるためには、職員の業績評価
を職務、職責、社会ニーズへの貢献度等を勘案して厳正かつ公正に行うとともに、業績
評価結果に基づいて適切な処遇を行う事が必要である。また、研究者のモチベーション
を高める観点から、随時業績評価における課題を確認するとともに、必要に応じて評価
手法の精査と改善を行う事が重要である。
職員の業績評価については、「独立行政法人電子航法研究所職員勤務評定実施規程」
及び「独立行政法人電子航法研究所職員勤務評定実施細則」に基づき実施しており、勤
務評定は定期評定及び特別評定の二つからなり、定期評定は毎年 3 月 1 日に実施し、そ
の結果を翌年度の勤勉手当（6 月期及び 12 月期）に反映している。
平成 19 年度においては、定期評定において評価基準及び評定ウェート配分等の再確
認を行い、業務管理能力及び人材育成能力等行動特性に対する比重が大きくなったため、
従来は行動特性 30％成果 70％としていた研究職 4 級から 6 級の評定ウェート配分をそ
れぞれ 50％に見直すこととした。これにより、管理者能力に対するスキルアップが図
られるとともに、より的確に評価を処遇に反映できることから、達を改正して平成 20
年 3 月以降の評定期間から適用することとした。
研究員の昇給区分については、個別業務の内容や難易度に応じて予め点数を設定し、
過去 1 年間の業務実績から当該点数の合計を求めて翌年度の昇給に反映できるよう、
「昇給区分決定にかかる方針について」を制定している。この制度は、研究所として具
体的にどの業務実績を重要視しているかを客観的に示すことができるのが特長で、各研
究員の点数を本人に提示することにより、透明性の確保にも配慮している。
平成 19 年度においては、副領域長以上の上位区分選定について、従来は部下の成績
を基準に選考していたが、人員や研究内容も異なること等を考慮すると現状にそぐわな
いことから、職責、貢献度等を考慮し理事長が特に認める場合のみ上位区分の評定とす
るよう制度を見直した。
このように、職員の業績評価は公平性及び公正性を維持しつつ、運用状況を点検しな
がら常に適正化を図ることが重要であり、平成 19 年度においても課題の把握から制度
改正まで迅速に対応した。なお、平成 17 年 3 月に現在の評価方法による運用を開始し
て約 3 年が経過したが、その結果、優れた成果を挙げた若手研究員が度々高く評価され
るなど、従来の一律公平的な評価から脱しつつあることが確認されている。
（２）職員の任用
研究開発業務が高度な専門性を維持して効果的・効率的に実施されるとともに、研究
所のポテンシャル向上が図られるよう、戦略的に職員を採用し配置することが求められ
ている。そのためには、研究員個人に蓄積された能力、経験及び研究所の今後の研究開
発課題等を勘案して適正な人員配置を行う事が必要である。
平成 19 年度においては、研究所のポテンシャルマップを考慮して作成した中期目標
期間の採用計画及び、女性研究員の拡大を目指す年度計画にしたがい 2 名の女性研究員
を積極的に採用し、うち 1 名を航空交通管理領域に配置して研究実施体制を強化した。
その結果、国際会議等における女性研究員の海外発表件数が平成 18 年度の 2 件（33 件
中）から 8 件（38 件中）と大幅に増加するなどの成果が現れている。また、ユーロコ
ントロール等海外機関において研究経験があるドイツ人研究者を航空交通管理領域の
研究員として採用し、この研究員が ATM モデリングに関するセミナーの企画や開催を通
10
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.2 人材活用
して ATM に係わる新たな情報や概念の紹介などを熱心に行った結果、英語による議論に
積極的に参加するきっかけが広まり、海外での研究発表に積極的に参加する成果にも繋
がっている。
一方、平成 20 年度の新規研究員採用においては多数の応募があり、書類選考後 5 名
を面接した結果、平成 20 年度の採用者 3 名を内定し、新規に開始する研究開発課題に
応じて適切に研究員を配置することとした。また、平成 21 年度においても研究員の採
用を予定しており、人事選考委員会にてどの研究分野を強化するか検討を行った上で、
研究所ホームページ、研究者人材データベース（JREC-IN）及び関係大学院において募
集した。
（３）外部人材の活用
電子航法研究所では、研究所のポテンシャル及び研究開発機能の向上を図るとともに、
社会ニーズに迅速かつ的確に対応するため、国内外の研究機関・民間企業等から任期付
研究員、非常勤研究員、客員研究員等を積極的に受け入れる方針としている。この内、
客員研究員は当研究所の知見では不足する専門知識を活用するために任用しているも
ので、産学官との連携強化の一環にもなっている。
平成 19 年度は、研究内容に応じて任期付研究員 2 名、客員研究員 9 名及び契約研究
員 18 名、合わせて 29 名の外部人材を活用した。任期付研究員としては、平成 18 年度
に採用した準天頂衛星システムに係る技術開発担当の 1 名に加え、平成 19 年度は電波
信号環境の研究を目的として 1 名を採用した。客員研究員については、下表に示すとお
り大学、民間企業、研究機関の専門家合計 9 名を任用した。
所属機関
研究内容
期間
役割、成果等
京都大学
GNSS 航法に及ぼす電離層擾乱
の影響に関する研究
1年
日本上空における電離層擾乱等について、理論的
知見を中心に電離層モデルの構築に貢献
名古屋大学
GNSS 航法に及ぼすプラズマバ
ブルの影響に関する研究
1年
日本上空、特に南西諸島方面におけるプラズマバ
ブルについて、移動や時間的変化の傾向に関する
研究及び与那国島観測施設の運用に貢献
㈱日本航空インターナシ
ョナル
携帯電子機器の航法機器への影
響に関する研究
1年
携帯電子機器の航法機器への影響に関する研究に
おいて、航空会社との調整及び情報収集を担当
全日本空輸㈱
同上
1年
同上
(財)労働科学研究所
航空管制官の作業計測及びモデ
ル化の研究
1年
管制官による主観評価実験等ワークロード測定、
管制業務の分析手法、認知心理学等について支援
㈱日本航空インターナシ
ョナル
航空機の運航に関するシミュ
レータ操作に対する技術支援
1年
航空機の運航に関するシミュレータ操作に対する
技術指導および、対空通信担当としてシミュレー
ション実験に参加
㈱日本航空インターナシ
ョナル
同上
1年
同上
㈱日本航空インターナシ
ョナル
同上
1年
同上
長崎大学
航空管制用二次監視レーダーの
追尾性能向上に関する研究
1年
SSR モード S の追尾機能の理論的解析により特性
を明らかにし、SSR の追尾性能向上に貢献
11
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.2 人材活用
契約研究員は、データ収集、解析や実験補助等を担当させることを目的として、特別
な専門知識や経験を有する者と契約して研究に従事させるもので、平成 19 年度におけ
る実績は、下表に示すとおり 11 件、18 名である。
No.
担当研究課題
人数
期間
業務担当等
研究計画の企画、立案及び研
究の実行
1
A-SMGC システムの研究
1
1年
2
高カテゴリ GBAS のアベイラビリティ向上と GNSS 新信号対応に
関する研究
1
3 ヶ月
3
ATM パフォーマンスの研究
1
6 ヶ月
4
携帯電子機器の航法機器への影響に関する研究
2
1年
5
今後の管制支援機能に関する研究
4
1年
6
433MHz アクティブ IC タグによる航法装置等への電磁干渉に関
する調査
1
6 ヶ月
実験支援、データ収集・分析
7
航空管制ヒューマンファクタに関する基礎研究
2
3 ヶ月
交信データの聞き取り、解析
8
航空交通管理における新管制運用方式に係る容量値に関する
研究
2
2 ヶ月
実験支援
9
静止衛星型衛星航法補強システムの 2 周波対応に関する研究
1
1年
10
スケールモデルによる ILS 高度化のための実証的研究
2
1年
11
SSR モード S の高度運用技術の研究
1
1年
データ解析
航空交通管理への統計的手法
の応用
実験支援、データ収集・分析、
報告書作成支援
交信データの聞き取り、解析、
シミュレーション実験補助
GPS ソフトウェア受信機アル
ゴリズムの開発、実験支援、
データ収集・分析
研究計画の企画、立案及び研
究の実行
信号処理ソフトウェアの作
成、実験データ収集・解析
（４）人材の育成
電子航法研究所の研究活動は、ICAO 等国際機関における技術標準の策定、国際会議
や国際学会への参加、海外からの情報収集など国際活動への参画が不可欠となっており、
その中には、アジア地域における電離層擾乱の GNSS 航法への影響など、我が国がリー
ダーシップを発揮しなければならない分野もある。このため、研究所としては、これま
で海外での研究発表や国際会議への参加を積極的に促進するとともに、英語研修、英語
プレゼンテーション研修等を実施してきたほか、各研究員には、技術的専門性以外にも
国際感覚を身につけることや国際的な人脈を築くことも求められることから、研究員の
留学や在外派遣についても力を入れて取組んできた。
平成 19 年度においては、電離層遅延の GPS に及ぼす影響の研究のため若手研究員が
ハワイ大学に長期留学し在外研究を行った。また、中堅の研究員は重要な研究テーマの
実施責任者を務めるなど長期間の留学が困難な状況にあることから、1 か月程度の短い
期間での留学制度を設けた結果、1 名の上席クラスの研究員を 1 か月間 DSNA（フランス）
の研究開発部門に派遣し共同研究を実施することができた。この成果としては、若手研
究員とは異なる視点で組織や研究文化を体験し、研究交流のみならず組織の構成や研究
管理のあり方など幅広く海外の組織に接する機会を得ることができ、研究所の中核とな
る人材育成に繋がった。
（５）大学における研究者育成への貢献
電子航法研究所の研究業務においては、共同研究という形で積極的に大学との連携を
図っているが、単に研究所の業務のためだけでなく、以下のような種々の活動を行い、
将来有望な研究者となるよう学生の育成にも努めている。
① インターンシップによる育成
12
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.2 人材活用
平成 19 年度より、研究体制の強化を図りつつ、合わせて社会全体に研究所の研究成
果を還元する観点から、大学院生を研修員として受け入れ、電子航法に係る研究を体験
してもらうインターンシップ制度を導入した。本制度による初の研修員として、電気通
信大学情報システム学研究科情報メディアシステム学専攻修士課程の学生 1 名を受け
入れ、当研究所の研究員の指導を受けながら、20 日間に亘り航空交通管理に関する研
究を行った。当該学生は、周囲の研究者とも交流を深めるなど研究領域にとけ込んで研
究を体験し、派遣元の電気通信大学の教授からも高い評価を頂いており、平成 20 年度
についても引き続き受け入れの要請が来ている。
② 連携大学院制度の活用による育成
平成 18 年度より、東京海洋大学の連携大学院制度により大学院海洋科学技術研究科
に以下の科目を創設し、電子航法研究所の研究員が客員教授・准教授となり、連携講
座として講義を行っている。
・博士前期課程・・・航法電子工学と交通管制工学
・博士後期課程・・・海上電波通信・監視工学及び交通安全工学
平成 19 年度は、電子航法研究所の研究員 3 名による講義を実施し、指導を行った。
③ 研究指導による育成
平成 18 年度より、大学院生が週数回電子航法研究所において指導を受けながら研究
を実施している。平成 19 年度は、日本大学の大学院生１名を受け入れ、当研究所研究
員による研究指導を受けながら自動従属監視機能の位置推定誤差に関する研究を実施
した。当該学生は、電子情報通信学会国際ワークショップ等において当該研究に関する
4 件の発表を行うなど、積極的に研究活動を行った。平成 20 年度も当該学生に対して
引き続き研究指導を行う予定である。
④ 大学院の講座による育成
平成 18 年度より、電子航法研究所の研究員が東京大学大学院特定研究客員大講座の
教授となり、大学院生の指導を行っている。平成 19 年度は週 1 回の講座を受け持ち、
航空交通管理に関する講義を実施した。なお、平成 18 年度に指導を行った学生が平成
19 年度より当研究所の研究員として採用され活躍しており、本活動が研究者の育成だ
けでなく、当研究所における優秀な研究員の確保に繫がる成果も生み出している。
⑤ 海外研修生（留学生）の育成
平成 17 年度以降、ENAC（フランス国立民間航空学院）との国際協力関係を構築して
きており留学生を受け入れている。平成 19 年度は、ENAC からの留学生 2 名（平成 19
年 2 月 14 日～7 月 27 日、平成 19 年 3 月 5 日～8 月 3 日）に対し技術指導を行った。ま
た、平成 20 年 3 月から 3 名の研修生を受け入れ研修を開始しており、留学生の育成に
積極的に取り組んでいる。
1.2.4
その他適切な評価を行う上で参考となり得る情報
（１）研究員の学会賞受賞
学会や国際会議における研究発表等が活性化する中、研究員の発表や活動が表彰され
る件数が増加している。平成 19 年度は、前年度の 2 件を上回る 4 件で表彰された。
日本航海学会第 115 回講演会（平成 18 年 10 月 11 日、富山市にて開催）で発表し、
日本航海学会論文集 116 号（平成 19 年 2 月）に掲載された航空交通管理領域・長岡栄
領域長と天井治主幹研究員の論文「複数の平行経路における横方向オフセットの横方向
衝突危険度への影響」が、日本航海学会論文賞を受賞した。この賞は、平成 18 年度の
日本航海学会論文集に掲載された優秀論文の著者に対して与えられるもので、当該学会
で最も権威ある賞である。
13
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.2 人材活用
ION GNSS 2007（米国航法学会 GNSS 会議、テキサス州フォートワースにて開催）に参
加した通信・航法・監視領域・坂井丈泰主任研究員の発表「MitigatingIonospheric
Threat Using Dense Monitoring Network（高密度なモニタ局ネットワークによる電離
層脅威の低減）
」が、ベストプレゼンテーション賞を受賞した。当該国際会議は、毎年
2000 人前後の参加者を集めており、衛星航法システムの分野における世界最大のイベ
ントとして広く認知されている。
【坂井主任研究員】
【天井主幹研究員（左）と長岡領域長（現研究企画統括）（右）】
電子情報通信学会宇宙・航行エレクトロニクス研究会主催の国際ワークショップ
（WSANE 2007、オーストラリアにて開催）で発表した通信・航法・監視領域・武市昇研
究 員 の 論 文 「 Tropospheric Delay Correction for the AugmentationSystem using
Quasi-Zenith Satellite System（準天頂衛星を利用した測位補強システムにおける対
流圏遅延補正）
」が、2007 年 IEEE（米国電気電子学会）AESJapan Chapter 優秀論文賞
を受賞した。この賞は、2007 年に開催された電子情報通信学会宇宙・航行エレクトロ
ニクス研究会の発表論文から特に優秀なものを 1 件選び、その著者に贈呈される。武市
研究員は、平成 18 年度にも第 50 回宇宙科学技術連合講演会（日本航空宇宙学会主催／
平成 18 年 11 月開催）で発表した論文「サブメータ級測位補正における対流遅延補正」
で若手奨励賞を受賞しており、2 年連続の受賞となった。
通信・航法・監視領域の福島荘之介主任研究員は、電子情報通信学会宇宙・航行エレ
クトロニスク（SANE）専門委員会の幹事（2005～2007 年）として、研究会（毎月）
・大
会・専門委員会の座長を務めるとともに、国際ワークショップ WSANE（中国西安・豪州
パース）の運営委員として中心的な役割を果たすなど、同委員会の活動に多大な貢献を
した。この功績に対して通信ソサイエティより活動功労賞が、また宇宙・航行エレクト
ロニクス（SANE）専門委員会より功労賞が贈呈された。
14
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.2 人材活用
【福島主任研究員】
【武市研究員】
（２）
研修等の実施について
電子航法研究所においては、職員及び研究員の能力向上を目的とした各種研修や施設
見学等を毎年実施しており、平成 19 年度に実施した研修等は次の表のとおりである。
実施日
内容・場所
人数
目的等
5 月 14 日，5 月 15 日
新規採用者研修
2
研究員としての自覚を促し、職業意識を
習得させる。
7 月 26 日
メンタルヘルス研修
30
職場内におけるメンタルヘルスについ
て。
8 月 22 日
健康管理に関する講演
24
産業医による個人における健康管理講
演。
9 月 20 日，9 月 27 日
TOEIC IP テスト（所内）
33
英語能力の向上。
9 月 28 日
傾聴訓練研修
13
管理職員向けの傾聴訓練研修。
10 月 18 日
FMS トレーニング（航空会社）
8
FMS のオペレーションに関する訓練。
11 月 30 日
セキュリティ基礎研修
32
「セキュリティに対する脅威」意識の向
上とセキュリティ対策の基礎を学ぶ。
12 月 7 日
機体メンテナンスセンター見学（航空会
社）
12
航空機の機体整備の実情を把握する。
12 月 20 日・21 日
アイデンティティ研修
55
モチベーション向上と業務改善に対する
発想・企画の創出。
3 月（4 日間）
英語プレゼンテーション研修
9
英語プレゼンテーションにおける表現
力、構成力等のスキル向上。
この内、平成 19 年度に初めて実施した「アイデンティティ研修」では、研究員自ら
が研究所の業務改善に結びつく企画を発表し、役員を含む全職員が研究所の業務運営を
15
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.2 人材活用
考える機会になるとともに、職員のモチベーション向上に繋がった。また、平成 17 年
度から実施している「FMS 研修」は、当研究所の対象が地上等の航空保安施設の機能・
性能の向上、安全向上を目指したものであるものの、それら施設の利用者である航空機
運航者の利活用の視点を欠いたままでは最善の研究成果を社会へ提供できないことか
ら開始したものであり、こうした研修の開始により、航空機運航者との連携強化に発展
するなど大きな成果となっている。さらに、平成 16 年度から実施している「英語プレ
ゼンテーション研修」では、研究員が自らの論文を用いた実習スタイルでの研修を実施
し、研究員の日頃からの疑問点が解消されるとともに語学力及びプレゼンスキルの向上
に大きく貢献した。研修参加者からも「国際会議において現地で即プレゼン資料が作れ
るようになった」「語学だけでなく国際会議におけるプレゼン作法についても参考にな
った」と好評で、これまでの研修が国際会議への参加回数増加や英語での研究発表件数
増加などの成果に結びついていることが裏付けられた。
一方、人的資源が大きな財産である研究所としては、職員の健康管理に繋がる各種研
修にも積極的に取り組んでいる。平成 19 年度に初めて実施した「メンタルヘルス研修」
では、カウンセラーによる心の健康づくりについて、メンタルヘルスの必要性、ストレ
スの仕組みや職場の人の心が病んでいる場合の見分け方とその対応方法を学ぶととも
に、ストレス度チェックリストを使いストレス度の自己評定も行った。また、傾聴訓練
も含めた研修と平成 19 年 11 月から毎月 2 回実施しているメンタルヘルス相談室により、
職員の心の健康の保持増進、心の不健康な状態への早期対応、円滑な職場復帰と再発の
防止の理解に努めている。
【アイデンティティ研修の様子】
16
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.3 業務運営
1.3
業務運営
1.3.1
中期目標、中期計画及び年度計画の内容
［中期目標］
第２
業務運営の効率化に関する事項
３．業務運営
（１）経費の縮減
①一般管理費（人件費、公租公課等の所要額計上を必要とする経費及び特殊要因により増減する
経費を除く。
）については、中期目標期間中に見込まれる当該経費総額（初年度の当該経費相当
分に５を乗じた額。）を６%程度抑制すること。
②業務経費（人件費、公租公課等の所要額計上を必要とする経費及び特殊要因により増減する経
費を除く。）については、中期目標期間中に見込まれる当該経費総額（初年度の当該経費相当分
に５を乗じた額。）を２%程度抑制すること。
③人件費※注）については、「行政改革の重要方針」（平成 17 年１２月２４日閣議決定）を踏ま
え、前中期目標期間の最終年度予算を基準として、本中期目標期間の最終年度までに国家公務員
に準じた人件費削減の取組を行うこと。また、国家公務員の給与構造改革を踏まえた役職員の給
与体系の見直しを進めること。
※注）対象となる「人件費」の範囲は、常勤役員及び常勤職員に支給する報酬（給与）、賞与、
その他の手当の合計額とし、退職手当、福利厚生費（法定福利費及び法定外福利費）、今後の人
事院勧告を踏まえた給与改定分は除く。
（２）予算及び人的資源の適正な管理
各研究開発課題に対する予算配分及び執行状況を適時把握することにより、予算管理の適正化
と業務運営の効率化を図ること。また、エフォート（研究専従率）の把握により、人的資源の有
効活用を図るとともに職員のコスト意識の徹底を行うこと。
［中期計画］
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
（３）業務運営
①一般管理費（人件費、公租公課等の所要額計上を必要とする経費及び特殊要因により増減する
経費を除く。
）については、業務の効率化など、経費の縮減に努め、中期目標期間中に見込まれ
る当該経費総額（初年度の当該経費相当分に５を乗じた額。）を６％程度抑制する。
②業務経費（人件費、公租公課等の所要額計上を必要とする経費及び特殊要因により増減する経
費を除く。）については、研究施設等の効率的な運用を更に進めることにより中期目標期間中に
見込まれる当該経費総額（初年度の当該経費相当分に５を乗じた額。
）を２％程度抑制する。
③人件費※注）については、「行政改革の重要方針」（平成 17 年１２月２４日閣議決定）を踏ま
え、前中期目標期間の最終年度予算を基準として、本中期目標期間の最終年度までに５％以上削
減する。また、国家公務員の給与構造改革を踏まえた役職員の給与体系の見直しを進める。
※注）対象となる「人件費」の範囲は、常勤役員及び常勤職員に支給する報酬（給与）、賞与、
その他の手当の合計額とし、退職手当、福利厚生費（法定福利費及び法定外福利費）、今後の人
事院勧告を踏まえた給与改定分は除く。
④予算及び人的資源の適正な管理については、各研究開発課題に対する予算配分及び執行状況を
17
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.3 業務運営
予算管理システム等により適時把握し、予算管理の適正化と業務運営の効率化を図る。また、エ
フォート（研究専従率）を正確に把握し、人的資源の有効活用と職員のコスト意識の向上を図る
とともに、研究に専念できるようなエフォートの質の向上を図る。
［年度計画］
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
（３）業務運営
所内ネットワーク、グループウェアソフトの活用を図りつつ、さらなる事務管理業務の電子化、
ペーパーレス化を推進し、平成 19 年度は研究所の保管文書の電子化を更に進める。また、契約
の透明性向上を図るため、国土交通省の「随意契約の見直し計画」に準じて、一般競争入札等へ
移行する。平成 19 年度は、以下のとおり経費を抑制する。
①
中期目標期間中に見込まれる一般管理費総額（人件費、公租公課等の所要額計上を必要と
する経費及び特殊要因により増減する経費を除く。）を 6％程度抑制する目標に対し、平成
19 年度において平成 18 年度予算比で 3％程度抑制する。
②
中期目標期間中に見込まれる業務経費総額（人件費、公租公課等の所要額計上を必要とす
る経費及び特殊要因により増減する経費を除く。）を 2％程度抑制する目標に対し、平成 19
年度において平成 18 年度予算比で 1％程度抑制する。
③
中期目標期間の最終年度までに、人件費※注）を平成 17 年度予算比で 5％以上削減する目
標に対し、中期計画に掲げた人事に関する計画のとおり平成 19 年度において平成 18 年度予
算比で 0.6％程度削減する。年功的な給与上昇を極力抑制するとともに職員の業績に応じた
昇給を行う。
※注）対象となる「人件費」の範囲は、常勤役員及び常勤職員に支給する報酬（給与）
、賞与、その他の手当の
合計額とし、退職手当、福利厚生費（法定福利費及び法定外福利費）、今後の人事院勧告を踏まえた給与
改定分は除く。
④
予算及び人的資源の適正な管理については、各研究開発課題に対する予算配分及び執行状
況を予算管理システム等により適時把握し、予算管理の適正化と業務運営の効率化を図る。
また、エフォート（研究専従率）を正確に把握し、人的資源の有効活用と職員のコスト意識
の向上を図る。
1.3.2
年度計画における目標設定の考え方
・ 事務管理業務の電子化が、一般管理費の削減や業務の効率化に寄与することから、所内
ネットワーク及びグループウェアソフトウェアの活用を継続して推進する。
・ 保管文書の電子化を推進する。
・ 年度当初より原則として一般競争入札を推進し、競争性、透明性を確保する。
・ 一般管理費については、平成 19 年度は平成 18 年度予算比で 3％程度を抑制する。
・ 業務経費については、平成 19 年度は平成 18 年度予算比で 1％程度を抑制する。
・ 人件費については、平成 19 年度は職員構成を考慮して平成 18 年度予算比で 0.6％程度
削減する。また、年功的な給与上昇を極力抑制するとともに職員の業績に応じた昇給を行う。
18
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.3 業務運営
1.3.3
当該年度における実績
（１）業務の効率化
①
事務管理業務の電子化、ペーパーレス化の推進
電子航法研究所においては、職員のスケジュール管理、共用文書の保管・参照、その
他情報の共有等を図るためのツールとして、グループウェアを導入しているほか、汎用
のデータベースソフトを用いて構築した予算管理システム等を利用して、事務管理業務
の電子化及びペーパーレス化を推進している。
平成 19 年度においては、資産管理業務の効率化を図るため、バーコードラベルを用
いた管理方式を導入した。このことにより、バーコードリーダーで読込んだ資産情報を
電子化された管理台帳に反映させるだけで、素早く正確に資産有無の確認が出来るよう
になり、棚卸し時の時間短縮及び適確な作業が可能となった。今後も定期的な棚卸しに
より、現物と管理台帳との整合性を引き続き図ることとしている。
また、所内ネットワーク及びグループウェアを活用し、引き続き情報伝達の迅速化を
図るとともに紙資源を節約した。さらに、各研究領域等で保管している文書について精
査を行い、これらの保管文書を電子化するための検討を進めている。
（２）一般管理費の抑制
平成 19 年度計画の予算において一般管理費は 51 百万円であるが、所要額計上を必要
とする経費及び特殊要因により増減する経費を除いた額は 40,510,000 円である。これ
に対して実績額は 40,494,467 円であったことから、一般管理費（所要額等を除く）の
抑制率（実績）は(1－40,494,467/40,510,000）×100 = 0.04(%)であった。
（平成 18 年
度所要額計上を必要とする経費等を除いた予算額 41,763,000 円に対する抑制率は
3.04(%)）したがって、平成 19 年度の目標であった「平成 18 年度予算比で 3％の抑制」
を達成した。
一般管理費の抑制では、リース車両を環境・高安全性対応車に変更し、レギュラーガ
ソリン対応・低燃費による燃料費の節約及び保険料の軽減など、経費の削減に努めるだ
けでなく、環境負荷の軽減にも配慮した。また、セダン型をワンボックス型に変更した
ことにより、研究用として多用されている業務用バンが不在時にも多数の人員、荷物輸
送用としてリース車を活用することができ、業務用バンを研究用途で有効活用できるな
ど業務の効率的な実施にも有効であった。
一方、複写機のカラー印刷については、繊細な表現を必要とするもの、多色によらな
ければ表現が難しいものといった広報物、研究報告等、真にやむを得ないものに限ると
して使用総量の制限を図り、経費の削減に努めた。加えて、複写機の保守単価が高かっ
た 2 台のリース契約を平成 19 年度末で終了とし、今後の経費削減を図った。
（３）業務経費の抑制
平成 19 年度計画の予算において業務経費は 891 百万円であるが、所要額計上を必要
とする経費及び特殊要因により増減する経費を除いた額は 817,722,000 円である。これ
に対して実績額は 775,765,696 円であったことから、業務経費（所要額等を除く）の抑
制率（実績）は、(1－775,765,696/817,722,000）×100 = 5.13(%)であった。（平成 18
年度所要額計上を必要とする経費等を除いた予算額 833,643,000 円に対する抑制率は
6.94(%)）したがって、平成 19 年度の目標であった「平成 18 年度予算比で 1％の抑制」
を達成した。
業務経費の抑制では、「航空機の安全運航支援技術に関する研究」の飛行実験に併せ
19
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.3 業務運営
て受託研究「携帯電話の機内使用に関する調査」に基づく実験を行うなど、経費の節約
と環境負荷への配慮にも努めた。
（４）人件費の削減等
①
人件費の削減
平成 19 年度における人件費の実績額は 739,197,301 円であるが、退職手当、福利厚
生費（法定福利費及び法定外福利費）を除いた額は 571,062,623 円であった。人件費削
減基準額（平成 17 年度決算）は 612,583,000 円であったことから、平成 17 年度に対す
る人件費（退職手当等を除く）の抑制率（実績）は、(1－571,062,623/612,583,000)
× 100 = 6.8(%) で あ っ た 。（ 平 成 18 年 度 退 職 手 当 、 福 利 厚 生 費 を 除 い た 予 算 額
602,697,000 円に対する抑制率は、5.25(%)）したがって、平成 19 年度の目標であった
「平成 18 年度予算比で 0.6％の削減」を達成した。
②
給与水準の引き下げ、年功的な給与上昇の抑制
人事院勧告により示された国家公務員の給与構造改革と同様の措置を当研究所にお
いても適用しており、昇給幅の抑制を継続して実施した。給与水準の適正化については、
対国家公務員指数が事務・技術職種で 103.5、研究職種で 104.2 となっている。
国に比べて給与水準が高くなっている理由は、次の通り。
事務・技術職種については、非常に少ない職員数で研究開発等事業を効率的かつ確実
に運営するため本府省職員との人事交流を行っており、当該職員は専門的な知見・能力
を必要とすることから本府省職員と同等に給与水準を設定しているところ、行政職俸給
表（一）の本府省職員の平均給与月額が行政職俸給表（一）の平均給与月額の 1.1 倍と
高くなっていることが起因している。
研究職種については、研究開発業務に係る高度な専門的知識・能力を持つ者に対して、
国に準拠した当所の給与規程に基づき管理職手当を支給しているが、支給対象者の割合
について、国の研究職が 76％であるのに対し、当所研究職員は調査対象 36 名中 31 名
（86％）と高い割合となっている。また、当所は、職務の専門性から高い学歴の職員が
多く、国の研究職の大学院修了者が 69％に対し、当所研究職員は 75％となっており、
それに応じて給与が高くなっていることも起因している。
解消の見通しとして、本府省職員との人事交流については、当研究所の業務運営にお
いて必要不可欠なものであり、また、管理職についても高度な専門的知識・能力を持つ
者を登用しているが、適正な給与水準とすべく人数構成比率の見直しを検討していくこ
ととしたい。
（５）予算及び人的資源の適正な管理
①
予算配分及び執行状況の適時把握
当研究所においては、予算の配分、予算執行状況の把握等を効率的に行うためのツー
ルとして平成 15 年度から予算管理システムを運用している。このシステムは、汎用の
データベースソフトを活用して職員が自ら構築したものであり、研究課題毎に予算の使
用計画を設定でき、購入契約及び出張計画の依頼から支払いまでを管理できるようにな
っている。また、年度途中において予算執行状況を適時確認したり、配分額の見直しを
実施したりできるようになっている。このシステムを利用することで、会計担当及び研
究員の作業負荷が軽減されている。
平成 19 年度においては、新たに発注書等の作成を予算管理システムに連動するよう
20
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.3 業務運営
にしたため、大量かつ正確な処理ができるようになった。
平成 19 年度の執行状況の把握としては、中間ヒアリング（10 月）実施後に予算の追
加要望等を取りまとめ、予算管理システムを活用して、各研究テーマの執行残を適宜把
握し追加要望へ配算作業を行った。
②
人的資源の適正な管理
平成 19 年度は、人件費及び要員を増やすことなく、限られた人的資源を有効活用す
ることで管理部門の業務執行体制を強化した。具体的には、資産管理業務の効率化を図
るためバーコードを用いた管理方式を導入し、併せて総務課要員を再配置して管財係を
設置し業務執行体制を強化した。一方、受託研究及び共同研究の増加への対応や知的財
産等の管理強化および、現時点では明確となっていないが国土交通省所管の 4 研究所統
合に伴う諸々の作業が発生することに備え、平成 20 年 4 月から企画課要員の再配置に
より企画第三係を設け、業務執行体制を強化することとした。
1.3.4
その他適切な評価を行う上で参考となり得る情報
（１）コンプライアンス強化
平成 19 年 2 月に「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」
（実施
基準）が制定され、平成 20 年度の科学技術振興費申請において、このガイドラインと
整合していることが必須とされた。電子航法研究所においては、すでに職務規程等によ
りこれらの不正対応について網羅しているとの認識であるものの、コンプライアンス強
化や内部統制の構築については、監事監査にて提言され検討を進めていたところであり、
こうした機運を受け、さらに組織的な体制を強化するため、内部統制の構築に向けた作
業を開始した。内部統制の構築にあたっては、コンサルタント会社の支援を受け、全職
員の協力のもと以下の検討作業を重ね、「内部統制報告書」として取りまとめた。
①所内規程の整備・運用状況の確認
②各種資料の分析等による内部統制の評価範囲の決定
③各種所内文書の精査、および理事長をはじめとする主な経営管理責任者よりのヒア
リングを通じた全所的内部統制状況の整理
④総務課および企画課の管理部門業務と各領域の研究業務について、その業務プロセ
ス等の文書化とリスクの洗い出しと整理
⑤①～④までの検討作業を通じて検出された内部統制上の不備についての組織的確
認
現時点においては、組織的に確認された内部統制上の不備について、その是正措置を
講じるべく、内部統制の実装に向けたコンプライアンスの仕組みづくり等に着手してい
る。また、官庁や企業等における情報漏洩が社会問題として取り上げられる中、特に所
内ネットワークの利用においては情報管理体制の強化が喫緊の課題であるとの認識の
もと、平成 18 年度に「情報セキュリティ管理規程」を整備したところであるが、平成
19 年度は「セキュリティ基礎研修」を実施して職員のセキュリティ意識の強化に努め
るとともに、「情報セキュリティ管理委員会」を立ち上げ、情報管理方法の検討や管理
状況の確認など情報管理体制の強化に努めた。
また、監事による監査では、内部統制への対応について、以下の報告を受けている。
「独立行政法人整理合理化計画において独立行政法人における内部統制の導入が示唆
されているなか、他の独立行政法人に先駆け当研究所では、内部統制の構築に向けた作
21
１．業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1.3 業務運営
業が開始されました。コンプライアンス並びにガバナンスの強化に向けた取り組みは高
く評価いたします。
」
（２）平成 19 年度契約について
平成 19 年度においては、少額随契以外は原則一般競争入札に移行することとした基
本方針を着実に実行することにより、一般競争入札は 122 件（55 件）、976,564 千円
（360,775 千円）と大幅の増となった。随意契約は 9 件（69 件）
、80,353 千円（585,004
千円）と大幅の減となっている。1 件あたりの平均落札率は、一般競争入札で 94.1%、
随意契約で 98.6%となっている。
随意契約 9 件のうち、4 件は一般競争入札を行ったものの、落札者が存在しなかった
ことによる不落随契である。残りの 5 件は、複写機の保守が 2 件、電子基準点データの
受信契約が 1 件、財務諸表の官報掲載契約が 1 件、当所の業務補助のための契約の 1 件
となっている。
随意契約の理由としては、複写機の保守は導入当初に複数年を前提とした契約となっ
ていることによる。電子基準点データの受信については、当該データの配信が（社）日
本測量協会のみが配信しているためである。財務諸表の官報掲載については、東京官書
普及（株）が国立印刷局より指定されているためである。当所の補助業務については、
（社）三鷹市シルバー人材センターと契約しているが、当該法人は公共性、公益性の高
い法人であり、地域の高齢者の雇用安定促進に寄与するためである。但し、これらにつ
いても随意契約の見直しにより、電子基準点のデータ配信及び財務諸表の官報掲載以外
の案件は、平成 20 年度において一般競争入札等に移行することとしている。
これまで随意契約であったものから競争入札に移行した事例としては、産業廃棄物の
処理業務があげられる。平成 18 年度までは、1 回の処理で 1 契約としていたが、年間
通しての一般競争入札とすることにより、単価の減及び事務処理量の減となった。また、
平成 18 年度以前に随意契約をしている案件のほとんどが、互換性、仕様等の熟知又は
その者のみの販売であるという理由からであったが、それらも原則一般競争入札に移行
した。
上記、一般競争入札を推進し確実な履行を期するため、職員に対して仕様書等の説明
会を実施した。また、調達ルールの透明化、コスト削減を行うこととし、手引書等を職
員に周知するとともに、
「随意契約見直し計画」を電子航法研究所の HP 上に公開し、当
研究所が一般競争入札を推進していることを広く周知した。
また、監事による監査では、契約の締結および執行の状況について、以下の報告を受
けている。
「契約については、年度計画に沿ってほぼ計画どおりに執行されております。
特に契約方法については、一般競争入札を基本とし公告並びに入札等適切に実施されて
いることを認めます。
」
【平成 19 年度の契約状況】
件数（H19）
件数（H18）
金額（H19）
金額（H18）
落札率
一般競争入札
122(5)注
55
976,564 千円
360,775 千円
94.1％
随意契約
9
69
80,353 千円
585,004 千円
98.6％
注）カッコ内は随意契約から一般競争入札に移行した件数
22
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
２． 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するた
めとるべき措置
2.1
社会ニーズに対応した研究開発の重点化
2.1.1
中期目標、中期計画及び年度計画の内容
［中期目標］
第３
国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
１．社会ニーズに対応するための研究開発の戦略的・重点的な実施、研究実施過程における措置
研究所が実施する研究開発の基本的な考え方は次のとおりとする。
（１）社会ニーズに対応した研究開発の重点化
増大する航空交通量への対応等、社会ニーズに対応するための研究開発を重点的に実施するこ
と。具体的には、航空交通の安全性向上と、空港及び航空路における交通容量拡大を図るため、
より高度な航空交通管理手法の開発及び評価に係る研究開発を重点的に実施すること。また、よ
り高度な航空交通管理の実現に寄与し、より安全かつ効率的な航空機運航の実現に資するため、
衛星・データ通信等の新技術を採り入れた通信・航法・監視システムの整備、運用及び利用に係
る研究開発を行うこと。これらの研究開発成果は、RNAV（広域航法）の導入、航空路・空域再編
等による航空路・空域容量の拡大、大都市圏拠点空港及びその周辺の空域容量の拡大、異常接近
予防やヒューマンエラー予防等の予防安全技術と衛星・データ通信等の新技術の導入による安全
かつ効率的な航空交通をそれぞれ達成するため、国土交通省航空局が実施する航空管制業務や航
空保安システムの整備等において、技術的に実用・活用可能であるものを目指すこと。
具体的な研究開発課題の設定にあたっては、社会ニーズを十分に把握し、関係者と調整を図る
とともに、有用性、有益性及び将来的な発展性を十分考慮すること。また、研究開発の目的及び
目標を明確かつ具体的に定めるとともに、特に重要性及び優先度が高い課題については、重点研
究開発分野として位置付け、戦略的かつ重点的に取り組むこと。
［中期計画］
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべ
き措置
（１）社会ニーズに対応した研究開発の重点化
研究所の目的を踏まえ、より質の高い研究成果を提供することにより、安全・安心・便利な航
空交通を求める社会ニーズに適切に対応するため、以下に掲げる３つの重点研究開発分野を設定
し、戦略的かつ重点的に実施する。
①空域の有効利用及び航空路の容量拡大に関する研究開発
増大する航空交通量に対応するため、空域の有効利用及び航空路の容量拡大を図る必要がある
ことから、RNAV（広域航法）、スカイハイウェイ計画等、新たな管制方式・運航方式を導入した
ときの航空交通容量への影響及び効果を推定し、容量値算定のための技術資料を作成する。また、
これらの導入に必要な安全性評価を実施し、最低経路間隔等の基準作成に貢献する。その他、増
大する航空交通量を安全に管理するため SSR モード S システムの高度化技術の開発、並びに RNAV
等を支える衛星航法の実現に向けた研究開発等を実施する。
②混雑空港の容量拡大に関する研究開発
増大する航空交通量に対応するため、混雑空港の処理容量及びその周辺空域の容量拡大を図る
23
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
必要があることから、空港周辺の飛行経路及び管制官が管轄するセクター構成の改善技術を開発
し、混雑空港周辺の空域再編及び新たな管制方式の導入等に貢献する。また、航空機等のより安
全で円滑な地上走行に対応するため、多様な監視センサーデータの統合化技術を開発する。その
他、衛星航法を用いて空港への精密進入を支援する技術を開発し、実運用機材の調達や運用にお
いて活用できるようにする。
③予防安全技術・新技術による安全性・効率性向上に関する研究開発
航空交通の安全性・効率性を向上させるため、航空機に搭載している飛行管理システムデータ
を用いた飛行プロファイルの高精度予測手法の開発、及びそれを用いた異常接近検出手法を開発
する。また、携帯電子機器を航空機内で使用するために必要となる機上装置への安全性認証のた
めの技術資料を作成する。その他、ヒューマンエラー防止のための疲労の早期検出技術を開発す
る。
具体的な研究開発課題の設定にあたっては、社会ニーズを十分に把握し、行政、運航者及び空
港管理者等の関係者と調整を図るとともに、有用性、有益性及び将来的な発展性を十分考慮する。
また、研究開発の目的及び目標を明確かつ具体的に定める。
［年度計画］
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべ
き措置
（１）社会ニーズに対応した研究開発の重点化
安全・安心・便利な航空交通を求める社会ニーズに適切に対応するため、中期計画において設
定した以下に掲げる 3 つの重点研究開発分野に関する研究開発を戦略的かつ重点的に実施する。
①
空域の有効利用及び航空路の容量拡大に関する研究開発
増大する航空交通量に対応するため、空域の有効利用及び航空路の容量拡大を図る必要がある
ことから、RNAV（広域航法）、スカイハイウェイ計画等、新たな管制方式・運航方式を導入した
ときの航空交通容量への影響及び効果を推定し、容量値算定のための技術資料を作成する。また、
これらの導入に必要な安全性評価を実施し、最低経路間隔等の基準作成に貢献する。その他、増
大する航空交通量を安全に管理するため SSR モード S システムの高度化技術の開発、並びに RNAV
等を支える衛星航法の実現に向けた研究開発等を実施する。
具体的には、平成 19 年度に以下の研究を実施する。
ア．航空交通管理における新管制運用方式に係る容量値に関する研究（平成 16 年度～19 年度）
（年度目標）
平成 18 年度に作成したアルゴリズムに容量値算定に関する新たなアルゴリズムを追加し、よ
り正確な計算方法の提案を目指す。また、スカイハイウェイが導入された場合のシミュレーショ
ンを実施し、その導入効果の影響と容量値の計算方法について提案する。
イ．静止衛星型衛星航法補強システムの 2 周波対応に関する研究（平成 16 年度～19 年度）
（年度目標）
平成 18 年度までに開発した 2 周波対応 GPS 受信機を用いて、カテゴリⅠ精密進入の性能評価
を行う。また、1 周波 SBAS により、我が国における APV（垂直誘導付進入）の達成を目指して、
新しい電離層遅延量補正アルゴリズムの有効性を明確にする。
ウ．RNAV 経路導入のための空域安全性評価の研究（平成 18 年度～20 年度）
24
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
（年度目標）
レーダー監視下における航空路 RNAV の安全性評価手法について、諸外国の状況を調査し、日
本の航空交通状況を考慮した航空路 RNAV の安全性評価手法を開発する。また、この手法を用い
て、国土交通省が導入を検討している航空路 RNAV 経路の最低経路間間隔の根拠を明確にし、安
全性を評価する。
エ．SSR モード S の高度運用技術の研究（平成 18 年度～22 年度）
（年度目標）
SSR モード S の高度な運用技術を確立するため、SSR モード S 地上局を研究所内に整備し、評
価実験を行う。また、航空機の動態情報を取得するための技術開発を目指し、岩沼及び調布のモー
ド S 地上局を用いて実際に飛行している航空機のトランスポンダから送信されるデータを調査、
分析する。
オ．ATM パフォーマンスの研究（平成 19 年度～22 年度）
（年度目標）
本研究は、我が国の航空交通管理の能力（パフォーマンス）を評価する技術を開発するため、
その測定手法を検討するものである。平成 19 年度は、効率性、安全性などの観点からパフォー
マンス指標となる項目を選定し、その予測手法を検討する。また、実運用データベース機能を中
核としたパフォーマンス評価システムの基本設計を実施し、その製作を開始する。
②
混雑空港の容量拡大に関する研究開発
増大する航空交通量に対応するため、混雑空港の処理容量及びその周辺空域の容量拡大を図る
必要があることから、空港周辺の飛行経路及び管制官が管轄するセクター構成の改善技術を開発
し、混雑空港周辺の空域再編及び新たな管制方式の導入等に貢献する。また、航空機等のより安
全で円滑な地上走行に対応するため、多様な監視センサデータの統合化技術を開発する。その他、
衛星航法を用いて空港への精密進入を支援する技術を開発し、実運用機材の調達や運用において
活用できるようにする。
具体的には、平成 19 年度に以下の研究を実施する。
ア．A-SMGC システムの研究（平成 16 年度～20 年度）
（年度目標）
複数の監視センサを融合した統合型空港面監視センサの実地検証を行う。経路設定機能とし
て、半自動経路生成機能を開発する。また、推奨経路生成処理アルゴリズムを開発し、実際の運
航状況との比較によりその妥当性を検証する。複数の航空機を灯火誘導できるシステムにするた
め、誘導機能の向上を図る。滑走路誤進入およびコンフリクトの発生を防止するため、管制機能
の処理アルゴリズムを開発する。
イ．高カテゴリ GBAS のアベイラビリティ向上と GNSS 新信号対応に関する研究
（平成 17 年度～20 年度）
（年度目標）
電離層擾乱などによる誤差要因を計測し、その影響を監視・低減するアルゴリズムを検討する。
主たる誤差要因のモデル化とシナリオ作成を行い、シミュレーションソフトウェアを製作する。
また、GPS 信号品質監視（SQM）装置の評価を実施するとともに、新たに導入される周波数の信
号（SBAS L1,GPS L5,GALILEO L1 など）について解析する。
ウ．今後の管制支援機能に関する研究（平成 18 年度～19 年度）
25
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
（年度目標）
管制運用方式に時間管理機能を導入（4D 管制）する際の課題を分析する。また、評価ツール
等を使用して羽田空港における到着機の位置予測誤差、時間誤差を解析し、位置予測精度の向上
を図る。これらにより、空域再編する際の改善手法や時間管理機能の導入効果を明らかにする。
③
予防安全技術・新技術による安全性・効率性向上に関する研究開発
航空交通の安全性・効率性を向上させるため、航空機に搭載している飛行管理システムのデー
タを用いた飛行プロファイルの高精度予測手法の開発、及びこれを用いた異常接近検出手法を開
発する。また、携帯電子機器を航空機内で使用するために必要となる機上装置への安全性認証の
ための技術資料を作成する。その他、ヒューマンエラー防止のための疲労の早期検出技術を開発
する。
具体的には、平成 19 年度に以下の研究を実施する。
ア．無線測位におけるマルチパス誤差低減に関する研究（平成 16 年度～19 年度）
（年度目標）
マルチパス（多重反射）の影響が大きい場所における測位誤差について、6m 以下を実現する
ため、受信機検出部のソフトウエア等を改良する。また、空港内における測位実験によりその性
能を検証する。
イ．航空機の動態情報を利用するコンフリクト検出手法の研究（平成 16 年度～20 年度）
（年度目標）
航空機の予測経路と実飛行経路の差異を検出する機能を開発する。飛行計画経路、飛行管理シ
ステム（FMS）のデータを使用した予測経路、レーダデータ等を解析し、コンフリクト検出の機
能向上に必要となる「予測方法の最適化」を検討する。また、製作したコンフリクト検出評価シ
ステムの機能向上を図る。
ウ．航空管制用デジタル通信ネットワークシステムの研究（平成 17 年度～20 年度）
（年度目標）
ES（エンドシステム）に平成 18 年度開発した機能を付加し、IP 網との相互接続を図る。平成
18 年度に試作した ATN ルータを用いて、米国連邦航空局と接続実験を行い、互換性を確認する。
また、CPDLC（管制官－パイロット間データリンク通信）対応の管制卓を試作し予備実験を行う。
さらに、現状の空/地データリンクにおける通信容量等を解析し、新しい通信方式を評価するた
めのシミュレーションモデルを開発する。
エ．航空無線航法用周波数の電波信号環境に関する研究（平成 17 年度～21 年度）
（年度目標）
航空無線航法周波数帯域の利用動向と ASAS（航空機間隔支援システム）の要件について調査
を行う。また、平成 18 年度に製作した広帯域電波信号環境測定装置の性能を向上させ、測定精
度と信号環境予測誤差要因を検証する。さらに、ADS-B（放送型自動位置情報伝送・監視）や TIS-B
（トラフィック情報サービス放送）等の新システムの信号環境予測に必要なシミュレーション手
法を開発する。
オ．携帯電子機器の航法機器への影響に関する研究（平成 18 年度～20 年度）
（年度目標）
電磁干渉障害を受けやすい機上システムや電波干渉障害を引き起こしやすい携帯電子機器
26
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
（PED）の特性等を明らかにする。航空機内における実測により PED からの電波が機上システム
に到達する経路と電波伝搬損失（経路損失）を究明する。アクティブ IC タグや携帯電話等から
放射される電波と等価な信号の発生技術を確立する。機上システムに障害を与える可能性が高い
機内の異常電波を検出する装置の仕様を検討する。
カ．航空機の安全運航支援技術に関する研究（平成 19 年度～22 年度）
（年度目標）
航空管制機関から安全に関わる情報を自動送信する方式「1090MHz 拡張スキッタによる TIS-B
（トラフィック情報サービス放送）及び FIS-B（飛行情報サービス放送）」の実現に必要な地上
送受信機能と、航空機側の受信表示機能の開発に着手する。また、低高度における電波伝搬・覆
域計算法に関する調査・検討を行う。
また、ヒューマンエラー防止のための疲労の早期検出技術を開発するため、国土交通省から委
託を受けて「ヒューマンエラー事故防止技術に係る心身状態のモニタリング手法の開発」を実施
する。
2.1.2
年度計画における目標設定の考え方
研究所が実施する研究については、研究課題毎に研究計画書を作成して管理しており、
平成 19 年度の実施内容に基づいて年度目標を設定する。
2.1.3
当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し
（１）社会ニーズに対応した研究開発の重点化
平成 18 年度からの第 2 期中期目標期間では、安全を確保しながら廉価で利便性や効
率性や定時性を求める利用者（納税者）の社会ニーズの実現に向けて、目的達成のため
の目標を明確にし、基盤としてのハード主体からソフトを中核とした研究へ重点をシフ
トさせることとした。これにより、従来から進めてきたインフラに係る研究も有効に活
用しつつ航空交通管理を支援する研究を飛行フェーズに沿って重点研究分野として整
理することとした。具体的には我が国に於いては羽田等の大都市空港における需要に応
えることが強く求められていることから、出発進入着陸フェーズでは「②混雑空港の容
量拡大」を図ると共に、その間の巡航等フェーズでは「①空域の有効利用・航空路の容
量拡大」を、全ての飛行フェーズを通じてヒューマンエラー防止等の「③予防安全等」
に努めることを重点研究分野の 3 本柱としている。
①
空域の有効利用及び航空路の容量拡大に関する研究開発
ア．航空交通管理における新管制運用方式に係る容量値に関する研究
（平成 16 年度～19 年度）
【研究の意義】
現在、航空交通流管理（ATFM）で用いている航空路セクタの容量はレーダ管制官の実
測作業量から算出されている。近年、航空交通量の増大により混雑セクタでは定常的に
遅延が発生し、今後も更なる遅延の増加が懸念されている。そのため、セクタ再編や
RNAV（広域航法）、スカイハイウェイ計画等、新たな管制方式・運航方式の導入による
空域の有効利用及び容量拡大を図ることが喫緊の課題となっている。これらの導入に際
27
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
しては航空交通容量への影響及び効果を定量的に予測可能とすることが重要である。
本研究では管制官の作業量等を詳細に分析し、航空路セクタの容量値推定および設定
方法を検討する。また、航空路管制シミュレータを改修するとともに航空交通流管理シ
ミュレータを製作する。本研究前半ではこれらを用いて短縮垂直間隔（RVSM）の導入効
果を検証したがそこで得られた知見を活用しつつ、航空路再編など今後の新たな運用方
式を想定した計算機シミュレーションおよびリアルタイムシミュレーションを代表的
なセクタで行い、その結果に基づく、導入効果（取り扱い機数の増大）の定量化を図る。
さらに、この様な多大な労力と時間を要する管制作業量の計測を必要としない、より一
般化した容量値の予測アルゴリズムの作成についても検討・提案する。
【平成 19 年度の目標】
現在の容量値の計算法を改良したアルゴリズムを作成し、遅延がどのように変化する
か現在の計算法と比較、検討することにより、より正確な計算方法の提案を目指す。ま
た、新しい管制運用方式であるスカイハイウェイを導入するときには、航空路管制セク
タの高度分割が検討課題となる。セクタを高度分割したときの効果や、分割高度による
差を、リアルタイムシミュレーションにより予測する。
【平成 19 年度の成果】
¾
容量値の計算法を改良したアルゴリズムの作成
航空機の航空管制上の分類方法として、現在はジェット機、ターボプロップ機それぞ
れ 4 種類（出発、到着、通過、域内）に分類している。ユーロコントロールなどで行わ
れている方法と比較・検討ができるように、入域機数による交通量の予測機能や同時管
制機数による予測機能を追加した。また、平成 18 年度は経路や空港による遅延割り当
て順の重み付けを追加したが、さらに、経路ごとに遅延最大値の設定を可能とした。そ
の機能により、例えば羽田空港からの出発機の遅延最大値を設定し、羽田出発機の遅延
を減らすことができる。
¾
航空路管制セクタの高度分割による効果
R-NAV 経路の増加に対応して、スカイハイウェイの導入が検討されている。高度で管
制空域を分割した場合、分割高度による管制上の効果を、平成 18 年度に行ったファス
トタイムシミュレーションにより検証した。その結果、分割高度により効果は異なるこ
とがわかり、近畿西セクタと北陸セクタの空域を対象に、上下分割に関するリアルタイ
ムシミュレーションを行った。シミュレーションでは FL260（飛行高度 26,000 フィー
ト）、FL320 の２つの分割高度について、管制機数や作業量を比較した。その結果、分
割の影響として分割高度付近の高度で飛行する航空機についての調整業務が増加した。
FL260 での分割は交通量の偏りが認められたが、FL320 での分割は交通量を適切に分割
し、管制作業量も適切に分配された。また、到着機の降下プロファイルもよりプロファ
イルディセント（燃料効率の良い理想的な降下）に近い降下ができるようになった。こ
れにより燃料の削減効果が期待できる。この結果をもとに、他空域の高度分割の検討を
進める。
28
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
500
400
300
T21
T28_FL260
T28_FL320
200
100
0
50
100
150
図 2.1 関西到着機の高度プロファイル
解説：グラフは近畿西セクタから関西ターミナル空域への移管点である，SAEKI（佐伯）という地点まで
の降下プロファイルである．SAEKI での移管高度は FL160 である．3 種類のセクタ構成での降下をプロッ
トした．紺色は現行のセクタ構成，緑色は近畿西セクタ＋北陸セクタを FL260 で分割したもの，桃色は
FL320 で分割したものを示す．紺色に比べ，緑色は水平飛行部分が増加しているが，桃色では水平飛行は
減少し，プロファイルディセントに近い降下が多くなっていることがわかる．特に緑色は他の交通流との
関連もあり，早めに降下させる場合が多かった。
¾
新しい ATFM への展望
現在の ATFM では管制官作業量の予測を行うために、パラメータを定義しているが、
このパラメータを算出するために、レーダデータ、音声データなどの解析を行っている。
この算出作業は膨大な時間を要するため、作業量予測の方法も含め、新しい ATFM のア
ルゴリズムの開発が望まれている。平成 18 年度に、関連機数による管制官の作業量の
予測機能を追加している。この予測方法は航空機の入出域位置から各航空機の潜在的な
近接の確率を求め、それをもとに管制官作業量を予測するものである。平成 19 年度に
は、その予測精度を高めた。この方法で現行の方法との整合性が確認されたとともに、
いくつかのセクタでは共通パラメータが見出された。提案手法での全セクタ共通のパラ
メータが見出されれば、セクタ再編時のパラメータ変更作業が迅速化できる。以上のよ
うに新しい ATFM への展望が開けつつある。
イ．静止衛星型衛星航法補強システムの 2 周波対応に関する研究（平成 16 年度～19 年度）
【研究の意義】
空域の有効利用・航空路の容量拡大に有効な RNAV 等を導入するため、全ての運航フ
ェーズをシームレスでサポート可能な衛星航法の導入が期待されている。現在の静止衛
星型衛星航法補強システム（SBAS）は 1 周波しか使用しないことから、電離層活動の影
響を受け易く、航空機の精密進入に使用するためにはインテグリティ、アベイラビリテ
ィが不足している。このため、GPS の新たな周波数（L5）の追加による性能向上計画と
合わせて SBAS の 2 周波対応によってインテグリティ、
アベイラビリティの改善を図り、
精密進入を実現できれば、就航率の改善等、航空利用者の大幅な利便向上に貢献できる。
さらに、電離層活動においても日本及び東南アジアは磁気低緯度に位置し、測位誤差に
29
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
及ぼす影響が大きく、米国や欧州の状況と異なり、日本独自の立場から 2 周波を利用し
た SBAS の精度、インテグリティ、アベイラビリティへの影響を研究する必要がある。
本研究では、カテゴリⅠ精密進入に必要な 2 周波対応の電離層誤差補正及びインテグ
リティ情報生成アルゴリズムの開発を行う。また、新たなシステムの構成及び機能要件
について定量的な検討を行うための性能評価ツール（SVM）を開発し、予測されるイン
テグリティ、及びアベイラビリティの達成レベルを評価する。さらに、電離層モデルの
比較検討、データ同化による電離層モデルの精度向上により、電離層遅延測定信頼範囲
を改善する。
【平成 19 年度の目標】
平成 18 年度までに開発した 2 周波対応 GPS 受信機を用いて、カテゴリⅠ精密進入の性
能評価を行う。また、1 周波 SBAS により、我が国における APV（垂直誘導付進入）、LPV-200
の達成を目指して、新しい電離層遅延量補正アルゴリズムの有効性を明確にする。
【平成 19 年度の成果】
¾
2 周波受信機の電離層補正及びインテグリティ算出アルゴリズム検討・開発：
2 周波電離層補正値、インテグリティ情報算出のために 2 周波の擬似距離及び搬送波
位相情報を利用する機能の検討、追加を行った。実データを収集して測位性能、電離層
インテグリティ情報の評価を実施し、SBAS 補正と 2 周波による電離層遅延補正の組み
合わせで、電離層遅延誤差範囲が小さくなり垂直保護レベル（VPL）が半分以下となり、
2 周波化により既存アルゴリズムでもカテゴリ I 進入が可能であることを示した。
¾
SBAS 性能評価ツール（SVM）の改良、アベイラビリティの達成レベルの評価：
MSAS 性能向上に使用される可能性のある電離層アルゴリズムおよび電子航法研究所
提案の電離層アルゴリズムを組み込むための SVM の改修を行った。また、実データによ
る電離層嵐検出方法、遅延量変動範囲の検討を行った。これにより、2 周波及び 1 周波
システムによるカテゴリ I 進入のための誤差配分の設定、地上監視局配置の検討が可能
となり、カテゴリ I 進入等のシミュレーションによる定量的な評価が可能となった。
¾
1 周波利用の SBAS における APV および LPV200 アベイラビリティ達成のための電離層補
正誤差予測アルゴリズムの改良：
現状の MSAS に実装されているアルゴリズム、次期 WAAS に実装されるアルゴリズム、
電子航法研究所で提案しているアルゴリズムの電離層補正誤差推定の性能評価を行っ
た結果、電子航法研究所で提案しているアルゴリズムと監視局を 4 局追加することで、
日本全国で APV-I アベイラビリティを達成する見通しを得た。また、LPV200 について
も南西諸島を除きアベイラビリティ達成の見通しを得た。
CAT-Ⅰ
APV-I
LPV200
200ft～
30
250ft～
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
現状 MSAS APV-I アベイラビリティ（6 監視局）
改良アルゴリズム MSAS APV-I
アベイラビリティ（10 監視局）
改良アルゴリズム MSAS LPV200
アベイラビリティ（10 監視局）
図 2.2 MSAS の電離層誤差補正アルゴリズムに関する地上監視局の配置構成の検討例
解説：現状国内に 6 箇所にある MSAS 監視局に 4 局を増加して合計 10 局（現状局：札幌、常陸太田、東
京、神戸、福岡、那覇、追加局：稚内、女満別、宮古島、石垣島）とした場合の 1 周波 MSAS のアベイ
ラビリティについての予測結果。上図は現在の 6 監視局での MSAS APV-I アベイラビリティで、本土で
50-98％である。左図は APV-I で、ほぼ日本全体でアベイラビリティ 99.9%以上を満たす。右図はカテ
ゴリ I とほぼ同等の精密進入を実現する LPV200 の結果で、本州地域で 99.9%以上のアベイラビリティ
の達成が見込まれることを示す。この様に、電子航法研究所提案の電離層誤差補正アルゴリズムと WAAS
アルゴリズムの組み合わせ、ならびに、監視局を 4 箇所追加することにより APV-I、LPV200 が日本でも
可能であることが示された。
31
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
ウ．RNAV 経路導入のための空域安全性評価の研究（平成 18 年度～20 年度）
【研究の意義】
増大する航空交通量に対応するため、空域の有効利用及び航空路の容量拡大を図る必
要があることから、航空局は RNAV（広域航法）
、スカイハイウェイ計画等、新たな管制
方式・運航方式の導入を計画・整備している。しかし、これらの導入には空域管理国の
義務として、ICAO 基準に基づき安全性評価を行う必要があり、RNAV の展開には効率性
だけではなく安全性が保証された最小経路間隔等の基準作成が課題となっている。
本研究では、RNAV 導入時の安全性を評価する手法について調査・研究を行うととも
に、事前に RNAV 導入を想定した安全性評価を行う。具体的には、衝突リスクの許容値
である目標安全度（5×10-9［件／飛行時間］
）を満たすようにして安全性を保持しつつ、
効率性の向上に寄与する管制間隔基準の短縮の検討や最小経路間隔の導出を行う。これ
らの検討結果をまとめ、最小経路間隔の設定等の根拠となる技術資料を作成する。
【平成 19 年度の目標】
レーダ監視下における航空路 RNAV の安全性評価手法について、諸外国の状況を調査
するとともに日本の航空交通状況を考慮した航空路 RNAV の安全性評価手法を開発する。
また、この手法を用いて衝突リスクを推定し、国土交通省が導入を検討している航空路
RNAV の安全性を評価する。
【平成 19 年度の成果】
32
¾
航空路 RNAV の安全性評価に使用する衝突リスクモデルについて検討した結果、衝突リ
スクの計算式ならびに横方向重畳確率（横方向で一定距離離れた航空機対が重なる確
率）以外のパラメータについては既存のモデルが適用可能であるという結論を得た。
¾
横方向重畳確率については、分布を横に引き伸ばすことにより実測分布から RNAV X（X
は、1 や 5 など）の最大許容値である飛行時間の 95％が X NM である航空機の分布を推
定する手法を開発した。
¾
上記手法を用いて RNAV1 承認機に対する平行経路間隔 10NM の安全性について検討した。
その結果、進行方向が同じ（同航）一方通行の平行経路の場合、同航近接通過頻度が
12.4［機／飛行時間］以下ならば目標安全度（安全と見なせる衝突リスクの最大許容値）
を満たすことが分かった。同航近接通過頻度が現実にそのような値になることはまず考
えられないため、安全と見なせるという結論を得た。
¾
平行経路における交通流のファストタイムシミュレーションプログラムを作成した。航
空路において経路を 5 本まで増やしたときの交通流の模擬が可能となった。模擬された
交通流において隣接経路を飛行する航空機のすれ違い頻度（近接通過頻度）も推定する
ように作成したが、現時点では推定値の詳細なチェックが必要な段階である。
¾
本研究では統計処理を目的としてデータを使用するため、膨大なデータが必要となる。
このため、早い時点からデータを収集しておく必要がある。そこで平成 20 年度以降に
おける研究で利用する目的で、RNAV 到着経路における航空機の横方向経路逸脱量（横
方向の航法精度）の分布について、高松空港のターミナルレーダ文字情報表示システム
（TRAD）のデータ及び運航票を用いて RNAV 到着経路をレーダ誘導なしで飛行したと見
なせる航空機のデータを収集し、整理した。
¾
出前講座、日本航空宇宙学会誌、航空技術協会誌、航空振興財団航法小委員会等で RNAV
の研究について広く発表を行った。
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
エ．SSR モード S の高度運用技術の研究（平成 18 年度～22 年度）
【研究の意義】
SSR（二次監視レーダ）モード S のデータリンク機能を用いて航空機の動態情報（ロー
ル角や対地速度など）をコンフリクト検出へ利用することでその予測・検出精度を向上
し、航空路の容量拡大を図ることが期待されている。また、複数の SSR モード S 地上局
間で適切な調整を行って監視網を構築し、高精度な航空機監視の実現による安全性の向
上が望まれている。我が国においても SSR モード S の整備が進むにつれ、航空機側機上
装置の機能向上や地上局の増加などに対応した高度な運用技術が必要とされている。
本研究では、これらの高度な運用技術（動態情報の取得技術及び地上局間の調整技術）
の確立に必要な技術開発を行う。具体的には、航空局仕様に準拠した SSR モード S シス
テムを用いて実航空機とデータリンクを行い、動態情報の取得に関する機能及び性能を
検証する。地上局間の調整技術の研究では、モード S 地上局の増加に伴って問題となる
識別番号の不足問題を解消する技術について、2 段階に分けて開発を行い、その機能及
び性能を検証する。第 1 段階では、地上局毎に問題の解決を図る個別調整技術の開発と
検証を実施し、第 2 段階では複数の地上局をネットワークで接続するクラスタ調整技術
の開発と検証を実施する。これにより、平成 23 年以降、我が国において発生が予想さ
れている識別番号の不足問題の解決を図る。
【平成 19 年度の目標】
SSR モード S の高度な運用技術を確立するため、確率的ロックアウトオーバーライド
(SLO)及び覆域制限機能を有する SSR モード S 地上局を平成 18 年度から 19 年度にかけ
て開発する。また、航空機の動態情報を効率的にかつ高い信頼性で取得するための技術
開発を目指し、岩沼モード S 地上局を用いて我が国の空域を飛行する航空機について動
態情報機能を持つトランスポンダの対応パラメータ種別などを調査、分析する。
【平成 19 年度の成果】
¾
地上局識別番号の調整技術の開発に関する主な作業として、重複覆域において同一識別
番号の複数地上局による連続的な航空機の監視を実現する確率的ロックアウトオー
バーライド（SLO）機能及び覆域制限機能を有した実験評価用 SSR モード S の調布地上
局の整備を行った。
¾
動態情報の取得技術の開発に関しては、岩沼地上局を用いて動態機能送信機能（DAPs）
搭載率やダウンリンクデータの種別などを飛行中の航空機から観測することにより、現
状把握を中心に技術開発の検討に資するデータを取得した。また、データを集計し、ICAO
ASP・航空監視パネルにおいて我が国における動態情報対応状況として報告した。（図
2.4）
。
33
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
解析用計算機
局部制御監視装置
空中線
保守用指示装置
送受信装置
データリンク能力通報(レジスタ 1.0)の集計結果
August
Feb
基本監視 （ELS）能力
2007
2008
348/609
438/683
SI 対応トランスポンダ数/総観測機数
57.1%
64.1%
割合 (bds1.0,bit35=1)
369/609
471/683
ID 通知対応トランスポンダ数/総観測機数
60.6%
69.0%
割合(bds.10,bit33=1)
拡張監視（EHS）能力
EHS 能力トランスポンダ数/総観測機数
割合(bds1.0 bit25=1)
拡張スキッタ（ES）能力
拡張スキッタ対応トランスポンダ数/総観
測機数
割合(bds 1.0,bit34=1)
321/609
52.7%
407/683
59.6%
281/609
46.1%
364/683
53.3%
図 2.4 SSR モード S 実験局(調布局)の空中線と装置群（上段）
表示画面（下段左）、データリンク能力通報の集計結果の一部
解説：SLO、覆域制限機能、動態情報の取得機能を持つ SSR モード S 実験局の開発および設置を行った。効率的な
GICB 質問方法の検討や通信負荷などを推定するため、モード S レーダを用いてデータリンク能力通報メッセージを
実航空機からダウンリンクし、データリンク能力対応状況を集計した。
約 60％の航空機が動態情報送信対応トランスポンダを搭載している。
オ．ATM パフォーマンスの研究（平成 19 年度～22 年度）
【研究の意義】
欧米においては、航空交通管理システムの能力を客観的に把握するために、遅延や効
率性（最適経路、高度など）など、航空交通管理システムの能力（パフォーマンス）を
評価指標化し、定量的・定性的に評価分析を行い、費用対効果を勘案した上でシステム
の能力向上を図っている。しかしながら、我が国においては、これらの能力を指標化し、
定量的・定性的に評価解析する手法がまだ確立しておらず、将来の航空交通需要に適切
に対応し、安全性と効率性を向上するために有効な指標および指標測定技術の開発・解
析評価を実施する必要がある。
本研究では我が国の航空交通管理システムの能力を評価する場合に有効な指標及び
指数測定技術を開発し、当該技術により航空交通管理システムの解析評価を実施するこ
とを最終的な目的とし、実運用データの解析手法を検討するとともに、パフォーマンス
指標の実運用データへの適用を検討する。また、上述の検討結果に基づき、パフォーマ
ンス評価システムを構築する。
34
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
【平成 19 年度の目標】
実運用における記録データから ATM パフォーマンスを評価する手法を検討する。同時
に、パフォーマンス指標値の算出手法を検討する。また、日常的な ATM パフォーマンス
評価環境の検討を目的として、ATM パフォーマンス評価システムのプロトタイプの開発
に着手する。
【平成 19 年度の成果】
¾
—
¾
ATM パフォーマンス・データベースの作成
各種の ATM システムの実運用において記録されたデータについて含まれる情報項目や
情報の取得方法を検討した。検討結果に基づいて、各種データから情報を読み込み、
同一運航の関連付けを行うことで ATM パフォーマンス・データベースを作成した
パフォーマンス指標値の検討
遅延時間などの項目を対象としてパフォーマンス指標値の算出手法を検討した。遅延
時間のパフォーマンス指標値の検討においては、遅延時間を運航局面に応じて出発前・
出発走行・飛行・到着走行の 4 種類に分類した。そして分類項目ごとに遅延時間を比較
することで各運航局面において発生する遅延を比較した（図 2.5）。遅延は効率性や予
測性の観点において、重要なパフォーマンス指標の一つである。今回の検討例では、出
発前・出発走行の運航局面に対応した遅延値が非常に大きく、運航では離陸前の局面に
おいて発生する遅延量の割合が大きい傾向を読み取ることができる。
¾
ATM パフォーマンス評価システム基本機能の実装
ATM 能力の向上施策には早急な効果の検討が必要とされることなどから、ATM パフ
ォーマンスの評価は日常的に実施されることが好ましい。日常的な評価の実施には、簡
易な操作による評価を可能とする評価環境の構築が不可欠である。日常的な ATM パフ
ォーマンス評価環境の検討を目的として、ATM パフォーマンス評価システムのプロトタ
イプの開発に着手し、ATM パフォーマンス・データベース機能と同時に、遅延時間、飛
行距離などの項目を対象とした ATM パフォーマンス評価機能を実装した。
図 2.5 運航局面による遅延時間の比較
解説：棒グラフは、各運航局面において発生した遅延時間の指標値の比較を表す。最短時間と実績時間の
差などに基づいて、各運航局面について指標値算出の式を定義した。
「出発前」はゲート出発まで、
「出発
走行」はゲート出発から離陸まで、
「飛行」は離陸から着陸まで、
「到着走行」は着陸からゲート到着まで
の局面に相当する。局面毎の指標値の計算は出発・到着空港の組み合わせ毎に行った。グラフの左側では
羽田空港を出発して福岡空港に到着する運航、右側では福岡空港を出発して羽田空港に到着する運航を対
象として指標値を計算した結果を示す。
35
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
②
混雑空港の容量拡大に関する研究開発
ア．A-SMGC システムの研究（平成 16 年度～20 年度）
【研究の意義】
近年の幹線空港等の大規模化に伴う空港面レイアウトの複雑化及び空港需要増大に
伴う高密度運航に対応するため、また、夜間や霧などのために視程が低い状況下でも航
空機等の安全で円滑な地上走行を確保すると共に管制官の負荷を軽減するため、これら
を可能とする先進型地上走行誘導管制（A-SMGC）システムの早期導入が要望されており、
混雑空港の容量拡大に寄与することが期待されている。
A-SMGC システムは、監視、経路設定、誘導、管制の基本機能が要求される。そこで、
監視については、航空機及び車両等を監視可能とする効果的な監視データ統合化の研究
を行う。そこから得られた移動体の位置・識別・進行方向・速度等のデータを使用して
効果的な経路設定とその経路情報を灯火誘導により移動体に提供可能な誘導機能を実
現するために必要な処理アルゴリズムを開発する。また、本システムの利用者である管
制官、パイロット、車両運転者、空港運用管理者等に対して適切な HMI（ヒューマン・
マシン・インターフェイス）を介してデータを提供すると共に、管制機能に必要な滑走
路誤進入及びコンフリクト検出・表示、情報の入力・操作等を可能とする入出力システ
ムを開発することを目的とする。
【平成 19 年度の目標】
システムの中核をなす監視機能については、複数の監視センサを融合してデータを統
合処理する統合型空港面監視センサの管制機器化に向けた実験的検証を行う。経路設定
機能については、タッチパネル等を使って始点と終点をマニュアル選択指示することで
その間の経路を容易に生成・指示できる半自動経路生成装置を開発する。また、推奨経
路生成処理アルゴリズムの開発については、実際の運航状況と比較・検証してモデル化
の妥当性を検証する。誘導機能については、複数の航空機を対象とした灯火誘導が可能
なシステムに機能向上する。管制機能については、滑走路誤進入及びコンフリクトを防
止するための処理アルゴリズムを開発して管制表示装置の画面上に反映させる。
【平成 19 年度の成果】
¾
監視機能：
システムの信頼性確保と性能の相互補完等の観点から航空機と車両それぞれの移動
体監視に適した複数の監視センサ（空港面探知レーダ、マルチラテレーション、SSR モー
ド S、空港内車両位置情報システム等）の組合せとデータの統合化により相互に補完し
あえる統合型空港面監視センサの開発に向けた相互補完機能について実験的検証を行
った。また、羽田空港の再拡張に向けては、マルチラテレーションと空港面探知レーダ
を融合して相互補完処理することで空港面監視能力の大幅な向上が期待される統合型
空港面監視センサの管制機器化に向けた信頼性評価と性能要件策定のための基礎資料
を取得した。これにより、空港面のレーダーによる管制が可能となれば、悪天候時でも
安全で円滑な地上走行が実現する見込みである。
¾
経路設定機能：
管制官による操作を最小限にすることを前提とした経路生成装置の改修を行い、仙台
空港において操作性に主眼を置いたシステムの性能試験と管制官評価を実施した。評価
36
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
にご協力いただいた成田空港と羽田空港の管制官からは機能実現に向けて改善点も含
めた貴重な意見を聴取することができた。また、推奨経路の選択機能として実際の管制
指示を取り入れるため、羽田空港におけるマルチラテレーション監視センサ導入評価で
取得した監視ログデータから管制指示の結果となる航空機の地上走行経路を分析し、使
用滑走路、使用スポットによる地上走行経路のパターン解析を行った。さらには、自動
推奨経路生成処理アルゴリズムの開発に向けた地上走行シミュレーションのモデル化
について、空港の形状が比較的シンプルな仙台空港をモデルとしたシミュレーションの
モデル化の妥当性を検証するため、実際の運航状況との比較・検証評価を行った。
¾
誘導機能：
複数の航空機（3 機対応）を同時に誘導できるように灯火制御用ソフトウェアの改修
を行い、仙台空港においてシステムの性能試験を実施した。交差点においては、複数の
接近機の中から近い方を優先通過機とする先着順アルゴリズムと、優先的に通過させる
航空機を決定する個別優先アルゴリズムについて動作検証し、誘導路中心線灯と停止線
灯に対する灯火制御が所定の手順に沿って正常に動作することを確認した。
¾
管制機能：
管制機能の１つである滑走路誤進入及びコンフリクト検出ソフトについて、羽田空港
監視ログデータを使って性能評価を実施し、誤警報の発生率低減と誤進入およびコンフ
リクトを確実に検出可能とするアルゴリズムの改修を行った。また、これらの機能を画
面上に反映させるための管制表示装置との連接を図った。
出発
出発
C滑走路 到着
風向き
到着
A滑走路
A滑走路
B滑走路
(a)北風運用時の走行パターン
C滑走路
B滑走路
風向き
(b)南西風運用時の走行パターン
図 2.6 羽田空港における地上走行パターンの分析（北風運用時および南西風運用時）
解説：羽田空港における監視ログデータを再生し、風向き毎に到着便と出発便それぞれに対する地上走行パター
ンを分析して管制官の思考を反映した標準的な地上走行パターンを検証した。（ａ）図は北風運用時の走行パ
ターンを示し、（ｂ）図は南西風運用時の走行パターンを示す。
37
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
航空機シンボル
B滑走路
A滑走路
実験用仮想スポット
(a)経路指示対象航空機着陸
(b)対象航空機選択
図 2.7 経路指示操作画面
解説：（ａ）は対象航空機が仙台空港Ｂ滑走路
に着陸してシンボル表示（青色）された画面、
（ｂ）は対象航空機を選択（白色）して推奨経
路（黄色）が表示された画面、（ｃ）は走行経
路が選択決定されて承認（走行経路が白線表
示）された画面を示し、この時点で灯火制御装
置や管制表示装置に経路データが伝送される。
(c)走行経路選択・承認
赤車（優先順位２）
青車（優先順位１）
黒車（優先順位３）
交差点Ａ
交差点Ａ
交差点Ｂ
(a)青車(優先順位 1)交差点 A を占有
交差点Ｂ
(b)青車交差点 A 通過中＆交差点 B を占有
図 2.8 交差点Ａ，Ｂにおける灯火制御モニタ画面（個
別優先アルゴリズム）
交差点Ａ
交差点Ｂ
解説：複数機に対して優先順位をつけた個別優先ア
ルゴリズムにおける灯火制御モニタ画面表示例を示
す。
（ａ）は青車（優先順位 1）が交差点Ａを占有し
て他の誘導路の停止線灯が点灯したとき、
（ｂ）は青
車が交差点Ａを通過中であり、併せて次の交差点Ｂ
を占有して黒車（優先順位 3）に対する停止線灯が
点灯したとき、
（ｃ）は青車が交差点Ａを抜けたため、
赤車（優先順位 2）が交差点Ａを占有し、交差点Ｂ
は青車が占有して他の誘導路の停止線灯が点灯した
ときの灯火制御モニタ画面表示例を示す。
(c)青車交差点 B を占有、赤車交差点 A を占有
38
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
イ．高カテゴリGBASのアベイラビリティ向上とGNSS新信号対応に関する研究
（平成 17 年度～20 年度）
【研究の意義】
次世代の航法システムである全地球的航法衛星システム（GNSS）を利用した航空機の
精密進入着陸を実現させるため、進入着陸の際に、必要な補強情報を地上から放送する
地上型衛星航法補強システム（GBAS）の導入が期待されている。GBASは曲線精密進入や
平行滑走路の同時進入、空港面におけるガイダンスの提供など、混雑空港の容量の大幅
な拡大に寄与することが可能であり、国際民間航空機関（ICAO）の航法システムパネル
(NSP)において高カテゴリ化GBASの国際標準方式(SARPs)の策定作業が進められている。
これらの性能要件を満足するために、静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)の擬似距
離信号などの新信号をGBASに利用することも計画されている。なお、我が国が整備して
いるSBASは運輸多目的衛星用衛星航法補強システム（MSAS）と呼ばれる。
本研究では、GBASにおける高いアベイラビリティ（有効性）の確保を目指して、MSAS
信号などの新信号を利用するSBAS対応信号品質監視装置（SQM）の開発、ならびにアベ
イラビリティを評価するシミュレーション・ソフトを開発する。また、GBASプロトタイ
プの試作を通じて日本におけるGBASの実用化システムへの問題点の整理と解決策の検
討を行うとともにICAOにおけるSARPs策定および検証作業への寄与を図る。
【平成 19 年度の目標】
GBASに対する電離層擾乱などによる誤差要因を計測し、その影響を監視・低減するア
ルゴリズムを検討する。主たる誤差要因のモデル化とシナリオ作成を行い、シミュレー
ションソフトウェアを製作する。また、GPS信号品質監視（SQM）装置の評価を実施する
とともに、新たに導入される周波数の信号（SBAS L1,GPS L5,GALILEO L1 など）につい
て解析する。
【平成 19 年度の成果】
¾
石垣における電離層擾乱の計測網の整備および誤差要因のモデル化とシミュレーショ
ンソフトウェアの開発
沖縄・石垣島において電離層の赤道異常に伴うプラズムバブル現象が引き起こす電離
層擾乱によるGPS信号の疑似距離信号の急激な変化を計測する観測網を整備するととも
に、GBASに対して誤差を引き起こす電離層活動の監視および基準局間の時計合わせに対
していろいろなアルゴリズムを実行できるミュレーションを開発した。石垣で観測した
結果を基に、GBASに対する電離層によるリスクモデルの構築とその影響を監視・低減す
るアルゴリズムの開発がなされ、そのアルゴリズムの妥当性が開発したシミュレーショ
ンソフトウェアを使い評価される。
¾
GPS信号品質監視装置における信号歪みの検出アルゴリズムの開発
GBASの誤差要因であるGPS信号の信号歪みをGPS信号品質監視装置に用いて検出する
アルゴリズムの開発において、信号歪みによって生じる擬似測距の変化を直接推定する
アルゴリズムを開発・評価した。開発したアルゴリズムの評価では、GPS衛星故障を模
擬した擬似劣化GPS信号を発生させるシミュレーターを開発し、ハードウェア・シミュ
レーションを実施した。本アルゴリズムによる推定誤差と受信機出力を比較した結果、
推定誤差は受信機出力をよく模擬しており、雑音の多い実際に近い環境下でも十分な検
出能力があることを確認した。今後、さらに多くの事例に対しての検証を行う。本アル
ゴリズムの開発により、GBASの実用化に必要な技術の一つである、航法精度を大きく劣
化させるGPS衛星の故障に対する直接的な監視が可能となる。
39
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
図 2.9 (左)入力信号波形(脅威モデル A)と相関
カーブ, (右) 180 秒毎にモデルパラメータを切
替えた場合に本手法で推定した擬似距離変化例
¾
図 2.10 (左)入力信号波形(脅威モデル B,C),
(右)180 秒毎に正常信号と劣化信号(脅威モデル
B,C)を切替えた場合に本手法で推定した擬似距
離変化例。
SBAS L1 測距信号の利用時の問題点の解決
平成 18 年の研究において、GPS衛星のメンテナンスまたは故障によって利用可能なGPS
衛星が減少した場合、SBAS L1 測距信号をGBASに利用することは、GBASの保護レベルを
減少させ、アベイラビリティの向上に効果のあることをシミュレーションによって示し
た。しかし、SBAS信号の軌道情報の更新時においては、スパイク状の誤差が発生する可
能性があることもわかった。この問題を解決するため、GBASにおいて地上の基準局と航
空機でSBASの軌道情報の同期をとるプロトコルを考案し、シミュレーションでその効果
を確かめたところ、スパイク状の誤差が解消されることを確認した。
ウ．今後の管制支援機能に関する研究（平成 18 年度～19 年度）
【研究の意義】
航空交通需要の増大に的確に対処するため、首都圏では羽田空港再拡張事業（年間
40.7 万回の離発着を目指している）が実施され、また成田空港の容量拡大のための整
備が実施される予定である。この様な背景から、交通量増大に柔軟な経路設定が可能と
なる広域航法（RNAV）の本格的な導入に向けて運航実施基準、管制方式基準が設定され、
RNAV 運航が段階的に導入されることとなっている。さらに、航空交通流管理センター
が平成 17 年度から航空交通管理センター（ATMC）となり、航空交通管理業務（ATM）を
開始した。
本研究では、とりわけ空港周辺域について RNAV を有効に活用した管制手法および空
域構成要件を明らかにし、その要件に基づく管制官のワークロードを軽減させるための
管制支援機能について技術的研究を実施する。具体的には、RNAV を有効に活用する経
路及びセクター構成について検討し、羽田空港再拡張事業及び成田空港の容量拡大を想
定したリアルタイムシミュレーションにより管制官の受容性等を評価する。また、ATFM
と航空路レーダ情報処理システム（RDP）の連携（時間管理の概念導入）による円滑な
航空交通流の形成および管制支援機能について検討する。
【平成 19 年度の目標】
管制運用方式に時間管理機能を導入（4D 管制）する際の課題を分析する。また、評
価ツール等を使用して羽田空港における到着機の位置予測誤差、時間誤差を解析し、位
置予測精度の向上を図る。これらにより、空域再編する際の改善手法や時間管理機能の
導入効果を明らかにする。
40
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
【平成 19 年度の成果】
¾
レーダデータ等を使用して羽田空港到着機の降下プロファイルを明らかにし、燃料消費
の削減（温室効果ガス排出量の抑制）に効果があると期待される継続的な降下（Contious
Descent Arrival）や 4D 管制する際の課題を解析した。
¾
管制支援機能評価ツールの機能向上評価ツールを作成した（図 2.11）レーダデータや
シミュレーションデータから、その時々の滞留時間を自動的、且つ、連続的に推定する
ことが可能となり、その空域において円滑な航空交通流を維持することができる交通量、
空域構成及び到着機の入域量など、空域設計に係る具体的な要件及びこれに係る時間管
理要件について算定することが可能となった。これにより、空域改善手法や時間管理機
能の導入効果を明らかにすることができる。
図 2.11 管制支援機能評価ツールの表示例
解説：このツールにより、航空機の位置と時間の関係がレビューされ、混雑時の到着遅延量を自動的、
連続的に推定し、空域毎に許容できる遅延量を超過しないよう、各到着機の入域時刻等を自動計算表示
する時間管理機能の効果が評価される。
③
予防安全技術・新技術による安全性・効率性向上に関する研究開発
ア．無線測位におけるマルチパス誤差低減に関する研究（平成 16 年度～19 年度）
【研究の意義】
空港及びその周辺において、各種の無線測位システムが使われている。ほとんどの無
41
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
線測位システムにおいて電波の多重反射（マルチパス）は誤差の要因となっているが、
その対策はまだ十分に研究されていない。また、GPS や準天頂衛星は、航空以外の自動
車や歩行者などを対象とした測位の高精度化を目指しているが、空港より遥かにマルチ
パス環境が悪い都市部でも利用される。これらの無線測位システムにおけるマルチパス
誤差特性には共通するところが多く、さらなる測位の高精度化を実現する新たなマルチ
パス低減技術の開発が望まれている。
飛行中の航空機と比較し、空港面の航空機の監視は地面や構造物による反射や遮蔽な
どの問題が多く、マルチパス対策が重要である。本研究では、航空機衝突防止装置（ACAS）
/SSR モード S 信号を用いた空港面監視を想定した測位実験システムを構築し、各種の
マルチパス誤差パラメータ調査のための実験及びシミュレーションを行いマルチパス
誤差の性質を明らかにする。また、マルチパス対策を検討し、誤差を低減した測位手法
を開発する。本研究で、空港面上のマルチパス誤差の調査とその低減方法を検討し、空
港面における監視技術の高度化による安全性向上と管制作業の効率化に寄与する。
【平成 19 年度の目標】
マルチパス（多重反射）の影響が大きい場所における測位誤差について、6m(2RMS)
以下を実現するため、受信機検出部のソフトウェア等を改良する。また、空港内におけ
る測位実験によりその性能を検証する。
【平成 19 年度の成果】
42
¾
マルチパス誤差の比較的少ない遅延減衰比較（DAC）よりさらに誤差低減の可能性を調
べるため、
最小 2 乗マッチングの時間検出法を用いたシミュレーションを行い、
図 2.11
のような相関法、DAC 法との比較結果が得られた。これらの結果は学会で報告した。
相関法は GPS 受信機でも使われているが、それに比べて DAC 法と最小 2 乗マッチング
法は誤差を半分以下に低減できる。最小 2 乗マッチングはこれらの中で誤差は最も小
さくなるが、処理が DAC と比較して処理が複雑な割に改善はそれほど大きくはなく、
リアルタイム処理は困難なため、現在のところ DAC 法が実用的といえる。また、シミ
ユレ－ションにより、マルチパス/直接波比が 1 を超えると誤差も急激に大きくなるこ
とも明らかとなったので、これを 1 以下に下げるように受信局の設置においてアンテ
ナの位置や高さを考慮する必要がある。
¾
本研究で開発した光ファイバ信号伝送技術を用いた受動型監視システム（OCTPASS）の
実験システムを使用して仙台空港で行った実験で、滑走路と誘導路において DAC 法を
使用することにより、本研究の目標とする誤差で測位できることが実証できた。
¾
空港面ではアンテナの高さが十分にとれない場合、距離が離れると地面反射による
ロービング現象が起こり、自由空間より急激に信号レベルが低下するため、ダイナミ
ックレンジを広くすることが必要となる。瞬時利得制御(IAGC)よりダイナミックレン
ジを広くできる log アンプを使用した実験システムを構築して空港内での測位実験を
行い、瞬時利得制御(IAGC)よりダイナミックレンジを改善できた。
¾
フィールド実験ではマルチパスの電波状況を調べるのは困難なため、三菱電機および
電気通信大学との共同研究により電波無響室におけるスケールモデル実験を行い、マ
ルチパスの状況を図 2.13 のように可視化できた。
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
図 2.12 マルチパス誤差シミュ
レーション結果
70
相関
最 悪 時 間 検 出 誤 差 (m)
60
解説：時間検出法として相関
法、DAC 法、最小 2 乗マッチン
グ法について比較した。マルチ
パス遅延時間が 2～40ns 程度の
範囲で誤差が最大になる状況
が発生するので、図ではその最
悪値を示した。
相関法に比べて DAC 法と最小 2
乗マッチング法は誤差を半分
以下に低減できる。マルチパス
/直接波比が 1 を超えると誤差
も急激に大きくなる。
DAC
50
最 小 2乗 マ ッチング
40
30
20
10
0
0
0.5
1
1.5
マ ル チパ ス /直 接 波 比
2
-40
7.8
7.9
-50
8
Range [m]
8.1
-60
8.2
-70
8.3
8.4
-80
8.5
-90
8.6
20
40
60
80
100
Hit
120
140
160
180
図 2.13 スケールモデルによる
遅延プロファイル
解説：送信点と受信点の間に航
空機のスケールモデルを置き、
送信点の位置を直線的に変え
ながら測定器でデータを収集
した。横軸がアンテナの移動、
縦軸が距離（遅延時間)、色で
各点の強度を示している。約
8.12ｍのところに直接波によ
る強い信号があり、その後に複
数のマルチパスによる遅延波
が見られる。横軸の 0 から 100
ヒットは、尾翼による遮蔽のた
め直接波が弱まっていること
がわかる。
200
イ．航空機の動態情報を利用するコンフリクト検出手法の研究（平成 16 年度～20 年度）
【研究の意義】
国際民間航空機関（ICAO）は、二次監視レーダ（SSR）による監視機能を利用して、
航空機の機上装置が保持する情報をデータリンクにより取得する方法を標準化した。欧
州では、仏国・独国・英国が SSR モード S の拡張監視用機上装置の搭載を義務化した。
これは、地上からの SSR モード S の質問信号に対して、磁針路・対気速度等を自動的に
応答する機能を持つ。現状の航空路レーダ情報処理システム（RDP）のコンフリクト（近
接）警報機能は、地上の航空路監視レーダ（ARSR/SSR）からのレーダ情報等を基にコン
フリクトを検出しているため、コンフリクト警報の不要警報および警報の検出遅れ等が
発生する要素を含んでいる。より精度の高いコンフリクト予測検知が望まれている状況
から、航空機の機上情報をデータリンクにより取得してコンフリクトを予測検知する技
術の開発が必要となっている。
本研究において、精度の高いコンフリクト予測検知手法を開発するため、ARSR/SSR
43
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
から得られるレーダ情報等以外に、航空機の飛行管理システム（FMS）データ（航空機
の磁針路、速度、高度変化率等の状態データ及び選択磁針路、選択高度、選択経路など
の意図データ）を SSR モード S の地上喚起コム B（GICB；Ground Initiated Comm B）
プロトコルにより取得し、精度の高い航空機の飛行プロファイルの予測とコンフリクト
を検出するための手法等を開発する。
【平成 19 年度の目標】
航空機の予測経路と実飛行経路の差異を検出する機能を開発する。飛行計画経路、飛
行管理システム（FMS）のデータを使用した予測経路、レーダデータ等を解析し、コン
フリクト検出の機能向上に必要となる「予測方法の最適化」を検討する。また、製作し
たコンフリクト検出評価システムの機能向上を図る。
【平成 19 年度の成果】
¾
レーダデータを使用して、航空機の飛行経路と実飛行位置を解析した。その結果、出
発空港付近では飛行時間短縮のために先のウエイポイントに向かい直行飛行するこ
とが多く、到着空港付近では着陸時間調整のための迂回飛行が多いことが明らかにな
った。航空機の予測経路と実飛行経路の差異の検出には、飛行位置の経路からの距離
と経路の方向と飛行方向の違いから判断すればよいので、コンフリクト検出手法の予
測モニタ機能の実現性を検討することとした。
¾
コンフリクト警報の予測手法は、現状では航空機の意図情報の信頼度が不十分である
ため直線予測を基本とする手法が望ましい。直線予測の予測誤差は速度ベクトル推定
誤差の影響が大きいため、観測誤差が発生しにくい FMS データの利用が有効である。
また、飛行経路や FMS の選択高度等の意図情報からコンフリクト警報の予告時間内に
航空機がマヌーバ（飛行方向の変更）をすると予測される場合には、それらを考慮し
て予測検出する方法が有効である。
¾
コンフリクト検出評価システムの機能向上として、航空機の動態情報を利用するコン
フリクト検出手法と現在の検出手法とのコンフリクト警報の発生状況を比較するた
めに使用するコンフリクト警報解析ツールを開発した。本ツールはコンフリクト検出
評価システムおよびレーダ情報処理システムのコンフリクト警報の表示記録を集計
した結果を表示することができ、また、個別の発生状況の詳細表示および動画表示が
できる。この解析ツールにより、コンフリクト発生状況を分類することが容易になり、
コンフリクト検出手法の改良に活用することができる。
（図 2.14）
コンフリクト警報の集計表示
コンフリクト警報詳細表示と動画表示
図 2.14 コンフリクト警報解析ツールの表示画面（コンフリクト警報の解析例）
44
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
ウ．航空管制用デジタル通信ネットワークシステムの研究（平成 17 年度～20 年度）
【研究の意義】
国内航空交通量の増加とともに、空地間で交換される管制情報等は今後益々増加、多
様化していくものと考えられる。航空管制用デジタル通信ネットワークシステムは、管
制通信に用いられている現行のアナログ音声通信をデジタル化（データリンク化及びデ
ジタル音声化）することにより、管制業務におけるワークロードの低減やセキュリティ
の向上、管制通信の高速化・高信頼化等を実現し、航空交通の処理容量の拡大や安全性
の向上を可能とする。管制官、パイロット間における信頼性の高い通信を確保するため
には、ネットワークの構成要素である VHF デジタルリンク（VDL）の運用のための諸機
能の開発、航空通信ネットワーク（ATN）への IP 網接続機能等の付加、管制通信のデー
タリンク化のための管制用アプリケーションやインターフェイスの開発等が必要とな
る。
本研究では、このような空地間のエンド・ツー・エンドでの総合ネットワークシステ
ムの実現のため、これまでに行ってきた VDL、ATN 及びデータリンク用管制情報入出力
システムといった個々のシステム要素の開発成果を踏まえつつ、管制用システムとして
の実運用に際して必要となる機能の開発及び総合ネットワークとしての性能や運用の
評価を行う。また、ATN への IP ネットワーク導入を図るため、相互運用性の検証を実
施する。
【平成 19 年度の目標】
航空通信の基幹網には経済性の優れた IP（インターネット・プロトコル）をベース
としたネットワークが考えられている。一方、ATN（航空通信ネットワーク）は異なる
プロトコルである OSI（開放型システム間相互接続）を用いているので、そのままでは IP
ベースの基幹網に相互接続できない。相互接続を可能とするには IP/SNDCF（サブネッ
トワーク収束機能）を導入し、IP ネットワークを ATN のサブネットワークの一つと見
なす方法が考えられ、昨年度その開発を行った。本年度は開発した IP/SNDCF の国際間
での互換性と相互運用性を検証する。
また、本研究では航空路管制への CPDLC 導入のため、最終年度に管制官による
CPDLC のシミュレーション評価実験を予定している。本年度は評価実験に用いる
CPDLC 対応の航空路管制用航空管制卓ならびにシミュレーション実験システムの設計
を行う。
現在運用されている空地間データリンクである ACARS の通信性能を明らかにする
ため、18 年度に製作した ACARS プロトコルシミュレータを用いて計算機シミュレーシ
ョンを行うとともに、実際の ACARS 通信記録の収集および解析を行う。また VDL シ
ミュレータを試作する。
【平成 19 年度の成果】
¾
国際間での IP/SNDCF の互換性と相互運用性を検証するため、当所と FAA（米航空局）
間で接続実験を行った。実験当初はパラメータの不整合なども見られたが、修正を行
った結果 IPv4 および IPv6 共に全ての試験項目をパスした。
¾
管制官負荷軽減、利便性向上等を考慮した CPDLC 機能付きの管制卓の設計を行い、そ
の MMI 部を PC 上で試作し、管制官評価を行った。また、評価結果に基づき MMI 部の
修正を繰り返し、管制官評価でほぼ満足いく結果になった。また、20 年度に試作する
シミュレーション実験システムの設計を行った。
¾
ACARS プロトコルシミュレータを用いて計算機シミュレーションを行うとともに、
45
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
実際の ACARS 通信記録の収集および解析を行った。また、VDL を模擬するシミュレー
ション用ソフトウェアを製作し、その性能評価が可能となった。
IPv6 over IPv4
IPv6
機上
ルータ
CPDLC
SME
A/G(空/地)
ルータ
X.25
CLNP-LAN
IP ルータ
G/G
（地/地）
IPv4 ルータ
IPv6
インターネット
（IPv4）
CPDLC
IP-LAN
Sniffer
ENRI：機上
通信用端末
FAA：地上
試験対象
図 2.15 FAA との IP/SNDCF の接続実験構成図（IPv6）
解説：FAA との接続実験はインターネットを利用して行った。但し、インターネットは IPv4 を用いているので、IPv6
の実験では、IPv6 over IPv4 を用いて、IPv6 パケットを IPv4 にカプセリングして行った。図は IPv6 の実験での実験
構成図で、当所が機上で FAA が地上側の構成例である。実験では、エンド-エンドで CPDLC が正常に送受信できるかを
確認した。
エ．航空無線航法用周波数の電波信号環境に関する研究（平成 17 年度～21 年度）
【研究の意義】
航空無線航法サービス（ARNS）帯域では、電波信号の周波数割当には既に空きが無く、
新旧の多様なシステムが今後長期間にわたり共存する必要がある。既存の DME（距離測
定装置）等の航法装置や SSR（二次監視レーダ）等の監視装置に加え、将来は GPS-L5 や
GALILEO-E5 等の衛星航法、SSR モード S 等の監視用データリンク、さらにこれらを利用
した ASAS（航空機間隔支援システム）等の新システムの導入が期待されている。平成
19 年には ITU による WRC07 会議が開催され、将来の航空移動通信用データリンクのた
めの電波もこの周波数帯に割り当てられた。このような将来の機上搭載無線機器につい
ては、性能要件を定める一方で、運用環境や地理的条件など国情を配慮した性能の予測
が必要である。そのためには、周波数を共用する各種航空航法無線機器との相互干渉や
性能劣化について効果的な測定手法や予測手法を開発する必要がある。
本研究では、既存システムとの周波数共用のために今後導入される広帯域を有する新
しい信号方式に対応した電波信号環境の調査手法として、広帯域一括測定及び予測方式
を開発する。具体的には、ARNS 帯域内の電波利用状況やこれに大きく影響する ASAS な
ど新システムの要件と開発導入動向の調査を行う。また、これに必要な ARNS 帯域内の
電波発生状況の測定技術開発を行う。特に ASAS が情報源として使用する各種信号に関
する干渉発生状況の一括測定技術を開発し、その帯域幅は 30MHz 以上を目指す。さらに、
新たな信号方式の導入に対応した ARNS 帯域内の電波発生状況について予測手法を開発
する。これにより、航空無線機器の相互干渉による性能劣化の防止と航空無線機器の高
度化による安全性の向上とともに、新旧無線機器の電波共用による電波資源や既存無線
設備の有効活用を図ることができ、効率性の向上にも寄与する。
46
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
【平成 19 年度の目標】
航空無線航法周波数帯域の利用動向と ASAS（航空機間隔支援システム）の要件につ
いて調査を行う。これまで困難であった広帯域かつ広ダイナミックレンジの干渉信号の
一括測定を目指し、前年度に製作した広帯域電波信号環境測定装置の機能と性能を向上
させる。これを用いる GPS-L5 帯域の信号測定実験により、広帯域一括測定精度と信号
環境予測誤差要因を検証する。さらに、航空無線航法周波数帯域を使用する各種新シス
テムの信号環境予測に必要な計算機シミュレーション手法を開発する。
【平成 19 年度の成果】
¾
航空無線航法周波数帯域の利用動向と ASAS の要件調査
ASAS 要件検討会議や国際民間航空機関（ICAO）/ASP/WG 会議に参加し、ICAO の ASAS
等空対空監視標準化に関する作業方針案作成に寄与した。また、2007 年世界無線通信
会議 WRC-07 会議における周波数割り当て動向を文献調査し、関係者との面会により状
況を確認した。航空無線航法用周波数帯域内の 960～1024MHｚでの運用が提案されてい
る新しい航空移動通信用無線システムの仕様について、各国の提案等を調査した。
¾
広帯域電波信号環境測定装置の記録部を増設、高周波部も精度向上
高周波部の回路を変更し、受信機内部で大電力信号が歪むことにより発生する不要波
の振幅を 10 分の 1 以下に軽減し、信号測定精度を向上させた。今後、この変更に加え
て受信機特性補正を組み合わせることで、さらに性能向上を期待できるようになった。
また、記録部を増設し、実験とバックアップ操作を同時に実施することで実験実施効率
を向上させた。
¾
GPS-L5 帯域信号測定実験により、広帯域一括測定精度と信号環境予測誤差要因を検証
前述の予備実験装置を用いた飛行実験により、測定誤差要因等を検証した。その結果、
日本では山岳などの複雑な地形による多重伝搬（マルチパス）の影響に加えて、違法送
信機や整備不良機器などからの干渉の存在を日本各地で確認した（図 2.11）。飛行実験
によれば、ほとんどの人口密集地に何らかの干渉信号源が見いだされている。このよう
な干渉波源は GNSS 信号環境の要素として想定されておらず、大きな信号環境予測誤差
となる。本来は排除されるべき干渉波源に関する新たな知見を得ることができた。
また、受信機の非線形歪みにより大電力信号には不要な高調波信号発生を確認したた
め、受信機回路の改良を検討し、前述のようにその一部を実施した。
¾
各種新システムの信号環境予測に必要な計算機シミュレーション手法の開発
基本的なシミュレーション手法を開発し、各種の新システムに対する予測手法を検討
した。特に、空港面監視の完全手段として期待されているモード S 拡張スキッタを用い
る ADS-B について、自由空間の信号環境との統計的な差異を検討し解析手法の概要を学
会に報告した。
47
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
強度（ｄB）
1200
-70
1195
1190
周波数 (MHz)
-80
DME信号
-90
1185
-100
1180
-110
1175
-120
DME信号のマルチパス
1170
-130
1165
-140
1160
-150
-160
干渉波
1155
-170
0
200
400
600
時間（μs）
800
1000
図 2.16 電波信号環境の一括測定によって得られた時間・周波数分布
解説：ASAS が情報源として使用予定の各種信号が含まれる周波数帯について、飛行実験による一括測定
の事例。1184MHz 付近に DME 信号と尾をひくようにマルチパスが測定されている。また、1160～1165MHz
付近には干渉波が測定された。平成 19 年度の飛行実験により、このような干渉信号が多くの人口密集
地にて観測される事が確認された。
オ．携帯電子機器の航法機器への影響に関する研究（平成 18 年度～20 年度）
【研究の意義】
携帯電話や通信機能付きパソコン等、意図的に電波を放射する携帯電子機器（T-PED：
Transmitting Portable Electronic Device）は、従来の機器より一般に放射電波レベ
ルが高く、航法装置、通信装置、操縦装置等の機上装置に電磁干渉(EMI)を与える可能
性が高い。T-PED による電磁干渉に関してはこれまでほとんど研究されておらず、T-PED
の機内使用基準等に関する研究が望まれている。なお、T-PED の航空機内での使用は現
在、全面的に禁止されているが、米国航空無線技術委員会（RTCA）を中心として機内で
使用可能とするための検証手順の策定作業が進められている。
本研究では、この様な RTCA の策定作業に参加にしつつ、T-PED の電波が機上装置に
干渉する可能性について T-PED からの電波放射特性、機内での伝搬・分布特性、機上装
置への干渉経路、複数機器使用の影響等をもとに調査・検討し、実験による検証を実施
する。また、機器故障等により突発的に発生する強い電波を検知する簡易電波検知装置
に関する研究を行う。なお、干渉の可能性評価には RTCA 基準を参照すると共に、世界
で唯一我が国にのみに制度が存在する携帯電子機器（PED）が原因と疑われる機上装置
不具合に関する EMI 事例報告を活用する。
さらに、
各種 T-PED からの電波の機内伝搬や、
48
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
それによる機上装置への干渉の可能性等をまとめ、RTCA の基準策定に貢献する。H19 以
降 RTCA より検証手順が示された後は、その手順に基づき我が国の最新 T-PED について
実検証するとともに、機上装置の安全性認証等に資する技術資料の作成を通して安全性
の向上と機内での携帯電子機器利用という社会的なニーズに対応する。
【平成 19 年度の目標】
アクティブ IC タグのような電波放射時間がきわめて短い（デューティーが低い）機
器からの電波を測定する方法を開発する。T-PED の機内使用を想定し、航空会社の大型
貨物機内及び電子航法研究所の実験機内において機内電波環境の測定を行う。航空機の
耐電波干渉特性は機体のシールド特性と密接に関連することから、ボーイング 747-400
貨物機を例にそのシールド特性の測定を行う。さらに、航空会社からの EMI 事例報告の
分析、および RTCA 等での研究成果発表と動向調査を実施する。なおこの EMI 事例報告
は、PED からの電波が機上装置に干渉する可能性を確認できる世界唯一のきわめて重要
なデータである。
【平成 19 年度の成果】
¾
デューティーが低い T-PED からの電波測定法の開発：
スペクトルアナライザとパソコンを用い、測定繰り返し回数を適切に設定することで
デューティーがきわめて低い T-PED からの電波の周波数、電力等を精度良く測定する手
順を確立した。従来の方法では観測が困難なアクティブ IC タグからの電磁放射をこの
方法で測定した。その結果、測定時間やデータ量を極端に増大させることなく精度良い
測定ができることを示した。
この成果は、成田空港で実施した貨物機内の電界強度分布測定、搭載無線機器へ侵入
する電波の経路損失測定の結果と総合して判断したアクティブ IC タグの利用可能性に
ついての報告書として活用された。また、国内のみならず、米連邦航空局にも技術基準
作成の資料として提供された。
¾
機内電波環境の測定：
携帯型スペクトルアナライザ、パソコン、広帯域アンテナ等からなる電波環境測定シ
ステムを構築した。このシステムを実運航中の大型航空機内に設置し、出発から到着ま
で機内の電波環境を連続的に測定した。その結果、30,000 フィートを超える高度でも
携帯電話基地局からの電波が受信できることや、機内のパソコンからと推定される無線
LAN 電波が観測される場合があること等が明らかとなった。測定システムを電子航法研
究所の B-99 に搭載し、山形空港付近で高度を変えつつ飛行して機内の電界強度を測定
した。その結果、携帯電話基地局からの電波は低高度ばかりでなく 7,000 フィート程度
の高度でも充分携帯電話が使用できるレベルであると共にその電界強度は航空機の位
置で大きく変化することが判明した。
¾
航空機のシールド特性の測定：
機体の耐電波特性は T-PED からの電波が機上装置に到達する伝搬経路の損失が大き
くなるほど向上する。一方、この経路損失は機体のシールド特性を向上させるほど大き
くなることが知られている。そこで、ボーイング 747-400 貨物機を用いた機体のシール
ド特性の試験を行った。その結果、窓の数が非常に少ない貨物専用機においても機体の
シールド特性は 10dB 程度以下と十分とは言えないことが分かった。機体の耐電波特性
を考慮する際には、窓だけでなくドアなどの開口部を含む開口部全般のシールド性につ
いて検討する必要があることが明らかになった。
¾
EMI 事例報告の分析、RTCA 他での研究成果報告等：
49
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
機内に持ち込まれる携帯電子機器が原因と疑われる機上装置の不具合が発生したと
き、航空会社から EMI 事例報告が提出される。2007 年の報告件数は 33 件、これまでの
総件数は 237 件となった。報告数が多い障害は、オートパイロット等の動作異常、表示
不具合、通信へのノイズ混入等で、障害発生源として疑われる PED の代表は携帯電話で
あった。また、機上装置の試験法に係わる国際標準を作成する RTCA（米国航空無線技
術委員会）の携帯電子機器専門委員会（SC-202)に参加し、情報収集を行うと共に以上
の研究成果の報告を行った。
図 2.17 山形空港付近での機内電波環境（上図）、貨物機のシールド特性測定状況（下図）
解説：上図は山形空港付近での飛行位置と高度に対する携帯電話基地局からの電波強度である。この強度は
7000 フィートの高度でも十分受信可能なレベルで、かつ受信位置で大きく変化することが分かる。下図は
ボーイング 747-400 貨物機内に信号発生器を搭載し、機外への漏れ電波を測る実験風景で、機体のシールド
特性が求まる。
カ．航空機の安全運航支援技術に関する研究（平成 19 年度～22 年度）
【研究の意義】
航空機の安全運航のために、飛行するすべての航空機が互いの位置がわかり、かつ地
上の航空官署でもそれを把握する技術の開発と、航空の安全に必要な情報を地上から航
空機へ自動送信する技術の開発、ならびにその運用方式検討の必要性がうたわれている。
欧米でも、米国キャプストーン計画を初めとして、監視および運航支援情報の放送技
50
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.1 社会ニーズに対応した研究開発の重点化
術（ADS-B：放送型自動位置情報伝送・監視機能、TIS-B：トラフィック情報サービス放
送、FIS-B：飛行情報サービス放送、等）を活用した航空機搭載装置と地上設備の開発
が行われている。また、これらを搭載/設置して、周辺航空交通の把握、地上と機上の
情報共有などの運用（実証）実験も行われているところである。
これらの技術により、航空機が周辺機を自律的かつ自動的に把握することができ、
将来の高密度な運航への適応、大型機と小型機の最適な共存、悪天回避や迅速な捜索救
難活動が可能となるなど、航空の安全性・信頼性の向上に大いに寄与するものと期待さ
れている。
本研究では、航空機の安全運航のために、飛行中のすべての航空機が互いの位置がわ
かり、航空の安全に必要な情報を地上から航空機へ自動送信し、運航中の航空機上で表
示･確認できる技術を開発する。
これにより第 3 期科学技術基本計画である「交通・輸送システムの安全性・信頼性の
向上」に寄与する。
【平成 19 年度の目標】
航空官署等から安全に関わる情報を自動送信する方式「1090MHz 拡張スキッタによる
TIS-B（トラフィック情報サービス放送）や FIS-B（飛行情報サービス放送）方式」に
ついて検討を行う。この方式の実現に必要な自動送信を行う地上送受信機能(RF 部分)
の開発を行う。また、地上システムの送信信号を受信解析してその性能・機能を確認す
るための実験装置として、実験計測用航空機表示機能(RF 部分)を開発する。低高度で
の通信路の確保を容易にするため、山岳回折等を考慮した高精度な電波伝搬特性の計算
方法の確立を目指し、本年度はそれに関する調査・検討を行う。最終年度に航空機によ
る実証試験を目指し、本年度は予備的な飛行実験を試みる。
【平成 19 年度の成果】
¾
自動送信方式の検討では、1090MHz 拡張スキッタによる TIS-B（トラフィック情報サー
ビス放送）や FIS-B（飛行情報サービス放送）方式に関する技術の国際動向の調査を
行い、これらを実現するための地上送信システムの機能仕様を策定した。
¾
上記の機能仕様に基づき、地上送受信機能(RF 部分)として、拡張スキッタ送信信号生
成装置および 1090MHz 地上受信装置 RF 部を開発試作した。
¾
実験計測用航空機表示機能(RF 部分)として、ADS-B/TIS-B 受信装置等を製作し
た。
¾
電波伝搬計算法の調査・検討を行い、仙台空港を中心として飛行実験を行い、
1090MHz の伝播特性、信号環境特性に関する実験データを取得した。
（２）運転者・操船者等の業務負荷状態評価システムの研究
本研究は、ヒューマンエラー防止のための疲労の早期検出技術を開発するため、国土
交通省から委託を受け、
「ヒューマンエラー事故防止技術の開発」の分担として、
「運転
者・操船者等の業務負荷状態評価システムの研究」を実施しているものである。
【詳細は 2.4.3（２）③】
51
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.2 基盤的研究
2.2
基盤的研究
2.2.1
中期目標、中期計画及び年度計画の内容
［中期目標］
第３
国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
１．社会ニーズに対応するための研究開発の戦略的・重点的な実施、研究実施過程における措置
研究所が実施する研究開発の基本的な考え方は次のとおりとする。
（２）基礎的技術の蓄積等
中長期的な国際動向を見据え、将来の航空交通管理システムに不可欠となる先導的研究・萌芽
的研究及び要素技術の研究を実施し、基礎的技術の蓄積とポテンシャルの向上を図ること。
［中期計画］
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため取るべ
き措置
（２）基盤的研究
社会ニーズの実現に向けた政策に基づく重点研究開発分野での将来の応用を目指した基盤
的・先導的研究を実施し、現在及び将来のニーズに対応した研究ポテンシャルの向上に努める。
なお、研究の実施に当たっては、諸情勢の変化を考慮しつつ研究の方向性や具体的な方策につい
て、柔軟に対応する。
また、一方で、研究者の自由な発想に基づく研究についても、新しい知を生み続ける知的蓄積
を形成することを目指し萌芽段階からの多様な研究を長期的視点で実施し、特に若手研究者の自
立を促進する。
［年度計画］
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため取るべ
き措置
（２）基盤的研究
社会ニーズの実現に向けた政策に基づく重点研究開発分野での将来の応用を目指した基盤
的・先導的研究を実施し、現在及び将来のニーズに対応した研究ポテンシャルの向上に努める。
なお、研究の実施にあたっては、諸情勢の変化を考慮しつつ研究の方向性や具体的な方策につい
て、柔軟に対応する。また、一方で、研究者の自由な発想に基づく研究についても、新しい知を
生み続ける知的蓄積を形成することを目指し萌芽段階からの多様な研究を長期的視点で実施し、
特に若手研究者の自立を促進する。
平成 19 年度は、航空交通管理システムに係る中核的研究機関としての機能を果たすため、ヒ
ューマンファクタの研究等、航空交通管理システムに関連した基盤的研究を実施する。また、今
後の航空機の航法は GPS 衛星等を用いた航法が主流になると想定されることから、衛星航法に関
連した基盤的研究を実施する。その他、予防安全技術の研究や将来のニーズに対応した研究ポテ
ンシャルの向上を図るための基盤的研究を実施する。
2.2.2
年度計画における目標設定の考え方
将来的に重要性が増すと考えられる中長期的な技術課題を基盤的研究として実施す
52
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.2 基盤的研究
ることとし、主たるテーマとして航空交通管理システム及び衛星航法に関する研究とし、
できるだけ若手研究者の自立を促進し、かつ長期的な視点に立った研究を募集した。
（長
期基盤研究）
2.2.3
当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し
（１）当該年度における取組みの概要
基盤的研究については、主に社会ニーズへの対応が実現するまでに要する期間の観点
から、
「指定研究 A」
、
「指定研究 B」及び「基礎研究」と分類して実施している。具体的
には、社会ニーズへの対応が近い将来確実に求められる研究課題を「指定研究 A」とし、
それよりも長期的なニーズへの対応を目的とした研究課題を
「指定研究 B」
としている。
また、
「基礎研究」はニーズへの対応というよりもシーズの育成を主な目的としており、
将来の社会ニーズの多様化に対応した研究ポテンシャルの向上に向けて研究を実施す
ることとしている。
本年度は、社会ニーズ及び研究を取り巻く諸情勢の変化に対応するための具体的な方
策について更なる整理をし、「指定研究 A」に分類される基盤的研究ではあるが早急に
重点化を図るべきかどうかの検討が必要となった事案については、これに機動的かつ柔
軟に対応するため、新規に単年度計画で 1 件の予備的研究を実施することとした。一方、
研究者の自由な発想に基づく研究の育成や若手研究者の自立促進については、「指定研
究 B」及び「基礎研究」を研究者提案型の内部競争的資金制度と位置づけ、研究者の自
立を促進している。本年度は、これにより提案された研究課題のうち、中長期的な多様
なニーズに対応するために必要性が認められたもの、あるいはポテンシャルの向上が見
込めると判断された 5 件の新規提案課題を採択した。
これらの結果、以下のように航空交通管理システムに関する研究 7 件、衛星航法に関
する研究 3 件、及び予防安全技術などに関する研究を 8 件実施した。
【航空交通管理システムに関する基盤的研究】
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
空域の安全性の定量的評価手法に関する研究
（指定研究 A：平成 18 年度～21 年度）
洋上経路システムの高度化の予備的研究
（指定研究 A：平成 19 年度）
航空管制業務におけるヒューマンファクタの評価分析手法の研究
（指定研究 B：平成 16 年度～19 年度）
航空路管制業務のタスク分析及び作業負荷・負担の研究
（指定研究 B：平成 18 年度～20 年度）
新航空管制システムの構築に関する基礎研究
（指定研究 B：平成 18 年度～19 年度）
効率的な協調意思決定を支援する情報環境技術のための要素技術
（指定研究 B：平成 19 年度～20 年度）
無指向性アンテナを用いた航空機監視の研究
（基礎研究 ：平成 18 年度～19 年度）
【衛星航法に関する基盤的研究】
¾
¾
¾
狭域 DGPS による着陸航法システムの補正値誤差のバウンド手法の研究
（指定研究 A：平成 17 年度～19 年度）
リアルタイムキネマティック GPS 測位方式の有効性向上に関する研究
（指定研究 B：平成 17 年度～19 年度）
高緯度地域における電離圏・大気圏の基礎研究
53
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.2 基盤的研究
（基礎研究 ：平成 18 年度～20 年度）
【予防安全技術などに関する基盤的研究】
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
¾
航空機衝突防止装置の運用状況の研究
（指定研究 A：平成 17 年度～19 年度）
スケールモデルによる ILS 高度化のための実証的研究
（指定研究 A：平成 17 年度～19 年度）
IP を利用した航空衛星通信システムに関する研究
（指定研究 A：平成 18 年度～20 年度）
ミリ波センサを用いた空港面における落下物探索技術に関する研究
（指定研究 A：平成 18 年度～20 年度）
空港における後方乱気流管制方式の技術基盤に関する研究
（指定研究 B：平成 19 年度～20 年度）
ASAS に関する予備的研究
（基礎研究 ：平成 19 年度）
将来のデジタル航空通信に関する調査・研究
（基礎研究 ：平成 19 年度）
対空通信メディア高度化に関する基礎研究
（基礎研究 ：平成 19 年度～21 年度）
（２）諸情勢の変化を考慮した柔軟な対応
①
諸情勢の変化に柔軟に対応するための予備的研究の実施
基盤的研究として位置づけているが、早急に重点化を図るべきかどうかの検討が必要
となった課題について、下記 1 件の予備的研究を実施した。その結果、早急に重点的に
着手すべきとの判断により平成 20 年度から開始する重点研究課題として提案すること
した。
ア．洋上経路システムの高度化の予備的研究（指定研究 A：平成 19 年度）
【研究の目標】
広い海洋上を飛行する航空機はレーダが届かず、HF を利用したポジションレポート
による位置把握が行われてきたことから、歴史的に広い管制間隔がとられてきた。その
ため、管制間隔を確保するために太平洋上の飛行経路は最適経路とは一致しない経路を
設定する場合が多かった。航空機器の進歩や衛星航法の普及により、航空機自身により
自機位置を正確に把握することが可能となり、近年管制間隔は短縮されてきた。この管
制間隔の短縮を生かして、より経済的な太平洋洋上経路の設定が航空会社から望まれて
いる。また、洋上経路のほとんどが遠距離航路であるため、燃料削減による排出 CO2 の
削減が大きく期待されている。具体的には、固定経路を設定している北部太平洋経路
（NOPAC）や南部太平洋経路（CENPAC）について気象予報を参考にして毎日最適経路を
引くことや、すでに気象予報を参考に経路を引いている（FLEX 経路），中部太平洋経路
(PACOTS)について、設定する経路数を増やすこと、ユーザが希望する経路（UPR：User
Preferred Route）を飛行することなどがあげられる。
また、太平洋航空管制事務レベル調整会議（IPACG）
※1 においても，間隔短縮に関する検討のほか、将来
の太平洋地域における UPR の導入に向けた検討などが
行われているところである。
54
※１
FAA（米国連邦航空局）と JCAB（日本
の航空局）の協力のもと、
FAA、JCAB の運用担当者、関連管制機
関とユーザー（エアラインや通信プロ
バイダ）が航空交通業務の検討を行う
場である。
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.2 基盤的研究
本研究は、将来の太平洋地域における洋上経路について，FLEX 経路やその複線化，
UPR について，管制上の問題点や経済効果について検討し、ATM センターにおける洋上
経路策定に必要となる種々の設定要素について技術資料を提供するため、事前検証を実
施するものである。
【平成 19 年度の成果】
¾
成田－シドニー・ブリスベン間の最適経路（MFT）の季節ごとの傾向（燃料消費，
CO2 排出量など）を示すとともに，現行の飛行高度の割り当てや,flexible 経路
導入後の高度の割り当ての予測を行った。
その結果、燃料費で年間 2 億 3 千万円、
CO2 は 8,000 トンに及ぶ節減の見通しが得られた。（H19 年 9 月時点。H20 年 6 月
では原油価格が約 1.6 倍に高騰しているため 3 億 8 千万円。
）
【重点研究化】
本予備的研究で調査・検討した洋上経路の最適評価はごく一部であるが、季節による
最適経路の傾向を示し、この経路を飛行した時の管制の介入後の高度の状況を模擬し，
傾向を示すことが出来た。
洋上経路は、今後航法精度要件 RNP4 適合機の増加に伴って数年のうちに横間隔 30 マ
イルを適用可能な環境に移行するものと予想されることから、本研究課題で行った研究
手法をさらに発展させると共に、他の洋上経路についても検討の対象とし、早急に研究
を開始する必要性があることから、平成 20 年度～23 年度の 4 ヶ年計画で重点研究課題
として提案することとした。
RJAA-YSSY(FIXD)
YSSY-RJAA(FIXD)
RJAA-YSSY(FLEX)
YSSY-RJAA(FLEX)
204
FUEL(x1,000lbs)
202
200
198
196
194
192
190
JAN　AUG　NOV
Fig 9 Fuel Consumption
図 2.18 成田－豪州東海岸のフレックスルートの燃料消費
固定経路（FIXD）とフレックスルート（FLEX）の燃料消費量の差を示している
②
内部研究評価などによる研究の方向性や具体的な方策への反映
研究の実施にあたっては、諸情勢の変化を考慮しつつ研究の方向性や具体的な方策に
ついて適宜、内部研究評価委員会によるヒアリングや所内研究会を活用して柔軟に対応
した。また、所内での研究進捗状況と方向性、及び成果の見込みについても情報共有を
図るため、研究計画線表による確認を行っている。この様に研究者の自主性を最大限、
発揮できるようなサポート体制を整備しつつ、研究の方向性についても所内でのコンセ
55
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.2 基盤的研究
ンサスを形成しながら研究活動を推進した。
（３）研究者の自由な発想に基づく研究の実施と若手研究者の自立促進
研究者の自由な発想に基づく研究及び若手研究者の自立促進においては、実施者の自
主性や研究企画、及び遂行能力に依存する部分が大きい。そのため、内部競争的資金制
度や優れた研究者との交流の機会を増やすなどの環境整備を継続的に行うとともに、そ
の自主性を最大限に尊重しつつ、研究能力の向上を図るために適切な研究進捗の管理と
方向性に関する助言を行うことが重要な課題となっている。
この様な背景から、将来の優れた研究活動の創出と若手研究者の育成を行うため、
「指
定研究 B」及び「基礎研究」は内部競争的資金制度を活用した研究者からの提案により
行うことを基本としている。それらについて内部研究評価委員会によるヒアリングを行
い、研究提案者への研究方法の助言や研究の方向性に関する議論・評価を行い、必要事
項について確認と修正などの作業を経て採択／不採択の決定を行っている。本年度は、
5 件の新規研究課題を実施しており、そのうち 2 件の研究課題について以下に示す。
ア．対空通信メディア高度化に関する基礎研究（基礎研究 ：平成 19 年度～21 年度）
【研究の目標】
無線通信の研究開発の動向を踏まえ、航空無線においても通信の高速化と広帯域化は
将来的に必ず起こりうると考えられる。航空以外の無線通信においては、携帯電話や地
上波デジタル放送などにおいて、広帯域通信による高速化を実現するために CDMA(符号
分割多元接続)や OFDM(直交周波数分割多重)など様々な技術が使用されている。次期航
空通信方式の検討に際しては、他分野で利用されている、そのような先端的技術の利点
と欠点に関する理解が不可欠である。
しかしながら、航空通信は移動体通信としての条件が特殊であり、他の移動体通信に
はなく、航空通信に必要な要件が存在する。そのような要件の抽出と解決策を提示する
ための技術開発を実施する。
【平成 19 年度の実施内容】
¾
周波数を下げ、ソフトウェア送信機の試作実験を実施した。スプリアスなどで大
きな問題点を発見したとともに、既存の方式とは根本的に異なる信号の生成方式
が可能であることを発見した。
【期待される効果】
本研究課題は、最終的な実用化が 20 年以上未来になる可能性があるものであるが、
若手研究員の自由な発想で発案されたものである。実施者は、過去 30 年の技術動向の
変遷を振り返り、今後 20 年以上は確実に残るであろう技術を可能な限り選ぶ必要があ
ることから、自ら関係各所からの情報収集を経て実施するなど、主体的な立案、調査作
業を通じて研究者としての資質を確実に高めた。また、長期的展望に立った研究である
こと、これまで以上に異分野の研究者とも研究交流が活発となったことにより、縦にも
横にも視野を広げることで将来の社会ニーズに対応した適切な研究活動に今後活かさ
れる。また、所内関連研究者に対しても同様の波及効果が見込める。
なお、本研究実施者は各種研究会に積極的に参加するなど、今後の研究活動が期待さ
れるとともに、この様な基盤的研究の実施が若手研究者の自主性や研究企画及び遂行能
力向上におおいに貢献した。
56
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.2 基盤的研究
イ． ASAS に関する予備的研究（基礎研究：平成 19 年度）
（延長）平成 19 年度から～平成 20 年度
【研究の目標】
ASAS（Airborne Separation Assistant System: 機上間隔維持支援システム）とは、
フライトクルーに周囲の交通状況を提供することで飛行間隔維持を可能とする航空機
システムのことである。
自律的に飛行間隔を維持することで、飛行間隔維持のタスクと責任を段階的に地上
（管制官側）から機上（パイロット側）に移していくという考えに基づいている。
これにより、
安全性：音声通信量の減少によるヒューマンエラーの削減
効率：ユーザーの希望を反映した運航の実現、管制官のワークロード削減
環境：ユーザーが燃料消費量を減らす努力をすることによる CO2 排出量の削減
などが期待されており、欧米を中心に活発な研究・開発が現在進行中である。
そこで本研究では、世界の ASAS 研究・開発の動向を追うことや、欧米との情報網・
協力体制を構築するため、ASAS-RFG 会議などへの出席・ワーキンググループへの参加を
通し、我が国において ASAS に関する新しい運用法が適用される場合の、開発計画策定
のための基礎環境を取得する。
【平成 19 年度の実施内容】
¾
¾
ASAS-RFG 会議（アメリカ）
、IFAC 会議（フランス）
、AIAA-ATIO（イギリス）など
の国際会議に多数回参加し、最新の国際動向を把握した。我が国において、ASAS
（特に機上監視）に関して統括的にまとめた文献・資料はこれまで存在しなかっ
たが、本研究のフィードバックは報告書としてまとめられた。（現在、電子航法
研究所報告として査読中である。
）
様々な国際会議を通して得た国際的な情報網を通し、NLR（オランダの航空宇宙
研究所）との共同研究が結ばれる見込みとなり、今後の国際機関と協力体制の基
礎を構築した。
【期待される効果】
本研究課題は、安全で効率的な航空機同士の間隔維持支援システムとして、将来世
界規模での適用が期待されている有効な研究課題であり、研究実施者は採用１年目の
若手研究員である。研究の
進んでいる欧米との協力体
制構築には、自ら関係各所
と調整を経て実施するなど、
主体的な立案、調整作業を
通じて研究者としての資質
を確実に高めつつある。ま
た、国際的な共同研究など
を通じて所内外研究者・技
術者との研究交流も進んで
いる。なお、本研究実施者
は 2006 年にドイツで開催さ
れた国際会議（ICAS2006）
において最優秀論文賞
図 2.19 米国における CDA 方式研究のメンバー
（ASAS-RFG 会議：米国フロリダ州にて）
57
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.2 基盤的研究
(ICAS McCarthy award)を受賞するなど、今後の研究活動が期待されるとともに、こ
の様な基盤的研究の実施が若手研究者の自立促進におおいに貢献した。
（４）実施した主要な基盤的研究とその成果
本年度実施した基盤的研究の詳細は添付の「資料 2」に記されているが、ここでは下
記の 3 課題について記述する。
ア． 航空管制業務におけるヒューマン・ファクタの評価分析手法の研究
（指定研究 B：平成 16 年度～平成 19 年度）
【研究の目標】
航空交通の安全性向上は常に求め続けられている問題であり、ここにおいて現在、更
なる安全性の向上には管制官やパイロット、更には航空機の整備等に係る要員のヒュー
マン・ファクタの管理が必要不可欠と考えられている。
しかしながら、現状においては、ヒューマン・エラーの原因と考えられる疲労やスト
レスを業務環境において、本来業務に影響を与えずに客観的に評価する方法としては、
当所において開発した発話音声をカオス論的な手法により分析する手法が発話を伴う
業務において可能性を有するのみであり、他に有望な技術や手法は存在しない。
航空管制業務においても、全ての要員が業務において多くの発話を行っている訳では
なく、発話を伴わない業務についても適用可能な、より普遍的なヒューマン・ファクタ
評価技術の開発が求められる。
客観的に個々人のヒューマン・ファクタを業務環境においてリアルタイムに容易に評
価する手法の実現は、人の使用する機械等の開発や、更には業務環境の快適化等への大
きな貢献が期待されるものであり、また先導性革新性において科学技術的な意義も大き
い。
航空管制業務環境の快適化とそこにおける管制官等のヒューマン・ファクタの管理は、
航空交通の安全性の向上を目指す場合に必要不可欠な問題であり、これに対応した研究
を実施する。
【平成 19 年度の実施内容】
¾
¾
¾
脳活性度診断の感度を向上させるパラメータの組み合わせを探す数値シミュ
レーションを実施。
環境騒音の影響を定量化する手法を検討し、試作ソフトウェアの機能評価を実施。
発話音声分析装置としての使い勝手を向上させる GUI の設計と試作を行った。
【平成 19 年度の成果】
信号処理アルゴリズムは，発話音声から発話者の覚醒度を評価するためには 6 つのパ
ラメータを適正に設定する必要がある。下図は，2 つのパラメータを変化させた場合の
信頼性（濃い暖色の方が信頼性が高い。）の変化を示したものであるが，適正な領域が 6
次元空間に島の様に存在することが確認された。
なお，下図 1 枚の作成に要する時間は最高性能の EWS を利用して 4 ヶ月程度であり，
虱潰し法では 6 つのパラメータの最適化を行うことは今日の情報処理技術では不可能で
58
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.2 基盤的研究
ある。
また，上記パラメータの適正化は音声信号の信号雑音比に依存することも確認された。
図 2.20 信号処理アルゴリズムの２つのパラメータを変化させた場合の信頼性。
（濃い暖色の方が信頼性が高い。）
今後は、交通機関におけるデータ収集も計画されているため、民間バス会社の営業所に
おいて、実業務における点呼音声の収録に対応し、社員番号，疲労度等自覚症状の申告，
睡眠時間等を容易に入力できる様な専用の GUI を試作した。
図 2.21
バス会社の点呼音声収録用 GUI 試作品
イ．高緯度地域における電離圏・大気圏の基礎研究（基礎研究：平成 18 年度～20 年度）
【研究の目標】
GPS などを用いた全地球的航法衛星システム（GNSS）の利用拡大に伴って、GNSS によ
る測位結果の信頼性の確保が重要となってきた。しかし GNSS による測位は電離層の活
動によって大きな影響を受け、測位精度の低下、さらには測位不能の状態を引き起こす
場合がある。近年、高緯度地域の電離層擾乱が中緯度地域に伝搬する可能性があること
が指摘され、日本付近における GNSS 測位への影響が懸念されている。
そこで本研究では、高緯度地域における電離層擾乱の発生頻度などの特徴や電離圏・
大気圏が GNSS 測位に与える影響を明らかにするため、実施主任者が日本南極地域観測
隊に越冬隊員として自ら参加し、昭和基地またはその周辺に GNSS 連続観測システムを
構築する。この GNSS 連続観測データとともに、昭和基地に設置されている電離圏観測
レーダや気象観測装置など他の観測機器のデータを入手し、高緯度地域における電離
圏・対流圏の GNSS 測位へ与える影響を評価する。さらに、高緯度地域で発生した電離
層擾乱の中緯度地域への伝搬や GNSS 測位に与える影響について当研究所の定常観測点
データや国際 GNSS 事業（IGS）定常観測点データなどを組み合わせた解析により調査す
59
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.2 基盤的研究
る。なお、本研究は大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所の
共同研究者との協力のもとに実施している。
【平成 19 年度の実施内容】
¾
¾
¾
昭和基地内に電離層擾乱観測用の GNSS 受信機を複数設置して観測を開始した。
これらの受信機は近接して設置し、10Hz の高速サンプリングでデータの取得を行
うこととした。
強風、低温、極端な乾燥、不安定な電源等、厳しい設置環境により一時的な欠測
は生じたが、約 9 ヶ月間に渡って連続観測に成功した。
観測データの一部に対して行った事前の評価において、強いオーロラの発生に同
期した GPS 信号の変動が観測された。観測データは国内に持ち帰り、今後継続し
て解析を行う。さらに今後の観測継続についても検討を行う。
GPS 衛星
電離層擾乱
GPS 観測
図 2.22 GPS による電離層擾乱観測の概念図(左上)、昭和基地主要部(右上)、オーロラ発生時の GPS 観
測(左下)、GPS 設置作業(右下)
【平成 19 年度の成果】
¾
¾
¾
¾
60
南極昭和基地において、初めて高速サンプリングの GNSS 連続観測データを取得
した。
磁気的な現象であるオーロラにより電離層の擾乱が引き起こされ、GPS へ影響を
与える挙動を観測できた。
強風、低温、極端な乾燥等の特殊環境における GNSS の観測手法、観測機器の設
置技術を習得した。
電子航法研究所のみでは実施できない南極における GNSS 信号観測のための枠組
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.2 基盤的研究
みが確立された。
【期待される効果】
新たな電離層観測手法を南極で実施することにより、地球環境観測の発展、電離層擾
乱の伝搬による GNSS への影響のメカニズム解析への貢献が期待できる。これらは SBAS
などの GNSS 全般に役立つとともに、極域での貴重な高速サンプリングの GNSS 連続観測
データの蓄積とデータの共有化による国際貢献が見込める。さらに、これまで以上に関
連異分野の研究者とも研究交流が活発となり、活動範囲を広げることで将来の社会ニー
ズに対応した共同研究の推進など研究実施主任者の資質向上と今後の研究活動に活か
される。また研究実施主任者だけでなく、所内関連研究者に対しても同様の波及効果が
見込まれる。
ウ．航空機衝突防止装置の運用状況の研究（指定研究 A：平成 17 年度～19 年度）
→（延長）平成 17 年度から～平成 20 年度
【研究の目標】
航空機衝突防止装置（ACAS）は、世界各国において装備義務化が図られ、広く航空機
に搭載運用されてきたところであるが、今般、国内 RVSM 空域及び RNAV 経路の導入や、
神戸空港等の新空港開港による飛行経路の接近など、ACAS の運用はさらに重要性を帯
びてきている。
これら ACAS を取り巻く我が国内の状況の変化は、ACAS による不要警報の発生などの
誘因となる可能性もあるため、同様な空域整備計画を持つ世界各国と協調した ACAS の
運用モニタリングが求められている。ACAS の衝突回避判断手法（ACAS アルゴリズム）
は RVSM 空域でも正常に動作するよう改良されたが、欧米など一部空域にて動作確認評
価されたのみであり、欧米とは別環境における運用モニタリングが求められている。
当研究所は、不要な RA の発生状況等の運用モニタリングデータの蓄積があり、RVSM
導入前後の変化を正確に評価することができる。このような調査に基づき、ACAS アル
ゴリズムを含む ICAO 国際標準方式等について今後必要と考えられる技術的な改良方法
を策定することを目的とする。
また、この目的のため
に必要となる経路設定
と ACAS 動作との関係に
関する調査を併せて行
う。さらに、ACAS/RA 情
報のダウンリンクおよ
び管制卓への表示を含
む ACAS の運用方式や、
信号干渉軽減のための
搭載品改良案などを調
査検討する。これにより、
ACAS 標準などの改善提
言を取りまとめ、ACAS と
航空機を円滑に運用で
きるよう支援する。
当初は平成 19 年度ま
ACAS 運用状況の調査から ICAO への寄与まで
61
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.2 基盤的研究
での 3 年計画であったが、研究成果の寄与対象となる ICAO の SCRSP 会議が平成 18 年度
に ASP 会議に組織改編され、その開催が平成 20 年度になった。さらに、ICAO から高い
評価を得た本研究成果は、ACAS マニュアル記載事項に反映することになったため、航
空局による会議対応への支援を含め研究期間を 1 年間延長することになった。
【平成 19 年度の実施内容】
¾
¾
¾
ICAO/ASP 関連会議への報告と今後の ACAS 改良事項を確認
ACAS アルゴリズム動作シミュレーション用システム引き継ぎ
干渉制限に有効な改良型複合監視方式案の入手とモデル化
【日本のRVSM導入前後のRA発生件数比較データ】
（ICAO/ASP/ASSGなどに報告）
【平成 19 年度の成果】
¾
¾
日本空域に新たに導入された RVSM 空域運用環境下の ICAO 標準 ACAS の動作状況
について、RVSM 導入前後の調査結果を比較するなど ICAO 標準の整合性を検証す
ることができた。
調査成果を ICAO に報告し、ICAO の ACAS マニュアルへの追記など ICAO への成果
が活用されることになった。（下記「成果の補足」を参照）
成果の補足
●この研究の実施や成果発表には、当研究所が長年調査を継続し蓄積した ACAS 運用状況の統計データ
が有効活用されている。この研究では、最近日本でも導入された新しい垂直間隔短縮の運用方式（RVSM）
が ACAS の動作に与える影響を調査し、ICAO 標準 ACAS と RVSM の共用性を検証している。RVSM は、高々
度でも航空機の飛行高度の選択肢を増加させ、最適な高度を飛行できるよう自由度を格段に向上させる
方式である。ICAO の ACAS 国際標準方式は、RVSM 環境でも不要警報を著しく増加させないよう 2000 年
に改訂案がまとまり、2003 年に出版された。当研究所が蓄積した RVSM 導入前のデータを比較対象にす
ることで、RVSM 導入後も ACAS の不要警報が極端に増加しないなど、設計通りの動作であることを確認
できた。また、現在、ICAO/ASP 会議は ACAS の改良を進めており、特に遭遇する 2 機の ACAS 搭載機の
一方が ACAS の回避アドバイザリに従わない場合の安全性向上を検討している。今回新たに取得した統
計データは、今後の改良の効果を比較検討する基礎になると期待される。研究成果は ICAO/ASP/WG 会議
に定期的に報告され、ICAO による ACAS 規格改定の方針設定にも大きく貢献している。
●ICAO/ASP/ASSG 会議（H20 年 3 月開催）にて ACAS 運用状況調査結果を報告するとともに、ICAO ACAS
Manual への追記事項を提案した。ACAS Manual は、ICAO から ACAS 関係者に提供される関連情報をまと
めた「ACAS 百科事典」的な文書である。この追記提案は、本邦による本格的な運用評価結果が ICAO の
ACAS 標準と RVSM 空域構造との共用性を実証したものとして歓迎された。さらに、EUROCONTROL の担当
者から本件に関する賛同が会議中に表明され、ENRI 提出のペーパーに最近の欧州のデータも追記し、
欧州との共同執筆提案とすることで記載事項を調整することになった。ACAS 製造国以外の複数国によ
り ICAO 標準が検証されたことになり、我が国から提案した ICAO 文書への寄与として ICAO 関係者から
歓迎されている。
62
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.3 研究開発の実施過程における措置
2.3
研究開発の実施過程における措置
2.3.1
中期目標、中期計画及び年度計画の内容
［中期目標］
第３
国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
１．社会ニーズに対応するための研究開発の戦略的・重点的な実施、研究実施過程における措置
研究所が実施する研究開発の基本的な考え方は次のとおりとする。
（３）研究開発の実施過程における措置
研究開発の実施過程においては、次に掲げる措置を講じること。
①社会ニーズに対応するための研究要素を包括的に企画、提案し、研究の位置付けと達成目標を
明確にすること。また、研究開発の目的及び成果が、社会ニーズに対して的確・タイムリーで効
果的なものとなるよう、関係者から情報収集を随時行い、研究開発の実施過程において、ニーズ
の変化に即応できる柔軟性を有すること。
②各研究開発課題について、社会ニーズの状況変化や、事前・中間評価の結果に基づき、関係者
と十分調整の上、研究内容や方法の見直し、中止等、所要の措置を講じること。また、事後評価
結果については、関係者と十分調整の上、その後の研究開発計画に反映させること。
［中期計画］
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため取るべ
き措置
（３）研究開発の実施過程における措置
研究開発の実施過程においては、次に掲げる措置を講じる。
①研究開発課題選定手順を明確にし、社会ニーズに対応するための研究要素を包括的に企画、提
案し、研究の位置付けと「目標時期」
「成果」
「効果」等の達成目標を明確にする。また、研究開
発の目的及び成果が、社会ニーズに対して的確・タイムリーで効果的なものとなるよう、行政、
運航者及び空港管理者等の関係者から情報収集を随時行い、研究開発の実施過程において、ニー
ズの変化に即応できる柔軟性を確保する。
②各研究開発課題について、社会ニーズの状況変化や、研究所内外の研究事前・中間評価の結果
に基づき、行政等の関係者と十分調整の上、研究内容や方法の見直し、中止等、所要の措置を講
じる。また、研究所内外の研究事後評価結果については、成果のフォローアップに努めながら、
行政等の関係者と十分調整の上、その後の研究開発計画に反映させる。
［年度計画］
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため取るべ
き措置
（３）研究開発の実施過程における措置
平成 19 年度は、以下を実施する。
① 航空行政、運航者等の航空関係者のニーズを随時把握し、重点研究課題を企画・提案する。
特に、スカイハイウェイ等について、その技術課題を明らかにし、それを解決するための研究
課題を提案することを目指す。研究計画の作成にあたっては、研究成果の達成目標を設定する
とともに、想定されるアウトカムとの関係を明確にする。航空関係者との間で随時、情報交換
63
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.3 研究開発の実施過程における措置
し連携を深める。航空行政が抱える技術課題について情報共有を図り、重点研究の今後の方向
性を確認するため、航空局との間で連絡会を開催する。また、重要な研究課題の実施状況を報
告するため、航空局への報告会を開催する。
② 各研究開発課題について、社会ニーズの状況変化や外部の有識者で構成する評議員会及び研
究所内の研究評価委員会による事前・中間評価結果に基づき、行政等の関係者と十分調整の上、
研究内容や方法の見直し、中止等、所要の措置を講じる。また、評議員会及び研究評価委員会
による事後評価結果については、成果のフォローアップに努めながら、行政等の関係者と十分
調整の上、その後の研究開発計画に反映させる。
具体的には、評議員会による外部評価として、以下を実施する。
・ 平成 20 年度開始予定の重点研究課題の事前評価
・ 研究期間 5 年以上の重点研究課題の中間評価
また、研究評価委員会による内部評価として、以下を実施する。
・ 平成 20 年度開始予定の研究課題の事前評価
・ 平成 18 年度に終了した研究課題の事後評価
・ 研究期間 5 年以上の研究課題の中間評価
2.3.2
年度計画における目標設定の考え方
・ 研究所が実施する研究の多くは、国土交通省航空局の行政ニーズに基づくものであるが、
行政ニーズと研究テーマは必ずしも一対一に対応するものではなく、ニーズを満たすた
めには異なる技術課題を同時に解決しなければならないものが多い。個別の技術課題を
行政側で網羅的に把握することは、困難であることから、研究所から積極的にそれらの
研究要素を提案するとともに、そのアウトカム（成果）についても認識を共有すること
とした。
・ 研究開発課題については、事前、中間、事後のそれぞれの時点で内部評価（研究評価委
員会）及び外部評価（評議員会）を実施しているところであり、その結果を適切に研究
計画へ反映させることとした。
2.3.3
当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し
（１）新規研究要素の企画と達成目標の相互確認
研究所の多くの研究テーマが国土交通省航空局からのニーズに応えるものであるこ
とから、航空局に対しては、研究の成果を確認してもらう場として「報告会」を、また、
新規重点研究課題の公式提案の場として「連絡会」を、航空局において、それぞれ年に
１度開催することとしている。
（詳細は次図を参照）
本形態は、平成 16 年度に検討した「報告会」及び「連絡会」のあり方の方針を踏ま
え、平成 17 年度より、現在の形式での開催となっている。
「報告会」及び「連絡会」の大まかな流れは次図のようになっており、特に重点研究
課題の選定については、航空局担当者と電子研研究者との相互調整が重要となっている。
64
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.3 研究開発の実施過程における措置
報告会・連絡会の流れ
・恒常的な行政ニーズの収集
・研究開発課題の調整
（密接な連携）
航空局
■ 継続研究課題の進め方等の意見・指摘
（８月下旬～９月頃）
研究報告会
研究報告会
■ 終了研究成果の把握
電子航法研究所
■ 運営状況等の報告
■ 継続研究課題の中間報告及び終了研究課
題の成果報告
■ 今後の研究開発課題の検討
■ 国際的な最新技術動向等の報告
各課担当調査官
■ 継続研究課題の調整
■ 新たな行政課題に基づく研究課題の調整
■ 継続研究課題の所要の見直し
依頼
関係各課
取り纏め
管制技術課
研究実施担当者
（１１月下旬）
・新規研究開発課題の提案
・ニーズ調査依頼
（１２月下旬）
回 答
（１月中旬）
■ 今後の行政課題の説明
航空局・電子研連絡会
航空局・電子研連絡会
保安企画課
関係各課
調整・取り纏め
■ 新規研究開発課題の調整
■ ニーズに対応した研究要素を包括的に企画、
提案（パッケージ化）
■ 研究の位置付けと役割を明確化
■ 新規研究開発課題の提案内容説明
（実施計画、アウトプット、アウトカム等）
■ 継続研究課題の見直し内容説明
研究企画統括、研究実施担当者
管制技術課
航空局担当者と電子研担当者間で研究調整
（２月中旬）
実施研究開発課題決定
実施研究開発課題決定
（４月上旬～下旬）
電子研（内部・外部）研究評価
（５月中旬）
概算要求
図 2.23
①
報告会・連絡会の流れ
報告会の開催
12 月 14 日、これまでの電子研の活動状況を報告するとともに、
「担当官以外の方々に
も幅広く聞いていただき、研究成果の共有を図る」「初めて聞く方にも分かりやすい説
明」をコンセプトとして、以下の報告を行った。
重要な研究の経過報告
・ 長期ビジョンに関する調査
・ ATM パフォーマンスの研究
・ 航空機の動態情報を利用するコンフリクト検出手法の研究
・ 航空無線航法用周波数の電波信号環境
・ 携帯電子機器の航法機器への影響に関する研究
・ 電子研における GBAS 研究の現状
・ MSAS 性能向上の検討
今回は、参加された方にアンケートを実施し、「日本の研究機関として欧米と比較し
てもひけをとらない研究を望みます。航空局の人間として、ほんとうに頼りにしたいと
ころですし、いろいろと触発されたいと思っています。」などのコメントを頂いた。以
下にアンケート結果を掲載する。今後も、「研究開始前は連絡会、終了後は報告会」の
基本セットで定例化することとし、航空局のニーズと成果を発信する電子航法研究所が
一体となった組織的活動となるよう努めることとしている。
65
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.3 研究開発の実施過程における措置
＜図 2.24 今回の報告会について＞
12
10
8
6
4
8
7
2
0
0
とても有意義だった
7
今回の報告会について
0
まずまず有意義だっ あまり有意義でなかっ ほとんど有意義でな
た
た
かった
8
0
0
＜図 2.25 報告内容について＞
14
12
10
8
8
11
10
6
4
2
0
分かり易かった
どちらでもない
よく分からなかった
66
1
1
2
1
ATMパ
長期ビジョ
コンフリク
フォーマン
ン
ト
ス
8
2
2
11
8
2
2
2
5
9
11
1
1
10
2
1
1
1
3
0
10
ARNS
T-PED
GBAS
SBAS
9
1
1
11
0
0
5
2
3
8
1
0
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.3 研究開発の実施過程における措置
＜図 2.26 研究成果について＞
18
16
14
12
10
8 7
6
4
2 3
1
0 長期
5
7
5
7
6
7
6
6
3
1
4
4
7
3
1
0
6
4
0
0
1
1
4
1
5
7
0
1
5
7
0
1
6
4
1
0
ATM
Tコンフ
GBAS SBAS
ARNS
ビジョ パ
PED
リクト
ン フォー
大いに期待している
期待している
期待できない
研究成果が分からない
②
7
3
0
1
6
4
0
0
連絡会の開催
2 月 7 日、研究所が日頃から航空局等の研究ニーズを把握し、事前に担当官と調整を
図った上で、「連絡会」において具体的な研究課題について検討し、その計画方針を立
てた。本「連絡会」の検討結果に基づき、平成 21 年度の概算要求の基礎資料の作成作
業に入った。また、当研究所から研究所の予算、一般会計への一本化対応、独立行政法
人整理合理化計画などについての説明を行った。
図 2.27
連絡会の様子
本「連絡会」で研究テーマを紹介し議論するため、担当者間で行った事前調整会議は、
延べ 10 回を数えた。
67
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.3 研究開発の実施過程における措置
（２）関係者からの情報収集とニーズに即応できる柔軟性の確保
電子航法研究所では、P（計画）D（実施）C（検証）A（改善）の業務行程のもと、効
率的にユーザーニーズを把握するスキームを構築している。平成 19 年度は、定期航空
協会を対象に実施した「出前講座」での熱心な対応が高く評価され、その後もエアライ
ンから要望（合計 4 回）を頂いた。この「出前講座」では、積極的にユーザーニーズの
収集に努めた結果、現場ユーザーの生の声が研究計画の改善にも反映され、航空業界と
の信頼関係を確固たるものとする大きな成果を上げた。
「出前講座」により現場
ユーザーの生の声を研究
計画に反映。
D（実施）
研究の実施
P（計画）
・長期ビジョン
・研究計画
C（検証）
研究成果の検証
A（改善）
研究計画の改善
P（計画）
・長期ビジョン
・研究計画
P（計画）
・長期ビジョン
・研究計画
C（検証）
研究成果の検証
A（改善）
研究計画の改善
研究成果の普及
問題点の提議
疑問や不安の解決
出前講座
報告会
研究発表会
講演会 など
産業界
航空局
学会
ユーザーニーズの把握
意見・指摘の把握
国際動向などの把握
C（検証）
研究成果の検証
A（改善）
研究計画の改善
【エアラインへの出前講座の様子】
当研究所の研究員は、研究プロセスの妥当性を確認するため、研究課題等のニーズに
関する情報を収集し、随時、行政（航空局）や航空会社などと意見交換を実施している。
各領域における主な活動を以下に示す。
【航空交通管制領域】
・ 航空局の開催する「次世代システム会議」に定期的に参加
・ 航空局管制課と南シナ海アカラコリドーの安全性評価の可能性検討会議へ参加
・ 航空交通管理業務検討委員会への参加
・ ATM パフォーマンス測定及びデータ作成に係わる情報収集，意見交換
・ 航空会社勤務経験のある非常勤研究員を通し、エアライン等のニーズに関する調
査を実施。
・ 航空局と RNAV 安全性評価関連の研究内容についての意見交換
・ 各種委員会等への参加
¾ 関東空域再検討 WG（ワーキンググループ）
¾ ATM 高度化 WG
¾ 空港面管制 SWG（サブ・ワーキンググループ）
¾ IPACG 事前調整会議
68
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.3 研究開発の実施過程における措置
【通信・航法・監視領域の活動】
・ 航空通信に関して航空局担当課との調整を適宜実施
・ GBAS に関して航空局担当課との調整を適宜実施
・ GBAS に関してエアライン各社と会合（出前講座）を持ち運航者の意見を収集
・ SBAS に関する航空局管制技術課との定期会合へ参加
・ MSAS 性能向上に関する提案と受託研究に関する調整
・ 次期 5 カ年計画にある「空港面移動の安全対策」検討会に参加
・ A-SMGC,RWSL に関する航空局関係部署との調整
・ 高精度測位補正技術の研究に関して国土交通省担当者との調整を適宜実施
・ 高精度測位補正技術の研究に関して宇宙航空研究開発機構（JAXA）との調整を
適宜実施
・ IS-QZSS ユーザミーティングにおいてユーザとの意見交換
・ 各種委員会等への参加
¾ 新 CNS システム整備方針策定検討会（航空局）
¾ データリンク運用評価検討会（航空局）
¾ 航空保安システム技術委員会 航空交通管制システム小委員会
（航空振興財団）
¾ 航空保安システム技術委員会 航法小委員会（航空振興財団）
¾ GBAS 運航に関する調査・研究（航空輸送技術研究センタ－）
¾ 「準天頂衛星による高精度測位補正に関する技術開発」委員会
（国土交通省）
¾ 高精度測位実験システム連絡調整会議（宇宙航空研究開発機構）
【機上等技術領域の活動】
・ 国土交通省担当者と打ち合わせを行い、ミリ波レーダーを用いた安全・安心な交
通システムへのニーズを把握し、その後、
「先端 ICT を活用した安全・安心な交
通システムの開発」に係る受託研究をすることとなった。
・ 航空振興財団主催の「ヘリコプターＩＦＲ等飛行安全研究会」に参加した。
・ 航空局及びエアラインが参加する「安全阻害行為等の運用に関する関係者調整会
議」に参加し、航空機内での携帯電子機器使用に係る課題について討議を行った。
・ 「航空機内における携帯電話等の利用に係る調査検討会」に参加した。
・ 中部国際空港（株）担当者から、中部国際空港における落下物検出レーダの必要
性の説明を受け、ミリ波レーダの開発に反映させるとともに、後日、中部国際空
港において出前講座を開催し、ミリ波レーダーに関する説明を行った。
・ 航空機用パッシブ RFID タグの運用に係るボーイング社から航空局への説明会に
参加した。
・ 機内携帯電話サービス会社であるオンエア社及びエアロモバイル社のプレゼン
テーションに参加した。
・ 各種委員会等への参加
¾ 耐故障飛行制御システムの基盤技術開発委員会（日本航空宇宙工業会）
¾ 航空保安システム技術委員会 航法小委員会（航空振興財団）
¾ 航空保安システム技術委員会 航空交通管制システム小委員会
（航空振興財団）
¾ ヘリコプタ IFR 研究会（航空振興財団）
¾ 最新無線情報通信技術の航空機に与える影響に関する調査・研究会（航
空輸送研究センター）
¾ 航空機内における携帯電話等の利用に係る調査検討会（電波産業会）
（３）研究評価の実施
69
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.3 研究開発の実施過程における措置
外部委員による評議員会を 2 回、研究所内部の研究評価委員会を 21 回実施し、随時
適切な研究を遂行できた。
開催日
評価会
4 月 25 日
第 1 回評価委員会
5月7日
第 2 回評価委員会
5月8日
第 3 回評価委員会
主な内容
●平成 19 年度に開始予定の重点研究課題の事前評価
①GNSS 精密進入における安全性解析とリスク管理技術の開発
②電波特性の監視に関する研究
③洋上経路システムの高度化の研究
④ターミナル空域の評価手法に関する研究
●平成 19 年度に開始予定の指定・基礎研究課題の事前評価
①対空通信メディア高度化に関する基礎研究
②空港における後方乱気流管制方式の技術基盤に関する研究
③ASAS に関する予備的研究
●平成 20 年度に開始予定の重点研究課題の事前評価（再）
①GNSS 精密進入における安全性解析とリスク管理技術の開発
●平成 20 年度に開始予定の重点研究課題のとりまとめ
●平成 19 年度に開始予定の指定・基礎研究課題のとりまとめ
●平成 20 年度に開始予定の重点研究課題のとりまとめ
●平成 19 年度に開始予定の指定・基礎研究課題のとりまとめ
5 月 16 日
第 1 回評議員会
●平成 19 年度に開始予定の重点研究課題の事前評価
①GNSS 精密進入における安全性解析とリスク管理技術の開発
②電波特性の監視に関する研究
③洋上経路システムの高度化の研究
④ターミナル空域の評価手法に関する研究
6月5日
第 4 回評価委員会
●平成 18 年度に 3 ヶ年を終了した重点研究課題の中間評価
①航空機の動態情報を利用するコンフリクト検出手法の研究
②A-SMGC システムの研究
6 月 20 日
第 2 回評議員会
●平成 18 年度に 3 ヶ年を終了した重点研究課題の中間評価
①航空機の動態情報を利用するコンフリクト検出手法の研究
②A-SMGC システムの研究
7 月 10 日
第 5 回評価委員会
●平成 18 年度に終了した長期在外派遣による研究の事後評価
①高速シミュレーションに適した管制のモデル化
第 6 回評価委員会
●平成 18 年度に終了した指定・基盤・受託研究の事後評価
①状況・意図理解によるリスクの発見と回避
②航空航法におけるＧＰＳの脆弱性の研究
③マルチリファレンス高精度測位方式の研究
7 月 25 日
10 月 15 日
第 7 回評価委員会
10 月 16 日
第 8 回評価委員会
70
●平成 19 年度研究計画の中間ヒアリング
①Ａ－ＳＭＧＣシステムの研究
②航空管制用デジタル通信ネットワークシステムの研究
③将来のデジタル航空通信に関する調査・研究
④高カテゴリＧＢＡＳのアベイラビリティ向上とＧＮＳＳ新信
号対応に関する研究
⑤狭域ＤＧＰＳによる着陸航法システムの補正値誤差のバウン
ド手法の研究
⑥高精度測位補正技術に関する研究
⑦高緯度地域における電離圏・大気圏の基礎研究
⑧高緯度地域における GPS 観測による電離圏・大気圏の研究
⑨ＡＳＡＳに関する予備的研究
⑩航空管制ヒューマンファクタに関する基礎研究
●平成 19 年度研究計画の中間ヒアリング
①航空交通管理における新管制運用方式に係る容量値に関する
研究
②航空機の動態情報を利用するコンフリクト検出手法の研究
⑥空域の安全性の定量的評価手法に関する研究
特記事項
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.3 研究開発の実施過程における措置
●平成 19 年度研究計画の中間ヒアリング
①効率的な協調意思決定を支援する情報環境技術のための要素
技術の調査研究
②航空路管制業務におけるヒューマン・ファクタの評価分析手
法の研究
③ヒューマンエラー事故防止技術の開発
④耐空通信メディア高度化に関する基礎研究
⑤航空無線航法用周波数の電波信号環境に関する研究
⑥航空機衝突防止装置の運用状況に関する研究
⑦機上監視等によるＡＴＭ支援方式の調査研究
⑧航空機の安全運航支援技術に関する研究
⑨携帯電子機器の航法機器への影響に関する研究
⑩ミリ波センサを用いた空港面における落下物探索技術に関す
る研究
●平成 19 年度研究計画の中間ヒアリング
①携帯電子機器の航法機器への影響に関する研究
②ミリ波センサを用いた空港面における落下物探索技術に関す
る研究
③SSR モード S の高度運用技術の研究
④欧州における航空機監視システムの調査研究
⑤無線測位におけるマルチパス誤差低減に関する研究
⑥スケールモデルによるＩＬＳ高度化のための実証的研究
●平成 19 年度研究計画の中間ヒアリング
①ＩＰを利用した航空衛星通信システムに関する研究
②リアルタイムキネマティックＧＰＳ測位方式の有効性向上に
関する研究
③将来のデジタル航空通信に関する調査・研究
●平成 19 年度研究計画の中間ヒアリング
①RNAV 経路導入のための空域安全性評価の研究
②今後の管制支援機能に関する研究
③ATM パフォーマンスの研究
④洋上経路システムの高度化の予備的研究上
⑤航空路管制業務のタスク分析及び作業負荷・負担の研究
⑥新航空管制システムの構築に関する基礎研究
⑦無指向性アンテナを用いた航空機監視の研究
⑧空港における後方乱気流管制方式の技術基盤に関する研究
10 月 29 日
第 9 回評価委員会
10 月 30 日
第 10 回評価委員会
11 月 8 日
第 11 回評価委員会
11 月 9 日
第 12 回評価委員会
11 月 20 日
第 13 回評価委員会
●平成 19 年度研究計画の中間ヒアリング
①静止衛星型衛星航法補強システムの 2 周波対応に関する研究
1 月 11 日
第 14 回評価委員会
●平成 19 年度に終了した短期在外派遣による研究の事後評価
①機上監視等によるＡＴＭ支援方式の調査研究
2 月 25 日
第 15 回評価委員会
2 月 28 日
第 16 回評価委員会
●平成 20 年度研究計画のヒアリング
①SSR モード S の高度運用技術の研究
②航空無線航法用周波数の電波信号環境に関する研究
③航空機衝突防止装置の運用状況に関する研究
④携帯電子機器の航法機器への影響に関する研究
⑤航空機の安全運航支援技術に関する研究
⑥電波特性の監視に関する研究
●平成 20 年度研究計画のヒアリング
①Ａ－ＳＭＧＣシステムの研究
②IP を利用した航空衛星通信システムに関する研究
③高速大容量通信アンテナを利用した航空通信システムに関す
る基礎研究
④高カテゴリＧＢＡＳのアベイラビリティ向上とＧＮＳＳ新信
号対応に関する研究
⑤GNSS 精密進入における安全性の解析及び管理技術の開発
71
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.3 研究開発の実施過程における措置
●平成 20 年度研究計画のヒアリング
①空港における後方乱気流管制方式の技術基盤に関する研究
②RNAV 経路導入のための空域安全性評価の研究
2 月 29 日 第 17 回評価委員会
③ATM パフォーマンスの研究
④航空路管制業務のタスク分析及び作業負荷・負担の研究
⑤航空管制のヒューマンファクタに関する基礎研究
●平成 20 年度研究計画のヒアリング
①ミリ波センサを用いた空港面における落下物探索技術に関す
る研究
②対空通信メディア高度化に関する基礎研究
③信号源位置推定手法に関する研究
3 月 3 日 第 18 回評価委員会
④効率的な協調意思決定を支援する情報環境技術のための要素
技術の調査研究
⑤航空管制官等の健全性評価に係る生体信号処理手法の研究
⑥受動型ＳＳＲを利用した空港環境騒音計測システムの実用化
に関する研究
●平成 20 年度研究計画のヒアリング
①ターミナル空域の評価手法に関する研究
②空域の安全性の定量的評価手法に関する研究
③ＡＳＡＳに関する予備的研究
3 月 5 日 第 19 回評価委員会
④航空機の動態情報を利用するコンフリクト検出手法の研究
⑤トラジェクトリモデルに関する予備的研究
⑥洋上経路システムの高度化の研究
⑦航空交通管理における管制空域の複雑性に関する研究
●平成 20 年度研究計画のヒアリング
①高緯度地域における電離圏・大気圏の基礎研究
②低緯度地域における大気圏活動のＧＮＳＳ及ばす影響の研究
3 月 6 日 第 20 回評価委員会
③曲線進入を考慮した TA 経路生成方式の基礎検討
④航空管制用デジタル通信ネットワークシステムの研究
⑤ＧＰＳ受信機処理方式の高度化に関する研究
●平成 20 年度研究計画のヒアリング
①高精度測位補正技術に関する研究
3 月 6 日 第 21 回評価委員会
●平成 19 年度に終了した指定研究の事後評価
①新航空管制システムの構築に関する基礎研究
＊ 評議員会、評価委員会にてコメントされた内容について適宜対応している。
図 2.28
72
6/20 評議員会の様子
図 2.29
5/16 評議員会の様子
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
2.4
共同研究・受託研究等
2.4.1
中期目標、中期計画及び年度計画の内容
［中期目標］
第３
国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
２．共同研究、受託研究等の推進
①優れた研究成果を上げるためには、他の研究機関等の外部資源を最大限活用することが不可欠
である。このため、当研究所の研究開発に関連する技術分野または研究開発に必要な要素技術に
関する研究開発等を行っている国内外の研究機関、民間企業等との共同研究を引き続き強力に推
進し、研究開発の高度化と効果的・効率的な実施を同時に実現すること。具体的には、共同研究
を中期目標期間中に３６件以上実施すること。
②航空交通の安全確保とその円滑化を図るためには、国、空港管理者、航空機運航者、航空保安
システム製造者等の航空関係者が抱える技術課題をそれぞれ解決する必要がある。これらの課題
に対応し研究所の社会的貢献度を高めるため、国、地方自治体及び民間等からの受託研究を積極
的に実施すること。具体的には、中期目標期間中に９０件以上実施すること。
また、競争的資金を積極的に獲得すること。
③他機関との密接な連携と交流を円滑に推進するため、研究者・技術者の交流会等を中期目標期
間中に３０件以上実施すること。
［中期計画］
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため取るべ
き措置
（４）共同研究・受託研究等
①共同研究
研究開発の高度化を図り、これを効果的・効率的に実施するとともに、研究所の社会的地位と
研究ポテンシャルの向上を図るため、関連する技術分野を対象に研究活動等を行っている国内外
の大学、研究機関、民間企業等との共同研究を推進する。具体的には、共同研究を中期目標期間
中に３６件以上実施する。
②受託研究等
国、地方自治体及び民間等が抱えている各種の技術課題を解決するため、受託研究等を幅広く
実施する。具体的には、受託研究等を中期目標期間中に９０件以上実施する。また、競争的資金
を積極的に獲得する。
③研究交流
他機関との密接な連携と交流を円滑に推進するため、研究者・技術者の交流会等を中期目標期
間中に３０件以上実施する。
［年度計画］
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため取るべ
き措置
（４）共同研究・受託研究等
73
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
①
共同研究
研究開発の高度化を図り、これを効果的・効率的に実施するとともに、研究所の社会的地位と
研究ポテンシャルの向上を図るため、関連する技術分野を対象に研究活動等を行っている国内外
の大学、研究機関、民間企業等との共同研究を推進する。
・ 前中期目標期間から継続して実施する共同研究を実施し、新たに 4 件以上の共同研究を開始
する。
②
受託研究等
国及び民間等からの受託研究等を以下 2 件の研究開発を含め、18 件以上実施するとともに、
受託研究終了時には顧客満足度調査を実施し、今後の受託研究活動に反映させる。その他、競争
的資金に積極的に応募し、その獲得に努める。
ア．準天頂衛星による高精度測位補正技術に関する研究
イ．ヒューマンエラー事故防止技術に係る心身状態のモニタリング手法の開発
③
研究交流
他機関との密接な連携と交流を円滑に推進するため、研究交流会など研究者・技術者の交流会
等を 6 件以上実施する。
2.4.2
年度計画における目標設定の考え方
・ 共同研究については、中期目標において 36 件以上実施するとの目標値を設定しており、
平成 18 年度に 25 件の共同研究を実施したので、平成 19 年度は新規の共同研究を 4 件
以上実施する。
・ 受託研究等については、中期目標において 90 件以上実施するとの目標値を設定してお
り、平成 19 年度は 18 件以上実施する。
・ 競争的資金に積極的に応募し、その獲得に努める。
・ 研究者・技術者との研究交流会等については、中期目標において 30 件以上実施すると
の目標値を設定しており、平成 19 年度は 6 件以上開催する。
2.4.3
当該年度における実績
（１）共同研究の実施
① 平成 19 年度共同研究の実施状況
当研究所で行う研究開発の質を向上させるため、その要素技術に関する高度な技術力
を有する他機関と共同研究を行うことにより、より有機的連携を図っている。平成 18
年度以前からの継続 18 件に加え、平成 19 年度に新たに 13 件の共同研究を実施した。
詳細は、以下のとおり。
No.
区分
1
継続
(H14.11～)
74
共同研究名
MSAS における時刻管理とそ
の応用に関する研究
相手機関
（独）情報通信研究機構
電子研における研究課題名
（H19）
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
2
継続
(H15.10～)
準天頂衛星を利用した高精度
測位実験システムの研究
（独）宇宙航空研究開発機構
高精度測位補正技術に関する
研究
3
継続
(H19.4～)
後方乱気流の航空機におよぼ
す影響の研究
（独）宇宙航空研究開発機構
東北大学
空港における後方乱気流管制
方式の技術基盤に関する研究
4
継続
(H17.7～)
準天頂衛星システムによる精
密測位に関する研究
国土交通省国土地理院
高精度測位補正技術に関する
研究
（独）情報通信研究機構
5
継続
(H18.1～)
電離層不規則構造と衛星航法
への影響に関わる共同研究
国立大学法人京都大学大学院
理学研究科
静止衛星型衛星航法補強シス
テムの 2 周波対応に関する研
究
国立大学法人名古屋大学太陽
地球環境研究所
6
継続
(H17.11～)
衛星航法システムにおける衛
星軌道情報の影響に関する共
同研究
富山商船高等専門学校
リアルタイムキネマティック
GPS 測位方式の有効性向上に
関する研究
静止衛星型衛星航法補強シス
テムの 2 周波対応に関する研
究
7
継続
(H18.2～)
A-SMGC 実験システムの構築
と連接評価
（独）交通安全環境研究所
A-SMGC システムの研究
8
継続
(H18.4～)
GNSS の信号品質とマルチパ
ス特性の評価に関する共同研
究
東京海洋大学
高カテゴリ GBAS のアベイラ
ビリティ向上と GNSS 新信号
対応に関する研究
9
継続
(H18.4～)
携帯電子機器の航法機器への
影響に関する研究
北海道大学
携帯電子機器の航法機器への
影響に関する研究
10
継続
(H18.4～)
航空管制業務のモデル化
東京大学
航空路管制業務のタスク分析
及び作業負荷・負担の研究
11
継続
(H18.4～)
発話音声による歯科臨床にお
けるストレスの解析
東京医科歯科大
12
継続
(H18.6～)
光・ミリ波マーカー及び航法
援助装置の開発
㈱レンスター
13
継続
(H18.7～)
小型航空機の安全運航支援に
関する研究
（独）宇宙航空研究開発機構
航空機の安全運航支援技術に
関する予備的研究
14
継続
(H18.8～)
疑似距離平滑化のためのサイ
クルスリップ検出法
東京海洋大学
狭域 DGPS による着陸航法シ
ステムの補正値誤差のバウン
ド手法の研究
15
継続
(H18.9～)
航空用データ通信システムに
関する共同研究
千葉工業大学
航空管制用デジタル通信ネッ
トワークシステムの研究
16
継続
(H18.10～)
ミリ波計測システムに関する
研究
（独）海上技術安全研究所
ミリ波センサを用いた空港面
における落下物探索技術に関
する研究
17
継続
(H18.10～)
極地における GNSS 連続観測
大学共同利用機関法人情報・シ
ステム研究機構
高緯度地域における GPS 観測
による電離圏・大気圏の研究
18
継続
(H18.10～)
東洋医学の診察所見と音声情
報との関係
明治鍼灸大学
航空路管制業務におけるヒ
ューマン・ファクタの評価分
析手法の研究
航空路管制業務におけるヒ
ューマン・ファクタの評価分
析手法の研究
ミリ波センサーを用いた空港
面における落下物探索技術に
関する研究
75
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
19
新規
プロジェクターヘッドランプ
の光とミリ波に対応可能な誘
電体レンズに関する。
（株）小糸製作所
ミリ波センサを用いた空港面
における落下物探索技術に関
する研究
20
新規
航空管制用二次監視レーダの
追尾性能の向上の研究
長崎大学
SSR モード S の高度運用技術
の研究
21
新規
空港面監視システムの信頼性
向上に関する研究
三菱電機（株）
A-SMGC システムの研究
22
新規
カオス論的発話音声分析技術
の応用とその実用化に関する
研究
セレブラルダイナミックス
（株）
23
新規
カオス論的発話音声分析装置
の小型高性能化に関する研究
阿部産業
24
新規
車両運転操作の発話音声に及
ぼす影響に関する研究
芝浦工業大学
25
新規
発話音声と大脳の成長の関係
に関する研究
日本女子大学
26
新規
準ミリ波帯信号の反射信号特
性の解析手法の研究
電気通信大学
無線測位におけるマルチパス
誤差低減に関する研究
27
新規
準ミリ波帯信号の反射信号特
性の解析手法の研究
三菱電機（株）
無線測位におけるマルチパス
誤差低減に関する研究
28
新規
発話音声に対する年齢と性お
よび運転操作の影響検討
（財）鉄道総合技術研究所
29
新規
時系列信号の時間局所的なカ
オス性評価手法の研究
関西学院大学
30
新規
飛行経路最適化に関する研究
東京大学
ASAS に関する予備的研究
31
新規
受動型ＳＳＲ装置の研究開発
（財）空港環境整備協会
無指向性アンテナを用いた航
空機監視の研究
航空路管制業務におけるヒ
ューマン・ファクタの評価分
析手法の研究
航空路管制業務におけるヒ
ューマン・ファクタの評価分
析手法の研究
航空路管制業務におけるヒ
ューマン・ファクタの評価分
析手法の研究
航空路管制業務におけるヒ
ューマン・ファクタの評価分
析手法の研究
航空路管制業務におけるヒ
ューマン・ファクタの評価分
析手法の研究
航空路管制業務におけるヒ
ューマン・ファクタの評価分
析手法の研究
② 共同研究における相乗効果
主要な共同研究の相乗効果について、以下にまとめる。
No.
共同研究名
1
準天頂衛星を利用した高精度測位実験シス
テムの研究
2
後方乱気流の航空機におよぼす影響の研究
76
成
果
高精度測位実験システム開発について、単独では、多大な時間と費
用を要すると考えられるが、本共同研究に基づき、それぞれが得意
とする分野を分担してシステム開発を担当し、費用、時間を有効に
使っている。また、両者各実験システム間のインターフェース調整
を綿密に行い、各実験システムのインターフェース決定を効率的に
行うことができている。
電子航法研究所と情報通信研究機構のライダーおよび宇宙航空研
究開発機構のヘリコプターを用いて仙台空港で風観測実験を行い、
仙台空港周辺の風の３次元構造を解明し、この観測データは当研究
所の開発する局所スケール気象予報システムの性能向上に役立て
られた。
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
3
準天頂衛星システムによる精密測位に関す
る研究
4
電離層不規則構造と衛星航法への影響に関
わる共同研究
5
衛星航法システムにおける衛星軌道情報の
影響に関する共同研究
電子航法研究所のみでは困難な電子基準点データリアルタイム収
集が効率的に実施できている。また、それぞれが独自に検討してい
る伝搬遅延量推定方式の検討状況について、双方にとって有益な情
報交換を行うことができた。
それぞれの機関が単独で観測、解析を行うためには、多額の費用と
時間を要する電離層プラズマバブルの観測、イメージャーデータの
解析、電離層擾乱測定・解析についてそれぞれが観測しているデー
タの相互利用、解析結果の相互利用により効率的で広範囲における
電離層活動観測が実施でき、電離層活動の GNSS への影響を効率的
に解析できている。研究会での発表等研究交流、人脈の拡大に繋が
っている。
リアルタイム観測点のない北陸地方に電子航法研究所独自の受信
機を設置する場合、設置環境を整えるため、多くの時間と費用を要
するが、本共同研究により、富山商船高専に GPS 受信機を設置して
リアルタイムデータ取得が可能になり、リアルタイムシステムの一
部とすることができている。また、GPS 観測に関するノウハウを有
する当所が海上におけるディファレンシャル GPS 実験に協力し、北
陸地方における研究協力関係の基盤が構築された。
交通安全環境研究所は灯火誘導機能の開発、当研究所は監視セン
サー及び経路設定機能の開発というそれぞれの専門分野を結合す
ることにより効率的に灯火誘導システムの開発を進めることがで
きた。
GBAS（地上補強型衛星航法システム）の基準局である GPS 受信機に
対する誤差要因の理論的解析が進み、GPS 衛星信号の歪み及びマル
チパスに起因する誤差に対する監視及び予測が可能にあることが
期待できる。
北海道大学との共同研究では、複雑な形状を持つ航空機内での電波
分布について、実測結果と予測計算結果との比較検討を行い、効率
的な解析を実施することができた。
東京大学との共同研究では、航空管制官出身の研究者が主として担
当し、電子航法研究所のリアルタイムシミュレーション施設を使
い、共同でシミュレーションデータや現場データの解析を行った。
この研究を通し、航空管制現場の管制官と大学との交流を深め、航
空管制研究の裾野を広げることができた。
新たな量産型レンズ反射器のデザイン２種を共同で評価を行い、良
好な特性が得られることが確認され、実用化により近づけることが
できた。
6
A-SMGC 実験システムの構築と連接評価
7
GNSS の信号品質とマルチパス特性の評価
に関する共同研究
8
携帯電子機器の航法機器への影響に関する
研究
9
航空管制業務のモデル化
10
光・ミリ波マーカーおよび航法援助装置の
開発
11
小型航空機の安全運航支援に関する研究
プロジェクトチーム参加者の豊富な経験と技術により多様なアイ
デア提供を受け、広範囲に検討を加えることができた。
12
疑似距離平滑化のためのサイクルスリップ
検出法
相互の観測データ、解析知識の利用による効率的解析を行うことが
できた。
当研究所は現行航空無線の通信量の統計デ－タの取得及びその解
析を分担し、また千葉工業大学は変調方式の検討と伝送誤り特性の
評価を分担し、それぞれの得意分野を担当することにより、航空用
データ通信の伝送特性を明らかにするとともにその性能を改善す
る研究を効率的に進めることが可能となった。
電子航法研究所のみでは実施できない南極における GNSS 信号観測
のための枠組みが確立され、観測が開始された。また、新たな電離
層観測方法を南極で実施することにより、地球環境観測の発展、電
離層擾乱の伝播による GNSS への影響のメカニズム解析への貢献が
期待できる。
13
航空用データ通信システムに関する共同研
究
14
極地における GNSS 連続観測
15
プロジェクタヘッドランプの光とミリ波に
対応可能な誘導体レンズに関する研究
プロジェクタヘッドランプにミリ波レーダを組み込むことができ
ることを実験で確認できた。
16
航空管制用二次監視レーダの追尾性能の向
上の研究
効率的な評価実験を実施することができた。
77
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
17
カオス論的発話音声分析装置の小型高性能
化に関する研究 他７件
18
準ミリ波帯信号の反射信号特性の解析手法
の研究
発話音声分析装置の製品化がなされ、実験用器具の一部として販売
に繋がった。発話音声分析技術を広い分野の関係者に興味をもって
もらえるようになった。
当所だけでは実現が困難であった１／３０スケールモデルによる
SSR 信号の反射信号の取得試験を実施でき、SSR 周波数の反射特性
の基礎データが得られ、当該周波数帯のスケールモデル解析の精度
向上に繋がった。
（２）受託研究の実施
① 平成 19 年度受託研究の実施状況
外部組織からの研究の委託要請を積極的に受け入れ、平成 19 年度は、受託等を 21 件
実施した。外部競争的資金による研究を含め、受託契約の収入額（契約金額）は、約
534,250 千円となった。
78
No
受託件名
受託内容
委託者
区分
1
三沢米軍飛行場整備調査検討
における TAAM シミュレーシ
ョン
三沢飛行場における第２滑走路を設置する必要性を明
確にするため、TAAM シミュレーションを用い、現況及
び整備した場合の状況を確認する
民間
2
航空管制のヒューマンファク
タに関する基礎研究（認知実
験による管制パフォーマンス
評価指標の確立）
3
準天頂衛星による高精度測位
補正に関する技術開発
4
ヒューマンエラー事故防止技
術に係る心身状態のモニタリ
ング手法の開発
航空路及び進入管制業務に関する認知モデル構築のた
めの認知実験を実施し、タスク分析等を行うことによ
り、レーダ対空席及びレーダ調整席管制官の思考・判
断のプロセスを解明する
GPS での安全な交通システムの構築には新たな測位技
術の開発が必要であり、本研究はサブメータ級以下の
測位精度を実現する高精度測位補正技術の確立のため
の技術開発を行う
リアルタイムな運転者の心身状態の評価により、交通
事故に繋がる心身的な危険状態発生の可能性の上昇を
検出し、これに対する警告を発する予防安全技術の研
究開発を行う
5
CNS/ATM に関する研究に係る
研修
(独)国際協力機構の主催による「平成 19 年度(集団)航
空交通管理セミナー」の一貫として当所を訪問する研
修生に、CNS/ATM 研修を実施する。
民間
6
平成 19 年度 433MHz アクティ
ブ IC タグによる航法装置へ
の電波干渉に関する調査
アクティブ IC タグから放射される電波による航法装置
等への電波干渉について測定、検証、分析及び評価を
行い、電磁干渉に対する共用基準を策定。
国
7
東京国際空港マルチラテレー
ション管制機器化評価委託
東京国際空港に導入するマルチラテレーションについ
て、空港面探知レーダと連接し管制機器としての確立
を目的とした評価を行い、管制機器化に必要な要求要
件等を取りまとめる。
国
8
成田国際空港マルチラテレー
ション導入評価委託
成田空港へのマルチラテレーション導入に関する性能
評価及び運用評価等を実施して、評価結果に基づきマ
ルチラテレーションの技術情報を取りまとめる
国
9
マイクロ波レーダの電波特性
解析
マイクロ波レーダにおける電波特性を解析し、レーダ
装置の総務省による落成検査等への基礎資料とする。
民間
10
平成 19 年度 JTIDS 等国内展開
基準の作成その他 1 件委託
JTIDS と民間航空用無線機器との干渉防止策のための
技術規準の策定
国
11
平成 19 年度国別フィリピン
「新 CNS/ATM(教官)」に係る
研修
フィリピン航空保安大学校の教官（管制官及び管制技
術官）4 名に対する CNS/ATM 研修
民間
国
国
国
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
12
車両走行速度測定装置の電波
特性の解析
電波無響室を使用し、車両走行速度測定装置に関する
電波測定実験を行う
民間
13
航空移動衛星業務の最適な衛
星通信設定方法に関する解析
業務
運輸多目的衛星の運用に資する最適な衛星通信の設定
方法に関する解析業務を行う
民間
14
電磁波遮蔽容器の電磁波遮蔽
に関する検証等について
電磁波遮蔽容器の電磁波遮蔽特性を検証する
民間
15
PRISM に搭載するアンテナ
（ダ
イポールアンテナ、モノポー
ルアンテナ、ターンスタイル
アンテナ）の利得、指向性測
定のための施設、機器使用
電波無響室を使用し、PRISM に搭載するアンテナ（ダイ
ポールアンテナ、モノポールアンテナ、ターンスタイ
ルアンテナ）の利得、指向性を測定する
民間
16
成田空港マルチラテレーショ
ン整備基本調査に関する支援
業務
成田空港マルチラテレーション整備基本調査支援とし
て成田空港に導入予定のシステムに関する技術的アド
バイス及び最新技術動向調査を行う
民間
17
航空機内における携帯電話等
の利用に関する調査検討の請
負
機内携帯電話システム実現のため、機体を借用し、測
定実験を行う
民間
18
LLZ 前方における滑走路延長
工事影響調査委託
稚内空港の滑走路延長工事に関する LLZ 電波調査及び
女満別空港オフセット LLZ の積雪調査、青森空港 LLZ
の積雪調査を行う
国
19
MSAS 性能向上策に関する調査
（その２）
LPV200 運用の実現に向け、シミュレーション技術ある
いは実際の観測データの利用による解析をし、最も効
率的かつ経済的な性能向上策を提案する
国
20
空域の安全性検証・監視に関
する調査（その３）に係る支
援作業
「空域の安全性検証・監視に関する調査（その３）」
を技術的に支援する。
民間
21
航空管制のヒューマンファク
タに関する基礎研究（認知実
験による管制パフォーマンス
評価指標の確立）
航空路及び進入管制業務に関する認知モデル構築のた
めの認知実験を実施し、タスク分析等を行うことによ
り、レーダ対空席及びレーダ調整席管制官の思考・判
断のプロセスを解明する
国
② 高精度測位補正技術に関する研究
【研究の概要】
本研究は、日本のどこでも、天頂付近からの高精度測位サービスの提供を可能とする
準天頂衛星システムの実現を目指して、国による技術開発・軌道上実証、民間による事
業化という官民役割分担の下、経済活性化のための研究開発国家プロジェクトとして、
準天頂衛星システムの研究開発が総務省、文部科学省、経済産業省及び国土交通省の 4
省庁の連携により進められていることを背景として、平成 15 年度から開始された。
国土交通省においては、衛星測位・通信技術を交通分野、防災、国土管理等へ活用す
るため、センチメートル級の高精度測位サービスの実現に向けた技術開発を行うととも
に、移動体等への利用技術の開発を行うこととしており、本受託研究はこの一環として
行うものである。
本研究においては、既存の衛星測位システムを上回るメートル以下の精度を可能とす
る準天頂衛星を用いた高精度測位補正技術を確立するために必要となる完全性監視方
式、電離層遅延推定方式等の技術課題の解決を図る。開発された技術の評価に当たって
は、地上で機能・性能を確認するとともに、平成 21 年度に打ち上げられる予定の準天
79
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
頂衛星を用いて技術実証実験を行う。
本研究の成果が、鉄道などの高速移動体の安全性向上に寄与する高精度・高信頼性の
衛星測位システムの実現に資することを目的としている。
【平成 19 年度の成果】
平成 19 年度は下記項目を実施した。
1.高精度測位補正情報リアルタイム生成システム評価試験及び試験結果解析
本評価試験により以下のことを確認した。
①電子基準点観測データからリアルタイムで補正情報を生成・配信できる
②生成・配信された補正情報により、測位精度の改善・信頼性の確保が可能である
2.プロトタイプ受信機（利用者装置に相当）の単体評価試験および試験結果解析
本評価試験により以下のことを確認した。
①準天頂衛星から送信される、補正情報を含んだ信号を受信できる
②信号に含まれる補正情報を解読できる
③補正情報を利用した測位計算を実行できる
【補正情報リアルタイム生成・
配信システム外観図】
【プロトタイプ受信機外観図】
③ ヒューマンエラー事故防止技術の開発
【研究の概要】
陸・海・空の各交通モードにおける輸送機器の高速化と大型化を伴った輸送量の大幅
な増大にも拘らず、様々な安全技術による装置や設備を導入することで今日の安全水準
は実現されてきた。しかしながら、事故発生件数を低減させるために次に実施すべき対
策や、安全水準を確実に改善する手法等は明らかにはなっていない。すなわち、従来技
術の延長線上にある手法では更なる安全水準を向上させることは困難であり、従来技術
と相補的に利用可能な安全技術の開発とその実用化こそが、将来における安全水準の向
上に必要不可欠であると考えられる様になっている。
十数年来、多くの事故はヒューマンファクタに起因すると言われて来ており、運転席
等のデザインの改善等、今日まで継続的に様々な安全性の向上を目指した試みや取組み
が行われているが、未だ明確な成果は得られてはいない。このことは、将来的に交通の
安全性の向上を図ろうとする場合には、スタティックなヒューマンファクタの管理によ
るだけでは不十分であり、ダイナミックに、時間的にはミクロスコピックに、ヒューマ
ンファクタを管理する技術の開発と導入が必要不可欠であることを意味していると考
えられる。
本研究においては、運転者の業務環境における発話音声等から、その都度その都度の
運転者の心身状態や運転環境状況を評価し、ヒューマンエラーの発生を検出してその訂
80
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
正や復旧を行うのではなく、ダイナミックにヒューマンファクタを管理することにより、
交通事故や、更には事故に繋がる可能性のある様々な危険状態を、未然に、できるだけ
時間的に早い段階で回避することを可能とするシステムの研究開発を行う。本研究成果
は、普遍的な予防安全技術としての性格を有するものであり、今年度までの実験結果よ
り、過労に起因するヒューマンエラーの殆どを防ぐことは十分に可能と考えられる。本
予防安全技術は、大事故の発生確率を大幅に低減するものとなることが期待される。
【平成 19 年度の成果】
平成 19 年度に実施したトラックによる夜間走行実験は、平成 17 年度に実施したシミ
ュレータによる疲労評価実験、及び平成 18 年度に実施した実車による昼間走行実験に
よる実験結果を受けてのものであり、近い将来、発話音声分析装置の導入が期待される
物流の現場環境に近い環境を想定したものである。
本実験においては、20 人の職業運転手を被験者として、疲労に因り運転業務の継続
が困難、或いは不可能になる状態までの心身状態の変化を観測した。
その結果、明確に、運転者の過度な消耗状態が発話音声から観測可能であることを確
認した。逆に、軽度から中程度までの疲労状態については、運転者の性格に依存する部
分が存在し、必ずしも発話音声による診断だけでは十分ではないことも確認された。
発話音声分析ソフトウェアについては、その性能の向上により信号処理速度の向上が
実現され、従来の懸案であったマイクロフォンの固体差に係る問題についても、マイク
ロフォンの選別技術と信号処理技術を組み合わせることにより、一応の決着をつけるこ
とができた。
技術的には、次のステップとしての公道における機能評価実験に対応可能な水準に達
したと思われる。
【車載型発話音声分析装置トラック実車実験の様子】
81
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
④ その他の受託研究
平成 19 年度 433MHz アクティブ IC タグによる航法装置への電波干渉に関する調査
【概要】
現在、経済のグローバル化や国際水平分業の展開によって航空貨物需要は増大を続け
ており、その需要の増大に対応できる迅速性が航空貨物輸送に求められているところで
ある。その一方、米国で起きた同時多発テロ以降のセキュリティー対策の強化は、セキ
ュリティーチェック等のために要する時間により航空貨物輸送の特色である速達性を
損なわせる一因となっている。
円滑で効率的、かつセキュリティレベルの高い航空貨物輸送実現のため、433MHz 帯ア
クティブ IC タグシステムを用いた貨物の電子管理化が検討されている。
本調査は、アクティブ IC タグの導入に際して大きな課題となる、タグからの電波に
よる機上装置での電磁干渉障害の可能性について評価することを目的とする。
【平成 19 年度の成果】
従来、機上装置での電磁干渉については RTCA（米国航空無線技術協会）の文書 160E
（DO-160E）をもとに評価されてきた。しかし、この方法ではアクティブ IC タグのよう
に電波を放射する機器による電磁干渉の評価は困難なため、本調査では新たな試験手順
書 307（DO-307）に基づいた評価を行った。評価のため、タグの電波放射レベル、機上
装置の感受性（耐外来電波特性）、機内から機上装置までの経路損失（電波伝搬損失）、
及び機上無線機器の感度等のデータを収集した。これらデータのうち、タグの電波放射
レベルは電波無響室内で、経路損失等はボーイング 747-400 型貨物機内で収集した。
収集したデータの分析・評価の結果，試験したタグの電波放射レベルは各機上装置の
感受性より大幅に小さいため、干渉の可能性は無いことが判明した。また、IC タグから
の不要電波（スプリアス）が機内を伝搬して機上無線装置入力端に到達したとき、その
電波強度は無線装置の感度より大幅に低くなり、試験した IC タグによって機上無線装
置が干渉を受ける可能性はないことが判明した。
【貨物機内データ収集風景】
82
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
⑤ 顧客満足度調査の実施と反映
全受託契約 21 件に対し、平成 20 年度の継続研究等 6 件を除く 15 件の委託契約者に
アンケートを依頼し、12 件の回答（回答率：80%）を得ることができた。
アンケート結果から、技術レベルや守秘性に関して高い評価を頂いており、概ね満足
いただけたと考えている。一方、今年度の課題であった「契約の流れをよりスムーズに
行う」については、平成 20 年 1 月に「受託研究取扱規程」を改正するとともに、新た
に「請負研究等取扱規程」を制定し、契約が円滑に行えるよう取り組んだ。また、もう
一つの課題であった「専門用語を分かり易く解説する」については、今回実施したアン
ケートに「専門用語の解説に関する項目」を追加し、その結果を踏まえて具体的な対応
を検討することとしている。
質問 1；研究受託を行っていることを、どのようにして知ったか？ (複数選択可)
発表会等で
1
弊所を見学したこ
とがある
パンフレットで
0
0
ホームページで
0
3
研究員を知ってい
た
知人からの紹介
0
7
以前に委託したこ
とがある
その他
1
0
2
4
6
8
（単位：件）
83
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
質問 2；研究の実施状況について
前年度比較
1.研究者の対応について
8 (80%)
(満足・普通・不満)
2.研究期間について
(78%)
7
(適切・普通・不適切)
3.守秘義務について
4.技術レベルについて
5.報告書①（提出時期）について
3 (33%)
(早い・普通・遅い)
5.報告書②（わかりやすさ）について
5.報告書③（専門用語の解説）について
無回答
1 0
3
(75% ↑)
0%
20%
2
40%
60%
(25% ↑)
3
1
8
(94% ↑)
2
0
6
0 (0%)
(十分・普通・不十分)
(63% ↑)
1
5
3(30%)
(わかりやすい・普通・わかりにくい)
3
(100%)
10
(高い・普通・低い)
0
2
8 (89%)
(守られた・どちらとももいえない・守られなかった)
(94% ↓)
2
0
2
80%
2
(38% ↓)
2
(
－
100%
質問 3；契約関係手続きについて
1.契約の流れについて
1
8
2
1
(わかりやすい・普通・わかりにくい)
2.契約条件について
2
8
1
1
1
1
(適切である・普通・不適切である)
3.契約担当者の対応について
6
4
(満足・普通・不満)
無回答
0%
20%
40%
60%
80%
100%
質問 4；受託研究の成果に対して満足しているか？
前年度比較
7
0%
84
20%
(70%)
40%
3
60%
0
80%
満足している
普通
不満である
無回答
2
100%
(81% ↓)
)
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
⑥ 競争的資金への応募
平成 19 年度の外部競争的資金への応募研究は、以下の表のとおりであるが、残念な
がら採択に至ったものは無かった。
No.
1
2
3
競争的資金名
平成 19 年度
運輸分野における基礎的研究推
進制度
平成 19 年度
科学技術振興調整費
(CREST)
平成 20 年度
科学研究費補助金
若手研究(B)
課題名
緊急時の航空機遠隔誘導技術の研究
安全・安心社会実現のための人間状態の統
合センシング予測技術
参画機関（◎：研究代表）
◎宇宙航空研究開発機構
東京大学
電子航法研究所
◎ 関西福祉大学
産業技術総合研究所
電子航法研究所
航空機航法装置と電子機器間の電磁両立性
の定量的評価に関する研究
◎ 電子航法研究所
4
平成 19 年度
科学研究費補助金
基盤研究(B)
高速電力線通信による科学観測や無線通信
に対する干渉を評価する定量予測モデルの
構築
◎ 国立天文台
大阪大学
九州工業大学
東北大学
京都大学
電子航法研究所
5
平成１9 年度
科学研究費補助金
基盤研究（A）
自動車運転行動における脳内情報処理プロ
セスのモデル化
◎ 芝浦工業大学
電子航法研究所
⑦ 運輸技術研究開発調査費で行う受託研究
国交省総合政策局技術安全課は、障害物との衝突やテロリスト等の侵入の回避を目的
とした高度な監視支援システムを開発するため、
「先端 IC を活用した安全・安心な交通
システムの開発」を企画競争で委託することとしていた。
電子航法研究所は、これまでに培ってきた「ヘリコプタの障害物探知・衝突警報シス
テムに関する研究」
（平成 13～17 年度）及び「ミリ波／赤外線による衝突防止技術に関
する研究」
（平成 14～16 年度）の成果をもとに、当該研究の企画競争に応募した結果、
当研究所の提案が採用され、平成 20 年度においては「ミリ波レーダーシステムの小型
軽量化技術開発」と「監視支援システムの構築」の技術開発を担当することとなった。
85
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
（３）研究者・技術者の交流会等の開催
他機関・行政との密接な連携と交流を円滑に推進するとともに、様々な技術議論を
広く行う場として、平成 19 年度は、以下の 8 件の研究交流会を開催した。
① 第 1 回研究交流会(4/26)
『日米の ILS 研究動向』
ILS 研究に関する第一人者である米国オハイオ大学のクリネット氏を招き、米国に
おける ILS 研究の動向を講演して頂いた。また、我が国で唯一 ILS に関する研究を実
施している当研究所からも発表を行った。日米の研究動向について活発な議論を交わ
すことにより、当研究所の研究が世界レベルであることを確信できたとともに、研究
者にとって大きな自信に繋がった。
【第 1 回研究交流会の様子】
② 第 2 回研究交流会(7/10)
『フランスからの留学生
研修修了報告会』
ENAC（フランス国立航空学院）の留学生 2 名が、研修修了報告を兼ねた講演を実施し
た。当研究所は、ENAC から継続的に研修生を受け入れており、研修成果が将来世界的
に生かされることを期待している。
III- Results: LPV-200 (35 m)
• availability in LPV-200 operations for a L1 receiver :
GPS
Galileo
Partial
GPS/Galileo
Full
GPS/Galileo
【第 2 回研究交流会の様子】
③ 第 3 回研究交流会(7/24)
『Flight Management System の概要等』
JAL の運航本部から阿部氏を招き、FMS（Flight Management System）についての講
演を頂いた。FMS は航空機の頭脳に相当するもので、航空交通をより安全で効率的なも
のにするための研究を実施している当研究所にとっては、必要不可欠な知識であるが、
詳細な情報を入手することが困難なものでもある。
本講義と活発な質疑応答によって、研究者はその見識と自信を大きく深めた。今後の
研究が飛躍的に進むことを期待している。
86
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
【第 3 回研究交流会の様子】
④ 第 4 回研究交流会(8/17)
『アメリカの運航管理の秩序』
ノースウエスト航空の中田氏を招き、航空業界の先進国である米国における運航管
理について講演を頂いた。その後、ノースウエスト航空を訪問し、気象情報の活用方
法などの知見取得に向けた活動に繋がった。
【第 4 回
⑤ 第 5 回研究交流会(9/21)
研究交流会の様子】
『単一目標追尾の基本
－現状と将来－』
長崎大学から小菅教授を招き、レーダー追尾に関する研究の現状と将来に関する講
義を頂いた。航空行政に貢献することを最大の目的とする当研究所にとって、大学の
最新研究に関する講義はとても新鮮であり、今後、産官学連携のさらなる発展に寄与
したい。
【第 5 回
研究交流会の様子】
87
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
⑥ 第 6 回研究交流会(12/6) 『4D 管制について』
国土交通省航空局 管制保安部管制課空域調整整備室長を招き、世界的な共通ビジ
ョンとして実現を目指している「4D 管制」について、米国・欧州・日本の将来構想に
ついて講義頂いた。4D 管制の実現という目標は、当研究所にとって大きな使命である
ことから、自分達の目指している研究の方向性（ニーズの的確な把握）を再確認でき
た。
NextGenにおける４次元航跡管理イメージ
４次元航跡管理（４ＤＴ）の導入
超混雑空域運用（Super Density Operation）
データ通信と自動化技術を活用し、航空機の経路上
の予測位置（緯度・経度・高度及び時間）の不確定性
を減少させるとともに、管制官の監視下で、航空機側
にも航空機間隔の維持業務を分担させ、空域容量と
柔軟性を向上させる。
交通流コリドーの設定
以下の技術を活用して、管制間隔の短縮等により空港処理能力を向上する。
•４次元航跡管理（４ＤＴ）及び自動化
•ＲＮＰの導入
•後方乱気流の探知能力向上による制約の軽減
•滑走路誤進入の防止アルゴリズムの向上
•滑走路ブレーキアクション報告の自動化
•到着前のタキシング指示の自動化 等
混雑空港に近づくにつれ、交通が集中する経路では、
同方向に向かう４ＤＴの能力を有する航空機を束ね、
管制官の監視の下、航空機間隔を維持させるコリドー
を設定する。
【第 6 回
Super Density Operationを導入することにより、既存の空港のままで処理
能力を約４０％増加することを目指している。
研究交流会資料より】
⑦ 第 7 回研究交流会(1/23)
『DSNA R&D activities in the European and global context』
当研究所と交流のある仏国 DSNA（フランス民間航空行政機関の一部）から 2 名を招
き、仏国の研究における世界戦略などの講義を頂いた。本講義後の活発な議論により、
より親交を深めることができた。当研究所のさらなる国際化の大きな足がかりとなった
と期待している。
【第 7 回
88
研究交流会の様子】
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.4 共同研究・受託研究等
⑧ 第 8 回研究交流会(3/28)
『航空交通管理における CNS と IT 技術』
当研究所の研究に関する最高責任者である研究企画統括により、長期ビジョンの視点
から自分たちの目指すべき方向性が示された。活発な議論と質疑応答により、当研究所
の使命と研究業務の方向性を統一的に共有するに至った。当研究所の能力を大きく底上
げしたと確信している。
2020年に想定される機上システム
2020年に想定される機上システム
監視技術の展望
™
2020年のベースライン
™
協調的な監視
™
™
™
™
™
非協調的な監視での補足
™
™
一次レーダが独立した非協調的監視を提供する
2020年以降
™
™
【第 8 回
航空機はモードSとADS-Bの搭載が必要であるので、監視技術の選択
（モードS、ADS-B、MLAT)が柔軟な形で残る
ADS-Bin/outが１０９０MHzESで提供される
1090MHzESの義務化
洋上と遠隔地では衛星ベースのADS-C
一次レーダは非協調的なもっとやすいシステムに入れ替わる
ADS-Bin/outを支援している1090ESは、（データ通信容量が不十分であ
るので）追加的な高いパフォーマンスのデータ通信で補足されるだろ
う
研究交流会資料より】
89
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
2.5
研究成果の普及、成果の活用促進等
2.5.1
中期目標、中期計画及び年度計画の内容
［中期目標］
第３
国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
３．研究開発成果の普及・活用促進
社会ニーズへの対応、共同研究及び受託研究の推進、受託収入・特許権収入等の自己収入の増
加を図るためには、研究所の研究開発成果を広く社会に公表してその利活用を促すとともに、研
究所に対する潜在的な需要を掘り起こすための施策を積極的に行うことが肝要である。このため、
研究所の業務に係る啓発、学会発表、メディアを通じた広報及び発表、インターネットによる資
料の公表、成果の活用を推進するための技術支援、国際標準化作業への参画等の施策を積極的に
実施すること。具体的な実施内容と目標は次のとおりとする。
（１）研究開発等
①知的財産権による保護が可能な知的財産については、必要な権利化を図ること。
②各研究開発課題については、年１回以上、学会、専門誌等において発表すること。
③査読付論文を８０件以上提出すること。
④ホームページで提供する情報の内容を工夫、充実させることにより、アクセス件数が増加する
よう努めること。
⑤その他研究所の活動及び成果の普及・活用促進に必要な広報活動に努めること。
（２）国際協力等
国際民間航空機関等の海外機関においては、新しい航空交通管理手法や新技術を採用した航空
保安システムに係る国際標準の策定が進められており、我が国もその活動に積極的に参画して国
益を確保することが必要である。また、アジア地域における航空交通の安全確保等については、
我が国が果たすべき役割が大きくなっている。従って、次の施策により、航空分野における我が
国の国際協力等に貢献すること。
①海外機関への技術支援等による国際協力を積極的に行うこと。
②国際的な最新技術動向を把握、分析し、当該情報を外部に提供できるしくみを整えること。
③研究開発成果の国際的な普及を推進するため、国際会議等における発表を２４０件以上実施す
ること。
［中期計画］
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため取るべ
き措置
（５）研究成果の普及、成果の活用促進等
①知的財産権
知的財産権による保護が必要な研究成果については、必要な権利化を図る。
また、登録された権利の活用を図るため、広報誌、パンフレット、ホームページ等により積極的
90
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
に広報・普及を行うとともに、研究成果に関心を寄せる企業等に積極的に技術紹介活動を行う。
②広報・普及・成果の活用
研究所の活動・成果を研究発表会、一般公開、広報誌等印刷物、マスメディア、ホームページ等
の様々な広報手段を活用し、効率的かつ効果的な広報活動を推進する。また、国際会議、学会、
シンポジウム等に積極的に参加し、講演、発表等を通じて研究成果の普及に努める。更に、行政
当局への技術移転等を通じ、研究成果の活用を図る。
・各研究開発課題については、年１回以上、学会、専門誌等において発表する。
・中期目標期間中に８０件程度の査読論文への採択を目指す。
・ホームページで提供する情報の内容を工夫、充実させることにより、アクセス件数が増加する
よう努める。
・研究発表会及び研究講演会をそれぞれ年１回開催する。
・研究所一般公開を年１回実施する。また、研究所の見学を積極的に受け入れることにより、研
究所の活動に関する広報に努める。
・国土交通省の「空の日」事業への参加を年１回以上実施する。
・研究成果への関心を喚起するため、研究所の広報の一環として、研究成果等について企業等に
公開講座を開催する。
その他研究所の活動及び成果の普及・活用促進に必要な広報活動に努める。
③国際協力等
研究所で行う研究開発は、諸外国の研究機関等と協調して行う必要があることから、これらと
積極的に交流及び連携を進めることにより、国際的な研究開発に貢献する。さらに有効な国際交
流・貢献を図るため、主体的に国際ワークショップ等を開催する。
国際的な最新技術動向を把握、分析し、当該情報を外部に提供できるよう、技術情報のデータ
ベース化と当該情報の提供を行う。
国際民間航空機関が主催する会議への継続的な参画により、国際標準策定作業に積極的に貢献
する。アジア地域の航空交通の発展に寄与するための研修等を実施する。
・国際民間航空機関が主催する会議、その他国際会議・学会等で中期目標期間中に２４０件以上
発表する。
・国際ワークショップ等を、中期目標期間中に２件程度開催する。
［年度計画］
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するため取るべ
き措置
（５）研究成果の普及、成果の活用促進等
①知的財産権
知的財産権による保護が必要と判断される研究成果については、そのコストパフォーマンスを
検討した上で、必要な権利化を図り、保有する特許等については、その維持計画を策定する。ま
た、保有する特許等の権利の活用を図るため、広報誌、パンフレット、ホームページ等により積
極的に広報・普及を行うとともに、特許の普及に係るイベント等を活用し、研究成果に関心を寄
91
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
せる企業等に積極的に技術紹介活動を行う。
②広報・普及・成果の活用
研究所の活動・成果を研究発表会、一般公開、広報誌等印刷物、マスメディア、ホームページ
等の様々な広報手段を活用し、効率的かつ効果的な広報活動を推進する。また、国際会議、学会、
シンポジウム等に積極的に参加し、講演、発表等を通じて研究成果の普及に努める。さらに、行
政当局への技術移転等を通じ、研究成果の活用を図る。
平成 19 年度は、以下を実施する。
・各研究開発課題について、年 1 回以上、学会、専門誌等において発表する。
・16 件程度の査読付論文の採択を目指す。
・ホームページを更に充実させ、情報発信を積極的に行うとともに、更新頻度を高め、アクセス
数の増加を目指す。
・研究所一般公開、研究発表会及び研究講演会をそれぞれ 1 回開催する。
・研究所の見学を積極的に受け入れることにより、研究所の活動に関する広報に努める。
・国土交通省の「空の日」事業への参加を年 1 回以上実施する。
・航空関係者の研究成果に対する理解とその活用を促進するため、企業及び航空関係者への公開
講座として、出前講座を継続企画し開催する。
その他、研究所の活動及び成果の普及・活用促進に必要な広報活動に努める。
③国際協力等
平成 18 年度に新たにフランス国立民間航空大学院より受け入れた研修生 2 名に対し、引き続き
我が国の航空電子システム分野の技術を指導する。また、有効な国際交流・貢献を図るため、平
成 20 年度に開催する国際ワークショップの準備を行う。
その他、平成 19 年度は、以下を実施する。
・研究所が参加している ICAO（国際民間航空機関）の会議に提出された技術情報のデータベース
化と当該情報の提供を継続し、利用者のニーズに応えるための改善を図る。
・アジア地域の航空交通の発展に寄与するための研修等を実施する。
・ICAO が主催する会議、その他国際会議・学会等で 48 件以上発表する。
・欧米の研究機関等との連携強化を図る。
2.5.2
年度計画における目標設定の考え方
・ 研究活動における発明については、知的財産権による保護が必要であると判断される場
合は特許等の申請により、権利化を図ることとする。また、研究所が保有する特許につ
いて、その維持計画を策定した上で積極的に広報活動を実施する。
・ 中期計画では、各研究開発課題については、年 1 回以上、学会、専門誌等において発表
することとしており、これに従い年度計画の目標とする。
・ 中期計画では、査読付論文については、80 件以上提出することとしており、これに従
い、平成 19 年度は 16 件程度の採択を目指す。
92
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
・ ホームページについては、提供する情報の内容を充実させることにより、研究所の活動
に対する理解を高めることとする。
・ 従来から実施しているイベントを今年度も継続することとし、研究発表会、研究講演会、
研究所一般公開、「空の日」事業への参加をそれぞれ 1 回実施する。
・ 平成 17 年度から実施している企業等への公開講座については、好評を博していること
から、平成 19 年度も積極的に継続する。
・ 国際協力については、海外からの留学生や研修生を積極的に受け入れる。
・ 中期目標において、国際的な最新技術動向を把握、分析し、当該情報を外部に提供でき
るしくみを整えることとしており、研究所が参加する ICAO 会議における技術情報を提
供する仕組みを検討する。
・ 中期計画では、国際会議等における発表を 240 件以上実施することしており、これに従
い、平成 19 年度は 48 件以上発表する。
・ 国際会議・学会・シンポジウムに積極的に参加し、また交流会などを開催することによ
り欧米との連携を深めることとした。また、DSNA に短期留学させることとする。
・ 平成 20 年度開催予定の国際ワークショップの開催に向けた検討を開始する。
2.5.3
当該年度における実績
（１）知的財産権
① 研究成果の知的財産権による保護
今中期目標期間においては、
「量から質へ」との方針に基づき、平成 19 年度は延べ 4
回の発明審査を実施した。
② 平成 19 年度出願特許と取得特許
平成 19 年度に出願した特許及び登録された特許は、以下のとおり。
（出願特許数：4 件、登録件数：9 件）
＜出願一覧表＞
No.
出願番号
出願日
発明の名称
共同出願者
保有
形態
1
2007-181270
平成 19 年
7 月 10 日
天頂対流圏遅延量の算出方法及び衛星
測位信号の対流圏遅延量の補正方法
－
単独
2
2007-246609
平成 19 年
9 月 25 日
衛星航法システムの電離層遅延推定の
方法及びその装置
－
単独
3
PCT/JP2007/73512
平成 19 年
12 月 28 日
天頂対流圏遅延量の算出方法及び衛星
測位信号の対流圏遅延量の補正方法
－
単独
4
2008-093544
平成 20 年
3 月 31 日
発話音響環境対応型発話音声分析シス
テム
（財）鉄道総合技術研究所
共同
＜特許登録一覧表＞
No.
登録番号
登録日
1
3956024
平成 19 年 5 月 18 日
2
3956025
平成 19 年 5 月 18 日
請求項
保有
形態
持分比
ILS のグライドパス装置の GP パス予測方法
7
単独
100%
移動体の識別監視装置
12
単独
100%
特許件名
93
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
3
10-722457
平成 19 年 5 月 21 日
カオス論的ヒューマンファクタ評価装置
（PCT 出願：韓国）
2
共同
25%
4
3988828
平成 19 年 7 月 27 日
誘電率の測定方法及び誘電率測定装置
3
共同
40%
23
共同
50%
22
共同
50%
27
共同
25%
5
共同
50%
8
共同
50%
5
3995687
平成 19 年 8 月 10 日
6
3997549
平成 19 年 8 月 17 日
7
7321842 B2
平成 20 年 1 月 22 日
8
4097133
平成 20 年 3 月 21 日
9
4097254
平成 20 年 3 月 21 日
誘電体レンズを用いた電磁波の反射器、発生器
及び信号機
移動局及び移動局側通信制御方法及び衛星局
及び衛星局側通信制御方法及び通信システム
カオス論的指標値計算システム
（PCT 出願：アメリカ）
無線通信ネットワークシステムおよび無線ネ
ットワークシステムの制御方法
無線通信ネットワークシステム、移動局および
移動局の制御方法
③ 特許の活用
平成 19 年度に活用された当研究所の保有する特許を以下に示す。
No.
特許権名
登録番号
1
DSB 方式ドップラーVOR モニタ方法
1731867
2
アンテナ故障検知装置
1739963
3
ドップラーVOR のアンテナ切換給電方法
1928084
4
レーダ受信画像信号のクラッタ抑圧方法及び装置
3091880
5
全方向性を有する誘電体レンズ装置
3822619
6
大脳評価装置
出願中
④ 知的財産権に係る広報・普及活動
平成 19 年度の活動は以下のとおり。
¾
平成 19 年 11 月 28 日～30 日、東京国際展示場（東京ビックサイト）で開催され
た「パテントソリューションフェア 2007」
（主催：特許庁／関東経済産業局）に
参加し、「発話音声によるストレス・レベル評価装置」及び「全方向性誘電体レ
ンズ装置」に係る特許の PR 紹介を積極的に行い、来場した企業等から数多くの
照会に対応した。
【パテントソリューションフェアの様子】
¾
94
平成 20 年 2 月 18 日、サンポートホール高松で開催された「平成 19 年度国土交
通先端技術フォーラム」に参加した。電子航法研究所は 3 年目の参加となるが、
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
本イベントには講演の他に展示コーナーも設けられており、各研究所等がパネル
等を出展して広報活動を展開している。電子航法研究所は「発話音声によるスト
レス・レベル評価装置」を展示し、合わせて要覧・パンフレットを配布するなど、
当研究所の PR 活動の一環として非常に有効であった。
【国土交通先端技術フォーラムの様子】
95
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
（２）広報・普及・成果の活用
① 研究課題の発表状況
平成 19 年度学会等における各研究課題の発表状況は以下に示す様に、合計 164 件と
なっている。
担当領域
区分
重点
研究課題名
発表
件数
ＡＴＭ領域
航空交通管理における新管制運用方式に係る容量値に関する研究
4
航空機の動態情報を利用するコンフリクト検出手法の研究
5
RNAV 経路導入のための空域安全性評価の研究
7
今後の完成支援機能に関する研究
6
ATM パフォーマンスの研究
5
空域の安全性の定量的評価手法に関する研究
18
洋上経路システムの高度化の予備的研究
4
空港における後方乱気流管制方式の技術基盤に関する研究
1
航空路管制業務のタスク分析及び作業負荷・負担の研究
3
新航空管制システムの構築に関する基礎研究
1
無指向性アンテナを用いた航空機監視の研究
1
ASAS に関する予備的研究
9
静止衛星型衛星航法補強システムの２周波対応に関する研究
15
高カテゴリ GBAS のアベイラビリティ向上と GNSS 新信号対応に関する研究
11
航空管制用デジタル通信ネットワークシステムの研究
2
IP を利用した航空衛星通信システムに関する研究
5
狭域 DGPS による着陸航法システムの補正値誤差のバウンド手法の研究
4
リアルタイムキネマティック GPS 測位方式の有効性向上に関する研究
2
高緯度地域における電離圏・大気圏の基礎研究
1
将来のデジタル航空通信に関する調査・研究
1
無線測位におけるマルチパス誤差低減に関する研究
2
航空無線航法用周波数の電波信号環境に関する研究
13
指定 A
指定 B
基礎
重点
ＣＮＳ領域
指定 A
指定 B
基礎
機上等領域
96
重点
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
携帯電子機器の航法機器への影響に関する研究
6
SSR モード S の高度運用技術の研究
4
航空機衝突防止装置の運用状況に関する研究
5
スケールモデルによる ILS 高度化のための実証的研究
1
ミリ波センサを用いた空港面における落下物探索技術に関する研究
1
効率的な協調意思決定を支援する情報環境技術のための要素技術の調査研究
1
航空路管制業務におけるヒューマン・ファクタの評価分析手法の研究
9
基礎
対空通信メディア高度化に関する基礎研究
1
A-SMGCS_PT
重点
A-SMGC システムの研究
12
安全運航支
援技術_PT
重点
航空機の安全運航支援技術に関する研究
4
指定Ａ
指定 B
②査読付論文
平成 19 年度に発行された査読付論文は、以下の 22 件となっており、目標値 16 件を
大きく上回っている。
No.
表題名（和訳）
発表機関・刊行物名
1
An Analysis of Communication-line Occupancy from Real-time Simulation
（実時間シミュレーションにおける管制通信回線占有率の一解析）
2007 International Symposium on Aviation
Psychology(14th)
2
TASK ANALISIS FOR OF AIR TRAFFIC CONTROLLERS IN ENROUTE ATC
（航空路管制業務における管制官のチーム作業分析）
2007 International Symposium on Aviation
Psychology(14th)
3
W-Band Fresnel Zone Plate Reflectorfor Helicopter Collision Avoidance
Radar（ヘリコプタ衝突防止レーダ用 W 帯フレネルゾーン平面反射板）
IEEE（米国電気電子技術者学会）
Transaction on AP 2007 年 5 月号 vol.55
4
RNAV 到着機の横方向経路逸脱量の推定
日本航海学会論文集
5
RF Emission measurement of 433 MHz RFID tags for EMI evaluation to
onboard instruments of aircraft
（航空機等差機器に対する電磁干渉評価のための 433MHzRFID タグの電磁
放射測定）
IEEE 電磁両立性に関する国際会議
（EMC-2007)
6
PED Interference Reporting System in Japan.
（日本における携帯電子機器による電磁干渉の報告システム）
IEEE 電磁両立性に関する国際会議
（EMC-2007)
7
水平重畳確立推定法の比較
電子航法研究所報告
第 117 号
8
デュアルサイト化に向けた ASDE 干渉実験
電子航法研究所報告
第 117 号
-近似モデルと運動モデル-
第 117 号
97
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
98
9
空港面を対象とした高速シミュレーション・モデルの検討
電子航法研究所報告
第 117 号
10
An omni-directional lens reflector for millimeter wave and light
（光とミリ波のための全方向性レンズ反射器）
国際レーダシンポジウム（IRS2007）
11
Mitigating Ionospheric Threat Using Dense Monitoring Network
（高密度なモニタ局ネットワークによる電離層脅威の低減）
ION GNSS 2007(2007 年米国航法学会 GNSS 会
議)
12
Power Line RCS Measurement at 94GHz（94GHz での送電線 RCS 測定）
英国技術学会（ＩＥＴ）レーダーシステム
国際会議
13
衛星型 GNSS 補強ｼｽﾃﾑにおける対流圏遅延補正方式
日本航空宇宙学会論文集 Vol.55
14
Tropospheric Delay Correction in L1-SAIF Augmentation
（L1-SAIF による対流圏遅延補正方式）
IGNSS Symposium 2007
15
ATN セキュリティ機能の開発と相互接続実験について
電子航法研究所報告
第 118 号
16
VDL-M3 を用いた ATN の通信・相互運用実験
電子航法研究所報告
第 118 号
17
Preventing Interfernces Between Air Traffic Controller and Future
Ground Automation from a Control Theory Approach（制御理論の適用
による航空管制官と地上の自動化システムの干渉防止）
6th Euroconrol Innovative Research
Workshop and Echibition
18
Implementation of the QZSS L1-SAIF Message Generator (準天頂衛星
L1-SAIF メッセージ生成装置の実装)
ION National Technical Meeting 2008 (米
国航法学会全米技術会議)
19
準天頂衛星補強信号のためのエフェメリスメッセージ
電子情報通信学会論文誌 B Vol.J91-B No.3
20
衛星を利用した自己同期方式 ADS の伝送特性解析
日本航海学会論文集
第 118 号
21
ADS 搭載機の縦方向速度予測誤差
日本航海学会論文集
第 118 号
22
広域ディファレンシャル GPS における電離層遅延補正情報のグリッド間隔
による影響
電子航法研究所報告
第 119 号
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
③ ホームページの充実
平成 19 年度は、ホームページ上で最新情報をタイムリーに発信するため、担当の派
遣職員と通年契約してホームページの充実を図った。当年度は、昨年度に引き続き第
48 次越冬隊に参画している当研究所の新井研究員からの南極観測レポートを随時公開
するとともに、新たな企画として研究員紹介のページを作成し、広く一般の方々に親し
んでもらうことを意識した広報活動を展開した。また、講演会などの事前登録をホーム
ページ上で受け付けるよう登録フォームを作成し、受付事務の効率化も図った。
【電子航法研究所のホームページ】
99
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
④ 研究発表会
6 月 11・12 日、
（独）海上技術安全研究所の講堂において定例の研究発表会を開催し
た。初日来場者数：147 名、二日目来場者数：178 名（延べ 325 名、前年度 27％減少）
であった。平成 19 年度研究発表会の来場者アンケートでは、「興味深く感じた」
「関係
者の関心の高いＡＴＭに関する発表が多く参考になった」「発表時間が短くて残念。も
っと聞きたかった」などのコメントを頂いた。
平成 19 年度研究発表会の発表内容は次表のとおり。
（一覧表）
No.
100
講演内容
所属領域
1
運航実績データによる遅延時間の解析手法の検討
航空交通管理領域
2
運航実績データによる飛行距離の測定手法の検討
航空交通管理領域
3
到着機の運航効率と降下プロファイルに関する一考察
航空交通管理領域
4
航空交通量と空域設計要件との関係について
航空交通管理領域
5
ＲＮＡＶ（広域航法）到着経路における航空機の横方向の航法精度の推定
航空交通管理領域
6
平行ＲＮＡＶ（広域航法）到着経路の横方向重畳確率の推定
航空交通管理領域
7
コンフリクト検出における予測時間の一解析
航空交通管理領域
8
将来の航空交通管理システムの見通し
航空交通管理領域
9
管制官の負荷・負担に関する考察
航空交通管理領域
10
管制機数と作業負荷に関する一検討
航空交通管理領域
11
車載型発話音声分析装置の試作評価
機上等技術領域
12
アクティブ型ＩＣタグの電磁放射に関する測定・分析
機上等技術領域
13
小型航空機の運航支援に関する予備的研究
機上等技術領域
14
機上監視応用方式（ＡＳＡ）の検討状況
機上等技術領域
15
垂直短縮間隔運用後の航空機衝突防止装置動作への影響
通信・航法・監視領域
16
東京国際空港におけるマルチラテレーション監視システムの評価結果
通信・航法・監視領域
17
先進型地上走行誘導管制（Ａ－ＳＭＧＣ）実験システムの連接試験について
通信・航法・監視領域
18
滑走路における誤進入およびコンフリクト検出方式について
機上等技術領域
19
滑走路状態表示灯システムの開発について
通信・航法・監視領域
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
20
ＩＰ用サブネットワ－ク収束機能の開発について
通信・航法・監視領域
21
測距誤差推定によるＧＰＳ劣化信号検出について
通信・航法・監視領域
22
ＧＰＳ信号の異常と地上型補強システム（ＧＢＡＳ）の
観測値品質モニタの検討
通信・航法・監視領域
23
準天頂衛星による高精度測位実験システムの開発状況
通信・航法・監視領域
24
準天頂衛星Ｌ１－ＳＡＩＦ補強信号の測位性能
通信・航法・監視領域
25
ＩＬＳグライドパス反射面の積雪によるパス特性の変化
機上等技術領域
【展示場風景】
【H19 研究発表会 会場】
なお、研究発表会においては、会場入口のスペースを利用して研究成果の展示を行い、
来場者に研究成果を具体的に提供するよう努めている。こうした機会における展示は、
研究関係者以外にも当研究所に関心を持ってもらう良い機会と考えており、また、研究
層の拡大にも繋がるものと期待している。
⑤ 研究講演会
平成 20 年 1 月 25 日、大手町サンケイプラザホールにおいて「次世代の効率的な航空
交通管理について」をテーマに DNSA と共同で第 3 回研究講演会を開催した（DNSA とは
2 回目の共同開催）
。来場者数は 91 名と盛況な講演会となった。講演会後の来場者アン
ケートでは、「役に立つ技術だ」「興味をもった」との回答が多くを占め、「初めての参
加でしたが、とても勉強になりました」、
「日本における将来の ATM 発展への貢献を大い
に期待しています」
、
「産業界では、実証が難しい分野について、協同研究の実施や情報
交換を積極的に行って頂きたい」などの有り難いコメントも多数頂いた。
【研究講演会の様子】
101
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
⑥ 研究所一般公開
電子航法研究所では、毎年、科学技術週間に合わせて（独）海上技術安全研究所及び
（独）交通安全環境研究所と合同で研究所施設の一般公開を実施しており、平成 19 年
度は 4 月 22 日（日）に実施した。来場者数（三研総数）は、2,305 名（昨年度比 △
256 名）と、昨年度より若干減少したものの、平成 16 年度から 4 年連続で 2,000 名の
大台を超えた。また、三研究所合同アンケートでは当研究所が主催した 6 イベントの内、
3 イベントが人気ベスト 5 に入る結果となっている。
＜電子研が主催するイベントに対する反応＞ 三研究所合同アンケート調査結果より
①静止衛星型衛星航法補強システムの研究
⑤紙飛行機大会
②電波無響室
⑥音声疲労診断
③ＡＴＣシミュレーション実験室
④航空交通解析ツール
①
面白かった
つまらなかった
②
③
④
⑤
⑥
74
78
118
79
164
98
7
21
3
7
7
12
【ATC シミュレータ実験室の様子】
【音声疲労診断の様子】
⑦ 「空の日」イベントへの参加
＜9 月 9 日
仙台空港祭への参加＞
「仙台空港祭」は、平成 7 年度から 9 月 20 日の「空の日」にあわせて実施され、今
回で 13 回目となる。今年度は、岩沼分室に保管しているビーチクラフト B99 型実験用
航空機を出展した。
【仙台空港祭の様子】
102
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
＜10 月 28 日
調布飛行場まつりへの参加＞
「空の日」イベントの一環として行われている「調布飛行場まつり」に参加した。今
年は、発話音声によるストレス・レベル評価装置のデモ展示、MSAS の紹介等のほか、
ビーチクラフト B99 型実験用航空機の展示も行った。
【調布飛行場まつりの様子】
103
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
⑧ 広報誌及び研究成果の普及
平成 19 年度は、電子研究所報告、要覧、年報、広報誌の発行並びに国際会議、学会
シンポジウム等での講演、発表を通して研究成果の普及を目的とした所外発表を 327 件
実施した。以下にその内訳を示す。
所外発表件名
19 年度
実績数
備考
電子航法研究所報告の発行
3
要覧の発行
1
年報の発行
1
広報誌（ｅ－なび）の発行
4
No.13～16
国際会議、国際学会等（ICAO、国際会議等）
58
ICAO、米国航法学会
国内学会講演会、研究会等
87
電子情報通信学会総合大会、
飛行機シンポジウム 等
学会誌、協会誌（論文誌）
5
日本航海学会論文誌
学会誌、協会誌（学会誌）
9
電波航法研究会誌
協会誌
12
航空無線、日本ヘリコプタ技術協会会報
国交省報告
10
その他
（委員会資料：財団法人など外部組織の委員会）
16
著書
2
南極レポート
77
その他
（上記のいずれにもあたらないもの）
その他
（受託研究報告書）
合計
第 117～119 号
等
等
等
等
航空振興財団 全天候航法方式小委員会、
電気学会 次世代位置情報技術調査専門委員会
等
ホームページ上に掲載
42
(9)
（注）
327
（注）
「契約を締結して実施した研究に対しての成果物である」という観点から所外発表件数という考えからは除く。
104
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
⑨ 出前講座
当研究所では社会ニーズに的確に対応し研究の具体化と重点化を図るため、航空局、
運航者、空港管理者等、航空に関連する機関と積極的に研究交流を推進している。その
一環として、今年度は合計 10 回の出前講座を開催した。
今年度は、航空局以外にも定期航空協会やエアライン、空港会社、教育機関などにも
出前講座の範囲を拡大した。アンケート結果を見ても「定期的に開催して欲しい」とい
った好意的な意見が多数寄せられている。
平成 20 年度においても積極的に出前講座を開催し、研究の具体化と重点化を図ると
ともに、研究成果の紹介や意見交換を通じて相互の理解を深め、関係強化に努めていき
たい。
No.
開催日
対
象
1
5 月 25 日
東京航空局成田空港事務所
2
6 月 26 日
航空局
3
7 月 19 日
定期航空協会（エアライン団体）
4
7 月 23 日
神戸航空衛星センター
5
9 月 27 日
ＡＮＡ
6
10 月 25 日
常陸太田航空衛星センター
7
10 月 31 日
中部国際空港株式会社
8
11 月 29 日
ＡＮＡ
9
12 月 11～13 日
石垣市立石垣小学校
10
2 月 26 日
ＪＡＬ
＜5 月 25 日
等
成田空港出前講座＞
空港面の構造が極めて複雑な成田空港に安全強化策の一環としてマルチラテレーシ
ョンを導入することが決定された事を受け、空港関係者にシステムの概要・利点等をア
ピールする機会として出前講座を実施
した。
講座は「航空管制と空港面監視につい
て」をテーマとして①「実時間シミュ
レーションにおける航空管制通信量の
一解析」、②「空域デザインの基本要件
について」、③「マルチラテレーション
監視システムの評価について」、④「統
合型空港面監視システムの概要」
、⑤「滑
走路誤進入およびコンフリクト検出ソ
フトウェアの開発について」の発表と、
【成田出前講座の様子】
105
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
実験機材等をセッティングして⑥「マルチラテレーションおよび統合型空港面監視シス
テム」、⑦「滑走路誤進入およびコンフリクト検出ソフトウェア」についてはデモを行
った。
会場には、成田空港長をはじめとして成田空港事務所職員、成田国際空港株式会社や
航空会社等、また、成田空港事務所以外の航空局関係者からの参加もあり、100 名を超
える聴講者となった。マルチラテレーションは研究成果が即時に実行整備に移行してい
る課題であり、空港関係者の期待も非常に高いものであることが改めて実感された。
＜6 月 26 日
航空局出前講座＞
空港の高機能化に付随した空港面の安全
強化対策が国の喫緊の課題となっているこ
とから、国土交通省航空局からの要請によ
り出前講座を行った。
講座は「空港面監視と地上走行について」
をテーマに①東京国際空港におけるマルチ
ラテレーション監視システムの評価結果、
②先進型地上走行誘導管制（A-SMGC）実験
システムの連接試験について、③滑走路に
おける誤進入およびコンフリクト検出方法
について、④滑走路状態表示灯システムの
開発について、⑤地上走行パターンの解析
について、の発表を行った。
【航空局出前講座の様子】
特に、羽田空港は平成 23 年の D 滑走路完成に合わせて国際線ターミナルビルの新
設・国際線便数の増加が予定されており、国際線機材による滑走路横断の事例が日常化
することになるため、Runway Incursion 対策が急務である。A-SMGC に含まれる RWSL
は早期の実現を迫られる課題に浮上することになった。
＜7 月 19 日
定期航空協会出前講座＞
航空局関係者以外に対する初めての出前
講座であり、さらに記念すべき通算 10 回目
を数える出前講座となった。講座は「SBAS
と GBAS」をテーマとして①「SBAS の概要と
最近の研究動向」、②「GBAS の概要と最近の
研究動向」を発表し、１時間以上にもなる
熱い質疑応答や、アンケート調査を通じて
「特に GBAS の海外での状況について詳しく
知りたい」、「海外の動向にとらわれない日
本の独自性ある研究をしてほしい」などの
貴重なご意見をいただいた。
【定期航空協会出前講座の様子】
これまで航空会社は、世界的な GNSS 機運の盛り上がりに比し、我が国における GNSS
を利用した運航機会の実現遅れに苛立ちを隠さない状況にあった。今回の講座では欧
米に較べて電離層による測距誤差が大きく不利な日本周辺の環境において、当研究所
がいかに誤差低減に焦点を当てた研究を進めているかを航空会社に直接説明する機会
106
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
を伴った。またこの機会を経ることによって、GNSS の早期実現に向けた産官連携への
機運が高まったことを考えれば極めて時宜を得た企画となった。
＜12 月 11～13 日
石垣出前講座＞
科学技術を子供達の身近に感じてもらうこと、そして科学に興味を持ってもらい将
来の「夢」に対して幅をひろげてもらえればとの思いから、また平成 16 年度より当
研究所の観測機器設置にご協力いただいている石垣島において、石垣小学校、平真小
学校、石垣第二中学校の 3 校へ実験協力のお礼も兼ねて、当研究所の「出前講座」を
子供向けに開催した。
平真小学校および石垣小学校では、小学校 5・6 年を対象に、石垣第二中学校では
2 年生全 5 クラスの理科の特別授業という形で行い、あまり耳慣れない「電子航法」
や、カーナビや携帯電話などの知識しかない GPS について、当研究所の研究員が子供
向けにわかりやすく講義した。講義の中、子供達からの素朴な疑問、中には子供なら
ではの鋭い質問もあり、結果は一緒に聴講いただいた先生方にも好評で、「ぜひまた
開催して欲しい」などの有り難いコメントも頂いた。また、地元新聞掲載や TV 放映
等もあり、石垣島における電子航法研究所の PR 活動としても良い成果を上げた。
地域社会への貢献の一環として、また、若年世代に対し、自然科学・工学分野への
関心を高めてもらうためにも、今後は研究所所在地周辺においても実施していきたい。
【石垣出前講座の様子】
107
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
（３）国際協力等
① 海外研修生（留学生）への技術指導
・電子航法研究所では、平成 18 年から ENAC（フランス国立民間航空学院）の学生を研
修生として受け入れ研究指導を行っており、平成 19 年及び 20 年には以下の学生を受け
入れている。
・平成 19 年 2-8 月
2 名：
CNS 領域，AST 領域にて各 1 名
・平成 20 年 3-9 月
3 名：
ATM 領域，CNS 領域，AST 領域にて各 1 名
研修生は、受け入れ担当研究者から研究内容等に関する指示・指導を受け、約 5 ヶ月
間にわたって研究・実験等の実施と研修報告書の作成を行い、研修修了時には研修報告
会を開催し成果の報告を行っている。
・平成 18 年度に受け入れた ENAC からの留学生 2 名（平成 19 年 2 月 14 日～7 月 27 日、
平成 19 年 3 月 5 日～8 月 3 日）に対し、『航空機内における電磁環境の測定およびその
分析』、
『GPS および Galileo の L1/L5 周波数における同時利用のための性能解析』とい
う研究テーマを与え、衛星航法システムの性能解析手法を指導し、衛星航法システム GPS
および Galileo の併用による性能解析、二周波型 SBAS システムの性能解析を行わせた。
本技術指導においては、MATLAB 言語を主に使用しながら、当所所有の性能解析ソフトウ
ェア SVM も使用して実践的な解析ツールの利用を体験させた。
・また、
『航空機内における電磁環境の測定およびその分析』を担当した研究者につい
ては、帰国後その成果が評価され、ENAC での卒業式で彼の卒業研究（航空機内の電波環
境の測定及び分析）が「ベストインターンシップ・体験」賞を受賞し，賞金 500 ユーロを
獲得したとの報告があり、今回の留学生受け入れに係わった研究者一同の喜びもさらに大
きくなった。
【留学生研修修了式の様子】
【留学生研修
修了証書】
・ 平成 17 年度以降、ENAC との留学生の育成における国際協力関係が充実していること
もあり、平成 20 年 3 月より ENAC からの研修生 3 名を受け入れ、『空港面異物センサ
の研究』
、
『衛星航法システムに対する電離層による影響の解析』
、
『航空交通管制支援
システム用トラジェクトリモデル』について研修を開始した。
108
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
・ ENAC からの研修生受け入れは平成 17 年度以降、6 名(平成 20 年 3 月受け入れを含む)
に達しており、こうした機会を通じて DNSA との協力関係がさらに強固なものとなる
ことを期待している。
・ フランス国立民間航空学院 DGAC-ENAC
から研修生を受け入れる一方で、当研究
所からもフランス航空局航空航法サー
ビス部 DGAC-DSNA の研究部門に研究員
を派遣した。上席研究員１名が、平成
19 年 9 月の 1 ヶ月間 DSNA にて現地研究
員とともに「機上監視等による ATM 支援
方式の調査研究」を共同実施した。期間
中の調査結果は、今後長期間にわたって
ICAO/ASP 関連会議が必要とする事項を
【DNSA と ENAC の関係】
含んでおり、共同調査直後から同会議への技
術資料等の共同発表が継続されている。また、DSNA と当研究所の包括共同研究契約
について協議を始めるきっかけとなるなど、研究員の交流は、現場の技術交流のみな
らず研究所としての国際貢献の展開に大きな効果を上げつつある。
② 米国連邦航空局（FAA）技術者との交流
電子航法研究所では、航空局の要望でアクティブ IC タグの電波が機上搭載システムに
与える影響について調査・研究を実施している。FAA では米国内でのアクティブ IC タグ機
内使用に係わるガイドライン（アドバイザリ・サーキュラー）を準備しており、この作成
への協力が RTCA（米国航空無線技術協会）の場で要請された。このため、機上等技術領域
の研究員が FAA 技術者と討議を行うと共に、当研究所が収集したデータを FAA に提供して
いる。
③ KARI 研究者との交流
電子航法研究所では、平成 19 年 4 月 KARI（韓国航空宇宙研究院）の研究者 2 名の訪問
を受けた。この際、航空交通管理領域において討論会を開催し、これらの研究者から KARI
での研究内容の発表を受けると共に、当研究所での ATM 及び CNS に係わる主な研究の紹介
を行った。また、今後 ENRI と KARI とで国際ワークショップの開催を目指す等、交流の深
化に努めている。
④ EUROCONTROL 技術者との交流
電子航法研究所では、平成 20 年 2 月 EUROCONTROL 実験センターの技術者の訪問を受け
た。航空交通管理領域では、この技術者と JAXA の研究者も含めた ATM 研究会を開催し、
後方乱気流に係わる現在の研究や今後の研究計画等に関する討議を行った。また、当該技
術者を当研究所・岩沼分室に案内し、研究施設の紹介を行うなど国際交流の促進に努めて
いる。
また、EEC が行う SESAR 関係の研究計画および関連する研究データベース（ARDEP(ATM
Research and Development Activities in Europe)）構築に関連し、電子航法研究所の重
点研究をとりまとめて EEC の担当者に提供した。
109
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
⑤ アジア地域の航空交通の発展に寄与するための研修等
・ 6/27 JICA による ATM セミナーとして 9 名の研修を実施。
・ 10/1 フィリピン新 CNS/ATM 研修として 4 名の研修を実施。
【ATM セミナー研修の様子】
【フィリピン新 CNS/ATM 研修の様子】
⑥ 国際ワークショップ
・ 電子情報通信学会の宇宙・航行エレクトロニクス研
究会（SANE：Space, Aeronautical and Navigational
Electronics）では、学会の国際化活動の一環として、
2005 年度より年 10 回の研究会のうち 1 回を WSANE
（ Workshop for Space ,Aeronautical and
Navigational Electronics）と称し、海外でワーク
ショップを実施している。今年度は、4/15-18 にオー
ストラリアのパースで開催した。電子航法研究所は、
本ワークショップを後援し、研究発表による参加の
他、運営委員を派遣するなど、ワークショップの開
催準備・運営に積極的な協力を行っており、平成 20
年度も引き続き開催される WSANE を後援する計画で
ある。
このワークショップには、当研究所の若手研究者も積極的に参加するようになっており、
福島主任研究員が SANE 研究専門委員（幹事）として運営委員を務め、この功績により電
子情報通信学会（通信ソサイエティ）より活動功労賞を受けるなど、枢要なメンバーとな
るに至っている。
110
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
⑦ 航空局の RMA 活動を技術支援
航空局は、平成 19 年 12 月に開催された ICAO の第 8 回アジア太平洋地域空域安全監
視諮問グループ(RASMAG)会議において、地域監視機関(RMA : Regional Monitoring
Agency)となることが正式に認められた。この地域監視機関とは、空域の安全性評価の
継続的実施を主要任務とする、航空安全に係わる世界的に認められた機関のことである。
航空局は、空域の安全性評価に関するこれまでの実績を認められて RMA となったわけで
あるが、当研究所は ICAO も実績を認める空域安全性評価の専門家を擁し、長年にわた
り航空局に対して空域の安全性評価に関する技術的支援を行ってきた。
航空局は、第 8 回 RASMAG 会議で提出した文書において、当研究所が
• 航空機の高度維持性能誤差の調査
• 航空局担当者の教育プログラムの作成
について支援することを前提に、RMA となる能力を有していると主張している。
日本はアジア地域で初めての高度監視装置(HMU)の設置を計画しているが、この装置
で得られたデータの解析は高度な技術を必要とすることから、当研究所の支援が期待さ
れている。さらに、RMA manual によると RMA になるためには安全性評価を含めた RMA
の業務を実施できる人材を有することが必要とされており、そのような人材を教育する
プログラムの作成においても、当研究所の技術的支援が求められている。
このため、平成 19 年度は第 7、8 回の RASMAG 会議において航空局を技術的に支援し、
また、航空局の要請に基づき、担当者の教育のための安全性評価手法の講習会を実施し
た。
【RASMAG８報告書より】
JCAB has been working closely with
ENRI which has world-known experts
and can provide expertise for JCAB any time.
【RASMAGのWPより】
111
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
⑧ ICAO 会議等における航空局への技術支援
ICAO は、航空に係る技術標準を国際民間航空条約（シカゴ条約）の付属書として制
定しているところである。標準の改正や新たな標準の策定については、『パネル』と呼
ばれる専門家会議が検討対象毎に設置され、それぞれのパネルでは、『作業部会：ワー
キンググループ会議』において具体的な作業が行われている。我が国では、国土交通省
航空局職員がパネルメンバーとして登録されており、特にワーキンググループ会議では、
“高度かつ詳細な技術検討”が行われることから、電子航法研究所の研究員が“パネル
メンバーのアドバイザー”として技術支援している。
当研究所は次の 4 つのパネル会議に参画している。
◆ＡＣＰ・航空通信パネル
対空通信、衛星通信及び地上系通信といった航空通信全般に関する国際標準・勧告方
式（SARPs）の策定及び世界無線通信会議（WRC）等周波数要件や新技術に関する検討が
行われている。平成 19 年 5 月に開催されたパネル会議で、周波数要件や国際標準等に
関する定常的な 3 部会と新技術に関する期限付の 2 部会をあわせた計 5 つの作業部会
（WG:Working Group）に再編された。
◆ＡＳＰ・航空監視パネル
航空管制に使用される監視装置、航空機衝突防止装置や ATC トランスポンダなど監視
関連搭載装置について、国際標準・勧告方式（SARPs）
、運用方式、ガイダンスマテリア
ル、及び、関連周波数チャネルの環境調査等を行うことを目的として設立されたパネル。
最近は、二次監視レーダ SSR や航空機衝突防止装置 ACAS の改善、新しいマルチラテレー
ションシステムの標準化、将来の機上監視システムの標準化日程案作成、監視性能要件
（RSP）など監視システム一般の技術的調査や標準案作成等をしている。当初は２作業
部会（WG）が設けられていたが、連携作業が増えているため最近は１作業部会として活
動している。
◆ＮＳＰ・航法システムパネル
航空航法の国際基準全般について、技術的及び運用的観点から検討することを目的と
して設立されているパネル。2 つの作業部会（WG）とさらに実効的な検討を行う機関と
して 5 つのサブグループ（Subgroup）が設けられている。
◆ＳＡＳＰ・管制間隔・空域安全パネル
現行及び将来の CNS／ATM システムの安全性評価手法、エンルートとターミナル空域
における管制間隔と方式の検討を目的として設立されている。2 つの作業部会（WG）が
設けられている。
当研究所の参画によって、国際交流はもとより、国際協調の下での最新技術動向の把
握と国内航空施策・研究開発への反映、研究成果の発信による国際標準の策定や国際的
な研究開発への貢献など、様々な効果が生み出されている。平成 19 年度は、ICAO が主
催する会議において、以下 20 件の発表を実施した。
112
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
No.
表題名（和訳）
ICAO 会議名
発表場所
発表年月日
1
ACAS Ⅱ Operational Monitoring Report on the Effect of RVSM
in Japan,First report of 2007.
ICAO ASP/WG
(日本における RVSM 環境下での ACAS 運用モニタリングレポート、
2007 年第１版)
ベルギー
ブリュッセル市
2007/4/16～20
2
Measurement for Reply Signal Quality with Wideband Waveform
Recorder
（広帯域波形記録装置を用いる応答信号品質測定）
ICAO ASP/WG
ベルギー
ブリュッセル市
2007/4/16～20
3
Evaluation results of Multiateration at Tokyo Internationl
Airport
（羽田空港におけるマルチラテレーションの評価結果）
ICAO ASP/WG
ベルギー
ブリュッセル市
2007/4/16～20
4
Evaluation results of Multiateration at Tokyo Internationl
Airport
（羽田空港におけるマルチラテレーションの評価結果）
ICAO The Sixth
Meeting of ADS-B
Study and
Implementation
Task Force
韓国
ソウル市
2007/4/25～27
5
Analysis of ADS-C data（ADS-C データ解析）
ICAO
SASP/WG/WHL/11
カナダ
モントリオール市
2007/5/21～
6/1
6
Summary of
タイ
バンコク市
2007/6/4～8
7
Brief Report on Signal Environment Studies in Japan.
（日本における信号環境関連研究の概要報告）
ICAO ASP/TSG
フランス
パリ市
2007/7/2～6
8
Evaluation results of Multiateration at Tokyo Internationl
Airport
（羽田空港におけるマルチラテレーションの評価結果）
ICAO ASP/TSG
フランス
パリ市
2007/7/2～6
9
Questions about a new RTCA/FAA proposal for achieving CATⅢ with GBAS
（RTCA/FAA の CATⅢ GBAS のための新しい提案に対する質問）
ICAO NSP/CSG
アメリカ
エヴァレット市
2007/7/23～25
10
Bit Assignments for ACAS Capabilities in Register 10HEX
（レジスタ 10 内の ACAS 能力ビット割当）
ICAO ASP/ASSG
フランス
ツールーズ市
2007/9/14
11
Simulation of Self-synchronized ADS Using UDP/IP network
ICAO ACP/WGT1
（UDP/IP を利用した自己同期方式 ADS のシミュレーション解析）
カナダ
モントリオール市
2007/10/2～3
12
ACAS Ⅱ Operational Monitoring Report on the Effect of RVSM
in Japan,Second report of 2007.
（日本における RVSM 環境下での ACAS 運用モニタリングレポー
ト、2007 年第 2 版）
ICAO ASP/WG
カナダ
モントリオール市
2007/10/15～
19
13
Revised coding of ACAS bits in Register 10
（レジスタ 10 内の ACAS ビットの符号化方式の改訂）
ICAO ACP/WG
カナダ
モントリオール市
2007/10/15～
19
Analysis of ADS-C data（ADS-C データ解析の要約） ICAO RASMAG/7
113
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
14
Extracted assumptions from ADS-B-RAD OSED
（ADS-B-RAD OSED からの想定事項の抜き書き）
ICAO ACP/WG
カナダ
モントリオール市
2007/10/15～
19
15
Evaluation results of Multiateration by ENRI
（電子航法研究所におけるマルチラテレーションの評価計画）
ICAO ACP/WG
カナダ
モントリオール市
2007/10/15～
19
16
Datalink capability monitoring in Japan
（日本におけるモード S データリンク能力通報の観測）
ICAO ACP/WG
カナダ モントリ
オール市
2007/10/15～
19
17
A Concept of CATⅢ GBAS Requirement Based on Real-Time Flight
Technical Error Estimation
（TSE に基づいた GBAS の要件のあるコンセプトの紹介）
ICAO NSP/CSG
カナダ モントリ
オール市
2007/10/29～
11/2
18
Shape of Distribution of ADS-C Along-track Speed Prediction
Errors
（ADS-C における経路方向に速度予測誤差分布の形）
ICAO
SASP/WG/WHL/12
チリ
ゴ市
2007/11/5～16
19
SProposed Changes to ACAS Manual in relation to Effect of RVSM
（RVSM の導入に関連した ACAS マニュアルの改訂提案）
ICAO ASSG
フランス
ルーズ市
20
SBAS GEO as GBAS Ranging Source（GBAS 測距信号としての SBAS） ICAO NSP/CSG
サンティア
ツー
2008/3/5～7
カナダ モントリ
オール市
2008/3/31～
4/4
⑨ その他の国際会議における発表
No.
1
2
3
4
5
6
114
表題名（和訳）
Calculation of Maximal Lateral Overlap
Probabirity -Terminal RNAV case（最大横方向重畳確率の計算 -ターミナル RNAV の
場合-）
Improvement of Analysis on the Along-Track
Predicted Position Errors of ADS on a North
Pacific route
（北太平洋ルートにおける ADS の縦方向予測位置
誤差の解析の改善）
An Analysis of Prediction Time on Conflict
Detection
（コンフリクト検出における予測時間の一解析）
Troposoheric Delay Correction for Augmentation
System using Quasi-Zenith Satellite System
（準天頂衛星を用いた広域測位補正における対流
圏遅延補正方式）
The results of preliminary flight experiments
measuring the signal environment in ARNS band
（ARNS 帯域の信号環境記録予備飛行実験結果）
Emission Measurements of Active IC Tags（アク
ティブタグからの放射測定）
発表機関・刊行物名
発表場所
発表年月日
電子情報通信学会 WSANE2007
オーストラリア
ケンジントン市
2007/4/16～
17
電子情報通信学会 WSANE2007
オーストラリア
ケンジントン市
2007/4/16～
17
電子情報通信学会 WSANE2007
オーストラリア
ケンジントン市
2007/4/16～
17
電子情報通信学会 WSANE2007
オーストラリア
ケンジントン市
2007/4/16～
17
電子情報通信学会 WSANE2007
オーストラリア
ケンジントン市
2007/4/16～
17
RTCA SC-202（携帯電子機器委員会）第
18 回会議
アメリカ
トン市
2007/4/18
ワシン
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
7
8
9
10
An Analysis of Communication-line Occupancy
from Real-time Simulation
（実時間シミュレーションにおける管制通信回線
占有率の一解析）
TASK ANALISIS FOR OF AIR TRAFFIC CONTROLLERS IN
ENROUTE ATC
（航空路管制業務における管制官のチーム作業分
析）
Novel architecture for Preventing
Interference Between Automation and Pilot
maneuvers
（自動化システムとパイロットの干渉を防ぐ新た
な機構）
Study on ATM Performance(Analysis on Delay Aount
& Flight-Distance)
（ATM パフォーマンスの研究(遅延時間と飛行距離
の解析)）
2007 International Symposium on
Aviation Psychology(14th)
アメリカ
ン市
デイト
2007/4/23～
26
2007 International Symposium on
Aviation Psychology(14th)
アメリカ
ン市
デイト
2007/4/23～
26
Lectures and Workshop
Internationl-Recent Advances in
Multiplinary Technology and Modeling
東京都
JPDO/JCAB Technical Meeting
アメリカ
レッジ市
2007/5/7
アンカ
2007/5/15
11
MSAS Ionosphere R&D Update
（MSAS 電離層関連研究開発の状況）
SBAS IWG/16（第 16 回 SBAS 相互運用性
会議）
カナダ
12
94GHz Printed reflectors using C-shape patches
（C 形状のパッチを使用した 94GHz プリント反射
板）
IEEE Antennas and propagation
Symposium（米国電気電子技術者学会ア
ンテナ伝搬シンポジウム）
アメリカ
州
ハワイ
13
MSAS Status Update （MSAS の現状）
第 13 回 SBAS 電離層会議
アメリカ
ン市
ボスト
14
MSAS Evaluation and Improvement Activities
（MSAS の評価および改良の研究状況）
APEC GIT/11(アジア太平洋経済協力
GNSS 整備チーム 第 11 回会議）
東京都
2007/6/25
APEC GIT/11(アジア太平洋経済協力
GNSS 整備チーム 第 11 回会議）
東京都
2007/6/25
IEEE 電磁両立性に関する国際会議
（EMC-2007)
ロシア サンクト
ペテルブルグ市
2007/6/26～
29
IEEE 電磁両立性に関する国際会議
（EMC-2007)
ロシア サンクト
ペテルブルグ市
2007/6/26～
29
IUGG2007 Perugia
イタリア
ジャ市
ペルー
2007/7/2～
13
アメリカ
レット市
エアバ
2007/7/17～
20
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
GPS and Ionospheric Data Collection and Analysis
for SBAS in Japan
（日本における SBAS のための GPS および電離層
データ収集と解析）
RF Emission measurement of 433 MHz RFID tags for
EMI evaluation to onboard instruments of
aircraft.（航空機等差機器に対する電磁干渉評価
のための 433MHzRFID タグの電磁放射測定）
PED Interference Reporting System in Japan. （日
本における携帯電子機器による電磁干渉の報告シ
ステム）
Coherent Doppler lidar measurements of the sea
breeze at Sendai Airport
（コヒーレントドップラライダによる仙台空港の
海風測定）
ENRI Researtch Activity Related with GBAS
（電子航法研究所における GBAS 関連の研究状況）
A Study on Atmospheric Propagation Delay in Sea
Reflected GPS Signal with Code Correlation Curve
Measurements
（コード相関カーブ測定による GPS 測位信号の海
面反射波に含まれる大気遅延量に関する研究）
An omni-directional lens reflector for
millimeter wave and light
（光とミリ波のための全方向性レンズ反射器）
Activities in Japan for ASA and DL
（機上監視とデータリンクに関する日本の活動状
況）
Simulation of Self-synchronized ADS Using IP
network（IP を利用した自己同期方式 ADS のシミュ
レーション解析）
Analyzing Interferences Between Ground and Air
Traffic Controllers from Control Theory
Approach
（制御理論を利用した地上の自動化と航空管制官
の干渉分析）
International GBAS
Meetings
Working Group 6
オタワ市
2007/5/22
2007/6/14
2007/6/15～
16
AOGS2007 (Asia Oceania Geosciences
Society 4th Annual Meeting)
タイ バンコク市
2007/8/2
国際レーダシンポジウム（IRS2007）
ドイツ
2007/9/5～7
ADAS-DUG 会議
ベルギー
ッセル市
ブリュ
NexSAT9/AGCFG4 会議
ベルギー
ッセル市
ブリュ
7th AIAA ATIO(Aviation Technology,
Integration and Operations
Conference)会議
イギリス
ァスト市
ベルフ
ケルン市
2007/9/10
2007/9/13～
14
2007/9/18
115
２．国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
2.5 研究成果の普及、成果の活用促進等
25
26
27
28
29
30
Mitigating Ionospheric Threat Using Dense
Monitoring Network
（高密度なモニタ局ネットワークによる電離層脅
威の低減）
A Concept of CATⅢ GBAS Requirement Based on
Real-Time Flight Technical Error Estimation
(リアルタイム FTE 計測に基づいた GBAS の要件のあ
るコンセプト)
An Analysis on Occurrences of Conflict Alert for
Air Traffic Control
（航空管制におけるコンフリクト警報発生状況の
一解析）
Power Line RCS Measurement at 94GHz
（94GHz での送電線 RCS 測定）
Study on ATM Performance Assessment in Japan
（日本における ATM パフォーマンスの研究）
32
Study on a Flexible route system between
Australia and Japan（オーストリア－日本間のフ
レキシブルルートの研究）
34
35
36
37
38
116
アメリカ フォー
トワース市
2007/9/25～
28
ION GNSS 2007(2007 年米国航法学会
GNSS 会議)
アメリカ フォー
トワース市
2007/9/25～
28
北九州市
2007/10/11
北九州市
2007/10/11
北九州市
2007/10/11
2007 JSASS-KSAS Joint International
Symposium on Aerospace Engineering
(第 21 回飛行機シンポジウム国際セッ
ション）
2007 JSASS-KSAS Joint International
Altitude Change by Track System over South
Symposium on Aerospace Engineering
Pacific
(第 21 回飛行機シンポジウム国際セッ
（南太平洋上のトラックシステムによる高度変化）
ション）
2007 JSASS-KSAS Joint International
Estimation of required minimum abjustment time
Symposium on Aerospace Engineering
for factors of airspace design
(第 21 回飛行機シンポジウム国際セッ
（空域デザイン要因のための最短調整時間の推定）
ション）
31
33
ION GNSS 2007(2007 年米国航法学会
GNSS 会議)
Preventing Interfernces Between Air Traffic
Controller and Future Ground Automation from a
Control Theory Approach（制御理論を利用した地
上の自動化と航空管制官の干渉の回避）
Tropospheric Delay Correction in L1-SAIF
Augmentation
（L1-SAIF による対流圏遅延補正方式）
Another risk of interference in GPS-L5 band
（GPS-L5 帯域内の別の干渉リスク）
Bench testing with playing back the signal
environment
（信号環境の再生を用いるベンチ試験）
Introduction of Innovative Research（画期的な
研究の紹介）
Implementation of the QZSS L1-SAIF Message
Generator (準天頂衛星 L1-SAIF メッセージ生成装
置の実装)
英国技術学会（ＩＥＴ）レーダーシス
テム国際会議
THE TWENTY-SEVENTH MEETING OF THE
INFORMAL PACIFIC ATC COORDINATING
GROUP(IPACG／27)
(第 27 回太平洋航空交通管制事務レベ
ル調整会議)
THE TWENTY-SEVENTH MEETING OF THE
INFORMAL PACIFIC ATC COORDINATING
GROUP(IPACG／27)
(第 27 回太平洋航空交通管制事務レベ
ル調整会議)
イギリス
バラ市
エジン
2007/10/15
～18
東京都
2007/11/7～
8
東京都
2007/11/7～
8
6th Innovative Research Workshop and
Exhibition
フランス、ブリト
ニースルオージ市
2007/12/5
IGNSS Symposium 2007
オーストラリア
シドニー市
2007/12/6
EJCC 会議（European JTIDS Cross
border Coordination)
ノルウェイ
ハンメル市
2007/12/6
MNWG-TI 会議(JTIDS/MIDS
Multi-National Working Group-TI)
アメリカ
リス市
アナポ
The ASAS-RFG Meeting
アメリカ
ルン市
メルボ
ION National Technical Meeting 2008
(米国航法学会全米技術会議)
アメリカ
ィエゴ市
サンデ
リレ
2008/1/17
2008/1/25
2008/1/30
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
３．予算（人件費の見積りを含む。）、収支計画及び資金計画
3.1
中期目標、中期計画及び年度計画の内容
［中期目標］
第４
財務内容の改善に関する事項
１．自己収入の増加
受託収入・特許権収入等の自己収入を増加させるための活動を積極的に推進すること。
［中期計画］
３．予算（人件費の見積りを含む。
）、収支計画及び資金計画
（１）自己収入の増加
受託収入・特許権収入等の自己収入を増加させるための活動を積極的に推進する。
（２）中期目標期間における財務計画は次のとおりとする。
①予算
別紙 1（表１～表３）のとおり
②収支計画
別紙 2（表１～表３）のとおり
③資金計画
別紙 3（表１～表３）のとおり
［年度計画］
３．予算（人件費の見積りを含む。
）、収支計画及び資金計画
（１）自己収入（利益）の増加
受託収入・特許権収入等の自己収入を増加させるための活動を積極的に推進し、21.6 百万円
以上の利益を目指す。
（２）平成 19 年度における財務計画は次のとおりとする。
①予算
別紙 4（表１～表３）のとおり
②収支計画
別紙 5（表１～表３）のとおり
③資金計画
別紙 6（表１～表３）のとおり
3.2
年度計画における目標設定の考え方
・ 自己収入については、過去の実績を踏まえ、21.6 百万円以上の利益を目指すこととし
た。
・ 中期計画に定めた財務計画に基づき、平成 19 年度の予算等を設定した。
・ 受託研究契約を見直し適正な自己収入に繋げることを目指す。
3.3
当該年度における実績
平成 19 年度計画の予算において自己収入は 21.6 百万以上であるが、これに対して受
託 研 究 等 に よ り 38,868,656 円 の 自 己 収 入 を 得 た 。 自 己 収 入 は 業 務 経 費 と し て
21,535,000 円を使用し、17,333,656 円は財務諸表参照のとおり利益の処分に関する書
類（案）が承認された後に積立金となる。
117
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
平成 20 年度計画の予算においても自己収入は 21.6 百万以上の利益を目指すこととし
た。
118
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
平成 19 年度計画予算に対する決算額は、以下のとおり。
（表１．～表９.）
【平成 19 年度予算
決算額】
表１．予算
（総括）
平成１９年度予算
区
分
決算額
（単位：百万円）
金
額
収入
運営費交付金
施設整備費補助金
受託等収入
繰越金
計
1,684
55
563
0
2,302
支出
業務経費
うち研究経費
施設整備費
受託等経費
受託管理費
一般管理費
人件費
計
923
923
55
503
22
51
738
2,292
119
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【平成 19 年度予算
決算額】
表２．予算
（一般勘定）
平成１９年度予算
区
分
決算額
（単位：百万円）
金
額
収入
運営費交付金
施設整備費補助金
受託等収入
繰越金
計
611
55
183
0
849
支出
業務経費
うち研究経費
施設整備費
受託等経費
受託管理費
一般管理費
人件費
計
120
147
147
55
166
4
40
391
803
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【平成 19 年度予算
決算額】
表３．予算
（空港整備勘定）
平成１９年度予算
区
分
決算額
（単位：百万円）
金
額
収入
運営費交付金
施設整備費補助金
受託等収入
繰越金
計
1,073
0
380
0
1,453
支出
業務経費
うち研究経費
施設整備費
受託等経費
受託管理費
一般管理費
人件費
計
776
776
0
337
18
11
347
1,489
121
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【平成 19 年度予算
決算額】
表４．収支計画
（総括）
平成１９年度収支計画
区
分
費用の部
経常費用
研究業務費
受託等業務費
一般管理費
減価償却費
財務費用
臨時損失
2,209
2,209
1,187
525
226
271
0
0
収益の部
運営費交付金収益
手数料収入
受託等収入
資産見返負債戻入
施設費収益
雑益
臨時収益
2,224
1,394
0
561
263
4
2
0
純利益
前中期目標期間繰越積立金取崩額
総利益
122
決算額
（単位：百万円）
金
額
15
2
17
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【平成 19 年度予算
決算額】
表５．収支計画
（一般勘定）
平成１９年度収支計画
区
分
決算額
（単位：百万円）
金
額
費用の部
経常費用
研究業務費
受託等業務費
一般管理費
減価償却費
財務費用
臨時損失
756
756
412
170
146
28
0
0
収益の部
運営費交付金収益
手数料収入
受託等収入
資産見返負債戻入
施設費収益
雑益
臨時収益
758
547
0
182
24
4
1
0
純利益
前中期目標期間繰越積立金取崩額
総利益
2
1
3
123
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【平成 19 年度予算
決算額】
表６．収支計画
（空港整備勘定）
平成１９年度収支計画
区
分
費用の部
経常費用
研究業務費
受託等業務費
一般管理費
減価償却費
財務費用
臨時損失
1,453
1,453
775
355
80
243
0
0
収益の部
運営費交付金収益
手数料収入
受託等収入
資産見返負債戻入
施設費収益
雑益
臨時収益
1,466
847
0
379
239
0
1
0
純利益
前中期目標期間繰越積立金取崩額
総利益
124
決算額
（単位：百万円）
金
額
13
1
14
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【平成 19 年度予算
決算額】
表７．資金計画
（総括）
平成１９年度資金計画
区
分
決算額
（単位：百万円）
金
額
資金支出
業務活動による支出
投資活動による支出
財務活動による支出
次期中期目標の期間への繰越金
1,900
1,563
332
5
0
資金収入
業務活動による収入
運営費交付金による収入
受託収入
その他の収入
投資活動による収入
施設整備費補助金による収入
その他の収入
財務活動による収入
繰越金
2,002
1,947
1,683
224
40
55
55
0
0
0
注） 運営費交付金による固定資産の取得については、財源の区分に対応させて業務活動による支
出としている。
125
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【平成 19 年度予算
決算額】
表８．資金計画
（一般勘定）
平成１９年度資金計画
区
分
決算額
（単位：百万円）
金
額
資金支出
業務活動による支出
投資活動による支出
財務活動による支出
次期中期目標の期間への繰越金
849
756
90
3
0
資金収入
業務活動による収入
運営費交付金による収入
受託収入
その他の収入
投資活動による収入
施設整備費補助金による収入
その他の収入
財務活動による収入
繰越金
853
798
611
155
32
55
55
0
0
0
注） 運営費交付金による固定資産の取得については、財源の区分に対応させて業務活動による支
出としている。
126
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【平成 19 年度予算
決算額】
表９．資金計画
（空港整備勘定）
平成１９年度資金計画
区
分
決算額
（単位：百万円）
金
額
資金支出
業務活動による支出
投資活動による支出
財務活動による支出
次期中期目標の期間への繰越金
1,051
807
242
2
0
資金収入
業務活動による収入
運営費交付金による収入
受託収入
その他の収入
投資活動による収入
施設整備費補助金による収入
その他の収入
財務活動による収入
繰越金
1,149
1,149
1,072
69
8
0
0
0
0
0
注） 運営費交付金による固定資産の取得については、財源の区分に対応させて業務活動による支
出としている。
127
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【第２期中期計画】
別紙 1（表１）
表１．
予算
（総括）
（単位：百万円）
区分
収入
運営費交付金
施設整備費補助金
受託等収入
8,315
661
1,345
10,321
計
支出
業務経費
うち研究経費
施設整備費
受託等経費
一般管理費
人件費
計
金額
4,480
4,480
661
1,271
249
3,660
10,321
［人件費の見積り］
期間中総額２，９５８百万円を支出する。
但し、上記の額は、役員報酬（非常勤役員を除く。）並びに職員基本給、職員諸手当、超過勤
務手当、休職者給与及び国際機関派遣職員給与に相当する範囲の費用である。
128
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【第２期中期計画】
別紙1（表２）
表２．
予算
（一般勘定）
（単位：百万円）
区分
金額
収入
運営費交付金
施設整備費補助金
受託等収入
3,140
584
779
計
4,503
支出
業務経費
うち研究経費
施設整備費
受託等経費
一般管理費
人件費
計
748
748
584
757
193
2,221
4,503
［人件費の見積り］
期間中総額１，７８９百万円を支出する。
但し、上記の額は、役員報酬（非常勤役員を除く。）並びに職員基本給、職員諸手当、超過勤
務手当、休職者給与及び国際機関派遣職員給与に相当する範囲の費用である。
129
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【第２期中期計画】
別紙1（表３）
表３．
予算
（空港整備勘定）
（単位：百万円）
区分
金額
収入
運営費交付金
施設整備費補助金
受託等収入
5,175
77
566
計
5,818
支出
業務経費
うち研究経費
施設整備費
受託等経費
一般管理費
人件費
計
3,732
3,732
77
514
56
1,439
5,818
［人件費の見積り］
期間中総額１，１６９百万円を支出する。
但し、上記の額は、役員報酬（非常勤役員を除く。）並びに職員基本給、職員諸手当、超過勤
務手当、休職者給与及び国際機関派遣職員給与に相当する範囲の費用である。
130
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【第２期中期計画】
別紙2（表１）
表１．
収支計画
（総括）
（単位：百万円）
区分
金額
費用の部
経常費用
研究業務費
受託等業務費
一般管理費
減価償却費
財務費用
臨時損失
10,246
10,246
7,206
1,271
1,162
607
0
0
収益の部
運営費交付金収益
手数料収入
受託等収入
資産見返負債戻入
臨時利益
10,246
8,315
0
1,345
586
0
純利益
0
目的積立金取崩額
0
総利益
0
注） 当法人における退職手当については、その全額について、運営費交付金を財源とす
るものと想定している。
131
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【第２期中期計画】
別紙2（表２）
表２．
収支計画
（一般勘定）
（単位：百万円）
区分
金額
費用の部
経常費用
研究業務費
受託等業務費
一般管理費
減価償却費
財務費用
臨時損失
3,970
3,970
2,339
757
812
62
0
0
収益の部
運営費交付金収益
手数料収入
受託等収入
資産見返負債戻入
臨時利益
3,970
3,140
0
779
51
0
純利益
0
目的積立金取崩額
0
総利益
0
注） 当法人における退職手当については、その全額について、運営費交付金を財源とす
るものと想定している。
132
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【第２期中期計画】
別紙2（表３）
表３．
収支計画
（空港整備勘定）
（単位：百万円）
区分
金額
費用の部
経常費用
研究業務費
受託等業務費
一般管理費
減価償却費
財務費用
臨時損失
6,276
6,276
4,867
514
350
545
0
0
収益の部
運営費交付金収益
手数料収入
受託等収入
資産見返負債戻入
臨時利益
6,276
5,175
0
566
535
0
純利益
0
目的積立金取崩額
0
総利益
0
注） 当法人における退職手当については、その全額について、運営費交付金を財源とするものと
想定している。
133
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【第２期中期計画】
別紙3（表１）
表１．
資金計画
（総括）
（単位：百万円）
区分
134
金額
資金支出
業務活動による支出
投資活動による支出
財務活動による支出
次期中期目標の期間への繰越金
10,321
9,646
661
14
0
資金収入
業務活動による収入
運営費交付金による収入
受託収入
その他の収入
投資活動による収入
施設整備費補助金による収入
その他の収入
財務活動による収入
10,321
9,660
8,315
1,327
18
661
661
0
0
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【第２期中期計画】
別紙3（表２）
表２．
資金計画
（一般勘定）
（単位：百万円）
区分
金額
資金支出
業務活動による支出
投資活動による支出
財務活動による支出
次期中期目標の期間への繰越金
4,503
3,911
584
8
0
資金収入
業務活動による収入
運営費交付金による収入
受託収入
その他の収入
投資活動による収入
施設整備費補助金による収入
その他の収入
財務活動による収入
4,503
3,919
3,140
775
4
584
584
0
0
135
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【第２期中期計画】
別紙3（表３）
表３．
資金計画
（空港整備勘定）
（単位：百万円）
区分
136
金額
資金支出
業務活動による支出
投資活動による支出
財務活動による支出
次期中期目標の期間への繰越金
5,818
5,735
77
6
0
資金収入
業務活動による収入
運営費交付金による収入
受託収入
その他の収入
投資活動による収入
施設整備費補助金による収入
その他の収入
財務活動による収入
5,818
5,741
5,175
552
14
77
77
0
0
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【平成 20 年度計画】
別紙 4（表１）
表１．予算
平 成 ２０ 年 度 予 算
（単位：百万円）
区
分
金
額
収入
運営費交付金
施設整備費補助金
受託等収入
繰越金
計
1,640
87
283
0
2,010
支出
業務経費
うち研究経費
施設整備費
受託等経費
受託管理費
一般管理費
人件費
計
882
882
87
254
7
50
730
2,010
［人件費の見積り］
期間中総額 587 百万円を支出する。
但し、上記の額は、役員報酬（非常勤役員を除く。）並びに職員基本給、職員諸手当、超過
勤務手当、休職者給与及び国際機関派遣職員給与に相当する範囲の費用である。
137
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【平成 20 年度計画】
別紙 5（表１）
表１．収支計画
平成２０年度収支計画
（単位：百万円）
区
分
金
額
費用の部
経常費用
研究業務費
受託等業務費
一般管理費
減価償却費
財務費用
臨時損失
2,173
2,173
1,428
261
229
255
0
0
収益の部
運営費交付金収益
手数料収入
受託等収入
資産見返負債戻入
臨時収益
2,171
1,640
0
283
248
0
純損失
前中期目標期間繰越積立金取崩額
総利益
2
2
0
注） 当法人における退職手当については、その全額について、運営費交付金を財源とするものと
想定している。
138
３．予算（人件費の見積りを含む。）
、収支計画及び資金計画
【平成 20 年度計画】
別紙 6（表１）
表１．資金計画
平成２０年度資金計画
区
分
（単位：百万円）
金
額
資金支出
業務活動による支出
投資活動による支出
財務活動による支出
次期中期目標の期間への繰越金
2,010
1,918
87
5
0
資金収入
業務活動による収入
運営費交付金による収入
受託収入
その他の収入
投資活動による収入
施設整備費補助金による収入
その他の収入
財務活動による収入
繰越金
2,010
1,923
1,640
279
4
87
87
0
0
0
注） 運営費交付金による固定資産の取得については、財源の区分に対応させて業務活動による支
出としている。
139
140
４．短期借入金、重要な財産及び剰余金
４．短期借入金、重要な財産及び剰余金
4.1
中期目標、中期計画及び年度計画の内容
［中期目標］
項目なし
［中期計画］
４．短期借入金の限度額
予見し難い事故等の事由に限り、資金不足となる場合における短期借入金の限度額は、３００
（百万円）とする。
５．重要な財産を譲渡し、又は担保に供する計画
特になし。
６．剰余金の使途
①研究費
②施設・設備の整備
③国際交流事業の実施（招聘、セミナー、国際会議等の開催）
［年度計画］
４．短期借入金の限度額
予見し難い事故等の事由に限り、資金不足となる場合における短期借入金の限度額は、300 百万
円とする。
５．重要な財産を譲渡し、又は担保に供する計画
特になし。
６．剰余金の使途
①研究費
②施設・設備の整備
③国際交流事業の実施（招聘、セミナー、国際会議等の開催）
4.2
年度計画における目標設定の考え方
中期計画と同様に設定した。
4.3
当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し
（１）短期借入金
今年度の短期借入金はない。今後とも引き続き適切な業務運営を行うことにより、短
期借入金が発生しないと思われるが、万一予見し難い事故等が発生した場合においても
中期計画の限度額を超えることのない様に努める。
（２）重要な財産の譲渡等
141
４．短期借入金、重要な財産及び剰余金
該当なし
（３）剰余金の使途
該当なし
142
５．外部委託及び人事に関する計画
５．外部委託及び人事に関する計画
5.1
中期目標、中期計画及び年度計画の内容
［中期目標］
第５
その他業務運営に関する重要事項
１．管理、間接業務の外部委託
庁舎・施設管理業務や、研究開発業務において専門的な知識等を要しない補助的な作業等につ
いては、外部委託を活用して業務の効率化を図ること。
２．施設及び設備に関する事項
（１）研究開発効率が低下しないよう、適切な施設・設備の整備を計画的に進めるとともに、そ
の利用においては安全に留意し、維持保全を着実に実施すること。
（２）既存の研究施設及び研究機材を有効に活用し、効率的な業務遂行を図ること。
［中期計画］
７．その他主務省令に定める業務運営に関する事項
（１）管理、間接業務の外部委託
庁舎・施設管理業務や、研究開発業務において専門的な知識等を要しない補助的な作業等につ
いては、外部委託を活用して業務の効率化を図る。
①
施設及び設備に関する事項
施設・設備の内訳
ア．実験施設整備
実験用航空機格納庫補修工事
予定額
（百万円）
１１
イ．業務管理施設整備
電子航法開発部棟補修工事
１００
ウ．業務管理施設整備
管制システム部棟建替工事
２２２
エ．業務管理施設整備
ＡＴＣ研究棟他補修工事
１０４
オ．業務管理施設整備
本部棟/衛星技術部棟補修
工事
カ．業務管理施設整備
仮想現実実験棟他補修工事
キ．業務管理施設整備
航空システム部/管制システム部棟補修
工事
９１
５５
７７
財
源
一般会計
独立行政法人電子航法研究所施設整備
補助金
一般会計
独立行政法人電子航法研究所施設整備
補助金
一般会計
独立行政法人電子航法研究所施設整備
補助金
一般会計
独立行政法人電子航法研究所施設整備
補助金
一般会計
独立行政法人電子航法研究所施設整備
補助金
一般会計
独立行政法人電子航法研究所施設整備
補助金
空整特会
独立行政法人電子航法研究所施設整備
補助金
143
５．外部委託及び人事に関する計画
②
施設・設備利用の効率化
業務の確実な遂行のため、研究所の施設・設備及び実験用航空機について、性能維持・向上等
適切な措置を講じるとともに、その効率的な利用に努める。
（２）人事に関する計画
①方針
業務処理を工夫するとともに、業務内容及び業務量に応じて適正に人員を配置する。
②人件費に関する指標
中期目標期間中の人件費総額見込み
２，９５８百万円
③その他参考として掲げる事項
・人件費削減の取り組みによる前年度予算に対する各年度の削減率は、以下のとおり（％）
平成１８年度
△１．７％
平成１９年度
△０．６％
平成２０年度
△１．１％
平成２１年度
△１．１％
平成２２年度
△１．１％
［年度計画］
７．その他主務省令に定める業務運営に関する事項
（１）管理、間接業務の外部委託
庁舎・施設管理業務や、研究開発業務において専門的な知識等を要しない補助的な作業等につ
いては、外部委託を活用して業務の効率化を図る。
①
施設及び設備に関する事項
平成 19 年度に次の施設整備を実施する。
施設・設備の内訳
ア．業務管理施設整備
電子航法開発部（機上等技術領
域）棟補修
予定額
(百万円)
55
財
源
一般会計
独立行政法人電子航法研究所施設
整備費補助金
②施設・設備利用の効率化
業務の確実な遂行のため、研究所の施設・設備及び実験用航空機について、性能維持等適切な
措置を講じるとともに、航空機使用ワーキンググループ、電波無響室ワーキンググループ等を活
用し、その効率的な利用に努める。
（２）人事に関する計画
業務処理を工夫するとともに、業務内容及び業務量に応じて適正に人員を配置する。
5.2
年度計画における目標設定の考え方
・ 主に研究員が本来業務に専念できるようにするため、従前に引き続き、外部委託を活用
することとした。
・ 施設及び設備については、中期計画に掲げた項目のうち、1 号棟補修工事を平成 19 年
144
５．外部委託及び人事に関する計画
度に実施することとした。
・ 主要な施設・設備については、有効利用を検討する場としてワーキンググループを設け、
より効率的な利用を促進させることとした。
・ 業務量に応じた適正な人事配置を検討することとした。
5.3
当該年度における取組み及び中期目標達成に向けた次年度以降の見通し
（１）管理、間接業務の外部委託
庁舎、構内清掃業務、庁舎の電子的警備及び運転業務の委託を行った。次年度以降も
外部委託を活用することとしたい。
（２）施設整備
電子航法開発部棟補修（耐震補強）を年度計画通り実施した。なお、平成 20 年度予
算において、管制システム部棟建替工事が、平成 20・21 年度の 2 ヶ年国庫債務負担行
為として認められた。
（３）施設・設備利用の効率化
① 研究所施設・設備の性能維持、向上等
研究所施設・設備の性能維持がなされるよう、必要な補修等を行った。
また、監事による監査では、保有資産の見直しについて、以下の報告を受けている。
「保有資産の使用状況並びに稼働状況については、昨年度減損会計基準に基づき調査し
減損処理を行い、今年度も引き続き調査を行ったが減損処理に至る施設並びに設備は認
められませんでした。当該研究所が保有する資産については十分に活用され、機能を果
たしていることを認めます。」
② 実験用航空機の性能維持・向上と効率的な利用
実験航空機の管理を行っている岩沼分室と航空機使用ワーキンググループにより、航
空機運航経費削減手法について調査し、航空機の運航日程や飛行実験方法等の立案にお
いて配慮すべき事項を関係者に周知した。その結果、平成 19 年度は、相乗り運用や保
存整備コストの最適化なども含めて航空機の運用コストダウンに配慮した運用方法の
実現に努めた。なお、実験用航空機更新の可能性も考え、実験実施者の立場から実験用
航空機の仕様の再検討を開始するなど、長期的な運用検討もワーキンググループの視点
に追加している。
③ 電波無響室の効率的な利用
現有の測定機器のほとんどがメーカーサポートが終了しているため、平成 19・20 年
度にかけて測定機器の更新を計画している。平成 19 年度においては、主要機器のネッ
トワークアナライザと信号発生器の更新を実施した。最新の測定機器へ順次更新を図る
ことにより、測定機器の性能向上による実験の効率化、周波数範囲の拡張による対応分
の拡大、複数機能を有する測定器の導入による機器の投資効率の向上が期待される。
（４）業務処理の工夫と業務に応じた適正な人員配置
平成 19 年度においても 3 領域制を継続し、研究領域事務室職員を総務課所属に変更
し管理部門と研究領域との業務連携の促進及び事務の効率化を図っている。また、資産
管理を重点的に実施する体制を整備するため、総務課の体制を１係増とし、管財係を
10/1 より設置した。
5.4 その他適切な評価を行う上で参考となり得る情報
145
５．外部委託及び人事に関する計画
（１）所内ネットワークの維持運営について
所内において保有する情報を適正に管理し、その損失及び漏洩等を防ぐ目的から平成
18 年度より施行された「情報セキュリティ管理規定」に基づき、平成 19 年度において
も各自使用する PC 及び関連機器に対して、セキュリティ・レベルの更なる見直しを行
い、合理的な情報管理体制と安全性を確保する観点から以下の対策を行った。
主な対策として
・所内ネットワークに接続している全ての機器の情報（設置場所・使用者・OS・IP アド
レスなど接続に関係する必須の情報）に関する調査を詳細に行うことにより、機種別の
システム及びネットワークの脆弱性に対し、処置を施した。
・各自使用する PC 及びメールサーバーにパスワードを設定（または定期的に変更）す
ることによりセキュリティの強化を施した。
・情報セキュリティ管理責任者を置き、所内における秘密情報を段階に応じて区分し、
アクセスができる者を制限した。
・秘密情報の保管及び廃棄方法について、取扱方法の周知・徹底を行った。
以
146
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表４．誤検出率
12 月 21 日
誤レポー
総レポー
誤検出率
12:54-14:14
ト数
ト数
ASDE 航跡
168
23,538
0.71%
MLAT 航跡
0
65,583
0%
統合航跡
184
96,386
0.19%
2000
1500
1000
500
[m]
0
-500
図２
MLAT 航跡２秒更新率航跡記録例
-1000
-1500
-2000
-2500
-2500 -2000 -1500 -1000 -500
0
[m]
図４
500
1000
1500
2000
ASDE による誤目標
現在、このような誤目標に対する対策を検討中である。
一例としてスポット付近をマスクすることで監視対象エ
リア外とする方法などが考えられる。
3.2
経路設定機能の開発
(1) 経路生成装置の改修
操作性に主眼を置いた実験システムの性能試験と管制
図３
統合航跡２秒更新率航跡記録例
官評価に向けて、管制官による操作を最小限にすることを
③誤検出率
前提とした装置の改修を行った。本装置はデータを処理す
誤検出率として誤目標の発生率を評価した。表４は、各
るサーバと管制官が操作をするクライアントから構成さ
センサ航跡（ASDE,MLAT）と統合航跡に対する誤検出率
れる。サーバでは統合型監視センサから出力される航空機
を示す。ASDE は虚像による誤目標があり、検出率は 0.71%
位置情報を取得し，目的地までの経路情報を生成する。ま
となった。一方、MLAT による誤検出率は 0%であった。
たクライアントではタッチパネルやマウスを用いての指
また、統合処理後の誤検出率は 0.19%となった。図 4 は、
示する経路の入力や，生成された経路の表示を行う。また、
ASDE の虚像による誤目標を示す。ASDE の虚像は極力抑
本装置は複数の航空機に対して経路指示が可能であり，タ
制することが望まれるが、全てを抑圧することは難しい。
ッチパネル上に表示された航空機のうち，経路指示を与え
ASDE の虚像は、MLAT と相関がなく存続時間も短いなど
る航空機を選択するところから経路生成手順が開始され
の特徴がある。これらの特徴に当てはまる目標とそれ以外
る。図 5 に経路生成のフローチャートを示す。この段階で
を区別して処理することにより、その影響を軽減できる。
管制官からの指示頻度が高い経路が自動的に複数個画面
この他に、統合航跡ではスポット付近においてトラン
に表示され，これを推奨経路と呼んでいる。また始点・途
スポンダ電源投入直後に誤目標が発生していた。このよ
中点・終点をマニュアル入力することでそれらをつないだ
うな誤目標は、追尾初期捕捉時に測位精度の劣化した更
経路を自動生成させることも可能であり，これを任意経路
新レートの低い MLAT 測位位置を入力し、これを用いて
と呼ぶ。表示された推奨経路のひとつを選択・承認する，
追尾継続することにより発生する。
若しくは任意経路を承認するとその結果が表示され，同時
- 19 -
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Experience the Situation in a Changing Context
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Diagnose
no
㪊㪑㪈 㪌㪑㪇㪇
yes
inference
Clarity
㩷
Is Situation Typical?
[Prototype or Analogue]
[Feature Matching]
[Story Building]
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Relevant
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Expectancies
Anomaly
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Plausible
Goals
Action
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㪘 㪥㪘 㪏 㪍 㪉
Evaluate
Action (n)
[Mental Simulation]
Modify
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no
yes
Implement
Course of Action
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（プレス・リリース） 航 貨 運 第 83 号 平成26年11月14日 一般

航空交通管理における時間管理手法の研究について

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＜還付金詐欺＞に注意

還付金詐欺に遭わないために（PDF形式：68KB）

56. 寝返り介助ボードの試作

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