中国元の見通し ~下落の可能性は?

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2015 年 7 月 13 日
アムンディ・マーケットレポート
アムンディ・ジャパン株式会社
中国元の見通し ~下落の可能性は?~
① 中国元は、日中変動幅を一定範囲に制限する管理変動相場制下にあり、市場原理では動きません。
② 成長鈍化や不安定な株式市場を背景に、追加金融緩和が実施される可能性が高まっています。
③ 中国当局は、元の大幅な減価を望んでおらず、当面安定的な動きが継続すると予想されます。
管理変動相場制の下で、ボックス圏で推移する中国元の対ドル相場
現在の中国元相場は、市場の需給関係に応じて
動く完全な変動相場制ではなく、中国人民銀行が
日々定める仲値を中心に、日中変動幅を一定範
囲内に制限する管理変動相場制を採用していま
す。このため、為替相場は、特に対ドルでは基本
的に安定して推移し、金融政策のスタンスが変
わった時に次の安定水準に向かって変動します。
中国元為替相場改革の推移
05年7月
07年4月
08年9月
10年6月
12年4月
6月
14年3月
管理変動相場制を導入(対ドル変動幅0.3%)
対ドル変動幅を0.5%へ拡大
リーマンショックを受け、実質固定化へ
管理変動相場制を再開
対ドル変動幅を1%へ拡大
中国元と円の直接取引が開始
対ドル変動幅を2%へ拡大
中国経済は、鉄道輸送量が前年同月比で 10%を超える減少、電力消費量も 14 年の前年比+4%
台から、15 年 1~5 月は前年同期比+1%台に減速するなど、景気減速が深刻化しています。中国
人民銀行は 14 年 11 月以降利下げ 4 回、預金準備率引き下げ 2 回(一部適用も含むと 3 回)と、
矢継ぎ早に金融緩和を実施しました。高騰していた株価も実体経済とのかい離の拡大が剥落し、6
月半ば以降急落しています。このため、追加金融緩和が実施される可能性が高まっています。
金融緩和が強化されても、当局の政策的意図から中国元は安定続く
金融緩和が強化されると、本来なら中国元に
下落圧力がかかります。しかし、9 月に習近平
国家主席の訪米を控えているほか、IMF(国際
通貨基金)における国際準備資産 SDR※の構
成通貨への採用を推し進めていることもあり、
当局は中国元の大幅下落を容認する可能性
は低いと見られます。
(中国元/円)
22
20
中国元とドルの対円相場の推移
130
中国元(左軸)
ドル(右軸)
120
18
16
(ドル/円)
110
円安
14
100
90
円高
80
管理変動相場制度と、現在の中国の通貨政 12
(年/月)
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
策スタンスが維持される限り、ドルと中国元の
出所:Bloombergのデータよりアムンディ・ジャパン作成
他通貨に対する相場の方向性が大きく異なる
可能性は低いと思われます。ドル・円相場については、金融政策の方向性の違い(米国は利上げ
方向、日本は量的緩和継続)からドル高・円安方向は変わらないと見ており、中国元の対円相場も
基本的には円安方向にあると思われます。
※SDR(Special Drawing Right/特別引出権):IMF 加盟国が持つ IMF からの資金引出権で、出資額に応じて決められます。原則 5 年毎に
構成通貨が見直され、11~15 年は米ドル 41.9%、ユーロ 37.4%、英ポンド 11.3%、日本 9.4%が当初の構成比率です(時価で変動)。現
在、15 年末の見直しに向け、中国元を加えるかどうかが議論されています。
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