JIRAテクニカルレポート ︵通巻第 2013. VOL. 23 NO.2 (通巻第45号) 号︶ 45 ◆ 第41回日本放射線技術学会秋季学術大会 第31回JIRA発表会 Power to the people 地方の底力 ∼安全と安心の技をみがく∼ 平成25年10月17日 (木) 15:00∼17:00 アクロス福岡 1階 円形ホール(第4会場) ◆ 第41回日本放射線技術学会秋季学術大会 第16回JIRAフォーラム テーマ:「CT Dose Checkの現状と課題」 平成25年10月17日 (木) 17:00∼18:00 アクロス福岡 1階 円形ホール(第4会場) ◆ 技術解説 ITによる画像情報の連携 http://www.jira-net.or.jp 一般 社 団 法 人 日 本 画 像 医 療システム工業 会 一般社団法人 日本画像医療システム工業会 巻頭言 Power to the people 公益社団法人 日本放射線技術学会 第 41 回日本放射線技術学会 秋季学術大会 大会長 橋田 昌弘 日 頃 より、日 本 放 射 線 技 術 学 会 へのご支 援 とご協 力 に心 から感 謝 申 し上 げます。 この度 、第 41 回 秋 季 学 術 大 会 を平 成 25 年 10 月 17 日 (木 )~19 日 (土 )の会 期 にてアクロス福 岡 (福 岡 市 )で開 催 します。大 会 テーマを「Power to the people 地 方 の底 力 ~安 全 と安 心 の技 をみがく~」と しました。放 射 線 技 術 学 は、学 際 領 域 の応 用 科 学 であり、医 学 、工 学 、物 理 学 、保 健 学 等 の統 合 された 科 学 です。そして、私 たちの研 究 成 果 は、医 療 において応 用 され 5 年 後 、10 年 後 、20 年 後 ・・・には世 の 中 の役 にたつと思 っています。特 に、目 の前 の患 者 様 の診 断 ・治 療 に発 揮 され、患 者 様 の力 (Power)に なると信 じています。一 方 、日 本 経 済 の低 迷 が長 引 き、そのうえ 2011 年 の東 日 本 大 震 災 と、日 本 の元 気 が失 われている気 がします。そこで、大 会 テーマとして Power(活 力 )を付 けモチベーションアップをはかり、 皆 様 に、より大 きな力 が生 まれることを願 っています。この大 会 が、その契 機 になることを期 待 しています。 学 術 研 究 に国 境 はないと言 われていますが、現 実 には地 域 格 差 があります。秋 季 大 会 は 8 部 会 を回 り、今 回 8 年 ぶりに九 州 (福 岡 )で開 催 します。本 学 会 が、九 州 地 域 の活 性 化 につながればと思 っていま す。また、地 方 ならではの特 色 、 特 長 も持 っています。特 に、九 州 人 気 質 は、一 言 で表 すと「ラテン系 」で しょうか。細 かいことは気 にせず、情 熱 的 につき進 む熱 血 漢 、しかし、おっちょこちょい(私 の独 断 と偏 見 か もしれませんが)。こんな九 州 人 の運 営 する学 会 ですので、不 備 な点 は大 目 にみて頂 き、学 会 を明 るく楽 しんでもらえば幸 です。 今 回 、NHK 野 球 解 説 者 の与 田 氏 に「野 球 界 のリーダー論 ~WBC の舞 台 裏 ~」と題 しまして特 別 講 演 をお願 いしています。与 田 氏 は、現 役 時 代 は剛 速 球 投 手 として活 躍 し、引 退 後 は解 説 者 やコーチ として活 躍 されており、プロ野 球 界 の 表 も裏 も知 り尽 くされています。 日 頃 聞 けない興 味 ある内 容 で、 聞 いている人 を power up させてくれるものと期 待 しています。 本 大 会 でも例 年 どおり「JIRA フォーラム」と「JIRA 発 表 会 」を企 画 しました。JIRA フォーラムは、JIRA と JSRT の共 通 テーマを討 論 、情 報 交 換 する場 で、今 回 は、「CT Dose Check の現 状 と課 題 」をテーマとし 開 催 します。また、JIRA 発 表 会 (18 題 )では、JIRA 会 員 の皆 様 の製 品 紹 介 の場 を提 供 し、本 抄 録 集 が 情 報 発 信 の源 となります。JIRA とは、今 後 も、より連 携 を強 化 しながら、お互 いの情 報 交 換 を密 にしてい きたいと思 います。 本 大 会 に 併 催 する 形 で、 最 終 日 19 日 の 13 時 ( 第 1 会 場 )で市 民 公 開 講 座 を 開 催 します。防 護 分 科 会 の企 画 の下 、「今 を問 う -私 たちの暮 らしと医 療 被 ばく-」のテーマで開 催 し、また、本 講 座 は、平 成 25 年 度 文 部 科 学 省 科 学 研 究 費 の助 成 も受 けています。福 島 第 1 原 子 力 発 電 所 の事 故 以 来 、福 島 から遠 い九 州 でも、放 射 線 に関 して市 民 の方 々の関 心 が高 まっています。本 学 会 の責 務 としても、市 民 の方 々に正 しい情 報 を提 供 し安 心 して頂 くことは重 要 です。是 非 、JIRA の皆 様 も一 市 民 として参 加 頂 けますと幸 甚 です。 最 後 に、JIRA の今 後 の益 々のご発 展 と会 員 皆 様 のご健 勝 を心 からお祈 り申 し上 げます。今 後 とも、 よろしく、お願 い申 し上 げます。 (熊 本 大 学 医 学 部 附 属 病 院 - 1 - 医療技術部 診療放射線技術部門長) JIRA テクニカルレポート 2013.Vol.23 №2 (通巻第 45 号) 目 次 巻頭言 Power to the people ························································································· 1 第 41 回日本放射線技術学会 秋季学術大会 大会長 橋 田 昌 弘 JIRA 発 表 会 (技 術 -1) 1. 高 画 質 、低 被 ばく CT 画 像 再 構 成 技 術 IMR の紹 介 ··············································· 5 ㈱フィリップスエレクトロニクスジャパン 小薗井 剛 2. 次 世 代 CT 用 造 影 剤 自 動 注 入 装 置 Stellant ® /Certegra ® Workstation の紹 介 日 本 メドラッド㈱ 鳥羽 輝久 3. 新型一般撮影システム RADspeed Pro V4 の開発 ㈱島 津 製 作 所 三宅 直貴 ··················································· 9 4. 新 型 FPD 搭 載 X 線 透 視 診 断 装 置 「DIAVISTA」の紹 介 ㈱日 立 メディコ 内田 千尋 ········································· 5. X 線 自 動 検 出 機 能 (製 品 名 :SmartSwitch)の感 度 向 上 技 術 富 士 フイルム㈱ 小田 泰史 6. FPD を装填可能にした自在型カセッテホルダーの改良 オリオン電 機 ㈱ 片桐 大介 7. マルチモダリティ環 境 のための新 コンセプトモニタの紹 介 EIZO㈱ 橋本 憲幸 11 ································· 13 ············································· 16 ·········································· 18 8. 医 用 情 報 地 域 連 携 ソリューション<M.Club Advance>の開 発 西 日 本 エムシー㈱ 西橋 幹雄 9. 遠 隔 画 像 診 断 支 援 システムの開 発 と運 用 事 例 ViewSend ICT㈱ 嗣江 建栄 ·················· 7 ································· 20 ·················································· 22 JIRA 発 表 会 (技 術 -2) 10. OVAL(楕 円 )ボア 3T MRI 装 置 「TRILLIUM OVAL」の開 発 ㈱日 立 メディコ 青柳 和宏 11. 高感度磁性体検出器フェロガードの紹介 トーレック㈱ 中沢 洋 ····································· 24 ···························································· 26 12. ワイヤレス FPD CXDI-701/801 の紹 介 ···························································· 28 キヤノンライフケアソリューションズ㈱ 向笠 恭司 13. ワイヤレスカセッテ FPD「AeroDR」の回 診 /ポータブルソリューション コニカミノルタ㈱ 宮谷 宏 - 2 - ······························· 30 14. 眼 の水 晶 体 に対 する ICRP の新 声 明 とデザイン性 豊 かな新 型 防 護 メガネ ㈱マエダ 堀井 俊吾 ······················ 32 15. 無 鉛 放 射 線 防 護 製 品 の新 技 術 の紹 介 ·························································· 34 医 建 エンジニアリング㈱ 近藤 勇太 16. トモシンセシスに対 応 したデジタルマンモグラフィ装 置 AMULET Innovality 富 士 フイルム㈱ 小田 佳成 17. 新 型 血 管 撮 影 システム Trinias シリーズの開 発 ㈱島 津 製 作 所 井上 啓史 ·················································· 38 18. デジタル X 線 TV システム ZEXIRA T M の新 機 能 開 発 東 芝 メディカルシステムズ㈱ 殿塚 浩規 JIRA フォーラム ···················· 36 ············································· 40 テーマ:「CT Dose Check の現 状 と課 題 」 1. CT Dose Check 機 能 の標 準 化 JIRA 放 射 線 ・線 量 委 員 会 ··································································· 42 柳田 祐司 2. DIR による設 定 から運 用 ············································································ 44 独 立 行 政 法 人 国 立 国 際 医 療 研 究 センター病 院 篠﨑 雅史 技術解説 IT による画 像 情 報 の連 携 コニカミノルタ㈱ ·············································································· 46 鈴木 慶一 医 療 の現 場 から Power to the people 地 方 の底 力 ~安 全 と安 心 の技 をみがく~ 第 41 回日本放射線技術学会 秋季学術大会 実行委員長 工業会概要 編集後記 ·································· 50 中村 泰彦 ································································································· 51 ···································································································· 54 - 3 - 第 41 回日本放射線技術学会秋季学術大会 第 31 回 JIRA 発表会 Power to the people 地方の底力 ~安全と安心の技をみがく~ 会 期 平成 25 年 10 月 17 日(木) 場 所 アクロス福岡 15:00~17:00 1 階 円形ホール(第 4 会場) 15:00~16:00 JIRA 発表会(技術-1) 演題番号 発 表 者 座長 佐藤 公悦 J01 ㈱フィリップスエレクトロニクスジャパン 小薗井 剛 高 画 質 、低 被 ばく CT 画 像 再 構 成 技 術 IMR の紹 介 J02 日本メドラッド㈱ 鳥羽 輝久 次 世 代 CT 用 造 影 剤 自 動 注 入 装 置 Stellant ® /Certegra ® Workstation の紹 介 J03 ㈱島津製作所 三宅 直貴 新 型 一 般 撮 影 システム RADspeed Pro V4 の開 発 J04 ㈱日立メディコ 内田 千尋 新 型 FPD 搭 載 X 線 透 視 診 断 装 置 「DIAVISTA」の紹 介 J05 富士フイルム㈱ 小田 泰史 X 線自動検出機能(製品名:SmartSwitch)の感度向上技術 J06 オリオン電機㈱ 片桐 大介 FPD を装填可能にした自在型カセッテホルダーの改良 J07 EIZO㈱ 橋本 憲幸 マルチモダリティ環 境 のための新 コンセプトモニタの紹 介 J08 西日本エムシー㈱ 西橋 幹雄 医 用 情 報 地 域 連 携 ソリューション<M.Club Advance>の開 発 J09 ViewSend ICT㈱ 嗣江 建栄 遠 隔 画 像 診 断 支 援 システムの開 発 と運 用 事 例 16:00~17:00 JIRA 発表会(技術-2) 演題番号 発 表 者 座長 藤岡 隆 J10 ㈱日立メディコ 青柳 和宏 OVAL(楕 円 )ボア 3T MRI 装 置 「TRILLIUM OVAL」の開 発 J11 トーレック㈱ 中沢 高感度磁性体検出器フェロガードの紹介 J12 キヤノンライフケアソリューションズ㈱ 向笠 恭司 ワイヤレス FPD CXDI-701/801 の紹 介 J13 コニカミノルタ㈱ 宮谷 ワイヤレスカセッテ FPD「AeroDR」の回診/ポータブルソリューション J14 ㈱マエダ 堀井 俊吾 眼の水晶体に対する ICRP の新声明とデザイン性豊かな新型防護メガネ J15 医建エンジニアリング㈱ 近藤 勇太 無鉛放射線防護製品の新技術の紹介 J16 富士フイルム㈱ 小田 佳成 トモシンセシスに対 応 したデジタルマンモグラフィ装 置 AMULET Innovality J17 ㈱島津製作所 井上 啓史 新型血管撮影システム Trinias シリーズの開発 J18 東芝メディカルシステムズ㈱ 殿塚 浩規 デジタルX線 TV システム ZEXIRA T M の新 機 能 開 発 洋 宏 第 41 回日本放射線技術学会秋季学術大会 第 16 回 JIRA フォーラム テーマ:「CT Dose Check の現状と課題」 会 期 平成 25 年 10 月 17 日(木) 場 所 アクロス福岡 司 会 17:00~18:00 1 階 円形ホール(第 4 会場) JSRT 学術委員会委員長 土`井 司 JIRA 放射線・線量委員会副委員長/東芝メディカルシステムズ㈱ 発 表 者 1 JIRA 放 射 線 ・線 量 委 員 会 /東 芝 メディカルシステムズ㈱ 柳田 祐司 CT Dose Check 機 能 の標 準 化 2 国 立 国 際 医 療 研 究 センター 篠﨑 雅史 DIR による設 定 から運 用 - 4 - 古川 浩 JIRA 発表会 1. 高画質、低被ばく CT 画像再構成技術 IMR の紹介 ㈱フィリップスエレクトロニクスジャパン ヘルスケア事 業 部 マーケティング本 部 小薗井 剛 【はじめに】 当 社 は、「Imaging 2.0 Transforming care, together」をコンセプトに掲 げ、顧 客 とビジョンを共 有 し、 患 者 へのケア、診 断 、治 療 を刷 新 していく姿 勢 を打 ち出 した。 Imaging 2.0 の基 本 コンセプトは以 下 の三 点 である。 ① Clinical Integration & Collaboration(臨 床 的 価 値 の融 合 と協 調 ) ② Patient Focus(患 者 本 位 のシステム開 発 ) ③ Improve Economic Value(高 い経 済 性 の追 求 ) CT においては、~A New Era of Superb image quality~(新 たな高 画 質 時 代 の幕 開 け)と題 して、シ ステムモデル逐 次 近 似 画 像 再 構 成 法 『IMR(Iterative Model Reconstruction)』を紹 介 した。 【特 長 】 IMR は、ノイズ統 計 学 と最 先 端 のシステムモデル、評 価 関 数 (Cost Function)を加 味 した逐 次 近 似 画 像 再 構 成 法 である。 2012 年 の北 米 放 射 線 学 会 で体 幹 部 対 応 の IMR Body、2013 年 欧 州 放 射 線 学 会 で心 電 図 同 期 撮 影 に対 応 した IMR Cardiovascular、そして 2013 年 4 月 9 日 からは頭 頸 部 領 域 に対 応 した IMR Neuro をラ インナップに加 え、全 身 対 応 の逐 次 近 似 画 像 再 構 成 ユニットとして国 内 販 売 を開 始 している。 IMR の主 な特 長 は以 下 の三 点 となる(図 1)。 ① Virtually Noise-Free Imaging (最 大 90%の画 像 ノイズ低 減 ) ② Low Contrast Detectability Improvement (密 度 分 解 能 の改 善 ) ③ Ultra Fast Reconstruction (5 分 以 内 で画 像 再 構 成 完 了 ) 図 1 IMR 特 長 - 5 - JIRA 発表会 IMR は、従 来 の Filtered Back Projection(FBP)と比 較 して最 大 90%のノイズ低 減 が可 能 である。 密 度 分 解 能 は [email protected]%@10.4mGy を達 成 し、従 来 に比 べ低 コントラスト描 出 能 を 2.7 倍 に改 善 して いる。IMR は非 線 型 的 にノイズ低 減 を行 えるのが大 きな特 長 である。結 果 として画 像 ノイズ低 減 はスライ ス厚 や X 線 量 に依 存 せず常 に一 定 のノイズレベルとなり『Virtually Noise-Free imaging』を実 現 する。 加 えて IMR は画 像 再 構 成 の前 段 階 で、最 終 画 像 に必 要 な分 解 能 、ノイズレベルを踏 まえ画 像 の最 適 化 を行 うことが可 能 である。Cost Function にて画 像 ノイズレベル(3 段 階 )、分 解 能 レベル(3 段 階 )の 組 み合 わせを設 定 することができ、空 間 分 解 能 を損 なうことなく大 幅 な画 像 ノイズの低 減 と計 算 の効 率 化 、画 質 選 択 が可 能 である(図 2)。 また、IMR はシステムモデルベースの逐 次 近 似 画 像 再 構 成 でありながら、1 症 例 999 枚 を 5 分 以 内 で 再 構 成 処 理 を終 えることが可 能 である。このスピードを実 現 した背 景 として、Intel 社 と共 同 開 発 した新 しい IMR 再 構 成 ユニット(IMR Cube)がある。従 来 CT の画 像 再 構 成 は CPU で処 理 されていたが、IMR 再 構 成 ユニットは CPU より並 列 処 理 に適 した GPU(Graphic Processing Unit)にて再 構 成 処 理 を行 う 事 が 可 能 と な り 、 結 果 と し て 5 分 以 内 の 再 構 成 処 理 を 実 現 し た 。 GPU 上 で 画 像 処 理 を 行 う 事 に よ り IMR 再 構 成 ユニットのデザインは非 常 にコンパクトになった。IMR 再 構 成 ユニットは従 来 の画 像 再 構 成 ユニットと同 じく CT 操 作 卓 の足 元 や、操 作 室 内 、検 査 室 内 に設 置 可 能 である。 【おわりに】 IMR はこれまでノイズやアーチファクトで隠 されてきた微 小 、微 細 構 造 を描 出 し、病 変 の早 期 発 見 から 治 療 の橋 渡 しに大 いに期 待 される画 像 再 構 成 法 である。 図 2 IMR 概 念 図 - 6 - JIRA 発表会 2. 次世代 CT用造影剤自動注入装置 Stellant®/Certegra® Workstationの紹介 日本メドラッド㈱ 鳥羽 輝久 【はじめに】 CT 装 置 の高 速 化 に伴 い増 大 する CT 検 査 に対 応 するために更 なる業 務 フローの効 率 化 や検 査 の安 全 性 の向 上 が求 められている。また、同 時 に病 院 のコンプライアンス、リスクマネージメントへの対 応 も求 め られている。造 影 情 報 管 理 システムである Certegra ® (サーテグラ) Workstation は、日 々進 化 する IT 技 術 を用 い、現 場 で求 められているこれらのニーズの改 善 を目 的 に開 発 され、CT 用 造 影 剤 自 動 注 入 装 置 MEDRAD Stellant ® (ステラント)に標 準 で搭 載 され、国 内 で発 売 が開 始 されたので、その製 品 を紹 介 す る。 【概 要 】 MEDRAD Stellant ® CT イ ン ジ ェ ク タ は 、 注 入 プ ロ ト コ ル を 入 力 す る コ ン ト ロ ー ル ユ ニ ッ ト に Certegra ® Workstation を搭 載 することにより、注 入 完 了 後 の造 影 注 入 情 報 の保 存 および Web 配 信 機 能 が標 準 装 備 された日 本 で初 めての CT インジェクタシステムである。 図 1 Stellant® CT インジェクタ(左 )、Certegra ® Workstation(右 )の外 観 図 【特 長 】 1. 造 影 注 入 情 報 の自 動 保 存 機 能 MEDRAD Stellant ® CT インジェクタでの注 入 完 了 後 、注 入 結 果 等 の造 影 注 入 情 報 は、Certegra ® Workstation に自 動 で保 存 される。さらに Modality Worklist を用 い RIS と接 続 することにより、患 者 およ び検 査 属 性 を統 合 した 造 影 注 入 情 報 が 保 存 できる。今 ま で手 書 きや手 入 力 で 行 っていた 造 影 注 入 情 報 の管 理 を自 動 で行 うことができるため、業 務 フローの向 上 が期 待 できる。また、造 影 注 入 結 果 は最 長 10 年 間 保 存 可 能 で、診 療 記 録 としての造 影 注 入 結 果 をエビデンスとして残 すことで病 院 のコンプラ イアンスの強 化 を図 ることができる。 - 7 - JIRA 発表会 図 2 Certegra ® Workstation のデータフロー図 2. Web 参 照 機 能 過 去 の造 影 注 入 履 歴 は、病 院 端 末 から Web ブラウザを用 いて、参 照 できる。注 入 プロトコル、造 影 剤 、 生 理 食 塩 液 の注 入 量 等 を参 照 することにより再 現 性 のある検 査 が可 能 となる。また、注 入 中 に不 具 合 等 が起 こった場 合 でも、保 存 している圧 力 グラフ、フローレートグラフを参 照 することにより、問 題 の有 無 の 検 証 や再 発 防 止 に向 けた検 討 を行 うことができ、安 全 性 、リスクマネージメントの向 上 が期 待 できる。 3. レポート機 能 レポート機 能 として、保 存 された情 報 から月 別 や部 位 別 の造 影 検 査 数 や造 影 剤 使 用 量 の統 計 デー タの表 示 や、エクセルフォ ーマットとし て統 計 デー タを出 力 す ることが 可 能 。 学 会 発 表 の データ や、 検 査 効 率 の評 価 データおよび、造 影 効 果 と造 影 注 入 情 報 との関 係 を解 析 するデータとしても活 用 すること ができ、検 査 品 質 の改 善 に貢 献 できる。 4. PACS 送 信 機 能 オプションの PACS ソフトウェアを搭 載 することで、造 影 注 入 情 報 を画 像 として PACS に自 動 に送 信 す ることができる。読 影 時 に造 影 注 入 情 報 を CT 画 像 と一 緒 に参 照 することにより、適 切 な造 影 剤 の注 入 条 件 、造 影 効 果 の確 認 を行 うことができ、さらなる読 影 能 の向 上 が期 待 できる。 5. 注 入 プロトコル最 適 化 機 能 患 者 毎 に応 じた注 入 プロトコルを最 適 化 するメドラッド独 自 の P3T ソフトウェアが強 化 され、最 適 な注 入 プロトコルの確 認 、選 択 が今 まで以 上 に迅 速 に行 え、業 務 フローおよび安 全 性 の向 上 に貢 献 できる。 【おわりに】 HL7 対 応 インターフェースは来 年 度 以 降 に発 売 する予 定 である。今 後 も継 続 的 に製 品 改 良 、開 発 を 行 い、PACS、RIS および HIS 等 の病 院 情 報 システムとの連 携 を強 化 する。 - 8 - JIRA 発表会 3. 新型一般撮影システム RADspeed Pro V4 の開発 ㈱島 津 製 作 所 医 用 機 器 事 業 部 技 術 部 三宅 直貴 【はじめに】 当 社 で は 、 フ ラ ッ ト パ ネ ル デ ィ テ ク タ ( Flat Panel Detector 以 下 FPD)と新 デジタルラジオグラフィ装 置 を 搭 載 し た 新 型 一 般 撮 影 シ ス テ ム RADspeed Pro V4 を 開 発 し た 。 本 シ ス テ ム の 特 徴 で あ る 統 合 操 作 系 によるワークフロー改 善 と、豊 富 な画 像 処 理 技 術 について報 告 する。 図 1 RADspeed Pro V4 の外 観 図 【特 長 】 1. ワークフローの改 善 可 搬 型 FPD の搭 載 と新 デジタルラジオグラフィ装 置 の開 発 、 操 作 系 の統 合 により、 ワークフロー改 善 を図 っている。 (1) 可 搬 型 FPD 本 シ ス テ ム で は 、 17×14 イ ン チ サ イ ズ の 可 搬 型 FPD を 搭 載 可 能 で あ る 。 こ れ に よ り 軸 位 撮 影 を 含 む 種 々の撮 影 が可 能 となる。シンチレータは、酸 硫 化 ガドリニウム(GOS)、ヨウ化 セシウム(CsI)の 2 種 類 を 採 用 した。なお、17×17 インチサイズの固 定 型 パネルも搭 載 可 能 である。 (2) 統 合 型 コンソール DRU-200 デジタルラジオグラフィ装 置 のコンソールと X 線 高 電 圧 装 置 のコンソールを統 合 するため、 DRU-200 を開 発 した。 DRU-200 と X 線 高 電 圧 装 置 の 連 携 強 化 と 、 右 図 の 太 枠 に示 すように DRU-200 操 作 画 面 に X 線 高 電 圧 装 置 の操 作 ボタンを配 置 することにより、一 つのコンソールで デジタルラジオグラフィと X 線 高 電 圧 装 置 の操 作 を可 能 にした。また操 作 画 面 にはタッチパネルを採 用 し、画 面 タ ッチにより直 感 的 に X 線 条 件 変 更 や撮 影 の後 処 理 操 作 が可 能 である。 図2 統合操作系 (3) 統 合 操 作 系 天 井 走 行 式 X 線 管 懸 垂 器 の操 作 部 と、検 査 室 に設 置 可 能 な情 報 表 示 モニタに画 像 ・撮 影 条 件 を表 示 させることに より、操 作 室 ・検 査 室 のいずれの場 所 でも操 作 ・確 認 が可 能である。 天井走行式 X 線管懸垂器の操作部では、患者情報・画 像 の確 認、プロトコル選 択 ・順 序 変 更 、および X 線 条 件 変 更 を、情 報 表 示 モニタでは、患 者 情 報 ・画 像 の確 認 、プロトコ ル選択・順序変更、および写損設定を可能としている。 - 9 - 図 3 DRU-200 操 作 画 面 JIRA 発表会 2. 豊 富 な画 像 処 理 技 術 (1) グリッド縞 除 去 処 理 コントラストが要 求 される部 位 では、散 乱 放 射 線 除 去 のためにグリッドが使 用 される。本 システムでは、 着 脱 可 能 な固 定 グリッドおよびグリッド縞 除 去 処 理 を採 用 し、写 り込 むグリッド縞 を検 出 ・除 去 して、良 好 なコントラスト分 解 能 を実 現 している。 (2) 照 射 野 領 域 抽 出 処 理 可 動 絞 りにて遮 蔽 された領 域 等 、診 断 に不 要 な領 域 を自 動 認 識 し、認 識 した領 域 を黒 化 処 理 する ことで読 影 しやすい画 像 が得 られる。 (3) 濃 度 規 格 化 処 理 撮 影 方 法 や撮 影 条 件 等 によらず、濃 度 バランスの安 定 した画 像 を表 示 するため、濃 度 規 格 化 処 理 (IEN: Image Exposure Normalization)を開 発 した。撮 影 画 像 に対 して、照 射 野 領 域 抽 出 →関 心 領 域 (特 徴 点 )抽 出 →ヒストグラム解 析 →濃 度 変 換 を行 い、画 像 表 示 を実 現 する。 (4) マルチ周 波 数 処 理 本 システムでは 2 つの特 徴 を持 つマルチ周 波 数 処 理 (IPE: Image Parametric Equalizer)を開 発 し た。1 つは、鮮 鋭 度 を制 御 する周 波 数 処 理 であり、任 意 の周 波 数 帯 について強 調 度 の強 弱 が可 能 で ある。もう 1 つは、関 心 領 域 のコントラストを損 なうことなく黒 つぶれや白 とびを抑 えるダイナミックレンジ圧 縮 処 理 であり、任 意 の周 波 数 帯 および濃 度 域 について強 調 度 の強 弱 が可 能 である。 (5) ノイズ低 減 処 理 撮 影 画 像 中 のノイズ成 分 を自 動 検 出 ・除 去 し、粒 状 性 の良 い画 質 作 成 が可 能 なノイズ低 減 処 理 (IPR: Image Parametric Restoration)を開 発 した。ノイズ低 減 処 理 の使 用 も考 慮 に入 れた撮 影 条 件 を 検 討 することで、被 ばく低 減 を図 った。 (1)~(5)の画 像 処 理 を施 して得 られる画 像 例 を以 下 に示 す。 図4 胸部正面画像 図5 腹部正面画像 図6 頸椎側面画像 【おわりに】 新 型 一 般 撮 影 システム RADspeed Pro V4 では、可 搬 型 FPD の搭 載 、新 デジタルラジオグラフィ装 置 と統 合 操 作 および豊 富 な画 像 処 理 技 術 により、操 作 者 の負 担 が軽 減 され、業 務 の効 率 と診 断 の質 を 向 上 することができた。 - 10 - JIRA 発表会 4. 新 型 FPD 搭 載 X 線 透 視 診 断 装 置 「DIAVISTA」の紹 介 ㈱日 立 メディコ XR マーケティング本 部 内田 千尋 【はじめに】 当 社 は、マーゲン検 査 に適 した FPD サイズの進 出 とともに、 高 画 質 化 技 術 (FAiCE-V)を検 診 用 透 視 撮 影 台 に搭 載 し た、デジタル X 線 透 視 診 断 装 置 を開 発 した。 本 報 告 では、新 しく開 発 された、デジタル X 線 透 視 診 断 装 置 VISTA シリーズ DIAVISTA(図 1)の特 長 を述 べる。 【コンセプト】 DIAVISTA のコンセプトは、① 検 診 時 における充 実 した支 援 機 能 ② 高 画 質 ・低 被 ばく③ 省 スペース・省 ランニングコ ストであり、当 社 の FPD 搭 載 X 線 透 視 診 断 装 置 VISTA シリー ズの中 で、検 診 に必 要 とされる機 能 に重 点 をおいて開 発 し た XTV システムといえる。 図 1 DIAVISTA 外 観 【特 長 】 1. 高 速 視 野 移 動 で短 時 間 検 査 を実 現 検 診 による消 化 管 検 査 は、短 時 間 で多 くの撮 影 を行 うこ とが 重 要 で あ り、 素 早 い 視 野 移 動 が 求 め ら れ る。 その た め、 DIAVISTA では、映 像 系 スピードを最 速 9cm/秒 と高 速 化 し たことで、効 率 の良 い検 診 業 務 が行 える。 さらに、受 診 者 の状 態 に合 わせて検 査 が実 施 できるよう に 5 段 階 のスピード変 更 が可 能 となっている(図 2)。 2. ワイドエリア 最 大 ストローク範 囲 は、映 像 系 動 作 と寝 台 移 動 を合 わせ 236cm であるため、ワイドな透 視 撮 影 エリアが確 保 できる。そ のため、受 診 者 を動 かすことなく広 範 囲 の透 視 撮 影 が可 能 である。また、水 平 時 の踏 台 から視 野 端 までの距 離 は、わず 図2 高速映像系移動 か 49cm であり、あらゆる身 長 の受 診 者 にも対 応 可 能 となって いる。 3. 起 倒 動 寝 台 は、立 位 最 大 90°から逆 傾 斜 -45°まで起 倒 できるため、前 壁 撮 影 時 にも有 効 である。また、起 倒 のスタートおよびストップ時 には、寝 台 スピードが緩 やかに変 化 するため、受 診 者 が安 心 して検 査 を受 ける ことができる。 - 11 - JIRA 発表会 4. VISTA Panel 当 社 は、FPD システムの発 売 を開 始 して以 来 、約 11 年 が経 過 し、常 に FPD の性 能 向 上 に取 り組 んでき た。今 回 、DIAVISTA に搭 載 した FPD(VISTA Panel)は、撮 影 画 像 のダイナミックレンジが従 来 の約 2.5 倍 に広 がり、被 写 体 厚 の厚 い部 分 から薄 い部 分 までを画 像 データとして収 集 、表 示 できるとともに、透 視 像 の画 質 が飛 躍 的 に向 上 した。透 視 はできる限 り少 ない X 線 量 としなければならないが、その分 だけ信 号 が 減 り、相 対 的 にノイズが増 えてしまう。この VISTA Panel では、回 路 系 ノイズを大 幅 に低 減 させることができ、 結 果 として透 視 像 の高 画 質 化 を実 現 している。 5. 高 画 質 ・被 ばく低 減 受 診 者 の被 ばくに対 する意 識 が高 まる中 、装 置 側 に管 理 機 能 を備 えることが今 後 必 要 である。この ため、NDD 法 * 1 による被 ばく線 量 計 測 機 能 を備 え、 受 診 者 の被 ばく線 量 を定 量 的 に管 理 できるようにし ている(図 3)。 また、パルス透 視 機 能 と波 尾 遮 断 機 能 を標 準 搭 載 することにより、被 ばく低 減 と高 画 質 を両 立 するこ とが可 能 となっている。 6. 省 スペース・省 ランニングコスト 通 常 、検 診 を実 施 する施 設 では X 線 透 視 診 断 装 置 が設 置 される部 屋 は狭 いことが多 く、システムとし 図 3 NDD 法 による被 ばく線 量 管 理 て、少 しでもコンパクトにする必 要 があった。 DIAVISTA は、標 準 で、① 透 視 撮 影 台 本 体 ② 高 電 圧 装 置 ユニット③ コンソールのみで構 成 したことに よって省 スペース設 置 を実 現 した。そのため、従 来 型 のアナログ式 X 線 透 視 診 断 装 置 が納 まっている部 屋 でもスペースを広 げることなく設 置 が可 能 である。 また、動 作 環 境 の制 約 も少 なくなっており、特 別 な温 度 管 理 や湿 度 管 理 が不 要 で、従 来 の X 線 透 視 診 断 室 の室 内 環 境 における運 用 を可 能 としている。 【まとめ】 FPD 搭 載 X 線 透 視 診 断 装 置 DIAVISTA は、2007 年 から発 売 した VISTA シリーズの 4 機 種 目 としてライ ンナップされた。そのコンセプトは、検 診 に求 められる機 能 を備 え、高 画 質 ・低 被 ばくを目 指 すとともに、設 置 環 境 にも配 慮 することで、術 者 にも受 診 者 にも、快 適 な検 査 環 境 を提 供 できるシステムである。当 社 は、 今 後 もユーザからの多 数 のご意 見 ・ご要 望 を賜 り、新 しい X 線 システムを開 発 していく所 存 である。 *1: NDD 法 は、X 線 照 射 条 件 をパラメータとして計 数 化 し、計 算 により患 者 線 量 を求 める方 法 であり、茨 城 県 放 射 線 技 師 会 被 曝 低 減 委 員 会 (班 長 :森 剛 彦 氏 )が提 案 され、茨 城 県 立 医 療 大 学 佐 藤 斉 氏 が 係 数 を導 き、ソフトウェアを開 発 されたものです。 - 12 - JIRA 発表会 5. X 線 自 動 検 出 機 能 (製 品 名 :SmartSwitch)の感 度 向 上 技 術 富 士 フイルム(株 ) メディカルシステム開 発 センター ○小 田 泰 史 榎本 淳 【はじめに】 従 来 のフラットパネルセンサ(以 下 、FPD)は、X 線 発 生 装 置 と FPD の制 御 装 置 をケーブルで接 続 し、 X 線 発 生 タイミングと同 期 して画 像 蓄 積 を制 御 していた。 当 社 カセッテ型 FPD「FUJIFILM DR CALNEO C」では全 てのラインナップ(以 下 、CALNEO C シリ ーズ)に X 線 自 動 検 出 機 能 の SmartSwitch を搭 載 した。これにより、FPD で X 線 照 射 開 始 時 の微 量 な X 線 を検 出 し、自 動 的 に画 像 蓄 積 することで、X 線 発 生 装 置 とのケーブル接 続 が不 要 となり、接 続 用 の I/F がないアナログ回 診 車 でも、FPD の撮 影 が可 能 となった(図 1)。 本 機 能 で安 定 して撮 影 するためには、1)X 線 検 出 感 度 が高 く、かつ外 乱 ノイズとの分 離 精 度 がよい こと、2)X 線 検 出 モードから画 像 蓄 積 モードへの制 御 に遅 れがないこと、3)撮 影 操 作 が簡 便 であること が重 要 である。本 稿 ではこれら性 能 達 成 のために X 線 判 定 機 能 ・高 速 サンプリング/制 御 技 術 ・X 線 検 出 センサ技 術 を開 発 したので紹 介 する。 図 1 SmartSwitch で実 現 した「CALNEO flex」システム構 成 【X 線 自 動 検 出 機 能 の感 度 向 上 技 術 】 1) 高 感 度 X 線 検 出 技 術 X 線 自 動 検 出 機 能 で X 線 信 号 を検 出 し、 画 像 取 得 するためには、ある閾 値 以 上 の X 線 が FPD に 照 射 さ れ る 必 要 が あ る 。 FPD へ の X 線 到 達 線 量 は、患 者 体 格 や X 線 発 生 装 置 の X 線 出 力 性 能 に依 存 するため、X 線 信 号 の検 出 閾 値 は低 い設 定 が望 まれる。し かし、 患 者 の 体 動 に よる FPD への 衝 撃 や他 周 辺 装 置 からの外 乱 ノイズによって誤 検 出 が起 こる。そのため、一 般 的 に X 線 検 出 感 度 と耐 誤 検 出 性 能 はトレードオフの関 係 と なる( 図 2 、 表 1) 。 この 課 題 を 解 決 する た め 図 2 X 線 検 出 感 度 とノイズの関 係 - 13 - JIRA 発表会 に、X 線 検 出 後 に X 線 信 号 か、衝 撃 や他 周 辺 装 置 からの外 乱 ノイズかを判 定 する、X 線 判 定 機 能 を開 発 した。FPD で検 出 した信 号 が閾 値 を越 えた時 点 で画 像 蓄 積 モードに移 行 し、外 乱 ノイズと判 定 する と画 像 取 得 せず X 線 検 出 モードに戻 るように制 御 される。これにより FPD への X 線 到 達 線 量 がわずかで あっても、高 い X 線 検 出 感 度 と耐 誤 検 出 性 能 の両 立 を実 現 した。 表 1 X 線 検 出 感 度 と耐 誤 検 出 性 能 のトレードオフ関 係 と X 線 判 定 機 能 による効 果 閾 値 (高 ) 閾 値 (低 )+X 線 判 定 機 能 (当 社 SmartSwitch) 閾 値 (低 ) 高 線 量 X線 ◎(画 像 取 得 可 能 ) ◎(画 像 取 得 可 能 ) ◎(画 像 取 得 可 能 ) 低 線 量 X線 ×(画 像 取 得 不 可 能 ) ◎(画 像 取 得 可 能 ) ◎(画 像 取 得 可 能 ) 衝 撃 ノイズ ◎(誤 検 出 なし) ×(誤 検 出 あり) ◎(誤 検 出 なし) ま た 、 FPD の 高 感 度 化 に は 高 い X 線 検 出 能 力 も 必 要 で あ る 。 当 社 CALNEO C シ リ ー ズ は 独 自 の ISS(Irradiation Side Sampling) 方 式 を 採 用 し 、 一 般 的 に 採 用 さ れ て い る CSS(Conventional Side Sampling)方 式 より大 幅 な高 感 度 化 を実 現 している。ISS 方 式 とは、光 検 出 面 の PD-TFT アレイと蛍 光 体 層 を CSS 方 式 と逆 に配 置 した方 式 である。ISS 方 式 では X 線 入 射 側 に光 検 出 面 の PD-TFT アレイを 設 けることで X 線 情 報 量 が豊 富 な発 光 を受 光 することが可 能 で、光 から電 荷 への変 換 効 率 が高 い。当 社 は X 線 自 動 検 出 機 能 においても本 技 術 を応 用 し、検 出 限 界 線 量 率 1.1uGy/s(CALNEO C mini: 当 社 測 定 結 果 )という高 い X 線 検 出 感 度 を実 現 した。 2) 高 速 X 線 検 出 技 術 X 線 検 出 モード時 には、X 線 信 号 を即 座 に検 出 するための高 速 サンプリング技 術 が必 要 である。 X 線 検 出 モードでは、チャージアンプによる電 荷 の積 分 および電 圧 への増 幅 、A/D 変 換 器 によるデジタル 値 への変 換 、プログラムによる自 動 判 定 の一 連 の動 作 が高 速 で繰 り返 される。X 線 発 生 初 期 は X 線 管 球 から発 生 するエネルギーが非 常 に小 さいが、 当 社 はチャージアンプの適 切 なサンプリング周 期 と増 幅 率 を設 定 し、高 速 かつ微 弱 なエネルギーの高 感 度 検 出 を実 現 した。 また、X 線 検 出 後 、即 座 に X 線 蓄 積 モードに移 行 するため、FPD 内 の処 理 IC で信 号 処 理 と読 取 制 御 を行 い、さらに信 号 処 理 部 と読 取 制 御 部 の処 理 IC には FPGA を採 用 し、リアルタイム処 理 を可 能 とした。 前 述 の高 感 度 X 線 検 出 技 術 と高 速 X 線 検 出 技 術 により、従 来 の X 線 発 生 装 置 とケーブル接 続 して撮 影 した場 合 と同 等 の画 質 を実 現 した(図 3)。 DQE (FDR D-EVO Wireless SQ) DQE (FDR D-EVO Wireless) DQE (CALNE O C Wireless SQ) 70 60 60 X 線connection 発生装置 X-ray 40 ケーブル接 続 30 Automatic X-ray SmartSwitch Detection Function 20 10 50 DQE [%] 50 DQE [%] DQE (CALNE O C Wireless) 70 X 線connection 発生装置 X-ray 40 ケーブル接 続 30 Automatic X-ray SmartSwitch Detection Function 20 10 0 0 0 1 2 3 0 1 2 3 spatial frequency [c/mm] spatial frequency [c/mm] 図 3 X 線 発 生 装 置 ケーブル接 続 と SmartSwitch の DQE 比 較 - 14 - JIRA 発表会 3) 撮 影 操 作 FPD が X 線 照 射 を検 出 するためには、X 線 を検 出 するセンサが必 要 となる。X 線 を検 出 するセンサ方 式 には幾 つかの提 案 がなされているが、FPD とは別 の検 出 専 用 センサユニットを用 いる方 式 では、X 線 を 検 出 するための照 射 領 域 が広 くなり、絞 り撮 影 などの局 所 的 な X 線 照 射 の検 出 が困 難 となる。また、検 出 専 用 センサユニットをカセッテ型 FPD 内 に搭 載 すると軽 量 ・薄 型 の商 品 性 が損 なわれてしまう。本 機 能 では、多 数 の X 線 検 出 センサを FPD 内 に配 置 する事 に成 功 し、 商 品 性 を損 なうことなく、 局 所 的 な X 線 照 射 の検 出 を実 現 した。 また、前 述 の X 線 判 定 機 能 により、高 い X 線 検 出 感 度 と X 線 検 出 精 度 実 現 から、X 線 発 生 装 置 の出 力 や撮 影 部 位 に応 じて手 動 で感 度 設 定 する必 要 はなく、使 用 する X 線 発 生 装 置 の X 線 立 ち上 がり特 性 に対 するキャリブレーションを実 施 する必 要 もない。また、ポジショニング中 の衝 撃 による誤 検 出 も問 題 とならず、ポジショニング後 に 撮 影 開 始 の ための 操 作 を 必 要 としないため 、特 別 な 操 作 を するこ と なく撮 影 が可 能 である。 【まとめ】 本 稿 で紹 介 した感 度 向 上 技 術 によって、当 社 は既 存 の低 出 力 なアナログ回 診 車 にも容 易 に導 入 で きる高 品 質 の X 線 自 動 検 出 機 能 「SmartSwitch」を世 界 で初 めて実 用 化 した。本 機 能 は CALNEO C シリーズ全 てのパネルに搭 載 され、大 サイズパネル(17×17inch)が求 められる撮 影 室 での撮 影 から小 サ イズパネル(24×30cm)が求 められる保 育 器 での撮 影 まで、 あらゆる撮 影 シーンに対 応 している。 今 後 も DR 撮 影 システムとしての利 便 性 を追 及 した技 術 開 発 に挑 戦 し、医 療 現 場 のニーズに応 えていく。 - 15 - JIRA 発表会 6. FPD を装填可能にした自在型カセッテホルダーの改良 オリオン電 機 ㈱ ○片 桐 大 介 小林 清 安井 建造 本間 龍夫 【目 的 】 撮 影 補 助 具 として発 売 している当 社 の自 在 型 カセッテホルダーは、フィルムカセッテを装 填 する構 造 であるが、近 年 の FPD の普 及 により「FPD を装 填 したい」という要 望 に応 えるため、FPD が装 填 できるよう に製 品 を改 良 したので、ここに紹 介 する。 【方 法 】 自 在 型 カセッテホルダーの特 長 は、膝 などの関 節 を撮 影 する際 に患 者 のストレスを少 なくできるよう、 任 意 の位 置 での撮 影 が可 能 なことであるが、そのためには、 関 節 部 分 にかかる力 と装 填 するカセッテの 重 量 のバランスが取 れていることが重 要 である。 一 般 的 に FPD は、フィルムカセッテよりも重 く、例 えば、半 切 サイズの重 量 比 較 において、フィルムカセッ テの場 合 1.9 ㎏以 下 の重 量 (JIS Z4905)のものが、FPD の場 合 には 3.3 ㎏前 後 となる。製 品 の特 長 であ る自 在 性 を失 うことがないように重 量 バランスを見 直 し、設 計 を変 更 した。 【結 果 】 発 売 当 初 製 品 からの概 要 と製 品 改 良 の経 緯 を以 下 に示 す。 1. 発 売 当 初 製 品 (図 1) (1) 対 応 カセッテサイズは四 つ切 (10×12)および六 つ切 (8×10)の 2 種 類 のフィルムカセッテ。 (2) ベッドや臥 位 撮 影 台 に取 り付 け可 能 な構 造 。 (3) 傾 斜 させるために落 下 防 止 、ズレ防 止 構 造 を採 用 。 (4) 撮 影 部 位 は設 置 できる箇 所 が限 定 されるため膝 が多 い。 2. 現 在 の製 品 (図 2、3) (1) 対 応 カセッテサイズは四 つ切 (10×12)および六 つ切 (8×10)の 2 種 類 のフィルムカセッテ。 (2) 架 台 に取 り付 けることにより可 動 範 囲 を広 くした。 図1 発売当初製品 (3) 架 台 の重 心 を低 くし、安 定 性 を良 くした。 (4) 撮 影 部 位 は架 台 を取 り付 けたことにより足 首 から頚 椎 まで撮 影 が可 能 となった。 図 2 現 在 の製 品 (外 観 ) 図 3 現 在 の製 品 (使 用 例 ) - 16 - JIRA 発表会 3. 新 製 品 (1) 半 切 サイズ(14×17)の FPD(重 量 3.3 ㎏前 後 )を装 填 可 能 なものにした。 (2) 関 節 を加 え臥 位 撮 影 台 の中 央 部 分 まで FPD が届 く構 造 とした(図 4)。 (3) 撮 影 部 位 は現 在 の製 品 同 様 に、足 首 から頚 椎 まで可 能 である。 図 4 新 製 品 にて改 良 された関 節 部 分 表1 仕様比較 現 在 の製 品 新 製 品 装 填 可 能 なカセッテサイズ 装 填 できる重 量 四 つ切 (10×12)および六 つ切 (8×10)用 フィルムカセッテ 1.2 ㎏前 後 半 切 サイズ(14×17)FPD 3.3 ㎏前 後 【おわりに】 各 社 の同 サイズの FPD については、バッテリーを内 蔵 しているので、撮 影 に支 障 が無 いと考 えていたが、 バッテリーが使 えない状 態 になった場 合 に有 線 にて撮 影 することを想 定 し、位 置 の異 なる各 社 の電 源 供 給 コネクタを使 用 できるように装 填 する部 分 の形 状 について工 夫 が必 要 になる。 17×17 サイズへの対 応 も必 要 になってくるので、重 量 バランスについては再 度 検 討 を要 する。 - 17 - JIRA 発表会 7. マルチモダリティ環 境 のための新 コンセプトモニタの紹 介 EIZO㈱ 品 質 保 証 部 技 術 管 理 課 橋本 憲幸 【概 要 】 3MP ( メ ガ ピ ク セ ル 、 1560 × 2048 = 319 万 画 素 ) モ ニ タ 2 面 分 の 情 報 を 一 つ の 画 面 に 表 示 で き る 6MP(3280×2048=671.7 万 画 素 )カラーLCD モニタ RadiForce RX650(図 1、以 下 、「本 製 品 」とする) を新 しく開 発 したので主 な特 長 を紹 介 する。 図 1 RadiForce RX650 図 2 省 スペース(3MP 2 面 との比 較 ) 【特 長 】 ・ 解 像 度 、ピッチ、外 形 …本 製 品 は、対 角 30 インチ(76.1cm)の大 画 面 に高 解 像 度 6MP の情 報 表 示 を可 能 としたカラーモニタであり、3MP モニタ 2 台 分 の表 示 情 報 量 を一 つの画 面 に集 約 してい る。画 像 表 示 面 積 は 645.5×403.0mm、画 素 ピッチは 0.197mm(3MP モニタ RadiForce RX340 の画 素 ピッチは 0.21075mm)である。ベゼル面 を含 めた表 示 面 の外 枠 寸 法 も小 型 になり、横 幅 692mm×高 さ 466mm(RadiForce RX340 を 2 台 並 べると 752mm×505mm)となる(図 2)。また、 推 奨 輝 度 400cd/m 2 、コントラスト比 1100:1、LED(Light Emitting Diode;発 光 ダイオード)バ ックライトの採 用 を実 現 した。 ・ 白 色 LED バックライトによる長 寿 命 化 …LCD(Liquid Crystal Display)の光 源 となるバックライト に白 色 LED を採 用 し、5 年 間 かつ製 品 使 用 20,000 時 間 以 内 であれば推 奨 輝 度 の維 持 の保 証 を可 能 とした。また、CCFL(冷 陰 極 管 )採 用 の LCD モニタのように有 害 物 質 である水 銀 を使 用 し ていないため、製 品 廃 棄 時 の環 境 負 荷 も軽 減 される。 図 3 Picture by picture - 18 - JIRA 発表会 ・ Picture by picture…1 画 面 上 に 2 つの異 なる PC からの入 力 信 号 を同 時 に並 べて表 示 (図 3) が可 能 となり、マルチモニタ環 境 と比 較 して、ベゼルレスとなり業 務 の効 率 化 に繋 がる。それぞれ の入 力 画 面 に対 し、設 置 方 向 、サイズ、CAL Switch の設 定 ができる。 ・ RadiCS Self QC…スライド式 の IFS(Integrated Front Sensor)を使 用 することによって、モニタ 単 独 でキャリブレーション、階 調 チェックが実 行 できる(図 4)。キャリブレーションの目 標 値 や階 調 チェ ックの設 定 、スケジュール設 定 は、モニタ品 質 管 理 ソフトウエア RadiCS/RadiCS LE から行 う必 要 がある。モニタ単 独 で(PC がオフのときに)実 行 された履 歴 は、次 回 RadiCS 起 動 時 に RadiCS の 履 歴 に反 映 される。 ・ CAL Switch 機 能 …通 常 /高 輝 度 /γ2.2 などの画 像 に適 した輝 度 や階 調 に設 定 調 整 された表 示 モードを前 面 スイッチで切 り替 えることができる。さらに、付 属 のソフトウエアにてウィンドウ画 面 に よる手 動 切 り替 え(図 5)や表 示 ビューアソフト毎 に自 動 で表 示 モード切 り替 えが可 能 となる (Auto CAL Switch 機 能 )。 図 4 RadiCS Self QC 図5 CAL Switch 機 能 ・ Hybrid Gamma 機 能 …同 一 画 面 内 のモノクロとカラー画 像 の表 示 エリアを自 動 判 別 し、それぞ れ最 適 な輝 度 と階 調 で表 示 する。PACS 用 アプリケーション内 でモノクロ、カラー画 像 の混 在 が加 速 する中 、違 和 感 の無 い画 像 表 示 を実 現 し業 務 の効 率 化 が期 待 できる。 ・ 人 感 セ ン サ… モニ タ 内 蔵 の 人 感 セ ンサが ユ ー ザ の 離 着 席 を 検 知 し 、 自 動 的 に モ ニタ の 節 電 状 態 と 復 帰 を 実 行 す る。 PC やソフトウ エアの 設 定 や操 作 を 行 うこ となく、モ ニタ 単 独 で 自 動 的 に 節 電 が行 える。 ・ その他 …10bit(1,024)の多 階 調 同 時 表 示 、DUE(Digital Uniformity Equalizer)機 能 など。 【まとめ】 医 療 現 場 では医 用 画 像 撮 影 装 置 の性 能 向 上 により、様 々な種 類 の、また膨 大 な量 の画 像 データが 生 成 されるようになった。これらの画 像 を効 率 良 く診 断 するためには、より多 くの画 像 データを適 切 にレイ アウトして表 示 する必 要 がある。本 製 品 は、モノクロモニタ同 等 の輝 度 、コントラストを備 えており、広 い表 示 面 にはモニタ間 の額 縁 が存 在 しないため、視 認 性 が高 まり作 業 効 率 の向 上 、奇 数 分 割 表 示 、視 線 移 動 の最 小 化 によるストレス軽 減 が期 待 できる。さらに、モニタ間 の色 調 や輝 度 差 の違 いの確 認 が不 要 となり、設 定 、評 価 試 験 、キャリブレーション回 数 が半 分 になるなど確 認 や調 整 する手 間 が省 け画 質 の維 持 管 理 が容 易 になる。 様 々な要 求 にこたえる機 能 を搭 載 し、医 用 画 像 の表 示 に求 められる性 能 を実 現 した。今 後 も的 確 な 画 像 診 断 と効 率 向 上 に貢 献 していきたい。 - 19 - JIRA 発表会 8. 医 用 情 報 地 域 連 携 ソリューション<M.Club Advance>の開 発 西 日 本 エムシー㈱ 製品開発部 西橋 幹雄 【概 要 】 2012 年 1 月 に 運 用 ( サ ービ ス 提 供 ) を 開 始 し た 「 医 用 情 報 地 域 連 携 ソ リ ュ ーシ ョ ン M.Club ( Medical Contents Link Utility Base)」(以下、M.Club という)は検査依頼先病院となる基幹病院へ、検査依頼元 である連 携クリニックから検 査の予 約 発 行を遠 隔 (リモート)で行い、検 査 結 果の読 影 レポートや診 断 画 像ま たは、参照画像をクリニックに配信(表示)するシステムサービスである(図 1)。この M.Club(システムサービス) の導入、利用により、遠隔検査予約と医用情報の共有による地域連携を容易に実現する事ができる。 図 1 M.Club システム概 要 図 図 2 M.Club Advance システム概 要 図 さらに今回、検査依頼先病院において、モバイルデバイス(現在、iOS デバイス)に対応する画像配信シス テム(サービス)が利用可能な「M.Club Advance」(図 2)を本年 3 月に開発し、運用試験を行ったので、紹 介する。 【方 法 】 M.Club および M.Club Advance の技術的基盤となるのは、既に当社がサービス提供している DSP<Data Service Provider>システムで、これは PACS における、DICOM 画像データのストレージバックアップを当社が 運営/管理する DSP サーバセンターにアップロード保存するものである。 この DSP サーバセンター内は、遠隔検査予約サーバシステムと読影レポートサーバおよび画像ダウンロード サーバ、さらにウェブサーバとアクセス認証サーバ等によって、M.Club のシステムが構成され、サービスの提供 を行っている(図 1)。 この DSP サーバセンター内の M.Club システムに、新たに「V.M サーバ(VueMotion Server *1 )」を開発導 入した(図 2)。 *1:VueMotion Server アプリケーションソフトウェアはケアストリームヘルス㈱の製品 アップロードされた画像(DICOM)データは、DSP サーバセンターの DSP DICOM サーバがもつストレージ送 信機能により、「V.M サーバ」へ転送し、クライアント配信用データ(JPEG)を生成する。 また、クライアントのモバイルデバイスに対して、クラウドコンピューティングサービスとするサーバ機能を実装 する。さらに、クライアントのログイン ID とパスワードに加 えて、電 子 証 明 書 による認 証 を行 う事 でセキュリティ - 20 - JIRA 発表会 (SSL 通信)を確保する。 クライアント(モバイルデバイス)側の特長は電子証明書の事前インストールだけで、他には特別なアプリケ ーションを必 要 としない。iPad などの標 準 的 なウェブブラウザーである Safari とインターネット接 続 環 境 (3G、 4G/LTE、Wi-Fi など)のみで、「いつでも、どこでも、すばやく」画像を参照する事が可能となる(図 3、図 4)。 図 4 クライアント画 面 (2) 図 3 クライアント画 面 (1) 【まとめ】 連 携 プログラム開 発 およびシステム構 築 を終 え、クライアン ト 環 境 ( iOS お よ び Windows XP, 7 ) を 含めた運用試験を 行う。 図5 画像拡大表示比較 1. 4G/LTE または Wi-Fi 環境下では、シンスライス(1,000images/study)CT の表示に要する時間は、およそ 4 秒程度であった。 2. 表示画質の確認と検証において、画像参照を目的とするレベルは確保できている(図 5)。 図 5 の<A>は DICOM データを DICOM ビュアに表示、<B>は当システムでのウェブブラウザ表示であ る。(同一データを同一ディスプレイ上に同時拡大表示して比較) 3. Windows OS(XP, 7)に InternetExplorer(7, 8, 9, 10)の環 境 にて、プラグイン(Google Chrome Frame)導入で、iOS 環境下と同様に使用可能である。 クラウド型 のシステムサービスにより、デバイス(端 末 )側 にデータを持 つ必 要 がなく、また画 像 データも 残らない。さらに、院内に限らず、院外からのアクセスによる画像参照が可能となる。 現在、導入を前提とした医療機関において、運用試験を行っている。 - 21 - JIRA 発表会 9. 遠 隔 画 像 診 断 支 援 システムの開 発 と運 用 事 例 ViewSend ICT㈱ ○嗣 江 建 栄 荻原 勝弘 中島 裕二 吉田 英一 【背 景 】 当 社 は PACS、遠 隔 画 像 診 断 支 援 システムおよび在 宅 医 療 支 援 システム研 究 ・開 発 ・販 売 に特 化 した企 業 である。専 門 医 化 の浸 透 や画 像 診 断 医 師 不 足 および高 齢 化 社 会 が加 速 される中 、これら の課 題 を解 決 すべく、ViewSend ICT は高 速 インターネット通 信 網 を活 用 し、システムの開 発 を進 めて きた。 【内 容 】 遠 隔 画 像 診 断 支 援 シ ステムの 基 と なる 技 術 は、 基 本 特 許 で ある「 医 療 支 援 シ ステ ムおよびそ の 方 法 」(PCT/JP2012007898)であり、これをベースに開 発 を進 めてきた。特 長 としては汎 用 インフラおよび 汎 用 デバイスでも DICOM 原 画 像 の閲 覧 ができ、かつ難 解 症 例 にはエキスパート間 ビデオ・オーディ オおよびデータを 1 回 線 でカンファレンスができることが挙 げられる(図 1)。 1. 遠 隔 医 療 ネットワークシステム全 体 の構 成 矢 印 は双 方 向 に通 信 可 能 なことを示 す。 2. および 3. ネットワークに接 続 されたサーバ カンファレンス接 続 、 画 像 共 有 などに係 る 全 ての処 理 情 報 を双 方 向 に共 有 させる。 4. および 5. ネットワークに接 続 された端 末 医 療 用 画 像 が表 示 可 能 な装 置 、 カ ンファ レン スが 可 能 なウ ェ ブカメ ラ な どの ビデ オ 機 器 、およびマイクなどの音 声 機 器 を備 える 汎 用 な装 置 であってよい。例 えば、小 型 PC 、 携 帯 電 話 、 ス マ ー ト フ ォ ン な ど の 携 帯 用 端 末 、またはデスクトップ PC などの据 え 置 き装 置 であってもよい。 図 1 遠 隔 画 像 診 断 支 援 システムの特 長 運 用 として遠 隔 画 像 診 断 医 不 足 を 解 消 するため、 図 2 のスキームで遠 隔 画 像 診 断 支 援 モデルを 行 っている。画 像 診 断 支 援 拠 点 病 院 は、画 像 診 断 管 理 加 算 1 または画 像 診 断 管 理 加 算 2 に関 する 施 設 基 準 を満 たしているほか、特 定 機 能 病 院 、 臨 床 研 修 指 定 病 院 、 へき地 医 療 拠 点 病 院 、 へき地 中 核 病 院 ま たは へき 地 医 療 支 援 病 院 の いずれかで ある こ とが 必 要 で ある。 画 像 診 断 レポート は 画 像 診 断 専 門 医 監 修 の下 、翌 診 療 日 までに依 頼 施 設 に返 却 することを前 提 としている。 - 22 - JIRA 発表会 図 2 本 遠 隔 画 像 診 断 支 援 システムの運 用 スキーム(例 ) 運 用 実 績 として、依 頼 施 設 から、「翌 診 療 日 に画 像 診 断 レポートが戻 ってくるため、肺 炎 のような患 者 も受 け入 れられるようになった」等 の感 想 が寄 せられた。画 像 診 断 支 援 拠 点 病 院 側 としては、自 院 の症 例 の他 、遠 隔 による画 像 診 断 症 例 数 が増 え、学 術 的 にも有 益 であり、実 績 も増 えてきている(図 3)。 図3 遠隔画像診断支援実績推移 【まとめ】 当 社 は、患 者 の中 核 病 院 一 極 集 中 の問 題 解 決 に寄 与 し、国 内 に限 らずインドネシアやベトナムなど 途 上 国 にも類 似 の遠 隔 画 像 診 断 スキームを展 開 するとともに、日 本 国 内 画 像 診 断 施 設 と連 携 するこ とで、日 本 企 業 は、途 上 国 への展 開 時 駐 在 員 の健 康 管 理 ができ、安 心 して当 該 途 上 国 への進 出 が できる。 - 23 - JIRA 発表会 10. OVAL(楕円)ボア 3T MRI 装置「TRILLIUM OVAL」の開発 ㈱日 立 メディコ CT・MR 営 業 本 部 青柳 和宏 【目 的 】 3T 超 電 導 MRI 装 置 「TRILLIUM OVAL」(図 1)の快 適 性 、 操 作 性 、画 質 において、臨 床 現 場 からの要 求 を満 たす装 置 開 発 を目 的 とした。 【方 法 】 (1) OVAL Patient Bore 1.5T MRI 装 置 「 ECHELON OVAL 」 で 高 い 評 価 を 得 て い る 図 1 3T 超 電 導 磁 石 MRI 装 置 OVAL(楕 円 )形 状 のガントリーボア「OVAL Patient Bore」を採 用 「TRILLIUM OVAL」 した。 図 2 に示 すように、寝 台 に横 になった人 の体 は横 に広 がる。 体 格 の大 きな方 や狭 いところを苦 手 とする方 に も、開 放 感 を感 じて頂 けるように横 幅 74cm、高 さ 65cm の楕 円 ボアを実 現 している。また、検 査 空 間 を横 方 向 に拡 張 した結 果 、肩 関 節 などの 中 心 から外 れた部 位 も寝 台 上 で被 検 者 を横 に移 動 することによって、安 定 して高 画 質 が得 られる磁 場 中 心 で撮 像 することが可 能 である。 図 2 OVAL Patient Bore (2) OVAL Drive RF 「TRILLIUM OVAL」では図 3 に示 す 4 チャ ンネル-4 ポートの独 立 制 御 可 能 な RF 照 射 コイル「OVAL Drive RF」を採 用 し、均 一 性 を向 上 した。 原 理 的 に 3T MRI 装 置 では全 身 領 域 で RF 照 射 が不 均 一 になりやすい傾 向 がある。これは、次 のような理 由 による。 ・RF 照 射 信 号 の高 周 波 化 に伴 い、人 体 の深 部 に電 波 が良 好 に照 射 できない。 ・部 分 的 な位 相 回 転 の影 響 が大 きくなり偏 った照 射 分 布 となる。 ・波 長 が短 くなるために人 体 のサイズとの干 渉 から定 在 波 が生 じて人 体 中 心 部 の照 射 量 が増 加 する。 そこで、RF 照 射 の状 態 を確 認 するために高 速 に照 射 強 度 の分 布 を得 る必 要 がある。当 社 は高 速 で高 効 率 な RF 照 射 分 布 取 得 シーケンスを独 自 に開 発 し、「TRILLIUM OVAL」に搭 載 した。この分 岐 を基 に、RF 照 射 不 均 一 を低 減 するように 4 チャンネルを独 立 して 制 御 を行 うことで照 射 不 均 一 の少 ない画 像 を得 るこ とができる。 (3) MRI 検 査 のワークフロー向 上 を追 求 「TRILLIUM OVAL」は MRI 検 査 時 のワークフロ ー 向 上 技 術 で あ る WIT ( Workflow Integrated 図 3 OVAL Drive RF Technology)を採 用 している。 - 24 - JIRA 発表会 ガントリ前 面 に搭 載 した「WIT Monitor」により、被 検 者 情 報 の一 部 として同 期 検 査 用 の心 電 図 波 形 などを表 示 することができる。検 査 室 内 における本 人 確 認 や同 期 信 号 の確 認 が可 能 で、コンソールに戻 って確 認 する手 間 を無 くし、検 査 効 率 を向 上 した。 また、受 信 コイルシステムに「WIT RF Coil System」を採 用 し頭 部 用 と脊 椎 用 の下 部 受 信 コイルを寝 台 に常 時 設 置 しておくことができる。検 査 の際 は撮 像 部 位 に応 じた上 部 受 信 コイルを乗 せるだけで撮 像 が可 能 で受 信 コイルを交 換 する時 間 を短 縮 することができる。 寝 台 には着 脱 可 能 な「WIT Mobile Table」を採 用 した。寝 台 が着 脱 可 能 であるため被 検 者 の乗 せ換 えを検 査 室 外 で行 うことができ、誤 って車 いすやストレッチャーなどを持 ち込 みガントリに吸 着 するリスクを 軽 減 できる。 さらに、斜 め方 向 からの着 脱 も可 能 で、ガントリから外 した状 態 でも寝 台 の高 さを電 動 で調 整 することが でき、操 作 者 の負 担 を軽 減 する。また、造 影 検 査 時 の腕 置 き台 や寝 台 移 動 時 の被 検 者 ガードとしても使 えるアームボードを搭 載 している。 (4) 高 精 細 Volume imaging 撮 像 機 能 「isoFSE」 「isoFSE」はアイソボクセルの高 速 3D 撮 像 機 能 である。 FSE の反 転 パルスのフリップアングルを可 変 として、マルチ エコーの信 号 強 度 変 化 から生 じる影 響 を抑 制 し、高 精 細 な 3D 撮 像 を可 能 としている。この可 変 パターンを最 適 化 することで T1 強 調 画 像 、T2 強 調 画 、FLAIR 画 像 の高 い コントラストを実 現 した。 図 4 Volume imaging 撮 像 機 能 (isoFSE) 撮 像 した高 分 解 能 のボリュームデータから MPR 処 理 で 任 意 断 面 の画 像 再 構 成 も可 能 である(図 4)。 (5) 3T 画 像 例 図 5 に、 頭 部 の 高 空 間 分 解 能 T2 画 像 強 調 画 像 を 示 す。拡 大 画 像 では空 間 分 解 能 が高 いことで細 かな髄 質 静 脈 まで描 出 される。組 織 構 造 上 の違 いによる 3T 特 有 の コントラストを有 する髄 質 静 脈 の描 出 は病 変 の鑑 別 に有 用 と期 待 されている。 図 5 3T 画 像 例 Brain 2DFSE T2WI 図 6 は、膝 関 節 の高 空 間 分 解 能 画 像 である。 関 節 の診 断 に重 要 な関 節 液 が半 月 板 と共 に 明 瞭 に 描 出 されている。 また、 骨 髄 や皮 質 、 軟 骨 等 の層 構 造 が観 察 できる。 【結 果 】 図 6 3T 画 像 例 Knee FSE PDWI(1024matrix) 3T 超 電 導 磁 石 MRI 装 置 「 TRILLIUM OVAL」の開 発 において、臨 床 現 場 からの要 求 である快 適 性 、操 作 性 は「OVAL Patient Bore」、「WIT シ ステム」等 で向 上 した。 画 質 は、ハードウェアによる「OVAL Drive RF」、アプリケーションによる「isoFSE」等 により向 上 した。 - 25 - JIRA 発表会 11. 高 感 度 磁 性 体 検 出 器 フェロガードの紹 介 トーレック㈱ 製 品 部 医 療 グループ 中沢 洋 【はじめに】 病 院 で MRI 装 置 が普 及 し、その有 効 性 が広 く認 知 されている。MRI 装 置 は強 力 な磁 気 を使 用 してお り、装 置 の設 置 してある検 査 室 内 に金 属 を主 体 とした磁 性 体 を持 ち込 むことは、吸 着 事 故 による人 体 怪 我 、装 置 損 壊 など多 大 な危 険 と 損 害 をもた らすことも知 られている。 そこで吸 着 事 故 防 止 の ために、 周 辺 機 器 には非 磁 性 体 機 器 の導 入 や入 室 前 の患 者 への聞 き取 り調 査 、目 視 による安 全 確 認 、磁 性 体 検 出 器 や金 属 探 知 機 の導 入 などの様 々な対 策 がなされている。これらの努 力 により、吸 着 事 故 発 生 率 は決 められた手 順 の通 常 検 査 などでは、かなり低 くなってきているが、それでも皆 無 になったわけではな い。特 に緊 急 の患 者 において、本 人 への聞 き取 りができない場 合 や不 慣 れな介 添 え者 など、確 認 が完 全 に行 えない場 合 が往 々にして発 生 する。これらの事 象 に対 して、完 全 に対 応 できる検 出 装 置 は存 在 しないが、従 来 の磁 性 体 検 出 器 の欠 点 を補 うことで、より高 確 度 に磁 性 体 を検 出 して吸 着 事 故 を減 ら すことができると考 える。従 来 の磁 性 体 検 出 器 よりもさらに高 感 度 のセンサーを持 ったフェロガード・エン トリーコントロールシステムを紹 介 する。 【製 品 特 長 】 このシステムは、MRI 装 置 が置 かれている検 査 室 入 口 両 脇 にゲート状 に設 置 する。従 来 品 のシステム では、空 港 での金 属 探 知 機 の様 に、ゲート状 に設 置 されたセンサーの間 を人 間 が通 過 した際 に磁 性 体 を検 出 するために、急 いで通 過 した際 は検 出 してもすでに検 査 室 内 に侵 入 してしまう危 険 がある。フェロ ガード・エントリーコントロールシステムは「フラックスゲート」という高 感 度 センサーを搭 載 しているため、ゲ ートの最 大 3m手 前 から磁 性 体 を検 出 し警 告 することが可 能 であることを最 大 の特 長 とする。 1. ビジュアル早 期 警 告 システム MRI 室 ドア手 前 最 大 3mから検 出 を始 め、上 部 表 示 灯 が緑 、黄 、赤 の 3 色 で点 灯 表 示 する。 緑 ・・・磁 性 体 検 出 無 し 黄 ・・・磁 性 体 の疑 い 赤 ・・・磁 性 体 検 出 図 1 磁 性 体 検 出 、表 示 概 念 - 26 - JIRA 発表会 2. 独 立 ゲート式 2 本 の検 出 器 が独 立 しているので、ドアの両 脇 に設 置 する際 、ドア幅 に関 係 なく全 てのドアタイプに設 置 が可 能 で、外 開 きのドアにも対 応 している。また、動 いている磁 性 体 だけを検 出 するので周 囲 の構 造 物 に使 用 された磁 性 体 などには反 応 しない。 図2 取付例 1 図3 取付例 2 図 4 外 開 きドア例 3. 高 感 度 「フラックスゲートセンサ」採 用 AMR(異 方 性 磁 性 抵 抗 ) センサーやホールセンサーに比 較 して非 常 に 高 い 磁 性 体 感 度 がある ため 十 分 に大 きな感 度 範 囲 があり、危 機 回 避 のための時 間 的 余 裕 の確 保 が可 能 になる。 フラックスゲートセンサを 10,000 とした時 の相 対 感 度 10,000 センサー相 対 感 度 /1Hz 比 較 フラックスゲート : 10,000 ● AMR センサー : 550 ● ホールセンサー : 0.95 Relative sensitivity at 1Hz ● 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 550 0.95 0 フラックスセンサ AMR ホールセンサ 図5 相対感度比較 4. 拡 張 機 能 1 本検出器 式の「スクリーナシステム」を前室に増 設することで、より確実な磁性体検出 が可能になる。「ス クリーナシステム」は設置の自由度が高く、前面で被験者が1回転することで磁性体の有無を検査する。 図 6 スクリーナ概 念 患 者 検 査 図 7 スクリーナ概 念 術 者 検 査 【おわりに】 本 製 品 が、従 来 品 の進 化 型 として、MRI 検 査 の更 なる安 全 性 向 上 の一 助 として貢 献 できるものと期 待 する。 - 27 - JIRA 発表会 12. ワイヤレス FPD CXDI-701/801 の紹 介 キヤノンライフケアソリューションズ㈱ 向笠 恭司 【はじめに】 キ ヤ ノ ン は 、 FPD を 発 売 し 15 年 を 経 過 し た 。 こ の 間 全 世 界 に 2 万 枚 を超 える FPD を出 荷 した。このたび、新 たに X 線 自 動 検 出 モードを搭 載 したワイヤレス FPD CXDI-701/801 (図 1)を発 売 したので報 告 する。 【特 長 】 1. 2 つのユニットで撮 影 可 能 な X 線 自 動 検 出 モード X 線 発 生 装 置 と の 結 線 が不 要 で、 センサ と ノー ト型 コント ロール PC の 2 ユニットで撮 影 することが可 能 。ワイヤレス FPD CXDI-701/801 1 枚 で一 般 撮 影 から回 診 車 などへの併 図 1 ワイヤレス FPD CXDI-701/801 用 が簡 単 スムーズに運 用 可 能 となった。(図 2) 図 2 センサとPC 2 ユニットで撮 影 可 能 2. 音 と光 で知 らせる便 利 なアイテム X 線 自 動 検 出 モードシステムで標 準 となっているレディーインジケーター(図 3)はセンサの撮 影 準 備 が 整 ったタイミングを音 と光 で確 認 することができ、コントロール PC のモニタ画 面 を見 ることができない位 置 での撮 影 もサポートする。 図 3 レディーインジケーターと使 用 例 - 28 - JIRA 発表会 3. センサの向 きを気 にすることなく撮 影 可 能 なオートローテーション機 能 (図 4) 立 位 撮 影 時 にセンサの回 転 方 向 を検 知 し、自 動 的 に回 転 をして画 面 上 に表 示 することが可 能 とな った。これにより撮 影 時 にセンサの上 下 方 向 を気 にすることなく患 者 へセットして撮 影 が行 え、 撮 影 後 モ ニタで画 像 を回 転 させる手 間 を省 くことが出 来 る。 オートローテーション機 能 OFF 時 オートローテーション機 能 ON 時 センサの向 き センサの向 き 図 4 オートローテーション機 能 参 考 図 4. マルチグリット対 応 Canon 今 回 「コントロールソフトNE」のグリット縞 除 去 技 術 を向 上 させた。従 来 採 用 している 52 本 の密 度 に 加 え 34 本 ( * ) 40 本 ( * ) 60 本 にも対 応 が出 来 るようになった。 *:お客 様 の運 用 によって制 限 がある場 合 があります。 5. 優 れたバッテリー消 費 効 率 施 設 内 での 通 常 同 期 時 ( X 線 発 生 装 置 と の 結 線 時 ) と、 病 棟 などの 回 診 車 撮 影 ( X 線 自 動 検 出 モード)時 のどちらでも平 均 140 画 像 (100 秒 サイクル撮 影 時 )の撮 影 が可 能 となっ ている。 また、 バッテ リー交 換 を素 早 く行 うことが可 能 であり、交 換 後 約 15 秒 という短 時 間 で引 き続 き撮 影 が行 える。 【まとめ】 ワイヤレス FPD CXDI-701/801 では、従 来 から要 望 の高 かった X 線 自 動 検 出 モードと 2 ユニットシステ ムを実 現 し た。これ により、 X 線 発 生 装 置 を 選 ば ず簡 単 に 移 動 撮 影 を 行 うことが 可 能 となった。さ ら に、 FPD とコントロール PC の合 計 重 量 が 約 5.3 ㎏(CXDI-701 )となったことに より、半 切 撮 影 のシス テムでも 大 人 ひとりで持 ち運 ぶことが可 能 となり「回 診 車 による移 動 撮 影 」や「ポータブル管 球 による撮 影 (災 害 時 や訪 問 診 療 )」を行 う際 の機 動 性 が格 段 に向 上 し、撮 影 のフィールドを広 げることが出 来 るようになっ た。 キヤノンは、今 後 も「人 への優 しさ」を追 求 し、特 徴 のある製 品 の販 売 に努 めてゆく。 - 29 - JIRA 発表会 13. ワイヤレスカセッテ FPD「AeroDR」の回 診 /ポータブルソリューション コニカミノルタ㈱ ヘルスケアカンパニー 商 品 企 画 統 括 部 商 品 化 推 進 部 宮谷 宏 【概 要 】 DR(Digital Radiography)の特 徴 である即 時 性 や高 画 質 に、優 れた可 搬 性 と耐 久 性 およびそれらを 活 かしたワークフローを備 えた「AeroDR」がその価 値 を最 大 限 に提 供 する回 診 ・ポータブルソリューショ ンが完 成 した。その技 術 とシステム構 成 を紹 介 する。 【システム構 成 と搭 載 技 術 ・特 徴 】 1. 10×12 インチサイズのワイヤレスカセッテ FPD「AeroDR1012HQ」のラインアップ 半 切 (14×17)、フルサイズ(17×17)に続 き、10×12 サイズを追 加 し、フルラインアップを実 現 した。四 肢 の撮 影 や NICU などでの新 生 児 の撮 影 に最 適 な世 界 最 軽 量 の 1.7 ㎏カセッテ FPD が優 れたハンドリング と撮 影 フローを提 供 する。 2. 17×17 インチサイズ「AeroDR1717HQ」の X 線 非 連 動 技 術 「AeroSync」対 応 フルサイズの世 界 最 軽 量 である 3.6 ㎏を実 現 した。さらに AeroSync に対 応 したことにより、回 診 車 を用 いた救 急 外 来 ・手 術 室 での運 用 を実 現 し、 軽 量 フルサイズを活 かした、ポジショニングが容 易 な 広 画 角 撮 影 が可 能 となった。 3. 次 世 代 バッテリの採 用 と省 電 力 設 計 AeroDR は、ワイヤレス撮 影 はもちろん、マグネットコネクタの脱 着 により、瞬 時 にパネルに充 電 しながらの 有 線 撮 影 に切 換 が可 能 である。またバッテリには、環 境 ・エネルギー分 野 で次 世 代 バッテリとして注 目 さ れているリチウムイオンキャパシタを採 用 した。これは繰 り返 し充 放 電 や、継 足 し充 電 でも劣 化 が殆 どなく、 超 ロングライフを実 現 する。バッテリが空 の状 態 でも充 電 時 間 はわずか 30 分 で満 充 電 になり、また 3 分 間 の充 電 で 10 数 枚 の撮 影 が可 能 になる。このリチウムイオンキャパシタは、過 充 電 や落 下 衝 撃 による発 火 の 心 配 がなく、通 常 時 での発 熱 も殆 どないため、患 者 に密 着 する事 が多 い病 棟 撮 影 や乳 幼 児 撮 影 で安 心 して使 用 ができる。 低 消 費 電 力 読 み出 し IC の開 発 と、システム設 計 および動 的 なパワーマネージメント技 術 により、画 質 性 能 や処 理 速 度 を維 持 したまま、大 幅 な省 電 力 設 計 に成 功 した。従 来 の約 1/4~1/5 のフル充 電 電 力 量 で 200 画 像 /5.5 時 間 の撮 影 が可 能 となった。フル充 電 後 の連 続 待 機 時 間 では、約 16 時 間 を達 成 した。 4. 軽 量 と堅 牢 性 の両 立 カセッテ FPD でありながら CR カセッテの可 搬 性 を追 求 し、最 軽 量 のフルラインアップを実 現 した(表 1)。 回 診 ・ポータブル撮 影 におけるカセッテハンドリング においてその効 果 を最 大 限 に発 揮 し、病 棟 撮 影 に お け る 撮 影 者 の 負 荷 の 低 減 を す る 。 さ ら に、 筐 体 に は軽 量 かつ高 剛 性 のカーボンモノコック構 造 を採 用 し、バッテリを内 蔵 する事 で交 換 用 の取 出 口 をなく 表 1 AeroDR ラインアップと重 量 名称 AeroDR1417HQ AeroDR1717HQ AeroDR1012HQ サイズ 14×17 インチ 17×17 インチ 10×12 インチ 重量 2.9 ㎏ 3.6 ㎏ 1.7 ㎏ し、高 い堅 牢 性 と軽 量 性 の両 立 を実 現 した。 5. ローミングソリューション AeroDR システムでは、ローミング動 作 により撮 影 環 境 をまたいでのパネル使 用 など、CR カセッテのよう な可 搬 性 の高 い運 用 が可 能 となった。これにより、パネルを撮 影 室 から病 棟 撮 影 および救 急 ・手 術 室 、 さらには外 部 に持 ち出 してのポータブル撮 影 にも容 易 に対 応 する。このことで、最 適 な枚 数 で複 数 の 用 - 30 - JIRA 発表会 途 に運 用 することができる。 6. X 線 非 連 動 技 術 「AeroSync」 X 線 発 生 装 置 との物 理 的 な接 続 を不 要 とし、X 線 をパ ネル自 身 が感 知 することで、自 動 的 に画 像 の読 取 を行 なう X 線 非 連 動 技 術 「AeroSync」(図 1)は多 くの施 設 で採 用 さ れ、信 頼 性 を得 る事 ができた。この技 術 により、 既 存 の X 線 装 置 と 接 続 す る こ と な く 、 DR 撮 影 が 可 能 と な り 、 X 線 回 診 車 やポータブル X 線 装 置 においても、基 本 構 成 である AeroDR・回 診 UF ユニット・CS-7 Portable のセットを搭 載 図 1 X 線 非 連 動 技 術 「AeroSync」 するだけで簡 単 に DR 化 することができる。 7. PDA 端 末 対 応 オ プ シ ョ ン で あ る PDA 端 末 ( 図 2) に よ り 、 CS-7 Portable 本 体 でなく てもルーチン操 作 が可 能 となり、ポータブル撮 影 シーンで、 より 自 由 度 の高 い新 たな操 作 性 を実 現 した。 8. パネル充 電 オプション 回 診 ユニットのバッテリからパネルへ充 電 が可 能 なオ プションを追 加 したことで 、回 診 撮 影 先 および外 部 でのポータブル撮 影 にお ける充 電 が可 能 となった。回 診 ユニットから パネル へフ ル 充 電 5 回 分 の 充 電 が できる た め、安 心 して使 用 する事 ができる。 図 2 PDA 端 末 対 応 【まとめ】 AeroDR の各 サイズフルラインアップと軽 量 化 、堅 牢 性 をはじめとした基 本 仕 様 に加 え、乗 換 運 用 が容 易 なシステム構 成 とローミングおよび X 線 装 置 を選 ばない非 連 動 技 術 の組 み合 わせにより、一 般 X 線 撮 影 室 から回 診 車 との共 用 、さらには在 宅 医 療 や災 害 医 療 についても用 途 を拡 大 した。これにより施 設 内 にて 普 段 使 いしているシステムを緊 急 時 に持 ち出 したり、用 途 や投 資 効 果 に合 わせた効 率 的 なシステムシェアリ ングが可 能 となる。 災 害 医 療 においては、 普 段 業 務 で使 っているシ ステムなので使 い勝 手 は 同 じとなる。いざという時 でも安 心 して使 用 できる マルチユース FPD ソリュー ションとして活 用 が可 能 なシステムと考 える。 今 後 も、さらなるシステ ムおよび周 辺 機 器 の拡 充 /強 化 により、幅 広 い分 野 における貢 献 を目 指 し たい。 図 3 AeroDR の回 診 ・ポータブルソリューション - 31 - JIRA 発表会 14. 眼 の水 晶 体 に対 する ICRP の新 声 明 とデザイン性 豊 かな新 型 防 護 メガネ ㈱マエダ 堀井 俊吾 【背 景 】 国 際 放 射 線 防 護 委 員 会 (ICRP)は 2007 年 3 月 Pub.103 において、眼 の水 晶 体 における年 等 価 線 量 限 度 を職 業 被 ばくの場 合 150mSv/年 と勧 告 している。また、その限 度 値 は ICRP の課 題 グループで検 討 中 であることも記 されており、その理 由 として「視 力 障 害 に 関 す る眼 の放 射 線 感 受 性 に ついての新 しい データが期 待 されている。委 員 会 は これらのデータおよび眼 の水 晶 体 の等 価 線 量 限 度 の考 えうる意 義 について、データが利 用 できるようになった時 点 で考 察 するであろう」 1 ) と、併 記 されていた。その後 、2011 年 4 月 に視 力 障 害 に関 する眼 の放 射 線 感 受 性 についての新 しいデータに基 づき「定 められた5年 間 の 平 均 として 20mSv/年 、かつどの 1 年 においても 50mSv/年 を超 えるべきではない」との声 明 が ICRP より新 たに出 された。 2 ) 当 社 では、こ の動 向 に 合 わせ、 防 護 効 果 の 高 い 鉛 ガラス( 0.5 ~0.75 ㎜ Pb)を遮 へいレンズに用 い た 防 護 メガネのラインナップを構 築 してきている。 防 護 メガネの装 着 目 的 は被 ばく低 減 である。着 用 者 の顔 の形 状 によって遮 へい材 であるレンズとの隙 間 の生 じ方 も異 なることから、着 用 者 の顔 立 ちに合 わせて適 正 な防 護 効 果 が得 られるよう、複 数 のアイ テムを取 り揃 えておくことも必 要 と考 えている。一 方 、顔 に装 着 するものであることから、他 の防 護 具 以 上 にファッションアイテムとしての価 値 も求 められる。 そこで、防 護 効 率 とファッション性 の両 立 をテーマとした 2 つの新 しい防 護 メガネと、眼 鏡 の上 からも掛 けられるオーバーグラスタイプの防 護 メガネを併 せて紹 介 する。 【特 長 】 1. 耐 久 性 と機 能 を向 上 させたアルミフレーム製 PT-99AL スポーティな印 象 のフレームを用 いた PT-99 の特 長 である「サイドまで湾 曲 した 1 枚 レンズ」による「モニ タを見 ながら行 う X 線 透 視 撮 影 時 等 の側 方 散 乱 線 の遮 へいにも効 率 的 なフォルム」(図 1、2)を継 承 し、 その樹 脂 フレームを新 たにアルミフレームとした PT-99AL を追 加 発 売 した(図 3)。 図 1 一 般 的 な眼 鏡 図 2 サイドまで回 り込 むレンズ この PT-99AL には「スプリングヒンジ」(図 4)を採 用 しており、着 脱 時 のフレームへの負 荷 を軽 減 し耐 久 性 を向 上 させている。重 量 は樹 脂 フレームである PT-99 に比 べ重 いが、このスプリングヒンジが装 着 時 、こ めかみにフィットするよう機 能 してフロントに偏 りがちな重 量 を分 散 させる。クッション性 のある材 質 を用 い た「ノーズパッド」(図 5)のソフトなフィット感 も加 わり、より一 層 快 適 な着 用 感 を実 現 し ている。どちらかと 言 えば面 長 な顔 立 ちの方 に適 した形 状 であるが、スプリングヒンジの前 記 機 能 により、 丸 顔 系 の方 にも - 32 - JIRA 発表会 フィットしやすくなっている。 PT-99AL には、ブラック、シルバー、ゴールド、ダークブルー、レッドの 5 色 があり、好 みにより選 択 できる他 、 識 別 もしやすい。 図 3 PT-99AL 本 体 画 像 図 4 スプリングヒンジ 図 5 ノーズパッド 2. 個 性 的 なデザインの PT-L 従 来 製 品 と比 べても一 段 と際 立 つ個 性 的 なデザイン柄 テンプルと、緩 やかなカーブの大 型 レンズが 視 覚 的 な特 徴 であるが、これらはデザ イン面 のみならず広 い 視 野 と 広 い 防 護 エリアを持 つこ とから 機 能 面 での特 長 にもなっている。PT-L は先 の PT-99 シリーズと比 べ丸 顔 系 の方 にフィットするタイプである。製 品 ラインナップは、Zebla(図 6)、Plaid(図 7)、Lattice(図 8)の 3 種 類 に対 して各 2 色 の計 6 種 類 で展 開 し ている。 図 6 Zebla 図 7 Plaid 図 8 Lattice 3. 眼 鏡 の上 からも掛 けられるオーバーグラス FG50-770 上 記 2 つ の タ イ プ は 裸 眼 専 用 だ が 、 FG50-770( 図 9) は 、 眼 鏡 の上 からも装 着 できる兼 用 タイプである。本 体 カラーはシルバーの みであるが、ブルー、レッド、イエローのフィットベルトにより、区 別 管 理 もできる。 またレンズに、強 化 ガラス加 工 、反 射 防 止 コーティング、曇 り止 めコーティングを施 してあることも特 長 である。 図 9 FG50-770 【まとめ】 2011 年 4 月 ICRP から眼 の水 晶 体 の等 価 線 量 限 度 値 を大 きく引 き下 げる新 たな声 明 が出 された。こ れを機 に、当 社 では防 護 効 果 の高 い鉛 ガラス(0.5~0.75 ㎜ Pb)製 品 によるラインナップを構 築 してきて いる。防 護 メガネの個 人 所 有 傾 向 が高 まる中 で、防 護 効 率 とファッション性 の両 立 をテーマとしたタイプ も加 わり、より期 待 に応 えられるラインナップになった。 【参 考 文 献 】 1) ICRP Publication103 国 際 放 射 線 防 護 委 員 会 の 2007 年 勧 告 ,日 本 アイソトープ協 会 ,2009 年 9 月 30 日 2) 図 解 放 射 線 防 護 ミニマム基 礎 知 識 ,日 本 放 射 線 技 術 学 会 ,2012 年 9 月 30 日 - 33 - JIRA 発表会 15. 無 鉛 放 射 線 防 護 製 品 の新 技 術 の紹 介 医 建 エンジニアリング㈱ 特販営業部 近藤 勇太 【はじめに】 当 社 では、2006 年 4 月 に無 鉛 放 射 線 防 護 材 「ホーシャット無 鉛 ボード Xp」の発 売 を開 始 し、現 在 まで に新 しいタイプの製 品 、工 法 等 を発 表 してきた。 【無 鉛 放 射 線 防 護 材 】 従 来 、 放 射 線 防 護 材 に はコンクリート、 鉄 とい った 様 々な 材 料 が用 い られ てきたが、特 に使 いやすく 、 手 に入 りやすいという理 由 で「鉛 」が使 われてきた。しかし、鉛 は欧 州 RoHS 指 令 等 でも使 用 の制 限 がさ れており、環 境 への配 慮 が求 められており、この分 野 でも無 鉛 化 は不 可 欠 である。 当 社 では、それに向 けて無 鉛 放 射 線 防 護 材 の開 発 に取 組 んできた。 1. ホーシャット無 鉛 ボード Xp 「ホーシャット無 鉛 ボード Xp」は、鉛 をまったく使 わない放 射 線 防 護 材 である。 発 売 以 来 、環 境 への配 慮 、施 工 性 、コスト面 が評 価 され、これまでに全 国 数 多 くの病 院 、診 療 所 等 で 採 用 されている。 主 原 料 には、硫 酸 バリウムと石 こうを使 用 しており、硫 酸 バリウムは胃 腸 等 のエックス線 検 査 に一 般 的 に使 用 されており、人 体 への安 全 性 の面 で鉛 よりも優 れていると言 える。また、リサイクル面 でも有 用 な石 こうを使 用 しているので、鉛 を使 用 しない事 とあわせ環 境 負 荷 の軽 減 ができる。 二 酸 化 炭 素 の排 出 量 に関 しても無 鉛 ボード Xp を使 用 することにより大 幅 に削 減 *1 することができる。 *1:鉛 1 枚 (910×1,820mm)あたり、約 72kg の二 酸 化 炭 素 排 出 2012 年 には 、今 までボード厚 12.5mm、 鉛 当 量 0.75mm タイプだけだったが 、新 たにボー ド厚 15.0mm で鉛 当 量 1.0mm タイプを開 発 、発 売 を開 始 した。 これにより、従 来 の鉛 では 0.5mm 単 位 でしか対 応 ができなかった鉛 当 量 も 0.75mm、1.00mm はもちろ ん、無 鉛 ボード Xp 重 ね貼 り工 法 を用 いる事 により、鉛 当 量 1.5mm、1.75mm、2.0mm、2.5mm、2.75mm、 3.0mm と様 々な鉛 当 量 にも対 応 ができ、より細 かな鉛 当 量 による設 計 、施 工 が可 能 となった。 また、無 鉛 ボード Xp の継 ぎ目 部 分 等 に使 用 する無 鉛 パテもあり、同 じく硫 酸 バリウムを主 成 分 とした 製 品 であり、従 来 鉛 テープを使 っていた箇 所 も無 鉛 化 が実 現 できる。 2. 無 鉛 ボード Xp 耐 火 ウォールシステム 2013 年 6 月 には、1 時 間 耐 火 間 仕 切 (耐 火 ウォールシステム)の大 臣 認 定 (建 築 基 準 法 第 2 条 第 7 号 による耐 火 構 造 壁 (1 時 間 非 耐 力 ))の国 土 交 通 大 臣 認 定 を取 得 した。 これにより、内 装 制 限 のある設 計 、エックス線 室 にも対 応 ができ、鉛 ボードをはじめとした放 射 線 防 護 材 に比 べ、より一 層 の優 位 性 を得 ることが出 来 た。 ※ 耐 火 構 造 とは…壁 面 加 熱 開 始 後 、1 時 間 裏 面 温 度 (平 均 140℃ 最 高 180℃ 以 下 )の上 昇 を抑 制 する性 能 。 3. ホーシャットエックス線 防 護 BOX(無 鉛 仕 様 ) エックス線 防 護 BOX はサイズ、鉛 当 量 、仕 様 、工 事 等 が出 来 ない施 設 等 と様 々な使 用 環 境 といった ニーズに応 えられる簡 易 組 立 型 のエックス線 室 である。 近 年 、テナント施 設 に入 る診 療 所 の増 加 に伴 い、ニーズは急 激 に増 えている。 - 34 - JIRA 発表会 設 置 の際 に、大 きな工 事 が必 要 なく、テナントの場 合 は移 転 等 する際 も、 原 状 回 復 が出 来 、 移 転 先 の新 しいクリニックの場 所 にもそのまま使 用 出 来 るという特 長 がある。 さ ら に 、 大 き な 特 長 と し て 「 ホ ー シ ャ ッ ト 無 鉛 ボ ー ド Xp 」 を 使 用 し た 新 し い 無 鉛 仕 様 エ ッ ク ス 線 防 護 BOX の開 発 により、二 酸 化 炭 素 の排 出 量 削 減 といった環 境 面 にも配 慮 した特 長 を持 つと言 える。 医 療 機 関 に おいても 環 境 面 への 配 慮 が 求 めら れてい る 中 、 極 力 鉛 を 使 用 せずにエ ックス 線 防 護 を 要 望 する声 が一 段 と高 まっている。 当 社 では、従 来 鉛 を 使 用 してい た エックス線 防 護 BOX の 防 護 パネルにホーシャット無 鉛 ボード Xp を 用 いることにより、鉛 仕 様 のエックス線 防 護 BOX に比 べ、およそ 80% *2 の鉛 の使 用 削 減 を実 現 する事 が 出 来 た。 *2:製 品 の一 部 には鉛 を使 用 【まとめ】 現 在 、多 くの病 院 、診 療 所 または研 究 施 設 等 で新 たなエックス線 装 置 の導 入 を検 討 する際 に、レント ゲン室 等 のレイアウト、設 置 する施 設 の条 件 によっても様 々な対 応 が求 められている。 国 際 的 にも様 々な企 業 、施 設 、環 境 で無 鉛 化 が進 んでいるが、医 療 施 設 においてもエックス線 室 の 無 鉛 化 は不 可 欠 である。 当 社 では、 こ れからもさ ら なる 無 鉛 放 射 線 防 護 材 の 開 発 に より、 環 境 面 での寄 与 、さ らによ り 安 心 ・ 安 全 な放 射 線 防 護 の提 供 ができると考 える。 図 1 ホーシャット無 鉛 ボード Xp 図 2 ホーシャット エックス線 防 護 BOX - 35 - JIRA 発表会 16. トモシンセシスに対応したデジタルマンモグラフィ装置 AMULET Innovality 富 士 フイルム㈱ メディカルシステム開 発 センター 小田 佳成 【はじめに】 近年、トモシンセシス (DBT : Digital Breast Tomosynthesis)など新し い診断技術が登場してきている。これらの診断技術は、複数枚取得した 画像を診断しやすい形で提供し、診断に有効活用できるようにするもの である。これらの技術を真に実用的なものにするために、従来のマンモグ ラフィで実現してきた「高画質」に加えて「低被ばく」が必要になる。 本稿では、「高画質」と「低被ばく」を実現するパネルと、トモシンセシス 機能を搭載した「AMULET Innovality」(図1)の特長について紹介す る。 図 1 AMULET Innovality 【特 長 】 1. 「高 画 質 」「低 被 ばく」を実 現 する HCP 構 造 の TFT パネル 「AMULET Innovality」は、TFT 方式に改良を加えることで「高画質」と「低被ばく」の実現を目指した。 TFT 方式では隣接する画素の間に信号線とアドレ ス線を配置するため、隙間を設ける必要がある。電極 A A が存在しない隙間は、電界強度が弱くなり、X 線によ C り発生した信号電荷の収集効率が低下する。 C B B 当社は、画素の角での電界強度の乱れが大きく、 信 号 電 荷 の収 集 効 率 の低 下が大 きいことに着 目 し 図 2 AMULET Innovality の画 素 構 造 た。鋭利な角がなく画 素を隙間なく配列できる HCP (Hexagonal Close Pattern)構造を採用するこ Electrical field intensity Cross sectional views of A C B planes Cross sectional views of A-C-B planes aa-Se - Se Se a -a-Se とで、画素間の電界強度の乱れを最小にし、感度 を約 20%向上した。 「AMULET Innovality」と従来技術との画素構 Pixel Pixel A Pixel C Pixel Pixel B A Strong Pixel CC B Weak electrical field area 造の違いを図 2 に、画素構造の違いによる電界強 Weak 度の違いを図 3 に示す。 図 3 図 2 における A-C-B 平 面 での電 界 強 度 分 布 図 2. 目 的 に合 わせた 2 種 類 のトモシンセシス撮 影 モード 異なる角度から乳房の画像を複数撮影し、その画像を再構成して乳房内の断層像を生成するトモシンセシ スは、撮 影 する角 度 の範 囲 が広 くなる程 、断 層 像 の深 さ分 解 能 が高 くなる。この特 性 に注 目 し、「AMULET Innovality」は 2 種類のトモシンセシス撮影モード(ST モード、HR モード)を搭載している。 ST モードは、撮影する角度を狭くすることによって、撮影時間をわずか 4 秒に抑えた短時間の撮影を実現し ている。また、HCP 構造による感度向上分を原資に AEC(Auto Exposure Control)による線量設定を低くし、 低線量かつ短時間のトモシンセシス撮影を実現している。 HR モードは、撮影する角度を広くすることによって、深さ分解能が高く関心領域にフォーカスを合わせた観 - 36 - JIRA 発表会 察を可能にしている。 図 4 に、ST モード、HR モードそれぞれの撮影角度、および、再構成画像の深さ分解能の概念図を示す。 ST モードと HR モード、それぞれの特長を明確に分けたことで、用途に応じて使用できるようにしている。 図 4 撮 影 モードの違 いによる再 構 成 画 像 の違 いの概 念 図 3. W 陽 極 で Mo 陽 極 と同 等 の画 質 を実 現 する線 質 補 正 技 術 一般的に、Mo 陽極は W 陽極よりコントラストが得やすく、診断しや すい画像になる。 Mo 陽極で発生する X 線のエネルギー分布が低く、乳房に吸収され る X 線が多いためコントラストを得やすくなるのであるが、別の視点では、 Mo 陽極は W 陽極より被ばくが大きくなると言える。 そこで、当社は Mo 陽極と W 陽極のエネルギー分布の違いに注目 し、物理的に線質の違い解析することで、被ばくの少ない W 陽極で撮 影 し た 画 像 を Mo 陽 極 と 同 等 の 画 質 に す る 線 質 補 正 技 術 ISC(Image-based Spectrum Conversion)を開発した。 Mo/Mo W/Rh +線 質 補 正 技 術 図 5 Mo 陽 極 と線 質 補 正 技 術 適 用 後 の W 陽極画像比較 4. より適 切 な線 量 制 御 を実 現 する i-AEC 「AMULET Innovality」は、従来の AEC 機能を発展させ た i-AEC(intelligent AEC)機能を搭載した。 従来の AEC は、乳腺密度が最も高いと想定される、すな わち、プレ照射の到達線量が最も低いセンサを選択して必 要線量を算出している。これに対し i-AEC は、プレ照射で得 た画像から形態的特長に基づき乳腺領域を検出する。この 方式により、脂肪性、乳腺散在、インプラント等、被写体状 況の違いによらず乳腺領域の画質を安定化することを実 図 6 i-AEC での線 量 算 出 領 域 現した。 【まとめ】 本稿では、トモシンセシス機能を搭載した「AMULET Innovality」の特長について紹介した。 「AMULET Innovality」は、トモシンセシス機能搭載だけでなく、画質やユーザビリティを含めた総合力で最 高峰のマンモグラフィ装置として開発しており、マンモグラフィ診断のさらなる発展に役立つことを期待する。 - 37 - JIRA 発表会 17. 新 型 血 管 撮 影 システム Trinias シリーズの開 発 ㈱島 津 製 作 所 医用機器事業部技術部 井上 啓史 【はじめに】 これまでの直 接 変 換 方 式 9 インチ FPD および 17 インチ FPD を搭 載 した「BRANSIST safire システム」 に加 え、新 たに 8 インチ FPD および 12 インチ FPD を搭 載 した「Trinias システム」を開 発 したので、報 告 す る。 【特 長 】 1. 多 彩 なラインアップ 今 回 開 発 した「Trinias システム」により、あらたに 8 インチ FPD および 12 インチ FPD をラインアップに加 えた。8 インチ FPD システムは、心 臓 領 域 に特 化 したもので、複 雑 な血 管 走 行 を観 察 するための深 い角 度 でのポジショニングを可 能 としている。一 方 、12 インチ FPD システムは、頭 部 ・胸 部 ・心 臓 ・腹 部 ・四 肢 まで全 身 対 応 のオールインワンシステムという位 置 付 けである。各 FPD サイズに対 し、天 井 走 行 型 シング ルプレーン、床 置 き型 シングルプレーンおよびバイプレーンシステムを開 発 した。これら多 彩 なラインアップ により、様 々な運 用 や設 置 室 の状 況 に応 じたシステム選 択 が可 能 となった。 Trinias C12 Package Trinias F12 Package Trinias B12 Package 図 1 Trinias システム装 置 外 観 2. 新 画 像 処 理 による高 画 質 の実 現 BRANSIST safire システムで培 った画 像 処 理 技 術 を応 用 し、高 画 質 を実 現 している。ノイズ抑 制 処 理 ・周 波 数 処 理 といった画 像 処 理 、および部 位 や術 式 に応 じた収 集 条 件 の最 適 化 により画 質 を向 上 させた。 3. インターベンション支 援 アプリケーション ① SCORE StentView 心 臓 の拍 動 により動 くステントを後 処 理 ではなく、リアルタイムで固 定 表 示 する機 能 である。 マーカーを検 出 して位 置 基 準 とし、動 きによる歪 みを補 正 しながら加 算 ・平 均 処 理 を行 ってステント を固 定 表 示 する。高 速 処 理 によりリアルタイムで表 示 可 能 なため、ステントのオーバーラップの位 置 決 め やバルーンによる再 拡 張 の位 置 決 めなど、スムーズに PCI を行 うことが可 能 となる。 - 38 - JIRA 発表会 図 2 SCORE StentView の動 作 原 理 ② SCORE RSM 原 画 像 と周 波 数 処 理 画 像 をリアルタイムサブトラクション処 理 することで、X 線 吸 収 の差 が大 きくハレ ーションの起 こりやすい部 位 や、骨 との重 なりで暗 くなる部 分 のコントラストを均 一 化 し、血 管 ・デバイスを 強 調 して画 像 化 する。同 一 の画 像 から周 波 数 処 理 されたマスク像 をリアルタイムで作 成 し減 算 処 理 す るため、動 きに非 常 に強 い DSA 画 像 が得 られる。全 下 肢 の追 跡 造 影 や腹 部 造 影 など装 置 や患 者 の動 きがある場 合 でも、治 療 に適 した画 像 を提 供 できる。 リアルタイム 減 算 処 理 原画像 周波数処理画像 SCORE RSM 画 像 図 3 SCORE RSM の動 作 原 理 【まとめ】 今 回 開 発 した「Trinias システム」は、FPD サイズの選 択 肢 を多 様 化 すると共 に、高 速 化 が進 むデジタ ル画 像 処 理 技 術 を応 用 し、より強 力 にインターベンション支 援 を行 う装 置 である。 今 後 も更 なる機 能 向 上 、新 しいアプリケーションの開 発 に注 力 していく。 - 39 - JIRA 発表会 18. デジタル X 線 TV システム ZEXIRA TM の新 機 能 開 発 東 芝 メディカルシステムズ㈱ X 線開発部 殿塚 浩規 【はじめに】 近 年 の X 線 TV システムは FPD 搭 載 が主 流 となり、当 社 のデジタル X 線 TV システム ZEXIRA も 17×17 インチサイズ FPD「FPD1717」を組 み合 わせたシステムを有 している。 このたび医 療 ニーズの多 様 性 に対 応 する目 的 で、13×14 インチサイズ FPD「FPD1314」を搭 載 するとと もに、新 型 ワイドモニタ、新 機 能 を搭 載 したシステムを新 たに開 発 したので報 告 する。 図 1 ZEXIRA/FPD1314 システム 装 置 外 観 【特 長 】 新 システムに搭 載 した主 な機 能 を以 下 に示 す。 (1) FPD1314 の搭 載 透 視 を伴 う X 線 検 査 に最 適 な 13×14 インチのサイズを採 用 し、143μm の微 細 な画 素 ピッチと微 細 ファ イバ構 造 の CsI 変 換 膜 により高 精 細 かつ高 感 度 の画 像 収 集 を実 現 した。さらに、東 芝 の画 像 処 理 コン セプト「 PureBrain™」にて提 供 され るデジタル補 償 フィルタや透 視 線 量 モードにより 、 照 射 線 量 の増 加 を抑 えながら診 断 に適 した画 像 を得 ることができる。 (2) 新 型 ワイドモニタの搭 載 従 来 のシステムでは、操 作 室 に 2 台 の LCD モニタにて透 視 画 像 の表 示 と画 像 処 理 装 置 の操 作 を行 っていた。今 回 、透 視 ・撮 影 像 、過 去 の検 査 画 像 、線 量 レポートなど多 様 な情 報 を1 台 で2 画 面 表 示 する新 型 ワイドモニタを開 発 した。 検 査 中 に画 面 構 成 を変 えることで必 要 な情 報 を効 率 よく確 認 する ことができる。 - 40 - JIRA 発表会 図 2 新 型 ワイドモニタによる表 示 画 面 (3) DICOM 画 像 表 示 機 能 の搭 載 参 照 画 像 として外 部 サーバや CD-R に保 存 されている DICOM 形 式 の画 像 を呼 び出 して表 示 する機 能 を具 備 した。検 査 画 像 と参 照 画 像 を同 時 に観 察 して、検 査 および診 断 を支 援 する。 (4) 線 量 管 理 機 能 の搭 載 今 後 の線 量 管 理 は、国 際 規 格 で定 義 された線 量 構 造 化 レポート(Dose SR)を用 いることが推 奨 さ れている。 新 しく搭 載 した線 量 管 理 機 能 により、線 量 計 を用 いることなく線 量 データを計 算 して Dose SR 形 式 で DICOM 保 存 するとともに、線 量 レポートをグラフにてモニタ上 に表 示 することができる。 図 3 線 量 レポート 【まとめ】 12 インチ I.I.、FPD1717 に加 え、FPD1314 をラインアップしたことで、上 部 消 化 管 検 査 、ERCP、嚥 下 造 影 検 査 、注 腸 検 査 、整 形 検 査 、泌 尿 器 検 査 、婦 人 科 検 査 など幅 広 い臨 床 ニーズに対 して最 適 なシ ステムを提 供 することが可 能 となった。また、新 型 ワイドモニタと線 量 管 理 機 能 により、ZEXIRA システム のコンセプトである「患 者 さんと医 療 スタッフに優 しい」を深 化 させた。 - 41 - JIRA フォーラム 1. CT Dose Check 機 能 の標 準 化 (一 社 )日 本 画 像 医 療 システム工 業 会 (JIRA) 放 射 線 ・線 量 委 員 会 東 芝 メディカルシステムズ株 式 会 社 柳田 祐司 り、照 射 が見 込 まれる線 量 と事 前 に定 めた施 設 はじめに X 線 被 ば くを 伴 う CT 検 査 の 正 当 化 と し て 更 な 基 準 の線 量 との差 異 を、検 査 実 施 前 に使 用 者 る線 量 の最 適 化 の推 進 が求 められている.それを が認 識 できる機 能 として、Dose Check機 能 の導 実 現 す る 機 能 の 一 つ で あ る Dose Check 機 能 に 入 が求 められた.また、過 剰 照 射 の状 況 を特 定 つい て、 導 入 の 背 景 か ら 標 準 化 の 動 向 までを 紹 す る 情 報 の 把 握 が 容 易 ではな か っ た こ と か ら、 想 介 する. 定 を超 える線 量 照 射 が実 施 された場 合 、実 際 に 使 用 された検 査 条 件 や検 査 を実 行 した操 作 者 などの履 歴 を残 す機 能 も必 要 と考 えられた. 1. Dose Check 機 能 導 入 の背 景 米 国 で2007 年 に 発 生 し たCTパフュージョン撮 影 時 の 過 剰 照 射 の 事 象 を 契 機 に 、 FDA の 要 請 2.Dose Check機 能 の概 要 のもと 使 用 者 ・ 製 造 業 者 等 の 関 係 者 によ りまと Dose Check機 能 は、各 患 者 の検 査 で使 用 す められた過 剰 照 射 対 策 には、患 者 線 量 の管 理 も る撮 影 条 件 から推 定 される線 量 と、検 査 内 容 に 挙 げられた.線 量 管 理 を進 めるに当 たり、製 造 業 対 し て 事 前 に 設 定 さ れ た 注 意 値 ( Notification 者 には使 用 者 の最 適 化 操 作 をサポートする機 能 Value ) と の 比 較 を 撮 影 実 行 前 に 実 施 し 、 注 意 の開 発 が求 められた. 値 を超 える照 射 が予 想 された場 合 には操 作 卓 前 記 の過 剰 照 射 事 例 では、施 設 によって定 め に注 意 表 示 を行 う.また、各 患 者 に実 施 した複 られた適 切 な照 射 線 量 を、装 置 の操 作 者 が十 数 スキャンによる累 積 の線 量 と、次 に行 う撮 影 条 分 には把 握 していなかったことが問 題 の背 景 にあ 件 から推 定 される線 量 の加 算 による総 線 量 を、 図 1 注 意 値 /警 告 値 の設 定 GUI と警 告 表 示 例 - 42 - JIRA フォーラム 患 者 ひとりあたりに制 限 すべき線 量 の上 限 として よりDose Check機 能 の標 準 化 を進 めていく. 事 前 に設 定 された警 告 値 (Alert Value)と比 較 し、次 の検 査 で警 告 値 を超 えることが予 想 された 場 合 は、操 作 卓 に警 告 表 示 を行 う. 注 意 値 や警 告 値 は、診 断 参 考 値 などをもとに 医 療 機 関 で定 めた基 準 値 や、確 定 的 影 響 が予 測 される線 量 値 などの情 報 から、医 療 機 関 自 身 で設 定 することを想 定 しており、医 療 機 関 の判 断 でこれらの比 較 を実 施 しないことも可 能 である.注 意 表 示 や 警 告 表 示 は 有 益 と 判 断 さ れる 撮 影 自 体 を 妨 げ る ものではなく、適 切 な手 順 を 実 施 す る ことで目 的 の撮 影 を実 行 することができる.このよ うな手 順 が実 施 されたことは装 置 内 に記 録 され、 後 日 、必 要 に応 じて参 照 することが可 能 である. 3.標 準 化 に向 けた動 き 患 者 線 量 の管 理 を協 議 するきっかけとなった 米 国 で は 、 国 内 規 格 で あ る NEMA 規 格 に お い て 2010 年 10 月 発 行 の NEMA-XR25 に よ り 、 い ち 早 く機 能 の標 準 化 が行 わ れた.これに呼 応 して、 国 際 規 格 であるIEC規 格 でも2012年 9月 発 行 のCT 個 別 規 格 の改 訂 版 IEC60601-2-44 Ed3.1で、こ れらの機 能 要 求 が反 映 された.後 発 となったIEC 規 格 で は NEMA 規 格 の 内 容 を 概 ね 取 り 込 む 形 で標 準 化 が行 われたが、追 加 の推 奨 要 求 として、 皮 膚 への照 射 線 量 の上 限 を想 定 し、累 積 値 とし ての警 告 値 の上 限 をCTDIvolで2Gyとすることが 盛 り 込 ま れ た . 日 本 に お い て は 、 IEC60601-2-44 の 一 致 規 格 と し て JIS Z 4751-2-44 が あ る が 、 Ed3.1 の 内 容 に 対 す る 改 正 は 未 だ 行 わ れ て お ら ず 、 2014 年 度 以 降 に 改 正 に 向 け た 審 議 を 予 定 図 2 Dose Check 機 能 が標 準 化 された規 格 上 :NEMA 規 格 、下 :IEC 規 格 している. 4.今 後 について 日 本 で は Dose Check 機 能 の 標 準 化 は 未 実 施 だが、各 製 造 業 者 は米 国 をはじめとする海 外 向 け装 置 への機 能 実 装 にあわせて、国 内 向 け装 置 にも機 能 の実 装 を開 始 している.海 外 の医 療 環 境 を契 機 として導 入 された機 能 であり、国 内 使 用 には必 ずしも適 していない部 分 があることも 想 定 されるが、今 後 、実 使 用 者 の意 見 をもとに機 能 の改 善 を進 めていくとともに、JIS規 格 の改 正 に - 43 - JIRA フォーラム DIR による設 定 から運 用 2. 独 立 行 政 法 人 国 立 国 際 医 療 研 究 センター病 院 放射線診療部門 特殊撮影主任 篠﨑 雅史 2010 年 10 月 National Electrical Manufacturers Association (NEMA)より新たな規格(XR 25 CT 1) Diagnostic Reference Levels:診断参考レベル 3,4) が参 考 値 となるが、本 邦 においては日 本 診 Dose-Check )が制定された。CT Dose-Checkは、 療 放 射 線 技 師 会 による医 療 被 曝 ガイドラインが 撮影条件がある一定の線量を超える場合、操作 制定されているものの、本邦の統一 規格として合 者に警告を促す線量チェック機能のことで、 意 形 成 はされてはいない。また施 設 毎 の各 スキャ Notification ValueとAlert Valueが規定されてい ンプロトコールとなると、確証となる数値の根 拠 や る。 説明が見つからない。 Notification Valueはスキャンシリーズ毎に設定 当 院 で は American College of Radiology が求められ、いずれかのスキャンシリーズが設定値 (ACR)が提 唱するDose Index Registry(DIR) を超えるとコンソール上にポップアップが表示され に 準 拠 し た ソ フ ト ウ ェ ア で あ る DoseWatch ( GE る。このとき、オペレータは何らかの説明コメントを入 healthcare)を試 用 し、CT検 査 終 了 後 に生 成 さ 力しないと次のスキャンを続行することはできない。 れるDICOM Structured Report (DICOM SR)、 いわゆる線量レポートを収集した 5) 。 解析結果例として、当院の胸部単純CTプロト コールを以下に 示 す 。CTDI vol の最大値、最小値、 中央値、75%および25%タイル値は、23.84mGy、 2.55mGy、7.60mGy、10.01mGy および 6.54mGy で あ っ た 。 ま た 同 様 に DLP は 、 944.56mGy ・ cm 、 97.25mGy ・ cm 、 307.35mGy ・ cm 、 406.87mGy ・ cmおよび255.75mGy・cmであった。 Fig.2 お よ び Fig.3 は 胸 部 単 純 CT 検 査 の Fig.1 線量チェック機能画面の例(GE healthcare) CTDI vol とDLPの箱ひげ図である。 Alert Valueは検査 全 体 の累積線量に係る数 グラフ内 の ひげ の下 端 が最 小 値 、箱 の下 端 が 値 で あ る 。 Food and Drug Administration 25%タイル値 、箱 の中 央 が中 央 値 、箱 の上 端 が (FDA) では皮 膚 障 害 を起 こす線 量 の半 分 の値 75%タイル値、ひげの上端が最大値、グラフ上方 としてCTDI vol を1Gyとすることを推奨 2) している。 に示される×印は外れ値である。 一 方 、Notification Value の設 定 は、オペレー タ側がCT装置の スキャンプロトコール 毎に個別に 設 定 するため、Alert Value と同 様 に何 らかの目 安 や基 準 を元 に決 定 すべきである。具 体 的 には - 44 - JIRA フォーラム 3)ICRP Publication 87 ICRP 30 (4), 2000 4 ) Diagnostic reference levels in medical imaging: review and additional advice. ICRP 2001; 31(4):33-52. 5 )篠 﨑 雅 史 ,村 松 禎 久 ,佐 々 木 徹 , 他 : X 線 CT における Dose Index Registry システムによ る Notification value の決 定 過 程 ,日 放 技 学 誌 (投 稿 中 ) Fig.2 胸部単純 CT 検査における CTDIvol の統計解析 Fig.3 胸部単純 CT 検査における DLP の統計解析 運 用 上 の 問 題 点 と し て 挙 げ られ るの は 第 一 にスキャンプロトコールの逸 脱 である。たとえば 操 作 画 面 上 で胸 部 のプロトコールを選 択 し、 胸 部 から骨 盤 部 の撮 影 をした場 合 、該 当 プロ ト コ ー ルの 線 量 デ ータ の 分 布 に 影 響 を 与 え る 。 ユーザーはこれを踏 まえて正 しくスキャンプロトコ ールを選 択 する必 要 がある。 今 回 の 線 量 デ ー タ 収 集 に あ た り DoseWatch が非 常 に強 力 なツールとなった。DIR システムを 活 用 すれば、Dose Check 機 能 が適 正 に働 き、 線 量 管 理 を簡 便 かつ効 率 的 にできると考 え る。 参考文献 1)Computed Tomography Dose Check (NEMA Standards Publication XR 25-2010) 2010/10 2)AAPM Dose Check Guidelines version1.0 2011/4 - 45 - 技術解説 IT による画 像 情 報 の連 携 コニカミノルタ㈱ ヘルスケアカンパニー 医 療 IT・サービス事 業 部 鈴木 慶一 【はじめに】 医 療 情 報 システムは、レセプト作 成 用 コンピュータの普 及 に始 まり、その後 病 院 において PACS・電 子 カルテ等 の診 療 を支 援 するシステムの普 及 へと広 がった。昨 今 では、PACS・電 子 カルテシステムは病 院 だけではなく診 療 所 での導 入 も拡 大 しており、医 療 機 関 における電 子 化 が進 んでいる。電 子 化 された医 療 情 報 は、医 療 機 関 の機 能 分 化 によるシームレスな地 域 医 療 連 携 の実 施 、ASP・SaaS 型 医 療 情 報 シ ステムの利 用 、およびモバイル型 端 末 の普 及 等 により、ネットワークを利 用 して自 施 設 以 外 の外 部 と情 報 交 換 を行 うケースが増 えてきている。画 像 情 報 についても、ネットワークを利 用 して情 報 連 携 を行 うケース が増 えている。本 稿 では、電 子 化 された画 像 情 報 を、インターネットによるオープンなネットワークを通 じて 安 全 に外 部 と連 携 する場 合 の方 法 についての技 術 的 解 説 を行 う。 【外 部 との情 報 連 携 の留 意 事 項 】 医 療 情 報 システムの導 入 にあたっては、機 微 な個 人 情 報 を扱 う観 点 から、厚 生 労 働 省 が策 定 した「医 療 情 報 システムの安 全 管 理 に関 するガイドライン(以 下 、安 全 管 理 ガイドライン)」等 の国 が策 定 したガイ ドラインに準 拠 することが求 められている(図 1)。安 全 管 理 ガイドラインでは、外 部 と個 人 情 報 を含 む医 療 情 報 を交 換 する場 合 の考 え方 ・留 意 点 が述 べられている。画 像 情 報 についても、これらの要 求 事 項 を 踏 まえた上 で、個 人 情 報 保 護 およびネットワークのセキュリティ確 保 について充 分 に留 意 し、外 部 との連 携 を行 う必 要 がある。 図 1 関 連 省 庁 のガイドライン 【画 像 情 報 連 携 のセキュリティ】 外 部 と医 療 情 報 の連 携 を行 う場 合 に、最 も留 意 しなくてはならないのはセキュリティである。連 携 を行 う 際 には、どのネットワークを選 択 するかを考 慮 する必 要 がある。選 択 されるネットワークには、クローズドなネット ワーク(専 用 線 、公 衆 網 、および閉 域 IP 通 信 網 )とオープンなネットワーク(インターネット)が考 えられる。クロ ーズドなネットワークは、外 部 から侵 入 される可 能 性 がないため経 路 上 の安 全 性 は高 いが、近 年 ではブロー - 46 - 技術解説 ドバンド化 が進 み、コストや拡 張 性 の面 からインターネットでの利 用 が進 むと考 えられる。本 稿 では、インター ネットに接 続 し、ASP・SaaS 事 業 者 のデータセンターを通 じて提 供 される連 携 サービスを活 用 して、画 像 情 報 を外 部 の医 療 機 関 と連 携 するケースを例 として、セキュリティについての技 術 的 解 説 を行 う(図 2)。 VPNルータ VPNソフト IPsec+IKE VPNルータ IPsec+IKE IPsec+IKE IPsec+IKE VPNルータ VPNソフト データセンター 図 2 画 像 情 報 連 携 サービスの概 要 図 1. インターネットによる検 査 画 像 等 の連 携 図 2 のようにデータセンターを通 じて ASP・SaaS 事 業 者 から提 供 される連 携 サービスを利 用 し、連 携 先 が連 携 元 に検 査 画 像 ・レポート等 を返 信 するケースを考 える。図 2 のケースにおいては、インターネットを利 用 して施 設 とデータセンター間 での情 報 交 換 が安 全 に実 施 される必 要 がある。しかしながら、オープンな ネットワークであるインターネットを利 用 する場 合 、通 信 経 路 上 で、「盗 聴 」、「改 ざん」、「侵 入 」、および「妨 害 」などの様 々な脅 威 が存 在 するため、それらの脅 威 に対 応 するためのセキュリティ対 策 が必 要 である。イ ンターネットを利 用 しての情 報 連 携 には VPN(Virtual Private Network)で通 信 を行 うことが有 効 である。 VPN は、暗 号 化 、トンネリング、認 証 等 の技 術 を用 いて、仮 想 的 な通 信 経 路 を設 けて、特 定 のユーザだけ しかアクセスできないようにする技 術 である(図 3)。 図 3 VPN 通 信 のイメージ - 47 - 技術解説 通 信 の 「 暗 号 化 」 と 「 認 証 」 を 行 う 方 式 で 一 般 的 な も の と し て は 、 SSL ( Secure Sockets Layer ) と IPsec(Security Architecture for Internet Protocol)があげられる。SSL は、OSI 階 層 モデルの 5 層 目 の セッション層 で暗 号 化 手 続 きを行 うのに対 して、IPsec は 3 層 目 のネットワーク層 より下 位 の層 で暗 号 化 手 続 きを行 う方 式 である。IPsec は、安 全 に暗 号 鍵 の交 換 を行 うために IKE(Internet Key Exchange)とい われる暗 号 鍵 の交 換 プロトコルと組 み合 わせて実 装 する(図 4)。 図 4 OSI 階 層 モデルでの暗 号 化 ・認 証 手 続 き 安 全 管 理 ガ イドラインでは、 ネットワーク経 路 上 での「盗 聴 」、「改 ざん」、「侵 入 」、および「妨 害 」 の脅 威 に対 するセキュリティの確 保 に有 効 な方 式 として、IPsec と IKE を利 用 した方 式 をあげている。 2. モバイル端 末 による画 像 情 報 の参 照 最 近 では、モバイル端 末 の普 及 が進 み、在 宅 診 療 や緊 急 時 等 に院 外 で画 像 情 報 を参 照 したいとい うニーズが高 くなっている。このようなアクセス形 態 を認 めるかどうかは、医 療 機 関 の判 断 によるところでは あるが、実 際 にアクセスする場 合 はセキュリティ面 でのリスクが高 まるため、セキュリティ対 策 を確 実 に行 い 利 用 することが求 められる。 セキュリティ上 の脅 威 が想 定 されるケースとして次 の 3 点 が考 えられる。 ①不 正 なアプリケーションの利 用 ②無 線 LAN 利 用 ③端 末 の紛 失 ・盗 難 不 正 なアプリケーションの利 用 は、ウイルスや、情 報 漏 洩 ・不 正 操 作 等 を行 うマルウェアへの感 染 のリス クが高 くなる。プライベートで所 有 するモバイル端 末 を業 務 で利 用 しない、ウイルスチェックを行 うなどの対 策 を行 うことが重 要 である。無 線 LAN の利 用 は、セキュリティの低 いネットワークへの接 続 によってリスクが 高 くなる。無 料 の無 線 LAN アクセスポイント等 で意 識 しないままセキュリティの低 いネットワークに接 続 してし まい、そのまま医 療 情 報 にアクセスしてしまうケースも想 定 さ れるため注 意 が必 要 である。 このような無 線 LAN へのアクセスにより、「なりすまし」や「盗 聴 」等 のリスクが高 くなるため、通 信 のセキュリティ対 策 は必 須 である。モバイル端 末 の紛 失 ・盗 難 については、モバイル端 末 上 に重 要 な個 人 情 報 等 を保 持 しておくこ とで情 報 漏 洩 等 の脅 威 が増 大 する。端 末 に医 療 情 報 等 を残 さないようにすることが必 要 である。 図 2 のように、モバイル端 末 を利 用 して、院 外 からインターネットを通 じて画 像 情 報 を参 照 する情 報 連 携 のケースを例 として解 説 する。モバイル端 末 からのアクセスにおいても、通 信 上 のセキュリティを確 実 に 確 保 する必 要 がある。この場 合 も、上 述 の IPsec 技 術 と IKE 技 術 を利 用 した VPN 接 続 は有 効 性 が高 い。 ただし、院 外 の場 合 、VPN ルータを持 ち運 び VPN 接 続 を行 うことは困 難 である。そのため VPN ソフトウエ アを利 用 して VPN 接 続 を行 うという方 式 が考 えられる。VPN ソフトウエアを利 用 した方 式 は、VPN ルータ 等 の通 信 機 器 同 士 で VPN 接 続 を行 うのではなく、通 信 する一 方 のノードは端 末 側 に実 装 された VPN - 48 - 技術解説 ソフトウエア、もう一 方 は VPN ルータ等 の通 信 機 器 というように、ソフトウエアとハードウエアで VPN 通 信 を 実 現 する方 式 である(図 5)。 また、不 正 なアプリケーション利 用 やモバイル端 末 の紛 失 ・盗 難 による情 報 漏 洩 に配 慮 し、データの暗 号 化 機 能 を実 装 することが望 ましい。また、データの暗 号 化 を行 ったとしても、モバイル端 末 上 に画 像 情 報 を保 持 し続 けることはセキュリティ上 好 ましくない。モバイル端 末 の紛 失 ・盗 難 によって、個 人 情 報 や画 像 が参 照 されてしまう可 能 性 があるためである。意 図 せず個 人 情 報 や画 像 情 報 を参 照 されてしまうことを 防 止 するには、モバイル端 末 上 の画 像 を削 除 する機 能 を実 装 しておくことが有 効 である。ログオフ時 やロ グイン時 等 、一 定 のタイミングで自 動 的 に画 像 情 報 が削 除 される仕 組 みを実 装 することが望 ましい。 図 5 モバイル端 末 利 用 時 のセキュリティ対 策 【まとめ】 IT を活 用 した画 像 情 報 の連 携 について、セキュリティ確 保 の観 点 から技 術 的 な解 説 を行 った。 今 後 は、医 療 機 関 の機 能 分 化 の推 進 やモバイル利 用 の普 及 などにより、 地 域 連 携 や在 宅 連 携 等 で IT を活 用 した連 携 の必 要 性 が益 々高 まってくる。その中 で、医 療 情 報 を安 全 に連 携 するためのセキ ュリティの確 保 は必 須 となる。連 携 する施 設 間 で利 用 するシステムや連 携 方 式 によって、リスクの受 容 範 囲 を明 確 にし、採 用 するセキュリティ技 術 や情 報 セキュリティの運 用 を見 定 めることが重 要 である。 【参 考 情 報 】 1)厚 生 労 働 省 「医 療 情 報 システムの安 全 管 理 に関 するガイドライン 第 4.1 版 」 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/s0202-4.html 2)保 健 ・医 療 ・福 祉 情 報 セキュアネットワーク基 盤 普 及 促 進 コンソーシアム(HEASNET) http://www.heasnet.jp/index.htm 3)総 務 省 「スマートフォン・クラウドセキュリティ研 究 会 最 終 報 告 」~スマートフォンを安 心 して利 用 するために実 施 されるべき方 策 ~ http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu03_02000020.html 4)独 立 行 政 法 人 情 報 処 理 推 進 機 構 (IPA) http://www.ipa.go.jp/index.html - 49 - 医療の現場から Power to the people 地 方 の底 力 ~安 全 と安 心 の技 をみがく~ 公益社団法人 日本放射線技術学会 第 41 回日本放射線技術学会 秋季学 術 大会 実行委員長 中村 泰彦 国 民 から大 きな期 待 を受 けて誕 生 した民 主 党 政 権 も自 由 民 主 党 に代 わり、安 倍 政 権 誕 生 とともに ねじれ国 会 も解 消 され、経 済 もやや上 向 きかかっていると報 道 されています。しかし、国 民 生 活 向 上 の実 感 にはまだほど遠 く、また東 日 本 大 震 災 の復 興 も未 だ十 分 に進 んでいない状 態 です。国 外 では領 土 問 題 や TPP 参 加 などさまざま問 題 を抱 え、内 外 共 に大 きな変 化 が生 じる時 代 になってきています。 しかし、社 会 保 障 制 度 は変 わりつつあるものの、医 療 の現 場 では日 進 月 歩 、進 化 する医 療 技 術 ととも に、常 に「病 む人 のために」変 わらぬ医 療 を提 供 しています。これも医 療 従 事 者 ならび医 療 機 器 関 連 の 人 たちの将 来 への期 待 や努 力 の賜 物 であると考 えます。 今 や日 本 の医 療 が世 界 をリードする時 代 であり、そのためには国 際 化 が叫 ばれております。日 本 放 射 線 技 術 学 会 も重 要 課 題 として国 際 化 に取 り組 み、第 69 回 総 会 学 術 大 会 は JRC2013 のメインテーマ 「Creation, Innovation and Globalization」に沿 って、英 語 口 述 発 表 を設 けました。今 回 、平 成 25 年 10 月 17 日 (木 )から 19 日 (土 )の 3 日 間 にわたり、福 岡 市 にあるアクロス福 岡 にて第 41 回 日 本 放 射 線 技 術 学 会 秋 季 大 会 を開 催 いたします。大 会 テーマを「Power to the people 地 方 の底 力 ~安 全 と安 心 の 技 をみがく~」として、総 会 学 術 大 会 に引 き続 き英 語 口 述 発 表 を含 めた一 般 演 題 461 演 題 (すべて口 述 発 表 )、12 のランチョンセミナー、NHK 野 球 解 説 者 与 田 剛 氏 による特 別 講 演 「野 球 界 のリーダー論 ~WBC の舞 台 裏 ~」、さらに平 成 25 年 度 文 部 科 学 省 科 学 研 究 費 助 成 事 業 としての市 民 公 開 講 座 「今 を問 う -私 たちの暮 らしと医 療 被 ばく-」を計 画 しております。 第 41 回 秋 季 大 会 では国 際 化 への 動 きを継 承 するとともに 2011 年 の東 日 本 大 震 災 に伴 って発 生 した福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 によ る「放 射 能 ・放 射 線 」への国 民 の不 安 を解 消 するような安 全 ・安 心 な医 療 の提 供 を進 め、また国 民 の 皆 様 にも放 射 線 診 療 を正 しく理 解 していただきたいと願 っております。 10 月 の福 岡 は気 候 的 にも学 問 をするにはいい時 期 いい場 所 であり、海 の幸 ・山 の幸 が豊 富 にござ いますので、あわせて食 も堪 能 していただければ学 会 の疲 れを癒 してくれると思 います。是 非 、多 くの方 々 のご参 集 をお待 ちしております。 最 後 に、今 後 とも日 本 画 像 医 療 システム工 業 会 の皆 様 とともに力 を合 わせて安 全 ・安 心 の技 をみ がき、国 民 の皆 様 にすばらしい医 療 が提 供 できますようお互 いに協 力 しあって進 んでいきたいと願 ってお ります。今 後 の日 本 画 像 医 療 システム工 業 会 の益 々の御 発 展 を祈 念 いたします。 (九州大学病院 医療技術部 放射線部門 診療放射線技師長) - 50 - 工業会概要 一般社団法人 日本画像医療システム工業会の概要 1. 概 要 (1)沿 革 1963 年 (昭和 38 年 9 月) 日 本 医 科 電 機 工 業 会 として発 足 1967 年 (昭和 42 年 9 月) 日 本 放 射 線 機 器 工 業 会 と改 称 1980 年 (昭和 55 年 12月) 社 団 法 人 日 本 放 射 線 機 器 工 業 会 設 立 認 可 1998 年 (平成 10 年 1 月) 社 団 法 人 日 本 画 像 医 療 システム工 業 会 と改 称 2012 年 (平成 24 年 4 月) 一 般 社 団 法 人 へ移 行 (2)英 文 名 と略 称 Japan Medical Imaging and Radiological Systems Industries Association (略 称 JIRA) (3)事 業 (1)画 像 医 療 システムに関 する規 格 の作 成 および標 準 化 の推 進 (2)画 像 医 療 システムの品 質 および安 全 性 並 びに技 術 の向 上 に関 する研 究 調 査 (3)画 像 医 療 システムの生 産 、流 通 および貿 易 の増 進 並 びに改 善 (4)画 像 医 療 システムに関 する展 示 会 および技 術 指 導 等 に関 する講 習 会 、研 究 会 の開 催 並 びに参 加 (5)画 像 医 療 システムに関 する法 令 、基 準 等 の周 知 徹 底 および行 政 施 策 への協 力 (6)薬 事 法 に基 づく継 続 的 研 修 の実 施 2. 会 員 JIRAは医 用 画 像 を扱 う全 国 的 な業 界 団 体 で、174 社 (平 成 25 年 9 月 30 日 )で構 成 されています。 主 な業 種 は次 のとおりです。 医 療 機 器 製 造 ・販 売 業 〃 輸出入販売業 〃 製 造 および仕 入 販 売 業 〃 仕入販売業 - 51 - 工業会概要 3. 組 織 図 新 しい医 療 に貢 献 する医 療 機 器 のシステムを提 供 し、活 性 化 した創 造 的 な業 界 を作 り出 す活 動 を 展 開 すべく組 織 を改 善 して、事 業 を推 進 します。 4. 事 業 内 容 部 会 ○医 用 画 像 システム部 会 医 療 情 報 標 準 化 に関 わる国 内 外 の活 動 に積極的に参画 し、この分野における JIRA のプレゼンスの向上を図ります。 ・関 連 国 際 規 格 の審 議 ・医 療 画 像 システムの普 及 ・啓 発 ・工 業 会 規 格 等 の作 成 ○法 規 ・安 全 部 会 JIRA 製 品 が適 切 な規 制 の下 で上 市 できるよう、医 療 機 器 に関 連 する法 規 制 の調 査 ・検 討 を行 い、行 政 への提 言 を 行 います。また、安 全 性 確 保 に関 する施 策 の立 案 ・執 行 および行 政 の薬 事 規 制 への取 り組 みなどを行 い、業 界 の発 展 と地 位 向 上 を目 指 します。 ・医 療 機 器 に関する国 内 ・海 外 法 令 制 度 の調査・検討・普及 ・安 全 性 ・品 質 システムに関 する規 制 の検 討 ・関 連 学 会 ・団 体 との交 流 ・医 療 機 器 に関する海 外 の環 境 規 制 の動 向調査 ○経 済 部 会 診 療 報 酬 および医 療 保 険 制 度 に関 する問 題 点 と課 題 の検 討 および行 政 への提 言 。会 員 の要 望 を基 本 に関 係 学 会 ・団 体 等 との協 調 を図 り、撮 影 ・診 断 のあるべき評価体系を提言します。 ・診 療 報 酬 改 定 に向けての意 見 集 約 と提 言 ・医 療 機 器 の評 価 体 系 の研 究 と構 築 ・医 療 機 器 産 業 のビジョンによる中 期 展 望 と行政要望 ・関 連 学 会 ・団 体 との意 見 交 換 - 52 - 工業会概要 ○標 準 化 部 会 医 用 画 像 診 断 装 置 ・放 射 線 治 療 装 置 ・放 射 線 関 連 装 置 の標 準 化 に向 けて、IEC 規 格 を審 議 し、JIS 化 を行 います。 33 の専 門 分科 会 によって、「国 際 整 合 を目 指 す標準化とその普及」に努めます。 ・機 器 の標 準 化 および JIS 原 案 、工 業 会 規 格等の作成 ・関 連 国 際 規 格 の審 議 ・セミナー開 催 委員会 ○コンプライアンス委 員 会 会 員 会 社 および JIRA の各 種 法 律 、政 省 令 、規制などの遵法意 識向 上 のための活 動 を行 い、事 項 防 止 、諸 方 の違 反 事 例 の発 生 防 止などに寄 与 することを目 的 としています。 ○流 通 近 代 化 委 員 会 公 正 にして秩 序 ある企 業 活 動 の推 進 のため、医 療 機 器 業 公 正 取 引 協 議 会 と協 力 して、公 正 競 争 規 約 ・同 運 用 諸 基 準 の会 員 各 社への普 及 ・実 施 などを行 います。 ○医 用 放 射 線 機 器 安 全 管 理 センター(MRC) 医 用 放 射 線 機 器などの安 全 性・有 効 性を確保 するために医 療 機 関 からの要 請 に応 じて、保 守 点 検 業 務 を実 施でき る一 定 レベル以 上 の知 識 と能 力 を持 った点 検技術者の育成を図ります。 ○広 報 委 員 会 JIRA から発 信 する情 報 の一 元 化 のため、新 聞 ・雑 誌 などへの取 材 対 応 、資 料 などの提 供 およびホームページの運 用 方 法 などを決 定 。効 果 的 な広 報 活 動 を行 うことにより、JIRA および当業界 の PR、イメージアップを図ります。 ○調 査 ・研 究 委 員 会 画 像 医 療 システムの生 産 ・輸 出 入 などに関 する独 自 統 計 を実 施 するほか、会 員 各 社 に影 響 を与 える諸 事 項 の調 査 ・研 究 を行 います。 ○国 際 委 員 会 医 療 機 器 に関 わる事 業 を推 進 するために必 要 な海 外 情 報 の収 集 、分 析 、活 用 および海 外 の関 係 団 体 等 との交 流 を 踏 まえた多 面 的 な国 際 化 の推 進 を行 なっています。特 に国 際 化 の推 進 に関 しては、米 国 の NEMA-MITA、欧 州 の COCIR、カナダの MEDEC と DITTA を設 立 し、世界各国の政府機関、研 究・開発・教育機関、規制 当局そして産業 団 体 との連 携 を深 めるため活 動 しています。 ○展 示 委 員 会 3 つの学 会 併 設 展 示 会 を企 画 運 営 しています。 1.国 際 医 用 画 像 総 合 展 2.日 本 磁 気 共 鳴 医 学 会 大 会 併 設 展 示 会 3.日 本 核 医 学 会 総 会 併 設 展 示 会 ○企 業 振 興 委 員 会 経 済 環 境 の変 化 に対 応 した会 員 の経 営 健 全化および発展・繁栄を目的として以下の専門委員会業 務を行います。 1.研 修 専 門 委 員 会 :講 習 会 、報 告 会 、研 修会等の企画、立案および実施 2.学 術 専 門 委 員 会 :関 係 学 会 と共 同 で連携企画、また政府諸機関の企 業育成策の調 査・紹介および指導 3.企 業 経 営 専 門 委 員 会 :経 営 環 境 変 化 に対する IT を含む関連機器業界 のための事 業 4.IT 専 門 委 員 会 :画 像 医 療 システムに係 る IT 関連企業のための事 業 ○地 域 委 員 会 関東、中部、関 西 各 ブロックにおける会 員 の発 展 ・繁 栄 を目 的 として、各 部 会 ・委 員 会 等 の活 動 に連 動 した事業、監 督 官 庁 や関 連団 体 等 との情 報 交 換 、および地域ブロック活 動会員の事業 達成に必要な事項を行います。 ○継 続 的 研 修 委 員 会 薬 事 法 により、販 売 業 等 の営 業 管 理 者 、修 理業の責任 技 術者は、継続 的研修を毎 年 受講することが義務付けられて います。他の 3 つの協 賛 団 体 とともに、全 国 7 会場で研修を主催しています。 ○放 射 線 ・線 量 委 員 会 放 射 線 医 療 機 器 および関 連 機 器 による線 量 の管理や低減について関係諸団体等と連携して推進 します。 1.医 療 被 ばくに関する国 内 外 の関 連 情 報 の収集/分析および課題の明 確化 2.課 題 解 決 に取 り組む為 の対 応 方 針 の提 示 3.関 連 団 体 との協 力 関 係 の構 築 、意 見 調 整および連携 - 53 - 表紙写真の解説 VPNルータ VPNソフト VPNルータ IPsec+IKE IPsec+IKE IPsec+IKE IPsec+IKE データセンター VPNルータ VPNソフト 近 年 、 ブ ロー ド バ ンド 化 や モ バ イル 型 端 末 の 普 及 等 に よ り、 電 子 化 された医 療 情 報 を、インターネット回 線 を利 用 して自 施 設 以 外 の外 部 と情 報 連 携 を行 うケースが増 えてきている。連 携 は、施 設 間 で院 内 の情 報 機 器 を利 用 して行 うケースと、院 外 でモ バ イル 型 端 末 を 利 用 し て 実 施 され るケ ース が考 え られる 。 どちらのケースにおいても、インターネット回 線 を利 用 する場 合 は、通 信 のセキュリティの確 保 に配 慮 した上 で、システムの構 築 やサービスの利 用 を行 う必 要 がある。 編集後記 今 年 の夏 は、6 年 ぶりに最 高 気 温 記 録 の更 新 、各 地 で発 生 したゲリラ豪 雨 、竜 巻 とまさに異 常 気 象 でし た。しかし 9 月 になるとゆっくりではありますが確 実 に秋 がやってきて、改 めて四 季 のある日 本 の良 さを感 じら れずにはいられません。その日 本 で、2020 年 に夏 季 オリンピック・パラリンピック開 催 が決 まったニュースは、 本 当 に久 しぶりに日 本 を元 気 にさせてくれるニュースでした。 さて本 誌 では、“巻 頭 言 ”を第 41 回秋季学術大会の大会長である橋田昌弘先生に、“医療の現場から” を同大会の実行委員長である中村泰彦先生にご執筆いただきました。この場を借りてお礼申し上げます。 “技 術 解 説 ”では、IT による画 像 情 報 の連 携 について解 説 しています。 また、JIRA 発 表 会 では、各 社 の新 製 品 や新 技 術 など論 文 を多 数 掲 載 しています。 本 誌 が日 本 放 射 線 技 術 学 会 および関 係 者 の皆 様 の今 後 の発 展 のために少 しでも参 考 になれば幸 い です。 最 後 に、本 年 度 開 催 される福 岡 での秋 季 学 術 大 会 が大 成 功 に終 わることをお祈 り申 し上 げます。 (須 山 宗 木 JIRA テクニカルレポート 2013. Vol.23 №2(通巻第 45 号) 平成 25 年 10月発行 編 集 委 委 一般社団法人 日本画像医療システム工業会 広報委員会 技術広報専門委員会 員 長 員 〃 〃 〃 〃 〃 〃 アドバイザー 事 務 局 羽田野顕治 須山 宗木 田中 茂 古屋 進 前田 賢 増尾 克裕 森山 智幸 渡辺 良平 河野 和宏 西口 信弘 ㈱日立メディコ コニカミノルタ㈱ 東芝メディカルシステムズ㈱ 医建エンジニアリング㈱ ㈱マエダ ㈱島津製作所 ㈱森山 X 線用品 富士フイルム㈱ ㈱島津製作所 一般社団法人日本画像医療システム工業会 発 行 一般社団法人 日本画像医療システム工業会 〒112-0004 東京都文京区後楽 2-2-23 住友不動産飯田橋ビル 2 号館 6 階 TEL.03-3816-3450 http://www.jira-net.or.jp 印 刷 名古美術印刷株式会社 〒162-0041 東京都新宿区早稲田鶴巻町 576 TEL.03-3260-9136 (本 誌 の無 断 複 写 ・複 製 ・転 載 を禁 じます。 本 誌 署 名 記 事 の文 責 は署 名 者 にあります。) - 54 - 記) JIRAテクニカルレポート ︵通巻第 2013. VOL. 23 NO.2 (通巻第45号) 号︶ 45 ◆ 第41回日本放射線技術学会秋季学術大会 第31回JIRA発表会 Power to the people 地方の底力 ∼安全と安心の技をみがく∼ 平成25年10月17日 (木) 15:00∼17:00 アクロス福岡 1階 円形ホール(第4会場) ◆ 第41回日本放射線技術学会秋季学術大会 第16回JIRAフォーラム テーマ:「CT Dose Checkの現状と課題」 平成25年10月17日 (木) 17:00∼18:00 アクロス福岡 1階 円形ホール(第4会場) ◆ 技術解説 ITによる画像情報の連携 http://www.jira-net.or.jp 一般 社 団 法 人 日 本 画 像 医 療システム工業 会 一般社団法人 日本画像医療システム工業会
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