2015 年 2 月 27 日 株式会社日立プラントコンストラクション トルコの石炭火力発電所向け電気集塵装置が本格稼働 独自技術「MEEP」により、世界最高レベルの性能を保有 稼働した電気集塵装置の概観 株式会社日立プラントコンストラクション(取締役社長:後藤 伸穂/以下、日立プラントコンストラクション) は、トルコ共和国(以下、トルコ)の発電事業者である IZDEMIR ENERJI ELEKTRIK ÜRETIM A. Ş. (Chairman:Halil SAHIN/イズデミールエナジーエレクトリックウレティム/以下、IZDEMIR 社)から、 同国西部のイズミールにある 350MW 級の火力発電所「IZDEMIR 発電所」用の電気集塵装置 2 基*1 を 受注・納入し、このたび、本格稼働を開始しました。今回稼働した電気集塵装置は、石炭ボイラから排出さ れるガス中のダストを除去するもので、独自技術である移動電極型電気集塵装置「MEEP*2」を用いること で、排出するガス中のダスト濃度を 10mg/㎥ N 以下にするという世界最高レベル*3 の性能を保有する仕 様となっています。なお、欧州および中東での電気集塵装置の受注・稼働は、日立プラントコンストラクシ ョンとしては初めてとなります。 現在トルコでは、政府が 2023 年までに世界 10 位の経済大国になるという目標を掲げ経済成長を続け ており、それに伴う電力需要の拡大に向けて、2023 年までに総発電設備容量を現状の 2 倍以上となる 125GW に増強する計画です。トルコの総発電設備容量のうち石炭火力発電は現在約 3 割を占めており、 今後も基幹電源としての役割が期待されていますが、同時に環境対策も求められ、石炭火力発電所に対 するダスト排出規制が強化されています。特にイズミールは、トルコ第 3 の都市であるとともにリゾート地で もあることから厳しい規制値が設定されています。 こうした背景から IZDEMIR 社は、イズミールの石炭火力発電所向けに日立プラントコンストラクション の電気集塵装置を導入しました。本電気集塵装置は、その構成を、通常の電気集塵装置よりも 1 区多い 4 区タイプ(集塵装置を 4 段に構成する方式)とすることで性能を向上しており、前段として固定電極型電気 集塵装置 3 区と、後段として日立プラントコンストラクションの独自技術である移動電極型電気集塵装置 「MEEP」1区の構成としています。日立プラントコンストラクションの「MEEP」は、ダストを捕集する集塵極 を移動させながらブラシでダストを掻き落とすことにより、従来の固定電極型電気集塵装置では難しかった 1 微細なダストや高抵抗ダスト*4 も確実に剥離します。また、集塵効率が高いことから、固定電極型電気集塵 装置と比べて集塵極と放電極の数を減らすことができるため、装置の大幅な小型化*5 も実現しました。こう した高い集塵性能と小型である点が評価され、IZDEMIR 社の石炭火力発電所に日立プラントコンストラ クションの電気集塵装置が採用されました。 今回、日立プラントコンストラクションは、本集塵装置全体の基本計画と主要部品の納入、鉄骨・ケーシ ングなどトルコにおける製作品の設計図提供、据付・試運転の指導者派遣を行いました。なお、本電気集 塵装置は、さらなる環境規制強化にも対応できるよう、最前段に空室を設け、固定電極部を追加設置でき る設計にしています。 日立プラントコンストラクションは、今回のトルコにおける受注・稼働を足掛かりに、今後も「MEEP」をキ ーテクノロジーとして、新興国を中心に需要が見込まれる電気集塵装置を積極的に拡販していきます。 *1 350MW 級ボイラ1 缶分 *2「MEEP」は日立プラントコンストラクションの登録商標です。 *3 石炭ボイラ用乾式電気集塵装置において *4 電気抵抗率が1×1011Ω~5×1013Ω・cm のダスト。電気抵抗率が高いことにより電流抑制や逆電離現象が生じ、集塵性能が極端に低下する。 *5 従来の固定電極型に比べて設置面積を約3 割削減 ■稼働した電気集塵装置の概要 発電所名 IZDEMIR 石炭火力発電所 所在地 トルコ イズミール 発注元 IZDEMIR ENERJI ELEKTRIK ÜRETIM A. Ş. 受注内容 電気集塵装置 2 基(固定電極型電気装置 3 区+移動電極型電気装置 1 区の 4 区構 成)の基本計画と主要部品の納入、鉄骨・ケーシングなどトルコにおける製作品の設 計図提供、据付・試運転の指導者派遣 受注年月 2011 年 6 月 ■「MEEP」の概要 電気集塵装置は、排気に含まれるガス中のダストに放電極からの放電により電荷を与えて帯電させ、集塵 極に引き寄せることでダストを捕集する装置です。従来の固定電極型電気集塵装置は、集塵極を一定の間隔 で槌打することにより、捕集したダストを払い落としますが、付着力の強い高抵抗ダストを十分に剥離させるこ とは困難でした。集塵極が高抵抗ダストで覆われた状態で運転を続けると、集塵極を覆ったダストにより、高 抵抗障害や逆電離現象が発生し、放電極から出されるコロナ電流が減少するとともに、集塵極に堆積した ダスト層が絶縁破壊を起こし、集塵能力が著しく低下します。 開発した「MEEP」は、移動電極構造とブラシによりダストを剥離する新方式を適用し、高抵抗ダストの効 果的な捕集を可能にすると同時に、小型化を実現しました。 2 ■特長 (1)高性能 短冊状の板に分割した集塵極が、駆動用ホイールの回転によって低速で移動し、下部ローラーで反転 し、放電極から放出されたマイナスイオンで帯電されたダストを捕集します。捕集したダストは、集塵極を 挟む二本のブラシで掻き落とされ、集塵極を清浄な状態に保つため、集塵効率を維持します。また、ブラ シによるダストの剥離は集塵域外で行われるため、ダストの再飛散を抑制し、集塵性能を維持することが 可能です。 (2)省スペース・省電力化 集塵効率が高いため、固定電極型電気集塵装置と比べて集塵極と放電極の数を減らすことが可能とな ったことで、装置の大幅な小型化を実現します。また、これにより、荷電設備の消費電力量の低減を図ること ができるため、電気集塵装置の省エネルギー化にも貢献します。 [移動電極部の構造図] [装置構造図] 駆動用ホイール 回転方向 荷電装置 移動電極部 外部チェーン 集塵極 集塵極 駆動チェーン 集塵極 放電極 放電極 排ガス ブラシ ガイド 下部ローラー ガス分布板 3 固定電極部 ■照会先 株式会社日立プラントコンストラクション営業統括本部 海外部 [担当: 渡部] 〒170-8630 東京都豊島区東池袋三丁目 1 番 3 号 ワールドインポートマートビル 7 階 電話:03-5928-8210(直通) ■報道機関お問い合わせ先 株式会社日立プラントコンストラクション事業企画本部 研究開発部 [担当: 福島] 〒170-8630 東京都豊島区東池袋三丁目 1 番 3 号 ワールドインポートマートビル 7 階 電話:03-5928-8625(直通) 以 上 4
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