NFLの競争優位 08W1302008B 石塚 智久 1 目次 NFLとは 問題意識 先行研究 スポーツビジネスの特性 NFLの人気①② NFLはどうブランドを築いたか リベニュー・シェアリング(収益分配制度) サラリーキャップ ウェバー制ドラフト ブラックアウトルール 創出価値 NFLの新たな市場の開拓 最後に 参考文献 2 NFLとは National Football League (以下NFL) アメリカのプロアメリカンフットボールリーグ。「アメリカで 最も人気のあるプロスポーツ」といわれ、全32チームで 構成される。 National Football League (NFL) Major League Baseball(MLB) National Basketball Association(NBA) National Hokey League(NHL) →アメリカ4大スポーツ 3 問題意識 NFLはアメリカ市場でどのような競争優位を築いたか。 NFLのヨーロッパ進出が失敗したのはなぜか。 4 先行研究 種子田 穣 『スポーツビジネスにおけるブランド』‐その生成と発 展・National Football Leagueを事例として‐ スポーツビジネスはエンターテイメント産業の属しているとの見解の もと、多様な選択肢(他のスポーツリーグやエンターテイメント)の中 から消費者の選択を導くためには、強固なブランドロイヤルティ(忠 誠心)によって競争優位を築くことが必要であると述べている。 5 スポーツビジネスの特性 無形性 観戦する試合を事前に経験することができない。 品質の変動性 同一品質で提供することが不可能。 不可分性 生産と消費が同時に行われる。 消滅性 在庫として持てない。 需要の変動性 季節、週、一日の時間帯によって需要量は変動する。 6 NFLの人気① 大都市を本拠地とするチームでは、全試合や複数試合を 集めたシーズンチケットは、10年以上先のシーズンまで 完売しているチームもある。 1試合の平均人数が多い 4大スポーツの1試合当たりの平均入場者数(2005、2005~2006シーズン) NFL(アメリカンフットボール) MLB(野球) NBA(バスケットバール) NHL(アイスホッケー) 66,453人 30,970人 17,558人 16,955人 『MANAGEMENT ILLUSTRATIONS アメリカのスポーツビジネスは、なぜ世界一なのか 第1回』P46 7 NFLの人気② スーパーボウル(優勝決定戦)の視聴率はで40%を超え る。 2000年~2006年の全米テレビ高視聴率ランキング 順位 1 2 3 4 5 番組名 第40回スーパーボウル 第38回スーパーボウル 第39回スーパーボウル 第37回スーパーボウル 第34回スーパーボウル 総視聴者数 9070万人 8980万人 8610万人 8860万人 8850万人 視聴率 41.60% 41.40% 41.10% 40.70% 40.30% 放送日 2006/2/5 2004/2/1 2005/2/6 2003/1/26 2000/1/30 『MANAGEMENT ILLUSTRATIONS アメリカのスポーツビジネスは、なぜ世界一なのか 第1回』P47 経済効果は2006年の開催地ミシガン州デトロイトでは、 約305億円、2007年の開催地フロリダ州マイアミでは、 約410億円と見積もられた。 『MANAGEMENT ILLUSTRATIONS アメリカのスポーツビジネスは、なぜ世界一なのか 第1回』P46~47 8 NFLはどう競争優位を築いたか 白熱した試合を増やすことで、試合の価値を高 める。 放映権の複数年のパッケージ売り。 白熱した試合を増やし、試合の価値を高めるた めに、NFLは戦力の均衡化を図った。 リベニュー・シェアリング(収益分配制度) サラリーキャップ ウェバー制ドラフト リベニュー・シェアリング(収益分配制度) リーグ チーム チーム ←1放映権料(すべて) ←2スポンサーシップ(ローカルスポンサーは除く) ←3入場料(40%) ←4マーチャンダイズ(すべて) チーム 収益の一定割合をリーグに収め、チーム数で割って配分する。 チームの年間収入の約70%はリーグからの分配金である。 1~4以外の収入(命名権など)はそのままチームの収入に。 11 サラリーキャップ 各チームあたりの総年俸の上限下限を決め、その範囲 内で収めなければいけないシステム。 →財政状況が均等に保たれ、偏った戦力補強もできない。 12 13 ウェバー制ドラフト リーグ チーム チーム チーム ドラフト制度 成績の悪いチームから指名する制度を導入して、チームの 戦力を均衡させる。 自由競争を避け、契約金を抑える。 戦力を均衡化したことで、人口約800万人を超えるニュー ヨークと人口約10万人のグリーンベイでのチーム経営の 共存を可能にしている。 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080128/145574/『日経ビジネスジネスオンライン』 プリンシパル(リーグ)とエージェント(チーム)の関係にお いて、収入の少ないチームは努力を怠り、分配金に依存 した経営をするような、モラルハザードが発生する恐れが ある。 14 ブラックアウトルール 試合開始の72時間前までに試合のチケットが完売しなかった場合、 出場チームのフランチャイズ地区とそこから約120km圏内の地区 では、試合のテレビ中継が行われないというシステム。 →チームが怠けるのを防ぐことができる。 15 メディア 2006年に放映権の契約を結んだ。(単位:百万ドル) 契約年数 放送局 放送権料/年 総額 2006~2011 CBS 622.5 3700 2006~2011 FOX 712.5 4300 2006~2012 NBC 650 4550 2006~2013 ESPN 1100 8800 (2006年以降不 明) NFLネットワーク なし なし NFLFilms・・・映像の一括管理 NFLProprties・・・商標や特許などの管理 16 創出価値 創出価値=製品が持つ価値とその製品に使われた価値の差 =最終消費者の知覚便益B-投入物の費用C 消費者余剰 B-P 知 覚 便 益 B 生産者の利益 P-C 価 格 P 費 用 創 出 価 値 費用C C 17 「経営資源」・「ケイパビリティ」・・・競争優位の基盤 経営資源(名詞的) =企業特有の資産 =特許、商標、ブランドの評判、利用者基盤、組織文化、特殊なノウ ハウを持った従業員など ケイパビリティ(動詞的) =企業が競合他社よりも秀でている活動 =特定のビジネス機能、特定の技術、製品デザイン、バリューチェー ン間の管理調整能力など NFLの新たな市場の開拓 1995年にヨーロッパで6チームのWorld Leagueが行わ れる。 1998年にNFL Europe Leagueに変わる。 リーグ全体で年間3000万ドル~54000万ドルの赤字 を出し、2007年に解散した。 http://www.jiji.com/jc/a?g=afp_spo&k=20070630013141a『時事ドットコム 2007/6/30』 最後に なぜNFLのヨーロッパ進出は失敗したのか? NFL Europe Leagueの場合はリーグ全体がひとつとなり、 チームで独自にビジネスを行うことができなかった。 NFLとしてではなくNFL Europe Leagueという新しいブラン ドで勝負をしたためにNFLの経営資源・ケイパビリティが うまく機能しなかった? 20 参考文献 種子田穣『スポーツ・ビジネスにおけるブランドーその生成と発展・National Football Leagueを事例 としてー』2002 ディビッド・べサンコ、ディビッド・ドラノフ、マーク・シャーリ『戦略の経済学』2002ダイヤモンド社 スィッツェ・ダウマ、へイン・スクルーダー『組織の経済学入門』2007文眞堂 種子田穣『アメリカンスポーツビジネス』2007角川学芸出版 和田充夫、恩蔵直人、三浦俊彦『マーケティング戦略』2007有斐閣 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080128/145574/『日経ビジネス』(閲覧日2010/9/28) http://www.jiji.com/jc/a?g=afp_spo&k=20070630013141a『時事ドットコム 2007/6/30』(閲覧日 2010/9/27) 『MANAGEMENT ILLUSTRATIONS アメリカのスポーツビジネスは、なぜ世界一なのか 第1 回』渡辺史敏 『MANAGEMENT ILLUSTRATIONS アメリカのスポーツビジネスは、なぜ世界一なのか 第5 回』渡辺史敏 21 ご清聴ありがとうございました。 22
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