環境へのさまざまな取り組み 温室効果ガスの削減 地球温暖化や気候変動の問題は、環境問題のなかでも最も重大な共通課題です。 味の素グループでは、事業活動のすべての範囲で、 温室効果ガス排出削減に取り組んでいます。 エネルギー利用とCO2排出の実績 P.11-14 特集1 地球温暖化防止への取り組み を併せてご覧ください。 省エネルギーを通じて、 よりCO2削減の成果をあげるため、 「省エネ連絡会」を発足。各工場の省エネ担当者が、具体 味の素グループでは、地球温暖化の原因となる温室効 的な新技術や有効技術についての情報交換を行っていま す。このような検討結果や成果は、今後、国内のみならず 果ガスの排出量削減に取り組んでいます。 * 「味の素グループ・ゼロエミッション」05/10計画 では グローバルに展開していきます。 特に、温室効果ガスのなかでも化石燃料由来のCO2に焦 点を当て、生産系事業場全体の排出量原単位を2002年度 使用エネルギーの種類別内訳データ (2006年度) 使用量 エネルギー構成比 比で20%削減することと、国内生産系事業場のCO2総排 購入電力 出量を1990年度比6%減の48.4万トン以下にすることを目 (蒸気) 購入エネルギー 標とし、計画的に取り組みを進めています。 ガ ス 325 百万m3 39.4% 石油類 240 百万r 28.7% 2006年度の味の素グループのエネルギー使用量は 204 万MWh 21.6% 96 万t 石 炭 9.2% 3,400 t 34,100TJ、化石燃料由来のCO 2排出量は234万トンで、 車両用エネルギー 前年より約2%増加しました。生産量はほぼ横ばいの約 合 計 0.3% 280 TJ 0.8% 34,100 TJ 100.0% 177万トンですが、CO2排出原単位の大きな製品が増加し、 小さな製品が減少したため、原単位も約2%増加しました。 CO2排出量と原単位 CO2排出量の約80%を占める発酵関連部門では、収率 の改善、天然ガスコジェネや省エネ型濃縮設備の導入な ど、省エネルギーによるCO2削減に努めていますが、さら なる改善が必要と考えています。 生産系事業場全体のCO 2 排出量原単位は、基準年の 2002年度に比べて約16%の削減となりましたが、2005年 国内生産系事業場排出量 250 排 出 量 ︵ 万 ト ン ︶ 全排出量 原単位 100 200 89 88 206 222 81 83 230 234 100 150 100 199 80 原 単 60 位 50 0 40 48 49 52 51 51 2002 2003 2004 2005 2006 (年度) (注記)原単位:2002年度の生産量あたり原単位を100とした指数 度に比べては微増しており、また、国内生産系事業場の CO2排出総量は約51万トンと、2005年度と同水準にとど まりました。目標達成に向けてさらなる省エネ技術開発・ 導入に取り組んでいきます。 a*詳細は、P.23∼24 2006年度の目標と実績をご覧ください。 事業別のCO2排出量比率(2006年度) * 海外:3.1% 国内:5.6% 海外:4.5% サービス・物流・オフィス部門 国内:1.9%(海外は未集計) その他 連 品関 食 国内:8.2% 国内 7.9% 生産部門 海外:68.7% 目標達成に向けて「CO2削減プロジェクト」を発足 発酵関連 味の素グループでは、2006年7月、 「味の素グループ・ 合計234万t-CO2 ゼロエミッション」05/10計画での目標を達成するため、 *味の素グループ外企業への委託物流分は含まない 「CO2削減プロジェクト」を始動させました。これは、国内 各工場の2010年度までの生産計画と、それに伴うCO2排 出量を予想し、目標を確実に達成するためのプロセス改 善や、省エネ効果の高い新技術の導入などについて評 価・検討するものです。各カンパニー・分社ごとに、 「味の 素グループ・ゼロエミッション」05/10計画の目標達成に 向けて、具体的ロードマップを作成しています。同時に、 45 味の素グループ 環境報告書2007 地域別のCO2排出量比率(2006年度) 南米 9% 中国 7% 北米 11% 欧州 10% 東南アジア 39% 日本 24% 環境へのさまざまな取り組み さまざまなCO2削減の取り組み フロン類の管理 味の素グループのCO2排出総量の約98%を排出してい 味の素グループでは、冷凍機などの冷媒としてフロン類 る「生産部門」では、大型の設備投資や新技術の開発・導 を保有しています。そのうちCFCs※1とHCFCs※2はオゾン 入から、作業手順の工夫や従業員による日常の小さな努 層破壊物質としてモントリオール議定書により製造が規制さ 力の積み重ねまで、さまざまな形でCO 2排出削減に取り れており、HFCs ※3は温暖化係数がCO2の千倍から数千倍 組んでいます。具体的にはクリーンエネルギーの採用や、 と高いため、京都議定書での削減対象物質となっています。 フロンの撤廃、コジェネレーションや省エネルギー化、さ 「味の素グループ・ゼロエミッション」05/10計画では、 らには廃食用油のボイラー転換など、多彩な取り組みを CFCsの使用を2007年までに全廃し、HCFCs、HFCsを 実践しています。 使用した冷凍機などは、代替冷媒の開発状況を見ながら また「物流部門」でも、CO2排出量の少ない鉄道を積極 的に利用するモーダルシフトやエコドライブを実践している できるだけフロン以外の自然冷媒に切り替えていくことを 目標としています。 ほか、 「営業部門」や「製品開発部門」では、エコカーの導 2006年度末の味の素グループでのフロン類保有量は約 入や、容器・梱包材の見直しを、 「オフィス」においてもク 195トンであり、そのうち約30トンがCFCsです。このCFCs ールビズの実施等を通じてCO2削減に取り組んでいます。 は順次破壊処理を進めていますが、アジアではまだ破壊 ここでは、いくつかの具体的事例をご紹介します。 処理設備が少ないため漏洩しないよう厳重に保管管理し ています。また冷凍機のトラブルやメンテナンスなどにお クリーンエネルギーへの転換 いて、2006年度中に約22トンのフロン類が大気に漏洩し 味の素グループでは、従来から、自社の工場内で使用 する燃料を、重油に比べてCO2排出量の少ない天然ガス に転換するなど、クリーンエネルギー化を進めてきました。 2006年度までにペルー、ブラジル、インドネシアの工場 で天然ガス転換が完了しました。この結果、自工場内で たと推定され、さらなる漏洩防止管理を図っていきます。 ※1 CFCs:クロロフルオロカーボン類の総称。モントリオール議定書で1996年 に製造禁止(先進国) となった。特定フロンの一つ。 ※2 HCFCs:ハイドロクロロフルオロカーボン類の総称。モントリオール議定書 で2020年に製造禁止(先進国) となる。特定フロンの一つ。 ※3 HFCs:ハイドロフルオロカーボン類の総称。オゾン層を破壊せず、代替フ ロンと呼ばれるが、温暖化係数は大きい。 使用する燃料構成比でガスが最も多く利用している燃料 自然冷媒への転換 となっています。 また、アメリカ味の素(株)味の素アミノサイエンスLLC 味の素冷凍食品(株)の4工場および関係会社を含めた のノースカロライナ工場では、長年にわたり市の生活ご 国内9工場では、製品を冷凍するために冷凍機を使ってい み埋立地から発生するメタンガスを回収し、燃料として利 ます。こうした冷凍機では冷蔵庫やエアコンと同様、フロ 用しているほか、南米や東南アジアなどの工場では、農 ン(HCFC) を使用しているため、フロン保有量削減の取り 産物由来の未利用バイオマスの活用を検討するなど、さ 組みを中長期計画の重点施策として位置づけ、国内9工場 まざまなかたちでクリーンエネルギー化を進めています。 で保有しているフロン56トンを2020年度までに全廃し、 環境にやさしい自然冷媒にすることとしました。そのため、 種類別エネルギー構成比(%) 設備更新時期に合わせ、自然冷媒を中心としたノンフロン 2004年 2005年 2006年 石 油 36.4 31.4 28.7 設備への転換を進め、現在までに5設備導入しました。こ ガ ス 34.9 33.4 39.4 の間、アンモニアと二酸化炭素(CO2)の二つの冷媒を併 購入電力・エネルギー 28.5 34.9 30.7 用した新技術も業界に先駆けて採用してきました。今後 もこの取り組みを継続的に実施し、フロン冷凍機全廃を 廃食用油のボイラー燃料への利用 推進します。 大型の設備投資や新技術の開発・導入のほかにも、さ まざまな工夫によってCO2の排出削減を進めています。 例えば、味の素冷凍食品(株)の関東工場、四国工場、 a味の素冷凍食品 (株) の環境への取り組みは、味の素冷凍食品 (株) のホームページをご覧ください。 http://www.ffa.ajinomoto.com/ 九州工場では、揚げ物工程で発生する廃食用油(年間約 600トン) をボイラー燃料に利用することで重油使用量を 削減し、CO2排出量を年間約1,000トン削減することがで きました。 味の素グループ 環境報告書2007 46
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