近年の民間航空機用エンジン開発の動向について

(公財)航空機国際共同開発促進基金 【解説概要 20-1】
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近年の民間航空機用エンジン開発の動向について
1. 概要
近年の民間航空機用エンジン開発においては、燃料価格高騰への対応や地球温暖化防
止に向けた世界的な取り組み強化を背景として燃料消費率低減に対する要求レベルがこ
れまで以上に高まっており、また、環境負荷低減のために定められた航空機騒音規制や
有害物質排出量規制などの規制値強化への対応が重要課題となっている。これらの要求
レベルの高度化に応えるために、各国の航空機エンジンメーカーでは国の研究機関も巻
き込み、さまざまな分野での最先端の技術を融合させて、より高性能でかつクリーンな
エンジンの実用化に向けた開発が盛んに行なわれている。昨年末の金融危機に端を発し
た世界経済の停滞により、航空旅客の一時的な落ち込みは予想されるものの、現在ボー
イング社が開発中の B787 型機などの低燃料消費かつ低環境負荷の航空機に対する需要
は依然として旺盛で、また、さらなる高性能化が期待されるリージョナル機市場での新
型機投入や 150 席機クラスの市場での後継エンジンに必要となる技術開発の動きなども
活発になってきている。
本稿においては、上記の民間航空機エンジン市場の動向を背景に、まず、近年の民間
航空機用ターボファンエンジンの基本コンセプトと要求される技術レベルのトレンドに
ついて紹介し、続いて、要求レベルの高度化に合わせて発展してきた近年の高バイパス
比ターボファンエンジン開発の歴史を米国GE(General Electric)社の GE90 及び GEnx
エンジンの開発を例に、1970 年代後半から 80 年代に NASA (米国航空宇宙局)を中心に
行なわれた共同研究開発プログラムなども交えて紹介し、最後に次世代の民間航空機用
エンジンの実用化に向けたエンジン開発や技術開発の動向についても簡単に紹介する。
2. 近年の民間航空機用ターボファンエンジンの基本コンセプト
近年のターボファンエンジンでは、推進効率を高めるためにコア部への流入空気量に
対してファン部への流入空気量を大幅に増やす高バイパス比化を追求しており、ファン
部から吸い込んだ大量の空気を比較的低速のファン排気ジェットとして噴出させている。
(図 2-1) 一方、高バイパス比化と
大量の低速排気ジェット
もバランスさせつつ、熱効率を向
上させる(供給燃料エネルギーを
効率的に出力エネルギーに変え
高速排気ガス
る) ために、全体圧力比を上げ、
タービン入口温度を高温化し、各
大量の低速排気ジェット
要素を高効率化する必要があり、
高性能の高圧圧縮機や高温に耐え
図 2-1 ターボファンエンジンの概念図
る高効率のタービン、そして低環境
負荷で効率の良い燃焼器などの開発がその実現に貢献している。
このように近年のターボファンエンジンでは、推進効率と熱効率をバランス良く向上
させて燃料消費率を低減している。 加えて、軽量化、信頼性の向上、環境負荷低減、メ
ンテナンスコスト削減なども重要な要素として基本コンセプトに取り入れられている。
1
3 要求される技術トレンド
3.1 燃料消費率
図 3.1-1 に燃料消費率(高空巡航時の単位
時間・単位推力あたりの燃料消費量)の低減
のトレンドを示す。現在ボーイング社が開
発 中 の B787 型 機 用 の エ ン ジ ン で あ る
GEnx や Trent1000 では、同クラスの従来
エンジン(CF6-80 など)に比べて約 15%の
図 3.1-1
燃料消費率低減のトレンド
燃料消費率低減を目指している。
3.2 タービン入口温度及び全体圧力比
図 3.2-1 にタービン入口温度とエンジ
ン全体圧力比の上昇のトレンドを示す。
より高温に耐えうる材料や冷却技術など
の高温化技術の進歩により高温化が可能
となり熱効率が向上、また高い信頼性と
高性能を兼ね備えた高圧圧縮機などの実
用化により全体圧力比も大幅に上昇し、
小型化や高バイパス比化による推進効率
図 3.2-1
タービン入口温度と
全体圧力比のトレンド
向上に大きく貢献している。 なお、ター
ビン入口温度の高温化は NOx(窒素酸化
物)の排出量(3.5 項) を増やす方向とな
るため、高効率化と環境適合性の両立を
可能とする技術が必要となっている。
3.3 信頼性の向上
図 3.3-1 にエンジンの信頼性向上の推
移を示す。 過去の不具合教訓の反映、設
図 3.3-1 エンジンの信頼性向上の推移
計技術の向上やリスク排除の実証試験など
の積み重ねにより、最近のジェットエンジ
ンの飛行中停止率(1,000 エンジン飛行時間
あたり)は 0.005 程度まで下がっており、双
発機による長距離洋上飛行を可能にしてい
る。
3.4 低騒音化
図 3.4-1 に離陸時の側方騒音レベル低減
図 3.4-1 低騒音化のトレンド
のトレンドを示す。 なお、騒音規制値には離陸直下、着陸点近傍の騒音値も加味され
る。近年の高バイパス比化は騒音の低減に大きく貢献しており、加えて音響理論や数
値解析技術の高度化に基づく動静翼枚数比・間隔の最適化、吸音ライナーの取り付け
2
や排気のミキシングなどの騒音対策技術の採用も騒音低減に寄与している。
3.5 低 NOx 化
図 3.5-1 は Nox 排出量基準のトレンドを示したものである。大気汚染防止や地球環
境保護の観点から、ICAO (国際民間航空
機関) の航空環境保全委員会である
CAEP
(Committee
on
the
Aviation
Environmental Protection)が定める NOx 排
出量の規制値は一層厳しくなっており、
さらなる強化への対応に向けて燃焼器の
技術開発が進められている。
図 3.5-1 Nox 排出量規制強化のトレンド
4. GE90 エンジン開発の歴史
GE90 エンジンは、世界最大の双発広胴機であるボーイング B777 用のエンジンとし
て 1991 年に開発を開始し、まず、最大離陸推力 338~377kN の GE90-76B/85B が 1995
年 2 月に FAA (米国連邦航空局)の型式承認を取得し、同年 11 月より B777-200 に搭載
して商用運航を開始している。 その後、市場の要求に応じ推力・性能を向上した派生型
の開発を続け、世界最大の離陸推力 514kN を持つ GE90-115B を含めた GE90 エンジン
ファミリーを形成している。 以下では、1970 年代後半から 80 年代の研究開発プログ
ラムも振り返りつつ、GE90 エンジンの開発の歴史を紹介する。
4.1 1970 年代後半から 80 年代の研究開発プログラムと GE90 への技術展開
4.1.1 E3 (Energy Efficient Engine) プログラム
E3 プログラムは 1970 年代後半より NASA を中心に、低燃料消費型の民間航空機
用エンジン開発支援を目的に進められた研究開発プログラムで、様々な技術開発や
要素試験などが行なわれ、デモエンジン(図 4.1.1-1)による地上実証試験も行なわれ
た。 実機形態の性能評価では、燃料消
費率を CF6-50C エンジンに対して約
17%低減可能であることや、騒音・排
気ガスに対する当時の最新規制値をマ
ージンを持って満足できることなどを
確認している。2)
GE90 には、E3 の高圧圧縮機を空気
力学的にスケールアップした圧力比 23
図 4.1.1-1
E3 デモエンジンの断面図 1)
の 10 段高圧圧縮機が採用され、全体圧力比を 40 まで高め、熱効率の大幅な向上に
貢献している。E3 プログラムでは、250 時間を越えるコアエンジン及びデモエンジ
ン試験にて良好な始動性、ストールのない過渡特性、十分なストールマージン及び
すぐれた可変静翼の追随性を実証しており、これらの E3 での研究開発の実績と
GE90 開発でのさらなる改良によって優れた高圧圧縮機を実用化している。
4.1.2 UDF (Un-ducted Fan)エンジン
3
1980 年代に N ASA との共同研究で進められた先進ターボプロップ開発プログラ
ムにおいて GE は UDF GE36 エンジン(図 4.1.2-1)を開発しており、その開発過程
では複合材製ファンブレードの衝撃応答解析技
術や、鳥打ち込み試験結果等の貴重なデータが
蓄積されている。GE90 では、UDF での技術蓄
積を活かし、また設計技術の更なる進化により
商用エンジンとしては初めて複合材製(グラフ
ァイト繊維/エポキシ樹脂)ファンブレードの実
用化に成功している。
図 4.1.2-1
4.2 高バイパス比化による推進効率の飛躍的な向上
UDF GE36
エンジンの断面図 3)
複合材製ワイドコードファンブレードの採用により、エンジン重量の増加を最小限
に抑えつつ、ファン径を大幅に増すことが可能となり、バイパス比を CF6-80 エンジ
ンの5に対して一気に 8.3 まで高めて巨大な推力を得るとともに、飛躍的に推進効率
を向上させており、高圧力比化やタービン入口温度の高温化などによる高い熱効率と
融合させて燃料消費率の大幅な低減を実現している。
4.3 タービン入口温度の高温化への対応
GE90 には、GE にて 1980 年代から開発を開始していた第2世代の焼結合金ディス
ク材である Rene88DT 材を高圧タービンディスク材に、また第2世代の単結晶タービ
ン合金である ReneN5 材を高圧タービン翼にそれぞれ採用している。 また、燃焼器
ライナーに適用した多孔フィルム冷却構造などの新しい冷却技術も E3 プログラムや
先進軍用エンジンなどでの実証を経て採用されている。
4.4 低環境負荷への取り組み
燃焼器にはデュアルアニュラ燃焼器(DAC:Dual Annular Combustor) (図 4.4-1)が
採用されており、これも E3 プログラムや先進軍用エンジンなどでの実証、GE90 での
さらなる改良を経て採用されたものである。 DAC 燃焼器では、低負荷時に作動し火
炎を安定保持するパイロットステージを外周側に配置し、
離陸・巡航の高負荷時の高速流れに対して最適化してい
るメインステージを内周側に配置している。高負荷時に
は燃焼ガスの高温域での滞留時間が短く、かつ希薄燃焼
となり従来機種に比べて NOx 排出量を約 40%低減して
いる。また、低推力時の吹き消え防止や、高空再着火性
能の向上など低負荷時の安定性も両立させている。
図 4.4-1 :GE90 のデュア
ルアニュラ燃焼器 4)
4.5 信頼性の向上 (Early ETOPS の適用)
GE90 では、ETOPS(Extended Twin Engine Operation)と呼ばれる双発機での長距
離洋上飛行に対する耐空性基準を客先での運航開始の早い時期からクリアするために
(いわゆる Early ETOPS の適用)、開発当初から様々な耐久試験や飛行試験により信
4
頼性を蓄積し、GE90-76B/B777-200 に対して 1996 年 10 月に FAA(米国連邦航空局)
から 180 分の ETOPS 承認が与えられ、英国 British Airways がロンドン~ボストン
間の大西洋路線の運航を始めたのを皮切りに、現在ではほとんどの大陸間運航がほぼ
制限なく認められている。
4.6 推力増強・派生型エンジンの開発
76B/85B エンジンの型式承認取得に続いて、B777-200ER 用として高圧圧縮機への
3 次元空力設計翼の採用や改良型デュアルアニュラ燃焼器(DAC2)などの採用により、
燃料消費率のさらなる改善や EGT(*1)マージンの増加などを実現し、最大離陸推力を
417kN まで増した GE90-94B エンジンの型式承認を 2000 年 6 月に取得している。
(注 1) *1 EGT:Exhaust Gas Temperature 排気ガス温度
最新型の GE90-115B エンジンは最大離陸推力 514kN の世界最大推力のエンジンで、
より長距離用の B777-200LR/ -300ER に搭載する唯一のエンジンとして開発され、
2003 年 7 月に FAA の型式承認を取得している。GE90-115B エンジンでは、推力増
強のためにファン径をさらに増やし、翼先端を後退させたスウエプト翼と呼ばれる3
次元形状のファンブレードを採用し流量増大と空力性能の向上を図っている。 一方、
ファンブレード1枚あたりの重量が増加し、翼破断時に想定されるアンバランスによ
る衝撃加重やトルクが増大する為に、新しいコンセプトの衝撃加重低減構造を採用し
たことや、ファンと低圧タービンを結合するシャフトに従来のマルエージ鋼の強度を
さらに高めた新しいシャフト材(GE1014)を採用したことなども特徴である。
5. GEnx エンジン開発への発展
現在ボーイング社にて、B767 型機の後継機種として開発が進められている B787
中型双発広胴旅客機用の GEnx-1B エンジンは、GE90 エンジンをベースとして新た
に様々な革新技術を適用して開発が進められ、2008 年 3 月に型式承認を取得してい
る。 同じくボーイング社が開発中の B747-8 型4発機用には、機体の仕様・要求推力
(295kN)に合わせてファン径を変更し、あわせて低圧圧縮機、低圧タービンも変更し、
GEnx-1B エンジンと共通のコアを組み合わせた GEnx-2B エンジンを開発中である。
表 5-1 に GEnx エンジンの主要諸元を GE90 と比較してまとめる。
表 5-1 : GE90、GEnx エンジンの主要諸元の比較 5、6、7)
エンジン型式
GE90-94B GE90-115B
GEnx-2B
236~333
295
2.82/18
2.66/18
最大離陸推力 kN
417
ファン直径(M)/翼枚数
3.12/22
バイパス比 :離陸時
8.3
7.1
9.6
8.0
全体圧力比 :離陸時
40
42
43.5
44.7
圧縮機段数 (低圧系/高圧系)
3/10
4/9
4/10
3/10
タービン段数 (高圧系/低圧系)
2/6
2/6
2/7
2/6
5
514
GEnx-1B
3.25/22
5.1 さらなる低燃費化への挑戦
GEnx エンジンでは、史上最高の圧力比を引き出す高圧圧縮機により全体圧力比を
43 以上とし、バイパス比も GE90-94B よりもさらに高めて 9.6 としている。さらに、
最新の3次元空力設計技術により GE90-115B のスウエプト翼をさらに進化させたフ
ォーワード・スウエプト翼形状の複合材製ファンブレードを採用している。また、高
圧タービンと低圧タービンを反転させることにより高圧タービン出口流れの旋回成分
を有効活用しながら干渉損失を低減する構造なども採用しており、同クラスの従来エ
ンジンに対して 15%の燃料消費率低減を可能としている。重量軽減の面では、ファン
ブレード枚数を GE90-115B の 22 枚から 18 枚に削減し、ファンケースには、ファン
ブレード飛散時のコンテイメント(貫通防止)要求より従来は適用困難であった全複合
材製ファンケースを初めて採用している。また、低圧タービン動翼後段2段には民間
エンジンとしては史上初となるチタンアルミ合金製動翼が採用されている。
5.2 有害ガス排出量のさらなる削減
GEnx には、TAPS (Twin Annular Pre-Swirl )燃焼器が採用されており、TAPS で
は燃料ノズル内に隣接して配置された2つのスワラにより燃料と圧縮機からの空気
がより均質化・希薄化した燃料混合気の状態で燃焼室に送り込まれ、その結果、より
低温で燃焼されるために NOx 生成が大幅に低減され、ICAO の最新 NOx 規制基準で
ある CAEP6 を 50%のマージンを持って満足している。 また、CO(一酸化炭素)や
HC(未燃焼炭化水素)などの不完全燃焼による排出物も大幅に低減されている。
5.3 低騒音化
GEnx の高バイパス比設計による低ファンスピードとファン動翼枚数の削減はファ
ン騒音の低減に大きく貢献しており、さらには、ファン流出口に排気ジェットとの混
合を促進するシェブロン・ノズルを採用することなどにより、
FAR 36 Stage3 と Stage
4 (米国連邦航空局の騒音規制値)を十分な余裕を持って満足している。
6. 次世代エンジンの実用化に向けたエンジン開発及び技術開発の動向
6.1 ギアードターボファンエンジンの開発
現行のターボファンエンジンで高バイパス比化を追及していく際、径が大きくなるファンロー
ターは騒音制限や性能維持から回転数を低く抑える必要があるのに対し、径が小さな低圧圧
縮機及び低圧タービンに対しては重量の増加を抑えつつ性能と負荷を維持するため回転数
を上げたい低圧系との間で最適回転数にミスマッチを生じてくる。 この課題を解決するため、
ファン部と低圧系の間に遊星歯車を用いた減速システムを介してファン部を減速させ、ファン
と低圧系それぞれを最適な回転数で運転する構造を持たしたエンジンがギアードターボファ
ンである。 低圧系の段数と径を維持して重量増を抑えつつ、高バイパス比化と低圧系の高
効率維持により燃料消費率の低減を実現することを狙ったタイプである。 米国P&W (プラット・
アンド・ホイットニー)社を中心に技術開発が進められ、デモエンジンは地上試験や、P&W社所
有の747フライングテストベット機でのデモ飛行を経て、エアバス社のA340-600に搭載しての
デモ飛行も開始している。8)三菱航空機のリージョナル機であるMRJ (Mitsubishi Reginal Jet)
6
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およびカナダのボンバルディア社Cシリーズ機の搭載エンジンに選定され、ピュアーパワー
PW1000Gとして実用化に向け開発を開始している。
6.2 基本構造を維持しつつ燃料消費率のさらなる低減を追及する技術開発
現行エンジンの基本構造をベースとして維持しつつ、高バイパス比化による推進効率の向
上、高圧力比化、高温化、及び各要素の高効率化による熱効率の向上、軽量化を追求して
燃料消費率をさらに低減する技術開発が進められている。 このタイプのエンジンでは、高回
転域でのファン効率向上、高圧圧縮機では安定作動と高効率を維持しつつ高圧力化、ター
ビンのより一層の高負荷化および高効率化などが必要となり、最先端の空力設計技術を駆使
して要素技術開発が行なわれている。 合わせて、ファン径が大きくなることから重量の増加を
抑える技術も重要となり、複合材等の軽量化技術開発も鋭意進められている。
6.3 推進効率を大きく向上させるタイプの技術開発
オープンロータと呼ばれるエンジンは、従来のターボプロップに対して高速領域でも高性能
の運用を可能とするタイプである。 径の大きなファンブレードをファンダクト無しにエンジン外
側に配置し、従来のターボファンエンジンよりも遥かに大きなバイパス比により推進効率を大き
く向上させることを目指したエンジンで、現行エンジンに比べて最大30% 9) の燃料消費率低減
を狙っている。 図4.1.2-1のUDFはこのタイプの一例である。 このタイプはファン径が大きくな
り搭載上からの機体への影響もあり、現在150席クラスの後継機への適用が検討されている。
最近の燃料価格高騰からの燃料消費率低減と二酸化炭素削減への要求の高まりからオー
プンロータが再度注目を集めている。 実現化に向けては、騒音低減、プロペラピッチ角や回
転速度制御のための複雑な機構、ファン径増大に伴う機体への搭載方法などが解決すべき
技術課題である。 欧州ではロールスロイス社を中心に技術検討と風洞試験を実施中であり、
米国でもNASAとCFMインターナショナル社(*2)が共同で風洞試験を再開し、課題克服に向け
た動きが活発になっている。 このタイプのエンジン適用は2020年頃と推測されている。
(注2) *2 CFMインターナショナル社:米国GE社と仏スネクマ社の合弁会社
<<参考文献・出展>>
1) NASA CR-168211 :Integrated core/low spool design and performance report
2) NASA CR-168219 :Energy Efficient Engine/Flight Propulsion System Final Design and
Analysis
3) NASA CR-180869 :Full scale technology demonstration of a modern counter-rotating
un-ducted fan engine concept
4) D. W. Bahr :“Gas Turbine Combustion and Emission Abatement Technology Current and
Projected Status” IGTC ’99 Kobe KS-3,1999
5) Engine Yearbook 2006 、P2-7
6) Aviation Week Aerospace Source Book 2008、P132
7) 館野昭 :“GE90エンジン”、 日本ガスタービン学会誌、Vol.28、No.5 2000.9、P18-22
8) 航空技術 No.645 (2008年12月) P13
9) Aviation Week (2008年5月12日) P26~28
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