6.路線設計論 「道路構造令の解説と運用」 (第 4 章 線形及び視距 より

6.路線設計論
「道路構造令の解説と運用」 (第 4 章 線形及び視距 より抜粋
以下は「道路構造令の解説と運用」の章番号で示す
4-1 概説
道路線形は地形および地域の土地利用との調和を考慮するとともに,線形の連続性および平面,縦断両線形の
調和を図り,施工および維持管理,経済性,交通運用上の得失などを検討して決定するものとする。
線形とは,道路の中心線が立体的に描く形状であり,このうち平面的にみた道路の中心線の形状を平面線形,
縦断的にみた道路中心線の形状を縦断線形という。平面線形は,直線,円,緩和曲線などによって構成され,縦
断線形は直線および縦断曲線によって構成される。
4-1-1 線形設計の原則的事項
1) 地形および地域の土地利用との調和
2) 線形の連続性
3) 平面線形,縦断線形および横断構成の調和
4) 線形の視覚的検討
5) 交通運用上の安全性と経済性よりの検討
6) 施工上よりの検討
7) 地質,地形,地物などからくる制約
8) 建設費および維持管理の経費などの経済性の点よりの検討
道路設計にあたっては,安全でかつ快適な走行を確保するため,各線形要素をできるだけバランスのとれたもの
とすべきであり,設計速度という考え方も,各線形要素の均衡を図るための一つの指標である。一般的には
40km/h の設計速度の区間であっても,曲線半径が大きく,運転者の視覚的な判断としては 50km/h,60km/h で
走行が可能であると思われる線形で,実際の速度がそれに近いものとなる場合には,設計速度を 50km/h,60km/h
とし,これに対応した片勾配をつけておかないと現実の走行条件のもとでは,片勾配不足ということになり,事
故発生の危険性も高くなる。
設計速度を基準として,それぞれの一般の規定値,縮小値,望ましい値などが規定されているが,多くの場合,
望ましい値というのは,条件の悪い場合もこの範囲内におさめることが望ましいという意味である。一種の最低
限の値を示したものである。
4-2 平面線形と縦断線形の組み合わせ
4-2-2 組み合わせの基本則
(1) 運転者を自然に視覚的に誘導する線形とすることは,平面,縦断両線形の組み合わせを図る場合,最も基本
的かつ重要な問題である。
(2) 平面,縦断両線形の大きさのバランスを保つことも常に考える必要がある。
(3) 路面排水に遅滞の生じないようにすることもよい線形であるために必要な条件である。
基本則に基づき以下のことを考慮すべきである。
4-2-3 設計の一般方針
平面線形と縦断線形を組み合わせる場合,視覚的な検討をし,特に次の諸点に留意しなければならない。
(1) 平面曲線と縦断曲線とを重ね合わせること。(図 4―2)
(2) 平面曲線と縦断曲線との大きさの均衡を保
つこと。(表 4-1)
(3) 適当な合成勾配の得られる線形の組み合わ
せを選ぶこと。
4-2-4 その他の注意事項
特に以下に示すような組み合わせは避けること
が望ましい。
(1) 凸型縦断曲線,凹型縦断曲線の頂部または底
部に,急な平面曲線を入れること。
(2) 凸型縦断曲線の頂部,または凹型縦断曲線の
底部に背向曲線の変曲点を配すること。
(3) 一つの平面曲線内,または一つの直線内で縦
断曲線が凹凸を繰り返すこと。
図 4-2
(4) 長い直線区間に凹型縦断曲線を入れること。
(5) 同方向に屈曲する曲線の間に短い直線を入れるこ
と。
道路の線形を制約する要因には,技術的に二つある。第
一は線形が自動車の運動学的あるいは力学的要求を満た
して,その安全性,快適性が保証されているかどうか。
第二は視覚的・心理的にみて良好で,環境もしくは風景
との調和が取れているかどうかである。以下に述べる基
準値は,第一の力学的要求上の問題であり,絶対守らな
ければならない最小の限度を示したものである。第二は
どのように考慮し,評価するかは基準がなく,個人差も
あるから全く設計者に任された業務である。
表 4-1
4-4 曲線半径
4-4-1 最小曲線半径
第 15 条
車道の屈曲部のうち緩和区間を除いた部分の中心線の曲線半径は,当該道路の設計速度に応じ,次の表の曲線
半径の欄の左欄に掲げる値以上とするものとする。ただし,地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない
箇所については,右欄に掲げる値まで縮小することができる。
4-4-2 最小曲線半径の望ましい値
望ましい曲線半径は,当該道路の設計速度に応じ,次の表の曲線半径の欄に掲げる値以上とするものとする。
最小曲線半径の規定値は,安全および快適を確保するように定められているが,これらは必要最小限の値であり,
十分な安全率を見込んだ余裕のある設計値ということではない。少なくとも最小曲線半径の規定値の適用はなる
べく避け,望ましい値程度を最小値として設計するのが好ましい。
4-5 曲線長
4-5-1 最小曲線長
車道の曲線長の中心線の長さ(当該曲線部に接する緩和曲線が曲線形である場合においては当該緩和区間の長
さを加えた長さ)は,道路交角が 7°以上の場合緩和区間の 2 倍以上とするものとし,道路交角が 7°未満の場合
には,設計速度に応じ,次の表の曲線長の左欄に掲げる長さ以上のものとする。ただし,地形の状況その他の特
別の理由によりやむを得ない場合にあっては,道路交角の値にかかわらず,次の表の曲線長の欄の右欄に掲げる
値まで縮小することができる。
最小の曲線長は,次の条件から定められる。
① 自動車の運転者がハンドルの操作に困難を感じないこと。
② 曲線の変化による遠心加速度の変化率を一定値以下にする。
③ 交角が小さい場合,曲線半径が実際より小さく見える錯覚を防ぐ程度の長さとする。
この条件の元で以下のように最小曲線長は規定される。
4-5-2 適用の際の注意
規定した曲線長は,最小緩和区間長の 2 倍となっている。すなわち円曲線のない凸型の曲線である。この場合
条件①を満足しているとはいえ,運転者は半径が最も小さくなったところで,急にハンドルを戻さなければなら
ない。従って二つの緩和曲線の間にある長さの円曲線を挿入することが望ましい。円曲線の半径 R に対しては,
クロソイドのパラメータ A と円曲線の半径 R との間に R≧A≧R/3 なる関係にあるとき,調和のとれた曲線にな
り,なかでも A>R/2 が望ましいといわれている。
道路交角が 7°未満の道路で,縮小規定の曲線長を用いる場合にあっても,その値に,設計速度で 2 秒程度走
行する距離の円曲線を挿入することが望ましい。
4-6 曲線部の片勾配
第 16 条
車道,中央帯(分離帯を除く)及び車道に接続する路肩の曲線部には,曲線半径が極めて大きい場合を除き,当該
道路の区分及び当該道路の存する地域の積雪寒冷の度に応じ,かつ,当該道路の設計速度,曲線半径,地形の状
況等を勘案し,次の表の最大片勾配の欄に掲げる値以下で適切な値の片勾配を附するものとする。ただし,第 4
種の道路にあっては,地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては,片勾配を附さないこ
とができる。
4-6-2 片勾配を打切る最小曲線半径
曲線半径が,直線部の横断勾配及び設計速度に応じ,次の表に示す値以上である場合には,片勾配を附さないこ
とができる。
片勾配の最小値としては直線部で用いる横断勾配の値である 1.5∼2.0%とし,大きな曲線半径に対しては片勾配
を打切る限界,すなわち逆片勾配を許す曲線半径の範囲を規定している。
4-6-3 曲線半径と片勾配の値
車道,中央帯及び車道に接続して設ける路肩の曲線部には,当該曲線部の曲線半径の値に応じ下表に示す値によ
り片勾配を附するものとする。ただし,第 4 種の道路にあって地形の状況その他特別の理由によりやむを得ない
場合には片勾配を付さないことができる。
最大片勾配と最小曲線半径が定められると,最小曲線半径よりも大きい曲線半径に対して,どの程度の片勾配を
付けるか問題となる。ここでは設計速度に対応した曲線半径に対して付すべき片勾配を規定するものである。曲
率と片勾配の関係を方物線と考えた片勾配の増加法が一番良いと考えられる。それによって計算されたものが図
4-14 である。
図 4-14
4-6-4 適用の際の注意
(1)8%を超える片勾配について
3%から 10%までの片勾配が許されているが,10%の片勾配は雪氷のない所での事実上の最大値であり,低速車
の交通量が少ない場合に適用できるものである。したがって,8%以上の片勾配を用いる場合には交通車両及び
気象条件について十分吟味することが好ましい。
4-7 曲線部の拡幅
第 17 条
車道の曲線部においては,設計車両及び当該曲線部の曲線半径に応じ,車線を適切に拡幅するものとする。ただ
し,第 2 種及び第 4 種の道路にあっては,地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においてはこ
の限りではない。
4-7-2 曲線部の拡幅量
車道の曲線部においては,当該道路の区分,曲率半径に応じ,1 車線につき,それぞれ次の表の拡幅量の欄に掲
げる値を拡幅するものとする。ただし第 2 種及び第 4 種の道路において地形の状況その他の特別の理由によりや
むを得ないものについてはこの限りではない。
4-7-3 適用上の注意
自動車が曲線部を走行する場合には,後車輪は前車輪の内側を通るので,原則として拡幅は車線の内側に行う
こととし,他の車線をおかさないために車線毎に拡幅を行わなければならない。
道路中心線の半径が 35m 以上の場合には,道路中心線によって車線の拡幅量を求めても差し支えない。
(1)6 車線以上の道路の拡幅は,大型車の交通状況を勘案して行なう。必ずしも全車線について拡幅を行なう必要
はなく,一方向につき 2 車線分の拡幅でも差し支えない。
4-8 緩和区間
第 18 条
車道の屈曲部には,緩和区間を設けるものとする。ただし,第 4 種の道路の車道の屈曲部にあっては,地形の
状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては,この限りでない。
2 車道の曲線部において片勾配を付し,または拡幅する場合においては,この限りでない。
3 緩和区間の長さは,当該道路の設計速度に応じ,次の表の右欄に掲げる値以上とするものとする。
道路で直線部から曲線部に,または大円部から小円部に円滑に自動車が走行して行くためには,次に示す目的で
緩和区間を設ける必要がある。
ⅰ)曲線部の無限大(直線)から有限へ,あるいは曲率半径の大なる曲線から小なる曲線への緩和区間
ⅱ)曲線部片勾配同志,あるいは曲線部片勾配と直線部横断勾配とのすりつけのための緩和区間
ⅲ)曲線部で拡幅された幅員の標準幅員などへのすりつけのための緩和区間
緩和区間長としてはⅰ)とⅱ)のすりつけに必要な長さのうち大きいほうをとる。緩和区間長が定まれば,各す
りつけをその中で同時に行う必要がある。
4-8-3 緩和走行のための区間
緩和区間長は,遠心加速度の変化率をある限度以下に押え,ハンドル操作上も無理のない時間のとれる長さを
選ぶことが必要である。
(1) 遠心加速度の変化率から求まる長さ
遠心加速度の変化率は p ?
v2 L v3
? ?
R v LR
遠心加速度の変化率の許容値を 0.5∼0.75m/sec3 とする。
(2) ハンドル操作時間から求まる長さ
ハンドル操作上最も無理のない時間としては 3∼5 秒程度が必要である。
L ? v ?t ?
V
t
3 .6
V:設計速度
各設計速度に応ずる緩和曲線の計算表は,表 4-18 のようである。
表 4-18
(3)緩和曲線の必要長
ショーツ式を上限とし,補正式を下限とする中間の横力を一般に受ける。したがってショーツ式と補正式および
緩和走行時間を勘案して必要な緩和曲線長を算定する。走行時間 3 秒では,曲線半径が小さい場合ショーツ式を
満足することにはならない。しかし,このようなことが起こるのは曲線半径が望ましい最小値以下の場合であり,
補正式の方は満足することになるので,実質的には影響がないという考えをとって t=3 秒により緩和曲線長を決
定する。(表 4-19)
表 4-19
(4)クロソイドのパラメーター
緩和曲線長を規定したが,緩和曲線としてクロソイドを考える場合,そのパラメーターの最小許容値の指針を与え
ておく方が実際的な場合が多い。(表 4-20)
表 4-20
4-8-4 緩和曲線の省略
緩和曲線を省略できる曲線半径の限界は次のように定めるものとする。
緩和曲線を直線と円曲線の間に挿入する場合は,限界移程量は
(1)
20cm 程度あれば物理的には十分である。緩
和曲線を設けるべき限界曲線半径を計算すると表 4-21 のようになる。
表 4-21 の値より大きい半径に対しては緩和曲線を設けなくてもよいことになるが,
緩和区間の長さを最小に選
んで計算されたものであり,本来もう少しの余裕が必要であると思われる。
視覚的にも走行的にも運転者の快適性を損なわないためには表 4-21 の値の 2 倍程度までは緩和曲線を省略しな
い方が望ましい。表 4-22 は,このような意味の限界曲線半径の一般値である。
表 4-22
(2) 同方向に屈曲する大円と小円の間の緩和曲線については
ⅰ)緩和曲線の設定による大円の小円からの移程が 0.1m 未満であるとき
移程量が 0.1m 未満である条件は
R?
r
1 ? ? ?r
? ?
1
2
?V ?
?
? ?3 1
24 S ? p 2
3
.
6
?
?
R:大円の半径(m) ,r:小円の半径(m) ,V:設計速度(km/h),S:移程量=0.1m,
p:遠心加速度の変化率(m/sec3)
ⅱ)大円の曲率と小円の曲率の差が表 4-21 で規定したものの曲率以下であるとき緩和曲線は設けなくてもよい
1
1 1
? ?
R0 r R
R0 は緩和曲線を設けなくてもよい限界曲線半径(m)
一般的には設計速度 80km/h 以上の場合,大円が小円の 1.5 倍以下
設計速度 80km/h 未満の場合,大円が小円の 2.0 倍以下
のときはじめて緩和曲線を省略するほうがよい。
4-9 片勾配及び拡幅の場合のすりつけ
1. 片勾配を付する場合,または片勾配の値の変化する場合,もしくは曲線部の拡幅を行う場合には,すりつ
けを行うものとする。
2. 片勾配すりつけの長さは車道端に沿う片勾配すりつけの割合が,次の表に示す値以下となるような長さと
するのが望ましい。
3.片勾配ならびに拡幅のすりつけは緩和区間内で行うものとする。
4-9-1 片勾配のすりつけ
(1)片勾配のすりつけ方
片勾配のつけ方としては,道路または車道の中心を回転軸にとる場合と車道の外側縁を回転軸にとる場合との
2 通りがある。
図 4-29
図 4-29 において(a)は非分離道路,(b)は分離道路を表すもので,一般的に(a-1)または(b-1)の方が,直線部と
曲線部における車道縁の差が小さくなるので良いが,分離道路で分離帯幅が狭い場合や地形が平坦な場合には
(b-2)のほうが優れている。
片勾配のすりつけに対する考慮としては,車道の外側線の上昇速度及び車道面の進行方向を軸とする回転角速
度を,一定限度以下に押えることがあるが,人体の快,不快に対する影響は,一般に上昇速度より回転角速度の
ほうが大きい。
すりつけ率をどの程度に抑えるかは,縦断面の状態,排水の条件,縦断勾配の制限,美観等を考慮して決定す
る必要があり,(a-2),(b-2)の場合は規定のすりつけ率までとってもよいが,(a-1),(b-1)の場合には表 4-25 の最上欄
の値を最大すりつけ率として抑える方が望ましい。
表 4-25
(2) 片勾配のすりつけと緩和曲線長
片勾配のすりつけは緩和曲線の全長にわたって行うものであるので,緩和曲線の長さは片勾配のすりつけが完全
に行われるだけなければならない。所要緩和曲線長は,
曲率のすりつけのための区間長と密接な関係があるので,
それとの関連で,大きい方にさだめなければならない。
ⅰ) 直線から緩和曲線なしに円曲線に接続する場合で,一様すりつけとなるときは,直線部 1/2,円曲線部 1/2
の割合ですりつけを行う。
ⅱ) 複合円の場合には,片勾配のすりつけ率によって決まる長さのすりつけ長さとし,小円 1/2,大円 1/2 の割
合ですりつける。
(3) 排水のために必要な最小すりつけ率
一般にはできるだけ緩であることが望ましいが,横断勾配が小さくなる区間では,排水上の理由からなるべくは
やく必要な横断勾配を確保しなければならない。したがって,次の原則によることを推奨する。
a.2 車線道路の道路中心,または分離された道路の片側 2 車線の車道中心を片勾配すりつけの回転軸にとる場合
ⅰ)直線部の横断勾配が-1.5%であるときには,15m 区間で-1.5%から 0 まですりつくようにする。
ⅱ)直線部の横断勾配が-2.0%であるときは,20m 区間で-2.0%から 0 まですりつくようにする。
b.a.は車道面の回転軸から車道縁までの距離が,1 車線幅の場合であるが,回転軸から車道縁までの距離が 1 車
線をこえる場合にはⅰ)の規定すりつけ長にそれぞれ次の倍率をかけた長さをとるものとする。
回転軸から車道縁までの距離
倍率
車線
1.5
1.2
2 車線
1.5
3 車線
2.0
(4)線形と横断勾配のすりつけ
最小すりつけ率,最大すりつけ率を勘案し,横断勾配のすりつけは線形のいかんに応じて次の各項に示すように
行う。
なお,内側車線の横断勾配に,外側車線の勾配が等しくなるまで,内側車線の横断勾配を標準勾配のまましてお
いて,同一平面となってから,外側車線に合わせて,片勾配を付けていく方法は,計算が簡単であるという利点
から許されるものである。
(a)非分離 2 車線道路
(b)分離 4 車線道路
図 6-30
図 4-31(a)
図 4-31(b)
図 4-31(c)
図 4-31(d)
図 4-31(e)
図 4-31(f)
図 4-31(g)
図 4-31(a):外側車道縁についての一様すりつけにおいて,-2.0∼2.0%の区間 Ls が 40m を超えるときは,Ls を
40m となるようにすりつける
図 4-31(f):二つの緩和曲線のパラメーターが相異なる場合でも一様すりつけとしてよい。
(5)横断勾配すりつけに関するその他の注意
a. 緩衝縦断曲線
横断勾配すりつけを行う場合,そのすりつけの始終点における車道縁には,折曲点が生ずる。この折曲度(車道縁
に沿うプロフィールの勾配代数差)がある程度以上の場合には,縦断曲線を挿入しなければならない。これを緩衝
縦断曲線という。緩衝縦断曲線は 2 次放物線とし,その大きさは表 4-27 に示す値以上とする。
表 4-27
K:2 次放物線の定数または曲線半径(m)
q:折曲点の勾配代数差(m/m) =すりつけ率
l:緩衝縦断曲線長(m) =K・q
緩衝縦断曲線の設置方法として,その終端を緩和曲線の終端に一致させる場合と,KE を跨いで所要長をとる場
合があるがカント不足にさえ注意すれば,後者の方が設計も容易であるので通常は後の方法をとればよい。
b. 縦断曲線上でのすりつけ
車道の縦断線形が曲線であって,その中で横断勾配のすり
つけを行うときは,車道縁の凹,凸部の緩和に留意し,車
道縁が波状の形とならないようにしなければならない(図
4-33)。車道内外線に折曲点ができて視覚的に好ましくない
ときは,曲線または直線を挿入して滑らかにすりつけるの
がよい。
4-9-2 拡幅のすりつけ
拡幅のすりつけも,原則的には緩和区間の全長にわたるす
りつけを行なう方針で設計するほうがよい。
(1) 緩和曲線区間のすりつけ
図 4-33
道路中心線に緩和曲線が設定されている場合の,車道端
の拡幅部へのすりつけ方法としては 3 つが考えられる。ⅰ)は緩和曲線区間で一様にすりつける方法,ⅱ)はすり
つけ端が滑らかになるようにさらに高次の放物線を使用する方法,ⅲ)は車道端にも緩和曲線を挿入する方法であ
る。
設計速度が低い,比較的低規格の道路,あるいはインターチェンジのランプなどにおいては,そのすりつけは
ⅰ)もしくはⅱ)によって行なう。通常はⅰ)による一様すりつけが簡便である(式①)。しかし,すりつけ端が滑ら
かにならない場合には②式を用いる。なお,拡幅量は車線または車道の中心線の法線方向にとる。
設計速度が高い高規格の道路,あるいは都市内高速道路のように構造物区間が多く高欄等が目立ち易いような道
路においては,車道端にも緩和曲線を挿入する方法が望ましい。
a.車道の外縁線を道路中心線に平行に置いて,道路中心線および内縁線をともに拡幅量を考慮した移程量をもつ
クロソイドで設定する方法
b.a.と同様に車道の外縁線を道路中心線に平行に置くが,道路中心線及び内縁線はクロソイドによらず,道
路中心線の長さに比例して拡幅量を配分する方法。これは比較的低規格の道路では実用としてよい。
c.拡幅後に設定する新しい道路中心線を当初から拡幅量の影響を考慮したクロソイドで設定し,両側に各車線
毎の拡幅量を比例配分する方法。このように両側拡幅を行う場合に注意することは,折れ曲がって見えるという
ような視覚的に滑らかでない状態を生じないよう
にすることである。
(2)低規格の道路で緩和曲線を設けない場合の緩
和切線によるすりつけ
自動車は車道上の任意の箇所を走行しうるから,
車道の形状が正しい緩和曲線でなくてもよいと考
え,図 4-35 のように曲線部で車道の幅員を拡大し
た部分を,内側円曲線に切する直線で,直線部に
すりつけるのであるがこのすりつけの直線を緩和
切線と称することにする。
図 6-35
4-10 制動停止視距と追越視距
第19条 視距は当該道路の設計速度に応じ,次の表の右欄に掲
げる値以上とするものとする。
2 車線の数が 2 である道路(対向車線を設けない道路を除く)
においては,必要に応じ,自動車が追越しを行なうのに十分な
見とおしの確保された区間を設けるものとする。
4-10-1 概説
道路の幾何学的構造を規制する要素として幅員,線形,勾配
等の基準がそれぞれ設けられているが,中でも視距の占める役
割は非常の重要なものである。
十分な視距が確保されなければ,
安全性,快適性の上から不完全極まりないものとなる。視距は
すべての道路において確保されなければならないが,地形,
地物に制約される道路では設計に非常に大きな影響を与え
るものである。
視距の確保については,図 4-37 のような平面線形の道路に
おいて視線 A∼B を確保することである。この場合,半月
形 ACB 中に視線をさえぎるものがあってはならない。
視距には制動停止視距,避走視距,追越視距が考えられる
が,通常は制動停止視距があれば十分である。対向 2 車線
道路については追越視距についても考える必要がある。第
3 種第 5 級および第 4 種第 4 級の道路については,すれ違
う余裕がないので,対向する車も考えて制動停止視距の 2
倍の長さが必要である。
図 4-37
4-10-2 視距の計算
(1) 制動停止視距
視距として必要なものは前方の同一車線上に故障車などの障害物を認めた場合にブレーキをかけて停止するた
めに必要な制動停止視距である。
(2)追越視距
追越視距とは追越しを行うために必要な車道の中心線上 1.2m の高さから車道の中心線上にある高さ 1.2m の
物の頂点を見とおすことのできる距離を車道の中心線上に沿って測った長さをいう。計算値は表 4-35 の通りであ
る。
表 4-35
全延長に対する追越視距区間の割合でいえば,表 4-36 の通り 30%以上,やむを得ない場合でも 10%以上の区
間を確保することである。対向 2 車線道路においては,追越視距区間においても対向車がある場合は追越しが不
可能であり,このことから考えると上記の割合は最低の条件とも考えられる。
表 4-36
4-10-3 視距の確保
建設時には視距が十分確保されていても,将来沿道に人家が建つ等の理由で視距が保たれない恐れのある場合に
は,曲線半径を大きく取るとか,必要な範囲を道路敷として確保する等の配慮が必要である。
曲線部において,切土法面,分離帯等により視距が確保されない場合は,以下に示す方法により,必要な範囲
を求めて,その範囲を路肩,側帯を広げるなどして視距の確保に努めなければならない。
(1) 円曲線の内側に設ける空間の限界線(図 4-39)
(2) 直線と円またはクロソイドと接続している場合
直線と曲線と接続している場合は,図面上に実際に落とし
て見ることによって,法面等の切取り部分等を得ることが
できる。
(3) 平面曲線と縦断曲線が重なっている場合
4-11 縦断勾配
4-11-1 縦断勾配
第20条 車道の縦断勾配は,当該道路の設計速度に応じ,
次表の右欄に掲げる値以下とするものとする。ただし,地
形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合にお
いては,同欄に掲げる値に第 1 種,第 2 種または第 3 種の
道路にあっては3%,第 4 種の道路にあっては2%を加え
た値以下とすることができる。
図 4-39
(1) 概説
縦断勾配に対しては車の能力の差が大きく作用し,余剰馬力の少ないトラックにおいては勾配がきつくなるに
したがって走行速度の低下が著しくなる。この勾配区間における速度低下は他の高速車の走行を妨害し,交通を
混乱させ,ひいては道路の交通容量を低下せしめる原因となる。したがって,縦断勾配の基準値は経済的な面か
ら許容できる範囲で,できるだけ速度低下が少なくなるように定め,他の区間と同様に設計速度に近い走行速度
を確保するように努める必要がある。また,勾配区間における交通容量の低下を防止するためには登坂車線を設
置するのがよいと思われる。
(2) 基準の算定方針
速度低下をどの程度に抑えればよいかは,低速車の他の交通への影響,交通の均一性等を考慮して勾配の影響
が少なくなるように考えておく必要がある。基準の算定方針としては次のように考える。
ⅰ)縦断勾配の一般値は,乗用車に対してはほぼ平均走行速度で登坂できるように,また普通トラックに対しては,
ほぼ設計速度の 1/2 の速度で登坂できるように定める。
ⅱ)縦断勾配の特例値は,登坂時に坂路の終端において,乗用車に対しては,ほぼ平均走行速度,普通トラックに
対しては,ほぼ設計速度の 1/2 の速度が確保できるように,縦断勾配の値と長さを規定する。
ⅲ)登坂車線を設けた場合は,乗用車がほぼ設計速度の 2/3 程度を確保できるようにし,普通トラックについては
登坂速度は考慮しない。
ⅳ)普通トラックは最大積載時の場合も考えて上記の速度を確保するようにする。
ⅴ)都市部の道路については,都市機能との合致を考え,都市部以外の道路に比べ,やむを得ない場合の基準値を
きつくする。
(3) 縦断勾配の基準の算定
a. 自動車の性能 普通トラック 10PS/ton 以上,大型トレーラー7PS/ton 以上,乗用車 40PS/ton 以上
b. 10PS/ton 以上登坂時の運動力学
縦断勾配の制限値は縦断勾配の長さが無限にあっても,ある許容限度の速度で登坂できる値であり,これはその
速度での駆動力と走行抵抗力とが等しくなる縦断勾配の値となる。
各車種に対し速度毎の登坂可能勾配は次表のようになる。
4-11-2 縦断勾配の特例値
地形の状況その他の特別な理由により,や
むを得ない場合において規格値をこえた縦
断勾配を用いるときの制限長は次のとおり
とする。
ただし,上記の制限長の値は,平坦な所よ
り,所定の勾配の坂路を登るときその始点
で,走行車両が設計速度を有しているもの
とし,この速度が許容速度に低下するまで
に登坂する距離を求めたもので,その他の
地形上の条件が与えられるときは,この趣
旨に順じて適用する。
坂路においては,進入時に有する速度に
より,その坂路の勾配と釣り合う速度に低
下するまでにかなりの距離を登坂できる。
このため勾配長が短ければ,許容速度に低
下するまでに至らずに,よりきつい勾配で
も登坂することは可能である。よって,坂
路における初速と許容速度との関係より,各勾配値における勾配長を求め,これを制限長とする。
(2)縦断勾配値と制限長
普通トラックの走行特性だけを考慮して基準
を定める。坂路の始点において,走行車両は
設計速度を有しているものとし,この速度が
許容速度に低下するまでに登坂する距離を各
勾配毎に算定したものが,表 4-42 である。
4-11-3 適用の際の注意
(1)縦断勾配の決定
縦断線形の設計に当たっては地形その他の
条件を十分に検討して可能な限
りゆるい縦断勾配の値を取るよ
うに努めるべきである。各道路
の車種構成および予想される走
行速度により経済的な面とのバ
ランスを考慮して勾配の値を定
めるべきである。また,縦断勾
配の設計は単に縦断線形にとらわれずに平面線形との調和を考えて,勾配の値と長さおよび勾配区
間の起終点を定めるべきである。
a.異なる縦断勾配値を接続させる場合
縦断勾配の設計に際し,縦断勾配を基準値におさえるために,連続した急勾配の中間にごく短区間の平坦区間
または緩勾配区間を設置するのは,その効果を十分検討したうえで設計しない限り好ましくない。
b.積雪地における縦断勾配
積雪地における縦断勾配の値は,できるだけ急勾配の値を用いるのは避けるべきである。一般には最急勾配値
としては 8%程度に押さえるべきであり,冬期の交通の多い率が予想される場合には 6%程度で押
さえるべきである。
c. 縦断勾配区間が曲線部と重なる場合
縦断勾配が急な区間でまた曲線区間と重なっている場合には,片勾配の値と縦断勾配との合成勾配の値が規定
値内に収まるようにチェックする必要がある。
d.登坂車線を設置する場合
地形その他の状況によっては,縦断勾配を規定の制限長以内に収めることは,非常に経費のかかる場合がある。
この場合には登坂車線を設置する等の計画を比較する必要がある。
(2) 縦断勾配の最小値
縦断勾配の値は小さいことが望ましいが,平坦区間を長区間に渡って設置するのは問題がある。縦方向にも路
面排水のために,ごく小さな値の縦断勾配を付しておくことが望ましい。この値としては,0.3∼
0.5%程度あれば十分である。
4-13 縦断曲線
4-13-1 縦断曲線
(縦断曲線)
第22条
車道の縦断勾配が変移する箇所には,縦断曲線を設けるものとする。
2 縦断曲線の半径は,当該道路の設計速度及び当該縦断曲線の曲線形に応じ,次表の縦断曲線の半径の欄に掲げ
る値以上とするものとする。ただし,設計速度が 60km である第 4 種第 1 級の道路にあっては,地
形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては,凸形縦断曲線の半径を 1,000m
まで縮小することができる。
3 縦断曲線の長さは,当該道路の設計速度に応じ,次表の右欄に掲げる値以上とするものとする。
(3) 縦断曲線長の計算
表 4-46 凸型縦断曲線長の計算
表 4-47 凹型縦断曲線長の計算
4-13-2 縦断曲線半径の望ましい値
縦断曲線の半径は,設計速度に応じ,次の表に掲げる値以上をとることが望ましい。
第 22 条で掲げている縦断曲線半径の値は必要とする最小半径の計算値をそのまま示したものであり,実際
に設計するに際して,安全性,快適性などを考慮すれば,規定値の 1.5∼2.0 倍ぐらいの値,つまり
本項に掲げた値以上を用いるのがよい。
4-14 横断勾配
(横断勾配)
第23条 車道,中央帯および車道に接続する路肩には,片勾配を附する場合を除き,路面の種類に応じ,次の表
の右欄に掲げる値を標準として横断勾配を附するものとする。
2 歩道又は自転車等には,2 パーセントを標準として横断勾配を附するものとする。
4-14-1 車道部の横断勾配
路面の横断勾配は,路面に降った雨水を側溝または街渠に導くために必要である。その横断形状は,路面の排
水に対して十分であるとともに,交通車両の走行に対して安全かつ支障のないものでなければなら
ない。
横断勾配の値を決定するに当たっては,標準の値は排水に最も影響の大きい路面の種類と車線数に応じ,表 4-48
の通りであると考えてよい。
広幅員道路で外側の車線の横断勾配を大きくする必要がある場合は図 4-57 に示すように 2 種類の断面が考え
られる。
車道が往復分離されている場合は図 4-58 に示すような 2 種類の断面が考えられる。
は最も一般的な断面である。
(a)
(b) は降雨の再に路面の水の流れを最小にすることができる。また,路面の高い点と低い点との高さの差が小さ
いので,片勾配のすりつけが容易である。
4-15 合成勾配
第25条 合成勾配(縦断勾配と片勾配または横断勾配とを合成した勾配をいう。)は,当該道路の設計速度に応じ,
次の表の右欄に掲げる値以下とするものとする。ただし,設計速度が 1 時間につき 30 キロメート
ル又は 20 キロメートルの道路にあっては,地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場
合においては,12.5%以下とすることができる。
2. 積雪寒冷の度がはなはだしい地域に存する道路にあっては,合成勾配は 8%以下とするものとする。
4-15-1 概説
道路の路面には,横断勾配と縦断勾配とがついており,路面の最急勾配は,そのいずれよりも大
きい。それを合成勾配としょうするが,その大きさは
S?
i2 ? j2
ここに,S:合成勾配(%),i:横断勾配又は片勾配(%),j:縦断勾配(%)
で計算できる。
4-15-2 算定の基準
降坂部での危険性に着目して,合成勾配の最大許容値を求める。降坂速度を設計速度をとることにし,片勾配
では 10%,半径Rは縮小値,縦断勾配の最急制限値は 4-11 縦断勾配における一般の場合を取るも
のとして計算すれば,表 4-49 のようになる。
表 4-49
合成勾配が許容値を超える場合には,縦断勾配か片勾配あるいは両者を同時に減らさなければな
らない。なお,許容最高の合成勾配は規定のとおりであるが,一般には 8%以下におさえることが
望ましい。
適用の際の注意
4-15-3
合成勾配が 8%,10%,11.5%の場合
における横断勾配と縦断
勾配との組合わせ上の限
界線を図示すると図 4-61
のようになる。
反対に合成勾配が過小にすぎるのもよ
くない。合成勾配が過小と
なると路面の排水が速や
かに行われない。このため,
合成勾配は 0.3∼0.5%確保
されるようにすることが
必要である。
図4-61