偏光フィルムの使い方

偏光フィルムの使い方
図1
概要 :
この偏光フィルムを使うことで、短時間で簡単に、しかも非破壊
かつ定性的に、成形直後やシール直後のブリスターを評価するこ
とができます。この評価は、ブリスター内の歪みを検出します。
この歪みはシール性の低下、マイクロチャネルを招き、最終的に
45o
は安定性試験の不合格や上市に失敗する可能性を高める原因にな
ることがあります。
使い方 :
この偏光フィルムを使ってブリスターを評価するには次に示す簡
単なルールを守ってください。
1. ブリスターは透明フィルムを使用したものであること
偏光フィルムシート
図2は不良品(左:歪みがあるブリスター)と良品(右:
歪みが少ないブリスター)が偏光フィルムによってどの
ように見えるかを示しています。
2. ブリスターの下にアルミ蓋やもう一枚の偏光フィルムのよう
な、反射性のものを置くこと
3. ブリスターを偏光フィルムの下に置き、フィルムに対して
図2
45度の角度にします。(図1を参照)
4. シール領域の歪みを確認します。歪みがある場合、色の変化
を認識できます。(図2、図3を参照)そしてこの歪みはシ
ール工程中の熱によって弛緩し始めます。この歪みの弛緩が
マイクロチャネルを引き起こします。
5. 成形されたブリスターキャビティの歪みを確認します。歪み
がある場合、茶色から青色の変化を認識できます。歪みが大
きくなるにつれて色の輝度が高くなります。
偏光フィルムを使うことで成形後のブリスターの歪みや分子配向
が見えるようになります。特に懸念されるのは、シールフランジ
面の歪みです。歪みが大きくなるにつれて、色の輝度が茶色から
青色、またはさらに高い輝度へと変化します。これは成形中の分
子が、ランダムな弛緩状態から伸びたばねのような鎖の配向状態
になっていることを表しています。ブリスターにこの配向状態や
ンブルーテストはたいて
シール面の一様な色は均一
いの場合、マイクロチャ
な内部状態であることの印
ネルによる漏れを検証す
です。漏れのリスクが低い
るには不十分です。
ことを示しています。
歪みが固定化されてしまう温度は、たいていのアルミ蓋材のヒー
トシール材の活性化温度と同等以下であることがしばしばありま
す。シール工程中の熱によってブリスター内の歪みが緩和し始め
シール面の色の違いは
ますが、これがシールフランジ部を縮ませ、蓋材の接着層からの
歪みが形成されている
剥がれを引き起こします。キャビティ端面が変形するにつれてシ
こ と の 印 で す。 熱 緩 和
ール面積が減り、従ってシール強度を低下させ、マイクロチャネ
によりマイクロチャネ
ルを引き起こし、ついには安定性試験の不合格率を引き上げてし
ルを引き起こす可能性
まいます。メチレブリスターに切り取り線がある場合、それぞれ
があります。
の製剤が切り取り線に囲まれているため、そこから水分の浸入を
許してしまい、安定性試験の不合格率を更に高めてしまいます。
図3
ブリスター内の歪みを引き起こす一般的な原因とその対策方法について
原因
不十分な
成形温度
対策方法
•
•
•
•
•
予熱温度を上げる。
予熱滞留時間を増やす。
予熱プレートを掃除する。
金型温度を上げる。推奨温度は 20 C です。
予熱プレートと金型間の隙間を最小にする。
不適切な
フィルム送り
• 成形されたフィルムが金型表面に接触しないことを確認する。
• 予熱版と金型の高さを正しく調節する。
不均等な加熱
• 加熱プレートと金型の高さを確認し、必要に応じて調整する。
• 加熱プレートの温度を高温計を使用して確認する。
タイミング
のズレ
• 正しい成形作業順序に従う。金型を閉じる、プラグアシスト、エアー、金型を開ける、フ
ィルムを進める。
• インデックスから成形までの時間差を最小にする。
加熱プレートの不整合
• 加熱プレートの機能と水平性を確認する。
加熱プレートが短すぎる
• 予熱プレートの長さはインデックス間の長さの3倍が望ましいです。プレートの長さを伸
ばす場合や、インデックス間の長さの偶数倍に増やす場合は担当の OEM に連絡してくだ
さい。
金型の不整合
• 上下のプレートの水平性を確認し、圧力が均等であることを確認してください。
• 成形サイクル中に空気漏れが無いことを確認してください。
金型
• バリア剤の成形には適切な金型を使用することが望ましいです。
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2010 年 12 月
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