第156号2016年 6月 1日発行

第 156 号
発行日 2016 年 6 月 1 日
発行所 社会福祉法人
北九州市手をつなぐ育成会
〒804-0064
北九州市戸畑区沖台2-4-8
TEL(093)884-1500
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発行責任者 小松 啓子
《 平成28年 熊本地震 》
育成会 / 義援金や職員派遣などで支援
4 月 14 日の「前震」の後、16 日にマグニチュード 7.3 の「本震」が発生した熊本
地震。熊本では「前震」
「本震」ともに震度 7 という激しい直下型の揺れが人命を奪
い、家屋を倒壊させ、多大な被害を受けた。育成会では、関係機関等と連携し義援
金の募集や支援物資の提供、さらには被災地への人的支援に取り組んでいる。
育成会では、①義援金募集、②支援物資募集、
募金箱に義援金
を寄せる利用者
③人的支援、④避難者の受入れの
4 つの支援に
に取り組むこととし、4 月 16 日から各施設・事
業所の利用者や家族、職員に対して義援金の呼
びかけを開始した。毎日、新聞やテレビ等で被
災地の模様が報道されていることもあって関
心は高く、利用者も進んで募金箱に義援金を寄
せる光景があちこちで見られた。また、支援物
資は水や食品、おむつ、衛生物品等、合計で約
御船町で安否確認などの支援
活動 にあ たる 職 員(右 二人 )
50 箱が集まり、同 25 日に福岡県知的障害者福
祉協会と一緒に支援物資集積場となっている
熊本県玉名市の施設まで第 1 便を搬送した。
さらに人的支援も本格的に同26日から動き出
し、翌27日には人的支援に参加する職員を激励
する壮行会も行われた。育成会が支援するのは
熊本市の南側にある御船町で、地元の社会福祉
協議会と連携して、障害のある町民の安否確認
や支援ニーズの把握等を行った。職員 2 人体制
でそれぞれ 3 日間の派遣期間で支援活動にあた
われる障害者や高齢者は、引き続き困難な生活
り、5 月下旬までに合計 23 人の職員が派遣され
を強いられている。小松啓子理事長は、
「被災地
た。これは、震災直後から支援活動に入ってい
の皆さんの心情に寄り添って、丁寧に支援活動
る九州ネットワークフォーラムと日本財団、N
を行っていきたい」と話し、育成会では今後も
PO法人み・らいず等との連携で実現した。
様々な団体と連携・協力しながら、息長く支援
「本震」から 1ヶ月半。特に「災害弱者」と言
活動を続けていくこととしている。
ほっとハウスやちよで活躍する上別府ユカリさん
ひ
と
利用者の可能性を引き出す支援を
「障害のある人たちと出会い、沢山の
可能性を学んだ。私たちも沢山の支援を
受けながら生活している。障害のある人
や大変さはあったが、利用者が自分の支援を受
も、支援量が多いだけで同じ人であるこ
とをいつも念頭に、人の可能性を信じる
欲に変えたと話す。ある時、在宅の利用者を支
援した。福祉サービスをほとんど利用しておら
支援が行えるように頑張っている」。支
ず、家族だけでのケアで生活していたため、家
援への熱い思いを語ってくれた。
族も本人もとても疲れていた。外出支援から始
育成会での職歴は23年。栄養士として
め、
少しずつ自分たちの支援を受け入れてくれ、
入職したが、16年目に障害者への思いや
法人の配置状況により支援員へ職種変更
本人や家族との信頼関係を築いていった。その
け入れてくれた時、やりがいを感じ、それを意
した。現在は、開設 3 年目の放課後等デ
後、本人のニーズで地域生活を目指すようにな
り、最終的にグループホームで生活することに
イサービス事業所「ほっとハウスやち
なった。ここまで 5 年。外出支援から始め地域
よ」で児童発達支援管理責任者として中
移行まで支援を続けた。この経験で支援の継続
心的な役割を担っている。放課後等デイ
性、一貫性、連携の大事さを実感したという。
サービス事業は放課後や夏休み等の長期
休暇中の障害児に生活能力向上のための
今後の抱負を尋ねると、
「児童期の支援が成人
訓練等を継続的に提供するサービスで、
期にも引き継がれていくよう支援のデータベー
スを整えたい。そして、利用者の可能性に気づ
支援内容の組み立てなどを担当するほ
き強みを引き出し本人の夢に近づく支援をした
か、利用者家族への支援にも力を入れて
い」と笑顔で語った。また、今年は地域資源を
いる。また、若い職員へのアドバイス役
積極的に活用し地域との関係性を深めたいとも
ともなっている。
入職当時から栄養士の業務でも利用者
話す。上司の障害者サポートセンター西部の酒
との関わりを大事に持ち続けてきた。そ
井修平事業所長は「チームの中で最も信頼され
る一人。厳しい支援の場面でも決して逃げず、
のことから支援員へ職種変更することに
利用者と向き合っている。この姿勢が利用者一
ためらいはなかったという。支援員と
人ひとりの成長を育んでいる」と評価する。
なってからは、生活の中でも常に支援の
座右の銘は「初心を忘れるべからず」。趣味は
ことを思うようになった。支援での悩み
温泉、手芸。休日は家でゆっくりしているとか。
エリアだより
中部エリア
カフェ「ぱる 」で
接客する利用者
▽カフェ「PaL(ぱる)」が 1 周年へ!
インクルとばたの就労継続支援 B 型事業の一
つであるカフェ「PaL(ぱる)」がこの 6 月 23 日
でオープン 1 年を迎える。店名の「PaL」は英語
で「仲間」の意味で、地域の仲間・友達が集う
居心地の良いカフェを目指している。
オープン当時の利用者は「いらっしゃませ」、
「ありがとうございました」が上手に言えな
とお客との距離が近づくとともに、利用者の自
信にも繋がっている。
かった。また、予約席に座ろうとするお客に「そ
メニューはコーヒー付で 500 円の日替わりラ
こは予約席なので、こちらにどうぞ」と伝えら
ンチやハニートースト、カレー、プリンなどで
れず、
「そこは、だめー!」と声をかけることが
決して種類は多くない。しかし、利用者が心を
精一杯でお客を困らせてしまったり、水の分量
込めて接客をしていることから常連のお客もで
を間違えご飯を炊いたりと失敗も多々あった。
き、
「美味しいと聞いたから」と口コミによる新
しかし、約 1 年が経ち、利用者は少しずつ接
規のお客も増えている。
客も身についてきて、今では大きな声で接客す
18 席の小さな街角のカフェ「PaL」。同事業所
る姿と笑顔が板についている。また、お客から
では、その名のように色々な人が憩う場に育っ
「今日はおったんやね」と声をかけられる場面
ていってほしいと、さらに利用者、職員一丸と
も見られ、お客との会話も多くなるなど利用者
なって取り組んでいくとしている。
西部エリア
八幡西障害者地域活動センターで
演奏するノーチェ・アンド・モンテ
▽いつもの空間で、特別な楽しみを
八幡西障害者地域活動センターでは、就労継
続支援事業 B 型、自立訓練事業、生活介護事業
の 3 事業を展開しており、利用者数は 100 名を
超える。通常はそれぞれの事業に分かれて、日
中活動に参加しているが、土曜日の午後は「音
楽」、
「スポーツ」、
「アート」の 3 つの通年プロ
「音楽」プログラムで演
奏を 楽 し む利 用 者 ら
れのプログラムでの昼下がりを楽しんでいる。
4 月 30 日の「音楽」プログラム。暖かな陽光
が差し込む室内は、プロが奏でる心地よいラテ
ン調のギターとヴァイオリン、観客である利用
者と職員の手拍子と掛け声が響きあった。演奏
は「Noche & Monte」
(ノーチェ・アンド・モンテ)
というデュオで、九州初公演を行っている最
中、熊本地震が発生し、チャリティーライブを
グラムを提供している。この時間になるといつ
行いたいと同事業所での出張演奏が実現した。
もの活動場所がいつもとは違う空間となり、事
当日は演奏曲も多岐に渡り、利用者の笑顔と拍
業の垣根を越えて利用者、職員が集い、それぞ
手がいつまでも余韻として残った。
特 集 ①
市立施設の譲渡に伴う再整備事業(建替え)の第5号となる「インクルきく」が
この 3 月末に完成し、4 月 27 日に竣工式が行われた。式典には行政、議会、学
校、地域関係者、親の会役員など 41 人が参加し、完成を祝った。
育成会では、
25 年度から市指定管理施設再整
練施設 飛翔館」
「育成会 西部会館」
「育成会会
館」
「育成会 東部会館」が完成している。
続く第 5 号として今回、
「インクルきく」が完
成。
「インクルきく」は「きく工芸舎」の建替え
に伴う新施設で、完成に合わせて名称も変更さ
式典で利用者 を代表して
挨拶する伊東修子さん
備事業が動き出し、これまでに「障害者自立訓
れた。新たな施設は 2 階建てで、生活介護事業
の単体事業所として、利用者が安心して過ごせ
るように活動室を広くし採光や動線などにも配
慮、暖かく家庭的な雰囲気となっている。
地震で、職員を交代で派遣し支援活動を始めて
式典では冒頭、小松啓子理事長が「インクル
います。
“社会貢献をしなければいけない”では
きくは、利用者にとって家庭的で暖かい雰囲気
なく、障害者の方の気持ちに寄り添うというこ
の施設をというコンセプトのもと、活動室も広
とで、これからも積極的に支援活動を行ってい
くとるなど利用者中心に考え、建設いたしまし
くつもりですので、ここで紹介させていただき
た。さまざまな方のご支援でその思いを実現す
ました。今後も法人では丁寧に利用者中心に頑
完成した「インクルきく」の外観
張っていきますので、どうぞよろしくお願いい
たします」と挨拶した。その後、渡辺徹・市議会
保健病院委員会委員長、
柴田憲志・市障害福祉部
長が祝辞を述べた。また、利用者を代表して同
事業所の伊東修子さんが「こんなに立派な建物
ができて本当にうれしいです。仲間と協力して
楽しい毎日を送りたいです。この建物を大事に
使って、ずっときれいにしていきます。部屋も
とても明るくて元気が出るので、いろいろな作
業を頑張りたいです」と挨拶し、家族会の服部
ることができ、ここに完成しましたことをとて
栄子さんは「これから新しい建物で見慣れた仲
もうれしく思います。今後は、職員が利用者を
間や職員と充実した日中活動を行えるので利用
迎え入れ、しっかりと支援していく毎日が始ま
者も本当に喜んでいると思います。これからも
ります。この新しい建物に魂を入れて、職員一
一人ひとりの利用者が毎日安心して通い、意欲
丸となって、利用者中心にこれからもしっかり
や楽しみをもって過ごすことができることを
と支援して参ります。また現在、法人では熊本
願っています」と新しい建物へ期待を寄せた。
特 集 ②
ハラスメント、メンタルヘルス対策が本格始動
育成会では、ハラスメント防止、メンタルヘルス対策を推進していくため、今
年度「ハラスメント防止委員会」、
「メンタルヘルス対策推進委員会」が設置され
た。この5月からは両委員会もスタートし、職員の心と体の健康づくりに向け、ハ
ラスメント、メンタルヘルスへの対策等が本格的に始動している。
第1回「メンタルヘルス対策推進
委員 会 」で協 議 す る メ ン バ ー ら
育成会では、昨年度、セクシャルハラスメン
ト、パワーハラスメントの両防止規程を創設し
就業規則へのセクハラ、パワハラの禁止・懲戒
の明文化も行うなど、ハラスメントの防止に向
けての対策等を推進してきた。
今年度、両規程に基づき「ハラスメント防止
委員会」が設置された。同委員会は、ハラスメ
ント防止の啓発や研修、ハラスメント事案に対
するヒアリング結果からの最終的な事実認定等
を行うもので、第 1 回の「ハラスメント防止委
員会」が 5 月 6 日に開催された。これには委員
同 12 日、第 1 回「メンタルヘルス対策推進委
ら 7 人が参加した。なお、同委員会は委員長の
員会」が開催。これには委員長の松﨑泰典西部
小松啓子理事長、副委員長の松﨑裕二東部エリ
エリアマネージャー(八幡西障害者地域活動セ
アマネージャーのほか、幅広い意見を反映する
ンター事業所長兼任)のほか事業所長 2 人、人
ため事業所長 2 人、現場職員 2 人で構成されて
材育成課長など委員ら8人が参加した。なお、委
いる。この日は、創設されたセクハラ、パワハ
員には職員側の意見を反映するため、育成会の
ラの両防止規程の確認や、状況把握のためのア
労働者組織である「ワーカーズクラブ」の会長、
ンケートの実施、研修、相談窓口、事案発生時
副会長もメンバーとなっている。この日は、昨
の動きなどを協議。小松理事長は「法人では職
年度提出された「心と体の健康づくりに関する
員の一人ひとりを大切に全職員が働きがいのあ
提案」の確認や、労働者が 50 人以上の事業所で
る職場づくりを目指しており、同委員会の今後
実施が義務化された「ストレスチェック」の実
の丁寧な取り組みに期待したい」と話す。今後
施、研修、相談体制などについて協議した。今
は2ヶ月に1回、定例の委員会を開催し啓発や研
後は毎月、定例の委員会を開催し、推進体制の
修などについて協議していく。また、ハラスメ
検討や予防・啓発活動、教育研修等の企画運営
ントの事案発生時には随時開催する。
について協議していく。
一方、メンタルヘルスについては、昨年度、
育成会では、28 年度、
「魅力的な法人づくり」
「メンタルヘルス対策プロジェクト」が立ち上
を経営方針、
「利用者と職員は法人の宝」を合言
げられ、
「心と体の健康づくりに関する提案」が
葉に「現場の職員が利用者のニーズに合わせて
小松理事長に提出されていた。これを受け、本
創意工夫ができ、誇りとやりがいを持って働け
格的な取り組みを始動させていくため、28年度
る環境」などに取り組んでいる。そのことから
は「メンタルヘルス対策推進委員会」を創設し
もハラスメントを許さない、職員が働きがいの
検討・提案を行っていくこととしている。
ある職場づくりを目指していくとしている。
Topics(法人の動きから)
熊本地震 被災地支援 / 人的支援で壮行会を実施
2 8 年度のリクルータープロジェクトが始動
育成会が実施する熊本地震・被災地支援の内、人的支
援に参加する職員を激励する壮行会が4月27日、戸畑区
今年度のリクルータープロジェクトが5月6、18日の
2回に渡り、
「育成会会館」で開催された。これには、メ
の「育成会会館」で開催された。これには、派遣される
職員や所属施設長・事業所長、各エリアマネージャー、
ンバー(リクルーター)の入職 2、3 年目の職員 8 人が
参加した。
小松啓子理事長の計26名が参加した。
冒頭、小松理事長が「熊本で被災された方たちは今、
同プロジェクトは採用活動の強化の一環として昨年
度から発足。リクルーターが母校の大学を訪問し育成
大変な思いをしている。私たちができることは何でも
やっていくということで、今回、在宅の障害者の訪問調
会や業務の説明、PRなどを行うもので、昨年度も学
生に育成会へ興味を持ってもらう大きな役割を果たし
査を担当する。
みんなで力を合わせて丁寧に支援してい
きたい」と挨拶。その後、松崎貴之本部事務局長が支援
た。この 5 月の 2 回の会合では、メンバー 8 人で学生時
代に何を知りたいと思っていたか、学生に何を伝えた
要項や現地の状況説明等を行い、質疑応答も行われた。
それぞれの職員からは
「精一杯やって少しでも被災者の
いか、育成会の魅力は何かなどを話し合い、大学訪問
時に配布する資料などを作成した。なお、それぞれの
方の役に立ちたい」など支援にかける思いも語られ、エ
リアマネージャーなどから激励の言葉も贈られた。
リクルーターは6月から7月にかけ、それらの資料など
を持参し母校を訪問することとなっている。
大学訪問時に配布する資料など
について話し合 う リクルー ター
危機管理体制の再構築について協議
臨時「経営会議」が 4 月 21 日、
「育成会会館」で開催
され、危機管理体制の再構築について協議、了承され
た。法人の危機管理については、27年度、法人幹部会議
の中で共有し対応してきたが、
今年度から体制を明確化
するため、危機管理(クライシス・マネジメント)は危
機管理委員会で、事故予防活動(リスク・マネジメント)
は施設長・ 事業所長会議で行うこととした。また、ス
ピードが重要とし「報告書」だけでなく「口頭」での事
故報告も重視することなども改めて申し合わせた。
「第 2 回ひまわりアート展」の作品募集を開始
育成会が主催する第2回「ひまわりアート展」の作品
ワーカーズクラブ /2 8 年度会長、副会長を選出
育成会の労働者組織「ワーカーズクラブ」は4月26日、
職場代表者会議を開き、28 年度の会長に清水亮介職員
(日明リサイクル工房)を、また副会長には横田博之職
員(本城リサイクル工房)と河野大輔職員(八幡西障害
者地域活動センター)を選出した。任期は 29 年 3 月 31
日まで。なお、昨年度の会則の改定により清水会長、横
田副会長が再任された。
同クラブは役員・管理職以外の全職員が加入し職場代
表者で役員会を構成。
労働条件などで役員が労使協議に
出席し法人執行部側と話し合いを行ったりしている。
清
水会長は「皆さんと協力しながら、働きやすい職場環境
づくりに向けて頑張っていきたい」と抱負を述べた。
募集が 5 月 16 日、法人内の各施設・事業所の利用者へ
開始された。
育成会では、障害や障害者への理解促進、啓発を目
的に平成 20 年から毎年「ひまわり写真展」を開催して
きた。昨年からはさらに書道、絵画も紹介するアート
展として利用者本人のエンパワメントや表現活動の場
としている。
2回目となる今年も多くの応募が期待され
る。なお、開催期間は 8 月 18 日から 28 日までの予定。
5 月の苦情は 6 件 (5 月 20 日現在)
・苦情解決委員会 意見箱等への投函件数
6件
・苦情解決推進委員会 施設現場からの報告 0件
法人 の 予 定
・6/8
-新任嘱託職員研修
・6/17・23 -新任正規職員研修
・6/9 -メンタルヘルス対策推進委員会
・6/22
-「法人」と「親の会」の連絡協議会
・6/10・24
-経営会議
・6/23
-当事者活動委員会
・6/17
-施設長・事業所長会議
・6/30
-考課者研修