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計測手法2(1-4 上肢操作力)
1. 計測項目
立位における上肢操作力について、下記の5項目を採り上げ、計測方法を定める。
「押す」「引く」
「捻り」
「上肢回旋」
「摘む」
2.計測に必要な機器
計測に必要な機器は下記のとおり。
a) アントロポメータ 肘頭下縁高等を計測する計測器(写真1)。
b) PRIMUS 押す、引く、捻り等の操作で働く力を計測する装置(写真2)。
写真2 PRIMUS
写真1 アントロポメータ
3.計測条件
計測は、全て自然立位で、脚を肩幅に開いた状態を保ったまま、アタッチメントに加えられた力を計測すること
とし、諸条件についておのおの表1のように定める。
表1 計測条件
計測項目
計測条件
押す
引く
捻る
上肢回旋
摘む
最大力のきめ方
5秒間の中の3秒の平均
①高さ水準
2水準(肘頭下縁高、肩屈曲 130°位)
アタッチメントの向き
水平
垂直
垂直
水平・垂直
②握り方
順手※2
2パターン※2
垂直のみ
3パターン※2
③方向
-
2パターン(左右)
2パターン(内旋、外
旋)
-
④計測回数
3回+練習
※1 被験者が違和感を訴えたら逆手でもよい。
※2 把持方法については後述する。
ピーク値
1水準(肘頭下縁
1水準(肘頭下縁
1水準(肩峰高)
高)
高)
2、3回
4.計測前の説明
計測を行う前に、被験者に、計測概要、及び下記に掲げる計測上の注意点等について説明を行う。
・ 極力上肢のみで力を発揮すること。そのため、計測中も力を加える前の姿勢を維持するように努め
ること。
姿勢維持のため、視線を定めておくことは有効である。
・ 力はゆっくりと加えること。勢いやはずみをつけないこと。
・ 計測中、被験者は息を止めないこと。
・ 装置(アタッチメント)に力を加えても、アタッチメントは移動しない。
・ 計測中気分が悪くなったらいつでも計測を中断できること。
等
5. 上肢操作力計測の実施
1) 押す・引く(肘頭下縁高)
計測手順
高さ設定
計測方法
写真
肘頭下縁高を計測、バーの高さを合わせる。
立ち位置設定
(写真 3、写真 4)
水平にセットされたバーの 20~30cm 手前に立ち、肩 0°
位、肘 90°位に曲げた前方にバーが位置するように、左右位
置を合わせる。
次に、肘 90°位に曲げた腕の手掌中央にバーが位置する
ように、前後位置を合わせる。
計測前の説明
計測方法について次の主旨に沿って教示する。
・押す、引くの計測を行うこと。
・1回につき5秒程度力を加えること。
・計測は複数回実施することから、5回程度は繰り返し出せる
力とすること。
・イメージは「目の前の棚に置かれた重い箱を片手で奥に押
す、あるいは引き出す。」
更に、4.に挙げた注意点を再度説明する。
計測手順の説明
計測の手順を説明する。
「バーを握る→押す(引く)約5秒間→終了のサイクルを教示し
ますので、教示に沿って実施してください。」
練習
計測手順に則り練習を行い、計測姿勢、出力等に問題がな
いか確認する。
計測実施
繰り返し3回計測する。出力に問題がある、あるいは体勢
等の変化があった場合は追加する。
1
写真 3 計測風景(横)
写真 4 計測風景(正面)
2) 押す・引く(肩 130 度屈曲)
計測手順
内容
写真
高さ設定
肩屈曲 130°位でまっすぐ伸ばしたときに、被験者が握れ
る高さにバーの高さを合わせる。(写真 5)
立ち位置設定
被験者は、高さがセットされたバーの 20~30cm 手前に立
ち、肩屈曲 130°位にて、バーの中央が手掌中央に位置する
ように、位置を合わせる。
計測前の説明
計測方法については、1)で行った注意点は同様であるこ
と、及び、今回の計測のイメージを教示する。
・イメージは「高い棚に置かれた重い箱を片手で奥に押す、あ
るいは引き出す。」
練習
1)と同様に練習を行い、計測姿勢、出力等に問題がないか
確認する。
計測実施
繰り返し3回計測を実施する。出力に問題がある、あるいは
体勢等の変化があった場合は、随時追加する。
写真 5 130 度屈曲
2
3) 捻り
計測手順
高さ設定
内容
写真
ノブの高さを肘頭下縁高に合わせる。
立ち位置設定
垂直にセットされたノブの手前に立ち、ノブが体幹中心の前方
にくるように位置を合わせる。
計測前の説明
計測方法について次の主旨に沿って教示する。
・ノブを左右に回す計測を行うこと。
・握り方は、親指中腹と中指側腹ではさみ、示指をノブの上面に
被せる握り方(写真 6)と、親指中腹と示指側腹ではさむ(写真 7)
2通りの方法で行うこと。
・計測は、ゆっくりと力を加えた、最大値とすること。(押す、引くで
用いた5秒の必要がないこと。)
・イメージは「空きにくいペットボトルのキャップ開閉。」
更に、4.に挙げた注意点を再度説明する。
計測実施
2通りの握り方について、それぞれ右廻しを2回、左廻しを2回
実施する。
値が大きく変動する場合、追加1回を認める。
写真 6 親指中腹と中指側
服ではさむ握り方
写真 7 写真 親指中腹と示
指中腹ではさむ握り方
写真 8 計測風景
3
4) 上肢回旋
計測手順
高さ設定
手幅計測
内容
写真
ハンドル(写真 9)の高さを肩峰高に合わせる。
滑動計により、被験者の手幅を計測し、記録しておく。
立ち位置設定
ハンドルの手前に立ち、肩 90°位でハンドルとX軸が一致す
るように左右位置を合わせる。
次に、腕の手掌中央にバーが位置するように、前後位置を合
わせる。
計測前の説明
計測方法について次の主旨に沿って教示する。
・ハンドルを左右に捻る力の計測を行うこと。
・握り方は、ハンドルにまいた白いテープを中指で隠すように握
ること。
・計測は、捻りと同様、ゆっくりと力を加えた、最大値とすること。
更に、4.に挙げた注意点を再度説明する。
計測実施
内旋を2回、外旋を2回実施する。
値が大きく変動する場合、追加1回を認める。
4
写真 9 ハンドル
写真 10 計測風景
5) 摘む
計測手順
①親指-示指側
腹摘み(写真 11)
高さ設定
内容
写真
ピンチツールを垂直にし、高さを肘頭下縁高に合わせる。
(写真 12)
立ち位置設定
立ち位置は、肩 0°位、肘 90°位に曲げた前方に位置するも
のとする。
計測前の説明
計測方法について次の主旨に沿って教示する。
・摘む力の計測を行うこと。
・摘み方は、親指-示指側腹、親指-示指(写真 13)、親指-示
指+中指(写真 14)の3通りの方法で行うこと。
・計測は、ゆっくりと力を加えた最大値とすること。
更に、4.に挙げた注意点を再度説明する。
計測実施
2回計測を実施する。
値が大きく変動する場合、追加1回を認める。
②親指-示指
③親指-示指+
中指
高さ設定
立ち位置設定
計測実施
写真 11 親指-示指側腹摘
み
写真 12 計測風景
ピンチツールの向きを水平にし、高さを肘頭高に合わせる。
(写真 15)
摘む部分が体幹中心の前方にくるように位置を合わせる。
2通りの摘み方について、おのおの2回計測する。
値が大きく変動する場合、追加1回を認める。
写真 13 親指-示指
写真 14 親指-示指+中指
写真 15 計測風景
5
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