柴田教授夜話(第 22 回)「地震と火山の国日本」2015 年 6 月 2 日 ver1.2 ■2015 年 4 月 25 日、ネパールで発生したマグニチュード (M) 7.8 の大地震 (お おじしん) は、カトマンズからヒマラヤ山脈ないしチベット高原にかけての広い 地域に大震災 (だいしんさい) をもたらした。死者だけでも 1 万人に迫る勢いで 被害の実態が明らかになりつつある。都市部を中心に多くの歴史的建造物が倒 壊した。また、エベレストなどの山間部では地震により誘発された雪崩が沢山 の登山者を飲み込んだ。これらの出来事は、人類の力が届かないレベルでプレ ートテクトニクスを着々と展開する地球の営みを感じさせる。正に自然の驚異 である。世界の屋根とも呼ばれるヒマラヤ山脈と隣接するチベット高原は、イ ンド・オーストラリアプレートに乗っかって北上し続けるインド亜大陸が、その 行方を阻むユーラシアプレート上のユーラシア大陸をぐいぐい圧迫し続ける結 果、両大陸の境界部が高く押し上げられてできたものである (図 1・2)。高地であ るにもかかわらず海棲動物の化石が日常的に見つかる事実は、この地域がかつ て海底であったことを物語る。洋の東西を問わず、このような領域では大地震 が繰り返されている。今回の震源付近は、以前より幾度となく M8 クラスの大地 震に見舞われてきた。今も大陸が移動し続けている証しである。 ■似たような構図を示す地域は日本にもある。現在、神奈川県にある丹沢山系 と静岡県の伊豆半島は、いずれもフィリピン海プレートに乗っかって南方から 到来し、それぞれ約 500 万年前と約 100 万年前、北米プレート側の神奈川県と ユーラシアプレート側の静岡県の境界部に接岸し、箱根山や富士山を含む周辺 山岳地域の形成を誘導したといわれる。伊豆半島の自然環境が亜熱帯系の雰囲 気を醸し出している理由はこの辺りにあるようだ。そして現在もフィリピン海 プレートによる圧迫は続いている。当然のことながら、伊豆半島近隣は地震多 発地帯である。昨今、大涌谷の散策路やロープウェイが閉鎖されたことで注目 されている箱根山とともに、五合目付近に地割れが生じ火口部が膨張傾向を示 す富士山も、関東甲信東海地方に住む人々に不安をかきたてる目の離せない存 在である。箱根山が最初に噴火したのは約 65 万年前、直近の噴火は約 3000 年 前と言われる。富士山が最初に噴火したのは数十万年前、有史以後では青木ヶ 原を形成した 864 年の貞觀大噴火 (3.11 に酷似する 869 年の貞觀地震の 5 年前) に続き、直近の噴火は 1797 年 (宝永の大噴火) である。あの東日本大震災をも たらした東北地方太平洋沖地震の 4 日後、富士山頂のすぐ近く、厳密に言うと 本火口の南東側に位置する宝永大噴火火口直下 14 km を震源とする M6.4 の大地 震 (気象庁によると静岡県東部の最大震度 6) が発生している (静岡県東部地 震)。これら二つの大地震 (3.11 & 3.15) は密接に関連していると言わざるを得な い。東北地方太平洋沖で起こった太平洋プレートと北米プレートの間の広範囲 に亘る大きなズレは、富士山付近に集中する北米・フィリピン海・ユーラシアと 1 いう三つのプレート (図 1 下) の間に歪みをもたらした。件の静岡県東部地震は この歪みのエネルギーの一部を放出したのである。 ■過去 90 年間に世界中で M7 以上の地震が 900 回発生しているが、その 10%が 日本付近を震源としていることからも明らかなように、日本は地震大国である。 Wikipedia を含むいくつかの資料を紐解くと、日本列島を襲った M8 以上と推定 されるプレート境界型 (海溝型) の巨大地震は以下の如く数えきれないほどあ り、M9 級の巨大地震は少なくとも 4 回発生している (西暦表記はユリウス暦)。 ►白鳳地震 (684 年 11 月 26 日; 推定 M9 級・震央@南海トラフ・日本書紀) ►貞觀 地震 (869 年 7 月 9 日; 推定 M9 級・震央@三陸沖南部・日本三代実録) ►仁和地震 (887 年 8 月 22 日; 推定 M8 以上・震央@南海トラフ・日本三代実録) ►永長地震 (1096 年 2 月 16 日; 推定 M8 以上・震央@東海南海トラフ境界部・中右記) ►康和 地震 (1099 年 2 月 16 日; M8.5・震央@南海トラフ・広橋本兼仲卿記) ►文治地震 (1185 年 8 月 6 日; 巨大だが M 不明・震央@南海トラフまたは琵琶湖西岸堅田断 層帯・方丈記) ►鎌倉大地震 (1293 年 5 月 19 日; M8.0・震央@相模トラフ・鎌倉大 日記) ►正平地震 (1361 年 7 月 26 日; M8.5・震央@南海トラフ・太平記) ►明応地 震 (1498 年 9 月 11 日; M8.6・震央@東海トラフ・御湯殿の上の日記) ►慶長地震 (1605 年 2 月 3 日; M8 前後・震央@南海トラフまたは千葉県房総沖・当代記) ►慶 長三陸地震 (1611 年 12 月 2 日; M8.1・震央@三陸沖中部・武藤六上衛門所蔵古大 書) ►延宝房総沖地震 (1677 年 11 月 4 日; M8.0・震央@房総半島東方沖・慶天拝 書) ►元禄関東地震 (1703 年 12 月 31 日; M8.5・震央@相模トラフ・楽只堂年録) ► 宝永地震 (1707 年 10 月 28 日; M9 以上・震央@東海南海トラフ境界部・万変記) ► 寛政地震 (1793 年 2 月 17 日; M8 以上・震央@南三陸沖・古廟山主将記録) ►安政 東海地震 (1854 年 12 月 23 日; M8.4・震央@東海トラフ・続地震雑纂) ►安政南海 地震 (1854 年 12 月 24 日; M8.5・震央@南海トラフ・続地震雑纂) ►安政八戸沖地 震 (1856 年 8 月 23 日; M8.3・震央@三陸沖北部・津軽藩日記) ►明治三陸地震 (1896 年 6 月 15 日; M8.5・震央@三陸沖中部・気象庁) ►喜界島地震 (1911 年 6 月 15 日; M8.0・震央@南西諸島東方沖・気象庁) ►大正 7 年択捉島沖地震 (1918 年 9 月 8 日; M8.2・震央@千島列島東方沖・気象庁) ►大正関東地震 (1923 年 9 月 1 日; M8.2・震央@相模トラフ・気象庁) ►昭和三陸地震 (1933 年 3 月 3 日; M8.1・震央 @三陸沖中部・気象庁) ►昭和東南海地震 (1944 年 12 月 7 日; M8.2・震央@東海南 海トラフ境界部・気象庁) ►昭和南海地震 (1946 年 12 月 21 日; M8.4・震央@南海 トラフ・気象庁) ►昭和 27 年十勝沖地震 (1952 年 3 月 4 日; M8.2・震央@襟裳岬東 方沖・気象庁) ►昭和 33 年択捉島沖地震 (1958 年 11 月 7 日; M8.3・震央@千島列 島東方沖・気象庁) ►昭和 38 年択捉島沖地震 (1963 年 10 月 13 日; M8.2・震央@千 島列島東方沖・気象庁) ►北海道東方沖地震 (1994 年 10 月 4 日; M8.3・震央@根室 半島東方沖・気象庁) ►平成 15 年十勝沖地震 (2003 年 9 月 26 日; M8.0・震央@襟 2 裳岬南東沖・気象庁) ►東北地方太平洋沖地震 (2011 年 3 月 11 日; M9.0・震央@三 陸沖中南部・気象庁) ►小笠原諸島西方沖地震 (2015 年 5 月 30 日; M8.5・震央@小 笠原諸島・気象庁)。これらは、前述した日本列島に集中する 4 つのプレートのい ずれかの境界部で起こっている (図 1 下)。 ■さらに、以下に示す内陸部活断層を震源とする M7 前後の直下型地震は、そこ に住む人々の生活環境に甚大な被害をもたらしている。►允恭地震 (416 年 8 月 22 日; M 不明・震央@大和国・日本書紀) ►推古地震 (599 年 5 月 26 日; M 不明・ 震央@大和国・日本書紀) ►大宝地震 (701 年 5 月 8 日; M7 前後・震央@丹後国・ 続日本紀) ►天平地震 (745 年 6 月 1 日; 推定 M8 前後・震央@美濃地方・続日本紀) ►相模武蔵地震 (878 年 10 月 28 日; M7.4・震央@相模国伊勢原断層または相模ト ラフ・日本三代実録) ►万寿地震 (1026 年 6 月 16 日; M7.8・震央@石見国益田沖・ 翁小助問答記) ►永世 7 年地震 (1510 年 9 月 11 日; M6.7・震央@生駒断層帯また は中央構造線断層帯・実隆公記) ►天正地震 (1586 年 1 月 18 日; M8 以上・震央@ 近畿東海北陸・多聞院日記) ►慶長伊予地震 (1596 年 9 月 1 日; M7.0・震央@愛媛 県中央構造線断層帯・伊予温故録) ►慶長豊後地震 (1596 年 9 月 4 日; M7.0・震央 @豊後国別府万年山断層帯・国立天文台編理科年表) ►慶長伏見地震 (1596 年 9 月 5 日; M7.1・震央@有馬高槻断層帯または六甲淡路島断層帯・讃岐一宮盛衰記) ►濃尾地震 (1891 年 10 月 28 日; M8.0・震央@岐阜県西根尾村・米国地質調査所) ►姉川地震 (1909 年 8 月 14 日; M6.8・震央@滋賀県北東部・気象庁) ►桜島地震 (1914 年 1 月 12 日; M7.1・震央@鹿児島湾・気象庁) ►秋田仙北地震 (1914 年 3 月 15 日; M7.1・震央@秋田県大沢郷村・気象庁) ►北丹後地震 (1927 年 3 月 7 日; M7.3・震央@京都府丹後半島北部・気象庁) ►西埼玉地震 (1931 年 9 月 21 日; M6.9・震央@埼玉県寄居町・気象庁) ►福井地震 (1948 年 6 月 28 日; M7.1・震央@ 福井県丸岡町・気象庁) ►新潟地震 (1964 年 6 月 16 日; M7.5・震央@新潟県粟島・ 気象庁) ►日本海中部地震 (1983 年 5 月 26 日; M7.7・震央@秋田県能代市・気象 庁) ►長野県西部地震 (1984 年 9 月 14 日; M6.8・震央@長野県王滝村・気象庁) ► 兵庫県南部地震 (1995 年 1 月 17 日; M7.3・震央@兵庫県北淡町) ►鳥取県西部地 震 (2000 年 10 月 6 日; M7.3・震央@鳥取県米子市・気象庁) ►平成 13 年芸予地震 (2001 年 3 月 24 日; M6.7・震央@鳥取県安芸灘・気象庁) ►新潟県中越地震 (2004 年 10 月 23 日; M6.8・震央@新潟県中越地方・気象庁) ►留萌支庁南部地震 (2004 年 12 月 14 日; M6.1・震央@北海道留萌支庁南部・気象庁) ►福岡県西方沖地震 (2005 年 3 月 20 日; M7.0・震央@福岡県福岡市・気象庁) ►千葉県北西部地震 (2005 年 7 月 23 日; M6.0・震央@千葉県北西部・気象庁) ►能登半島地震 (2007 年 3 月 25 日; M6.9・震央@石川県輪島市西南西沖・気象庁) ►新潟県中越沖地震 (2007 年 7 月 16 日; M6.8・震央@新潟県上中越沖・気象庁)、岩手宮城内陸地震 (2008 年 6 月 14 月; M7.2・震央@岩手県内陸部・気象庁) ►長野県北部地震 (2011 3 年 3 月 12 日; M6.7・震央@長野県栄村・気象庁) ►静岡県東部地震 (2011 年 3 月 15 日; M6.4・震央@富士山宝永噴火口直下・気象庁) ►淡路島地震 (2013 年 4 月 13 日; M6.3・震央@兵庫県淡路島・気象庁) ►長野県神城断層地震 (2014 年 11 月 22 日; M6.7・震央@長野県北部・気象庁)。これら内陸部活断層に発生する直下型地 震とプレート境界型地震は互いに影響し合っている。地震発生後に行われる気 象庁の記者会見で、あの地震とこの地震は必ずしも関連しているとは言い切れ ない、というような歯切れの悪い台詞をよく耳にするが、何をそんなにやせ我 慢しているのかね?と首をかしげてしまう。滑舌が悪く、慎重に言葉を選ぶ昔 の学者然としたその態度に、どこか違和感を覚えるのは私だけではなかろう。 ■人間とは身勝手なもので、大地震を立て続けに体験する昨今になって漸く、 地震と火山の国日本を意識するようになった。というよりも、大地震、大津波、 大噴火といった天変地異を目の当たりにした人々は時が経つにつれて現世から いなくなるため、社会の総体として自分のリアルな体験や歴史上の法則性を判 りやすく後世に継承し続けることができずにいるのである。また、異なる事象 の間の関係性を解き明かすのは凡人には不得意なものである。数年前に一週間 ほど下痢と腹痛が続いて治ったのだが、最近になって腰痛を自覚するようにな ったので、あのお腹を壊した一件が原因かどうか診て欲しいと患者に尋ねられ ても困る。犬が吠えたら雷鳴が轟いたからといって、おまえが吠えるから雷が 鳴ったんじゃないかと犬に言いがかりをつけるようなものである…閑話休題。 ■それはともかく、時系列からみて東北地方太平洋沖地震の後に起こった一連 の天変地異の発生メカニズムを解き明かしたい衝動に駆られる。まず、プレー ト内断層地震活動 (2013 年 4 月 13 日に発生した M6.3 淡路島地震や 2014 年 11 月 22 日に発生した M6.7 長野県神城断層地震ほか多数) の頻度は明らかに増し ている。その背景として、大地震の際に大きく揺り戻し過ぎたプレート内部に 新たなストレスが生じる状況に加え、大地震の震源近くで歪みのエネルギーを 放出した領域と震源から遠いため放出できていない領域との間に新たなストレ スが生じる状況が想定される。それでは火山活動の活発化はどう説明できるの だろうか?2013 年 11 月 20 日に始まった西之島新島マグマ水蒸気爆発、2014 年 9 月 27 日に発生した木曽御嶽山水蒸気爆発、2015 年 5 月 29 日に始まった口永 良部島新岳マグマ水蒸気爆発などは記憶に新しい。かつては雲仙普賢岳や昭和 新山が大噴火したし、最近では、知床半島海岸の 15 m もの異常隆起に加え、東 北地方の蔵王山、関東甲信越地方の浅間山、草津白根山、箱根山、九州の阿蘇 山、新燃岳、桜島なども不穏な動きを見せている。一般に、潜り込もうとする プレートとその上に覆いかぶさろうとするプレートとの境界面は強烈な摩擦熱 を発生しており、それが蓄積すると、付近に貯留しているマグマ (マグマ溜り) に含まれる水分が沸騰して水蒸気となり、マグマとともに上昇して噴火に至る 4 といわれる。そういう目で日本列島の火山群を見直すと、太平洋プレートとユ ーラシアプレートが北米プレートの下に潜り込んだ辺りには東北地方火山帯、 浅間山、草津白根山、木曽御嶽山などが、太平洋プレートがフィリピン海プレ ートに潜り込んだ辺りには伊豆諸島や小笠原諸島が、フィリピン海プレートが 北米プレートとユーラシアプレートの境界部の下に潜り込んだ辺りには箱根山 や富士山が、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込んだ辺 りには九州地方や南西諸島の火山帯が、それぞれ分布することが判る (図 1 下)。 ■それにしても、まるで一極集中するかのように日本に向かって世界中からプ レートがにじり寄ってくるのは何故だろう?現在の地球におけるプレートとそ の上に乗っかった大陸や島嶼からなる陸地の配置を概略的に描いてみた (図 1 上)。プレートテクトニクスの原動力は、大西洋中央海嶺 (アイスランドは火山 島として海面に露出) や太平洋中央海嶺 (ハワイ諸島は火山島として海面に露 出) から湧き出る液体マグマが冷えてできたプレートを水平方向へ押し拡げよ うとする直下の固体マントル対流である。だが、これら二つの中央海嶺から造 られるプレートの運命は決定的に異なる。大西洋海嶺から湧き出てくるプレー トは南北米大陸の東海岸やアフリカ大陸ならびにヨーロッパ大陸の西海岸と地 続きで一体化している。これに対して、太平洋海嶺から湧き出てくるプレート は南北米大陸の西海岸や日本列島、伊豆諸島ならびに小笠原諸島の東海岸の下 に潜りこむ。これでは環太平洋地域に地震の発生が集中するのも無理はない。 2.5 億年前に形成された直近の超大陸パンゲアの中央部が南北に裂け目を生じて 大西洋中央海嶺となり、今なお東西へ分離し続ける過程にあるのは周知の事実 である。また、今から 2.5 億年後には、大西洋がどんどん拡がるのと対照的に太 平洋は極度に狭くなり、北米大陸のアラスカ、オーストラリア大陸それにユー ラシア大陸が日本列島を取り囲むように接近してくるとの予測がある (図 2)。も っと踏み込んで言えば、富士山や箱根山を目指して、東から太平洋プレートが、 西からユーラシアプレートが、南からフィリピン海プレートが、北から北米プ レートが押し寄せてくる結果、最終的に日本列島の周りに『昔、日本海や太平 洋と呼ばれた海域』が申し訳程度に残るというシナリオである。また、フィリ ピン海プレートを北上させるのはインド・オーストラリアプレートによる北向 きの圧力である。インド・オーストラリアプレートがインド亜大陸を北上させて ヒマラヤとチベットの高地化をもたらしていることは既に述べた。何だか悲し くなる日本列島の末路であるが、パンゲア以前にも大陸は離合集散を繰り返し てきた歴史があるので仕方がないと諦めるしかない。そもそも、2.5 億年後に地 球上の生態系がどうなっているかなんて想像もつかないのだから、人類がその 時代に絶滅せず生き残っていることを前提とした議論はナンセンスである。 ■今回の夜話を執筆し始めた当初、アイスランドを始めとする大西洋中央海嶺 5 図 1. 地球全体と日本列島のプレート境界 のマグマ活動が諸悪の根源であり、割を食うのは日本だけだと卑屈な気分に憑 りつかれたものである。しかし、よく考えてみると、天変地異と引き換えに、 東西南北に亘る多様性に富んだ豊かな自然や風光明媚な景勝地を抱え、山海の 珍味や大地の恵みを享受できる日本列島に暮らしている有り難さを謙虚に受け とめざるを得ない。何故なら、この幸運はプレートテクトニクスがもたらす大 自然の脅威と表裏一体をなすものだからである。 ■地球の年齢は現在 45.5 億年である。直近の超大陸パンゲアが分離を開始した 2.5 億年前は古生代から中生代へ移行する時期に一致し、最初の超大陸が形成さ れたのは原生代初期の 19 億年前だという。一方、最古の生物化石は太古代中期 の 35 億年前のものと確定している。地球誕生から太古代までの間は冥王代と呼 ばれる。今後、地球と生命の歴史を結びつけながら整理してゆきたいと思う。 6 図 2. 大陸配置の過去と未来 7
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