MAD2012 www.a-i-t.net/mad 現代アートの学校、MAD(Making Art Different − アートを変えよう、違った角度で見てみよう)。 テーマ別のコースで集中的に学ぶか、好きなレクチャーだけつまみ食いするか。 それとも、両方組み合わせてカスタマイズするか? 現代アートへ、さまざまな角度からアプローチ! Arts Initiative Tokyo 目次 MADとは? 2 MAD2012概要 3 コースについて 6 キュレーティング・・・・・・・・ 7 モダン・アート・・・・・・・・・ 10 インダストリー・・・・・・・・・ 13 オーディエンス・・・・・・・・・ 16 アーティスト・・・・・・・・・・ 20 クーポンについて 23 おすすめの受講方法 24 受講料(割引•特典)について 26 お申し込みについて 28 講師紹介 30 お申し込み後の流れについて 32 修了生について 34 MAD無料体験レクチャー/MAD受講ガイダンス 37 MAD合宿 / アート・ツアー お問合せ 39 40 1 MADとは? MAD(Making Art Different =アートを変えよう、違った角度で見てみよう)は、NPO法人アーツイ ニシアティヴトウキョウ [AIT / エイト] が 2001年に開講した現代アートの教育プログラムです。キュ レーターやギャラリスト、アーティストなどの専門家を迎え、グローバル化した社会においてさまざま に生み出される現代アートの作品やプロジェクト、展覧会、現象、議論などを、美術史はもとより、哲 学思想や社会学など現代のアートに関連する学問領域の今日的な課題を参照しながら、より多角的に、 深く、体系的に捉えて考察します。初めて現代アートに触れる人から専門的に学びたい人まで、さまざ まな知的好奇心に応えるプログラムです。 MADの特徴は? ● アートの知識がなくても、今の表現に触れ、少し踏み込んで 考えてみたいという熱意があれば大丈夫。 ● アート界で活躍しているアーティストやキュレーターなどと 直接、意見交換ができる。 ● レクチャーとワークショップで、理論や歴史、実践から現代 アートを楽しめる。 ● 自分の仕事とアートの接点を探り、アート界で働きはじめる 前の業界研究ができる。 ● 少しだけ試したい方や忙しい方は、クーポン制で気軽に受講 レクチャー風景 できる。 2 MAD 2012概要 「キュレーティング」、「モダン・アート」、「インダストリー」、「オーディエンス」、「アーティスト」の 5コース、年間合計100のレクチャーで構成される2012年度のMAD。少人数制の講座では、アーティストや美術 館館長などの講師と受講生のみなさんは仲間のような感覚。さまざまに意見を交換しながら、アートをより身近 なものにします。受講のしかたは、コース制、クーポン制、あるいはコースとクーポンを組み合わせる三つ。目 的や関心、スケジュールに応じて自由に組み立て、みなさん独自のスタイルで学ぶことができます。表現の裏に 隠れている歴史や理論を知ったり、展覧会を企画したり、友だちと一緒にイベントに出かけたり、これまでにな いアート・ビジネスを考えたり、表現を「作品」にするプロセスに取り組んだり、今のアート界を丸ごと学ぶこ とができるMADで、きっとみなさんの「世界」の見え方が変わるはずです。 2012年度のMADは、2012年4月から2013年3月まで開講します。 1. 3つの受講方法 コース制 テーマ集中型で、リーズナブルに受講! コースで指定されているレクチャーに加え、他のコースのレクチャーの中から2コマを自由に選択して受講することが できます。コースメイトと一緒に集中して学ぶことができるほか、受講料がお得です。一期のみ、あるいは通年で受講 することが可能です。 コース一覧 ● キュレーティング ー コースメイトやキュレーターといっしょに展覧会を作ろう!ー ● モダン・アート ー「芸術」が「現代アート」になる旅へ出よう!ー ● インダストリー ー ビジネスと社会貢献でアートの地平を切り開こう ー ● オーディエンス ー「今」のアートのさまざまな表情を眺めよう ー ● アーティスト ー スタジオから世界に出てゆく表現者へ ー クーポン制 行けるときに、好きなレクチャーを受講! 受講したいレクチャー数に合わせてクーポンを購入し、好きなレクチャーを自由に選択して受講することができます。 クーポンの有効期間は、2012年4月から2013年3月までの一年間です。 ● シュプレマティスト [100コマすべて] ● エクスプレッショニスト [50コマまで] ● リアリスト [25コマまで] ● インプレッショニスト [10コマまで] ● ミニマリスト [5コマまで] コース制+クーポン制 両方組み合わせてカスタマイズ! コースで集中的に学びながら、クーポンを購入して関心のあるレクチャーを自由に追加して受講することができます。 3 2. 開講時期について ● キュレーティング --------- 前期:2012年4月-7月 後期:2012年9月-12月 ● モダン・アート ------------ 前期:2012年4月-8月 後期:2012年9月-12月 ● インダストリー ------------ 前期:2012年4月-7月 後期:2012年9月-12月 ● オーディエンス ------------ 前期:2012年4月-7月 中期:2012年9月-12月 後期:2013年1月-3月 ● アーティスト --------------- 前期:2012年4月-7月 後期:2012年9月-12月 *時間:平日19:00-21:00/土曜日12:30-14:30、15:30-17:30(1レクチャー2時間) *展覧会訪問など、レクチャーによって時間が変更になる場合があります。 *スケジュール:年間合計100のレクチャーは、「Google カレンダー」または、毎月AITから受講生宛に配信される「レクチャー・スケ ジュール」メールからご確認頂けます。 3. 開講場所について 展覧会訪問やMAD合宿以外は、すべて代官山のAITルームで行われます。 AITルーム所在地:〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町30-8 ツインビル代官山B-403 4. お申込について 2012年1月20日(金)よりオンラインで受け付けています。詳しくは、P.30 をご覧下さい。 *原則として、お申し込み完了後のキャンセルおよび返金は受け付けておりませんので、あらかじめご了承ください。 5. お申込締切について ○ コース制 ◎ キュレーティング、モダン・アート、インダストリー、アーティスト 前期:2012年3月28日(水) 後期:2012年8月13日(月) ◎ オーディエンス 前期:2012年3月28日(水) 中期:2012年8月13日(月) 後期:2013年1月7日(月) ○ クーポン制 クーポンの購入は2013年2月まで随時受付けています。 6. 受講料(割引・特典)について 受講ガイダンスにご参加いただいた方は、受講料が割引となります。また、MADにお申し込みいただくと、AIT主催の トークやイベントの参加料が割引になるほか、無料招待のアートガイドツアー(定員あり)など、期間限定のお得な特 典もあります。詳しくは、P.26 および P.37 をご覧下さい。 4 7. どのレクチャーを受講すればよいか、わからない時は? MADプログラム・ディレクターやスタッフ、MAD2012ゲスト講師による「おススメの受講方法」をご覧ください。 目的や関心に合わせていくつかの受講方法をご紹介しています。 8. MAD修了生について どんな人達がMADを受講しているのか、年代や職業などを紹介しています。またMAD修了後の活動や、MAD助成金制 度で活動を行った企画もこちらからご覧いただけます。 9. MADについてもっと知りたい方は? MAD受講ガイダンスへ MADプログラム・ディレクターやスタッフが、新しくなったMAD2012のコース制やクーポン制について詳しくご説明 し、皆さんから受講に関する具体的な質問や疑問にお答えします。レクチャー選びのヒントが欲しい、各レクチャーの 内容についてもっと詳しく知ってみたい、という方を対象としています。 10. MAD2012講師について MAD2012の講師は、美術館の館長やキュレーター、ギャラリスト、アーティスト、研究者など、国内外で活躍する人 をお招きしています。プロフィールは、P.31 をご覧下さい。 5 MAD2012 コースについて ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ ○ キュレーティング - コースメイトやキュレーターといっしょに展覧会を作ろう! アートをとおして、個人の趣味嗜好や地域社会、あるいは異文化や時代性などをどのように表し、伝えることができるのでしょう か。展覧会制作を表す「キュレーティング」。そのはじまりから現代における理論や議論までを踏まえ、実際に前期・後期に一つず つ展覧会作りを体験します。 *「キュレーティングの実践ワークショップ」への参加は、シュプレマティストを除き、原則としてキュレーティング コースの受講生に限られます。 [ 各期テーマとレクチャー数 ] 前期(2012年4月ー7月):キュレーティングの方法論 [指定10コマ+選択2コマ] 後期(2012年9月ー12月):変容する現代のキュレーティング [指定10コマ+選択2コマ] ○ モダン・アート - 「芸術」が「現代アート」になる旅へ出よう! 「難しい」といわれる現代アート。そこに至る道を、皆さんになじみのある19世紀フランスのマネやゴーギャンなどから ります。 美術史に触れながらアートに対する固定観念を解放してゆくと、自分なりのアートの見方がはっきりしてきます。現代アートを初め て体系的に学びたいという方におすすめです。さらに、オンラインのFREE MADが、みなさんの学びをより確かなものにするで しょう。 [ 各期テーマとレクチャー数 ] 前期(2012年4月ー8月):アートの価値が問われる1900年から1950年 [指定10コマ+選択2コマ] 後期(2012年9月ー12月):アートの多様化、グローバル化へ向かう1951年から現代 [指定10コマ+選択2コマ] ○ インダストリー - ビジネスと社会貢献でアートの地平を切り開こう 「アート界で働きたい」、「アート・ビジネスや社会貢献に関心がある」あるいは「社内でアートの企画を立ち上げたい」などと考 えている人は少なくないはず。アート界というフレーム、アーティストやキュレーターなどのプレーヤーを知り、共感できる仲間を 増やすことで、みなさんの独創的なアイデアを形にします。プランの実現を目指す方は、AITオフィス・アワー内でより具体的なア ドバイスを受けることもできます。 [ 各期テーマとレクチャー数 ] 前期(2012年4月ー7月):アート界というフィールドとプレーヤー [指定10コマ+選択2コマ] 後期(2012年9月ー12月):新たなアート・ビジネスを考える [指定10コマ+選択2コマ] ○ オーディエンス - 「今」のアートのさまざまな表情を眺めよう! 「アートって、何?」という素朴な疑問に、さまざまな角度からアプローチする入門的なコースです。時代のトレンドを生み出した り、見知らぬ世界観を表したり、人の役に立ったり、アートにはさまざまな「顔」があります。アーティストによるトークやレク チャー、美術館やアートスポットの見学、ワークショップをとおして仲間と語り合いながら、今おこっているアートから考え始めま す。 *各期、専用バスでの展覧会訪問があります。訪問先は、随時お知らせします。*クーポン制でバスツアーに参加する場合、別途バス代が必要になり ます。*展覧会の見学にかかる入場料は、受講生の負担になります。 [ 各期テーマとレクチャー数 ] 前期(2012年4月ー7月):モノや行為がアートになるとき [指定8コマ+選択2コマ] 中期(2012年9月ー12月):見知らぬことを考える力 [指定8コマ+選択2コマ] 後期(2013年1月ー3月):世界を見る力、変える力 [指定8コマ+選択2コマ] ○ アーティスト - スタジオから世界に出てゆく表現者へ 時代感覚、スキル、ギャラリー、人脈、美術館、ストリート・・・。アーティストとして活動するためには何が必要なのでしょう か。かのマルセル・デュシャンは、200年後も芸術作品として残ることを意識して制作していたといいます。レクチャーやディス カッションをとおして、自分の表現を社会的な価値にするための基礎的な思考力をつけませんか?すべての回は、森弘治(美術家) と小澤慶介(AIT)によって行われるほか、ゲスト講師を迎えてのケース・スタディーもあります。さらに、コースで受講する方は、 受講期間をとおしてポートフォリオの作成を試みます。 [ 各期テーマとレクチャー数 ] 前期(2012年4月ー7月):表現を「作品」にする [指定8コマ+選択2コマ] 後期(2012年9月ー12月):「現代」を映し出す作品を考える [指定8コマ+選択2コマ] 6 Curating ○ キュレーティング - コースメイトやキュレーターといっしょに展覧会を作ろう! - 前期(2012年4月-7月):キュレーティングの方法論 レクチャー一覧 ◎ キュレーティングA to Z ー大航海時代から20世紀へ ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):4月11日(水)19:00-21:00 キュレーティングを16世紀ヨーロッパ、大航海時代から眺めはじめます。王侯貴族による「好奇心のキャビネット」から、ルーヴ ル美術館などの近代的な美術館の誕生をへて、20世紀を待たずして現れたヴェネツィア・ビエンナーレなどの国際展まで、そのかた ちはさまざま。誰が、誰に、何を伝えるのかを考えながら、キュレーティングの核心に少しずつ踏み込んでゆきます。 ◎ 伝統に反抗するキュレーティングの自由 ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):4月25日(水)19:00-21:00 1910年代にヨーロッパで見られたダダイズムやシュルレアリスム、ロシア構成主義によるキュレーティングを考えます。第一次世 界大戦前夜、アートは急速に不穏な社会に言及するものとなっていったといえるでしょう。そして、キュレーティングは伝統的な 「展覧会」から、社会の無意識や変革の可能性自体を表わすものになってゆきます。 ◎ 美術館の社会学 ー変わり続ける美術館のこれから 光岡寿郎(メディア研究/ミュージアム研究):5月9日(水)19:00-21:00 社会と美術館の関係性の変化を眺めながら、美術館のこれからについて考えます。文化財や芸術作品の収集、分類、公開、保存など の社会的機能が与えられてきた美術館ですが、2000年以降テートモダンやパレ・ド・トーキョーなどが開館し、美術館は新たな展 開を見せるようになりました。従来の機能を拡張しながら進化するその姿を追います。 ◎ 展覧会=国家? ー二つの世界大戦とキュレーティング ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):5月23日(水)19:00-21:00 展覧会はすなわち国家なのか。二つの世界大戦を巡る時代に見られた、プロパガンダ(政治的宣伝行為)とキュレーティングの関 係を読み解きます。ナチス・ドイツによる「退廃芸術展」などの国家の主義主張を伝達するキュレーティングがあれば、そうした力 に抵抗を示すものも多くありました。共同体とキュレーティングの関係を考えます。 ◎ 「展覧会」を疑え! ー戦後の社会変革とキュレーティング ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):6月6日(水)19:00-21:00 アートが、絵画や彫刻だけではなく、時間とともに変化しつづける作品や言葉による作品など、さまざまな表現形式を取り込んで広 がりはじめた1960年代のキュレーティングを考えます。ハラルド・ゼーマンやルーシー・リパード、セス・シーゲローブなどは、 そうした状況でどのようなキュレーティングをしたのでしょうか。キュレーティングと同時代性を巡る考察です。 ◎ 表現の自由を求めて ー日本の戦後と展覧会 ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):6月20日(水)19:00-21:00 ギャラリーや美術館などの制度が未整備だった1950年代から60年代にかけての日本におけるキュレーティングを紹介します。具体 美術協会や読売アンデパンダン展などに触れながら、「60年安保」から1970年の大阪万博まで、国家の高度経済成長にさまざまな かたちで関わらざるを得なかったアーティストたちの表現活動の社会性を捉えます。 ◎ 眼から頭へ ーグローバリズムと多様化するキュレーティング ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):6月30(土)12:30-14:30 1990年代以降のグローバリズムやそれによって可能になった知の交換や人の移動、一方でますます広がった文化間の格差を踏まえ ながら、キュレーティングの可能性/不可能性を考えます。1989年の「大地の魔術師たち」展や1997年にはじまりヨーロッパ各 地を巡回した「Cities On The Move」展、またいくつかの国際展に触れながらキュレーティングその新たな姿を捉え直します。 7 ◎ 空間の読解力とキュレーティングの可能性 小澤慶介(AIT):7月4日(水)19:00-21:00 キュレーティングという概念や行為につねにつきまとう「空間」。この「空間」をどう読み込むのかによって、キュレーティングは かなり変わります。フランスの哲学者、ミシェル・フーコーやアンリ・ルフェーヴルなどの理論を踏まえて、「空間」を読み解くト レーニングをしましょう。すると、例えばストリートだからこそ成立するキュレーティングが見えてくるかもしれません。 ◎ キュレーティングの実践ワークショップ I 小澤慶介(AIT):7月14日(土)12:30-14:30 プログラム・ディレクターとともに必要な作業を確認し、アーティストやコンセプト、場、会期などの条件を踏まえながらキュレー ティングのプロセスを学びます。 ◎ キュレーティングの実践ワークショップ II 小澤慶介(AIT):7月18日(水)19:00-21:00 プログラム・ディレクターとともに必要な作業を確認し、アーティストやコンセプト、場、会期などの条件を踏まえながらキュレー ティングのプロセスを学びます。 後期(2012年9月-12月) :変容する現代のキュレーティング レクチャー一覧 ◎ 市場経済とキュレーティングの課題 小澤慶介(AIT):9月5日(水)19:00-21:00 2000年代以降の新自由主義的な社会状況を踏まえながらキュレーティングを捉えなおす試みです。市場経済に先導されるアート界 において、キュレーティングはどのように変容しているのでしょうか。英国の社会学者シャンタル・ムフや国際展や地域創造型芸術 祭などの実例を踏まえて、現在のキュレーティングのメカニズムを解き明かします。 ◎ 「他者」はどう表わせる? ーポストコロニアルな現在とキュレーティング 小澤慶介(AIT):9月19日(水)19:00-21:00 20世紀の半ばまで続いた植民地主義時代が文化に落とした影は、今でも色濃く残っているといえるでしょう。今やアートはグロー バルなものとして多くの人々に受容されていますが、旧宗主国と旧植民地の間では文化制度においても依然として格差があります。 文化と文化の違いや溝をどのように克服して「他者」を表わすことができるのかを考えます。 ◎ キュレーティングで生産される記憶の質感 小澤慶介(AIT):10月3日(水)19:00-21:00 個人が体験した出来事の記憶。国家やマス・コミが伝える災害や戦争のような集団の記憶。その間には何があり、そこにアートはど のように関わってきたのでしょうか。加速したグローバリゼーションが産み出してきた「世界」の記憶の影で、声高に語られなかっ た出来事とアートやキュレーティングの関係を、金融経済が綻びを見せはじめた今考えます。 ◎ 秘密と記号 ー日常におけるキュレーティング ロジャー・マクドナルド(AIT):10月17日(水)19:00-21:00 ギャラリーや美術館などの「アートの場」ではなく、自宅やストリート、廃墟などで行われるキュレーティングに意外性や創造性を 見出すことは少なくありません。フランスの思想家ギ―・ドゥボールやミシェル・ド・セルトーなどの考えを参照に、何気ない日常 の空間で行われるものや人数・時間限定で行われる実験的なものまで、DIY的なキュレーティングのあり方を考えます。 ◎ キュレーティングの実践ワークショップ I 小澤慶介(AIT):10月20日(土)12:30-14:30 プログラム・ディレクターとともに必要な作業を確認し、アーティストやコンセプト、場、会期などの条件を踏まえながらキュレー ティングのプロセスを学びます。 8 ◎ アートは地域社会にどう関わる? 住友文彦(AIT):10月31日(水)19:00-21:00 近年、アートや観光産業、地場産業などの領域を横断しながら総合的に「地域」の創造を試みるプロジェクトが多く見られるように なりました。地域社会と外部を結ぶメディアとしてアートは機能する可能性がありますが、そのあり方はさまざまに考えられそうで す。アートの本質的な力と地域社会をつないでゆくケース・スタディーです。 ◎ ドキュメンテーションとアーカイヴ ー記録をキュレーティングする 住友文彦(AIT):11月7日(水)19:00-21:00 アーカイヴという手法や形式とキュレーティングの関係を考えます。写真や文書、手紙、メモ、がらくたなどは、いわゆる正史とは 違った時代の意識を映し出す力があるとは考えられないでしょうか。テロや自然災害といったカタストロフィーを表象する作品を取 り上げながら、その政治性や生み出される知について考えます。 ◎ キュレーティングの実践ワークショップ II 小澤慶介(AIT):11月10日(土)12:30-14:30 プログラム・ディレクターとともに必要な作業を確認し、アーティストやコンセプト、場、会期などの条件を踏まえながらキュレー ティングのプロセスを学びます。 ◎ 複雑な歴史と分裂するオキナワの表象 小澤慶介(AIT):11月21日(水)19:00-21:00 「沖縄は日本の取り込まれた外部」とは哲学者である西谷修の言葉。地理的な条件と複雑な歴史を抱えている沖縄は、眼差す主体に よってその像はさまざまに変わるといえるでしょう。果たして、オキナワを正しく表わすということは可能なのでしょうか。いくつ かの作品や展覧会を参照しながら、「表わす」という行為の政治性をオキナワから考えます。 ◎ 知の生産とキュレーティング ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):12月5日(水)19:00-21:00 低予算で行うインディペンデントなキュレーティングから、公の美術館で行われる展覧会、観光産業と結びついている国際展や地域 創造型の芸術祭まで、主体や規模によって産み出される知の質はさまざま。そうした知は、展覧会という文化装置を経て、誰にどの ように伝わってゆくのでしょうか。言語や人種、慣習や因習が混ざり合いますます変化している状況を踏まえて考えます。 9 Modern Art ○ モダン・アート - 「芸術」が「現代アート」になる旅へ出よう! - 前期(2012年4月-8月):アートの価値が問われる1900年から1950年 レクチャー一覧 ◎ 20世紀のアートを彩る言葉とコンセプトを知ろう! ロジャー・マクドナルド(AIT):4月12日(木)19:00-21:00 アートの歴史といっても、実は近代社会の動きと密接に関係しています。20世紀に起こったアートの運動や、時代背景とアートの 関係を捉えるため、アートを語る上で必要な基礎用語を紹介します。20世紀前半のアートに大きな影響を与えた精神分析やマルク ス主義、また構造主義や脱-構築など戦後の哲学思想からいくつかを選び、具体例をとおして解説します。現代アートへの一歩をこ こからはじめましょう。 ◎ ゴーギャン、ピカソ、プリミティヴな世界への衝動 ロジャー・マクドナルド(AIT):4月26日(木)19:00-21:00 フランスからタヒチに向かったポール・ゴーギャン。また、パブロ・ピカソが1907年に発表した 「アヴィニョンの娘たち」にはア フリカ大陸の彫刻に影響が見られます。産業化が急がれる社会にあって、なぜアーティストはそこにはない表現に魅了され、引 き 寄せられていったのでしょうか。西洋のルールや言語を超えたところにある表現の力からアートを捉え直します。 ◎ 絵画の革命 ーマティス、マグリット、メキシコの壁画運動 ロジャー・マクドナルド(AIT):5月10日(木)19:00-21:00 20世紀初めのフランスにおけるフォーヴィズム(野獣派)から、第一次世界大戦前夜のドイツ表現主義、また1920年代のメキシコ の壁画運動までの絵画の歩みを、ドイツの美術史家ヴィルヘルム・ヴォリンゲルの著作「抽象と感情移入」などを参照に読み解きま す。写真や映像などの複製技術による表現が台頭しはじめたとき、絵画はどのように変わりはじめたのでしょうか。 ◎ 伝統をひっくり返すマニフェスト ーダダ、シュルレアリスム ロジャー・マクドナルド(AIT):5月24日(木)19:00-21:00 20世紀の初頭、ヨーロッパの芸術家たちはマニフェストを掲げ、新たな表現活動をはじめました。第一次世界大戦前のイタリアで おこった未来派や、戦中にチューリヒでおこったダダイズム。また、二つの世界大戦間におこったシュルレアリスムなど、合理化し ながらも混迷をきわめてゆく社会に関わりながら生みだされたアートに目を向けます。 ◎ アートが社会を変える? ーロシア革命と社会主義リアリズム ロジャー・マクドナルド(AIT):6月7日(木)19:00-21:00 1917年にロシアで起こったロシア革命は、政治的なレジームと同時に芸術表現における変革も実現させました。絶対主義を牽引し たカジミール・マレーヴィチとロシア構成主義のエル・リシツキーやウラディミール・タトリンたちは、アートと社会の関係をどの ように捉えて新たな表現形式を展開していたのでしょうか。20世紀前半を代表する芸術運動に迫ります。 ◎ 複製芸術の到来と大衆文化の深い関係 ロジャー・マクドナルド(AIT):6月21日(木)19:00-21:00 1830年代の写真術の到来から、芸術のあり方が劇的に変化をしたといってもいいでしょう。まず、思想家、ヴァルター・ベンヤミ ンの考えを踏まえながら、写真や映像が「芸術」に与えたインパクトを確認しましょう。そして、20世紀中ごろのフォトジャーナ リズムや広告産業の台頭において、写真というメディアがどのように社会の形成と関係したのか、またアーティストはそれにどのよ うに反応したのか眺めます。 10 ◎ 戦争がアートに与えたインパクト ロジャー・マクドナルド(AIT):7月5日(木)19:00-21:00 英国では、来たるべき社会像をアートや建築の領域を横断しながら捉えた「This is Tomorrow (これが未来だ)」展が象徴的に語 られ、フランスでは、ジャン・デュビュッフェに先導されてアンフォルメル(不定形)が起こりました。日本では具体美術協 会が既 存の「美術」から抜け出す表現活動を展開しています。具体的な活動に触れながら、戦後のはじまりとアートの関係を眺めます。 ◎ ヨーロッパからアメリカへ ーバウハウスとブラックマウンテン・カレッジ 沢山遼(美術批評):7月19日(木)19:00-21:00 第二次世界大戦をはさんで、芸術の中心はヨーロッパからアメリカへ移ったとみられます。それは、1933年にドイツのバウハウス が閉鎖され、同年にアメリカにブラックマウンテン・カレッジが開設されたこととも深い関係がありそうです。二つの美術学校や ジョセフ・アルバースの活動などをとおして、20世紀前半のアートを巡る地政学を眺めます。 ◎ アメリカ:抽象へと向かう絵画とアフリカ文化の影響 ロジャー・マクドナルド(AIT):7月26日(木)19:00-21:00 ジャクソン・ポロックやマーク・ロスコ、ヴィレム・デクーニングなどに代表されるアメリカ抽象表現主義。画面が大きくなり、多 焦点的に構成される絵画はどのようにして生まれたのでしょうか。一方で、ハーレム・ルネッサンスやアフリカ系のアートなどの影 響も見逃せない20世紀前半のアメリカのアートシーン。そのダイナミズムと多様性を捉えます。 ◎ アメリカ: 絵画は死んだ? ロジャー・マクドナルド(AIT):8月2日(木)19:00-21:00 19世紀前半の新古典主義やロマン主義から、写実主義などを経て、印象派の絵画に至ると、絵画の画面は分割されて抽象度が高 まったと見ることができます。この視点から美術史を書いたのは20世紀前半から中ごろに活躍したアメリカの批評家、クレメント・ グリーンバーグ。遠近法が消されて画面が平面性を獲得してゆくほどよい絵画とわれた見方の結末はどのようになったのでしょう か。ロバート・ラウシェンバーグやジャスパー・ジョーンズなどの作品にも触れながら考えます。 後期(2012年9月-12月):アートの多様化、グローバル化へ向かう1951年から現代 レクチャー一覧 ◎ ポップ ーアートが日常に溶けこむとき ロジャー・マクドナルド(AIT):9月6日(木)19:00-21:00 大量生産・大量消費時代の到来とともに現れたポップ・アート。1950年代にはアーティストのリチャード・ハミルトンに見るよう に英国で、そして1960年代にはアンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインなどがアメリカで花開きました。商品的性質やモ チーフの通俗性を前景化させたポップ・アートと同時代の日常生活を重ね合わせて考えます。 ◎ 彫刻の新しい地平とインスタレーション ロジャー・マクドナルド(AIT):9月20日(木)19:00-21:00 20世紀に入ると、彫刻は「台座」から降りはじめ、次第にそれまでとは異なる文法のもとで作られ、 また語られはじめます。近代 社会の変化が「彫刻」に与えた影響と彫刻の変容を、コンスタンティン・ブランクーシやアルベルト・ジャコメッティなどの作品か ら眺めはじめ、ドナルド・ジャッドに代表されるミニマリズムやロバート・スミッソンによるランド・アートまでを射程に入れなが ら考えます。 ◎ コンセプチュアル・アートと美術館批判 ロジャー・マクドナルド(AIT):10月4日(木)19:00-21:00 物理的な空間を持たない概念や言語を前景化させるコンセプチュアル・アート。1960年代から70 年代にかけて現れたこの表現形 式は、時に美術館などを批判の対象にしました。ベトナム戦争やパリ5月革命の影響下、権力に立ち向かうアートのかたちを、ハン ス・ハーケやマルセル・ブロータスなどのアーティスト、またドクメンタ5などの展覧会をとおして探ります。 11 ◎ 多様で複雑になるアート ー表現の表と裏を考える ロジャー・マクドナルド(AIT):10月18日(木)19:00-21:00 戦後に形成された近代社会は、発展の一途をたどるかに見えた一方で、人種的・社会的・性的差別も生 み出しました。アーティス トたちは、こうした問題系に深く関わり、表現をとおして社会的弱者を代弁してきたといってもいいでしょう。英国のフェミニスト であるローラ・マルヴェイの考えや、アメリカの美術批評家ダグラス・クリンプが関わったACT-UPなどを取り上げ、アートと政治 の関係から1980年代以降のアートを見つめ直します。 ◎ 女性の声、女性による表現 堀内奈穂子(AIT):11月1日(木)19:00-21:00 1960年代にアメリカやヨーロッパで起こったウーマン・リブ(女性解放運動)と、そこから派生し たフェミニズム・アートを見て ゆきます。それまでの男性中心的な社会に対して、アーティストはどのようなメッセージを発していたのでしょうか。ジュディ・シ カゴやメアリー・ケリー、オノ・ヨーコ、ゲリラ・ガールズなどの作品をとおして、時代と表現と「おんな」の関係が変化する過程 を追います。 ◎ それでも絵画は生き延びる? ー1970年代以降の絵画 ロジャー・マクドナルド(AIT):11月8日(木)19:00-21:00 美術批評家、イヴ=アラン・ボワの「絵画の死」を巡るテキストを踏まえながら、ゲルハルト・リヒターやジグマー・ポルケ、ゲオ ルグ・バゼリッツ、フランシス・ベーコン、フィリップ・ガストン、レイモンド・ペティボンなどを取り上げ、描くことの可能性を 考えます。「歴史」や「物語」をキーワードに、絵画の新たな地平へ一歩踏み出しましょう。 ◎ プロジェクト化するアート ー地域社会に入りこむアートのかたち ロジャー・マクドナルド(AIT):11月10日(土)15:30-17:30 完成した「作品」よりも、プロセスに意義を探るアートプロジェクト。美術館などのアートの場を離れるからこそ見えてくるアート のあり方と、それによって明らかになる共同体の形があります。レイチェル・ホワイトリードがロンドンの下町で行った「House」 (1993年)や「9.11」以降の世界を考えるプラットフォーム「Utopia Station」(2003年?)、また2012年に5回目を迎える 「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」などをとおして考えます。 ◎ 今、なぜ絵画は存在するのか? ーグローバリズムの時代におけるイメージの役割 保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員):11月15日(木)19:00-21:00 表現形式が多様になるにつれ、より意識されるようになっている「絵画」の可能性。リュック・タイマンスやマレーネ・デュマス、 ヴィルヘルム・サスナルなどのペインターは、歴史的事件や社会問題、個人の歴史に取り組みながら絵画ならではの方法でそれを表 しているように見えます。現代の絵画の成立条件をさまざまな角度から検証します。 ◎ イメージの政治学と写真の可能性 竹内万里子(写真批評家/京都造形芸術大学准教授):11月19(月)19:00-21:00 デジタルテクノロジーの発達とともにイメージが氾濫するようになった現在、イメージを見る/見せる という行為にはどのような力 学が働くのでしょうか。現実の一瞬を切りとるものとして大量に複製・反復され続けてきた写真というメディウムの特質に着目しな がら、シンディ・シャーマン、ベッヒャー夫妻、ヴォルフガング・ティルマンスなど同時代の写真家たちの活動などをとおしてその 可能性と限界を考えます。 ◎ 映像がアートになるとき ー20世紀の光と影 ロジャー・マクドナルド(AIT):12月6日(木)19:00-21:00 1960年代に生まれ、テレビや広告などと関係をとりながらさまざまな表現を生み出してきたビデオアート。60年代のナム・ジュ ン・パイクやアンディ・ウォーホルから、70年代のクリス・バーデンやビル・ヴィオラ、また90年代以降のマーク・ウォリン ジャーやフィオナ・タン、ウィリアム・ケントリッジ、エイヤ=リーサ・アハティラまでを、「身体性」や「記憶」をキーワードに考 えます。 12 Industry ○ インダストリー - ビジネスと社会貢献でアートの地平を切り開こう - 前期(2012年4月-7月):アート界というフィールドとプレーヤー レクチャー一覧 ◎ アート界の仕組みと動き 塩見有子(AIT)/小澤慶介(AIT):4月17日(火)19:00-21:00 「アート界の存在を信じないなら、アートの存在を信じることはできないと思う。」とは、英国のアー ティスト、ダミアン・ハース トの言葉。作品や専門家、お金が交換されるアート界をフィールドとしてとらえ、どのようなゲームが展開されているのかを描き出 してみます。アートに関わる前に、フィールドの基礎知識を身につけます。 ◎ アートを仕事にするために 墨屋宏明(野村総合研究所/NPOルートカルチャー理事)/永吉文子(SCAI THE BATHHOUSE):4月24日(火)19:00-21:00 アートの仕事をはじめるきっかけにはどのようなものがあるのでしょうか。アート界に入ってアーティストと仕事をするという方法 がある一方で、会社内でアートに関するプロジェクトをはじめるというのも手です。関心や目的によってアートに関わる方法や仕事 の質もさまざま。二つのケース・スタディーをとおして、アートを仕事にすることを考えます。 ◎ アートの価値はどのように生まれるか 塩見有子(AIT):5月8日(火)19:00-21:00 *日程が5月1日から5月8日に変更になりました。 作品を発表し、売却することで市場価値が生まれますが、その先はどのように価値は変化してゆくのでしょうか。アートマーケット の基礎構造とともに、どのようにアートがブランディングされてゆくのかにも目を向けます。10年前には数万円だった作品が現在 ではその100倍、1000倍に膨れ上がっている状況を読み解くことができるでしょう。 ◎ アートフェアから考えるアジアのアート地政学 金島隆弘(アートフェア東京エグゼクティブ・ディレクター):5月22日(火)19:00-21:00 *日程が5月15日から5月22日に変更になりました。 中国の「ART HK」、「CIGE」、「Sh Contemporary」、韓国の「KIAF」、台湾の「ART TAIPEI」など、アートフェアによって アジアのアートシーンが刻々と変化しつづけています。そのなかで、日本のアートはどのような位置を占めているのでしょうか。 アートフェア東京の新たな試みをとおして、日本とアジアを結ぶ回路について考えます。 ◎ 国内外で活躍するギャラリーの仕事 山本裕子(山本現代代表):6月5日(火)19:00-21:00 *日程が5月29日から6月5日に変更になりました。 アーティストに出会い、才能を見出し、展覧会を企画し、時にはアートフェアに参加しながらアーティストのマーケットを作るコ マーシャル・ギャラリーの仕事。アーティストの作品を見極めるポイントは?アートフェアに出展するタイミングは?またアート界 のネットワーク作りは?ふだんなかなか知ることのできないギャラリーの素顔に迫ります。 ◎ 美術館を経営する時代とは 秋元雄史(金沢21世紀美術館館長):6月12日(火)19:00-21:00 運営から経営へ。展覧会を企画するだけではなく、地域社会やアジアの美術館との連携を視野に入れな がらさまざまなプログラム を展開し、年間150万人の来場者を獲得している金沢21世紀美術館。地域創造や「地場産業」との関わりのなかで、時代の潮流に よって変わりゆく美術館像を追います。 13 ◎ コレクターが切り開くアートの可能性 宮津大輔(コレクター):6月26日(火)19:00-21:00 作家の特徴や発展性を鋭く見抜き作品収集するアート・コレクター。近年、全世界的にも、その発言権 が高まっています。アーティ ストとのコミュニケーションから見えてくる作品収集に限定されないダイナミズムや役割について、アーティストが手掛けた住宅 「ドリーム・ハウス」や、美術館で行われた自身のコレクション展「INVISIBLENESS IS VISIBLENESS」などをケースに考えま す。 ◎ 新しいアートプロジェクトを考えるワークショップ 塩見有子(AIT)/堀内奈穂子(AIT):7月10日(火)19:00-21:00 まだ誰も試みていなかったり、実現していないアートの仕事を受講生のみなさんと考えます。アートと 子ども、アートと社会人、 アートと高齢者、あるいはアートとまちの間に考えられる回路はさまざま。「ここにこんなアートがあったらいいのに」、「感覚を アートで解放したい」などの思いからはじめる、アートのプロジェクトを立ち上げるトレーニングです。 ◎ 日本の文化政策の潮流と社会的課題に対峙するアート 吉本光宏(ニッセイ基礎研究所):7月24日(火)19:00-21:00 文化庁が新たに導入する「日本アーツカウンシル」や経済産業省などが推進する「クールジャパン」。 日本の文化政策の変遷を振 り返り、1990年代以降に活発化してきた創造都市事業を踏まえながら、政府が新たに設定した枠組みの可能性と、一方で、市民レ ベルから社会的課題の解決に取り組む動きとアートの関係について考えます。 ◎ アートプロジェクトの企画発表 塩見有子(AIT)/小澤慶介(AIT):7月31日(火)19:00-21:00 8回目のワークショップで考案したアートプロジェクトの発表会です。プロの視点から具体的にアドバ イスを受け、受講生どうし関 心や問題点を共有することでより大きな流れが生まれるかもしれません。アートで社会を変える第一歩の踏み出し方を検証しなが ら、プロジェクト実現の可能性を考えます。 後期(2012年9月-12月):新たなアート・ビジネスを考える レクチャー一覧 ◎ アート・マネジメントの落とし穴 塩見有子(AIT):9月4日(火)19:00-21:00 「アートをマネジメントする」という言葉に含まれる矛盾を踏まえながら、アートの鮮度を保ったまま 人々へ届ける方法について考 えます。時に常識を逸脱するようなアイデアや形、スケールを提示するアートですが、それを行政や企業などのきまりや方法を踏ま えながら実現することについて、具体例を交えながら解説します。 ◎ アート、美術館、地域ブランディング 長田哲征(オフソサエティ代表取締役):9月11日(火)19:00-21:00 「美術館冬の時代」といわれている現代ですが、2008年にオープンしたArts Towada/十和田市現代美術館は、国内外のアーティ ストによる常設作品と西沢立衛氏による美術館建築、企画展、屋外展示作品などが特徴となり、毎年国内外から十数万人という多く の人々が訪れています。近年の成功例とされる美術館の全体監修者として、計画と立ち上げに関わった経験から、地方美術館のあり 方やブランド戦略について語ります。 ◎ アートをビジネスにするI ーネット・メディアで生き残る、3つの方法 杉浦太一(株式会社CINRA代表取締役):9月25日(火)19:00-21:00 2003年の活動開始当初、アート系のCD-ROMマガジンを配布していたCINRA。2006年にネットへ移行後、音楽やデザイン、映 画、演劇など幅広い分野の情報メディアとしてファンを増やし、2011年にはクリエイティヴに特化した求人サイトも オープン。起 業や社内起業を考えている方向けに、ビジネス立ち上げとその展開方法について語ります。 14 ◎ アートをビジネスにするII ーアート・ディーリングの世界 塩原将志(アートオフィスシオバラ):10月9日(火)19:00-21:00 欧米では作品売買のプロとして確立されているアート・ディーラー。作品を買い取り売却するタイミングはどのように判断し、また コレクターやオークション、アートフェア、国際展はどのように作品価格の変動に関係しているのでしょうか。愛情と冷徹な分析が 可能にするアート・ディーリングの奥深さに触れてみましょう。 ◎ アートを言葉にして伝えるには? ー広報を極める 市川靖子(アートイベントPR):10月23日(火)19:00-21:00 展覧会やイベントで想定されるアートの熱を社会に対して魅力的に伝える方法について紹介します。文章力はもとより、関係企業・ 団体との連携やアートとメディアの関係構築を行う広報の仕事は、アート界のオールラウンド・プレーヤー。その「つなげる力」と そこから見えてくるアートの可能性について具体例を挙げながら解説します。 ◎ アート+地域資源=文化拠点の創造 森司(公益財団法人東京都歴史文化財団 東京文化発信プロジェクト室 東京アートポイント計画 ディレクター): 11月6日(火)19:00-21:00 1990年代の中ごろからアートやデザインなどの産業により文化資源の見直し、地域を再生する事業が世界各地で展開されていま す。東京都が、2009年から取り組んでいる「東京アートポイント計画」は、「アートをやりたい人がアートをやれる」枠組みと い えるでしょう。自治体による文化政策と創造都市事業のあり方、そしてその可能性を考えます。 ◎ 企業はアートでどう変わる? 塩見有子(AIT)/堀内奈穂子(AIT):11月20日(火)19:00-21:00 社会貢献度や倫理観、創造に対する姿勢などとアートの力を重ね合わせて差別化を図る企業。現在では、企業内でアーティストが作 品の制作公開を行ったり、またアーティストと企業の協働によるプロダクト開発などとその関係は多様化しています。そうしたプ ロ グラムの実社会における価値創造について具体例をとおして検証します。 ◎ ビジネスプランを考えるワークショップ 依田純子(元ハーバード大学シニア・フェロー)/塩見有子(AIT):12月4日(火)19:00-21:00 アートの力を活かしてもっといきいきとした生活を送るために、アーティスト、場、お金、人、それらの要素をうまくつなげて新し い環境を作りませんか?アートと社会貢献の関係からビジネスを考えたい方を対象に、仕組み作りを考え、シミュレーションをしな がらその持続可能性を受講生のみなさんで話し合います。 ◎ カルチュラル・エージェント ーアートとリーダーシップで社会変革 依田純子(元ハーバード大学シニア・フェロー):12月8日(土)12:30-14:30 アメリカと中米を中心に1990年代後半から聞かれるようになったカルチュラル・エージェント。アーティストや研究者、教育者 が、集団を統率する存在としてではなく、「介入(intervention)」する役割をもつ「リーダー」として共同体にどのような変革を もたらすことができるでしょうか。さまざまな事例を参照しながら考えます。 ◎ ビジネスプラン発表会 依田純子(元ハーバード大学シニア・フェロー)/塩見有子(AIT):12月18日(火)19:00-21:00 8回目のワークショップで考案したビジネスプランの発表会です。企画案、予算案、展開案を総合的にまとめ、具体的なアドバイス や受講生どうしの話し合いで出てくる関心や問題点をとおして企画案を強いものにしてゆきます。さらに、優秀な企画案については 実現の可能性を具体的に探ります。 15 Audience ○ オーディエンス - 「今」のアートのさまざまな表情を眺めよう! - 前期(2012年4月-7月):モノや行為がアートになるとき レクチャー一覧 ◎ アートとは何か?I ーアートを生産し、流通させること 小澤慶介(AIT):4月14日(土)12:30-14:30 「これはアートである」というのは、誰が判断して決定しているのでしょうか。アメリカの哲学者、 アーサーC・ダントーは、それ を決めているのはアート界であるといいました。アートを生産し、価値と言葉をつけ、人々の手に行き渡らせるアート界の役割と運 動からアートの姿を眺めます。 ◎ 世界のアートは、今 I ー旬のアートをナナメ読み ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):4月28日(土)12:30-14:30 美術館の新たな試みやアートマーケットの動向また、政治的・経済的・社会的なニュースを視覚文化の 視点から眺めることで新たな 世界像に触れる論考も。アートの世界、アートから見える世界について旬の話題を取り上げ紹介し、受講生のみなさんと「今どきの アート」について考えます。 ◎ アートを巡る経済学 辛美沙(MISA SHIN GALLERY代表):5月12日(土)12:30-14:30 アートの経済的な価値とそれを決める制度について考えます。絵画は一点ものという点で、大量生産・ 大量消費とはまた別の経済 によって成立していると考えられます。今やグローバルに拡張したアートマーケットで、絵画をはじめ、写真や映像などの複製でき るアートはどのように取引され、価値づけされているのかを具体例をとおして眺めます。 ◎ アートの現場に行こう! 塩見有子(AIT)/小澤慶介(AIT):5月26日(土)11:00-13:00 一般の人はなかなかアクセスできないアートの舞台裏。アートギャラリーや美術館ではどのような人が どのような仕事をしている のでしょうか。展覧会はもちろんそれを支えている人たちの話から、アートを成立させる力に触れてみましょう。訪問する美術館な どのアートスポットについては、こちらのページとAITから毎月受講生に配信する「レクチャー・スケジュール」メールでお知らせ します。 ◎ アートの力=アート+組織力 ヤノベケンジ(美術家):6月9日(土)12:30-14:30 アート界や行政という枠組みにおいて、作品やプロジェクトの完成度を高めることについて考えます。 アートの力は、アートを愛す るサポーターたちとギャラリーや美術館、芸術祭などのアートの場の力によって一気に広がっていきます。「ジャイアント・トらや ん」や「ラッキードラゴン」など具体的なプロジェクトをとおして、そのダイナミズムを眺めます。 ◎ アート・コレクターが作る「世界」 塩見有子(AIT)/堀内奈穂子(AIT):6月23日(土)11:00-13:00 アート・コレクターは、作品を収集するだけでなく、キュレーティングを行い、時に公開することがあります。作品の出来栄えやコ ンセプトのほかに、どのようなことを考えてコレクションを組み立ててゆくのか。ふだんは見ることができないアート・コレクショ ンを実際に見ながら、コレクターの話に耳を傾け、その極意に触れてみましょう。 16 ◎ アートを言葉に ー考えに輪郭を! 柳下朋子(日本経済新聞社)/小澤慶介(AIT):7月7日(土)12:30-14:30 「好き」、「きらい」から一歩踏み込んで、なぜ「好き」あるいは「きらい」なのか理由を考えてアートに向き合うと、態度や語る 言葉づかいが変化し、理解度も深まってゆきます。現場での視覚・身体的経験、そして二次的に得るコンセプトなどの情報、さらに 美術史や関連する学問領域の知を合わせながら、アートを言葉にします。 ◎ オルタナティヴって何? 堀内奈穂子(AIT):7月21日(土)12:30-14:30 メイン・ストリームではない「第三の道」を意味するオルタナティヴ。アートは、美術館などの制度空間以外でも、さまざまな方法 や時間的枠組み、形、空間的なスケールで成立します。ゴードン・マッタ=クラークが1960年代にニューヨークのソーホーに開い た食堂「FOOD」など、歴史を振り返りながら、今のオルタナティヴを探ります。 中期(2012年9月-12月):見知らぬことを考える力 レクチャー一覧 ◎ アートとは何か?II ー知ることをあきらめない力 小澤慶介(AIT):9月8日(土)12:30-14:30 今でこそ印象派の絵画を受け入れる人は多いかと思いますが、例えばマネの オランピア が1863年に発表された当時のパリは、そ の絵画のきまりを無視するような表現に騒然としたといわれています。見知っている世界の 外 に向き合い、知らないことを考え 抜くことからアートの姿を眺めます。 ◎ 来たるべき世界を受けとめるために 佐々木中(作家/哲学者):9月15日(土)12:30-14:30 芸術や文学は、なぜ存在しているのでしょうか。「世界」を知らせる窓として、人々に働きかける絵画やテキストは、つねに世界が どのようなものであるかを提示しつづけてきました。芸術に触れ、テキストを読むことで、来たるべき世界の姿を想像してみましょ う。繰り返された日常からの抜け道を探るスリリングな試みです。 ◎ 世界のアートは、今II ー旬のアートをナナメ読み ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):9月29日(土)12:30-14:30 美術館の新たな試みやアートマーケットの動向また、政治的・経済的・社会的なニュースを視覚文化の視点から眺めることで新たな 世界像に触れる論考も。アートの世界、アートから見える世界について旬の話題を取り上げ紹介し、受講生のみなさんと「今どきの アート」について考えます。 ◎ 美術館に行こう! ー知られざる過去への旅 塩見有子(AIT)/小澤慶介(AIT):10月13日(土)11:00-13:00 先人たちの技や表現、人生を知る美術館。そこには、私たちの知らない世界観が広がっています。芸術家たちの手の痕跡をとおして 過去に向き合いながら、現在を見つめ直してみませんか?訪問する美術館は、こちらのページとAITから毎月受講生に配信する「レ クチャー・スケジュール」メールでお知らせします。 ◎ もう1人の自分を見つける方法 小泉明郎(美術家):10月27日(土)12:30-14:30 自分の姿を映像に撮ると、思いがけない表情や身のこなしが映り込んでいて驚くことがありませんか? ある約束事のもとに映像を 撮ると、さらに身体はさまざまな表情を見せはじめ、同時に映像作品に近づきはじめることでしょう。ワークショップをとおして、 見知らぬ自分と、作品へ変わってゆく映像に出会ってみませんか? 17 ◎ 日本におけるアール・ブリュットの現在 保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員):11月17日(土)12:30-14:30 「生のままの芸術」を意味し、精神的・知的障害をもつ人々による表現、アール・ブリュット。欧米に端を発しながらも、独特な プロセスで受容された日本において、現在、アール・ブリュットを巡る活動が活発になってきています。アートと医療福祉との結び 目から現れる表現を、アーティストや支援組織などのあり方に触れながら解説します。 ◎ アートを言葉に ー展覧会を読み解く 柳下朋子(日本経済新聞社)/小澤慶介(AIT):12月1日(土)12:30-14:30 タイトルやサブ・タイトル、コンセプト、作品、会場の関係を踏まえ、展覧会を読み解くトレーニングです。展覧会は、さまざま な要素によって構成されていますが、それらの力関係によって展覧会の印象は大きく変わるといってもいいでしょう。実際に展覧 会に出かけ、受講生どうし意見交換をし、自分の考えを文章にして表してみましょう。 ◎ アートは社会をどう変えられるか? 堀内奈穂子(AIT)12月15日(土)12:30-14:30 川俣正の「アートレス」の考えを踏まえながら、既存のかたちや方法論を組み替えてゆくプロセスをアートとして捉えてみます。す ると、アートは、私たちがよく知っているような姿ではなく、例えば人々が関わりながら絶えず意味を変えてゆく「場」として現れ ることがあります。知的障害者や民族的少数派、被災地で復興にあたる人々とともに成立するアートのかたちについて考えます。 後期(2013年1月-3月):世界を見る力、変える力 レクチャー一覧 ◎ アートとは何か?III ーアートから見える世界の構え 小澤慶介(AIT):2013年1月19日(土)12:30-14:30 例えば、目に見えないものはアートになるでしょうか。あるいは、はっきりとした形として捉えるのがむずかしいものは?美術館 の収蔵庫には、形あるものとしての作品が保管されていますが、果たしてアートの条件とはそれに限られるといえるのでしょうか。 有形、無形、不定形から見えてくるアートと「世界」の姿、またそれらの関係性を考えます。 ◎ 声と身体がアートになるとき 山川冬樹(ホーメイ歌手/美術家):2013年1月26日(土)12:30-14:30 ホーメイ歌手であり、パフォーマンス・アーティストでもある山川氏と共に、言葉を発することなくコミュニケーションを図る方法 を実験的に探求します。「オヨヨー」と発声することで、川のせせらぎが聞こえてきたら、コミュニケーションの新たなレベルに 入ったと思っていいでしょう。声と身体の知られざる力から、意思や感情を伝える方法を試みます。 ◎ アートを言葉に ー作品の背景を読み解く 柳下朋子(日本経済新聞社)/小澤慶介(AIT):2013年2月2日(土)12:30-14:30 形や色彩、設置されている場、そしてそれが生み出された時代や社会背景の関係は、作品のさまざまな 解釈をもたらします。それ は、見る側の関心や社会的な立場によって、さらに複雑になってゆくことでしょう。一つの作品をより深く論じることでアートと 歴史、社会の関係を明らかにし、そこから同時代のアートとは何かを考えます。 ◎ アーティストの条件 ーいつも外に立つ人として 会田誠(美術家):2013年2月9日(土)12:30-14:30 社会の縁にいながらその通念や規範に取り込まれることなく、それが見過ごしている問題や出来事を視覚化して公にするアーティス ト。「なぜ描くのか」という表現への動機や描き続ける意思とアーティストが身をおく共同体との関係に着目しながら、多様で複 雑な社会を表象する職能について、アーティスト自らが語ります。 18 ◎ アートスペースの方法論 ー変容するアートの現場 堀内奈穂子(AIT):2013年2月16日(土)11:00-13:00 アーティスト個人による活動から、アーティスト・グループによる活動まで、国内の新しい世代のアートスペースを紹介します。 キーワードは、「移動」と「共有」。物理的な空間を持たないからこそ広がりの生まれる創造性 れる実践について、 Artists Guildや西尾美也、Wahの活動のほか、2011年の震災に反応した動きにも迫ります。 ◎ パフォーマンスや文学からアートを眺める ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):2013年2月23日(土)12:30-14:30 アートを隣接領域から眺めると、意外にもある時代思潮を共有していることに気がつきます。キーワードは「流動性」と「異種混 交」。身体の動きや痕跡、あるいはテキストから浸み出してくる表現とアートの関係をとおして、「世界」はどのようなものである かを考えます。 ◎ 1日24時間、365日アーティスト 遠藤一郎(未来美術家):2013年3月2日(土)12:30-14:30 生きることそれ自体がアートになるとは考えられないでしょうか。2011年にアップグレードした「未来へ号」で日本各地を日々移 動しながら表現活動を行う遠藤氏。彼を動かしているものはどのような思いなのか、また彼の向かうところでは何がおきるのか、 そして彼はこれからどこに行くのか。「流れ」のなかにアートのエッセンスを見つけ出します。 ◎ 2010年代、アートの可能性 ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):2013年3月9日(土)12:30-14:30 オーディエンス・コースで上がった意見や議論、またこれからのアートを語る上でのポイントをいくつか紹介しながら、現代アート がこれからどのようなものになってゆくのかを話し合います。ヨーロッパでは、キュレーターが欧州原子核研究機構(CERN)にな るほど。アートは産業や学問の領域を超えて、どのような働きかけを誰に(何に)対して行ってゆくのでしょうか。 19 Artist ○ アーティスト - スタジオから世界に出てゆく表現者へ - 前期(2012年4月-7月):表現を「作品」にする レクチャー一覧 ◎ 多様化する「アートの文法」について 4月21日(土)15:30-17:30 1990年代以降の作品を紹介しながら、表現を「アート」として成立させるプラスαについて考えます。絵画や彫刻、写真や映像、 アーカイヴ、パフォーマンス、またそれらを複合したインスタレーションなど現代のアートは多様化していますが、それらの表現と 美術史や社会との関係に注目しながら「アート」を語るポイントや方法を考えます。 ◎ 受講生による作品のプレゼンテーション 4月28日(土)15:30-18:30 これまでに制作した作品や手掛けたプロジェクトなどについてプレゼンテーションを行います。作品をとおして、受講生どうしの作 品コンセプトや表現形式を共有することが目的です。 ◎ 作品と展示空間を自分のものにするために 5月12日(土)15:30-17:30 表現と空間の関係から作品の成立条件を探ります。同じ作品でも、美術館に展示されるのと屋外に設置されるのとでは見え方や意味 あいの差が生まれるように、「作品」にはつねにそれがおかれる空間の文脈が含まれると考えられるでしょう。「社会空間」に対す る理解を深めながら、空間と作品との影響関係を考えます。 ◎ アートの種を形にする方法について 5月26日(土)15:30-17:30 「作品」のまえの「表現」、「表現」のまえの「アートの種」を探るワークショップです。感覚を研ぎ澄まし洞察力を高めながら屋 外へ飛び出し、時代や社会が表れ出ているサインや風景、状況などの断片を拾い上げながら、それらの種を意識化、視覚化、そして アートの文脈にのせて作品化するプロセスについて話し合います。 ◎ スタジオから展示空間へ 6月9日(土)15:30-17:30 表現したものを展示空間へ移動する際にアーティストが踏むプロセスを想定しながら、作品化することについて考えます。アーティ ストは、展示空間の性質を踏まえつつ、ギャラリストやキュレーターと作品をどのように設営して発表するか議論します。空間と作 品とコンセプトの関係を調整する具体的なプロセスをシミュレーションします。 ◎ 作品を展覧会で上手に見せるために 6月23日(土)15:30-17:30 作品を展示する際、照明や作品どうしの間隔、額装、展示空間を共有する他のアーティストの作品との距離、また映像作品であれば 機材の選定や画面のスケール設定など、解決すべきさまざまな点があります。アーティストをゲストに迎え、実際に行われた展示設 営のプロセスのケース・スタディーを行います。 20 ◎ 素材と表現と目的の関係式を考える 7月7日(土)15:30-17:30 多様な表現の形式があるアート。それらの形式があるからアートを行うのではなく、その反対に、表現したいことに応じてそれらを 選ぶとどうなるでしょうか。思考を形にする実験の繰り返しから見えてくる新たな視点や切り口から、表現を鍛えると同時に新たな 作品へとつながる突破口を見つけ出すプロセスについて話し合います。 ◎ 「アート」を上手に使う方法 7月21日(土)15:30-17:30 サンチアゴ・シエラやヴィム・デルボワ、川俣正など、アートの文脈を活かしながら表現を作品にしている例は数多く見られます。 無形や不定形、あるいはプロセス自体であっても、「アート」の約束事がわかっている限りでは作品になりうるといったことに目 を向け、そのための技術や考え方を話し合います。 後期(2012年9月-12月):「現代」を映し出す作品を考える レクチャー一覧 ◎ 100年前の世界の「現代」を考える 9月8日(土)15:30-17:30 同時代を表現することについて考えます-1910年代のヨーロッパ、都市化と工業化が加速し、第一次世界大戦へと向かうとき、 アーティストの表現はどのようなものになっていったのでしょうか。ダダイズムや未来派、ドイツ表現主義などを参照しながら、同 時代を描き出す存在としてのアーティストを考えます。 ◎ アーティストの「現代」に対する距離感と表現媒体 9月15日(土)15:30-17:30 時代を捉えるとき、アーティストはどのような距離感でそれに向き合うのでしょうか。例えば、ベッヒャー夫妻のように傍観者的に 時代を記録してゆくという方法もあれば、マイケル・ラコヴィッツはストリートに出て直接ある特定の市民に働きかけを行います。 同時代を捉えるときのアーティストの態度について話し合います。 ◎ リアリティの読解力をつける 10月6日(土)15:30-17:30 公共圏の衰退、埋まらない格差、国家=国民の限界、第二の近代の到来など、現代社会を彩るさまざまな言葉があるなか、アー ティストはそのどこにリアリティを見出し、どのような表現方法で視覚化するのでしょうか。その作業過程でアーティストが行う 「物語化」に注目しながら、具体例をとおしてリアリティと物語の関係を眺めます。 ◎ アーティストが行う調査研究とは? 10月13日(土)15:30-17:30 アーティストが、思考や関心を形にする前に行う調査研究について考えます。表現が「作品」として社 会性を獲得するためには、 その表現のメディアやスケール、社会的あるいは歴史的な意味をさまざまなに検証する必要がありそうです。文献を読んだり関係者 への聞き取りなど、調査研究から作品制作を見直します。 ◎ 疑問から、時代の表情を描き出すまで 10月27日(土)15:30-17:30 アーティストは、どのように疑問や好奇心を作品へむけて展開してゆくのでしょうか。ゲストを迎え、 ケース・スタディーをとおし て、問題意識の持ち方や調査研究の対象、得られた知や情報のまとめ、そしてそれらを構成して視覚化するプロセスを学びます。そ の後、みなさんの問題意識に沿った作品の展開方法について話し合います。 21 ◎ 100年後の世界から「現代」のアートを考える 11月17日(土)15:30-17:30 「後世にとって、一世紀全体の制作において行うべき選択とは何かを知ることです。」と言ったマルセル・デュシャン。数百年後か ら見て、「今」という時代を象徴的に映し出す作品が、歴史の波に呑まれずに「アート」として語り継がれることを示しています。 今に生きるアーティストが取り組むべき問題系について、話し合います。 ◎ 受講生による作品のプレゼンテーション 12月1日(土)15:30-18:30 短時間で、作品を明快に伝えるシミュレーションを行います。作品群を編集してまとめ、コンセプトと作品の関係を見直し、平易な 言葉で伝える方法の獲得を目指します。 ◎ アーティストとしての戦略を考える 12月15日(土)15:30-17:30 アーティストの職能を再確認しながら、表現行為を作品として社会と接続する回路をシミュレーションします。作品の制作とマー ケットでの売却、アートプロジェクトをとおした地域の創造、福祉の領域におけるワークショップなど、目的によってアーティスト の活動はさまざま。自らの思考や関心を実現させるためのステップについて話し合います。 22 クーポンについて ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 行けるときに、好きなレクチャーを受講! 受講したいレクチャー数に合わせてクーポンを購入し、好きなレクチャーを自由に選択して受講することが できます。 *クーポンの有効期間は、2012年4月から2013年3月までの一年間です。 ● シュプレマティスト [100コマすべて] ● エクスプレッショニスト [50コマまで] ● リアリスト [25コマまで] ● インプレッショニスト [10コマまで] ● ミニマリスト [5コマまで] 23 おススメの受講方法 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 1年間で100のレクチャーといっても、どのように受講すればいいのかわからないという方も多いはず。自分の目的 や興味、関心にあったコースやレクチャーをご案内します。 MADプログラム・ディレクターやスタッフに直接聞いてみたいことがある、AITルームの雰囲気を知りたいな ど、MADについてもっと詳しく知りたい方は、「受講ガイダンス」にご参加下さい。 キュレーターを目指す!仲間が集まる場づくりや展覧会を企画してみたい方 展覧会の企画・制作を理論と実践から学べる「キュレーティング コース」をおすすめします。その他、アートの歴 史を知るアイデアが詰まっている「モダン・アート コース」やアート界の現場を知ることができる「インダスト リー コース」から関心に応じて受講するとキュレーティングに対する理解が深まります。 現代アートの基礎を学びたい方 「モダン・アート コース」を受講すると19世紀後半から今世紀にかけてアートが遂げた変化・変容について学ぶこ とができ、自分なりにアートについて語れるようになるでしょう。また、「オーディエンス コース」で美術館などの アートの現場を訪れたり、アーティストの声を直接聞くことで、今のアートに対して深い理解をもたらすでしょう。 アートを仕事にしたいと考えている方 「インダストリー コース」は、前期がアート界を知ること、そして後期が具体的にアートでビジネスを考えること がテーマになっている、より実践的なコースです。また、アーティストやキュレーターとのコミュニケーションでよ く出てくる専門用語に触れておくことは大切。「モダン・アート コース」や「オーディエンス コース」などのレク チャーで、現代アートの基本的な考え方や用語の使い方などを磨きましょう。 24 はじめて現代アートをかじる方 さまざまな角度から現代アートにアプローチする入門的な「オーディエンス コース」をおすすめします。キュレー ターやアーティストによるレクチャーや美術館などのアート・スポットの見学、またワークショップをとおして、 アートを身近に感じてみましょう。 アーティストとして自立したい。作品を作った「後」について考えたい方 「アーティスト コース」で、アーティストとして自立するプロセスの一歩を踏み出しましょう。前期では、表現が作 品になることや現場で「作品」を上手に見せる方法などについて、後期では、同時代性を表わす作品のあり方につい て、それぞれ具体例を挙げながら話し合います。その他、アート界について学ぶ「インダストリー コース」から選ん で受講すると、進むべき道がはっきりしてくるかもしれません。 留学を考えている方 「モダン・アート コース」で現代アートの基礎知識を確認しておくことは有効です。また、「キュレーティング コース」のいくつかのレクチャーで取り上げる批評理論に触れておくと留学生活をスタートしやすくなるでしょう。 25 受講料(割引•特典)について ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 1. 受講料 受講ガイダンスにご参加いただいた方は、受講料が割引となります。詳しくは、P.37 をご覧下さい。 コース制 料金一覧 コース名 コマ数 料金(税込) キュレーティング 指定10+選択2 ¥53,550 モダン・アート 指定10+選択2 ¥43,050 インダストリー 指定10+選択2 ¥53,550 オーディエンス 指定8+選択2 ¥42,000 アーティスト 指定8+選択2 ¥35,700 *キュレーティング コースの料金には、展覧会制作費が含まれます。 *オーディエンス コースの料金には、展覧会訪問のバス代が含まれます。 *展覧会の見学にかかる入場料は、受講生の負担になります。 クーポン制 料金一覧 クーポン名 コマ数 料金(税込) シュプレマティスト 100 ¥294,000 エクスプレッショニスト 50 ¥168,000 リアリスト 25 ¥89,250 インプレッショニスト 10 ¥37,800 ミニマリスト 5 ¥19,950 *「ミニマリスト」は、割引適用外となります。ご了承下さい。 *「キュレーティングの実践ワークショップ」への参加は、シュプレマティストを除き、 原則としてキュレーティング コースの受講生に限られます。 *オーディエンス コースのバスツアーに参加する場合、別途バス代が必要になります。 *展覧会の見学にかかる入場料は、受講生の負担になります。 26 2. 特典 ○ AIT主催のトークやイベントの参加料割引! MADの受講生になると、自動的にAITのメンバーシップ・プログラムの「ベース・メンバー」となり、アーティスト やキュレーターが作品や手がけた展覧会について話をする「ARTIST TALK」や「SLIDE TALK」などの参加料割引 特典が受けられます。 (例)AIT ARTIST/SLIDE TALK 参加費:一般 1,000円 → ベース・メンバー 800円 ※トークは、AITのレジデンスアーティスト、キュレーターによるものが中心となります。その他、話題のアーティ ストやキュレーターも過去にお呼びしています。詳しくはAITのHPの「Future/Archives」をご覧下さい。 ※ご希望の方には、「ベース・メンバー」カードをお渡ししますので、スタッフにお声かけください。なお、メン バーシップ・プログラムに入会すると、これらのトークが無料になるほか、さまざまなメンバー特典が受けられま す。詳しくは、AITのHPをご覧下さい。>>http://www.a-i-t.net/ja/membership.php 27 お申し込みについて ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 1. お申込み方法 2012年1月20日(金)より、オンライン申込みを受付けています。 お申込みフォーム https://www.a-i-t.net/mad/2012/apply/ お申込みフォームをお送りいただいた後、こちらから受講料のお振込み方法についてご連絡させていただきます。 なお、フォームの受理とお振込みをもってすべてのお申込み手続きの完了とさせていただきます。お申込みフォーム の受理のみでは、手続きは完了していませんので、ご了承ください。 * 原則として、お申込みを完了した後のキャンセル・返金は受付けません。 * 受講資格は、特にありません。 * FAXにてお申込みをご希望の場合は、お問い合わせください。 2. お申込み締切について ○ コース制 キュレーティング、モダン・アート、インダストリー、アーティスト 前期:2012年3月28日(水) 後期:2012年8月13日(月) オーディエンス 前期:2012年3月28日(水) 中期:2012年8月13日(月) 後期:2013年1月7日(月) ○ クーポン制 クーポンの購入は2013年2月まで随時受付けています。 28 講師について ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 1. MADプログラム・ディレクターはこんな人たち! ロジャー・マクドナルド(AIT):1971年生まれ。ケント大学にて宗教学修士課程修了後、美術理論にて博士号 を取得。MADでは多数のレクチャーを担当。2006年の第一回「シンガポール・ビエンナーレ」キュレーター。 東京造形大学非常勤講師。 小澤慶介(AIT):1971年生まれ。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジにて現代美術理論修士課程修 了。MADではカリキュラム編成をしながらレクチャーも行う。アートフェア東京アソシエイト・ディレクター、 女子美術大学非常勤講師。 2. ゲスト講師のご紹介(50音順) ○ 会田誠(美術家): 1965年、新潟生まれ。1991年、東京芸術大学大学院美術研究科壁画専攻終了。ミヅマアートギャラリーで の個展を中心に、六本木クロッシング(森美術館、2004)、美術であろうとなかろうと(トーキョーワンダーサイト、2011)な どで作品を発表している。2012年には、森美術館で個展も開催される。また、会田自身の制作を追ったドキュメンタリー映画 「 会田誠」 がある。 ○ 秋元雄史(金沢21世紀美術館館長): 国吉康雄美術館、ベネッセアートサイト直島(旧・直島コンテンポラリーアートミュー ジアム)の企画、運営に携わる。地中美術館館長/(財)直島福武美術館財団常務理事(2004-2006)、ベネッセアートサイト 直島・アーティスティック・ディレクターを経て現職。 ○ 市川靖子(アートイベントPR):MADキュレーション・コース修了(2003)。レントゲンヴェルケ勤務の後、ART@AGNES アートフェアの広報のほか事務局を担当。その後、アートフェア東京、あいちトリエンナーレ2010、ヨコハマトリエンナーレ 2011などのプロジェクトで広報を担当し、アートと企業、地方自治体、市民のネットワーク作りに貢献。 ○ 遠藤一郎(未来美術家): 1979年生まれ。10代よりパフォーマンスライブを始める。 「GO FOR FUTURE」のメッセージを 伝えるために、人々の夢が書きこまれたマイクロバス「未来へ号」に乗り各地をまわる。応援パフォーマンスや、メッセージを描 いた団幕などで表現活動を行う。2011年の震災以降、石巻の商店街のシャッターに絵を描いたり、仮設住宅のための表札をつく るなどの交流の場「石巻ワンダー横丁」を進行中。 ○ 金島隆弘(アートフェア東京エグゼクティブ・ディレクター) : 1977年、東京生まれ。東京画廊+BTAPの北京スペース運営な どを経て、FEC(Far East Contemporaries)を設立。同社の代表として、東アジアにおける現代美術の調査プロジェクト、作家 の制作支援、交流事業などを手がけている。 2010年、現職に就任。 ○ 小泉明郎(美術家) :1976年、群馬生まれ。チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(ロンドン)卒業 後、2005年から2年間、ライクスアカデミー(アムステルダム)のアーティスト・イン・レジデンスに参加。主な参加展覧会 は、 「MAMプロジェクト009」 (森美術館 2009)、「あいちトリエンナーレ2010」、「メディアシティ・ソウル2010」、 「『アート・スコープ2009ー2011』ーインヴィジブル・メモリーズ」(原美術館、2011)など。 29 ○ 佐々木中(作家/哲学者) :1973年、青森生まれ。東京大学文学部卒業、同博士課程修了、博士(文学)。著書に『夜戦と 永遠 ー フーコー・ラカン・ルジャンドル』(以文社、2008/河出書房文庫、2011[定本])、『切りとれ、あの祈る手を ー 〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』(河出書房新社、2010)、『九夏前夜』(同、2011)、『足ふみ留めて アナレクタ1』 (同、2011)、『この日々を歌い交わす アナレクタ2』(同、2011)がある。 ○ 沢山遼(美術批評) : 1982年生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修了。主な論文に「ジャクソン・ポロックー隣接性の 原理」『Art Trace Press 01』(Art Trace、2011)「フォルムの偽の力能ーピカソ キュビスム」『所沢ビエンナーレ美術展 引込線2011』(所沢ビエンナーレ実行委員会)「盲目的遮蔽空間ー先キュビスムと《アヴィニョンの娘たち》」 『ART CRITIQUE』第2号など。武蔵野美術大学非常勤講師。 ○ 塩原将志(アートオフィスシオバラ):ギャラリー日動ニューヨークINC.の代表を務めた 後、タグボート創始時期よりアドバ イザーとして参画。2004年にアート・オフィス・シオバラを設立。またnca(日動コンテンポラリーアート)の顧問も務める。 アートのディーリングと同時にアート・コレクションのコンサルティング、また展覧会企画への協力なども行っている。 ○ 塩見有子(AIT) :学習院大学法学部政治学科卒業後、イギリスのサザビーズインスティテュートオブアーツにて現代美術ディ プロマコースを修了。帰国後、ナンジョウアンドアソシエイツにて展覧会やアート・プロジェクトのコーディネート、コーポレー トアートのコンサルタントを担当。2002年、仲間と共にNPO 法人アーツイニシアティヴトウキョウを立ち上げ、代表に就 任。AITでは、芸術文化に関わる基盤作りやアーティスト支援に取り組む。 ○ 辛美沙(MISA SHIN GALLERY代表) : 森美術館、アートフェア東京エグゼクティブ・ディレクター等を経て、2010年11 月、東京白金にギャラリーをオープン。国内外の すぐれたアーティストを紹介し、世代やジャンル、さらには政治的な観点さえも 超える質の高い展覧会の開催を通じて、アートが持つ可能性を提示。著書に 『アート・インダストリー: 究極のコモディティーを 求めて』(美学出版、2008)がある。 ○ 杉浦太一(株式会社CINRA代表取締役) :1982年東京生まれ。2003年に大学在学中にCINRAを立ち上げる。2006年、大 学卒業と同時に株式会社化。現在、アート、音楽、映画、演劇などを扱うカルチャーポータルサイト 『CINRA.NET』の運営を中 心に、WEBサイトやグラフィックなどの企画制作、毎月無料のライブイベント『exPoP!!!!!』の開催など、「ヒト・モノ・コトと の新しい出会いを提供する」をコンセプトに活動中。 ○ 住友文彦(AIT):1971年、東京生まれ。金沢21世紀美術館建設事務局、NTTインターコミュニケーションセンター、東京都 現代美術館を経て、ヨコハマ国際映像祭2009ディレクター、メディアシティソウル2010の共同キュレーターを務めた。現在、別 府現代芸術フェスティバル2012「混浴温泉世界」キュレーター、前橋市美術館(仮称)学芸員、あいちトリエンナーレ2013キュ レーターを兼任。 ○ 墨屋宏明(野村総合研究所):大学では経営工学を専攻。野村総合研究所(NRI)でシステムエンジニア、プロジェクトマネー ジャを経て、2008年よりコーポレートコミュニケーション部で広報PR、CSRを担当。 NRI未来創発フォーラムでは、経済学者、 生命科学者、建築家、ギャラリストなどジャンルを超えた識者が登壇するフォーラムを企画運営している。また、鎌倉のNPO法人 ルートカルチャーでは、栗林隆展などの展覧会企画を手がける。 ○ 竹内万里子(写真批評家/京都造形芸術大学准教授) : 早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。早稲田大学非常勤講師、 東京国立近代美術館客員研究員などを経て、2009年より現職。2008年フルブライト奨学金を受け渡米、同年「パリフォト」日本 特集のゲストキュレーターを務めた。主な共著に『日本の写真家101』、訳書に『ルワンダ ジェノサイドから生まれて』など。 ○ 長田哲征(オフソサエティ代表取締役) :1970年生まれ。多摩美術大学建築科卒業。 1995-1999年、ナンジョウアンドアソ シエイツ在職中に、「大林組アートプロジェクト」「博多リバレインアートプロジェクト」等を担当。米国就労から帰国した 2002年、ナンジョウアンドアソシエイツの代表取締役/ディレクターに就任し、Arts Towada/十和田市現代美術館の計画策定・ 全体監修等を手掛ける。2009年、オフソサエティ設立。 ○ 永吉文子(SCAI THE BATHHOUSE):日本を代表する現代アートギャラリーのスタッフとして、所属アーティストの展示、 「Art Basel」など世界最大規模のアートフェアへの出展の管理、運営に携わる。SCAI THE BATHHOUSEでの担当作家は名和晃 平、塩保朋子、イェッペ・ハイン、アピチャッポン・ウィーラセタクンなど。 30 ○ 保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員): 1976年生まれ。企画した展覧会に『現代美術への視点6 エモーショナル・ド ローイング』(2008)、『建築はどこにあるの?7つのインスタレーション』(2010)、『イケムラレイコ うつりゆくもの』 (2011)など。共著に『現代美術を知るクリティカルワーズ』(フィルムアート社、2002)、『キュレーターになる!アートを 生み出す表現者』(フィルムアート社、2009)など。武蔵野美術大学非常勤講師も務める ○ 堀内奈穂子(AIT):エジンバラ・カレッジ・オブ・アート現代美術論修士課程修了。スコットランド国会議事堂での展覧会 「Reversible」(2007)や、宮永愛子の個展「闇に届けた話」(2007) など、エジンバラにて展覧会を企画。ドクメンタ12マ ガジンズ・プロジェクト「メトロノーム11号 − 何をなすべきか? 東京」では、アシスタント・キュレーターを務めた。AITでは、 「Rounds - めぐりめぐる」展(2011)や、東京文化発信プロジェクト室との共催事業「東京事典」(2011)の企画・運営を行 う。 ○ 光岡寿郎(メディア研究/ミュージアム研究): 1978年生まれ。2003年よりSETENVの創設メンバーとして、メディアアート を中心とした展覧会やシンポジウムの企画に携わる。2006年より、ミュージアムをメディア研究の視点から論じている。論文に 『なぜミュージアムでメディア研究か?』、共訳に『言葉と建築?語彙体系としてのモダニズム』(鹿島出版会、2005)がある。 ○ 宮津大輔(コレクター) :1963年、東京生まれ。都内の企業に勤務する傍ら、300点を超える現代アート作品を収集。そのコ レクションやアーティストと共同で建設したドリーム・ハウスは、国内外の展覧会やメディアに多く取り上げられ、 2011年、台 湾のMOCA TAIPEIでコレクション展を開催。主な著書に『現代アートを買おう!』(集英社新書/中国語・繁体字版・台湾Uni Books)がある。 ○ 森司(公益財団法人東京都歴史文化財団 東京文化発信プロジェクト室 東京アートポイント計画 ディレクター):1960年生ま れ。水戸芸術館現代美術センター学芸員として、川俣正、椿昇、日比野克彦、宮島達男らの個展ほか、グループ展「日常の喜び」 「カフェ・イン・水戸」(2008)などを手がける。トヨタ・アートマネジメント講座(19962001)のディレクターを務める。 首都大学東京非常勤講師。09年4月より現職。 ○ 森弘治(美術家):多摩美術大学卒業後、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院修了。社会空間への介入をテーマに、主に映 像作品を制作している。第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ企画展「Think with the senses − feel with the mind」(ヴェネ ツィア)や原美術館「アート・スコープ2005/2006」などで作品を発表している。 ○ 柳下朋子(日本経済新聞社) : 2003年、武蔵野美術大学油絵学科卒。在学中、MADキュレーションコース(2001)を修了。 雑誌『ARTiT』編集部を経て、2009年より日本経済新聞社にてアートレビュー面を担当。アート記事の取材・執筆に携わる。 ○ヤノベケンジ(美術家):1965年、大阪生まれ。ULTRA FACTORY主宰。「サヴァイヴァル」をテーマに、終末の未来を生き 抜くための立体作品を制作。1997年よりガイガーカウンターを搭載した自作の放射線感知服を着て、原発事故後のチェルノブイ リなどを訪問する「アトムスーツ・プロジェクト」を開始。2000年代より「サヴァイバル」から「リヴァイヴァル」へテーマを拡 大。国内外で精力的に発表を続けている。 ○ 山川冬樹(ホーメイ歌手/美術家):1973年、ロンドン生まれ。音楽、美術、舞台芸術の分野で活動。主な参加展覧会は、 山ビエンナーレ(2008)、ヨコハマ国際映像祭(2009)、「MOTコレクション Plastic Memories」(東京都現代美術 館、2010)など。東京藝術大学先端芸術表現科、多摩美術大学情報芸術コース非常勤講師。 ○ 山本裕子(山本現代代表):東京生まれ。2004年に東京、文豪の花街・神楽坂の工場街に 現代アートのギャラリー「山本現 代」をオープンし、2008年に港区白金の現スペースに移転。ヤノベケンジ、小谷元彦、高木正勝、西尾康之、また宇川直宏 など、 表現技法に関わらず、独自の技法とコンセプトを持つアーティストを紹介している。 ○ 吉本光宏(ニッセイ基礎研究所) : 早稲田大学大学院(都市計画)修了。東京オペラシティや世田谷パブリックシアターの文 化施設開発、東京国際フォーラムアートワーク整備事業などのコンサルタントとして活動する一方、文化政策や文化施設の運営、 クリエイティブシティに関する調査研究に取り組む。主な著書に、『アート戦略都市』(監修、鹿島出版会、2006)など。 ○ 依田純子(元ハーバード大学シニア・フェロー) : コロンビア大学院MBA卒業。AITキュ レーションコース修了(2007) 後、海外の雑誌で、日本で行われる海外アーティストのプロジェクトや、日本のオルタナティブスペースの紹介を行う。 Hatch Artコーディネート、キュレーション担当。2010年から2011年までHarvard大学ALI(アドバンスド・リーダーシップ・イニシア ティプ)の シニアー・フェローとして、物語、アート、適応能力とリーダーシップの関係と社会的企業を研究。アメリカで人権関 連のプロジェクトを立ち上げる。 31 お申し込み後の流れについて ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 1. レクチャーのスケジュール 最新のレクチャースケジュールは、「Google カレンダー」または、毎月AITから配信される「レク チャー・スケジュール」メールからご確認頂けます。 *Google カレンダーでは、MADのレクチャー以外にも、AIT主催のイベント情報も掲載しています。 2. レクチャーの予約方法について ▶コース制: コース指定のレクチャーは、自動的に予約されますが、選択の2コマは、クーポン制と同様の予約手 続きが必要になります。受講中のコース以外から、お好きなレクチャーをお選びください。 ▶クーポン制: 毎月AIT([email protected])から配信する「レクチャー・スケジュール」メールを確認し、希望す るレクチャーを明記してご返信ください。折り返し、予約受付完了メールをお送りします。 *AITルームでのレクチャーの定員は、各回40名となります。 *定員40名に達したレクチャーについては、キャンセル待ちとなりますため、受講できない場合があります。 *やむを得ない事情により、レクチャーの日程が変更となることがあります。その場合は事前にお知らせします。 I. 翌月開講されるレクチャー・スケジュールを毎月20日前後にメールでお知らせします。 例:4月開講のレクチャーの場合、3月20日前後に下記のようなメールを配信します。 件名:2012年4月のレクチャー・スケジュールのご案内 受講生の皆さま 2012年4月のレクチャーは、下記の通りです。 氏名と日中連絡可能な電話番号、受講したいレクチャーを明記の上、 このメールアドレス(mad@a-i-t.net)にご返信ください。 折り返し、予約受付完了メールをお送り致します。 4月11日(水)19:00-21:00 コース:キュレーティング レクチャータイトル:1. キュレーティングA to Z - 大航海時代から20世紀へ 講師:ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT) 4月12日(木)19:00-21:00 コース:モダン・アート レクチャータイトル:1. 20世紀のアートを彩る言葉とコンセプトを知ろう! 講師:ロジャー・マクドナルド(AIT) ご連絡をお待ちしております。 ―AIT 32 II. 氏名と日中連絡可能な電話番号、受講を希望するレクチャーをお知らせください。 例:ご予約メールには、以下の情報を明記の上、ご返信ください。 宛先:mad@a-i-t.net 件名:Re: 2012年○月のレクチャー・スケジュールのご案内 下記のレクチャーを希望します。 4月11日(水)19:00-21:00 コース:キュレーティング レクチャータイトル:1. キュレーティングA to Z - 大航海時代から20世紀へ 講師:ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT) 氏名:代官山 花子 日中連絡可能な電話番号:090-1234-5678 Ⅲ.「レクチャー予約受付完了」メールをお送りします。以上で予約完了です! 4. レクチャーのキャンセルについて ▶コース制:コース指定のレクチャーの場合は、事前にmad@a-i-t.net(@を半角にしてください)までお知らせ下さ い。選択のレクチャーの場合は、予約完了時に配信される「レクチャー予約受付完了」メール内の予約キャンセル専用 リンクより手続きをしてください。 ▶クーポン制:予約完了時に配信される「レクチャー予約受付完了」メール内の予約キャンセル専用リンクより手続き をしてください。 *原則として、電話でのキャンセルは受付けておりません。 *予約キャンセル専用のリンクは、レクチャー開講日の2日前、夜中0:00まで有効です。 (例:10日(金)19:00開講のレクチャーの場合、8日(水)夜中0:00まで有効) *キャンセルの期限が過ぎた場合、キャンセルはお受けできなくなり、一回の出席としてカウントされます。十分にご注意ください。 33 修了生について ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 1. MADの修了生について ・ 学生30% 社会人70% ・ 19才∼82才(20代後半から30代前半の女性多数) ○ 学生:美術系大学、一般大学(公立、私立)、専門学校ほか ○ 会社員の職業:金融、シンクタンク、建築、デザイン、広告、アート関連、服飾、出版ほか ○ 修了生が活動している美術館やギャラリー、企業、プロジェクトなど:東京都現代美術館、森美術館、三菱一号館美術館、 女子美術大学美術館、東京文化発信プ ロジェクト室、 BankART1929、アートフェア東京、SCAI THE BATHHOUSE、オオ タファインアーツ、ARATANIURANO、 YUKA CONTEMPORARY、レントゲンヴェルケ、日本経済新聞社、朝日新聞出 版、Tokyo Art Beat、CAMP、トーキョーワンダーサイト、クリスティーズ、αMギャラリーほか多数(順不同) ○ 修了生の留学先:Goldsmiths College, University of London, Edinburgh College of Art, Chelsea College of Art and Design, Royal College of Art, Sotheby's(イギリス), Columbia University, Harvard University, California College of Art(アメリカ), Ecole des Beaux-Art(フランス)ほか 2. 修了生の声 ○ 20代/男性「MADの授業で、型にはまらない様々なキュレーティングの事例に触れることで、漫然と環境に身を置くのでは なく自ら仕事をつくり出す努力をしたり、プロジェクトに取り組む際に新しい価値観を提示できるよう意識できるようになっ た。」 受講時:アルバイト 現在:アート・プロデューサー、財団法人東京都歴史文化財団東京文化発信プロジェクト室勤務 ○ 20代/男性「異なる世代、職業の人々が集まってアートについて真剣に意見を交わす貴重な場でした。修了後も、MADを通 じて知り合った仲間たちと勉強会を開いたり、アート・プロジェクトを行っています。それが可能なのも、多様な背景をもつ人 間達が、アートへの強いモチベーションで結びつく場だったからと思います。」 受講時:無職 現在:東京都現代美術館 学芸員 ○ 20代/女性「レクチャーも魅力の一つですが、何より、自分たちの手で展覧会やイベントをつくりあげることに面白さを感 じました。実践に移す作業は時に困難も伴いますが、それを超えた「現場」を作り出す歓びがあります。MADでの経験をとお して、次なる現場に向き合えていることに感謝しています。」 受講時:派遣社員 現在:CREAMヨコハマ国際映像祭2009 アシスタント・キュレーター ○ 20代/女性「美術史とアートシーンの状況を学び、自身の作品がアート界の中でどこに位置しているのかを考え始めまし た。また、レクチャラーや受講生との意見交換に刺激をうけ、さまざまな視点を持つことを学びました。MADで培った柔らか い思考を持って、来年は英国で自身の表現を実践してきます。」 受講時:会社員 現在:アーティスト 34 ○ 30代/男性「コンテンポラリーアートについて、先生と生徒という旧来の枠組みよりフラットな関係の中で、「学ぶ」とい うよりも「創り出していく」という姿勢を身につけることができた。仲間との出会いも多く生まれた。また、会社員のスケ ジュールにも合っていた。」 受講時:会社員 現在:TAB / NYAB 共同設立者 ○ 30代/女性「ギャラリースタッフとして、今の自分の立ち位置から何かクリエイティブにおもしろいことはできないか、と いう思いを持って仕事を楽しむことができるのは、MADで培った「アートを通して社会と主体的に関わるというスタンス」 と、さまざまなネットワークのおかげだと思う」 受講時:アルバイト 現在:SCAI THE BATHHOUSE ○ 30代/女性「授業では毎回、知的興奮で脳が発火しているかのようになった。私にとって何ものにもかえがたいのは、MAD で学び、そこでさまざまな人に出会ったことで、アートに対してポジティブな信念を持つことができるようになったことであ る。」 受講時:学生 現在:東京都現代美術館 学芸員 ○ 40代/男性「作品の方向性に確信がもてなかった時期に受講しました。MADの良いところは、レクチャラーと受講生の相互 対話で授業が進むことです。現代アートをより客観視できたことで、作家としての立脚点をはっきりさせ、作品への理解や考え に厚みが増しました。現在でも制作を続けているのは、そのお陰かと思っています。」 受講時:アーティスト 現在:アーティスト ○ 40代/男性「青森県から通うことはある種の けでしたが、学ぶ内容が新鮮で、苦ではなかった。倫理観、社会規範、コ ミュニケーションが変化しているにも関わらず、自分の考えが固定化していたことに気づかされました。また、意見交換では新 しい視座を発見でき、作品や作家について思慮することが一段深くなりました。」 受講時:会社員 現在:青森県十和田市にて合同会社を設立し起業 ○ 40代/男性「静岡市でスペースを運営していますが、アートへの実践的な知識を得るために受講。アートを具体的かつ多面 的に学べました。東京へ通うことは負担が少なくないのですが、その場でしか得られない貴重な時間でした。アートと人を繋ぐ 「場」の重要性を再認識し、現在の活動にフィードバックしています。」 受講時:オルタナティブスペース・スノドカフェ 主宰 現在:オルタナティブスペース・スノドカフェ主 宰 ○ 50代/女性「現代アートのみならずカルチュラル・スタディーズや現代思想、哲学にも興味を持つようになりました。ま た、一昨年は大学で美術史を学ぶかたわら初めて展覧会 制作を行いました。今年からアート教育と社会貢献のプロジェクト立 ち上げのために大学の学術研究員として渡米しています。」 受講時:ファンドマネージャー 現在:ハーバード大学 学術研究員(米国) ○ 60代/男性「アートについて「何でもみてやろう精神」でこのコースを受講しましたが、講義や講師、また一緒に受講した 仲間も、いずれも刺激的で貴重なものでした。また、これまであまり縁のなかった「哲学」に、MADの講義をとおして興味を 持ちました。」 受講時:無職/一カ所の美術館でのボランティア・ガイドスタッフ 現在:無職/三カ所の美術館でのボランティア・ガイドスタッフ 35 3. MAD受講生・修了生の主な活動 ○ イベント「The Secret Garden」 2011年9月18日(日) 2010年度のキュラトリアル・スタディーズ コースを修了した依田理花さんと脇屋佐起子さんの2名が企画したアートイベ ントです。「The Secret Garden」は、終戦直後、米軍によって持ち込まれた半円筒形の簡易な組み立て式の兵舎(通 称:かまぼこ兵舎)が敷地内にあるカトリック世田谷教会と、戦後の闇市の面影を今に伝える駅前食品市場をメイン会場 に、"記憶"をテーマにした1日限りのアートイベントです。 HP: http://secretgardentokyo.com/ ○ アーティストインタビュー 2010年度のキュラトリアル・スタディーズ コースを修了した脇屋佐起子さんによるこのインタビューは、MADのレク チャーの「ワークショップ:フリー・アート・ペーパーを作る」(講師:柳下朋子)の一環で、アーティストにインタ ビューをするという試みから発展しました。レクチャーでは、完成した記事を実際に 配信・紹介するところまでを目指し ました。脇屋さんは、「あいちトリエンナーレ」(2010)に行った際、その参加アーティストであるcontact Gonzoによ る実験的なパフォーマンスに遭遇。パフォーマンスが行われる場所や意図、またその効果についてより深く聞いてみたいと いう思いから、メールを介してcontact Gonzoにインタビューを行いました。海外への展覧会参加も多く、多忙なアー ティストとの対話を丁寧に行い、まとめています。 ダウンロード: http://www.a-i-t.net/ja/mad/download/contactGonzointerview_wakiya.pdf(PDF/673KB) ○ 「川村麻純 Mirror Portraits」展 2011年8月20日(土)-8月31日(水) 2009年度にキュレーション・プラクティスを修了した後藤夕紀子さん、森田理紗さん、新海さやかさんの3名が企画した 展覧会です。3人は、AITオフィスのある「代官山」をキーワードに考え、これまで多くの建築写真を手がけてきたアーティ ストの川村麻純とともに、展覧会を開催しました。 HP: http://www.a-i-t.net/ja/future_archives/2011/08/mirrorportraits.php ○ トークイベント『西尾美也のアートの実践 ∼ナイロビでの活動を通じて』 2011年8月4日(木)19:00-22:00 2009年度キュレーション・プラクティスコースを修了した伊豫愉芸子さん、畑木あゆみさん、後藤夕紀子さん、森田理紗 さんの4名が企画した企画したトーク・イベントです。現代美術家の西尾美也氏は、MADのアーティスト・コースを修了 後、2009年度のMADスカラシップを受賞し、受講生と意見交換を重ねながら、今回のトークの企画に関わってきました。 トークでは、これまで約2年間にわたりナイロビで活動してきた西尾氏が考えるアフリカと現代アートの関係性、地域や人 との新たな繋がりから見るこれからの場づくりや表現について紹介しました。 参加者数:38名 HP: http://www.a-i-t.net/ja/future_archives/2011/07/mad.php ○「SLEEP-Are You Awake?」展 2007年7月3日(火)-7月15日(日) 2006年度のMADキュレーション・インテンシヴコース修了生の花岡麻美さん、池田雅則さん、嶋野真希さん、三逵真智子 さんの4人が企画した展覧会です。「SLEEP 」(眠り)をキーワードに、3人の若手作家の尾関立子と滝沢達史、船井美佐 が、それぞれの時間体験と身体感覚にもとづいて、眠りの豊かさ、奥深さを作品として表現しました。展示空間全体に芝生 を敷きつめて、からだを横たえながら体験する展覧会は、鑑賞者に「生きている時間」を自分自身の身体感覚で感じとる場 を提供しました。 HP: http://blog.goo.ne.jp/sleepareyouawake/e/be7e84011bdde8a2bac3da3ccea180c1 ○ 代官山をあるく ─秋山さやか展─ 2005年9月30日(金)-10月14日(金) 2005年度のキュレーション・インテンシヴ・コースの石井康裕さんと岡田潤子の2名が企画立案および実施した展覧会で す。作品やそのプロセスを鑑賞者と共有することで、代官山という土地を読み直すことをテーマとしました。作品は、部屋 の真ん中で天井から白い布を吊し、そこにプロジェクターで代官山の地図を投影し、さらに布上に秋山氏自身がこの展覧会 の準備期間中に歩いた軌跡を様々な色や材質の糸などで縫い込むというものです。この展示方法は、受講生と作家との話し 合いのなかうまれてきたもので、作家自身、今回初めての試みとなりました。 展覧会日数:14日間 入場者数:約210名 HP: http://aluku2005.exblog.jp/ 36 MAD無料体験レクチャー / MAD受講ガイダンス ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 現在、全ての無料体験レクチャー、受講ガイダンスは終了しました。 今後の開催につきましては、AITのHPをご覧下さい。 *以下は、2012年2月に開催したレクチャーです。 1. MAD無料体験レクチャー・シリーズ「ARTIST BIRTHDAYS」 *要予約 *参加無料 ○ 講師:ロジャー・マクドナルド、小澤慶介(MADプログラム・ディレクター) 4月開講の現代アートの学校MAD2012。その「さわり」を無料で体験しませんか? MADの特長は、美術史はもちろん、社会学や経済学、哲学、デザインなどの視点を取り入れながらアートを考えること。19世紀 から20世紀にかけてのアー トを捉えるキーワードが満載の本スライド・レクチャーは、美術の歴史に偉大な足跡を残したアー ティストの誕生日をきっかけにはじまります。 ♪レクチャー内容(例)アートにおける『日常生活』って何?―19世紀フランスの印象派、オーギュスト・ルノワールから、 20世紀後半のポップ・アート、トム・ウェッセルマンへ キュレーティングをするとき、作品をつくるとき、アートをより深く理解しよう とするとき、その時代の「日常」が大きなヒントになることがあるといってもい いでしょう。 2月21日は、そんな「日常」を考える歴史の旅に出ます。 はじまりは、印象主義のルノワール。彼は、パリという近代都市が形づくられる なかで人々が踊ったり、食事をしたりしながら集う様子の「日常」を描き出しま した。そして、大量に生産され消費されるモノがアートの主題になった20世紀 へ。初頭のダダイスムや1950年代の英国ポップを経て1960年代のアメリカに向 かいます。忘れてはならないのは、アンディ・ウォーホル。彼は、当時の日常性 とイメージが果たす役割を鋭く見抜きました。また、同じくポップアートの文脈 の中で語られながらも、自分は「日用品を用いる動機が異なる」と主張をしてい た、ウェッセルマンにも触れます。さらに旅は、デジタル・テクノロジーの進化に よってコミュニケーションが加速する21世紀へとつづきます。時代によって変わ りゆく「日常」から、アートの行方を一緒に追いかけてみませんか? Le Moulin de la Galette (1876) [ 概要 ] ○ 日時:平日 各回 19:00 - 20:30 ○ 場所:代官山AITルーム 東京都渋谷区猿楽町30-8 ツインビル代官山 B-403 ○ 定員:40名(先着順) *MADの受講をご検討の方を対象としています。 *MADの受講をされたことのない方を優先して受け付けさせていただきます。 37 2. MAD受講ガイダンス アートをより楽しむために、学びのきっかけを探している、という方に。 *要予約 *参加無料 MAD レクチャー風景 左:ロジャー・マクドナルド 右:小澤慶介 MADプログラム・ディレクターの小澤慶介が、2012年度のプログラムの仕組みや各レクチャーの内容、お勧めの受 講方法、さらにはアート界で活躍する修了生の活動事例等について、詳しくご紹介します。皆さんからの質問や疑問 にも、丁寧にお答えします。 なお、最後には、現在アートに関わる仕事をしている(美術館、ギャラリー、アーティスト)、あるいはアート・プ ロジェクトを手がけたことのある受講生・修了生が、MADで学びはじめた動機や、実際に受講してみての感想につ いて話をします。 MADでは通常、レクチャーの見学を行っていませんので、「コース制やクーポン制について、直接説明を聞きた い」「AITルームの雰囲気を見てみたい」「講師はどんな人?」「受講生や修了生に会ってみたい」という方はぜひ この機会にお越しください。 皆さんのご参加をスタッフ一同心よりお待ちしています! [ 概要 ] ○ 日時:平日 各回 19:15 - 20:30 ○ 場所:代官山AITルーム 東京都渋谷区猿楽町30-8 ツインビル代官山 B-403 ○ 定員:40名(先着順) 38 MAD合宿 / アート・ツアー ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ *MAD2012の受講者および申込者限定のイベントです。 MAD合宿 通常の2時間のレクチャーで扱うことが難しいテーマやトピックをあげて、時間をかけてじっくり考えるMAD合宿を 定期的に開催します。 慌ただしい日常を離れ、豊かな自然のなかで、アートにどっぷり漬かる。それは、オンラインで容易に情報が集まる日常生活から 離れ、ふだんと違った環境の中でアートを考え、他の参加者と対話することを通じ、自分の興味や思考を見つめ直す、究極のアナ ログ体験となるでしょう。そこでは、それまで想像もつかなかった新しいアイデアがわいてくるかもしれません。少人数で学べる 特別なMAD合宿。アートと自然、食を満喫する合宿にぜひご期待ください。 詳細は、AITのホームページで随時お知らせ致します。 [過去の合宿] 2011年11月19日(土)-11月20日(日)*1泊2日 タイトル:Power in Art: アートと独裁制を考える 合宿場所:信州・望月温泉みどりの村 (長野県佐久市) 講師:ロジャー・マクドナルド(AIT) ガイド:塩見有子(AIT)、堀内奈穂子(AIT) MADアート・ツアー 現代アートを学ぶには、美術史や理論を知ることも大切ですが、それと同時に展覧会に足を運んで目の前の作品について考えてみ ることも重要です。 今年開催される国際展やアートフェア、ギャラリーや美術館のオープニングなど、時期にあわせてアート・ツアーを開催します。 ガイドには、MADプログラム・ディレクターや、展覧会関係者が同行し、特別に作品説明を行います。 詳細はAITのホームページで随時お知らせ致します。 [過去のMADアート・ツアー] 2012年4月1日(日) タイトル:アートフェア東京2012 ガイドツアー A.「現代アートを所有する魅力」/10:30−11:10/ガイド:吉野誠一(アートコレクター) B.「縄文土器から現代まで 日本今昔アート列伝」/11:00−11:40/ガイド:山下裕二(美術史家/明治学院大学教授) C.「アートフェア東京 攻略への道」/11:30−12:10/ガイド:宮津大輔(サラリーマン・コレクター) D.「現代アートを所有する魅力」/12:30−13:10/ガイド:吉野誠一(アートコレクター) E.「アートフェア東京 攻略への道」/13:30−14:10/ガイド:宮津大輔(サラリーマン・コレクター) 場所:アートフェア東京2012 会場 共催:アートフェア東京実行委員会 2011年11月5日(土)11:00-13:00 タイトル:原美術館「アート・スコープ2009-2011 インヴィジブル・メモリーズ」展ガイドツアー ガイド:原美術館主任学芸員、肥田暁子(AIT) 場所:原美術館 2011年9月3日(土)13:00-16:00 タイトル:MADと行く!ヨコハマトリエンナーレ2011ツアー ガイド:小澤慶介(AIT) 場所:横浜美術館、BankART NYK 協力:横浜トリエンナーレ組織委員会 39 NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]とは? キュレーターやアート•オーガナイザーが、現 代アートと視覚分野から社会を考えるための場作りを目的として、2002年に設立したNPO団体です。個人や企業、財団ある いは行政と提携しながら、現代アートの複雑さや多様さ、驚きや楽しみを伝え、それらを成立させている文化や社会について 話し合う場をさまざまなプログラムをとおして創りだしています。 MADに関するお問い合わせ 特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ [AIT/エイト] 〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町30-8 ツインビル代官山 B-403 電話:03-5489-7277 ファクス:03-3780-0266 EMAIL : [email protected] URL:http://www.a-i-t.net 40
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