タイトル : 浮腫 - Lycra を使用したサポートストッキングの予防効果 著者名 : Jonker MJ, De Boer FM, Ader HJ, Bezemer PD Dermatology 2001;203:294-98 研究目的: の効果より男性で 37%、女性では 32%減少した(p=0.001)。全体とし この研究は健常人の足のむくみと症状の改善に対する弱圧ストッキ て 47%に疲労、重量感、22%に足首または下腿の腫脹の愁訴を認 ングの効果を研究することを目的とした。 めた。このような愁訴は試着期間中男性より女性に多かったが、ど 方法: のストッキングでも大差無く、ストッキング着用中は改善した。DVC と 健常者 118 名において昼間の下腿容積変化(DVC)を光学レッグボリ 被験者の自覚症状の改善には明確な関連は見られなかった。被験 ュームメーターを用いて測定した。ここでは DVC は始業時とフルタイ 者の 22%は「きつすぎる感じ」を訴え、その多くは下腿上部における ム終業時の測定値の差と規定した。下腿容積は足首から 30cm 上部 ものであった。 までを 5 回連続して計測し、平均値を求めた。足の疲労感、重量感、 結語: 足首や足のむくみ、異常感覚や痛み、こむらかえりなどの愁訴を質 弱圧のストッキングは健常者のフルタイム業務後にみられる下腿の 問票によって評価した。同時にストッキングの快適性も調査した。 むくみと不快感を軽減させた。 2 種類の AD(ハイソックスタイプ)サポートストッキングを比較した。1 コメント: つは足首部分での圧力が 14mmHg のストッキング(X)、もう1つは この研究は CEN(Criteria of European Norm)の規格を満たしていな 18mmHg のストッキング(Y)を使用した。これらのストッキングは無作 い弱圧サポートストッキングが,下腿にみられる「生理的な夕方時の 為に割り当てられ、少なくとも 5 日間装着し、うち 2 日は下腿容積を むくみ」と重量感など主観的症状に明らかに効果があることを示して 測定した。サポートストッキングの着用終了後、6mmHg 圧のストッキ いる。これらの結果を裏付けるためにさらなる研究が望まれる。今後 ング(Z)を対照として着用させた。 の研究では以下の点を考慮すべきである。 結果: 1. どのようにストッキングの圧力を測定したか、その方法が説明さ 女性の DVC(2.3%)は男性の DVC(1.6%)と比較し有意に高値であっ れるべきこと。(CEN の規格を満たす圧迫ストッキングについてはそ た(p=0.004)。X―ストッキング(14mmHg)の DVC 平均減量値は Z―ス の方法は標準化されているが、サポートストッキングではされていな トッキング(6mHg)と比較し、男性は 31%、女性では 18%であった い)。 (p=0.001)。Y―ストッキング(18mmHg)の減量効果は Z―ストッキング 2. 測定方法の精度と再現性について記述されていること。 3. 研究結果は%あるいは、%変化ではなく ml で記述するほうが適 Experimental study 切である。 Chapter: 9 4. 通常、光学レッグボリュームメーターは仰臥位で測定されている Lit.: 22/6 ので(本文では言及せず)、立位での水置換性ボリュームメーターで Lang.: ENG あれば、違う結果が得られる可能性がある。 Sum.: ENG タイトル : 大腿部の圧迫は慢性静脈不全の静脈血行動態を改善するか? 著者 : Partsch H, Menzinger G, Borst-Krafek B, Groiss E J Vasc Surg 2002;36:948-52 研究目的: られた。クラス 2 のストッキングの大腿部圧では明らかな VFI の減少 この研究は深部静脈不全患者の大腿部への異なるレベルの圧迫圧 を認めなかった。 を加えたときの血行動態への影響を研究することを目的とした。 4. これまでの研究では大腿部でのカフ圧力 60~80mmHg にて深部 方法: 静脈不全患者の運動時の静脈高血圧を軽減しえたとされていた。 12 例の下肢静脈潰瘍患者(CEAP 分類:C6 Es Ad Pr)、男性 4、女 結語: 性 8、年齢 56.5±16.8 歳、Duplex にて 1 秒超の膝窩静脈逆流を認め 大腿部にて 40~60mmHg の強圧の圧迫包帯により、表在及び深部 た症例を対象とした。クラス 2 の圧迫ストッキング(大腿部丈)と粘着 静脈はかなり縮小しえた。このことより重度の深部静脈不全患者に 性 圧 迫 包 帯 に お け る 直 下 の 圧 力 を MST テ ス タ ー (Salzman) と おいてさえも静脈逆流が減少し、運動時静脈高血圧は改善する方 CCS1000(Juzo,Germany)を使用し、個々に測定した。大腿部の大伏 向性を示した。 在静脈と大腿静脈を Duplex にて静脈の直径を測定できるよう窓を付 コメント: けた空圧カフ(0、20、40、60mmHg)で圧迫した。また同じ大腿カフを 大腿部での強度な圧迫による静脈の血行動態の改善は、下腿部へ 用いた閉塞法で VFI をエアプレチスモグラフィー(APG)で測定し、静 の十分な圧迫による治療効果を高めるかもしれない。一方で、この 脈の狭窄程度による静脈逆流の量的評価を行った。 ような付加効果は大腿部での圧力が弱いクラス 2 のストッキングで 結果: は疑問である。この結果はほとんどの慢性静脈不全患者にはハイソ 1. 粘着式の圧迫弾性包帯の大腿部平均圧力が 40mmHg より高値 ックスタイプのストッキングで十分であるという臨床経験に合致する。 であったのに対し、クラス 2 ストッキング(シグバリス 503)は約 Experimental study 15mmHg であった。 Chapter: 5 2. 統計的に有意な大伏在静脈と大腿部静脈の直径の縮少はカフ Lit.: 19/6 圧が大腿部 40mmHg 以上にのみ得られた。 Lang.: ENG 3. 静脈逆流(VFI)は減少は大腿部圧が 60mmHg の場合にのみ認め Sum.: ENG タイトル : 塞栓症予防ストッキングの設定圧力 著者名 : MacLellan DG Australian & New Zealand Journal of Phlebology 2002;6:9-14 はじめに Hohenstein の圧力試験装置を使用した。この装置はストッキングの 静脈血栓塞栓症(VTE)は依然として入院患者の罹病と死亡の大きな 全長に亘って個々に、あるいは連続した測定ゾーンを 20 箇所まで圧 原因である。VTE 発症の高いリスクを持つ患者には薬物と器具を併 力測定することが可能である。典型的な圧分布は表 1 に示し、その 用した予防法が勧められ、またリスクの減少に効果的でもある。これ 横に下肢を図示し、測定点とその部位での理想的な圧迫率を示した。 らの予防法にはいくらかの副作用を伴う。例えば塞栓予防ストッキン (1kPa=7.5mmHg)。 グを丸めてしまうと、圧迫帯の効果を引き起こす可能性があり、その 4 メーカーの塞栓予防用そけい部丈ストッキングを検査した。最低 4 予防効果を打ち消してしまうかもしれない。この研究はオーストラリ 種類のストッキングをそれぞれ 3 部位について測定した。ストッキン アで入手できる VTE 予防に使われている 4 銘柄の塞栓予防ストッキ グの包装にあるメーカーの記載事項の通り最小伸縮と最大伸縮を ング(S,M,L サイズ)の圧レベルと圧分布を検討することを目的とした。 それぞれ分けて計測した。 方法: 結果: それぞれの塞栓予防ストッキングの圧力と圧分布の評価を行う為に あるメーカーのストッキングはどのサイズにおいても表記された段階 考察: 下肢循環に対する段階的圧迫の効果は重要な研究の焦点となって いる。適切な VTE 予防に段階的圧迫ストッキングを患者に着用させ ることで VTE のリスクは減少するが、ゼロにはならないことは明らか である。塞栓予防用圧迫ストッキングは各個人に正しいサイズのも のを着用させ、患者が動けない期間は継続的に正しい方法で着用さ せなければならない。VTE に処方される大腿部までの段階的圧迫ス トッキングは理想的には足首において 18~20mmHg の圧力を 100% として膝部で 70%、大腿部で 40%の圧力を備えるべきである。重要 なことはそれぞれのサイズの塞栓予防用ストッキングは最小伸張時 であれ最大伸張時であれ、この圧分布を再現できるものであるべき で、これはどのブランドにおいても考慮されねばならない。塞栓予防 用ストッキングの製造と検査の標準化は製品の品質確保に非常に 重要であると考える。この塞栓予防ストッキングの圧力分布と圧レベ ルの検査の結果として言える事は、いくつかのブランドは、少なくとも VTE の予防には無効の可能性があるということである。 コメント: 塞栓予防用ストッキングは、医療用の圧迫ストッキングのごとく、圧 迫圧の分布が厳格に標準化された基準をもとに製造されるべきであ る。正しい着用と圧迫のみが VTE のリスク軽減効果を保証するもの である。 的な圧力を再現できず、圧力が低い上、多くの場合で圧勾配が逆で Experimental study あった。また 2 つのメーカーの製品は特に最大伸張時において圧力 Chapter: 9 に不一致がみられた。唯一、1 つのメーカーの製品において、全ての Lit.: 15/0 測定点で要求された圧迫力と圧勾配が合致した。 Lang.: ENG Abstr.: ENG タイトル : 健常者におけるクラス 2 膝下圧迫ストッキングの体位による圧迫効果への影響 著者名 : Aryal K, Dodds SR, Chukwulobelu R Phlebology 2002; 17: 32-35 はじめに: ラス 2 圧迫ストッキングを着用させた。直径 3cm の平らなエアセルと 医療用弾性圧迫ストッキング(MECS)は慢性静脈不全患者の治療の 圧力でつぶれない細径のポリ塩化ビニールチューブで接続されたデ ために使用されている。ヨーロッパでは B レベル(足関節レベル)での ジタル圧力計(Digitron Instruments 社製)を用い、接点の圧力を測定 圧迫力に応じて、MECS をクラスⅠから IV までクラス分けしている。 した。センサーセルは着用したソックスの中に、下腿の内側と外側に 圧迫力は膝部分で足首の 50%の圧力になるよう徐々に減少するよ 置き、連続した接点の圧力を内踝からストッキングの上部(32cm)ま うになっている。(表1)この研究の目的は正しく着用したクラス 2 スト で小間隔をあけて、それぞれ仰臥位、座位、立位の 3 体位で測定し ッキングが足首から膝まで設定された段階的圧力をもたらすという た。 仮説を検証する事と、更にこの設定圧力の体位による影響を研究す 結果 る事である。 内踝と外踝から 4cm と 32cm 中枢部の接点の圧力は、どの体位でも 表1 推奨圧力とたいして違うものではなかった。クラス 2 ストッキングは仰 足首での圧迫力 (mmHg) 臥位、立位のいずれも CEN に要求される基準をみたしている事をこ クラス 1 (ライト) 15 – 21 れらの結果は示している。しかしながら、仰臥位でのふくらはぎ中間 クラス 2 (ノーマル) 23 – 32 部(12cm)での圧力は僅かながら足首部より強く(p<0.05)、立位では クラス 3 (ストロング) 34 – 46 より強く逆の圧勾配がみられた(p<0.05)(図.1)。 クラス 4 (エキストラストロング) 49 以上 結論:正しく着用したクラス 2 ストッキングによってもたらされる圧迫 圧力クラス 方法: 力は、体位による足の形状への影響で変化するが、CEN 基準の 健常者ボランティア(平均年齢 38 歳) 7 人に CEN を満たす膝下のク 4cm と 32cm の部では変わらない。ふくらはぎ中間部においてのみ逆 の圧勾配が起こり、さらに立位で増加した。この結果の圧力分布は、 れて減少していく事があきらかである。 ゆえに、生体での圧迫圧の 体位による段階的な圧勾配の理論上の理想とは違うものであった。 数値が下肢中枢よりも末梢で低値を示すことをストッキングの質低 この効果の臨床的重要性については不明である。 下と解する必要はない。 コメント: Experimental study 3 センチ径のプローブで計測した接点の圧力は、ラプラースの法則 Chapter: 9 により下腿の部位の半径に大きく影響されるという事を計算に入れ Lit.: 18/0 なければならない。この事実は<distance 0>である踝部分で測定さ Lang.: ENG れたより高い圧迫圧の数値でもわかる。ここの部の圧迫圧は内踝の Abstr.: ENG 後部で極度に低く、さらにこの自然の<窪み>の中枢に向かうにつ
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