2013年12月

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ジャン
ジャン・バニエの
バニエの手紙
親愛なる友人の皆さまへ、
これはカトリック新聞
「十字架」
からのご依頼により、
中東にいらっしゃるキリスト教信者の友人の方々へ向
けて書いた私の手紙です。
私たちは、ここフランスで平和にクリスマスを過ごし
ていますが、非常に多くの方々が戦争と苦しみの中で
クリスマスを過ごしておられます。
私が、この手紙を送らせていただくことで、彼らとと
もに、そしてお互いのために、共に祈ることができま
す。
親愛なる中東のキリスト信者の友人の皆さまへ
私は知的障がいを持つ人たちと、ほぼ 50 年間暮らして
きましたラルシュ共同体から、皆さまにこのお手紙を書
いています。
皆さまの国にある「信仰と光」や「ラルシュ」共同体を
訪れ、これまでに中東へ何回も足を運びましたので、私
は皆さまの多くを存じ上げております。現在、多くの皆
さまが、不安定な状況の中で、危険な中を、迫害、戦争、
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不正義の只中を過ごしておられます。
クリスマスがもうすぐやって来ます。クリスマスは静か
な、平和の時です。ですが同時に、ヘロデがベツレヘム
で、なんて怖いことでしょう、2 歳以下の子どもたちを
一人残らず殺害した時の、恐ろしい戦いの時も思い出し
ます。このような目に遭った子どもたちの叫び、お母さ
んたちの叫び、そして父親たちの何もできない怒り。ヨ
セフとマリアは、生まれたばかりの幼子といっしょに、
この迫害を避けようと、逃げて行きました。現在、多く
の皆さまが、この聖家族のような、テント暮らしの避難
者となっています。
今、
私は皆さまと遠く離れていて、
心が落ち着きません。
ですが、私はキリストの体において、皆さまとひとつに
結ばれています。私たちはいっしょにいます。これは私
の祈りであり、そして皆さまの友人の多くの方々の祈り
でもあります。
どうか皆さまが平和に包まれますように。
恐れは、とても早く私たちをやっつけます。イエスは、
ご自分の弟子たちに、次のように強い口調で戒めていま
した。
「恐れるな。些細なことを怖がるな。そうすればあ
なたがたの御父は喜び、
あなたがたに天の国をくださる」
。
イエスは一人ひとりに、このようにおっしゃりたいので
す。
「信仰を持ちなさい。
あなたがたは最も愛されており、
しかも私はあなたがたと共にいるということを悟りなさ
い」と。
皆さまの多くが、キリストの地に住んでおられます。こ
の地は、キリストご自身と彼の弟子たちが、福音宣教し
たところです。皆さま全員が神さまにとって、とても大
切であり、イエスは皆さまと共にいてくださいます。イ
エスは、皆さまの苦しみを取り除くためにおられるので
はありません。
皆さまに苦しみを担う力を与えるために、
そこにおられるのです。
AL-FULK
エジプトのラルシュ
Ma’an Lil-Hayat
ベツレヘムのラルシュ
私たちは、心と魂の中で、皆さまと共にいます。聖パウ
ロは言っています。教会という体のなかで、最も弱い部
分が最も必要不可欠であり、それらは十字架につけられ
たイエスをあらわします、と。同じように、中東のキリ
スト信者の皆さまも、十字架につけられています。マリ
アは十字架につけられたイエスと共にいます。そしてマ
リアは皆さまと共にいてくださいます。どうかマリアが
皆さまに平安と優しさをもたらしてくださいますように。
平和の神を賛美し、敬意をはらい、また暴力によって神
の聖なる御名を貶める人たちによって傷つけられた、皆
さまの隣人であるイスラム教徒の人たちに、どうか必ず
お伝えください。私たちは皆さまと共に、そして皆さま
のために祈っています、と。また私たちは、暴力の世界
につかまってしまった人たちのために祈ります。そのよ
Al-Safina
ダマスのラルシュ
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うな人たちが、どうか真の平和の神を再び見出すことが
できますように。
私たち皆の神が、平和を望んでおられますので、私たち
は開かれた心と愛の心をもって、神さまの最愛なる子ど
もとして、ひとつに集まることができます。
平和の神さまが、皆さま全員を祝福してくださいますよ
うに。
今日は 12 月 15 日ですが、私は、路上生活をしていたこ
とがあり、今はパリで 15 か所のアパートでボランティ
アの人たちと共同生活をしている 45 人の人たちのため
に、トロリーの農場の家でリトリートをしています。こ
の人たちは、
とてもすばらしい、
驚くような共同体です。
力と驚きに満ちています。そこでは、受け入れられてい
る人たち一人ひとりが、自分自身の人生のストーリーや
賜物、そして苦しみを持って来られているからです。あ
る人たちは、クリスマスの心の準備をするために、祈る
ために、そしてイエスがされたようにお互いの足を洗い
合うために、この農場の家に来られました。このリトリ
ートに参加している人たちは、路上生活者ですので、分
かち合いという形での集いを好みます。彼らは、自分た
ちの苦悩や恐れをどのように分かち合うのか、また共同
生活をしていて出くわす難題をどうやって分かち合うの
か、ご存じです。このグループは、年に 2 回、この農場
の家に来られます。彼らのうちの何人かは、これまでに
(リトリートの参加した女性と共に)
私の喜びは、この過ぎ去った数か月間に、この農場の家
でリトリートをすることができたことです。ときにはラ
ルシュのメンバーと勉強会もしました。最後に私はいつ
も、同じ実話で、私たちは友情を求めて叫ぶ、傷つきや
すい人たちと出会って変えられましたという、話をいた
します。私たちの社会の目指すところは、最も弱い人た
ちから心が離れて、互いにしのぎを削り、もっと高みに
上り、もっともっと物質、物品を、権力を、そして名声
を手にすることであります。しかしながら、いつも、最
も傷つきやすい人たちが、人間性や苦しみ、そして愛さ
れる必要性に最も近い人たちです。私たちに、真理と愛
のうちに生きる生き方を教えてくれるのが彼らです。
皆さまには信じられないかもしれませんが、数週間前、
私は海辺を歩き、鳥たちに感嘆し、すばらしい海の空気
を吸い、そしてオディールと私を 3 日間、受け入れてく
ださったイエスの小さい姉妹会の皆さんといっしょに祈
るために、またベルクへ行って参りました。
休日は私たちにとってすばらしいものです。
来られたことのある人たちです。それ以外の人たちは、
初めてです。私たち一人ひとりに、次のように言ってく
ださるために来られたイエスのことについてお話しする
のは、私の喜びです。
「あなたがたは大切で貴く、あなた
がたが思っている以上にすばらしい」
。私たちが全員、祈
りのうちに、そして神のみ言葉を生きる中で、ひとつに
なって共に集うならば、それはちょっとした天の国、愛
の国のようなものです。
ベルクの小さい姉妹たち
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神は、28 年間も獄中にあって、何年も岩塩発掘の強制労
働をさせられたネルソン・マンデラ氏のような預言者を、
派遣し続けておられます。
なんと恐ろしいことでしょう。
でもなんという平和の展望でしょう。自由や赦しの展望
でしょう。そうなのです。彼は、戦争の時、あるいは安
心感へ逃れる時、人間性に希望を与えます。そして私た
ち一人ひとりが、この平和と和解の道に沿って、マンデ
ラ氏の模範に従うことができるように、また神さまがマ
ンデラ氏やミャンマーのアウンサンスーチーさんのよう
な人たちを送り続けてくださいますように、祈りましょ
う。
もう何日かしますと、私はパトリックやアンドリュー、
そしてこのホームの他の人たちもいっしょに、クリスマ
ス・キャロルを歌いながら、
村の家々をめぐり歩きます。
「天のいと高きところには神に栄光。神の愛する人たち
に平和あれ」
。
ネルソン・マンデラ
そうなのです、造られたもののすばらしさ、子どもたち
のすばらしさ、そして平和のために奮闘しておられる多
くの立派な人たちのために神に栄光なのです。預言者エ
ゼキエルを通して、神は告げ知らせました。
「わたしはあ
なたがたの石の心を肉の心に変え、そしてわたしの霊を
あなたがたの内に置く」と。しばしば恐れは私たちを自
分自身の中に閉じ込めてしまいますが、それらの恐れは
信頼することによって変えることができます。
私たちの心が愛や平和、そして信頼に対して開かれます
ように。
そして私
そして私たち一人
たち一人ひとりの
一人ひとりの中
ひとりの中に平和の
平和の神が生
まれますように。
まれますように。
ジャン
Letter of
JeanVanier