論文執筆ガイド - 日本心理臨床学会

心理臨床学研究
論文執筆ガイド
[2016 年改訂版 ]
(付)
『Online Journal of Japanese Clinical Psychology』執筆要項
一般社団法人 日本心理臨床学会
学会誌編集委員会 編
一般社団法人 日本心理臨床学会
1
改訂にあたって
学術団体としての日本心理臨床学会の大きな役割として,会員の臨床力,教育力,研究
力の維持・向上を図ることがある。それら 3 つの力,とりわけ研究力を高めるためには機
関誌『心理臨床学研究』が重要である。『心理臨床学研究』に掲載される論文の量が増え,
かつその質が上がることが必要である。論文は,会員によって投稿され,学会誌編集委員
会の審査を経て採択となって掲載される。それで会員の論文投稿がよりスムーズに行える
ように,2012 年 3 月に最初の『心理臨床学研究 論文執筆ガイド』が,学会誌編集委員会
によって作成された。
その後,学会誌編集委員会が,このガイドにしたがって執筆された論文を審査していく
うちに,いくつかの点で改訂をすることによって,会員の論文投稿が活発にさらにスムー
ズに行えるようになるのではということになり,このたび改訂をすることになった。
今回は,論文の公開が求められるようになってきている社会状況を踏まえて,論文を公
開するにあたり一番重要であると思われる倫理面を中心に改訂が行われている。第 1 章 3
の「倫理基準の順守」
,
「知的財産権(著作権・出版権)の保護」/第 2 章 4 の「捏造・改
ざんの禁止,およびプライバシー保護の処置」
,
「質問紙や分析法を借用する場合の留意
点」
,
「引用と出典に関する注意」/第 3 章 3 の「調査等でのインフォームド・コンセント
(説明と同意)
」
,
「二重・多重投稿の禁止」,「表 1 二重投稿についてのガイドライン」で
丁寧な説明が行われている。これらの倫理的配慮をすることは,より良い論文を執筆する
のに役に立つであろう。
また倫理のことと別ではあるが,第 3 章の 5 では「投稿票の書き方」,「図 1 投稿票」,
「図 2 投稿前の点検リスト」が記載されており,投稿者にとっては便利である。
なお,本学会は学会ホームページで外国語(英語)論文『Online Journal of Japanese
Clinical Psychology』を掲載しているが,第 1 章の「投稿論文の種類」のところで「執筆
条件は,英語論文の執筆要項に明記されているので,参照すること」と記述されているの
で,そちらを見ていただきたい。
優れた研究を発信していくことは,本学会の社会的貢献につながることになり,機関誌
『心理臨床学研究』がその中核を果たすことになる。この改訂された『心理臨床学研究 論
文執筆ガイド』により,研究論文執筆が盛んになることを期待したい。
最後に,本執筆ガイドの改訂にあたって,多大のご尽力を惜しまれなかった学会誌編集
委員会の田中委員長をはじめとする委員の皆様に心より感謝の意を表したい。
2016 年 5 月吉日
一般社団法人 日本心理臨床学会理事長 野島一彦
2
刊行にあたって
日本心理臨床学会は,その設立以来,学術誌として機関誌『心理臨床学研究』を発行し
てきている。
『心理臨床学研究』に掲載される論文のそのほとんどは,会員によって投稿
され,学会誌編集委員会の審査を経て採択となった論文である。会員は,論文投稿の際に,
「
『心理臨床学研究』執筆要項」に則って論文を作成するが,今回,その執筆の具体的手引
きとして『心理臨床学研究 論文執筆ガイド』が,学会誌編集委員会によって作成された。
本冊子は,第 1 章で「論文執筆にあたっての基本姿勢」を述べ,第 2 章で「執筆にあ
たっての留意事項」について解説している。心理臨床学研究における論文の基本理念を明
らかにするとともに,論文作成にあたってのスタイル,構成,基本用語,引用,出典等に
ついて詳述している。第 3 章では,
「論文投稿の留意点と手順」について説明し,研究倫
理への留意を促している。第 4 章においては,
「審査結果を受け取った後の対応」を,そ
して,第 5 章では,
「論文審査の進行過程」を載せている。これら両章は,これまでに明
文化されていなかった審査過程の実際を示し,投稿者にとって審査の流れが具体的にイ
メージされるようになっている。この論文執筆にあたってのガイドを読むと,論文作成の
手順がよく分かるので,自分の研究を論文にまとめる意欲がわき,投稿しようという気持
ちが高まることがうかがえる。
本冊子は,上述の執筆ガイドとしての内容を第 1 部とすると,第 2 部にあたるものとし
て,各編集委員によるメッセージ集〔本改訂では割愛〕が掲載されている。一人ひとりの編
集委員の『心理臨床学研究』に寄せる熱い想いや忌憚のない意見を読むことができて非常
に参考になる。メッセージ集には,学術論文としての公共性や研究倫理の重要性に触れた
コメントがあり,今日的課題であるそれらを本学会としてさらに取り組んでいく必要性が
示されている。
研究は究極的には社会的貢献という使命を担っており,機関誌『心理臨床学研究』がそ
の中核を果たしているといえる。この『心理臨床学研究 論文執筆ガイド』が発行される
ことにより,研究活動および研究論文作成が一段と高まり,本学会の社会的役割が十二分
に達成されていくことを期待してやまない。
最後になったが,本執筆ガイドの作成にあたって,精力的な検討と多大な努力を惜しま
れなかった学会誌編集委員会の藤原委員長をはじめとする委員の方々に心より感謝の意を
表したい。
2012 年 3 月吉日
一般社団法人 日本心理臨床学会理事長 鶴 光代
3
心理臨床学研究 論文執筆ガイド[2016 年改訂版]/目 次
改訂にあたって 1
刊行にあたって 2
論文執筆ガイド改訂について 6
はじめに 7
第 1 章 論文執筆にあたっての基本姿勢
9
1.心理臨床学研究における論文の基本理念 9
2.投稿論文の種類 10
A.研究論文(原著を含む)
10
B.資料論文 11
C.文献展望 11
3.倫理基準と知的財産権 11
A.「倫理基準」の遵守 12
B.知的財産権(著作権・出版権)の保護 12
第 2 章 執筆にあたっての留意事項
1.研究のスタイル 14
A.調査研究(観察,実験を含む)
14
B.事例研究 14
C.文献研究 15
2.論文の構成 15
A.枚数 15
B.タイトル 16
C.執筆者の氏名と所属 16
D.要約 16
E.キーワード 16
F.文中における引用 17
G.文献一覧 18
H.図・表・写真等の扱い 19
I.謝辞 20
3.基本用語の用い方 20
A.人名は原語,専門用語は訳語 20
B.略語等の使用 20
14
4
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
C.他職域の専門用語を使用する際の配慮 21
D.不適切な用語のチェック(心理臨床実践の用語)
21
4.捏造・改ざんの禁止,およびプライバシー保護の処置 21
5.質問紙や分析法を借用する場合の留意点 22
6.引用と出典に関する注意 22
ひょうせつ
A.剽窃の禁止 22
B.間接引用の回避 23
C.未公刊の自著論文からの引用 23
コラム:Some Tips for Writing the English Abstract 24
第3章 論文投稿の留意点と手順
26
1.投稿資格 26
2.投稿内容 26
3.研究倫理に関する事項 26
A.調査等でのインフォームド・コンセント(説明と同意)
26
B.事例論文の投稿条件,およびクライエントへの了承手続き 27
C.二重投稿・多重投稿の禁止 27
D.並行投稿の制限 27
4.投稿原稿の提出部数 27
5.投稿票の書き方 27
表 1 二重投稿についてのガイドライン 28
図 1 投稿票 29
図 2 投稿前の点検リスト 30
6.投稿前の点検リスト 31
7.論文の受稿と受理 31
8.送り先:編集委員会係 宛て 31
第 4 章 審査結果を受け取った後の対応
1.採択の場合 32
A.字句や文の一部修正 32
B.「電子媒体」の提出 32
C.著者校正は初校のみ 32
D.カラー印刷における経費負担(有償)
32
E.別刷り 30 部の贈呈 33
2.修正再審査の場合 33
A.査読意見を尊重して改稿 33
B.矛盾する査読意見,または異なる見方に立つ場合 33
C.修正箇所の新旧対照表 33
32
目 次
5
表 2 修正新旧対照表(記載例)
34
D.枚数制限の再確認 34
E.指定期日までに再投稿 34
3.不採択の場合 35
第 5 章 論文審査の進行過程
36
1.編集委員会の構成 36
2.論文の審査 36
A.論文審査の過程 36
図 3 論文審査の流れ 37
3.機関誌の保管と処分に関する留意点 39
『心理臨床学研究』執筆要項
40
『Online Journal of Japanese Clinical Psychology』執筆要項
47
[付録]
倫理綱領 54
倫理基準 56
あとがき 59
執筆者一覧/学会誌編集委員会委員一覧 60
あとがき[2016 年改訂版]
61
執筆者一覧/学会誌編集委員会委員一覧[2016 年改訂版] 63
6
論文執筆ガイド改訂について
研究成果の公開が求められるようになってきている社会情勢を踏まえ,本学会誌も第
31 巻 1 号から大学等の図書館で開架となりコピーも可能となっている(心理臨床学研究
第 30 巻 6 号 編集委員会公告に掲載)。それと,第 31 巻 1 号から論文の英文アブストラ
クトが,学会ホームページで公開されるようになった。
その後,2015 年 1 月から英語論文【Online Journal of Japanese Clinical Psychology】
が電子ジャーナルとして,学会ホームページで全文公開されている。そして,最新の第
34 巻 1 号からはすべての論文に英文アブストラクトを付けることとなり,それをホーム
ページに掲載することになった。また,英語論文の邦文要約も掲載することになった。
ところで,STAP 細胞をめぐる研究論文に関する問題から,文部科学省と厚生労働省
は平成 26 年 12 月 22 日に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を示している。
このように倫理問題が重要視される状況において,心理臨床の研究においては特に個人情
報の保護をはじめとする倫理問題への対応が求められている。そこで,今回の論文執筆ガ
イドの改訂では,倫理面に関する内容を中心に検討を行った。
それと,英語論文が電子ジャーナルとして公刊されているが,英語論文の執筆要項はな
く,
『心理臨床学研究』執筆要項の最後の項目で語数の制限以外は「日本語論文の条件に
準ずるものとする」とだけしか記されていない。そこで今回の改訂において,英語論文の
執筆要項も新たに作成することとした。
また,論文投稿と査読システムの電子化に向けて現在検討を始めている。まずは平成
28 年度中に,紙媒体での投稿から電子媒体による投稿が出来るよう準備を進めている。
その後,査読についても電子システムへ移行し,最終的には日本語論文についても全文公
開することを検討している。
そのため倫理面をはじめ論文執筆ガイドは,必要に応じて随時変更が予想される。そこ
で,今回から論文執筆ガイドは紙媒体ではなく,変更について随時お知らせできる電子版
での公告という形式でお知らせすることにした。
最後に,今回の改訂にあたって,倫理面を中心に全体を伊藤義美副委員長をはじめとす
るワーキング担当の編集委員,それと英語論文の執筆要項作成については藤城有美子副委
員長を中心としたメンバーの方々の多大な努力に心より感謝を表したい。
2016 年 5 月吉日
学会誌編集委員会委員長 田中新正
7
はじめに
機関誌『心理臨床学研究』は,学術研究論文と会報から構成される。心理臨床を共通基
盤にする会員が,臨床実践・臨床現場と研究・理論を架橋しながら創造する学会誌である。
それは会員相互のためだけでなく,心理臨床の独自性と専門性に基づく研究成果を,学会
が広く社会の人々に還元していくための公式媒体である。この執筆ガイドは,心理臨床学
研究の積極的な営みを通じて,会員が確かな臨床実践の地平を主体的に見直しながら自ら
錬磨し,学会と機関誌の新しい未来を構築していくことを願って作成したものである。
そもそも機関誌と編集委員会は,日本心理臨床学会(1982 年 3 月 22 日設立)発足の翌
年,学会ニュースレター1 号(1983 年 1 月 31 日発行)の編集委員会報告(代表:河合隼
雄・大塚義孝)において,機関誌名称の決定報告および第 1 回原稿募集の際になされた下
記の出発宣言から始まった。
「学会機関誌は,名実ともに心理臨床科学に関する水準の高い学術研究論文の上掲に意
が用いられることはいうまでもない。しかし単に論文集のみに終わるものではない。本学
会の創設に込められた心理臨床家としての資質の向上や職能に関する対社会的問題に関し
ても深い関心をもった編集を通じ,会員諸氏相互のコミュニケーションの場として,また
相互の自省と前進のために有効な機能を発揮する機関誌であることが期待されている」。
この趣旨に沿って最初の編集内規が制定され,執筆要項・編集規定の基本形が作られて
以来,学会 30 周年,機関誌も第 1 巻 1 号の創刊(1983 年 10 月)から 30 巻を迎える。こ
,そし
の間,最初は年 2 号(1 巻〜6 巻)
,年 3 号(7 巻〜11 巻)
,年 4 号(12 巻〜14 巻)
て 15 巻からは年 6 号を発行している。また,発行部数も最初千数百部から現在は 2 万 4
千余部となり,学会の目覚ましい発展とともに歴史を刻んできた。とくに新しい学問とし
ての専門性の内実を記す学術研究論文は,臨床実践におけるクライエントとの協働作業で
ある点に独自性と存在理由がある。そのため会員に託された課題は,自らの臨床実践を自
省し前進させると同時に,臨床実践研究に取り組み心理臨床学を新しく構築することにあ
る。
会員は,臨床実践と心理臨床研究が相補的であり,専門資質の維持向上に不可欠である
ことを自覚し,当然の責務として主体的に自己研鑽に努める必要がある。また,臨床実践
倫理と研究倫理は不可分との基本認識に立って,相互検討の場で臨床実践事例の理解を深
めるなど,公開と守秘義務をめぐる基本課題を専門的に問い直しながら,他に表現し伝え
る専門資質の向上を図る必要がある。心理臨床家の社会的評価が高まるなか,これまで以
上に,実践活動の成果を自ら表現し検証しながら社会に還元することが求められる。
機関誌は,臨床実践を基盤に書き記された高度な研究論文を求める。編集委員は,会員
が仕上げた投稿論文の審査を通じ,
「編集委員からのメッセージ」〔本改訂版では割愛〕に垣
間みる投稿者との個別課題を越えた多くの識見を蓄積し,平成 19 年度第 9 期編集委員会
8
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
からの審議や学会でのシンポジウムなども継続的に重ね,編集体制と執筆要項や編集規定
を集中的に見直して成果を集積してきた。平成 21 年度 4 月からの一般社団法人化を経た
新しい会員構成の現況において,初めて提示する本執筆ガイドは,会員が自らの責任で自
律的に執筆する視点からの試みである。学会編『心理臨床学事典』を座右に置くと同時に,
全会員が常置・携帯して,第 1 章から繰り返し実際に活用し,より有用な心理臨床学研究
ガイドへと育つことを願っている。
学会誌編集委員会委員長 藤原勝紀
9
第
1
章
論文執筆にあたっての基本姿勢
1.心理臨床学研究における論文の基本理念
★心理臨床実践とは
心理臨床実践(臨床心理行為)は,心理臨床家と対象者の間における相
互の主体性のやり取り,あるいは関係性を基盤として展開される。心理査
定であれ,心理療法であれ,コミュニティ援助であれ,いずれの実践も具
体的な対象にかかわり,その臨床実践を通じて得たアイデアを蓄積し,妥
当な手続きを経て検証していくことが実践研究の基本となる。
その意味で,現代社会が専門家に要求する科学的な客観性や実証性を十
分に担保することが難しい側面を有している。しかし,そのジレンマを乗
り越えようとするところに,心理臨床学の存在意義があるとも思われる。
★科学の知
★臨床の知
「科学の知」だけでなく,いわゆる「臨床の知」(中村雄二郎)も踏まえた
アプローチが求められる所以であろう。
心理臨床学は心理臨床の実践の中から生まれ,日本心理臨床学会の歴史
の中で形成されてきたユニークな知の集積である。その集積の裾野は実に
広大である。個別的アプローチから集団的アプローチまで,言語からイ
メージや身体まで,乳幼児から高齢者まで,査定から支援まで。こうした
心理臨床の実践の多様なあり方のある側面,あるいは根拠(エビデンス)
を正確に記述し,的確な考察を加えている論文であることが求められる。
だから,調査等の研究論文であれ,また資料論文であれ,文献展望であれ,
その問題意識が心理臨床実践にいかにかかわり,どう貢献するのかという
点を自覚する必要がある。
別な見方をすれば,心理臨床の研究論文を執筆しようとする者は,その
★執筆動機の点検
「動機」を自己点検することも大切な準備作業である。論文執筆の隠れた
動機が,主に研究業績を増やすことにおかれているとしたら,臨床実践に
とって有害となるかもしれない。また,臨床的な有用性を念頭におかない
研究も,本誌の投稿論文にはなじまない。研究の遂行と公表がクライエン
ト(利用者)の理解や福祉に何らかの意味で貢献することを目指すべきで
あろう。
★共著と目的
この執筆動機の自覚は,研究の「目的」を明確化する作業とも連関する。
単著論文の場合には,この一連の作業を一人で行うが,共著論文では,複
10
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
数の著者の間で十分な意思疎通を図る必要がある。筆頭著者は,複数の著
★社会的責任
者の動機や目的意識を,丁寧にまとめ上げていく責任を負うことになる。
これは,かなり厄介な作業であり,ときに混乱も生じかねない。その際に
は,著者全員が「クライエントの理解や問題解決に有益か否か」という判
断基準に照らして,相互の意見調整を行う必要があろう。
2.投稿論文の種類
投稿論文の種別は,研究論文,資料論文,文献展望であるが,日本語だ
けでなく,外国語(英語)も受け付けている。外国語(英語)論文『Online Journal of Japanese Clinical Psychology』の執筆条件は,英語論文の
執筆要項に明記されているので,参照すること。
A.研究論文(原著を含む)
研究論文(Research and Practice)とは,事例,調査,実験,理論的
検討などに基づき,系統的に構成された論文である。分量は,A 4 判で
★研究論文の構成
40 字×40 行×11 枚を限度とする。その標準的な構成は,事例においては,
問題(目的)
,事例の概要,面接経過ならびにその分析,考察およびまと
め,となろう。また,調査や実験においては,問題(目的),方法,結果,
考察およびまとめ,となる。さらに研究論文では,独創性や臨床的有用性
が求められる。心理臨床における研究方法としては,実践の副産物として
の事例研究や調査研究の投稿が大多数であるが,綿密な研究デザインに基
づいた実証的研究も推奨されるところである。
研究論文においては既存の研究テーマの追随ではなく,何らかの革新性
や普遍性のある知見を含むことが求められる。その点では,近年発展が目
覚しい質的研究法と従来からの量的研究法を併用した研究論文の投稿も期
待される。
★事例研究
なお,心理臨床における研究論文に特徴的なものとして事例研究がある。
これは,個人,家族,グループ,コミュニティ,組織などを分析の単位と
し,それらへの関与観察から得られた単一事例,もしくは複数事例に対す
る綿密な検討の成果である。事例研究の目的は,本質的な問題を明らかに
するだけでなく,さらなる調査研究,臨床への応用,理論上の仮説設定に
も有益なヒントをあたえるものである。
いずれの研究論文においても,よく査読者から指摘されるのは,方法や
★一般化の論理
結果における一般化の論理に十分な注意がなされているか否かである。ま
た考察では,量的データであれ,質的データであれ,根拠に基づいて検討
されているかどうか,自らの結果を先行研究や広く周知されている見解と
関連づけて論じているか否か,方法や結論の限界についての指摘があるか,
第 1 章 論文執筆にあたっての基本姿勢
11
などにも配慮してほしい。
なお,研究論文のうち,オリジナリティが高く,心理臨床学の発展に顕
★原著とは
著な貢献が認められると判断されたものについては,原著(Original Article)として掲載される。
B.資料論文
資料論文(Brief Report)とは,研究論文とは位置づけが少し異なり,
★速報性
資料的な価値や速報性などの要素が強くなる。例えば,心理検査等の興味
あるデータ,臨床的な尺度作成,新たな技法の萌芽的な知見,興味ある観
察事実,これまでの研究成果の追加的情報などを指す。したがって,研究
論文のように,問題,方法,結果,考察という標準的な構成にならない場
合も生じてくる。
分量は,A 4 判で 40 字×40 行×5.5 枚を限度とする。資料論文の紙数は
研究論文の半分であるが,その価値は研究論文と大差ない。
C.文献展望
★文献展望とは
文献展望(Review)とは,特定のテーマについて内外の研究文献を総
合的あるいは批判的にレビューして,まとめた論文を指す。分量は,A 4
判で 40 字×40 行×11 枚を限度とする。これまでの「文献情報」という名
称に代えて,文献展望としたのは,先行研究の単なる羅列的な紹介でもな
ければ,外国の文献資料の翻訳でもないことを明示するためでもある。
心理臨床に関する文献はすでに膨大な蓄積があり,さらに関連分野の拡
大とともに発表される文献の総数は,
「情報爆発」と称されるほどに急増
している。とりわけ,初学者にとっては,自らの研究目的に適った文献情
報を選択する上での適切な判断基準を持ちえていないことが少なくない。
インターネットに依存した自動的・機械的な文献検索の結果,重要な古典
的文献が抜け落ちる危険性も高まっている。
★展望論文の役割
そこで,心理臨床の新たな課題や専門領域について,前提とすべき基本
文献や引用度の高い文献を精査した上で,今後注目すべき課題や心理臨床
の発展の可能性を秘めたアイデアに関連する内外の文献を,著者独自の視
点で取捨選択し,総合的に,かつ批判的に検討した展望論文の役割が重要
になる。
3.倫理基準と知的財産権
学術論文には,共通して,①科学的・学問的知識を正確に伝えること,
②知的財産権を守ること,の二つの倫理原則(APA,2001)があるとさ
れている。これらの倫理原則を踏まえて,実際に論文を執筆しようとする
12
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
場合,日本心理臨床学会の「倫理基準」(付録参照)と知的財産権の保護
ということを意識することが不可欠である。
A.
「倫理基準」の遵守
論文執筆においてだけではなく,実践活動および研究活動においてもそ
の活動が倫理基準に則って行われることは必須である。ここではそのこと
を前提に,論文執筆上の倫理基準について,以下に概説していく。
★当該者の同意
(1)
個人情報を研究のために使用する場合には,原則として,事前に
当該者あるいは未成年であるとかその他の理由で意思表示や意思決定の困
難な者に対しては,その保護者等代諾者に同意を得なければならない。同
意は,可能な限り,書面で行うことが望ましい。
★個人情報への配慮
(2)
同意を得た場合においても,公表資料の中で当人を識別すること
ができないように配慮しなければならない。そのために,人名,学校名,
地名等を,A さん,B 校などアルファベットで記載するなどの工夫をしな
ければならない。
★継続中のケースの扱い
(3)
継続中のケースは原則として論文にしない。これについては,倫
理基準には明文化されていない。しかし,年次大会の発表の条件としては
大会案内に記載されている。理由は,継続中のケースについて論文にする
ことで,実践活動そのものに悪影響が及ぶ恐れがあるからである。ただし,
対象者が長期にわたる精神疾患や発達上の問題をかかえたクライエント等
の場合には,継続中のケースについて,大きな区切りを迎えたところで論
文にすることはあり得る。
★不正行為の禁止
(4)
研究データの収集と記録,保持,報告,論文執筆など実践および
研究活動全般において責任をもって厳正に研究データを取り扱い,不正行
為(捏造,改ざん,盗用,剽窃,二重投稿など)を行ってはならず,また
そうした行為に加担してはならない。
B.知的財産権(著作権・出版権)の保護
知的財産権とは,人間の知的な活動から生じる創造物に関する権利を指
している。知的財産の種類としては,特許権,意匠権,商標権,著作権,
出版権など多数存在している。
本誌に投稿する上で重要なのは著作権であろう。関連して出版権がある。
★著作権の帰属
(1)
著作権とは,言語や図形・写真などの表現形式を用いて思想や感
情を独自に表現されたものを守るための財産的な権利である。必要な許諾
を受けないで他人の著作物を利用することは著作権の侵害になり,損害賠
償,侵害の停止・予防に必要な措置を請求されることがある。
著作権は当然,著者に帰属する。著者とは,論文作成に実質的にかかわ
り,権利が守られると同時にその責任を負う者である。著者が複数の場合
第 1 章 論文執筆にあたっての基本姿勢
13
は,中心となって研究し,かつ執筆した者を筆頭著者とし,その貢献度に
従って著者を順に並べるのが一般的である。
★出版権の帰属
(2)
出版権とは,著作権法によって定められている準物権的権利であ
り,著作権所有者がその専有する著作物を複製する権利に基づいて,その
著作物を文書または図画として出版することを引き受ける者に設定するも
のである。つまり,出版者が著作権者との契約によってその著作物を独占
的・排他的に印刷刊行できる独占権で,出版権登録原簿に登録している。
掲載論文の出版権は本学会に帰属する。出版権に関連して,本誌の論文
を自らの著作等において転載する場合は,必ず編集委員会の許諾を得なけ
ればならない。
14
第
2
章
執筆にあたっての留意事項
1.研究のスタイル
A.調査研究(観察,実験を含む)
心理臨床における調査研究には,質問紙を用いた実態調査や実証的研究,
実験的調査,インタビュー調査,観察,事例のメタ分析,課題分析等が含
★調査研究の構成
4
4
4
まれ,それぞれ問題,方法,結果,考察という構成になるのが一般的であ
る。
「問題」では,自分がこの研究によって明らかにしたい目的を,先行研
究を適切に絡ませながら明確に論じる。
「方法」では,調査に関する手続き,および分析方法を記述する。心理
的な問題を調査研究の対象とするに際しては,調査協力者への負荷を最小
限にくいとめ,インフォームド・コンセント(説明と同意)を得ること,
および結果についてのプライバシーを保障すること等の,倫理的配慮を必
ず行う。また,実際の心理臨床的援助からかけ離れたものを調査のテーマ
としないということも,基本的な原則である。
「結果」は,主要なデータを図や表を用いて明瞭・簡潔に提示する。課
題分析調査等では,具体的な実践例を提示しながらの解析となる。
「考察」では,結果を先行研究と比較しながら,理論的解釈を行いつつ,
十分な検討を行う。最後に研究の成果と今後の課題を加えるのが望ましい。
質的研究などでは,結果と考察を統合して記述してもよい。
B.事例研究
★事例研究の種類
事例研究にもいろいろな種類がある。例えば,①面接での会話に注目し,
そのやり取りの過程を分析する会話記述型事例研究,②セラピーの過程を
記述し,分析する過程記述型事例研究,③過去のライフストーリーを語り
として扱うナラティブ記述型事例研究,④社会的な現実の場で活動しつつ,
その過程をフィールド研究として分析するフィールド記述型事例研究等が
ある。
さらに,一つの事例を詳細に探求する単一事例研究と,複数の事例を組
織的に組み合わせた,統合的な事例研究がある。あるいは,エビデンスと
第 2 章 執筆にあたっての留意事項
15
なる事例を積み上げている累積的事例研究もある。事例研究においては,
どの手法を用いる場合も,生身の直接的な人と人との関係を通じて行われ
る研究であることが特徴となる。ゆえに,クライエントおよびデータ提供
★プライバシーの保護
者自身のプライバシーを守ることは何よりも重要なことである。また,い
かなる成果が期待できる研究であっても,個人の尊厳を脅かすようなこと
はなされるべきでない。
章立ては基本的に,問題,事例の概要,面接経過ならびにその分析,考
察およびまとめ,という構成になろう。分析は事例の脈絡を中軸としたも
のとなる。
★事例研究の特質
事例研究では,理論的な統合度の高いモデルを生成したり,典型例から
普遍的法則を導きだすということが大きな目的とされているが,同時に,
個々の事例を精緻に分析することにより,アプローチの改善や検討,およ
びその問題への理解を深めるための,何かしら豊かで新たなアイデアなり
知見が得られるということが,基本であり本質的なことである。
C.文献研究
文献研究は大別すると,先行研究のレビュー(文献展望)と,いわゆる
理論的研究(研究論文)がある。
★文献展望
文献のレビューとは,ある概念や問題について,自分自身の問題意識を
明確にした上で,何を中心に論じるのかという切り口に添って,従来の先
行研究を簡潔に概説し直していくものである。それらの諸文献を研究する
ことが,どのような臨床的意義をもつものかを踏まえつつ,筋をたてて明
瞭かつ簡潔に展望することが重要である。自分が何を明らかにしたいかと
いうことが見えにくい場合には,ただの情報の羅列になり,文献の展望と
はいえないので,その点に注意を要する。
★理論的研究
理論的研究は,心理臨床学の既成の仮説や概念,理論について,新たな
見地から比較検討したり,理論的・批判的に検討したり,あるいは新たな
統合を試みたりするものである。しかし,その際に心理臨床実践から遊離
した,思弁的な論理展開に陥ることがないようにしなければならない。
2.論文の構成
A.枚数
論文の作成は A4 判の用紙を用い,研究論文と文献展望は,40 字×40
行×11 枚を限度とする。資料論文は,40 字×40 行×5.5 枚を限度とする。
文献,注,付記,ならびに図,表,写真等は,枚数に含める。論文のタイ
トル,著者名と所属,キーワード,要約(英文と和文の両方)は,枚数に
含めない。
16
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
B.タイトル
1)和文タイトル
★必要十分なタイトルを
タイトルには,論文の中心的アイデア,あるいはテーマを簡潔に盛り込
み,タイトルを読めば何の研究であるかが読み手に伝わるように工夫する
こと。原則としてサブタイトルはつけず,35 文字以内を目安とする。ち
なみに,論文の主題には,研究対象や研究方法を含む。
〈例〉
「フォーカシングを用いたセラピスト自身の体験の吟味」
(本機関誌 第 20 巻第 2 号)
「ADHD 児の攻撃行動に対する多面的アプローチの効用」
(本機関誌 第 20 巻第 6 号)
「境界例に対する抱えと共感に基づく心理療法の事例」
(本機関誌 第 23 巻第 1 号)
「大学生の食行動が学習意欲に及ぼす影響」
(本機関誌 第 25 巻第 6 号)
2)英文タイトル
和文タイトルを適切に英訳すること。そのために,英語の専門家かネイ
ティブスピーカーにチェックを受けていることが望ましい。
C.執筆者の氏名と所属
氏名は,和文においても英語表記においても姓・名の順に表記すること。
所属は,投稿した時点の所属をひとつだけ明記すること。
D.要約
★要約の要件
論文には,和文と英文の要約が必要である。和文要約(400〜450 字)
は,本文全体の概要であること。実証的研究であれば,問題と目的・方
法・結果(明らかにされた知見)等を簡潔に記載し,ひとつのパラグラフ
にまとめる。
英文要約は,規定の範囲(100〜175 語)に収めること。なお,英文要
約に関しても,できるだけネイティブスピーカー,あるいは英語の専門家
によるチェックを受けていることが望ましい。
E.キーワード
★キーワードの選び方
キーワード(3〜5 語)は論文内容を表す中心的な用語で,かつ論文検
索の際に有用な用語であること。同じ領域の専門家に共有されている術語,
とくに専門用語を原則とする。日本語のキーワードには,句(例えば,
第 2 章 執筆にあたっての留意事項
17
「母親の調律行動」,「適応指導教室でのかかわり」)はできる限り用いず,
単語を用いることが望ましい。
なお,英文キーワードと和文キーワードは対応して表記すること。
〈例 1〉
タイトル:
「出産後の抑うつの推移とオプティミズム・ペシミズム
との関連」
キーワード:産後うつ病,オプティミズム・ペシミズム,抑うつ状
態
Key Words:postnatal depression,optimism/pessimism, depressive state
(本機関誌 第 29 巻第 5 号)
〈例 2〉
タイトル:「愛着障害の子どもの遊戯療法過程」
キーワード:愛着障害,遊戯療法,蛇イメージ
Key Words:reactive attachment disorder, play therapy, snake
image
(本機関誌 第 24 巻第 4 号)
〈例 3〉
タイトル:「認知再構成法の効果とその実施方法による効果」
キーワード:認知行動療法,認知再構成法,抑うつ
Key Words:cognitive behavioral therapy, cognitive restructuring,
depression
(本機関誌 第 29 巻第 5 号)
F.文中における引用
★引用の表示方法
本文中に文献を引用した場合は,引用した箇所を「 」で括り,明示す
ると同時に,著者名と公刊年を記載すること。
1)引用文の冒頭に,著者名を記載する場合:
山本(1995)は,「○○」と述べている。
2)引用の終わりに,著者名を示す場合:
「○○」(山本,1995)。
3)著者が 2 人の場合,引用のつど 2 人の姓を列記する。
河 合・ 山 中(2000) は「○ ○」;「○ ○」(河 合・ 山 中,2000)。
Johnson & Cohen(1998) は「○ ○」;「○ ○」(Johnson & Cohen, 1998)。
18
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
4)著者が 3 人以上いる場合は,筆頭者のみを挙げ,和文献であれば
「ら」
,洋文献であれば“et al.”を用いる。
田中ら(2001)によると「○○」
;
「○○」(田中ら,2001)と指摘されている。
Shore et al.(1986)によると「○○」;
〜と示されている(Shore et al.,1986)。
G.文献一覧
★文献の記載方法
引用文献は,本文の終わりに「文献」の見出しで,著者の姓を規準にし
てアルファベット順に一括して記載すること。
複数著者名の記述の仕方は,漢字仮名による人名表記の場合,「A・B」
あるいは「A・B・C」というように,氏名と氏名の間は「・」で区切る。
アルファベットによる人名表記の場合は,
「A & B 」あるいは「A,B,
& C」等と,
「&」を用いる。
本文中の引用文献が,巻末掲載の文献一覧に記載されていない場合がよ
くみられるが,本文中に引用した文献を漏れなく掲載すること。ただし,
参考文献は文献一覧から除外する。
,論題,誌名,巻(太字),記
1)雑誌の場合:著者名,公刊年(西暦)
載頁の順序による。ただし,通巻ページ数の記載がない場合は,巻数
に続けて号数を( )で括り記載すること。巻数がない雑誌の場合は,
通しの号数を,
「号」または「No.」を付けて記載すること。なお,雑
誌名の記載に際しては,和・欧いずれの場合でも,
「心研」
「J. Clin.
Psychol.」といったような略記をしてはならない。
〈和雑誌例〉
一丸藤太郎・倉永恭子・森田裕司・鈴木健一(2001).通り魔殺人
事件が児童に及ぼした影響――継続実施した S-HTP から.心理
臨床学研究,19,329-341.
〈洋雑誌例〉
Shore, J. H., Tatum, E. L., & Villmer, W. M.(1986). Psychiatric reactions to disaster: The Mount St. Helens experience. American
Journal of Psychiatry, 143, 590-595.
2)単行本の場合:著者名,発行年度(西暦)
,書名,発行所,引用頁
の順序とする。ただし,編者と担当執筆者の異なる単行本の場合は,
該当執筆者を筆頭にあげ,以下,発行年度,論題,編者名,書名,発
行所,頁の順とする。編者の英語表記は,1 人の場合は“Ed.”とし,
2 人以上の場合は“Eds.”とする。
第 2 章 執筆にあたっての留意事項
19
〈和書例〉
河合隼雄(1967).ユング心理学入門.培風館.
中村泰江(2003).学校に入ったら何から始めたらよいか.伊藤美
奈子・平野直己(編).学校臨床心理学入門――スクールカウン
セラーによる実践の知恵.有斐閣,pp. 46-60.
〈洋書例〉
Fiscalini, J.(1995). Narcissism and self-disorder. In M. Lionells, J.
Fiscalini, C. H. Mann, & D. B. Stern(Eds.). Handbook of interpersonal psychoanalysis. New York: Analytic Press, pp. 333-374.
〈訳本例〉
Sullivan, H. S.(1953). The interpersonal theory of psychiatry. New
York: Norton. 中井久夫・宮崎隆吉・高木敬三・鑪幹八郎(訳)
(1990).精神医学は対人関係論である.みすず書房.
3)インターネット上の資料からの引用の場合,著者名,年号,題目,
サイト名,取得日を明記すること。
〈例〉
文部科学省(2010).平成 21 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導
上の諸問題に関する調査」結果(暴力行為,いじめ,高等学校不
登校等)について.http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/
09/1297352.htm(2011 年 3 月 5 日取得)
4)著者名を基準にした一括記載の場合,同一著者で 2 種以上の文献が
ある場合は発刊年度順とし,さらに同年度に同一人の 2 種以上の文献
がある場合には 1980 a,1980 b のように区別して記載すること。
H.図・表・写真等の扱い
★図表の字数換算
図・表・写真については,本文とは別に付属資料として提出論文の巻末
に添付すること。その際の字数換算は,紙面に掲載された際に本文の何行
分にあたるかを次の字数換算の目安を参考にし,本文の字数を調整するこ
と。
[図・表・写真の字数換算の目安]
1)
表は全角 50 字×50 行で出来上がり 1 頁(800 字×2 枚)と換算す
る(標題,注,罫線を含む)。表は横幅を 1 段幅(全角 25 字)または
2 段幅(全角 50 字)のいずれかで作成し,大きさに応じて原稿枚数
に算入する。
2)
図・写真は横 14 cm×縦 20 cm で出来上がり 1 頁(800 字×2 枚)
と換算する(標題,注を含む)
。図は横幅を 1 段幅(7 cm)または 2
20
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
段幅(14 cm)のいずれかで作成し,大きさに応じて原稿枚数に算入
する。
図・表・写真は,論文構成のうえで最低限必要な情報を簡潔に示すよう
に心がけること。図や表の基本フォーマットは,これまでに掲載された論
文を参考に作成すること。
キャプション(図表のタイトル)は,図の場合は図の下に,表の場合は
表の上に,明確で適切かつ簡潔に表記すること。なお,Figure や Table
という英語表記を用いない。
I.謝辞
謝辞等を記載する場合は,本文の終わりに 1 行空け,
「付記」の見出し
で書くこと。
3.基本用語の用い方
A.人名は原語,専門用語は訳語
外国の人名などの固有名詞は,原則として原語を用いる。逆に専門用語
はなるべく訳語を用いることが望ましい。定訳が確定していない場合や,
英語の表記が必要と判断される場合は,初出の際,訳語に引き続いて( )
を付けて示すものとする。
〈人名例〉
Freud, S., Sullivan, H. S.
〈専門用語例〉 世代性(generativity)
B.略語等の使用
文意を明確に伝えるために,できる限り略語は使用しないこと。ただし,
以下のような場合には略語を使用することがある。
★略語使用の条件
1)略語そのものが独立した用語として見なされる場合
例えば,IQ,HIV,WISC-Ⅳなどの心理検査名など,独立して頻用さ
れている用語は,文中で説明を加えなくてもよい。ただし,必要に応じて,
初出の際に,例えば,GHQ(The General Health Questionnaire)と正式
名称を併記しておく。
2)文字数の節約と記述が煩瑣になることを避けるために,略語を用い
る場合
例えば,Th,Cl,SC,CP などの略語も,論文内の使用頻度が高く,
略語の使用が効果的だと判断される場合は,下記のように初出の際にその
第 2 章 執筆にあたっての留意事項
21
略語の意味を明示した上で,使用するとよい。
〈略語使用例〉
クライエント(以下,Cl と略記)は,〜
スクールカウンセラー(以下,SC と略記)は,〜
臨床心理士(以下,CP と略記)は,〜
3)人名・地名等を示す場合
固有名詞を伏せるためのイニシャルの付け方に注意すること。例えば,
「佐藤」という人名の,論文中でのイニシャルを「S」とするのは望まし
くない。地名や施設名に関しても,A 市,B 施設などとし,同様に配慮す
ること。
C.他職域の専門用語を使用する際の配慮
心理臨床学では,他の職域との協働実践,あるいは学際的研究が多くあ
る。このような背景の中で,他の職域や研究領域で使用される用語を論文
中で用いる場合には,その領域における行動様式や専門用語に関する知識
を持ち,適切に使用することを心がける。
★医療用語と心理臨床用語
特に以下のような医療行為の用語と心理臨床実践の用語の使い分けにつ
いて留意すること。
「診断」
「治療」
「治療者」
「患者」
「症例」などの医学用語は可能な限り
使用を避け,
「アセスメント/心理査定」「面接/セラピー/援助/支援/
処遇」
「セラピスト/面接者」
「クライエント/利用者」
「事例」などの心
理臨床学用語を用いることが望ましい。
ただし,医療機関における処遇を記載する必要がある場合や,文献の引
用部分にこうした用語が用いられている場合,あるいはそうした表現を特
に用いる必要がある場合については,この限りではない。
D.不適切な用語のチェック(心理臨床実践の用語)
★適切な用語の選択
心理臨床学の特徴を踏まえた用語を選択すること。上記(医療行為の用
語への留意)の他に,不適切な用語や差別的な表現をしていないかチェッ
クする。
4.捏造・改ざんの禁止,およびプライバシー保護の処置
論文執筆においては,事実を正確に伝えることが何よりも重要である。
そのために捏造や改ざんを行ってはならない。しかしクライエントや研究
協力者のプライバシー保護のために表現上の配慮と工夫を最大限行い,必
要最小限の抽象化・記号化はやむを得ない。クライエントや研究協力者の
22
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
プライバシー保護の措置を行い,クライエントや調査協力者の匿名性の保
障をする。例えば,個人が特定できるような具体的な記載は控えるなどの
対処をする。また,臨床の現場に関する詳細な地域名や固有名詞も記載し
ない。ただし,特定の文化や事象そのものの分析や検討が研究目的に含ま
れる場合はその限りではない。
なお,上記のいずれの場合であっても,論文の中で重要な意味をもつ事
実関係を変えてはならない。プライバシー以外の,あるいはプライバシー
保護においても重要な事実関係の改変は,捏造,改ざんとみなされる。
5.質問紙や分析法を借用する場合の留意点
さまざまな質問紙調査票や尺度,分析方法が国内外で開発され,公表さ
れている。これらを用いて研究を進めることは,ごく一般的なことである。
★質問紙・尺度の著作権
その際に,公表されている質問紙や尺度のすべてを用いたり,一部を改変
して利用したりする場合,著作権や出版権に十分配慮した手続きが求めら
れる。これらを利用して研究を行った場合は,必ず論文中に「出典」を明
示すること。原則として,国内外を問わず尺度の作成者や著作権者には事
前に許可を得て,その旨も論文中に明記することが望ましい。
この他,自らが関与した共同研究のデータを,研究の目的に応じて利用
し,論文とする場合などが考えられる。この場合,共同研究者やデータの
管理者に事前に了解を得て,その旨を論文に明記すること。
6.引用と出典に関する注意
ひょうせつ
A.剽窃の禁止
★正確な引用と出典の明記
他人の表現や見解を自分のもののように記述してはならない。他人の功
績は正当に評価すべきである。他人の意見や表現は一字一句正確に引用符
を用いて表し,該当頁数を含み,出典を示すべきである。他の著者の考え
を言い換えて用いるとき(例えば,ある一節を要約したり,文の順序を組
み変えたり,言葉の一部を言い換えたりする場合)にも,本文の中にその
出典を述べる必要がある。
★研究のプライオリティ
つまり,著者は他人の仕事を自分の仕事であるかのように発表してはな
らないということである。それは単に言葉・表現だけでなく思想・意見に
も及ぶものである。誰か他の人が作ったモデルにしたがって自分の研究を
行う場合には,そのモデルを作った著者にその功績を帰するようにしなけ
ればならない。ある研究を行う理論的根拠が他人の論文の考察の部分でほ
のめかされていたという程度であっても,その人にその功績は帰せられる
べきである。自由な意見の交換(これは健全で活発な研究の発展のために
第 2 章 執筆にあたっての留意事項
23
極めて重要なことである)があった場合,ある研究に対するアイデアがど
こから生まれたかはっきりしないことがあるかもしれない。しかし,分
かっている場合には,必要に応じて,その出所を明示しなければならない。
この出所には個人的な通信や会話も含まれる [APA(2004)
「論文作成マ
ニュアル」の執筆要項より一部改変して引用 ]。
なお,自分が過去に発表した文章を,新しい論文の中で引用せずそのま
ま再利用する行為を「自己剽窃」と呼び,これも原則として避けなければ
ならない。
B.間接引用の回避
★原典にあたる
文献の間接引用(孫引き)は極力避けること。やむを得ず間接引用する 場合,その理由を明らかにした上で,そのことが分かるように明確に記す
こと。
C.未公刊の自著論文からの引用
他誌等への掲載が決定している(未公刊の)自著論文から引用する場合
は,掲載証明を投稿時に添えて引用すること。
24
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
コラム…………………………………………………………………………………………………………………
Some Tips for Writing the English Abstract
(英文要約の作成における注意事項)
Jerry Cusumano
In General(一般的なこと)
1.Use the active rather than the passive voice.(受身形よりも能動形を用いること)
NO:
It was investigated……
YES:
We investigated……
2‌.If you use a Japanese word, write it in italics and put the English equivalent in parentheses,
unless the word is well-known(e.g. tsunami or amae)
.
(日本語,例えば「内観」を文中に用いる場
合,イタリック体にてローマ字表記し,その後にカッコ内に英語表記を行うこと。ただし,「津波」
や「甘え」のように海外においてもよく知られている語の場合はその限りではない)
NO:
Naikan
YES:
Naikan(Self-observation)
3‌.Don’t use capital letters for emphasis or where not needed.(言葉を強調するために,また,不必
要に大文字を使ってはならない)
NO:
Jung’s Theory of Archetypes
YES:
Jung’s theory of archetypes
4‌.For the most part use men and women rather than males and females.(原則として,男性は
man あるいは men,女性は woman あるいは women を用いること)
NO:
The participants were five males and six females.
YES:
The participants were five men and six women.
About Numbers(数の表記について)
5‌.Use words for one to ten and numbers for eleven on except when specifying,e.g. Table 1.(数字
は,一から十までは one,two,three……と表記し,十一からは数詞を用いる。ただし,表 1 や図 1
といった場合は数詞を用いる)
NO:
There were 5 participants working on twenty-five problems.
YES:
There were five participants working on 25 problems.
6.Never begin a sentence with anumeral.(数詞で文章をはじめてはいけない)
NO:
55 subjects participated……
YES:
Fifty-five subjects participated……
第 2 章 執筆にあたっての留意事項
7.Don’t use hyphens when expressing ages.(年齢の表記にハイフンを用いてはいけない)
NO:
The client was a 14-years-old boy.
YES:
The client was a 14 year old boy.
About Particular Words(特定用語の語法について)
8‌.Avoid using“research”in the plural.(
“research”は不加算名詞として用いることが多いので,原
則として“researches”という複数形は避け,以下のように用いること)
NO:
There are many previous researches on the topic.
YES:
There is much previous research on the topic.
9.‌Avoid the phrase,“as a result”when reporting results.(結果の表記の冒頭で,
“as a result”を用
いがちであるが,正しくは以下の通りである)
NO:
As a result, there was no significant difference.
YES:
Results showed no significant difference.
10.Avoid lining up nouns as modifiers.(修飾語句は,修飾する名詞の後にもってくること)
NO:
The client was a school refusal boy.
YES:
The client was a boy refusing to attend school.
11‌.Translate‘観点’as either standpoint or point of view rather than viewpoint.(
「〜の観点から」
という表記の場合,viewpoint ではなく,standpoint あるいは point of view を用いること)
NO:
From this viewpoint we can say about the results……
YES:
From this standpoint(point of view)we can say about the results……
(注)‌英文タイトルと英文要約の書き方について,本機関誌英文校閲担当のクスマノ先生によるコラムを紹介
した。ぜひ参考にしていただきたい。なお,訳文は責任編著委員によるものである。
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26
第
3
章
論文投稿の留意点と手順
心理臨床学研究に投稿する論文は,心理臨床実践に資する内容を含み,
かつ学術論文としての水準を維持するよう努める。事例論文においては,
実践の素朴な「事例報告」ではなく,何らかの新たな知見を示した「事例
研究」として提出されなければならない。論文投稿にあたっては,以下の
点をよく留意・確認した上で投稿してほしい。
1.投稿資格
心理臨床学研究の投稿資格は,本学会の会員(名誉会員を含む)であり,
★会員限定
年会費を支払っている者に限定される。連名の者も同じである。ただし,
編集委員会からの依頼論文についてはこの限りではない。もし会員以外で
研究の協力者がいる場合,本文末に謝辞を付して,その氏名等を記すこと
は可能である。ただし,謝辞はあまり長文にならないように留意されたい。
2.投稿内容
★臨床心理学領域に関する
研究
心理臨床実践にかかわる研究が本誌の中心であるが,より幅広く臨床心
理学に関する研究内容であれば対象となる。しかし,後者の場合も,心理
臨床実践に資する内容が論文に含まれていることが望ましい。研究方法か
ら大別すると,実験研究,調査研究(観察,質問紙や面接による調査,
フィールドワーク等),事例研究(単数事例・複数事例),文献研究などに
分けられる。
3.研究倫理に関する事項
A.調査等でのインフォームド・コンセント(説明と同意)
調査研究を行うに当たって,事前に調査協力者にインフォームド・コン
セント(説明と同意)の手続きを取らなければならない。特に事例研究や
面接調査(インタビュー)では,対象者もしくは調査協力者から文書にて
承諾のサインを得ておくことが望ましい。
第 3 章 論文投稿の留意点と手順
27
B.事例論文の投稿条件,およびクライエントへの了承手続き
臨床実践の事例論文は,原則として継続中の事例でないこと。つまり,
終結した(中断を含む)事例であること。そして,連絡が取れないなどの
場合を除き,何らかの形でクライエントの了承が得られていること。ある
いは関係機関に倫理委員会がある場合は,その了承を得ていること。さら
に,こうした倫理面への配慮について論文中に明記すること。
C.二重投稿・多重投稿の禁止
心理臨床学研究への投稿論文は未発表のものであること。他の学術誌や
★二重投稿・多重投稿とは
商業誌,大学等の紀要にすでに投稿したものと類似した論文は投稿できな
い。これに違反した場合は,論文の受稿や掲載を取り消すことになる。た
だし,学会の発表論文集や科研等の報告書,学位論文(未公刊)の内容を
投稿する場合はその限りではない。その場合は,最後にそのことを付記す
ることが求められる。また,既に自らが発表した内容の一部を採録する必
要がある場合も引用出典を明示して,本文と引用部分の区別を分かりやす
くする(表 1「二重投稿についてのガイドライン」(28 頁)を参照)。
D.並行投稿の制限
筆頭著者として関連が深い内容の論文を心理臨床学研究に並行して投稿
することは控えてほしい。すなわち,心理臨床学研究に論文を投稿し,そ
の論文の審査経過中に別の論文を投稿することを控える。投稿した論文の
★採否の決定後に次を投稿
採否が正式に決定し,最終の完全原稿が受理された後に次の論文を投稿す
ること。ただし,テーマが異なる論文の投稿については,この限りではな
い。
4.投稿原稿の提出部数
投稿原稿は,原稿(正)1 部,コピー(副)3 部,合計 4 部を取りそろ
えて提出する。その際に要約,および英文要約も 4 通一緒に提出する。な
お,コピーの 3 部(副)では,氏名,所属,謝辞の氏名および組織・団体
等の固有名詞等を削除すること。この段階で電子媒体は必要ない。
5.投稿票の書き方
投稿票を作成する。図 1(29 頁)の記載項目(9 項目)に準じて,A4
判 1 枚に記載し,初回の投稿論文に同封する。
28
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
表 1 二重投稿についてのガイドライン
2015 年 11 月 23 日承認
一般社団法人 日本心理臨床学会倫理委員会
二重投稿についてのガイドライン
1.二重投稿の判断基準について
① ‌研究論文は,既発表又は投稿中の論文との差異を明確に記述しなければならない。
② ‌研究論文に既発表又は投稿中の論文の本文や図表等の一部を引用する場合は,出典ないしは
投稿先を明記しなければならない。
③ ‌研究論文は,少なくともその著者 1 名を含む既発表又は他に投稿中の論文と同一内容あるい
は極めて類似した内容であってはならない。
④ ‌本来は一つであるべき研究内容を小さく分割して,同一学会誌に継時的にあるいは複数の研
究誌に研究論文として投稿してはならない。
⑤ ‌既にある言語で発表した研究論文を他の言語に翻訳して投稿してはならない。
2.二重投稿に該当しない例
① ‌研究論文に既発表又は投稿中の論文と重複する内容が含まれているものの,本文中に既発表
又は投稿中の論文との差異ならびに新たな重要な知見が明記されており,既発表又は投稿中
の論文の内容を含むことを明示するとともに適切に引用している場合。
② ‌既発表又は投稿中の論文の内容の使用に当たって,著作権に抵触しないように当該学術雑誌
の了解を得るとともに,研究論文を投稿するにあたって一般社団法人日本心理臨床学会の編
集委員会の了承を得た場合。
③ ‌卒業論文,修士論文,博士論文,科学研究費補助金報告書,学会での文字数が短く限られて
いる大会発表要旨などの学術関連文書の内容を,新たに研究論文として投稿する場合で,元
の学術関連文書の内容を含むことを明示するとともに適切に引用している場合。(ほとんど
同じ内容を掲載する場合には著作権について関係者の了解を得ておくことが必要である)
。
④ ‌既発表の研究論文について,著作権の扱いに関する当該学術雑誌の了解を得たうえで,既発
表の論文の「翻訳論文」であることを明示して翻訳する場合。
3.参考文献
研究者の公正な研究活動の確保に関する調査検討委員会(2012)研究者の公正な研究活動の確保
.
(https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg
に関する調査検討委員会報告書(東北大学)
/pressimg/press20120124_01_1.pdf 2015. 3. 10 検索)
ICMJE(2014)Recommendations for the Conduct,Reporting, Editing, and Publication of
Scholarly Work in Medical Journals.(http://www.icmje.org/icmje-recommendations.pdf
2015. 3. 10 検索)
Committee on Publication Ethics: COPE(2009)Retraction guidelines.(http://publicationethics.
org/files/retraction%20guidelines.pdf 2015. 3. 10 検索)
日本心理学会(2014)「二重投稿」に対する公益社団法人日本心理学会の方針.(http://www.
psych.or.jp/publication/pdf/duplicate_publication_20141001.pdf 2015. 3. 10 検索)
東京大学情報システム部情報基盤課学術情報チーム(2014)博士論文と著作権 第 3 版.
(http://
www.c.u-tokyo.ac.jp/graduate/01_thesesandcopyrights.pdf 2015. 3. 10 検索)
第 3 章 論文投稿の留意点と手順
【投稿票】
(1)論文種別(ひとつを
・研究論文
で囲む)
・資料論文
・文献展望
(2)論文タイトル
)
(
(3)キーワード(3~5 個)
・
・
・
・
・
で囲む)
(4)論文のスタイル(ひとつを
・調査論文(量的研究)
・調査論文(質的研究)
・事例論文
・文献研究
・その他(
)
(5)著者名・所属機関・会員番号(共著者も同様に記載)
(6)筆頭著者の連絡先(氏名,〒番号,住所,e-mail など)
(7)原稿枚数(図・表・文献を含む)
( )枚
(8)図・表の数
図( )個, 表( )個
(9)謝辞
図 1 投稿票(作成例)
29
30
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
[投稿前の点検リスト]
「執筆要項」,「倫理綱領」,「倫理基準」をよく読んで,以下の項目について点検して下さい。
点検した項目については,□ に✓を付けて,論文と一緒に提出して下さい。
□ 投稿原稿の分量は,図・表・文献を含めて規定内か。
□
□
□
□
論文タイトルの内容と長さ(35 文字以内)は妥当か。
論文中の引用文献をすべて文献リストに挙げているか。
引用文献や文献リストの書き方は正しいか。
‌英文について,ネイティブスピーカーあるいは英語の専門家によるチェックを受けた場合,
英文校正証明書等を添付しているか。
□
□
□
□
本誌や他誌に類似内容の論文を投稿(二重投稿や多重投稿)していないか。
本誌で審査中に関連のある論文を筆頭著者として本誌に投稿(並行投稿)していないか。
論文中や要約の記載において,プライバシー保護を適切に処置しているか。
‌プライバシー保護の処置が,事例や調査等の重要な事実関係の捏造・改ざんになっていな
いか。
□ ‌事例研究の投稿では,クライエント,ならびに保護者や関係機関から必要な同意を得,そ
の旨を本文中に記載しているか。
□ 倫理委員会等のある機関・施設では,投稿に必要な承認を得ているか。
□ 英文要約の Web 公開にあたり,プライバシー保護を適切に処置しているか。
□
□
□
□
□
投稿論文として,正原稿(1 部)とコピー(副原稿 3 部)を用意しているか。
正原稿のコピー(副原稿 3 部)では,投稿者名・所属・謝辞を削除しているか。
副原稿 3 部には,投稿者名・所属・謝辞を削除した和文と英文の要約を付けているか。
投稿票に必要事項をすべて記載し,添付しているか。
投稿論文の著者全員が日本心理臨床学会の会員であり,今年度分の会費を納入しているか。
以上の項目について,点検・確認を済ませました。
(本点検リストを投稿論文に同封して下さい。)
年 月 日 筆頭著者名 図 2 投稿前の点検リスト
(自署)
第 3 章 論文投稿の留意点と手順
31
6.投稿前の点検リスト
論文を投稿する前に,
「執筆要項」
(2016 年改訂版)
,および『論文執筆
ガイド』
(2016 年改訂版)に記載されている内容を十分によく確認してほ
しい。そして,もう一度,30 頁の点検リスト(図 2)でもって再確認し
てから投稿しなければならない。
7.論文の受稿と受理
編集委員会係において,執筆要項に沿っているかどうかを形式的に
★受稿と受理の違い
チェックし,不備がなければ受稿する。そして投稿者に「受稿」を通知す
る。他方,
「受理」とは投稿論文の採択を意味し,その採択を決定した日
を受理日とする。
8.送り先:編集委員会係宛て
〒 112-0012 東京都文京区大塚 3-20-6
誠信書房内『心理臨床学研究』編集委員会係
32
第
4
章
審査結果を受け取った後の対応
現在,編集委員会は隔月(年間 6 回)開催されている。編集委員会の審
査に基づいて編集委員会係から審査結果が筆頭執筆者に郵送される。本章
では,その審査結果を受け取った後の対応の留意事項について述べる。
1.採択の場合
採択の場合,無条件に採択されることもあるが,字句や細部の修正が必
要なことが多い。必要な訂正・修正をした上で,全文のチェックをして編
集委員会係に提出する。
A.字句や文の一部修正
より良い論文にするために,ほとんどの論文は細部修正が求められる。
★条件付採択
指摘された字句や一部の文章を修正するとともに,誤字や脱字がないか推
敲し,完全原稿を作成して必要部数を提出する。修正がわずかな場合は,
どこを,どう修正したかを別紙に明記するだけでよく,修正新旧対照表を
付けなくてもよい。
B.
「電子媒体」の提出
正式に採択された後,完全原稿の「電子媒体」を提出する。電子媒体は,
CD ないしはメモリースティクなど(いずれも作業終了後に返却)
,ある
いは電子メールでの送信とする。
C.著者校正は初校のみ
★校正は 1 回
校正については,初校のみを著者が行う。校正は誤字・脱字等の細部の
修正のみに限定される。再校以降については,原則として編集委員会係で
行う。
D.カラー印刷における経費負担(有償)
描画などカラー印刷を著者が特に希望する場合は,有償で可能である。
経費の目安としては,できるだけカラー図版が紙の片面に収まるようレイ
アウトで工夫をするが,片面印刷で基本料 6 万円+図版 1 枚につき 3 千円,
第 4 章 審査結果を受け取った後の対応
33
両面印刷では基本料 12 万円+図版 1 枚につき 3 千円となる(いずれも消
費税別)
。なお,現時点では費用の半額を学会が補助している。
E.別刷り 30 部の贈呈
一論文につき別刷り 30 部を贈呈する。それ以上の部数を必要とする場
合は,100 部を上限として編集係に追加の部数を初校校正時までに申請で
きるが,その費用(1 部当たり 300 円+消費税)は著者が負担するものと
する。
2.修正再審査の場合
A.査読意見を尊重して改稿
★修正再審査とは
修正再審査は修正採択ではなく,査読意見に基づき著者が原稿の修正を
行った上で,再度審査に付される場合をいう。査読意見では,より適切な
論文にするにはどう訂正したらよいかを助言・示唆している。したがって,
査読意見をよく咀嚼した上で,修正,加筆,削除等を行う。複数の意見に
対して適切に回答して,必要な修正を行うこと。
なお,査読結果の文章とは別に,査読者に詳しい説明を求めたくなるか
もしれないが,それはできない。つまり,査読者との個人的なやり取りは
できない。査読結果はすべて編集委員会が責任をもっている。また,一部
を修正したことで,全体の構成に影響がおよび,論理の一貫性に不具合が
発生する場合もあるので,一部の修正に留まらず全体をよく見通して,必
要な修正を行ってほしい。
期日までに再投稿された修正論文は,再び審査がなされ,採択,再々修
正,不採択の判断がなされる。
B.矛盾する査読意見,または異なる見方に立つ場合
複数の査読者から,一見すると矛盾した意見が出ることもある。それも
★著者による統合
意味のあることなので,著者はそれらの意見をよく検討して,自らの視点
から本質的な修正を行ってほしい。
もし執筆者の立場や認識が査読者と異なっている場合は,査読意見を無
視せずに,指摘された異論に関して,修正新旧対照表において必ず論拠を
もとに分かりやすく説明すること。
C.修正箇所の新旧対照表
具体的な査読意見に対しては,修正した箇所を明示した修正新旧対照表
(表 2)を付けること。査読意見を書いた上で,
「修正前の文章」と「修正
後の文章」を対応させて記述する。
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
34
表 2 修正新旧対照表(記載例)
査読者Aのコメントについて
① 「○○への適用」という題名ですが,副題と入れ替えたほうが良いのではないかと思います。
修正前
修正後
「○○への適用」
〜〜〜〜〜〜〜〜
「△△への適用」
② 2 ページ目,20 〜 21 行目 「セラピストに手間をかけてもらう体験をする」と書かれていますが,
実際にどのようなことなのか記載してください。
「セラピストに手間をかけてもらう体験 「セラピストに○○ということに手間をかけてもらう体験
をする」加筆
をする」
③
6 ページ「○○」の考察に関する文献等を記載してください。
○○ (2013)△△ ,□□研究,20,1-5 追加
査読者Bのコメントについて
①
目的と関係ない内容が考察で述べられています。目的に沿った考察が求められます。
修正前
修正後
「○…○」
「○…○」の一文を削除しました。
査読者Cのコメントについて
①
クライエントの了承が得られていることを明記して下さい。
修正前
修正後
「クライエントに文書で了承を得ている。
」を追加しました。
概括的な査読意見のために,具体的に対照表に書き表しにくい場合は,
修正の方法や箇所等を説明する別紙を必ず付けること。
D.枚数制限の再確認
査読意見に従って加筆すると制限枚数を超過することがあるが,文章全
体の調整を図って,当初の制限枚数の範囲内に必ず収めること。
E.指定期日までに再投稿
再投稿の期日が指定されるので,制限枚数を超えていないことを確認し
た上で,必ず期日までに投稿すること。もし期日に間に合わない場合は,
新規投稿の扱いとなるので十分に気をつけること。なお,修正された原稿
★再投稿の提出部数
の提出部数は連絡文書に記載されている。修正新旧対照表もそれぞれに付
ける。
第 4 章 審査結果を受け取った後の対応
35
3.不採択の場合
不採択の場合も編集委員会係よりその連絡がある。不採択の場合,投稿
者の多くは,その厳しい査読意見に自尊心が傷つき,腹も立つであろう。
投稿者なりに一生懸命に書いているだけに,その努力が評価されないこと
は辛い。
しかし,編集委員会は 3 人の査読者の意見に基づいて,学術論文とし
ての水準に達していないこと,丁寧に書いてはあるがオリジナリティに欠
けること,
『心理臨床学研究』の求める内容として妥当でないこと,等を
指摘しているに過ぎない。
★採択率は約 40%
なお,2015 年度の実績では,本誌の論文採択率は投稿件数の約 40%で
あり,約 60%は不採択になっている。したがって,査読意見から冷静に
学び取り,次の論文作成に活かして再挑戦してほしい。
36
第
5
章
論文審査の進行過程
1.編集委員会の構成
学会誌編集委員会は,
「本会学会誌の編集発行および投稿論文の審査に
関する実務とそれに関わる問題の研究・検討の業務」を行うものとして,
本学会「委員会に関する規程」
(2010 年 11 月 23 日最近制定)に定められ
ている。
編集委員会の委員は,編集担当常任理事と,理事長から委嘱された理事
によって構成されている。委員長は委員の互選によって選定される。また,
地域や専門領域を勘案し,編集委員長は委員候補者を必要に応じて追加推
薦し,常任理事会・理事会にて承認を得る。規程により任期は 2 年で,各
期 25〜30 名程度からなる。編集委員会に出席するのは以上の委員である。
このほかに,論文審査にあたっては,英文担当委員がおかれているほか,
統計その他の専門的な査読者として「専門委員」を委嘱している。また,
編集委員以外の 200 名を超える多数の本会会員に審査協力者として査読
を依頼している。
★年間 6 回の開催
編集委員会は,年 6 回(概ね 2 か月に 1 回)開催されている。毎回,前
半は「編集委員会Ⅰ」,後半は「編集委員会Ⅱ(編集作業委員会)」が行わ
れる。編集委員会Ⅰでは,学会誌の編集・発行等の進捗状況が報告され,
論文執筆・投稿・審査の過程に関する種々の事項について審議される。そ
れに基づきルールが整備されているが,検討課題も多くあり,それらにつ
いては後でふれたい。編集委員会Ⅱ(作業委員会)においては,投稿論文
の審査・確定,新規投稿論文および修正後の投稿論文の審査担当者(査読
者)の確定,書評対象図書の選定が行われる。
2.論文の審査
A.論文審査の過程
投稿論文の審査は,おおむね図 3 に示したような手順で進められている。
投稿論文が編集委員会係に到着したら,投稿規程・執筆要項に定められた
基準等をチェックした上で,審査を開始する対象として受稿される。受稿
第 5 章 論文審査の進行過程
編集委員会係
投稿
受稿
会員
論文執筆
編集委員会
審査者の決定
審査者
依頼
2 か月
編集委員会
通知
論文の査読
報告
審査結果の検討・決定
採択/修正再審査/不採択
2 か月
編集委員会
修正再審査の場合
修正論文の提出
2 か月
編集委員会
再審査者の決定
以下,初回投稿時と同様である。
編集委員会
採否の決定
図3 論文審査の流れ
審査者
37
38
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
された投稿論文は,直近の編集作業委員会に提出され,そこで審査担当者
★ 3 名の審査者
が決定される。論文審査は,3 名で行う。3 名のうち,少なくとも 1 名は
編集委員とし,その他に,本学会の会員中より選考して審査協力を依頼す
ることで,投稿論文の採否の的確な評価を期することとしている。
2010 年 10 月までは 2 名体制で,判定が不一致の場合および原著にする
か否かの判定を行う場合にのみ第三者評定を取り入れることとしていたが,
現在は,すべての論文審査を 3 名体制に変更したことにより,評価の妥当
性がより明確になり,編集作業委員会での検討が円滑に進められるように
なった。これに伴い,編集委員が論文審査を担当する際に,論文内容の評
価に加えて,研究倫理が守られているかどうか,および原著に相当する水
準にあるかどうかの評価を重視する旨が委員会で確認されている。なお,
論文審査担当者はもとより,編集委員会メンバーは,審査経過やその結果
等について口外することのないよう厳に戒められている。
論文審査期間は 2 か月弱とし,次の編集作業委員会には審査結果が報
告される。当該論文を担当した編集委員が,3 名の審査者の判定とその理
由を報告し,委員会で検討の上,採択・修正再審査・不採択のいずれかを
決定する。採択された研究論文のうち,原著にすることが望ましいとの推
薦が編集委員からなされた場合は,新たな審査者を決めて判定を依頼する。
また,研究論文から資料論文等への種目変更が適切と判断された場合は,
研究論文としては不採択という扱いになる。
論文が採択されたら,投稿者に通知され,掲載号への印刷準備が始まる
が,掲載を前提として誤字・脱字程度の細部修正を求めることもある。
不採択もしくは修正再審査とされた審査結果については,審査者のコメ
ントとともに論文投稿者に書面で通知される。不採択の場合は,コメント
を参考に論文全体を見直すことになると思われるが,その後に,再投稿す
ることも考えられる。その際は,新規投稿として扱う。
修正再審査の場合は,審査者の指摘に応じて,修正(補足や変更など)
★修正再審査の提出締切
を加えて,修正論文を提出することで再審査を受けることができる。修正
論文の提出締切は,審査を行った編集作業委員会の次々回の委員会に間に
合うよう設定される。再審査においては,初回審査結果を受けての変更や
修正が適切になされたか,という視点から検討される。場合によっては,
再々審査と判定されることもあり,その際の日程や手続きは再審査時と同
様である。なお,同一論文に対して継続して検討するのは,再々審査まで
とする。
新規投稿論文は年間で約 150 編あるが,一時よりもやや少なくなって
いる。初回投稿論文と修正後論文を合わせると,毎回の委員会では平均
50 編ほどの論文が審査されている。採択率は 40%前後であるが,これは
以前よりもかなり上昇傾向がみられる。
第 5 章 論文審査の進行過程
39
〔*本改訂版では,2012 年版に掲載されていた「B.論文審査における問題点と検討課
題」は割愛されている。〕
3.機関誌の保管と処分に関する留意点
★中古としての転売の禁止
本学会の機関誌『心理臨床学研究』が,インターネットなどの中古市場
に出品されていることが少なからずある。本学会では,本機関誌の事例論
文等における内容の秘匿性を考慮し,出品をはじめとした転売,ならびに
本学会員以外への譲渡を禁止している。本機関誌を処分する場合,この点
を十分に考慮し確実な処分をお願いしたい。
外国語(英文)学会誌の英語論文に関しても,その管理に十分注意を払
うことが求められる。
40
『心理臨床学研究』執筆要項
研究論文,資料論文,文献展望の投稿を希望される方は,倫理規定・倫
理基準を厳守の上,以下の執筆要項に従って投稿して下さい。
【投稿資格】
1.論文の投稿資格は,本学会会員(正会員・名誉会員)であり,年会
費を支払っている者に限る。ただし,編集委員会からの依頼論文につ
いては,この限りではない。
【論文の内容と文字数】
2.論文の内容は未公刊のものに限る。また,本誌の論文審査中に,筆
頭著者として関連の深い内容の別の論文を投稿することを避ける。
3.論文は,内容によって研究論文(原著を含む),資料論文,文献展望
に分けられる。
a)研究論文(Research and Practice):心理臨床学に関する学術論
文を示し,A 4 判で 40 字×40 行×11 枚を限度とする。なお,研究
論文のうち,心理臨床学の発展に顕著な貢献が認められると判断さ
れたものについては,原著(Original Article)として掲載するも
のとする。原著の判断については,編集委員会がこれを行う。
b)資料論文(Brief Report):事例・調査・実験・方法・理論等に
関するレポートを示し,A 4 判で 40 字×40 行×5.5 枚を限度とする。
c)文献展望(Review)
:特定のテーマに関する重要な文献を総説
的・批判的にまとめた内容を示し,A 4 判で 40 字×40 行×11 枚を
限度とする。
*)上記いずれの場合にも,図表類はその大きさを本文に換算して,
枚数に算入すること。
【原稿作成に関する
一般的注意】
4.原稿は A 4 判の用紙を用い,1 ページあたり 40 字×40 行とするこ
と。余白は標準の形式を用いる。
5.原稿は,ワープロソフトを用いて作成する。
6.原稿は縦置き・横書きで,原則として常用漢字・新仮名遣いを用い,
数字は算用数字を用いること。
7.読点は「,」,句点は「。」とする。
8.文意を明確に伝えるために,できる限り略語は使用しないこと。た
『心理臨床学研究』執筆要項
41
だし,次の 2 通りの場合に略語を使用する場合がある。
a)略語そのものが独立した用語として見なされる場合
例えば,IQ,HIV,WISC-Ⅳといった病名,心理検査名など独
立して頻用されている用語は,文中で説明を加えなくてもよい。た
だ し, 必 要 に 応 じ て, 初 出 の 際 に,GHQ(The General Health
Questionnaire)などと正式名称を併記しておく。
b)文字数の節約と記述が煩瑣になることを避けるために,略語を用
いる場合
例えば,Th,Cl,SC,CP などの略語も,論文内の使用頻度が高
く,略語の使用が効果的だと判断される場合は,下記のように初出
の際にその略語の意味を明示した上で使用するとよい。
〈略語使用例〉
クライエント(以下,Cl と略記)は〜
スクールカウンセラー(以下,SC と略記)は〜
臨床心理士(以下,CP と略記)は〜
認知行動療法(以下,CBT と略記)を〜
【プライバシーへの配慮】
9.本誌の性質上,クライエントに関する情報を記載する必要が生じる
場合も多いと思われるが,その際には記載する情報は最小限度とし,
プライバシーに十分配慮すること。
a)イニシャルの付け方にも注意すること。例えば,
「佐藤」という
人名の論文中でのイニシャルを「S」とするのは望ましくない。地
名や施設名に関しても同様に配慮すること。
b)面接経過における年号の記載は,X 年,X+1 年のようにするこ
と。
【論文中で用いる用語】
10.論文中で用いる用語については,以下のような点について熟考し,
使用すること。
a)心理臨床学では,他の職域との協働実践,あるいは学際的研究が
多くある。このような背景の中で,他の職域や研究領域で使用され
る用語を論文中で用いる場合には,その領域における行動様式や専
門用語に関する知識を持ち,適切に使用することを心がける。
b)特に以下のような医療行為の用語と心理臨床実践の用語の使い分
けについて留意すること。「診断」「治療」「治療者」「患者」「症例」
などの医学用語は可能な限り使用を避け,
「アセスメント/心理査
定」
「面接/セラピー/援助/支援/処遇」「セラピスト/面接者」
「クライエント/利用者」「事例」などの心理臨床学用語を用いるこ
とが望ましい。
42
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
ただし,医療機関における処遇を記載する必要がある場合や,文
献の引用部分にこうした用語が用いられている場合,あるいはそう
した表現を特に用いる必要がある場合については,この限りではな
い。
c)差別的な用語や言い回しがないか点検する。
【外国語の表記】
11.外国の人名等の固有名詞は,原則として原語を用いる。その他の外
国語はなるべく訳語を用いること。外国語を用いる場合は,初出の際
に訳語に引き続いて( )をつけ示すものとする。
〈人名例〉
Freud,S.,Sullivan,H. S.
〈専門用語例〉
世代性(generativity)
【タイトル】
12.和文タイトルには,論文の中心的アイデア,あるいはテーマを簡潔
に盛り込み,タイトルを読めば何の研究であるのか読み手に伝わるよ
うに工夫すること。原則としてサブタイトルはつけず,35 文字以内
を目安とすること。ちなみに,論文の主題には,研究対象や研究方法
を含む。
13.英文タイトルは和文タイトルを適切に英訳すること。そのために,
英語の専門家かネイティブスピーカーにチェックを受けることが望ま
しい。
【執筆者の氏名と所属】
14.氏名は,和文においても英語表記においても,姓・名の順に表記す
ること。所属は,投稿した時点の所属をひとつだけ明記すること。
【文中における引用】
15.本文中に文献を引用した場合は,引用した箇所を「 」で括り,
明示すると同時に,著者名と公刊年を記載すること。
a)引用文に先だって著者名を記載する場合
山本(1995)は,「○○○」と述べている。
b)引用の終わりに著者名を示す場合
「○○○」(山本,1995)。
c)著者が 2 人の場合,引用のつど 2 人の姓を列記する。
河合・山中(2000)は「○○」;「○○」(河合・山中,2000)。
Johnson & Cohen(1998)は「○○」;「○○」(Johnson & Cohen,
1998)。
d)著者が 3 人以上いる場合は,筆頭者のみを挙げ,和文献であれば
「ら」
,洋文献であれば“et al.”を用いる。
『心理臨床学研究』執筆要項
43
田中ら(2001)は「○○」;「○○」(田中ら,2001)と指摘されて
いる。
Shore et al.(1986)によると「○○」;〜と示されている(Shore
et al., 1986)。
e)訳本の場合には,原典の発行年と訳本の発行年を,(1959/1973)の
ように併記する。
Sullivan(1953/1990)は〜;〜(Sullivan,1953/1990)。
【文献一覧】
16.引用文献は,本文の終わりに「文献」の見出しで,著者の姓を規準
にしてアルファベット順に一括して記載すること。
17.複数の著者名の記述の仕方は,漢字仮名による人名表記の場合,
A・B あるいは A・B・C というように,氏名と氏名の間は「・」で
区切る。アルファベットによる人名表記の場合は,
「A & B」あるい
は「A,B,& C 」等と,「&」を用いる。
a)雑誌の場合:著者名,公刊年(西暦),論題,誌名,巻(太字),
記載頁の順序による。ただし,通巻ページ数の記載がない場合は,
巻数に続けて号数を( )で括り,記載すること。巻数がない雑誌
の場合は,通しの号数を,
「号」または「No.」を付けて記載するこ
と。なお,雑誌名の記載に際しては,和・欧いずれの場合でも,
「心研」「J. Clin. Psychol.」といったような略記をしてはならない。
〈和雑誌例〉
一丸藤太郎・倉永恭子・森田裕司・鈴木健一(2001)
.通り魔殺
人事件が児童に及ぼした影響―継続実施した S-HTP から.
心理臨床学研究,19,329-341.
〈洋雑誌例〉
Shore, J. H., Tatum, E. L., & Villmer, W.(1986). Psychiatric reactions to disaster: The Mount St. Helens experience. American Journal of Psychiatry, 143, 590-595.
b)単行本の場合:著者名,発行年度(西暦),書名,発行所,引用
頁の順序とする。ただし,編者と担当執筆者の異なる単行本の場合
は,該当執筆者を筆頭にあげ,以下,発行年度,論題,編者名,書
名, 発 行 所, 頁 の 順 と す る。 編 者 の 英 語 表 記 は,1 人 の 場 合 は
“Ed.”と,2 人以上の場合は“Eds.”とする。
〈和書例〉
河合隼雄(1967).ユング心理学入門.培風館.
中村泰江(2003)
.学校に入ったら何から始めたらよいか.伊藤
美奈子・平野直己(編).学校臨床心理学入門―スクールカ
ウンセラーによる実践の知恵.有斐閣,pp. 46-60.
44
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
〈洋書例〉
Fiscalini, J.(1995). Narcissism and self-disorder. In M. Lionells,
J. Fiscalini, C. H. Mann, & D. B. Stern(Eds.). Handbook of interpersonal psychoanalysis. New York: Analytic Press, pp. 333374.
〈訳本例〉
. The interpersonal theory of psychiatry.
Sullivan, H. S.(1953)
New York: Norton. 中井久夫・宮崎隆吉・高木敬三・鑪幹八
郎(訳)(1990).精神医学は対人関係論である.みすず書房.
c)インターネット上の資料からの引用の場合,著者名,年号,題目,
サイト名,取得日を明記すること。
〈例〉
文部科学省(2010).平成 21 年度「児童生徒の問題行動等生徒指
導上の諸問題に関する調査」結果(暴力行為,いじめ,高等学
校不登校等)について.http://www.mext.go.jp/b_menu/hou
dou/22/09/1297352.htm(2011 年 3 月 5 日取得)
d)著者名を基準にした一括記載の場合,同一著者で 2 種以上の文献
がある場合は発刊年度順とし,さらに同年度に同一人の 2 種以上の
文献がある場合には論題のアルファベット順に 1980 a,1980 b の
ように区別して記載する。
e)本文中の引用文献が,巻末掲載の文献一覧に記載されていない場
合がある。本文中に引用した文献は漏れなく掲載すること。ただし,
参考文献は文献一覧から除外する。
【図・表等の扱い】
18.図・表・写真等については,本文とは別に附属資料として提出論文
の巻末に添付すること。その際の字数換算は,紙面に掲載された際に
本文の何行分にあたるか(1 頁大で 40 行,半頁大で 20 行,4 分の 1
頁大で 10 行などと)換算して,本文の字数を調整すること。
19.図・表・写真は論文構成のうえで最低限必要な情報を簡潔に示すよ
うに心がけること。図や表の基本フォーマットは,これまでに掲載さ
れた論文を参考に作成すること。
20.キャプション(図表のタイトル)は,図の場合が図の下に,表の場
合は表の上に明確で適切かつ簡潔に表記すること。なお,Figure や
Table という英語表記を用いない。
【謝辞】
21.謝辞等を記載する場合は,本文の終わりに一行あけ,「付記」の見
出しで書くこと。
『心理臨床学研究』執筆要項
45
【投稿票】
22.原稿には投稿票を作成して付ける。A 4 判 1 枚に以下の項目につい
て箇条書きする。
(1)論文種別(研究論文・資料論文・文献展望),
(2)論文タイト
ル,
(3)
(研究論文の場合)キーワード(3〜5 個),(4)論文のスタ
・調査論文〔質的研究〕
イル(調査論文〔量的研究〕
・事例論文・文献
研究)
,
(5)著者名・所属機関・会員番号(共著者も同様に記載),
(6)筆頭著者の連絡先(氏名,〒番号,住所,e-mail など),(7)原
稿枚数(図・表・文献を含む),(8)図・表の数,(9)謝辞があれば
転記。
【英文要約とキーワード】
23.上記のほかに 100〜175 語以内の英文要約と 3〜5 個の Key Words
を添えて投稿すること。これらの投稿要領は,次による。
a)英文要約(Abstract)として,英語の論題と氏名・所属に続けて,
要約を記述する。要約は,本文全体の概要とする。実証的研究であ
れば,問題と目的・方法・結果(明らかにされた知見)等を簡潔に
記載し,ひとつのパラグラフにまとめる。
b)Key Words として,3〜5 種の英語をアブストラクト本文の 2 行
下段に記載すること。キーワードは論文内容を表す中心的な用語で,
かつ論文検索の際に有用な用語とする。同じ領域の専門家に共有さ
れている単語,とくに専門用語を原則とする。
c)英文要約の邦文訳(400 字以上 450 字以下)
,および邦語のキー
ワードを A 4 用紙 1 枚に記載して添えること。キーワードは和英
で対応していること。
d)英文は英語の専門家あるいはネイティブスピーカーの校閲を経て
いることが望ましい。
【特別な費用が必要な
場合】
24.論文の掲載に際して,印刷上特別の費用を要する事情が生じた場合
は,当該著者が負担するものとする。
【抜刷の贈呈】
25.一論文につき別刷り 30 部を贈呈する。それ以上の部数を必要とす
る場合は,100 部を上限として編集係に追加の部数を初校校正時まで
に申請できるが,その費用(1 部当たり 300 円+消費税)は著者が負
担するものとする。
【投稿原稿の提出】
26.投稿原稿は,研究論文,資料論文,文献展望の別を表紙にタイトル
とともに明記し,かつ投稿原稿(正)1 部とは別にそのコピー3 部
(副)の計 4 部を取りそろえ,編集委員会係(誠信書房内)宛てに提
46
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
出すること。この段階で電子媒体は必要ない。
27.その際,要約および英文要約も 4 部一緒に提出する。また投稿票 1
部も提出する。
なお,コピーの 3 部(副)においては,本文ならびに要約のいずれ
においても,著者が特定されないように,氏名,所属,謝辞を切り取
り(削除し),印刷中の自著の文献がある場合はその氏名も切り取っ
ておく。
【原稿の提出先】
28.原稿は下記の編集委員会係宛てに郵送等にて提出する。
〒 112-0012 東京都文京区大塚 3-20-6
誠信書房内『心理臨床学研究』編集委員会係
47
『Online Journal of Japanese
Clinical Psychology』執筆要項
Research Article(研究論文),Brief Article(資料論文),Review Article(展望論文)の投稿を希望される方は,倫理規定・倫理基準を厳守の
上,以下の執筆要項に従って投稿して下さい。
また,特に倫理面等の詳細は,
『心理臨床学研究 論文執筆ガイド』に書
かれている日本語論文用の記述も参考にして下さい。
【投稿資格】
論文の投稿資格は,本学会会員(正会員・名誉会員)に限る。ただし,
編集委員会からの依頼論文については,この限りではない。
【論文の内容と文字数】
論文の内容は未公刊のものに限る(本学会『二重投稿についてのガイド
ライン』を参照のこと)。
論 文 は, 内 容 に よって Research Article(Original Article を 含 む),
Brief Article,Review Article に分けられる。
a)Research Article(研究論文):心理臨床学に関する学術論文を
示し,5,000 語,A 4 判で 11 枚,を限度とする。なお,研究論文の
うち,心理臨床学の発展に顕著な貢献が認められると判断されたも
のについては,原著 Original Article(原著論文)として掲載する
ものとする。原著の判断については,編集委員会がこれを行う。
b)Brief Article(資料論文):事例・調査・実験・方法・理論等に
関するレポートを示し,2,750 語,A 4 判で 5.5 枚,を限度とする。
c)Review Article(展望論文):特定のテーマに関する重要な文献
を総説的・批判的にまとめた内容を示し,5,000 語,A 4 判で 11 枚,
を限度とする。
*)上記いずれの場合にも,日本語ワープロソフトにおけるページ設
定は,40 字×40 行で作成する。図表類はその大きさを本文に換算
して,枚数に算入すること。また,本文の語数を投稿時に申告する
こと。
【原稿作成に関する
一般的注意】
原稿は A 4 判の用紙を用い,日本語ワープロソフトにおけるページ設
48
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
定は,1 ページあたり 40 字×40 行とすること。余白は標準の形式を用い
る。
原稿は,ワープロソフトを用いて作成する。
原稿は横書きで,英数字の一般的フォント(半角)を用い,フォントサ
イズは 10.5 ポイント以上とすること。
文意を明確に伝えるために,できる限り略語は使用しないこと。ただし,
次の 2 通りの場合に略語を使用する場合がある。
a)略語そのものが独立した用語として見なされる場合
例えば,IQ,HIV,WISC-Ⅳといった病名,心理検査名など独
立して頻用されている用語は,文中で説明を加えなくてもよい。た
だし,必要に応じて,初出の際に,The General Health Question­
naire(GHQ)などと正式名称を併記しておく。
b)文字数の節約と記述が煩瑣になることを避けるために,略語を用
いる場合。
例えば,CP,SC,CBT などの略語も,論文内の使用頻度が高く,
略語の使用が効果的だと判断される場合は,clinical psychologist
(CP),school counselor(SC),cognitive behavioral therapy
(CBT)などのように,初出の際にその略語の意味を明示した上で,
使用するとよい。
【プライバシーへの配慮】
本誌は電子ジャーナルであり,会員以外にも全文公開される。このよう
な本誌の性質上,クライエントや研究協力者に関して記載する情報は必要
最小限とし,プライバシーに十分配慮すること。
a)イニシャルの付け方にも注意すること。例えば,
「佐藤」という
人名の論文中でのイニシャルを「S」とするのは望ましくない。地
名や施設名に関しても同様に配慮すること。
b)面接経過における年号の記載は,X,X+1 year のようにするこ
と。
さらに,このような性質の雑誌に掲載されることについて,クライエン
トや研究協力者(あるいは意思決定の代理人)
,必要に応じて研究実施先
機関等の責任者の同意・許可を得た上で投稿すること。
【倫理審査】
事例研究や調査研究は,倫理審査あるいはそれに代わるチェックを受け
て実施し,その旨を論文中に明記すること。
【論文中で用いる用語】
論文中で用いる用語については,以下のような点について熟考し,使用
すること。
a)心理臨床学では,他の職域との協働実践,あるいは学際的研究が
『Online Journal of Japanese Clinical Psychology』執筆要項
49
多くある。このような背景の中で,他の職域や研究領域で使用され
る用語を論文中で用いる場合には,その領域における行動様式や専
門用語に関する知識を持ち,適切に使用することを心がける。
b)日本の文化やシステムに根ざした専門用語を用いる場合には,国
外の読者にもその意が正確に伝わるよう記述する。
c)国内・国外において差別的と受け取られる可能性のある用語や言
い回しがないか点検する。
【使用言語】
使用言語は,原則として英語とする。ただし,外国の人名等の固有名詞
は,原則として原語を用いる。
投稿前に,英語の専門家かネイティブスピーカーのチェックを必ず受け
ること。新規の投稿時だけでなく,採択された場合の「字句や文の一部修
正」や,修正再審査で加筆修正を行った場合には,当該箇所について,英
語の専門家かネイティブスピーカーのチェックを受けること。投稿時に英
文校正証明書等を添付することが望ましい。
【タイトル】
タイトルには,論文の中心的アイデア,あるいはテーマを簡潔に盛り込
み,タイトルを読めば何の研究であるのか読み手に伝わるように工夫する
こと。原則としてサブタイトルはつけず,20 語以内を目安とすること。
ちなみに,論文の主題には,研究対象や研究方法を含む。
【執筆者の氏名と所属】
氏名の英語表記は,名・姓の順に表記すること。所属は,投稿した時点
の所属をひとつだけ明記すること。
【要約およびキーワード】
Abstract(要約)は,本文全体の概要であること。実証的研究であれば,
問題と目的・方法・結果(明らかにされた知見)等を簡潔に記載し,ひと
つのパラグラフにまとめ,100〜175 語に収めること。
要約の語数については,本文の語数とは別個にカウントし,投稿時に申
告すること。
ま た,3〜5 個 の Keywords(キーワード) を 付 け る こ と。 キーワード
は,論文内容を表す中心的な用語で,かつ論文検索の際に有用な用語とす
る。
さらに,Abstract と Keywords には,邦文訳をつける。Abstract の邦
文訳は 400 字以上 450 字以下とする。キーワードは和英で対応しているこ
とが望ましい。
【文中における引用】
本文中に文献の記述の一部を直接引用した場合は,引用した箇所をダブ
ル引用符(
“ ”)で明示する。引用文中にさらに引用句があるときには,
50
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
内側にシングル引用符(‘ ’)を用いる。
同時に,著者名と公刊年を記載すること(『心理臨床学研究 論文執筆ガ
イド』の「文中における引用」の項を参照のこと)
。
他の文献の図や表を引用する場合は,その旨が明確になるよう,図表の
下に出典を明示すること。ただし,図・表の引用にあたっては,著作権者
の許可が必要な場合があるので注意すること。
a)引用文に先だって著者名を記載する場合
Tanaka(2015)proposed that 〜
b)引用の終わりに著者名を示す場合。
“〜”
(Tanaka, 2015).
c)著者が 2 人の場合,引用のつど 2 人の姓を列記する。
Tanaka & Ito(2015)reported that 〜
“〜”
(Tanaka & Ito, 2015).
d)著者が 3 人以上いる場合は,筆頭者のみを挙げ,
“et al.”を用い
る。
“〜”
(Tanaka et al., 2015).
e)原典が英語以外の文献で,英語への訳本から引用した場合には,
原典の発行年と訳本の発行年を,(1959/1973)のように併記する。
Freud(1923/1962)proposed that 〜 . / 〜(Freud, 1923/1962).
【文献一覧】
引用文献は,本文の終わりに References(文献)の見出しで,著者の
姓を規準にしてアルファベット順に一括して記載すること。
複数の著者名の記述の仕方は,A & B あるいは,A,B,& C などと,
& を用いる。
a)雑誌の場合:著者名,公刊年(西暦),論題,誌名,巻(太字),
記載頁の順序による。ただし,通巻ページ数の記載がない場合は,
巻数に続けて号数を( )で括り記載すること。巻数がない雑誌の
場合は,通しの号数を,
「No.」を付けて記載すること。和雑誌から
の引用の場合も,著者名,論題,誌名などは英語表記されたものが
あれば,それを用いる。なお,雑誌名の記載に際しては,「J. Clin.
Psychol.」といったような略記をしてはならない。
〈例〉
Shore, J. H., Tatum, E. L., & Villmer, W. M.(1986). Psychiatric reactions to disaster: The Mount St. Helens experience. American
Journal of Psychiatry, 143, 590-595.
b)単行本の場合:著者名,発行年度(西暦),書名,発行所,引用
頁の順序とする。ただし,編者と担当執筆者の異なる単行本の場合
は,該当執筆者を筆頭にあげ,以下,発行年度,論題,編者名,書
『Online Journal of Japanese Clinical Psychology』執筆要項
51
名, 発 行 所, 頁 の 順 と す る。 編 者 の 英 語 表 記 は,1 人 の 場 合 は
“Ed.”と,2 人以上の場合は“Eds.”とする。
〈例〉
Fiscalini, J.(1995). Narcissism and self-disorder. In M. Lionells, J.
Fiscalini, C. H. Mann, & D. B. Stern(Eds.). Handbook of interpersonal psychoanalysis. New York: Analytic Press, pp. 333-374.
c)インターネット上の資料からの引用の場合,著者名,年号,題目,
サイト名,取得日を明記すること。日本語のサイトであっても,同
サイト内で英訳が掲載されている場合は,そちらも併記する。
〈例〉
Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology in
Japan(2015). Summary of Survey Results on International Research Exchange for FY2013. http://www.mext.go.jp/english/
report/1360442.htm(March 4, 2015)
d)著者名を基準にした一括記載の場合,同一著者で 2 種以上の文献
がある場合は発刊年度順とし,さらに同年度に同一人の 2 種以上
の文献がある場合には 1980 a,1980 b のように区別して記載する
こと。
e)本文中の引用文献が,巻末掲載の文献一覧に記載されていない場
合がある。本文中に引用した文献は漏れなく掲載すること。ただし,
参考文献は文献一覧から除外する。
【図・表等の扱い】
図・表・写真等については,本文とは別に附属資料として提出論文の巻
末に添付すること。その際の字数換算は,紙面に掲載された際に本文の何
行分にあたるか(1 頁大で 40 行,半頁大で 20 行,4 分の 1 頁大で 10 行な
どと)換算して,本文の字数を調整すること。
図・表・写真は論文構成のうえで最低限必要な情報を簡潔に示すように
心がけること。図や表の基本フォーマットは,これまでに掲載された論文
を参考に作成すること。
キャプション(図表のタイトル)は,図(Figure)の場合が図の下に,
表(Table)の場合は表の上に明確で適切かつ簡潔に表記すること。
【謝辞】
謝辞等を記載する場合は,本文の終わりに一行あけ,
「Acknowledgements」の見出しで書くこと。
【投稿票】
原稿には投稿票を作成して付ける。A 4 判 1 枚に以下の項目について箇
条書きする。
(1)論文種別(Research Article,Brief Article,Review Article),
52
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
(2)論文タイトル,(3)キーワード(3〜5 個),(4)論文のスタイル
(調査論文〔量的研究〕・調査論文〔質的研究〕・事例論文・文献研究),
(5)著者名・所属機関・会員番号(共著者も同様に記載),(6)筆頭
著者の連絡先(氏名,郵便番号,住所,e-mail など),(7)原稿枚数
(図・表・文献を含む),(8)図・表の数,(9)謝辞があれば転記。
【日本語要約と
キーワード】
上記のほかに,日本語で表記した論題,著者名・所属機関,要約・キー
ワードを A 4 用紙 1 枚に記載し,論文に添えて投稿すること。これらの
情報も,電子ジャーナルに掲載される。
要約およびキーワードの日本語訳を,添えること。内容が和英で対応し
ていること。投稿要領は次による。
a)日本語の論題を示す。
b)a の 2 行下段に,日本語の氏名・所属を示す。
c)b の 2 行下段に,日本語要約を 400 字以上 450 字以下で記述する。
d)c の 2 行 下 段 に, 日 本 語 キーワード を 3〜5 語 記 述 す る。 キー
ワードは論文内容を表す中心的な用語で,かつ論文検索の際に有用
な用語であること。同じ領域の専門家に共有されている単語,とく
に専門用語を原則とする。
【特別な費用が
必要な場合】
論文の掲載に際して,特別の費用を要する事情が生じた場合は,著者が
負担するものとする。
ただし,図表をカラー掲載する場合の特別費用は発生しない。
【抜刷の贈呈】
一論文につき別刷り 30 部を贈呈する。それ以上の部数を必要とする場
合は,100 部を上限として編集係に追加の部数を初校校正時までに申請で
きるが,その費用は著者が負担するものとする。
【投稿原稿の提出】
投稿原稿は,表紙に,論文種別(Research Article,Brief Article,Review Article)と論文タイトルを明記し,かつ投稿原稿(正)1 部とは別
にそのコピー3 部(副)の計 4 部をとりそろえ,編集委員会係(誠信書房
内)宛てに提出すること。この段階で電子媒体は必要ない。
その際,要約・キーワードおよび日本語要約・キーワードも 4 通一緒
に提出する。また投稿票 1 部も提出する。
なお,コピーの 3 部(副)においては,本文ならびに要約のいずれに
おいても,著者が特定されないように,氏名,所属,謝辞を切り取り(削
除し)
,印刷中の自著の文献がある場合はその氏名も切り取っておく。
英文校正証明書等を添付する。
『Online Journal of Japanese Clinical Psychology』執筆要項
【原稿の提出先】
原稿は下記の編集委員会係宛てに郵送等にて提出する。
〒 112-0012 東京都文京区大塚 3-20-6
誠信書房内『心理臨床学研究』編集委員会係
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54
倫 理 綱 領
制 定:平成 21 年 4 月 11 日
最近改正:平成 28 年 3 月 27 日
一般社団法人日本心理臨床学会(以下「本会」という。)の倫理規程第 2 条の規定に基づき,これを
定める。
前 文
本会会員は,その臨床活動および研究によって得られた知識と技能を人々の心の健康増進のために用
いるよう努めるものである。そのため会員は,常に自らの専門的な臨床業務およびその研究が人々の生
活に重大な影響を与えるものであるという社会的責任を自覚し,以下の綱領を遵守する義務を負うもの
である。
(責 任)
第 1 条 会員は,自らの専門的業務の及ぼす結果に責任をもたなければならない。
2 会員は,その業務の遂行に際しては,対象者の人権尊重を第一義と心得て,個人的,組織的および
政治的な目的のためにこれを行ってはならない。
(技 能)
第 2 条 会員は,訓練と経験によって的確と認められた技能によって,対象者に援助・介入を行うもの
である。
2 会員は,前項の援助・介入を行うため,常にその知識と技術を研鑽し,高度の技術水準を保つよう
に努めるとともに,自らの能力と技術の限界についても十分にわきまえておかなければならない。
(査定技法)
第 3 条 会員は,対象者の人権に留意し,査定を強制し,若しくはその技法をみだりに使用し,又はそ
の査定結果が誤用され,若しくは悪用されないように配慮を怠ってはならない。
2 会員は,査定技法の開発,出版又は利用に際し,その用具や説明書等をみだりに頒布することを慎
まなければならない。また,心理検査や査定に関する不適切な出版物や情報によって,査定技法やそ
の結果が誤用・悪用されることがないよう注意しなければならない。
(援助・介入技法)
第 4 条 会員は,臨床業務を自らの専門的能力の範囲内で行い,対象者が最善の専門的援助を受けられ
るように常に能力向上に努めなければならない。
2 会員は,自らの影響力や私的欲求を常に自覚し,対象者の信頼感又は依存心を不当に利用しないよ
うに留意しなければならない。
3 会員は,臨床業務を行う場合においては,職業的関係のなかでのみこれを行い,対象者又は関係者
との間に私的関係をもってはならない。
(研 究)
第 5 条 会員は,臨床心理学に関する研究に際して,対象者又は関係者の心身に不必要な負担を掛け,
又は苦痛若しくは不利益をもたらすことを行ってはならない。
2 会員は,その研究が臨床業務の遂行に支障を来さないように留意し,対象者又は関係者に可能な限
倫理綱領
りその目的を告げて,同意を得た上で行わなければならない。
3 会員は,その研究の立案・計画・実施・報告などの過程において,研究データの記録保持や厳正な
取り扱いを徹底し,捏造,改ざん,盗用,二重投稿などの不正行為を行ってはならず,またそのよう
な行為に加担してはならない。
(秘密保持)
第 6 条 会員は,臨床業務上知り得た事項に関しては,専門家としての判断の下に必要と認めた以外の
内容を他に漏らしてはならない。
2 会員は,事例又は研究の公表に際して特定個人の資料を用いる場合には,対象者の秘密を保護する
責任をもたなくてはならない。会員をやめた後も,同様とする。
(公開と説明)
第 7 条 会員は,一般の人々に対して心理学的知識又は専門的意見を公開する場合には,公開者の権
威又は公開内容について誇張がないようにし,公正を期さなければならない。
2 会員は,前項の規定による公開が商業的な宣伝又は広告の場合には,その社会的影響について責任
がもてるものであることを条件としなければならない。
3 会員は,自らが携わる研究の意義と役割を充分に認識し,その結果を公表し,その意義について説
明するように努めなければならない。
(他者との関係)
第 8 条 会員は,他の専門職の権利および技術を尊重し,相互の連携に配慮するとともに,その業務遂
行に支障を及ぼさないように心掛けなければならない。
2 会員は,他者の知的成果を適切に評価すると同時に,自らの研究に対する批判には謙虚に耳を傾
け,誠実な態度で意見を交え,相互の名誉や知的財産権を尊重しなければならない。
(記録の保管)
第 9 条 会員は,対象者の記録を 5 年間保存しておかなければならない。
(倫理の遵守)
第 10 条 会員は,この倫理綱領を十分に理解し,これに違反することがないように常に注意しなけれ
ばならない。
2 会員は,違反の申告が発生したときは,倫理委員会の調査を受ける場合がある。
(補 則)
第 11 条 この綱領の具体的な倫理基準は,理事長が別に定める。
附 則
1 この倫理綱領は平成 21 年 4 月 11 日より発効する。
附 則
1 この倫理綱領は平成 28 年 3 月 27 日より発効する。
55
56
倫 理 基 準
制 定:平成 21 年 4 月 11 日
最近改正:平成 28 年 3 月 27 日
一般社団法人日本心理臨床学会(以下「本会」という。
)の倫理綱領第 11 条の規定に基づき,これを
定める。
(責 任)
第 1 条 本来,会員の専門的業務は,対象者の自発的な援助依頼に応えてなされるべきものである。こ
の場合において,援助依頼者が援助を受ける対象者と異なる場合(親,教師,公共機関等の場合をい
う)は,常に援助対象者の利益および人権を優先させなければならない。
2 会員は,援助依頼者および対象者の人種,年齢,性別等の違いによって,提供する援助活動の内容
に不当な差別をしてはならない。
3 会員は,援助依頼者の目的又は援助活動の結果が対象者の基本的人権を侵すおそれがある場合には,
その活動に従事してはならない。
4 会員は,会員自身の個人的関心若しくは金銭上の不当な利益,又は所属する組織若しくは機関の不
当な利益のために臨床業務を行ってはならない。
(技 能)
第 2 条 会員は,専門職としての知識と技術水準を保持し,及び向上させるために,不断の学習と継続
的な研修によって自己研鑽を積まなければならない。
2 会員は,臨床業務においては,学会水準で是認され得ない技法又は不適切とみなされる技法を用い
てはならない。
3 会員は,対象者に必要かつ有効な技法であっても,所定の訓練を受けていない領域,対象層,技法
等の適用は,スーパーバイザーの下で行う場合を除き,原則として差し控えなければならない。
4 会員は,自分の能力の限界を超えると判断されるときは,対象者の同意の下に他の心理臨床家に協
力を求め,委託しなければならない。
5 会員は,原則として,心理臨床業務には,必要な専門教育・訓練を受けていない者を従事させては
ならない。
6 会員は,対象者及び関係者に対して,臨床心理学の限界を超えた情報を提供してはならない。
(査定技法)
第 3 条 会員は,臨床業務の中で心理検査等の査定技法を用いる場合には,その目的と利用の仕方につ
いて,対象者に分かる言葉で十分に説明し,同意を得なければならない。この場合において,会員は,
対象者が幼児若しくは児童又は何らかの障害のために了解が困難な者の場合は,これらの者の保護者
又は関係者に十分説明した上でその同意を得なければならない。
2 会員は,査定技法が対象者の心身に著しく負担をかけるおそれがある場合,又はその査定情報が対
象者の援助に直接に結びつかないとみなされる場合には,その実施は差し控えなければならない。
3 会員は,依頼者又は対象者自身から査定結果に関する情報を求められた場合には,情報を伝達する
ことが対象者の福祉に役立つよう,受取り手にふさわしい用語と形式で答えなければならない。測定 倫理基準
57
値,スコア・パターン等を伝える場合も同様である。
4 会員は,臨床査定に用いられる心理検査の普及又は出版に際しては,その検査を適切に活用できる
ための基礎並びに専門的知識及び技能を有しない者が入手,又は実施することのないよう,その頒布
の方法については十分に慎重でなければならない。
(第 7 条第 3 項参照)
(援助・介入技法)
第 4 条 会員は,専門的援助を求める対象者に適切な援助・介入活動を行わなければならない。ただし,
会員は,対象者側が会員から提案された特定の援助・介入技法を受入れ,又は断る選択の自由を保証
しなければならない。その援助を中断する場合も,同様とする。
2 会員が対象者と接遇して行う心理療法,カウンセリング等の援助的活動は,所定の臨床の場におい
てだけ行うべき職業的行為であって,会員は,原則として,私的な場所又は公開の場でこれを行って
はならない。
3 会員は,現に臨床的関係をもっている対象者との間では,私的交際を避けなければならない。
(研 究)
第 5 条 会員は,対象者に対して通常の臨床活動以外の介入手続を加える研究計画を立てるときは,研
究の意義を検討すると同時に,研究に協力し参加する対象者の心身の負担及び苦痛の程度並びにこう
むるおそれのある不利益の内容及び程度を十分に勘案した上で,少なくとも臨床業務を著しく阻害せ
ず,及び道義的にも認められる範囲の計画であることを確認した上で実行に移さなければならない。
この場合において,研究の途中に予想外の有害効果又は不利益をもたらすおそれが生じると思われる
場合には,その手続を変更し,又は中止することができる柔軟な姿勢で臨まなければならない。
2 会員は,臨床的研究を行うために,対象者に対して援助活動以外の介入を必要とする場合は,事前 にその目的及び内容を告げ,研究への協力参加の同意を得なければならない。この場合において,対 象者は,参加又は不参加を選択することができる自由および研究進行中での辞退が可能であることを
保証しておかなければならない。
3 前 2 項の場合において,会員は,対象者が幼児若しくは児童又は何らかの障害のために了解が困難 な者の場合は,これらの者の保護者又は関係者に十分説明した上で同意を得なければならない。
4 会員は,研究の終了後,協力参加した対象者に対して,得られた資料について説明し,誤解が生じ ないように配慮しなければならない。
5 会員は研究の結果について道義的責任を持ち,剽窃などを疑われる記載がないよう留意しなければ ならない。
(秘密保持)
第 6 条 会員は,法律に別段の定めがない限り,対象者の秘密保持のために,他の関連機関からの照会
に対して,又は対象者の記録の保存と廃棄等については,十分慎重に対処しなければならない。
2 会員は,対象者本人又は第三者の生命が危険にさらされるおそれのある緊急時以外は,対象者の個
人的秘密を関係者に伝えてはならない。この場合においても,会員は,その秘密を関係者に伝えるこ
とについて,対象者の了解を得るように努力しなければならない。
3 対象者の個人的秘密を保持するために,研修,研究,教育,訓練等のために対象者の個人的資料を
公開する場合には,会員は,原則として,事前に当該対象者又はその保護者に同意を得なければなら
ない。(第 7 条第 1 項参照)
4 前項の同意を得た場合においても,会員は,公表資料の中で当人を識別することができないように,
配慮しなければならない。
58
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
(公 開)
第 7 条 会員は,臨床的研究の成果を公表する場合には,どんな研究目的であっても,原則として,そ
の研究に協力参加した対象者の同意を得ておかなければならない。研修のために自分の担当した対象
者の事例を公表する場合も,同様とする。
(第 6 条第 3 項参照)
2 会員は,専門家としての知識や意見を,新聞,ラジオ,テレビジョン,一般大衆誌,一般図書等に
おいて公表する場合は,内容の公正を期すことに努め,誇張,歪曲等によって臨床心理学及び心理臨
床家の専門性と信頼を傷つけることのないよう十分な配慮をしなければならない。
3 会員は,心理学の一般的知識を教授するために使われる入門レベルの教科書若しくは解説書又は一
般図書等において,心理検査に用いられる刺激素材の複製又はその一部をそのまま提示し,又は回
答・反応に関する示唆に類するものを公開して,現存する心理学的査定技法の価値を損じないよう注
意しなければならない。(第 3 条第 4 項参照)
(他専門職との関係)
第 8 条 会員は,自分の担当する対象者への援助が心理臨床活動の限界を超える可能性(例えば医学的
診断と処置)があると判断された場合には,速やかに適切な他領域の専門職に委託し,又は協力を求
めなくてはならない。
2 会員は,現に他の専門的援助を受けている者が援助を求めて来談した場合には,対象者の同意を得 て,その継続中の専門職との間で最良の方策について協議し,適切な取決めを行わなければならない。
(記録の保管)
第 9 条 会員は,対象者についての臨床業務及び研究に関する記録を 5 年間保存しておかなければなら
ない。
(倫理の遵守)
第 10 条 会員は,専門的知識及び技能水準の向上と平行して,倫理意識の向上を目指して研鑽を積み,
これを遵守するようにしなければならない。
附 則
1 この倫理基準は平成 21 年 4 月 11 日より発効する。
附 則
1 この倫理基準は平成 28 年 3 月 27 日より発効する。
59
あとがき
本誌の執筆ガイドを編集する企画は,藤原勝紀委員長の提案により編集委員会で数年前
から論議されてきたものの,年間約 300 編の投稿論文の査読・審査の業務に追われ,実際
の編集作業に着手するまでにはいたらなかった。しかし,2009 年に学会が法人化した後
の第 1 期の編集委員会での審議の結果,任期中に『執筆ガイド』を完成させる目標が設定
され,編集副委員長の亀口憲治,西井克泰,および編集委員の山本 力の 3 名が,執筆ガ
イドの編集責任を負うこととなった。草稿の執筆者として,3 名の編著委員の他,青木紀
久代,岡 昌之,J. クスマノ,田中千穂子,津川律子,野島一彦,森田美弥子の先生方に
お願いした。
実質的な編集作業は,2 年任期の最終年で,しかも 2011 年 3 月に発生した東日本大震
災後の大混乱の渦中で進めざるを得なかった。実質的に執筆ガイドの草稿が完成したのが
2012 年の正月明け,そして編集委員への依頼原稿(本文とメッセージ〔本改訂版では割愛〕)
がほぼ集まった 2012 年の 1 月末から,年度末の多忙な時期に,3 か月足らずの短期間で
本ガイドの完成にまでこぎつけることができた。なんとか期限内に責任編集の任を果たす
ことができて安堵している。
長年,本誌の編集作業に携わってこられた誠信書房の児島雅弘氏と日本心理臨床学会事
務局の佐藤明徳氏のお二人には,幾度となく休日返上で編集の最終段階での煩瑣な確認作
業に協力いただいた。こころから感謝申し上げたい。 亀口憲治
60
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
◆執筆者一覧
(編著委員)
亀口 憲治 西井 克泰 山本 力
(執筆者)
青木紀久代 岡 昌之 J. クスマノ
田中千穂子 津川 律子 野島 一彦
森田美弥子
◆学会誌編集委員会委員一覧
(任期 旧:2007 年〜2010 年/現:2010 年〜2012 年)
委員長 藤原 勝紀(旧・現)
副委員長 角野 善宏(旧)
亀口 憲治(旧・現)
西井 克泰(現/旧委員)
顧 問 大塚 義孝(旧・現)
岡 昌之 (旧・現)
山中 康裕(旧・現)
委 員
伊藤 義美(現) 井村 修 青木紀久代(旧・現)
(現)
岡田 康伸(旧・現) 奥村茉莉子(旧)
氏原 寛 (旧)
皆藤 章 (現)
(現)
香川 克 古賀 靖之(現)
霜山 孝子(現)
髙原 朗子(現) 滝口 俊子(旧・現)
田中 新正(旧)
田中千穂子(旧・現) 田中 康裕(現)
津川 律子(旧) 野島 一彦(旧・現)
田畑 洋子(現)
針塚 進 深津千賀子(旧・現)
濱野 清志(現)
(旧・現)
溝口 純二(現)
(旧)
妙木浩之 森田美弥子(旧・現)
森谷 寛之(現)
(旧・現)
山本 力 横山 知行(現)
英文担当委員
リース 滝 幸子(現)
J. クスマノ(旧・現)
61
あとがき[2016 年改訂版]
現代社会が要請する情報の開示とともに個人情報の保護,実践と研究および研究発表な
どに伴う倫理的配慮などが実践者や研究者の必要不可欠なマナーとして求められるように
なってきている。
『心理臨床学研究 論文執筆ガイド』を改訂したいという田中新正学会誌
編集委員長の意向に沿って,改訂ワーキング・グループ(WG)が,岩壁 茂,小俣和義,
窪田文子,津川律子の各先生,および伊藤義美の 5 名で構成された。社会的にも注目され
ている倫理的な面を中心に見直して論文執筆ガイドの修正・加筆を行い,投稿者や会員の
便宜を図りたいということであった。
WG で分担して該当する個所を取り上げて検討する作業を進めた。先の論文執筆ガイド
が 2012 年(平成 24 年)3 月発行であり,それほど時間が経過していないので「論文執筆
ガイド(2012 年)
」の記述をできるだけ尊重するつもりであった。倫理面を中心に改訂を
ということであったが,いろいろと現状にそぐわないところも出てきて,しだいに全体的
に見直さざるを得ないようになっていった。それだけ社会や時代の動静・変化が急速であ
ることを示しているようでもあった。しかしながら修正は,必要最小限にとどめられてい
る。なお,2012 年版に掲載されていた「第 5 章 2.の B.論文審査における問題点と検
討課題」と「編集委員からのメッセージ」は,電子版となる論文執筆ガイドには必ずしも
必要としないという理由で割愛されていることをお断りしておく。
WG の案を学会誌編集委員会に諮り,そこで問題点を指摘していただき,それをもとに
さらに検討を加えるという作業を重ねることになった。さらに英語論文の執筆要項も加わ
ることになった。こうして小生の改訂作業進行の不手際もあり,いつの間にか 1 年半が経
過して,任期間際まで作業が続いてしまった。論文執筆ガイドの中の引用文献などは,よ
り最近のものにかえることも考えられたが,残念なことにそこまで行う時間的余裕がな
かった。電子投稿と査読システムの電子化が検討され始めているので,今後も必要に応じ
て論文執筆ガイドの改訂が重ねられていくものと考えられる。
お忙しいところ多大なご協力とご尽力を賜った改訂ワーキング・グループの諸先生,貴
重なご意見やご示唆を頂戴した学会誌編集委員の先生方,および改訂作業に事務面からご
支援いただいた誠信書房の児島雅弘氏と日本心理臨床学会事務局の佐藤明徳氏に心から深
く感謝を申し上げる次第である。
2016 年 5 月吉日
論文執筆ガイド[2016 年改訂版]ワーキング・グループ代表
伊藤義美
*
62
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
本学会では,日本の心理臨床学研究を広く海外に向けて発信するため,英語版学会誌
『Online Journal of Japanese Clinical Psychology』を 2015 年 1 月に発刊した。英語論文の
みで構成された,アクセス・フリーのオンライン・ジャーナルである。執筆要項の作成が
学会誌の発刊よりも遅れたため,会員の皆さまにはご不便をおかけしたことを,まずお詫
び申し上げたい。
これまでも本学会の学会誌『心理臨床学研究』において,一部,外国語論文が掲載され
てきたが,これまでの執筆要項における情報だけでは,
『Online Journal of Japanese Clinical Psychology』に投稿する英語論文作成のガイドとして十分とは言えなかった。今回の
改訂(2016 年版)にあたり,新たに章を設けて『Online Journal of Japanese Clinical Psychology』執筆要項が掲載されたことで,今後の本誌の活性化,日本の心理臨床学研究の
発展につながることを期待したい。
なお,
『Online Journal of Japanese Clinical Psychology』執筆要項は,五十嵐透子,市
井雅哉,大矢泰士,藤城有美子からなる英語論文執筆要項ワーキング・グループで草稿を
作成し,学会誌編集委員の諸先生方からも繰り返しご意見を頂戴しながら,さらに,誠信
書房の児島雅弘氏,日本心理臨床学会事務局諸氏の絶えざるご協力を得て,ここまで漕ぎ
着けることができたものである。皆さまに深く御礼申し上げたい。
2016 年 5 月吉日
英語論文執筆要項作成ワーキング・グループ代表
藤城有美子
63
◆執筆者一覧[2016 年改訂版]
(編著委員)
田中 新正 伊藤 義美 藤城有美子
(執筆者)
(論文執筆ガイド[2016 年改訂版]ワーキング・グループ委員)
伊藤 義美 岩壁 茂 小俣 和義 窪田 文子 津川 律子
(英語論文執筆要項作成ワーキング・グループ委員)
藤城有美子 五十嵐透子 市井 雅哉 大矢 泰士
◆学会誌編集委員会委員一覧[2016 年改訂版]
(任期 旧:2012 年〜2014 年/現:2014 年〜現在)
委員長 野島 一彦(旧) 田中 新正(現)
副委員長 田中 新正(旧)
西井 克泰(旧)
藤城有美子(旧委員/現)
伊藤 義美(旧委員/現)
特別委員 岡 昌之 (旧委員/現)
委 員
吾妻 壮 青木紀久代(旧)
(現) 五十嵐透子(現)
市井 雅哉(旧・現) 伊藤 良子(旧・現)
石垣 琢磨(現)
岩壁 茂 (現) 大矢 泰士(現) 岡田 康伸(旧)
岡野憲一郎(現)
奥村茉莉子(旧) 小俣 和義(現)
(現) 片岡 玲子(旧)
皆藤 章 (旧・現) 笠井 仁 菊池 義人(現) 窪田 文子(現)
亀口 憲治(旧)
(現) 下山 晴彦(旧)
香野 毅 (現) 古賀 聡 祖父江典人(現)
田形 修一(旧・現) 滝口 俊子(旧)
田中 真理(現)
田中 康裕(旧) 津川 律子(旧・現)
寺沢英理子(現)
(旧)
冨永 良喜(旧) 針塚 進 藤原 勝紀(旧・現) 松木 邦裕(旧・現)
深津千賀子(旧)
宮﨑 昭 松見 淳子(現)
(旧・現) 森谷 寛之(旧・現)
山本 力 (旧) 横山 知行(旧) 吉川 吉美(旧・現)
英文校閲委員
J. クスマノ
リース滝幸子
心理臨床学研究 論文執筆ガイド
編集
委員長 田中新正
[2016 年改訂版]
平成 28 年 5 月 21 日発行
一般社団法人 日本心理臨床学会 学会誌編集委員会
発行
一般社団法人 日本心理臨床学会
理事長 野島一彦
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製作
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