西豪州概要(2015年3月)

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概況
(1)地理的状況
当館が管轄する西豪州は,豪州全土の約 3 分の1を占め、日本の約 7 倍の面積を有す
る広大な領域を占めている(注 1)。
西豪州の人口は約 257 万人(注 2)で,そのほぼ4分の3である約 197 万人(注 3)が
州都パースを中心としたパース大都市圏に集中している。残りの人口は,約 3,000km 以
上に亘って延々と続く海岸線の各地に小規模居住地として,あるいは,「アウトバック」
と呼ばれる荒涼たる内陸部に無数の集落として点在している。そのため,同州の人口分
布は広範囲な拡がりを見せている(注 4)。
日本から西豪州への渡航は,東南アジアあるいは、豪州東海岸の諸都市経由で、主に
空路により同州に入る。
(注 5)インドネシアのバリ島へは約 3 時間半,シドニーへは 4
時間半,ヨハネスブルグへは 11 時間45分の飛行時間の距離にみられるように,パー
スは世界で最も孤立した 100 万都市と言われている。
日本との時差は年間を通じ、西豪州が-1 時間である(注6)。なお、豪州東部のキャ
ンベラ,シドニー,メルボルン等の諸都市は夏時間を採用しており、西豪州との時差は
冬時間で-2時間、夏時間で-3時間となる。
(注 1)州面積 2,531,563.7 平方 km(豪州連邦統計局データ)
(注 2)正確には 2,573,389 人(豪州連邦統計局,2014 年 6 月)
。
(注 3)正確には 1,979,482 人(西豪州開発省。2014 年 9 月)
(注 4)人口密度 1 平方キロ当たり約1人。パース大都市圏以外で人口が 3 万人を超えるの
は,ジェラルトン,マンデュラ,バンバリー,バッセルトン,アルバニー,カルグー
リ(いずれも 3~7 万人程度)。
(注 5) カンタス航空は成田・パースに直行便を運航していたが、2011 年 4 月に中止。
(注 6)西豪州は,2006 年に試験的に夏時間を導入したが,2009 年の州民投票の結果,継続
を希望しない者が過半数を占め,それ以降、夏時間を廃止した。
(2)州都パースの気候風土
州都パースは豪州西海岸の南緯 31.59゜東経 115.51゜に位置する。北半球に置き換え
ると,だいたい鹿児島市の位置となる(右理由の一つとして,パース市と鹿児島市は姉
妹都市)。気候は地中海性気候であり、日本のような明確な四季の変化は無く,大別す
ると雨期(冬)と乾期(夏)に分けられ,年間を通じて風が強い。特に冬の 6 月~8 月
にはインド洋からの強い西風を伴った雨が降る日が多いが,一日中降り続くようなこと
はめったにない。一方,夏の 12 月~2 月には殆ど雨は降らない。
サイクロンの通過もほとんどないが、干ばつや、乾期のブッシュファイア、雹により
被害がもたらされることもある。
(3)西豪州と周辺諸国及び我が国との関係
ア
西豪州の第一の貿易相手国である中国との関係が増加しつつあるほか,豪州の西端に
位置することから,インド洋を挟んだ同海域北西部上方に東チモール,インドネシア,
シンガポール,マレーシア等の東南アジア諸国が控え,インド洋を挟んだインド,中
東諸国との経済関係の強化にも踏み出している。
「白豪主義」の時代と異なり,最近では東南アジア地域諸国よりの移民や留学生等も
多く居住し、各コミュニティを維持しつつ、同時に地域社会に溶け込んでいる。その
ため、西豪州はアジア諸国との関係が強く,異文化を認め尊重し合い,多様なアジア
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系文化と従来の欧州系文化が混ざり合った「多文化主義」が、根付いている。
イ
西豪州と我が国は,資源や工業製品等の貿易取引を通じて典型的な互恵・補完関係に
ある重要なパートナーとなっている(詳細 「経済」参照)。また、最近では海外旅行
ブームを反映し、多数の西豪州人がリピーターとして我が国をおとずれており、知日
に裏付けられた親日家も多い。
(4)我が国との歴史的つながり
ア
在ブルーム名誉領事の任命
西豪州と我が国の関係は,古くはボタン加工用の蝶々貝の採取のためブルームに日
本人が渡来した明治中期にまで遡る。このため日本政府は,1910 年(明治 43 年),ブ
ルーム在住のアーチー・メイルを名誉領事とし,居留民の保護にあたった。その後 1923
年,兄の後継者として任命した弟のアーサー・メイル名誉領事は,太平洋戦争の勃発ま
で同職にあった。
戦後,1958 年(昭和 33 年)にアーサー・メイルの長男であるサム・メイルを名誉領
事に任命し,ブルームに名誉領事は 1971 年まで存続した。
イ
戦艦「伊吹」による ANZAC 艦隊の護衛
第一次世界大戦中の1914年,豪州・ニュージーランド連合軍(ANZAC)が西豪州
アルバニーを出港してトルコに向かった際、日英同盟を背景に、日本の戦艦「伊吹」
が同艦隊の護衛にあたった。
2014年、豪連邦行事として、アルバニーANZAC 出港百周年記念式典が行われ、日
本から中根外務大臣政務官が出席するとともに、護衛艦「きりさめ」も同式典に参加
した。
(ウ)在パース総領事館の開設
太平洋戦争開戦の直前に,日豪両国は外交関係を樹立し,1941 年(昭和 16 年)2 月
に,我が国はキャンベラに公使館を開設し,河相達夫公使が同年 3 月に着任した。7 月,
野党自由党カーティン党首(西豪州出身)の招待を受け,パースに来訪した河相公使は,
西豪州産鉄鉱石の対日輸出につき協議している。なお、当時の日本は、前年の米国の
くず鉄対日輸出禁止の経済制裁下にあった。
戦後,1960 年(昭和 35 年)に西豪州産鉄鉱石の対日輸出が解禁された後,パースに
駐在する日本企業駐在員の数は増加し,1967 年(昭和 42 年)2 月 10 日に当館が開設
された。
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2
政治
(1)政体
オーストラリアは,西豪州を含む 6 州と2特別地域(首都特別地域,北部準州)から
成る連邦国家である。オーストラリア連邦は英連邦に属し,その政体は,エリザベス二
世英国女王を元首とする立憲君主制であり,同女王によって任命された連邦及び州総督
(現西豪州総督:Her Excellency the Honourable Kerry Sanderson AO.)が王権を代
行している。総督は憲法上広範,且つ強大な権限を持つが,「君臨すれども統治せず」
の英国立憲主義の伝統に則っており,実質的には議会制民主主義に基づく議院内閣制が
採られている。
サンダーソン総督は,フリーマントル港湾局長、在英国・西豪州政府代表をつとめた
後、2014 年 10 月に総督に就任した。
(2)州議会
西豪州議会は,上院(Legislative Council)と下院(Legislative Assembly)から
成る二院制。
上院は,6 つの選挙区(計 35 議席)から成る比例代表制によって選出され,議員の任
期は4年である。2013 年選挙後の獲得議席は,自由党 17, 国民党 5,労働党 10,緑の党
2,その他 1)。上院議長は自由党のバリー・ハウスである。
下院は 59 の小選挙区から選出され,任期は 4 年である。現在の議席配分は,自由党
31,労働党 21,国民党 7。下院議長は自由党のマイケル・サザーランドである。
法案の成立には上下両院の承認が必要である。上院は経常支出法案や課税法案等の予
算関連法案については,否決権や修正要求権を有しているのみで,発議権や修正権はな
い。
(3)州政権
伝統的に労働党と自由党の二大政党が政権を担っているが、現在は自由党と国民党の
連立政権である。
(4)州内政
ア
2008 年 9 月に実施された西豪州議会総選挙(上院・下院)で,バーネット党首率いる
自由党が大幅に議席を増やした一方で,与党労働党は過半数を割る結果となった。二大
政党のどちらも過半数に達しなかったため,自由党・労働党双方が国民党との連立を目
指し,連立に成功した自由党が約8年振りに政権与党に返り咲いた。
イ 下野した労働党では,カーペンター前州首相が党首を辞任,引退し,代わってリッパー
副党首が新党首として選任されたが,支持率は回復せず、2012 年 1 月にマクゴワン現党
首が選任された。
ウ 2012 年 6 月、ポーター州財務・法務大臣が連邦政界へ転身し、これを受けてバーネッ
ト首相は若手や女性の抜擢を含む内閣改造を行った。
エ 2013 年 3 月の総選挙で、開発・資源ブームへの取り組みや生活環境、インフレ問題等
が焦点となる中、自由党・国民党連合政権は勝利し、バーネット政権は2期目を担当す
ることになった。
オ 2014 年、自由党内若手有力リーダーのバズウエル州財務相が、飲酒運転による交通事
故を起こしたことで引責辞任し、後任のナルダーも利益背反疑惑により、内閣にとどま
りつつも財務担当職を失った。このため、次期選挙も自由党はバーネット党首が引き続
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き指揮をとるとみられている。
(5)西豪州選出の連邦議員
ア
連邦議会の上院(Senate)は州単位の比例代表制を採っており,上院の任期は 6 年で,
3 年毎に半数が改選される。上院の定員 76 名中,西豪州の上院議員は、各比例区から計
12 名が選出される。現在の議席配分は,自由党 6,労働党 3,グリーン党 2,パーマー統
一党 1 である。
連邦議会の下院(House of Representatives)は小選挙区制を採っており、合計 150
選挙区あり,この内,西豪州に 15 選挙区がある。下院議員の任期は 3 年で,現在の議
席配分は自由党 11,労働党 3 である(補選で選出される 1 名は未定)。なお,ハスラック
選挙区から初当選したケン・ワイアット議員(自由党)は,史上初の先住民議員である。
なお、本年 7 月のドン・ランドル下院議員(自由党。カニング選挙区)の急逝にとも
なう補選が、本年 9 月19日に予定されている。
イ 現在のアボット連邦自由党政権の閣僚のうち、西豪州選出議員は,ジュリー・ビショ
ップ外務大臣(副党首。下院)、マティアス・コーマン予算大臣(上院)であるほか、閣
外大臣のマイケル・キーナン司法大臣(下院)、首相府付政務次官にクリスチャン・ポー
ターも任命されている。なお、デイヴィッド・ジョンストン(上院)は、昨年12月の
内閣改造で、国防相の任を解かれた。
ウ 西豪州選出の労働党連邦議員のなかでは、ギャリー・グレイ(下院)が「影の資源,
北部豪州,特別国務大臣」、アラナー・マクティワン(下院)が「影の地域開発・インフ
ラ政務次官、西部豪州政務次官」をつとめる。
(6)二国間関係
西豪州と日本は緊密な要人往来,経済関係や文化交流,姉妹都市交流にも支えられ,
全般的に極めて良好な関係を維持している。
ア 西豪州、我が国の議員による友好議員連盟
平成 18 年 4 月,政治,経済,社会,文化など様々な分野で,西豪州と関西との関係を
より発展させるため,竹本直一衆議院議員を会長とする「西豪州・関西友好議連」が設
立された。同議連には,大阪府,兵庫県,和歌山県選出の国会議員合計17名が参加し
た(当時)。
西豪州側も,グリフィス上院議長(当時),リーベリング下院議長(当時)の呼びか
けにより,両院議長の他,リッパー副首相(当時)やバスウェル野党党首(当時)など
合計55名の議員有志により,平成 20 年(2008 年)2 月 25 日に「西オーストラリア・
関西友好議員連盟」が立ち上げられた。
イ 最近の主な日本側要人来訪
i)中曽根外務大臣(当時)の来訪
2009 年 5 月,中曽根外務大臣が我が国の外務大臣として初めて西豪州(パース)訪問。
訪問中,スミス連邦外務大臣と二国間会談を行なった他,バーネット州首相とも会談し
た。
ii)岡田外務大臣(当時)の来訪
2010 年 2 月,岡田外務大臣がパースを訪問し,スミス連邦外務大臣と二国間会談を行
なった他,スミス連邦外務大臣と共にバーネット州首相とも懇談した。
iii)福田康夫元総理の来訪
2011 年 7 月、福田康夫元総理は、当地で開催されたボアオ・フォーラム主催の資源・
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エネルギー関連会議に同フォーラム理事長として出席し、当地滞在中、ラッド連邦外務
大臣、エマーソン連邦貿易大臣及びバーネット西豪州首相との間での個別会談、当地産
業施設の視察、当地日本企業関係者との懇談等を行った。
iv)小野寺防衛大臣(当時)の来訪
2014 年4月、小野寺防衛大臣一行がパース訪問を行ない、閣僚会談に参加するととも
に、マレーシア航空捜索国際ミッションに参加していた航空自衛隊関係者を激励した。
V)安倍総理夫妻の来訪
2014 年 7 月、豪州訪問の一環として、安倍総理は現職総理として40年振りに西豪州
を訪問。アボット連邦首相自ら同行し、ピルバラ鉄鉱石鉱山視察やパースにおいてバー
ネット州首相による表敬、連邦・西豪州共催歓迎夕食会に参加した。
vi)中根外務大臣政務官の来訪
2014 年 10 月,アルバニーANZAC 艦隊出航100年記念行事参加のため、当地来訪した
中根外務大臣政務官は、式典に参加していたアボット首相、キーNZ首相と懇談した他、
マーミオン州資源相、ジョンストン連邦国防相(当時)と会談を行った。
ウ 最近の西豪州要人の訪日
i)バーネット州首相の訪日
同州首相は,2008 年 9 月の州首相就任以来,2度の訪日を行い、日本政府関係者およ
び、主要な日系企業代表者等と会談を行った。来年は西豪州・兵庫県の姉妹都市樹立3
5周年であり、本人も訪日の意向あり。
ii)ウッドアムス下院議長の訪日
2010 年 4 月 6~16 日,ウッドアムス州議会下院議長(ウッドアムス議長夫人,ベーカ
ー議員,フランシス議員,パパリア議員他同席)は訪日した際,衛藤副議長表敬(衆議
院側:竹本直一議員(西豪州・関西友好議連会長)他同席)の他,兵庫県訪問(井戸知
事,原県議会議長,神戸大学等),西豪州・関西友好議連との懇談,西豪州関連ビジネ
ス視察等を行った。同議長は 2011 年 10 月にも訪日し,兵庫県訪問(井戸知事,加茂県
議会議長,神戸港等),京都視察,西豪州関連ビジネス視察等を行った。
このほか、西豪州出身の連邦議員、西豪州政府閣僚等の要人は、公私目的問わず、頻
繁に訪日している。
【参考】上記以外の要人往来(尊称・肩書は当時のもの)(1973 年以降)
1973 年 5 月
明仁皇太子同妃両殿下(今上天皇皇后両陛下)
1974 年 11 月
田中角栄内閣総理大臣
1980 年 10-11 月 田中六助通商産業大臣
1982 年 10 月
桂宮宜仁親王殿下
1983 年 9 月
国会議員連盟使節団
1985 年 6 月
山下徳雄運輸大臣
10 月
1987 年 10 月
1991 年 10 月
1995 年 5 月
酒井時忠兵庫県知事
貝原俊民兵庫県知事
貝原俊民兵庫県知事
海部俊樹前首相(私的訪問)
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8月
1997 年 9 月
野呂田芳成農林水産大臣
経団連使節団
1998 年 1 月
1999 年 1 月
久間章生防衛庁長官
深谷隆司自民党総務会長
2000 年 7 月
8月
2001 年 10 月
2001 年 12 月
久間章生自民党政調副会長(外交担当)
貝原俊民兵庫県知事
井戸敏三兵庫県知事
根本匠衆院議員(豪政府招待)
2006 年 2 月
2006 年 11 月
竹本直一財務副大臣
井戸敏三兵庫県知事
西豪州政府要人の訪日(1991 年以降)
1991 年 6-7 月
カルメン・ローレンス首相
1993 年 3 月
リチャード・コート首相
5月
モンティ・ハウス主要産業大臣
9月
コリン・バーネット資源開発大臣
1995 年3月
コリン・バーネット資源開発大臣
10 月
1996 年 7 月
1998 年 4 月
2001 年 5 月
ヘンディ・コーワン副首相
リチャード・コート首相
リチャード・コート首相
クライブ・ブラウン州内開発・観光担当大臣
9月
ジョン・サンダーソン総督
10-11 月 エリック・リパー副首相
2002 年 7 月
2003 年 11 月
2004 年 7 月
2005 年 7 月
2006 年 7 月
2007 年 2 月
ジェフリー・ギャロップ首相
クライブ・ブラウン内開発担当大臣
ジョン・カウデル州上院議長
ジェフリー・ギャロップ首相
アラン・カーペンター首相
ニック・グリフィス州上院議長
10 月
2008 年 5 月
エリック・リパー副首相
ローガン資源・エネルギー大臣
6月
2009 年 2 月
2010 年 4 月
2011 年 3 月
9月
リーベリング下院議長
コリン・バーネット首相
ウッドアムス下院議長
コリン・バーネット首相
クリスチャン・ポーター財務・法務大臣
同上
10 月
2012 年 4 月
テリー・レッドマン農業大臣
ウッドアムス下院議長
キム・ヘイムズ副首相兼観光大臣
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3 経済
(1) 西豪州経済の現状と最近の動向
ア 西豪州の州内総生産(GSP)は 2,650 億ドル(2013/14 年度)で豪州国内総生産(GDP)
の 17%。今世紀、天然資源の投資ブームもあり、西豪州は常に豪州全体の平均を越える
高い経済成長率を維持してきた。特にブームの頂点であった 2011/12 年度には、7.6%の
高い成長率を記録した。
2013/14 年度の成長率は 5.5%と高い水準にあるが、資源ブームの落ち着きと資源価格
の下落の影響もあり、西豪州政府は、2014/15 年及び 2015/2016 年の経済成長率を 2.3%
と予測している。
イ 2015 年1月の州失業率は 5.6%と同時期の豪州全体の失業率 6.4%より低いが、資源
ブーム時の 4%以下であったときと比べると上昇傾向にある。
ウ 西豪州経済は、鉱業産品、農水産品等の天然資源の開発と輸出に支えられており、
2013/14 年度は、輸出が GSP の 52%(1,246 億ドル)を占めている。2014 年輸出産品の
内訳は、輸出額ベースで鉄鉱石(52%)、LNG(12%)、金(10%)原油等(8%)と資源
が中心となっている。
エ 2014 年豪州全体の輸出額の 47%は、西豪州の輸出によるものである。特に東アジア向
け国別輸出額において、対中国(71%)、対日(51%)、対韓(49%)とも、西豪州は豪
の他州を圧倒している。
西豪州からの輸出は主に、中国(西豪州輸出の 51%)、日本(19%)
、韓国(8%)、シ
ンガポール(4%)、マレーシア(2%)の順となっている。
西豪州から輸出される鉄鉱石の 76%(2014 年)、金の 64%(2014 年)、石油等の 22%
(2013/14 年度)が中国へ輸出されている。また、西豪州産の LNG の 75%(2013/14 年
度)が日本へ輸出されている。
(2)我が国との関係
ア 戦後しばらく,豪州は対日鉄鉱石輸出を禁止していたが,故チャールズ・コート(元
西豪州首相,当時は産業,開発及び北西部担当大臣)の積極的な働きかけもあり,1960 年
12 月に右輸出が解禁された。当時、高度成長の黎明期であり,急速に重化学工業化を促進
していた我が国にとって,西豪州は鉄鉱石資源の一大供給源となった。
その後,西豪州と我が国との間で資源取引が拡大し,現在に至るまで資源と工業製品の
貿易を通じて相互に補完的関係にある重要なパートナーとなっている。
イ 我が国は、鉄鉱石の約6割、LNG、小麦の1割以上を西豪州に依存しており、西豪州に
とって日本は、輸出の 18.3%(239 億ドル)(2013/14 年度)を占める第2位の輸出先国と
なっている。
一方、西豪州は日本から自動車、精製油、鉄パイプ、タイヤ等の工業製品を輸入してお
り、輸入額においては、輸入総額の 7.6%(27 億ドル)(2013/14 年度)を占める第4位の
輸入先国となっている。
ウ 西豪州に進出している日系企業は約 100 社。この中で、鉄鉱石や LNG 等の資源ビジネ
スを扱う総合商社は、西豪州において生産・輸出される鉱産品のエージェントとしてのみ
でなく、資本参加により自らも権益を取得し商業活動や各種開発投資も積極的に行ってい
る。
エ 日本の主なガス・電力会社も当地に進出し、LNG 事業への資本参加及び長期売買契約
の締結を行う等活発な動きをしている。
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オ 日本は、年間小麦需要の約9割(約 500 万トン)を輸入している。その中で、豪州産
小麦輸入量約 100 万トンのうち、約 85 万トンは西豪州産である。日本が輸入する西豪州小
麦は、すべてうどん製造に使用されている。その他、西豪州産大麦は焼酎、ビール製造用、
その他麦は飼料用としても日本に輸出されている。
4
在留邦人進出状況
(1)在留邦人
当館に届出がなされている在留邦人数は,2014年10月1日現在で,8154人
であり,ここ数年漸次増加傾向にある。このうち,4,263人が永住者である。なお,
在留邦人の 9 割強がパース及びその近郊に在住している。日本人女性がオーストラリア
人男性と婚姻,出産が増加傾向にあり民間駐在員及びワーキングホリディによる長期滞
在者は平均的に推移している。近年の物価上昇により,大学等への留学生及び,定年後
の移住者は減少傾向にある。
・民 間 企 業 関 係 者:
754人
・報 道 関 係 者:
1人
・自 由 業 関 係 者:
119人
・留学生・研究者・教師:1,085人
・政 府 関 係 機 関 職 員:
31人
・そ の 他 ( W H 等 ):1,491人
・永
住
者:4,263人
合
計:8,156人
(参考)西豪州の在留邦人の推移(毎年 10 月 1 日現在)
1969 年
198 人
2006 年
4,845 人
1980 年
365 人
2007 年
5,277 人
1990 年
1,033 人
2008 年
5,965 人
2000 年
2,673 人
2009 年
6,619 人
2001 年
2,646 人
2010 年
6,121 人
2002 年
2,998 人
2011 年
7,248 人
2003 年
3,532 人
2012 年
7,997 人
2004 年
3,825 人
2013 年
8,539 人
2005 年
4,293 人
2014 年
8,156 人
(2)当地の治安状況
ア
一般犯罪情勢
西豪州内での治安は,体感として悪化は感じられないが,犯罪統計を見ると発生件数
は例年高い傾向にあり日本と比べても犯罪発生件数が多い。また,当地の昨年の犯罪発
生件数は,全体的に減少傾向にあるが,住居侵入や車両盗難の発生件数は依然として高
い。邦人が関係する殺人事件等の被害は発生していないが,都市部中心では,旅行者等
のスリ・ひったくり・置き引きの犯罪被害が発生している。西豪州では,人口比率に比
例してパース都市圏内で犯罪発生率が高い傾向にある。パース市近郊やパース市郊外に
居住する際は,住居侵入等にも注意が必要である。
イ
テロ情勢(西豪州)
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当地のテロ情勢に関して,西豪州警察は,高い情報収集能力を有しおてり,西豪州内
の過激派の動向を監視していることから,現段階において西豪州に具体的なテロの脅威
はないとの見解である。また,豪州の警戒レベルは引き上げられたが,これは,あくま
でもテロの警戒レベルであり,テロのリスクレベルは変更していないことから,一般市
民は日常生活において警戒する必要はあるが,テロを恐れる必要はない。他方,昨年1
2月に,シドニーで発生した,組織的ではない単独による犯行を未然に防ぐことは,困
難で有り西豪州内おいて同様の事件の発生も排除出来ない。
(3)在留邦人組織
(ア)西豪州日本人会
西豪州日本人会,パース日本商工会議所及びパース日本人学校運営理事会の三組織は,
組織の合理化,在留邦人社会の連携強化,中国の台頭を踏まえた在留邦人団体組織の存
在感向上等を目的として検討を重ねてきた結果,2010 年 3 月の総会において「西豪州日
本人会」として同一組織に統合され,「個人部会」,「商工部会」及び「学校部会」の3
部から構成される。
会長:合田博英(豪州三菱商事株式会社副社長兼パース支店長)
会員数 361人(2015年4月現在)
ア 個人部会(旧西豪州日本人会)
主に日系企業駐在員及び永住者で構成され,互いに親睦を図っている。
副会長兼個人部会長:小池 進(豪州三井物産支店長)
イ 商工部会(旧パース日本商工会議所)
西豪州に進出している日系企業の相互の親睦,共通の問題処理,日豪経済の発展と
文化交流への寄与を目的とする非営利団体。
副会長兼商工部会長:合田博英(西豪州日本人会会長と兼任)
会員数:名誉会員である当館を含め56社・団体(2015年4月現在)
ウ 学校部会(旧パース日本人学校運営理事会)
パース日本人学校及び補習授業校の運営に携わる非営利団体。
学校部会長:白石雅資(MIMI代表)
日本人学校生徒数: 42人(2015年4月現在)
補習校生徒数
:240人(2015年4月現在)
(イ)西豪州日本クラブ
永住者を中心とした親睦クラブであり,毎月1回コアラ会(食事会)を開催しており,
毎年11月にクリスマスファンクションを実施している。
会 長:オルコット美佐子(豪国籍取得者)
会員数:50人(2015年4月現在)
(ウ)サポートネット虹の会
1999年に大槻現会長含む当地邦人永住者が中心となり、パース居住の在留邦人に対
する福祉活動を目的に立ち上げた。2000年に当地社会福祉法人資格を取得した。主な
活動内容は以下のとおり。
(1)邦人独居老人の介護援助。
(2)邦人配偶者に対するドメスティックバイオレンス(以下 DV)等の相談受付及び、警
察、セーフティハウス等への通報・保護要請等。
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(3)4歳以下の児童を持つ邦人の母親の子育て、当地生活に関する情報交換の場として
役立っている、プレイグループ(約30グループある)の一部に対する支援。
会長 大槻 真一(永住者)
約150名の会員(内訳は正会員55名、協力会員30名、賛助会員65名)
5
当館広報・文化活動
(1)概況
西豪州は,地理的特性からアジア諸国との繋がりが強く,日本との密接な経済関係を背景に
日本に対する関心は高い。当館は,良好な日豪関係を維持強化するため,日本映画祭,日本伝
統文化事業,国際交流基金事業等,様々な日本文化紹介事業を実施し,対日理解の促進に努め
ているほか,日本語教師との連携等による教育広報を通じ、日本に関する情報を発信し,バラ
ンスのとれた対日観の醸成に努めている。
また,日本語弁論大会の支援,日本語能力試験の広報等を通じた日本語教育支援,JETプ
ログラムや国費留学生等の人物交流支援、日本への観光客誘致や日本酒紹介事業を実施してい
る。広大な西豪州では92.9%近くの人口がパース首都圏に集中し,遠隔地在住者への情報量は
極めて限られることから,館員の出張やホームページやメルマガ,ツイッター及びフェイスブ
ックを通じて積極的な情報発信を行っている。
2015年3月,日本人社会が主体となって第2回パース日本祭りが開催された。
(2)姉妹都市交流
西豪州では,西豪州と兵庫県の姉妹交流をはじめ,次のような姉妹都市関係があり,当館は,
これらの行う交流事業を様々な形で支援している。 特に,西豪州と姉妹都市提携を結ぶ兵庫
県が1992年に当地に設置した兵庫文化交流センターと当館は密接な協力・連携を図っており,
2006年の西豪州・兵庫姉妹提携25周年時,同センター設立15周年を記念して,その活動に対し
て外務大臣表彰を行なった。
また, 2014年は,鹿児島市・パース市の姉妹都市提携40周年,足立区・ベルモント市の
30周年の記念式典が行われ,鹿児島市長及び足立区議会議長を含めたそれぞれの親善訪問団
が来訪した。今後,2015年には,パース市長が鹿児島市を訪問する予定である。
姉妹都市提携(11件)(2015年3月現在)
提携年
都市名
主な交流内容
74年4月
パース市・鹿児島市
高校生交流事業,市民交流団の
相互派遣
79年4月
フリーマントル市・横須賀市 高校生交流事業
81年5月
ブルーム・和歌山県太地町
市・町幹部による相互訪問,小
学生交流
81年6月
西豪州・兵庫県
兵庫文化交流センターの運営,
教員交流
84年10月
ベルモント市・東京都足立区 中学生の相互訪問交流,市民交
流団の相互派遣,姉妹都市専門
員受入
92年11月
バンバリー市・東京都世田谷 小学生の相互訪問交流
区
96年11月
バッセルトン・埼玉県杉戸町 中学生相互交流,職員派遣
97年4月
ロッキンハム市・兵庫県赤穂 小中高生の派遣・受入,市民交
市
流
98年9月
グレータージェラルトン市・ 中学生の派遣・受入
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静岡県湖西市
01年2月
アルバニー市・群馬県富岡市 中高生・教職員交流
10年11月 (友好都市)
アルバニー市・宮崎県日南市 中高生相互交流
※ 姉妹港(2件):フリーマントル港/名古屋港 アルバニー港/油津港(宮崎県日南市)
(3)日本語教育状況
西豪州日本語学習者数: 41,000人 (2014年国際交流基金調べ)
1998年5月から国際交流基金より日本語教育専門家1名が州政府教育省に派遣されていたが,
2010年1月に本派遣が終了した。2010年2月に州政府教育省は,国際交流基金との折半負担によ
り日本語教育促進のため日本語教育専門家のポストを新設し,同専門家が引き続き勤務してい
る。
(4)JETプログラムによる派遣事業
(ア)JETプログラム(Japan Exchange and Teaching Programme:「語学指導等を行う外国青
年招致事業」)は,地方公共団体が,総務省,外務省,文部科学省及び財団法人自治体国際化
協会(CLAIR)の協力の下に実施しているものである。昭和62年度にスタートした本プログラ
ムは,平成26年度で28年目を迎えた。
(イ)平成26年度,西豪州からは,10名が新たに本プログラムに参加した。
職種の内訳は,日本国内の地方公共団体で国際交流活動に従事する国際交流員(CIR:
Coordinator for International Relations)が1名,中学校・高等学校等で語学指導に従事す
る語学指導助手(ALT:Assistant Language Teacher)が9名,それぞれ原則として任期1年の
予定で全国各地の配属先で英語の指導等に当たっている。JET制度発足以来今年度までに西豪
州から合計417名が参加している。
(資料)過去5年間の派遣人数の推移
年度 CIR
ALT
計
22
0
11
11
23
0
14
14
24
0
6
6
25
1
19
20
26
1
9
10
(ウ)JETAAWA(JETプログラムのOB会)
会長:ウィリアム・ペレラ氏(マードック大学生協勤務,2014.4~)
1998年に発足し,パース・ダーウィン支部の会員総数は,現在514名である。当館と緊密に連
絡をとりながら,JETプログラムの広報活動の他,各種交流イベントを積極的に実施している。
なお,2000年11月に東京で開催された第1回JETAA国際総会での執行委員選挙において,当地代
表ミーガン・カイノ氏が副会長に選出されたことがある。
2010年11月には,当地においてJETAAオセアニア地域総会が開催された。
(5)西豪州豪日協会
会長:ジーン・スチュワート(Mrs. Jean Stewart)
1974 年にゴードン・フリース元駐日大使の呼掛けで発足した文化交流団体。会員数は約 210 名。
食事会等の各種イベントの開催,ニュースレターの発行等を通じて日・西豪州親善の輪を拡げ
ている。平成 27 年春にパトリック・D・ホワイト元会長が外国人叙勲(旭小)(予定),平
成元年春にレスリー・ウィリアム・スレード元会長が同叙勲(旭四),平成 16 年に同協会が
外務大臣表彰,同年にジョン・オブライエン前会長(当時)が在外公館長表彰を授与された。
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